2004年8月31日火曜日

戦慄の「NHK歌謡コンサート」

今日歌謡コンサート録画し忘れた。
でもまあいいや。調べてみたら「もう一度みたい!熱唱・感動の名場面」と題されて過去に放送したやつ流していたみたいだから。

そんでHDDレコーダーに録画してある過去の歌番組を整理していたら、7/13(火)放送の歌謡コンサートをまだ見ていなかった事に気づいて見た。
僕は神野美伽さんが嫌い。あの表情の豊かさと振り付けがどうしてもトラウマになる。
この放送で彼女は持ち歌「春夏秋冬 屋形船」を歌っていた。この曲は最近田川寿美さんが歌っていたので気になって聴いてみた。
この人は本当上手い。声の切り方等絶妙なのですね。映像を見ないで声だけ聞いたらファンになりそうな。
寿美さんで聴いたときはあまり印象に残っていない「春夏秋冬 屋形船」だがこんな名曲だったとは思わなかった。
(ちなみに改めて寿美版も聞いてみたけどこちらはこちらで流れるような艶のある歌い方でとても素晴らしい)

最初浴衣姿の坂本冬美と藤あや子と神野美伽の三人がそれぞれ持ち歌を一曲ずつ歌って、そのあとこの三人がまた一人ずつ今度は民謡を歌った。
初めて知ったけど藤さんは民謡出身だったのだな。
まず藤さんが「秋田音頭」を歌う。うまい。一声発した瞬間から世界が一瞬で転換されたような衝撃があった。
会場の空気が一瞬の内に藤さんの歌声でがらっと明るくなったと言えばわかりやすいか。
藤さんの演歌は少々飽き気味だったため期待していなかったのに新たな魅力はっけ~ん!演歌の時と民謡の時で声の張りが全然違うよ。
次に冬美さんが「よさこい鳴子踊り」を歌う。
確か冬美さんは復帰後に民謡の大家のもとに通ってレッスンを受けているとかいう話をどこかで聞いた。
こちらも坂本冬美だけあって聞き応えのある民謡だった。
最後に神野さんが「ソーラン節」。大いに盛り上がる。
以下個人的見解で
演歌:藤あや子<神野美伽<=坂本冬美
民謡:神野美伽<坂本冬美<=藤あや子

今回は三人だけ出演なのかと思ったら、いやいや、出ました、僕のお気に入りの林あさ美さんと城之内早苗さんが。
二人とも浴衣姿だった。歌も堪能。

さて、神野さんも戦慄でしたが一番戦慄だったのが、岩崎宏美さん。
この人はもう周知の通りめちゃくちゃ凄い歌手なのだけど、今回歌った名曲「聖母たちのララバイ」は特に名歌唱だった。
母性なのかな、聞き手を自然に歌で包み込んでしまうその歌唱はもう通常の歌手のレベルをはるかに超えている。
戦慄です。

2004年8月30日月曜日

映画『泥の河』

1981年 監督:小栗康平
BS2 録画


舞台は昭和31年の大阪。川沿いで定食屋(うどん屋?)を営む夫婦がいる。彼らには小学3年生の子供が一人いる。
定食屋はちょっと蹴飛ばせばぶっ倒れそうな木造で、貧乏そうだが中級の部類に入る。
定食屋の一人息子の信雄はある雨の日に少年喜一と出会う。
この町にやってきたばかりの少年だった。
彼の家は宿舟で、父は亡くなり、姉と母の三人で暮らす。
母は宿舟で客をとり、生計を立てていた。

モノクロ作品。
ざらざらとした手で映像に撫ぜられているような印象がある。
静謐な演出なのに夏の暑さや人物の輪郭が迫ってくる。
って感覚的な事ばっかしか書けないけれど・・・

食堂の主人の田村高廣が凄い。ステテコ姿がなんでこんなにかっこいいのだろう。父から受け継がれた柔和な表情と人柄が醸し出す温かさとセリフの素。
この人は本当にもう、えーっと、凄いとしか表現が思い浮かばん。

