BS2 録画
![サイコ (1960) ― コレクターズ・エディション [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ST028FM7L.jpg)
クレジットタイトルかっこいいな。
音楽といい、スタイリッシュさといい、ばらばらに切り刻まれているような不穏さといい。
ソウル・バス。ソウル市内バスの事ではない。タイトルデザイン:ソウル・バスとなっている。
この人はグラフィックデザイナーで、映画のタイトルデザインの第一人者として活躍し、映画に詳しい人なら当然知っている名前、っぽいな。
映画にタイトルデザインなんて分野があることすら知らなかったが、あの衝撃的にかっこいい『めまい』のタイトルデザインもソウル・バスだ。
『サイコ』は有名なシャワーシーンは部分的に見たことあるけど、全体的にどういう話かはそういえば知らない。
クレジットタイトル後のかったるい恋人同士の逢引きシーンやらマリオン(ジャネット・リー)がしでかす事件など、あのシャワーシーンに繋がる要素が全く無いから戸惑う。
まあそれはいいとして、この映画、そこらのホラー映画より恐ろしい。
巧みな演出で途切れることない通奏低音のように流れる緊迫感や不穏な空気が、ゆるやかにまたは突如に波打つから。
シャワーシーンもそうだし、人のよさそうな青年ノーマン(アンソニー・パーキンス)が母親の話で怒りを込めて身を乗り出す変化も怖い。
見るな!気付くな!で連続する緊迫感。
見る、こっそり見る、見られる、見ていないのに見た気になる、等々の印象的な視線の錯綜と、振り返る、舞い戻る等の180度の回転運動の組み合わせが怖さや面白さのポイントかな。
マリオンだけで見ても、デスクに腰掛けた成金男に間近で凝視され、早退して家にいるはずなのに路上で勤め先の社長に振り返り見られ、明らかに挙動不審に警官を見つめ、警官のくせに無表情で怪しい男のサングラスごしの視線は執拗なまでにマリオンを追いかけ、モーテルでは覗き穴からノーマンに見られ、惨殺な場面を一切見ていないのに恐怖とともに見た気になり、水を螺旋状に飲み込む排水溝の黒い穴は機能を停止して何も見ることができなくなった楕円の片目へと変換される。
180度の回転運動も様々な形で現れるのだが、その多くは死と連動している。
殺される奴は皆どこかに戻ろうとしていたし、階段を上るアーボガストは不安定で滑らかな飛躍をするカメラにより階段を下りるときが死の道行きとなり、簡単に予測は付くがそれでも恐ろしい回転して現れる母親の真実、殺人犯の回転するように切り替わる心の一方は死だし。
女優達の演技が少し微妙な気もし、ちょっと話しただけで全て分ったようなしたり顔で喋る男には何なんだよお前と突っ込みつつも、面白かった。
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