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![ヤギと男と男と壁と [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/517446jNXlL._SL160_.jpg)
ヤギと男と男と壁と
CSの番組で千原ジュニアが付けたという邦題。
酒と泪と男と女みたいだ。
原題は
THE MEN WHO STARE AT GOATS
直訳すると
ヤギを見詰める男性
かなぁ。
原作はジョン・ロンスンのノンフィクション『実録・アメリカ超能力部隊』で、本のタイトルにもあるようにアメリカで実在したとかしないとかいう超能力部隊"新地球軍"を扱った物語。
超能力、といってもCGばりばりのハイパーエスパー軍団が大活躍するようなSFじゃなくて、ノンフィクションなのでもう少し現実的。
といってもなんたって"ジェダイ計画"により生まれた"新地球軍"は隅から隅までヒッピーで成り立っているのでシニカルな笑いを交えつつアメリカ人と戦争が描かれていく。
2003年、新聞記者のボブ(ユアン・マクレガー)は妻を編集長に取られた腹いせにイラク戦争の取材を敢行する。
そして入国前に立ち寄ったクウェートでリン(ジョージ・クルーニー)という男と出会い、一緒にイラクに入国する。
リンはかつて新地球軍でNo.2の実力を持った優秀なエスパー戦士だった。
イラクでの二人の動向とリンにより語られる超能力部隊の清濁併せ持つ歴史が交互に描かれる。
ラストの解放のシーンで爽快感よりもの寂しさを感じるのは何故だろう。
時代に取り残されたヒッピーの成れの果てを見ているからか。
新地球軍のリーダーだったビル(ジェフ・ブリッジス)もアル中のおっさんだ。
肝心の超能力もリンの過去語りで片鱗が少し覗く程度なので、実は現在のリンは超能力を失った(もしくは最初から超能力を持っていなかった)と考えると、過去にしがみつき見得で生きているような寂しさもある。
全体通して言えるのは、ベトナム人もイラク人も皆真面目の中、アメリカ人だけがどこか不真面目(本人達は真面目だが)でアイロニカルに浮いている。
ラストの解放もイラク人から見たら虐待するのも解放するのも同じアメリカ人だ。
アメリカの自己批判が哀愁漂うおっさん達の強烈なキャラクターで後ろ向きにも前向きにも見える不思議なストーリー。
→おっさん達、とはジョージ・クルーニー+ジェフ・ブリッジス+ケヴィン・スペイシー。
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