子供達はとにかく楽しく一日一日を精一杯生きたい。でも彼らの生活は親に依存している。
その親は子に惜しみない愛情を注ぐとともに、社会と時代を生き抜かなければならない。
親子の関係は切っても切れない。
子は親を選べないし、生まれる時代も選べない。
だから子は子なりに愛する親に従い時代を生きる。
大人社会とは無縁でありながら決して無縁ではいられないという微妙な位置にいる子供達。
親も子も、それぞれの立場で時代を生きていた。
大人には大人の悲しみがあり、子供には子供の悲しみがある。
長く生きれば生きるだけ付いてくる過去のしがらみや思い出をずるずる引きずりながらもただこの時を生き抜くために、かつ他者への愛情を失くさずに生きなければならない大人達。
不意に否応なしに迫ってくる大人社会の事情を成長の過程で受け止めながらもただどうしようもない悲しみに襲われるしかない子供達。
まあ、つまりは切ない映画です。
暗くは無いです。むしろ温かい。

2004年8月29日日曜日

映画『稲妻草紙』

1951年 監督:稲垣浩
BS2 録画


作品中の恋慕の図式
木暮実千代(1918生)→阪東妻三郎(1901生)→田中絹代(1909生)→三国連太郎(1923生)

実年齢がばらばらのくせにたいして違和感が無い。
田中絹代なんか42歳くらいだったのか。三国の恋人役でも自然に見えるから凄い。

そういえばバンツマが喋っているのって初めて見たかもしれない。サイレントでしか見たこと無かったから。
しっかし驚いた。見事なまでの男っぷりで。
それは例えば石原軍団とか北島一家のような美学に基づいた男らしさでは無くて、バンツマという人間が自然に醸し出している男らしさなのだ。
繊細な柔らかさと熱い力強さが同居する。
時に少年のように純粋で時に全てを射抜くような視線を放つぎょろっとした目。
柔和な表情とおどけながらもきりっとした立ち居振る舞い、セリフ回しの妙と優しい声。
男だのぉ。

若造で生意気な三国なぞお強いバンツマさんがぶっ倒してくれるかと思いきや、三国も結構いい奴で、しかもバンツマより三国の方が強いという設定みたいで、なんか不満。

ラストの立ち回りはスピード感よりじりじりと詰め寄るどちらかといえば地味な立ち回りだった。
バンツマも圧倒的強さでばったばったと斬り倒すことも無く、例えどれほど強かろうが三人以上と戦えば無傷でいられるわけが無いという現実に近い戦い。
いや、むしろバンツマはそんなに強い侍という役ではなかったのかなぁ。

ちなみにタイトルは監督の名前とバンツマの名前を合わせて作ったってどこかで読んだ。
あと若い頃の進藤英太郎はやせていた。

映画『春香伝』

2000年 監督:イム・グォンテク
BS2 録画


春香伝

韓国では誰でも知っているという古典「春香伝」の映画化。
匂い立つ韓国の自然の鮮やかな色合いとむせび泣くパンソリの歌声が合わされば心がとろけていく。

物語は国唱人間文化財のチョ・サンヒョンのパンソリに乗せて描かれる。
「春香伝」のパンソリを映像化したような作品。
パンソリの歌声を映像が邪魔するでもなく、映像をパンソリが邪魔するでもなく、非常に見事に両立している夢幻に麗しくエロティックな作品。
ラストの痛快さなど誰もが喝采を浴びせるでしょう。
ラブストーリーです。古典の名作だけあってつぼは押さえられ、退屈する事はない。
しっかし相当金かけてるんだろうなぁ。

ちなみに主役の夢龍(モンニョン)を演じたむっつりすけべ顔だけど気品高い顔したチョ・スンウは『ラブストーリー』でジュナを演じた人です。

ちなみにイム・グォンテク監督は『風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)』の監督さんです。
『風の丘を越えて』はパンソリを扱った作品で、芸と家族に対する壮絶な覚悟が悲劇でありながら、不思議なまでに清楚な光に満ちた傑作です。

2004年8月28日土曜日

映画『シンドバッド虎の目大冒険』

1977年 監督:サム・ワナメイカー 特撮:レイ・ハリーハウゼン
BS2 録画


シンドバッド虎の目大冒険

黒魔術使いだかただの間抜けなママハハだか分からないおばさんによってヒヒにされてしまったカシム王子。
王子の妹からそのことを聞いたシンドバッドは友のため、恋人のため、立ち上がった!
でもシンドバッドにはどうすることもできず、伝説の使えない賢者を探しに旅立つ。って話。

登場人物にしろ怪物にしろ間抜けすぎて、間抜けすぎる分一角の巨大原始人が哀れ過ぎる。
今まで見てきた怪物は現れてはただ倒されていく存在だったため、一際愛らしかった巨大原始人の悲哀が胸を打つ。
こんな自己中心的な人間とかいう種族に関わったがために・・・

