2004年8月7日土曜日

映画『インテリア』

1978年 監督:ウディ・アレン
BS2 録画


インテリア

始まって1分くらい、登場人物が映っているのに彼女らは一言も言葉を発さないのね。
ちょっとびっくり。

初老の女性イブは元インテリアデザイナー、だったのかな。
彼女には三人の娘がいる。
ある日彼女は夫から別居を申し込まれる。
神経質で完璧主義なイブは「完璧で秩序ある」家庭を築いたが、そこはとても息苦しい空間だった。
見事に統一された室内インテリアは人の感情が入り込む隙間の無い氷の宮殿だった。
別居を申し渡されたショックからイブは一人家を出て行く。
一人暮らしのイブの世話を献身的にしたのは二女のジョーイ。
長女のレナータによると彼女は感受性が強く聡明で繊細な子だったらしい。
三姉妹の中で一番父親に愛されていたのはジョーイだった。(レナータはそんなジョーイに嫉妬する)
ジョーイは神経質な上平気で人を傷つける母を疎ましく思っていた。
母もジョーイの恋人が気に食わないのかなんなのかいつも澄ました態度でジョーイをさげすんでいた。(強い悪気があってのさげすみではないのだろうが)
なのに、今では一人寂しく不安定に暮らす母を誰よりも心配に思っている。
母への愛情と憎しみと罪悪感が複雑にからんだ感情で。
(・・・って細かく書いていたら書ききれないなとふと思った。以下簡単に)
ジョーイは子供の頃は優秀だったのかもしれないが今は自分の感情を表現する手立ても見つけられず、才能を埋もれさせてしまっているが、ジョーイの才能を羨んでいた長女のレナータの方は今じゃ立派な詩人になっているのね。
そしてレナータの夫は売れない作家。ここに夫婦間の歪みができる。
三女のフリンは売れないテレビ女優で、なんだか犯されそうになっちゃたり・・・

笑いやユーモアがこの映画には姿を表さない。
ひたすら家族や恋人、姉妹の間で渦巻く複雑な感情が表出する。
重いといえば重い。
2,3回見るとはまりそうな映画。
『アニーホール』の次の年に作製されてんだな、これ。

母イブを演じたジェラルディン・ペイジが凄い。
可憐で今にも消え入りそうなか細い声。
ラスト近くでジョーイの感情をただただ受け止めていた時の彼女の驚愕の目。
なんて魅力的な女優さんなんだろう。

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