体の向きを変える。一瞬空間が開けるが壁は再び迫って苦しみを呼び起こす。
辺りを見回しても暗闇しか拡がらない。
この迷路は難しい。且つ苦しい。いつもは(毎日やっている事だが)苦もなくできるというのに。
朝までにはゴールに着かなければならない。
えっ!でも、もう午前5時だ。急がなければ。
しかし行けども行けども(といっても一歩も進めないのだが)目に映るのはHDDレコーダーの液晶の明かりだけ。
・・・
確か、予約録画した映画は午前0時から2時間ではなかったか。予約録画、したよな。電源が入れっぱなしなのか。まあ、どうでもいい。やることがある。
難しい。難しいよ。この迷路。寒いし。暑いし。苦しいし。
もう体の節々が痛い。上も下も分からずに吐き気が積もる。
吐こう。
起き上がってトイレに行く。付けた玄関の電気があまりにまぶしくて目がまともに開けられない。頭が痛い。
ゲロゲロゲロゲ~~。
寝る前に吐いた2回と合わせ、これで夜に作って食べたオムライスの米粒一粒残さず全て吐き出したはず。
布団に戻る前に部屋の電気を付けて壁に掛けた時計の時間を見ると午前3時だった。
道に迷って時間まで遡ったか。
布団に入る。
悪寒によるえもいえぬ寒さのために掛けていた厚い掛け布団を一枚はがす。
四方から押し寄せた壁が現れなくなる。なんだ、簡単な事だ。そう、簡単だったんだ。
壁は現れなくなった。迷路も消えた。吐き気と頭痛とだるさと悪寒は残った。
苦しさの中何度も目を覚ます。時間は全く分からない。目覚ましが鳴っていないのが頼りになる。
気づくと薄いカーテンに遮られた朝の光が部屋をやんわり明るくしていた。午前8時過ぎ。
吐き気が大分収まっている。
布団の中からテレビを付け、NHKの「天花」を久しぶりに見る。
9時半、出社。
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