ちなみに巨大なサーベルタイガーみたいな怪物はカーリ像に匹敵するくらい強い。
普通のサーベルタイガーですら薄っぺらなサーベル一つで戦えるとは思えないのに、このサーベルタイガーは巨大な上筋肉むきむきなのよ。
予想通り軽く引っかかれて血だらけになるシンドバッド達。勝てねーよ、絶対。
でもそこは作品に通低している間抜けさが解決してくれるのだな。

シンドバッドや乗り組み員はビージーズのギブ3兄弟かと思った。
でも後で調べるとシンドバッドはジョン・ウェインの息子だったみたい。顔が既に思い出せん。



さて、今更だけどレイ・ハリーハウゼンについて。
彼が作る怪物は着ぐるみじゃありません。ましてやコンピューターグラフィックスでもありません。
見事なセンスで造形された人形です。
合成は、俳優達の演技をフロント・プロジェクションだかリアプロジェクションで投影しながら人形の動きをコマ撮りしているようです。
骸骨騎士と人間が剣で戦うなんていうシーンも撮影できます。
この、実写とストップモーションを合成する技法をハリーハウゼンは「ダイナメーション」と名づけました。

一コマずつ撮るということは動きに残像もできず、かくかくした不自然な動きになります。
だけどこのかくかく感がなんとも不気味でかっこいいのだな。
CGのように手触りのない怪物でもなく、着ぐるみのように中の人間を感じさせることもない。全く別の生物が確かに存在している。
熱狂的なファンがいるっていうのも納得できます。

シンドバッドシリーズ3作の中では「七回目の航海」が面白いかな。どきどきさせてくれたし。
でも「黄金の航海」のカーリ像も必見だし、「虎の目大冒険」の笑いと悲しみとセミヌードも必見か。

映画『シンドバッド黄金の航海』

1973年 監督:ゴードン・ヘスラー 特撮:レイ・ハリーハウゼン
BS2 録画


シンドバッド黄金の航海

酒飲みのぼんくらな若者が立派な船乗りへとなっていく話です。
凄いのは女神カーリ像で、その6本腕にサーベル握って襲ってくるのです。しかもでかいし。
こりゃ倒せませんよね。カーリ像の攻撃を剣で受け止めた瞬間に残り5本のどれでもいいから振り下ろされれば謝る暇も無く即死です。
ましてやがに股で襲ってくるカーリ像をどうして倒せることでしょう。

他にもケンタウロス対グリフォンの対決も見れます。

ストーリーはよくわかりません。
女の手のひらにあった一つ目の刺青はいったい何だったんでしょう。
ケンタウロスとグリフォンはなぜ仲がわるいのでしょう。
とりあえず昨日1時間ばかしうとうとしながら見ていて、気づいたら朝になっていたため、今日続きを見ました。

2004年8月25日水曜日

映画『シンバッド七回目の航海』

1958年 監督:ネイザン・ジュラン 特撮:レイ・ハリーハウゼン
BS2 録画


シンドバッド7回目の航海

今回は始まって10分程度でいきなり巨大なサイクロプスが登場。
地味な巨大蟹も味わいあるけどやっぱし怪物がかっこいいよなぁ。
この映画に現れる怪物達は人間のために散々な目にあってかわいそう。
怪物だからって理由で殺されていったどこか愛らしい彼らに黙祷。

2004年8月24日火曜日

映画『SF巨大生物の島』

1961年 監督:サイ・エンドフィールド 特撮:レイ・ハリーハウゼン
BS2 録画


巨大生物の島 TREASURED COLLECTION

巨大生物の島にいきなり上陸して大迫力の巨大生物と戦闘戦闘また戦闘、などと筋も脈略もない展開はもちろんしない。
巨大生物に出会うのはまだまだ先の話。
南北戦争の時代、南軍に捉えられた北軍三人が偵察用の気球に乗って脱出を図る。
たまたま居合わせた新聞記者と、南軍の軍曹一人を道連れに。
嵐の中着陸も出来ず気球は何日も何日も遠くとおーく飛ばされる。
気づいたら気球は太平洋上に。落ちれば死。
危機を乗り越えながら飛んできたが、ついに気球に穴が開き墜落の危機。
島が見えるぞー!
しかし島まで持ちそうにない。下は荒波。
荷物を捨てろー!かごを切り落とすぞ!皆上に上れー!
南軍の軍曹や記者でも突き落とせばいいものを・・・

