BS2録画ビデオ

面白いんだか面白くないんだか分かんないくらい面白かった。
ある程度面白いと「まじおもしれえ」とか思うのだけど、さらに上のレベルに行くと「面白い」とかいう表現を超える。
感動したとかそういう訳じゃないんだよな。面白い、ってことなんだけど普通に「面白い」と言いたくないような面白さ…あっ、やっぱ面白いとかいう表現使ってしまうなぁ。なんかいい表現ないかなぁ。
放浪者が川で溺れる。男が一人命がけで飛び込み、放浪者を救う。
放浪者は命を救われた上、命を救ってくれたこのブルジョワ男性の家にお世話になる。
ブルジョワ男性の家にはその妻と女中が住んでいる。この3人と放浪者とは生きてきた世界が違う。
放浪者という異質の存在が家の中に割り込んでくることにより巻き起こるドラマ。
人を思いやる精神、助け合う精神の素晴らしさを教えてくれるハートフルドラマ。
・・・では全くないのだな。
髭ぼうぼうの放浪者が公園の木陰で黒い犬と優しく戯れていたり、命を救ってくれた男性からサイズぴったりの上等な服を買って貰ったり、飯を振舞われたり、さ。
って部分だけ取り出してみればやっぱり自由で純粋な心優しき放浪者とそんな彼に優しく接する紳士の温かい交流が描かれているんじゃない、と誤解を招きそうなところ。
全然違うから。
だってブルジョワは所詮ブルジョワなんだから浮浪者に親切にするのは高慢な偽善的ポーズでしかないし、浮浪者は所詮浮浪者で自由すぎて自由すぎて規律も礼儀もないんだから。
この映画は予測不能な展開に一瞬で無音の思考静止時間が作り出されたかと思えば、えー!って思わず笑ってしまう展開になったり、とにかく刺激的。
誰が下品で誰が上品か。人に対してどういう態度をとるのがいい人間なのか。いい人間、悪い人間ってなにか。どう生きれば人は幸せになるのか。人間的な生き方とはどんなものなのか。等々疑問を投げかけているというよりも、価値観が否定されながら放浪し続けている世界が粛然としてただある。
この映画、素晴らしいって言えばいいのかな。いや、やだな。
好きです、って言っておこう。

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