2004年1月24日土曜日

映画『秋日和』

1960年 監督:小津安二郎
at 近代国立美術館フィルムセンター


京橋の近代国立美術館フィルムセンターに行く。
16:00開場で16:30開映。
16:05分頃に着く。
そしたら凄い。人が列をうねうね作って1階ロビー部分が全部埋まっている。
一瞬帰ろうかと思うが、もう昔みたいに暇ではないので列の後ろに並ぶ。
開場前にホールに続く階段に人が並んでいるのを見たことはあるが、1階ロビーまで溢れているのは初めて見た。

当日券を買って、中に入り、席を確保してからロビーで先ほどampmで買ったワッフルを食う。
そんで、よし、2時間ぶりにたばこを吸うぜとうきうきして喫煙所に行くと、喫煙所がない。
健康法がどうのこうので禁煙になりましたから喫煙者の方には大変ご迷惑をおかけしますなんたらと張り紙があった。
もう我慢できないので外に出て、ampmの脇にある路地でこっそり一服する。ふ~~。




オープニング、スタッフやキャストが流れる。
ベージュの荒い布のようなバックに、白や赤の文字が浮かぶ。
基本の文字の色は白なのだが、苗字部分や、名前部分、または「撮影」などの仕事名がランダムに赤で表示される。
このモダンな雰囲気。
ちょっとした遊びのような感覚で赤が入っている気もするが、もし文字の色が白だけだったらと想像すると、なんて味気なくつまらないだろうと思う。
きっと文字が最初から白だけだったらそんなふうには思わなかっただろうが。
ところで、キャストの佐分利信の表示が「佐分利 信」になっていた。
これもちょっとした遊びや工夫かと思った。
なんせ僕は長年「サワケトシノブ」だと思っていたから「佐分 利信」が正解だと思っていたのね。
でもまったく自分が恥ずかしい。この人は「サブリシン」と読むらしい。
いい名前ですね。

物語は小料理屋から始まる。
男が3人。間宮(佐分利信)、平山(北竜二)、田口秀三(中村伸郎)の3人。
そして女性が2人。三輪秋子(原節子)とその娘アヤ子(司葉子)。
秋子の夫の7回忌に集まっているらしい。
女性2人が早々に帰った後、男3人が会話をする。
それがなんか下品なのだ。面白いけど。
男3人は仏さんの三輪の、大學時代の旧友らしい。そして3人とも秋子に思いを寄せていた。
しかし、なんかこのおっさん3人、やらしい。そして失礼。
大學出の裕福なエリートという印象が嫌悪感に拍車をかける。
と言いつつ会話の面白さに結構笑っていたのだが。

観客は若い奴も多かったが、それでも大半は年配の人だった。
僕はつつましく笑っていたが、この年配の人たちはガハガハ爆笑していた。
そして年配の笑い声と共に若い女性の大きな笑い声も聞こえる。
それで思ったのだけど、映画好きの若い女性って総じて変な奴だなって。
もしくは無駄にプライド高そう。
じゃあ映画好きの若い男はどうかって考えると、自分も含めて80%はただのアホだろうと思う。

ああ、この映画のストーリーなんだけど、秋子の娘が年相応の年齢なので、結婚相手を世話しようっておっさん3人が動き出すことで・・・まあいろいろ起こる。
ストーリーはとりあえずいいや。それより僕がこの映画を見たのは岡田茉莉子を見たかったからなんだな。
百合子役の岡田さん、なかなか出てこない。やっと出てきたと思ったらなんかあんまし出番がない。
岡田さんに関してだけ少々消化不良具合を感じて見ていたら、いやいや、さすが、最後のほうに素晴らしい見せ場がある。
百合子があのおっさん3人と対決するのだ。
痛快でキュートでさいこーに素晴らしい岡田茉莉子が見れて大満足。
ちなみにこの場面の時には、おっさん3人に少なからず愛着と愛おしさを感じたりなんかしちゃっていた。

愛すべき登場人物たちの喧嘩後の仲直りにはほっと和む。
和みの見せ方にも百合子とおっさん達の和み方と、秋子アヤ子の和み方の2種類あって、全くタイプが違うのだがどちらも素敵に和む。

原節子と司葉子の会話は相変わらず不思議な空気を醸し出していたな。
相変わらずって表現はおかしいか。
この作品で東宝の司葉子を小津が借りたので、その借りとして東宝で撮ったのが『小早川家の秋』らしい。

そういえば秋子の夫は佐分利信よりいかしてたってことだろう?どんなやつだったのだろう。

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