ついに島に上陸しました。
第一の遭遇は巨大なカキです。食います。
彼らは島を探検します。
この時ミニチュアのセットか絵か分からないけど島の風景が人間と合成されていて非常に面白いのね。異常に幻想的で。
彼らは間欠泉を見つけます。
ここで!なんと巨大蟹が突如出現!!きたー!
作品が始まって30分くらい経っていたか。引っぱってくれます。
蟹のストップモーションは楽しめます。
硬い甲羅に覆われた蟹に槍は効かず、彼らは蟹をひっくり返します。蟹は起き上がれずに足をばたばたさせます。
ついでに彼らは蟹を間欠泉にぶち込んでとどめを刺します。
あら、茹で蟹ができちゃったわ。喰います。

しっかし島に着いたときから思っていたけど、出演者が野郎五人だけってことはないだろう。女性は?
とそこは娯楽映画です、むっちりした女性も出てきます。
無人島でしかも明らかに異様な島で男共の野生の本性が目覚めます、ってことにはならずに飽くまで五人とも紳士的なままなのが凄いところ。

冒険SF映画の王道として楽しめる。
「SF巨大生物の島」という邦題だけど原作はジュール・ベルヌの「神秘の島」だそうです。
映画の原題も「Mysterious Island」。
巨大生物しかいない島、ってわけじゃなくて、普通サイズの鳥やヤギも出てきます。
巨大な生物と普通の生物の両方いるっていう謎は後半で明かされます。
明かされた後になんだか冒険のどきどきが急激に覚めていきました。

それにしても海底を歩行できる器具?を背負っている姿はどうしても笑ってしまう。
海底で使用した電気銃にはびりっと衝撃が走る。

2004年8月21日土曜日

自転車パンク(続き)

朝、6時半ころに漫画喫茶を出て自転車ショップに行く。
自転車が無くて愕然とする。
店内に入れやがったな~!
蒲田から家まで、初めて歩いて帰った。
遠いと思っていたけど20分程度で帰宅。

漫画喫茶

蒲田に戻ってきて、夕飯食べた後に漫画喫茶に行く。
『AKIRA』を読んだ。
なんか映画と全然違うんだねぇ。アキラ君が無表情なのは人格が吹っ飛んでいるからだったのか。

冬目景の『イエスタデイをうたって』4巻が出ていたので読む。でもストーリーを結構忘れていたため3巻から読む。
3巻、4巻と読んでそういえば主人公二人はどうやって出会ったんだっけ?と思って1巻を読む。

映画『カルメン』

2003年 監督:ヴィセンテ・アランダ
at ギンレイホール


carmen. カルメン【完全無修正(R-18)エディション】

カルメンに熱烈な愛情を向け続けるホセは、彼女を独占したいのに手からこぼれ落ちるように他の男性と関係を持つカルメンに、気が狂わんばかりに苦悩する。

厳粛な教会の冷たい床の上でカルメンがすっぽんぽんになっているシーンは良かったな。

映画『女王フアナ』

2001年 監督:ヴィセンテ・アランダ
at ギンレイホール


女王フアナ

15世紀のスペインが舞台。主人公はファナティックの語源にもなった女王フアナ。
ヨーロッパの歴史劇ってどうも苦手で、始めの方寝てしまった。

スペイン史には詳しくないのだけど、映画は政治関係の話はそれほど描かれず、それよりもフアナと夫フェリペの愛憎劇が描かれる。
夫フェリペは始めのうちは情熱的にフアナを愛していたけど、浮気性の貴公子フェリペは一人の女性じゃ満足できない。ってことで浮気を繰り返す。
フェリペに熱烈な愛情を向け続けるフアナは、彼を独占したいのに手からこぼれ落ちるように他の女性と関係を持つ夫に、気が狂わんばかりに苦悩する。
・・・そんな話。

キュピキュピ グランド歌謡ショー キャバロティカ

アマギッテルカ~イ?
一人分のチケットを貰ったので見に行く。
キュピキュピとは
完ッ璧に突き抜けたセンスで全ての方向から降りそそぐ映像のシャワー、どちらかといえばベタな関西系ギャグ、踊り狂うパノラノイア・ダンサーズと宇宙の皇帝、そして歌姫分島麻実に見つめられれば、エキセントリックな衣装とうらはらに昭和歌謡がココロをわしづかみ!これでもか、のサービス精神にあふれた、どこにも無いステージ。キュピキュピ グランド歌謡ショー キャバロティカがいよいよ東京初上陸!

