BS2 録画
舞台は昭和31年の大阪。川沿いで定食屋(うどん屋?)を営む夫婦がいる。彼らには小学3年生の子供が一人いる。
定食屋はちょっと蹴飛ばせばぶっ倒れそうな木造で、貧乏そうだが中級の部類に入る。
定食屋の一人息子の信雄はある雨の日に少年喜一と出会う。
この町にやってきたばかりの少年だった。
彼の家は宿舟で、父は亡くなり、姉と母の三人で暮らす。
母は宿舟で客をとり、生計を立てていた。
モノクロ作品。
ざらざらとした手で映像に撫ぜられているような印象がある。
静謐な演出なのに夏の暑さや人物の輪郭が迫ってくる。
って感覚的な事ばっかしか書けないけれど・・・
食堂の主人の田村高廣が凄い。ステテコ姿がなんでこんなにかっこいいのだろう。父から受け継がれた柔和な表情と人柄が醸し出す温かさとセリフの素。
この人は本当にもう、えーっと、凄いとしか表現が思い浮かばん。
子供達はとにかく楽しく一日一日を精一杯生きたい。でも彼らの生活は親に依存している。
その親は子に惜しみない愛情を注ぐとともに、社会と時代を生き抜かなければならない。
親子の関係は切っても切れない。
子は親を選べないし、生まれる時代も選べない。
だから子は子なりに愛する親に従い時代を生きる。
大人社会とは無縁でありながら決して無縁ではいられないという微妙な位置にいる子供達。
親も子も、それぞれの立場で時代を生きていた。
大人には大人の悲しみがあり、子供には子供の悲しみがある。
長く生きれば生きるだけ付いてくる過去のしがらみや思い出をずるずる引きずりながらもただこの時を生き抜くために、かつ他者への愛情を失くさずに生きなければならない大人達。
不意に否応なしに迫ってくる大人社会の事情を成長の過程で受け止めながらもただどうしようもない悲しみに襲われるしかない子供達。
まあ、つまりは切ない映画です。
暗くは無いです。むしろ温かい。
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