2025年11月29日土曜日

映画『真木栗ノ穴』

2007年 監督:深川栄洋
製作国:日本
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なんとなく全体像が見えてしまうので予告編は見ない方がいいかも。
築四十年の超ボロアパートに暮らす売れない小説家真木栗勉(西島秀俊)は、壁に穴が開いていて隣の部屋を覗けること気づく。
西側の穴の先にはボクサーのような若い男(北村有起哉)、東側の穴の先は誰も住んでいない。
その空き部屋に一人のミステリアスな若い女性が暮らし始める。

覗きっていう文学的にも映画的にもこすられ続けた面白い題材なんだけど、最後の方でエンタメに逃げられたような感じで少し消化不良だった。
それでもまあ面白くはあったんだけど。コメディ要素が意外と面白い。
西島秀俊が凄くいい。
佇まいだけで絵になる役者ってそうそういないしな。

ミステリアスな女性水野佐緒里役に粟田麗。
その夫役に田中哲司。
新米編集者に木下あゆ美。ある程度露出がある粟田よりエロい空気を出しているのは何だろう。官能空間の外側にいるから却ってエロいっていう。
真木栗に思いを寄せているのかただの犯罪者なのかいまいちよく分からん中年女性役にキムラ緑子。まさかキムラ緑子の尻が見れるとは思わなかったぜ。入浴シーンはかわいらしい。
ベテラン編集者に利重剛。利重剛と北村有起哉ってなんか雰囲気似ている。
北村有起哉役の彼女役の端役の子はなんていう子だろう。唯一バストトップをさらけ出していたけどめっちゃ奇麗な胸していた。→佐久間麻由って子らしい
冒頭出てきた嫌な感じの編集者役に小林且弥。小林克也の感じ違いの名前最近見たと思ったら『楽園 流されて』でワンピース来ていた中国人役のイケメンか。

2025年11月22日土曜日

映画『第9地区』

2009年 監督:ニール・ブロムカンプ
製作国:アメリカ / ニュージーランド
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インタビューみたいなドキュメンタリー風に始まる。
ヨハネスブルク上空に突如現れ静止している巨大宇宙船。
突入を試みると、エビに似たエイリアンが大量にいたw
彼らはどうも下っ端で、彼らをまとめていたらしき上層部は皆死んでいたらしい。
人道的配慮から宇宙船の真下にエビ達の居住区を作って住まわせたのだがたちまちスラム化。
地元住民ともたびたびもめて早20年。
ついにエビ達を遠い地第10地区へと移送する計画が始まる。
ヴィカス(シャールト・コプリー)という男が物語の中心のようだが、インタビューで捜査とか裏切りとかいうワードが出てきて、なにやらこの男が何かをやらかしたらしいということがわかる。
圧倒的な情報量と謎を冒頭のこのインタビューや映像で端的に説明する脚本が凄い。

ヴィカスがなかなか糞野郎なのね。
愛する妻がいて妻の父親は上司で頭が上がらず、でも作戦のリーダーに指名されるという大昇進に大喜びしたりするふつうのおっさん。
っていうごく普通のおっさんがエビに対しては結構残虐、というか差別意識が丸出しなのね。
こんな普通のおっさんでもそうなんだからエビに対する差別はごく一般的な感情の世界なんだろう。
MNUの地下ではヴィカスでも引くくらいのエビ実験が行われていたりするし。
であってもやっぱりなんかヴィカスの自分勝手な言動見ていると糞野郎ではあるんだけど。
だからか最後の方で少しまともになるのがかっこいい。
差別していた側に自分がなる、っていう落差を描くには糞野郎である必要があるしな。

スターシップトゥルーパーズから10年でここまで進化したのかと思うくらいVFXが凝っているけど、一応低予算映画らしい。

出演者はほとんど無名俳優で主演のシャールト・コプリーは監督の高校時代の友人らしい。
驚くのはヴィカスのセリフはほぼ全てアドリブとのこと。

宇宙船のただのガソリンみたいな液体にあんな副次効果があるのは大きな謎。

2025年11月16日日曜日

映画『どうしようもない恋の唄』

2018年 監督:西海謙一郎
製作国:日本
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事業に失敗し家族にも逃げられた男矢代(カトウシンスケ)は、死に場所を求めてふらっと京成立石に降り立つ。
で、ソープに入る。えっ?
で、そのお相手のソープ嬢の家に転がり込む。えっ?
素敵なヒモ生活が始まる。