キュートなエロス満載!とのこと。

開場におそるそる入ったらまず喫煙所を探した。
右手奥に見つけたのでとことこ歩いて向かうとロン毛の怪しい髭生やした図体のでかいおっさんが「お客様こちらどうぞ」と言ってカウンターに案内される。
言われるがままに意思なくカウンターに行くとドリンクバーで、ドリンクメニューがいくつかある。
1ドリンクサービス?缶ビールを頼む。出てきた缶ビールを一瞬見つめ、サイフに手を伸ばし千円札を出す。500円お釣が来る。げげ、サービスじゃねーのか。

開演。
小劇場といった感じの劇場内の両側の壁に、長細いスクリーンがあって、大音量の音楽とともに映像が映し出されている。
超ミニのナース姿の女性が股間を押さえてもだえていたり、胸を露にした女性が透明のアクリル板みたいなものに胸を押し付けていたり。

最初スクリーンの映像ばっかり見せられて実際の人を渇望しだした頃に分島麻実という女性が登場する。
最後まで映像だけ見せられるのかと思った。だって正面のステージにもでかい壁のようなスクリーンが設置されているんだもん。
その正面スクリーンの真ん中下あたりは縦2メートル横6メートル程度に特別な板になっていて、時にスクリーンの一部として映像を映し、時に透明になり奥にダンサーがいて、時に透明の板が縦になって出演者が出てきたりする。

コスプレ姿の分島麻実が歌いだす。「セコハン娘」をバイオリン、ウッドベース、アコーディオンの演奏に乗せて。
分島麻実という人は水前寺清子の声をもう少しエロティックに、もう少しがらがらにしたような渋い声をしている。
上手いか上手くないかといえばあまり上手くはないけれど、魅惑的な声とパワーでぐいぐい圧倒させてくれる。
歌だけじゃなくてバックでダンサーが踊っていたり正面と両脇にせわしなく映写される映像と生演奏とステージ客席に降り注ぐレーザー光、等が興奮のステージを作り出す。

グランド歌謡ショーという名の通り歌を中心にした歌謡ショーでした。
演歌歌謡曲好きの僕としては結構楽しめた。
そんなに知ってる曲は少なかった(オリジナルも入ってるのかな?)けど、有名どころではお祭りマンボや天城越えとか歌ってくれた。
仕事の都合で行けるか微妙だったために保留にしてある田川寿美のコンサートのチケットを買う決心が付いた。

ところで「キュートなエロス満載」ってところだけど、ダンサーが四人いて、その中のパノラノイア・ダンサーズっていう二人組みについつい目が行く。
というかショーの後半はこのパノラノイア・ダンサーズばっか見ていた気がする。
赤地にゼブラ模様の入った全身タイツ姿の女性二人。顔は深いサンバイザーで隠されている。
この二人が抜群のスタイルしているのです。いや、抜群のスタイルをしているように見えたしエロかった。
あと、正面スクリーンにある透明な板の向こう側でたまにちらっとしか出演しなかったけど、胸丸出しの女性が踊っていたりしました。
ん、なんか奥で誰か踊っているかなと目を凝らしてみると、形のいい胸が見えたからびっくりした。キュートだな。
この胸出していた人は演出者の希望でやらされたのかなぁ。
ステージの見やすいところに出しちゃったら違ったショーになっちゃうから、見えづらいところにさりげなく出演させているのだけど・・・やっぱり見えづらい分ステージ上の歌手やダンサーそっちのけで見ちゃうよなぁ。


公演が終わってから、表参道から青山までふらふら散歩して、そこから地下鉄で飯田橋へ。

自転車パンク

最近入れてなかったから空気が抜けただけかと思っていたけどパンクだった。
がこがこいわせて蒲田まで乗っていく。
蒲田のリサイクル自転車ショップに持っていくと、若い兄ちゃんが忙しいらしく1時間くらいかかると言う。
今午後12時10分で2時前には表参道にいなきゃいけない用があったため少し考える。
「明日取りに来ていいですか?」と聞くと「うち、あずかりはしてないんですよ」と返る。「・・・1時までには出来ますか?」と聞くと「あ、はい。出来ます」と笑顔で言われる。
お願いしてBookOffで時間を潰す。

もしかしたらもう出来てるかなと思って12時50分頃に戻ってみる。
そしたらまだ取り掛かってもいなくて、1時10分までには出来るとか言い出す。
まじ?どうしよう。
う~ん「じゃあ、明日また来ます」
店の外に置いてある自転車を見つめながら、移動させるのが面倒だなと思って「自転車ここに置いておいていいですか?」と聞く。
「あ、いいですよ」と言うので鍵を抜いて駅に向かう。

