2004年6月7日月曜日

映画『真田風雲録』

1963年 監督:加藤泰
BS2 録画


知識不足ゆえ、よく知らないで見たのだが、かなり面食らった。
なんと説明すればよいのか。
カルト映画・・・
加藤泰という人間の才能がなんの縛りも無く迸ったらこんな作品になった。
いや、「縛りが無」いどころかこんなに時代考証も映像も特殊効果も全て奔放なら収拾つかなくて逆に大変だったんじゃないか。
才気溢れるという言葉をそのまま当てはめたい人だな。

錦之助が飛ぶ!目が光る!透明になる!関根勤になる!
千秋実が真田幸村!
ジェリー藤尾が歌う!
ミッキー・カーティスが舶来の物を見にまといかき鳴らすはギター?!
若い役のはずの渡辺美佐子が31歳!
大野修理亮治長役が誰かと思えばオウムのああいえば上裕!と思ったら佐藤慶!
服部半蔵(平幹二朗 )とその忍者隊、華麗にステップを踏んだ忍者隊の人達は江口音也バレエ団!知らん!
志村けんのバカ殿以上に顔を白く塗りたくった淀君(花柳小菊)!
ぱっぱらぱーの千姫(本間千代子)!
大阪城に立てこもる浪人や百姓や武士達の大ダンスパーティー!なぜかいる裸の女!素で嬉しそうに抱きつく常田富士男!いい顔してるわ。

なんでもありが本当になんでもありすぎて呆然としながらも笑ってしまう。
しかも一つ一つがただ瞬間的に笑って終わるギャグや不条理じゃすまないシーンも多い。
大野修理の本性を印象的に表出させた瞬間であったり、千秋実をやっぱり千秋実にさせた幸村の最後だったり。
戦に身を投じる決心の心の独白を清次、筧十蔵とそれぞれの生い立ちを絡めて戦前の高揚感と供に語らせた後の由利鎌之助(カーティス)のオチ。カーティスがカメラに向かって喋るオチ。不意の三段オチ。上手い。
忍者というより妖術使いの化物と化した佐助(錦之助)がミッキー・カーティスのギターに術をかけるとギターは青く光りだす。
刻むリズムに乗せられバカみたいに踊りだす敵の武士達。さらには操られるままに海へと行進させられ死んでいく。
死ぬ間際に「無念じゃ~!」と面白おかしく言って散っていくものの、このシーンがえらい恐ろしかった。
どんなに人数的に武力が劣っていても佐助と後数人いればもうこの世に敵はいないんじゃないかと思うような恐るべき妖術。
怖さにアホさが加わるとこうも恐ろしいものか。

佐助と半蔵の初対決シーンなどしびれまくって泣きそうになるくらい素晴らしかった。
「し、しびれるぅ!」という文字を画面に入れる場合、バックの映像は牛が口をくちゃくちゃしている映像を使うもんなのだと初めて知った歴史的一作。

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