2004年11月3日水曜日

映画『ロスト・イン・トランスレーション』

2003年 監督:ソフィア・コッポラ
at ギンレイホール


ロスト・イン・トランスレーションロスト・イン・トランスレーション

夫のカメラマンが東京で仕事があるために一緒についてきたシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)と、ハリウッド俳優でサントリーのCM撮影のために東京に来たボブ(ビル・マーレイ)。
いつも見慣れた東京の街並みが異様に冷たい。
日本に外国人がいることなんて今じゃさして珍しい事でもないのに、シャーロットとボブが東京の街並みにいると不思議なくらい異邦人を感じる。
役者が、とういうのではなくて東京や日本人の撮りかたがそうなのだろう。
風土に馴染めない。いてはいけない土地にいるような東京の圧迫感は彼らに強い孤独を与える。
ボブが一刻も早くアメリカに戻りたがるのも納得いく。
シャーロットやボブが国際電話をかけると、向こうの家や街並みを思い浮かべて違和感が取り除かれて安心する。(ストーリー上では彼らは電話しても少しも安心感を得られないのだが)
そんな孤独な二人がお互いの距離を縮めていくのも自然な流れで、となると無口で渋いおっさんを演じていたマーレイが次第に本来の性格を現していき、おちゃめなおっさんぶりが痛くなってもくる。
東京から拒絶され、自らも拒絶していた二人が積極的に街に繰り出すようになる。
お互いの孤独を薄めていく二人だが、結局最後まで東京の風土に溶け込む事はない。
日本人の友人と渋谷で遊ぼうが寿司屋に行こうが、シャーロットやボブ二人だけがこの世に存在している感じで、東京は拒絶されたまま。
異国の異邦人ぶりはそれだけ東京や日本人を痛々しくも浮き上がらせてきて面白い。

「だからぼくーはかーぜーをーあつーめてー」ってな。


そうか、今回のギンレイのプログラムはフェリーニの『甘い生活』つながりか。

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