歩き出してすぐに、あ、まさか店閉めるときに店内に入れられちゃったりしないよなぁ。預かりはしてないとか言っていたし。

2004年8月19日木曜日

映画『美術館の隣の動物園』

1998年 監督:イ・ジョンヒャン
BS2 録画


美術館の隣の動物園

題名が結構惹かれる。
ラブストーリーながらもまあまあ面白い。
役者さんの演技が良いし、映画の表題もストーリー上、上手い事になっているし。
でも2回は見る気にはなれないけれど。

主人公二人はどちらもめちゃくちゃ美形ってわけでもないんだな。普通な感じ。
と、思っていたけど女性の方のシム・ウナさんは「八月のクリスマス」の主演女優の人だ。
えーっ、同じ98年製作なのに全然印象が違うなぁ。「八月の~」の方がやせてた気がするけど・・・だぼだぼの服着てるせいかな。
もっとびっくりしたのは男性の方のイ・ソンジェさんは「アタック・ザ・ガス・ステーション!」って映画の主演男優だった。
「アタック~」の方では坊主頭で鋭い眼光がかっこよかったな。全然気づかなかった。
二人のこの雰囲気の変わりようってそれだけ演技の幅を持っているってことか。
シム・ウナさんはほぼノーメークで髪もぼさぼさの恋に臆病な女性を素かと思うくらい素敵に演じているし、イ・ソンジェさんは言いたい事はっきり言って偉そうな男だが結構心優しい奴って役をなんの違和感もなく自然に演じていた。
・・・でもこの作品をまた見ようとは思わないのであった。

あっ、シム・ウナさんがバスを追ってばたばた走る姿の野暮ったさは素晴らしかった。素?

2004年8月16日月曜日

映画『さよなら子供たち』

1987年 監督:ルイ・マル
BS2


さよなら子供たち

夕飯作りながら見始めたのだけど、茹でていたパスタがふにょふにょになるくらい面白かった。

1944年、ナチス占領下のフランス。カトリック系の寄宿学校にて生活を営む少年カンタン。
本好きの彼は他の生徒達とはどこか違った雰囲気を持つ。
ある日寄宿学校にジャン・ボネという名の転入生がやってくる。
彼も本好きで、父が会計士ということもあり数学も得意。ピアノまで弾ける。
だがボネは謎めいた憂いを秘めた少年だった。
甘えん坊で気取りやのカンタンとどちらかというと暗い感じのボネは、お互いに興味を持ち始める。

ルイ・マル監督の自伝的お話らしい。
実体験に基づくなら思い入れも強いだろうが、作品は殊更に美化される事も無く落ち着き安定した映像を見せてくれる。
そのくせ監督の想いがひしひしと痛いくらいに伝わってくるのだから凄い。
映画見てストーリー上泣きそうになっても、こんなんで泣いてたまるか、と思うこともあるが、この作品は素直に泣ける。

2004年8月15日日曜日

映画『ショコラ』

2000年 監督:ラッセ・ハルストレム
BS2 録画


ショコラ【廉価2500円版】

フランスの田舎町。で、なんで英語?
チョコレートで人の抑えられていた欲望を喚起させる魔女のような流れ者の子持ち女性にジュリエット・ビノシュ。

まあまあ面白かったな。飽きずには見れたし。
でもこの監督は映画というより良質のドラマを作る人だな。演出にうんざりする程のあざとさはないものの、ほんわかさらっと流れて行ってしまうような。
ジュリエット・ビノシュがどろどろで艶のあるチョコレートをかき混ぜてるのはなんだかエロい。

花火と火事

ドン、ドンドン、って何事だ!って思ったらそういえば今日多摩川で花火の日だ。
毎年終戦記念日にやってんだよね。
うっさいからサンダルつっかけ歩いて見に行く。

惜しみなく開いては消えていく。
特大の花火は沈黙の夜空にひゅるひゅる点滅しながら他のどの花火より高く昇っていく。
誰もがこれはでかいぞと息を呑む。
光球が失速し始めると期待は頂点に達す。
ひらいた!でかっ!
あっというまに消える光の遷移を感傷的に想いながら体は無意識に数秒遅れの爆音に備える。
ドゴン!
この体を震わす爆音がたまんない。

