2011年1月19日水曜日

映画『アフガン零年』

2003年 監督:セディク・バルマク
BS2 録画


【映画パンフ】アフガン零年OSAMA

同時多発テロ、アフガニスタン紛争の記憶も新しい頃に公開され、公開当時話題になっていた映画。
アフガン復興後の第一作目らしい。
中央アジアや中東で製作された映画にはずれはないから面白いはずだけど、なんとなく敬遠して今まで何度かNHKで放映していたけど録画しなかった映画をやっと見る。

ドキュメンタリーのように始まるからドキュメンタリーなんだっけと思うが、ドキュメンタリーにしてはカットもセリフのタイミングもよくできているなぁ、と思っているとやっぱりドキュメンタリーじゃ無かった。
とするとデモとかタリバン批判とかアフガニスタンでよく撮影したものだ。
と思ったらアフガニスタン紛争で一応タリバン政権は崩壊しているんだね。(知らないにも程があるか)
そりゃあタリバン政権化でこれは撮影できるわけないか。
それでもタリバン自体はまだ活発に活動しているから危険だっただろう。

役者は皆素人らしい。
主演の少女が凄い。
まっすぐな眼差しくらいなら普通に演技で出来るもんだと思うけど、その射すような強く純粋な眼差しに怯えと悲しみを湛えることは演技じゃできないだろう。
少女が泣くと本気で悲しい。
「なんとこの子はまるで・・・この子はまるで天使のようだ」
とタリバンのロリコン爺さんに言わしめた美しき少女の顔が悲しみと恐怖で歪む時、少女やアフガニスタンの紛争と貧困の歴史が痛いくらいに突き刺さってくる。

ストーリーは一家の男性を戦争などで全て失った女だけの家族が、貧困にあえいだ末に少女に男の格好をさせて働きに出すというもの。
伊達や酔狂で少女に男の格好をさせているんじゃない。
男でないとろくに外も出れないし働けもしない。
しかも男装がタリバンにばれたら死刑という命がけ。
『花ざかりの君たちへ』みたいな暢気な国の暢気なお遊びじゃないんですよ、全く。
いい奴だった"お香や"を始め、イケメン少年達に囲まれてはいたけどさ。
縄跳びで無邪気に遊ぶことすらできない少女の物語。

題材も衝撃的だけど、なにより映画の質が極めて高いので82分と短いながらも濃密に堪能できる作品。

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