BS2 録画


ゴジラが出てくるまでウルトラマンを見てるのかと思った。
夕日をバックに「ピヤ~~ンピヤ~~ンパオ~リロリロリロリロリロ」というどことなく哀愁を湛えたミュージックでゴジラが出現っていうのは1作目に勝るとも劣らないかっこよさ。
今回戦うのはヘドロから生まれたヘドラ。たぶん史上最強の怪物だと思われる。
空を飛行すれば硫酸を霧状に撒き散らし、あらゆる公害の集合体である体に打撃はほとんど通用せず、突然放出するヘドロ弾を受けたら皮膚は溶け出し、目から発射されるヘドリューム光線は恐ろしい破壊力。
ヘドラのあまりの強さは、硫酸ミストを浴びて倒れた女性のスカートが思いのほかめくれて誰の目を気にしたのか即死か気を失っているはずの女性がパンツまで見えてないかと気にして手で触って確認するという生死を超越した根性まで呼び起こす。
そしてヘドラとラヴ&ピースフラワームーブメントに脳をやられた柴俊夫(この時は本名柴本俊夫)は富士の裾野で大ゴーゴー大会を開催。そしてヘドラに襲われて即死。なーむー。
人間だけでなくゴジラにも異変が起こり、かなり"いかす"格好で空を飛行。
ヘドラ~、なんて凄いやつなんだ。
ヘドラは太陽を嫌うため、戦いは夜に繰り広げられる。(全編アングラだから当然か)
富士の近く、余計なミニチュアが無い上にうっすら暗い地形にゴジラとゴジラより巨大で不気味なヘドラが対峙するのはぞくぞくする。
静から動へ、戦いの合間合間に取られる微妙な間が怖い。特に不気味なヘドラが次に何をやってくるかという怖さ。
この最悪のヘドラにゴジラは敢然と立ち向かうのであった。
ゴジラは口を触った後手招きするように右手を突き出すというくせのようなポーズを持っているみたいで、人間臭い。
手刀を繰り出すゴジラをカメラが真正面から捉えるというかなりかっくいい演出も見ていると動きは人間そのものだな。空手家か中国拳法家のような。
人間臭いから人間の味方、なのではなくて、ヘドラとは戦うがゴジラは人間に対して非常に怒っているのであった。
ゴジラは人間のヒーローじゃないし、ちょっと暴れただけで死者35名、負傷者81名も出してしまう。リアルだね。
ヘドラをぶっ倒して人の乗った車を押しつぶしたりもするし。
人間が自分達で勝手にやったことなのに、我被害者也精神で「かーえせ かーえせ みどーりーを 青ー空ーを かーえせ」などと暢気に歌っている阿呆な種族をかばうわけが無い。
ゴジラが闘うのはヘドラを野放しにすると地球上から生物が消えてしまうから。いや、ゴジラがヘドラと戦うのに理由なんて要らない。
食料源とその死神的進化形態がすでに遅かれ早かれ自滅の道を滑り落ちる運命にある悲しき生物ヘドラと、人間の愚かさから生れ落ちながら地球の守り神のようになっている内部的矛盾をその存在に孕んだゴジラと、多種多様の思考形態が渦を巻き未来の希望も絶望も紙一重で激しく回転している人間。
三者が持つ発狂しそうな葛藤のエネルギーは強烈な磁場を形成して必然とぶつかりあう定めにある。
夜の闇から夜明けにかけて、賞賛と悲哀を込めた三者の生命力が閃光のように世界に放たれて幻のように消えていく。
この映画、面白い面白くないは置いといて、結構ゴジラシリーズの中で異色だな。
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