ほんの少し飽きてきた頃、隣に立っていた知らない若夫婦の男の方がなにやらきょろきょろしている。
なんだうざいなぁと思っていると、男が花火とは全然違う方を見上げながら「あ、火事」と言う。
えっと思って男が見上げている土手沿いの高層マンションを見ようと首を振ったら消防車の赤い光が目に入りサイレンの音が聞こえる。
土手に所狭しとひしめいている群衆が騒ぎ出す。
高層マンション最上階の角部屋が、コントの火事みたく赤く点滅している。
花火の爆音が響く。群衆は「ほら、花火見なきゃ!」「でも、火事・・・」とざわめき立っている。
なんかこのシチュエーションがかなり面白かったな。前方に花火で後方で火事。中間にいて騒ぐ人間。

花火終わって人の波につられて歩いていると、何台も消防車や救急車が見えた。
結局、火事はどうなったんだろう。

2004年8月11日水曜日

映画『雄呂血』

1925年 監督:二川文太郎
BS2 録画


Talking Silents3「雄呂血」「逆流」

自分はただ正義という信念に基づいて動いているだけなのに・・・
人々の安直で卑怯な心がいつしか久利富(阪東妻三郎)にならずものというレッテルを貼る。
なにをやってもひたすら誤解されるだけの久利富の苦悩は深い。誰も自分のことを分かってくれない。
純情すぎる久利富は心底惚れ抜いた女性にすら誤解を受け、彼の信念は無情の世間にむき出しにさらされ削られていく。

阪妻の初期の作品。当時24歳。
日本映画史で言えばこれまでは一人斬っては見得を切るという立ち回りだったが、この作品からばったばったと大人数と乱闘するチャンバラ劇が始まったらしい。
してその大立ち回りは荒々しい力に溢れてスピード感と迫力ともに魅了される。押しては引いてのリズムの心地よいこと。

2004年8月10日火曜日

映画『AKIRA』

1988年 監督:大友克洋
BS2 録画


AKIRA DVD SPECIAL EDITION

未だに見たこと無くて。初めて見た。
めちゃ面白いじゃん。今度原作読もっと。
暴走族の少年達は友情に熱い。
劣等感から発したけんかが多くの無関係の命を巻き込んで、けんかしたことで友達の大切さを知ってハッピーエンド、・・・なんてこともなく。

2004年8月9日月曜日

映画『マグノリアの花たち』

1989年 監督:ハーバート・ロス
BS2 録画


マグノリアの花たち コレクターズ・エディション

どうも見始めてから長い間気分が乗らず、早送りか停止かと迷っているうちに結局最後まで見た。
アメリカ南部の田舎町に美容学校をトップで卒業したアネル(ダリル・ハンナ)がやってくる。
丁度その頃、町ではシェルビーの結婚式の準備が着々と進んでいた。
シェルビーを演じたのはジュリア・ロバーツ。
そしてその母親役がサリー・フィールド。始めこの二人は姉妹役かと思ったよ。実年齢の差が21歳か・・・
他にも口が悪くてきつい性格だが実は心優しいばあさん、って役を演じたのがシャーリー・マクレーン。
前村長夫人で澄ました気品を持つばあさんがオリンピア・デュカキスで、ダリル・ハンナが就職する美容院の女主人にドリー・パートン。

予備知識を全くなしで見たから最初どういう映画か分からなかった。
美容院にてジュリア・ロバーツ、サリー・フィールド、オリンピア・デュカキス、ドリー・パートンの4人(あまり喋らないがダリル・ハンナも加えれば5人)が結婚話に花を咲かせているところなんて本当停止しようかと思った。
このシーンまでに面白いところがほとんど見当たんなかったんだもん。
まさかこのまま町の住人の世間話を延々と聞かされジュリア・ロバーツが無事結婚して終わり、なんて訳はないだろう。
なんかしらドラマが展開するはず。
というか、ここまで結構ユーモアシーンがいくつかあったのでもしかしたらコメディドラマなのだろうか。
いや、そうだとしたら描かれたユーモアが少しも面白くなかった僕としてはここでさっさと停止するべきなんじゃなかい?とかいろいろ考えた。
まあ、実際はこれ、ユーモアも入った泣いて笑える感動ドラマだった。
泣いて、って泣きはしなかったけどラストの方のサリー・フィールドには結構危ういところまで持っていかされた。

最後まで見た感想なんだけど、ちょっと全体的に胡散臭い気がした。
完全にシリアスにしないでユーモアも交えて、っていう作品だがそのユーモアが胡散臭いからかな。
それとも死と生の循環や人々の温かさをこれみよがしに表現してるところかな。

