2003年9月18日木曜日

帰路2

あれは2週間ほど前のこと。

仕事帰り、いつものようにバカ面でチャリこぐ。

とある道で。

道幅は車2台分かな。一方通行の道。
その道の右端を走っていた僕の目が、前方にワゴン車が路駐しているのを認める。

と同時に、遠くに車のライトがちらちらしているのも捕らえる。

そして間髪いれず、ワゴン車の影から犬を連れた奥さんが出現。

ワゴンと人をよければ道の真ん中辺りに出て、前方から来る車にスピードを落として僕がよぎるのを待ってもらうことになる。
意識下で判断し、僕は左端に進行位置を変更しようと、ふらふら道路を斜めに渡りだす。

すぐ気づいた。前方から来る車は結構スピードがあってもう大分僕の近くまで接近している。ちなみに車はタクシーであった。

道の真ん中辺りまで進んだところで、一向にスピードを落とす気配のないタクシーにムカッとする。

こ、このやろう。やる気か?
引けるもんなら引いてみろ!てやんでぇと思って道の真ん中でチャリを止めた。

一瞬だった。
鈍い音とともに腰と脚に強い衝撃を覚える。痛みはない。
次にアスファルトがスローで迫ってくる。
あっ、なに?なんかやばい。
しかし体は動かない。
近づいたアスファルトが急に反転して夜空になった。
額にはなにかとてつもなく重い物体が落ちてきたような感覚が。
あれっ?自分は今何をしているんだっけ?
その前に天と地ってどっちがどっちだったっけ?
ぼんやりしながら意識が遠くなっていくことだけは紛れもない事実として受け入れることができた。

……

…と、言うのは真っ赤な嘘で、本当は接近しているタクシーにびびってあたふたと急いで左端により、タクシーはチャリの後輪すれすれをばひゅーんと通り過ぎていったのであった。
やつはまるで風だね。

まあ、そんな嘘話。

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