シャーリー・マクレーンが鳥の糞をその魅惑的な顔面でキャッチしているのは「まじ?」と思いつつ面白かった。
サリー・フィールドは時におばさん顔、時に20代の小柄でかわいい女性、時に20代の地味で冴えないおばさんくさい女性等々、様々な表情を見せてくれたし演技も良かった。
他、役者陣は皆良かったな。非常に豪華だし。

2004年8月8日日曜日

映画『メイキング・オブ・ドッグヴィル ~告白~』

2003年 監督:サミ・マーティン・サイフ
at ギンレイホール


ドッグヴィルの告白

意外と和気藹々と撮影してんなと思ったら・・・
出演者と気さくに談話した後にラース・フォン・トリアーが憔悴しきった顔をしているのが面白い。

映画『ドッグヴィル』

2003年 監督:ラース・フォン・トリアー
at ギンレイホール


ドッグヴィル スタンダード・エディション

偽善偽善傲慢傲慢。
結局は自分の身を守る事が一番大事でそのためには恐ろしく残酷で醜くなるか弱き人間。
独善的な人たちによって被った深い傷に対してどういう行動に出るか?寛容か?倍返しか?
人の醜い部分が簡素なセットの中、むき出しで見せられて結構気分悪くなるんだけど、醜い部分の演出がどこか滑稽感を伴って描かれるのね。
茶化しているようでもあり、辛辣に批判しているようでもあり。

ところでこの映画、177分もある。
ロッキー山脈の麓に孤立した「ドッグヴィル」という架空の村で起こった出来事を描いているののだけど、撮影場所はスウェーデンにある巨大スタジオなのね。
セットは簡素で、っていうか白線引いて「楡通り」とか「トムの家」とか示しているだけで、家の壁もないし樹もない。
これで177分。
でもそんなに退屈はしなかったな。疲れたけど。
実際にロッキー山脈でロケが行われていたら大分映画の印象が変わると思う。もっと恐ろしく醜悪に。

主演のニコール・キッドマンは着実と大女優の道を歩いている。
この作品での彼女の演技は僕が今まで見た中では一番よかったな。

2004年8月7日土曜日

映画『インテリア』

1978年 監督:ウディ・アレン
BS2 録画


インテリア

始まって1分くらい、登場人物が映っているのに彼女らは一言も言葉を発さないのね。
ちょっとびっくり。

初老の女性イブは元インテリアデザイナー、だったのかな。
彼女には三人の娘がいる。
ある日彼女は夫から別居を申し込まれる。
神経質で完璧主義なイブは「完璧で秩序ある」家庭を築いたが、そこはとても息苦しい空間だった。
見事に統一された室内インテリアは人の感情が入り込む隙間の無い氷の宮殿だった。
別居を申し渡されたショックからイブは一人家を出て行く。
一人暮らしのイブの世話を献身的にしたのは二女のジョーイ。
長女のレナータによると彼女は感受性が強く聡明で繊細な子だったらしい。
三姉妹の中で一番父親に愛されていたのはジョーイだった。(レナータはそんなジョーイに嫉妬する)
ジョーイは神経質な上平気で人を傷つける母を疎ましく思っていた。
母もジョーイの恋人が気に食わないのかなんなのかいつも澄ました態度でジョーイをさげすんでいた。(強い悪気があってのさげすみではないのだろうが)
なのに、今では一人寂しく不安定に暮らす母を誰よりも心配に思っている。
母への愛情と憎しみと罪悪感が複雑にからんだ感情で。
(・・・って細かく書いていたら書ききれないなとふと思った。以下簡単に)
ジョーイは子供の頃は優秀だったのかもしれないが今は自分の感情を表現する手立ても見つけられず、才能を埋もれさせてしまっているが、ジョーイの才能を羨んでいた長女のレナータの方は今じゃ立派な詩人になっているのね。
そしてレナータの夫は売れない作家。ここに夫婦間の歪みができる。
三女のフリンは売れないテレビ女優で、なんだか犯されそうになっちゃたり・・・

笑いやユーモアがこの映画には姿を表さない。
ひたすら家族や恋人、姉妹の間で渦巻く複雑な感情が表出する。
重いといえば重い。
2,3回見るとはまりそうな映画。
『アニーホール』の次の年に作製されてんだな、これ。

母イブを演じたジェラルディン・ペイジが凄い。
可憐で今にも消え入りそうなか細い声。
ラスト近くでジョーイの感情をただただ受け止めていた時の彼女の驚愕の目。
なんて魅力的な女優さんなんだろう。