佐々木心音が出ているので見てみたけど熟女ヤク中ソープ嬢として一瞬出てきただけだった。

冒頭の逃げた妻からの手紙が嫌に文学的な言い回しで鼻につくのだが、原作が小説だからかな。

あたし馬鹿だから、が口癖のソープ嬢ヒナ(藤崎里菜)が不憫すぎる。
今までも悪い男にさんざんひっかかってきたのだろう。
自分を卑下し、男に尽くすことだけを生きがいとする女。
40超えのダメ男に恋して依存するって幸せな未来が想像できない。
しかしそういう女性が好きな男が多いのも事実。
ソープ嬢と仲良くなるって昔読んだ花村萬月の小説にもそんな話あったな。主人公は若かったが。
数多いる糞客の中からたった一人自分が選ばれるっていうのに優越感を感じるからそういう話が男は好きなのかもしれない。

ヒナはあれだけ矢代に依存していても、決して本名を明かさないところからすると、実は矢代をペット感覚で飼っているだけのしたたかな裏の顔があるクレバーの女性なのかもしれない。
それはないか。。
命がけで助けにいっているしな。
とすると源氏名を本名にしている正真正銘の馬鹿なのだろうか。
というか住んでる町のソープで働くか?普通。

ヒナ役の藤崎里菜はグラビアアイドルでこれが映画デビューらしい。
誰に騙されて脱がされたのか。
演技は結構大根より。

やくざ役の人は雰囲気あるしどこかで見たこともある気がして見ていたが、最近見た『楽園 流されて』の榊英雄か。
役柄は色盲というキャラ付けがなんかそれっぽくてなんだかなという気もした。

2025年11月9日日曜日

映画『海底から来た女』

1959年 監督:蔵原惟繕
製作国:日本
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どこぞのおぼっちゃんの敏夫(川地民夫)は集団になじめず一人が好き。
別荘でばあやに世話されながらのんびりしていた敏夫は、ある日海辺のヨットの上でミステリアスな女性(筑波久子)に出会う。
彼女は鱶(鮫)の化身で、大昔に片割れを人間達に殺されてから人間を恨んでいた。
しかし敏夫と話しているうちに段々と敏夫にだけは惹かれていくのだった。

なんかストーリーの9割書いた気がする。
ミステリーなのかホラーなのかラブロマンスなのかいまいちわからないどの要素も中途半端な感じだった。
つまらなくはなかったが。
彼女が鱶の化身なのかどうかっていうのはミステリーとして引っ張る要素にもなっていないし、二人もいったい何にお互い惹かれたのかよくわからないしな。
鱶の化身なのにセパレートの布切れまとっているし日本語達者だしで、実は普通の人間では?と最初ちょっと思った。
敏夫の人物像もよくわらんのよね。パーティーから居心地悪くて逃げ出すような性格なのに小説家の先生とは気さくに喋っているし、たくさんの友達と一緒に山に出かけたりなんかもするしさ。

佐藤勝の音楽がなかなかいい。
原作石原慎太郎。
筑波久子はのちにハリウッドで大物プロデューサーになる。

2025年11月1日土曜日

映画『FALL/フォール』

2022年 監督:スコット・マン
製作国:アメリカ
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険しい崖をクライミングする夫婦とその親友。
旦那はあえなく落下。
旦那を失ったベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)は1年以上たっても立ち直れず酒におぼれて毎日涙する日々。
そんな時親友ハンター(ヴァージニア・ガードナー)がベッキーを励ますためにテレビ塔に一緒に上る計画を提案する。

youtubeのショート動画でAIのコメント付きで流れていてちょっと気になっていたのがアマプラにあったので見てみた。
高所恐怖症でなくてもめっちゃ怖い。
でも大半が高所にいると少し慣れてくるから変な感じ。
映画自体はそんなに面白くなかったんだけど暇つぶしくらいにはよさそう。

高さ600mのテレビ塔って、東京タワーでも333mだよ、こんな幅2,3mくらいしかないひょろ長い塔あるわけないじゃん、と思ったらKXTV/KOVR合弁塔っていう実際の建物がモデルだった。
強風で簡単に倒れそうなんだけど、それがまた恐怖を煽るのか。

なんかそれっぽい人間ドラマを織り込んでいるのがしゃらくさい。
高所恐怖サバイバルに凝ったドラマなどいらなくて、もうなんか登場人物たちに1mmも感情移入できないから。
冒頭で消えた旦那にはもちろんなんの思い入れも無いし、命を失う覚悟でロッククライミングしてるんでしょって思うからベッキーのめそめそ具合からしてどうでもいいから早く登ってくれと思ってしまう。
つまり冒頭からもうしらけている。

以下ネタバレ


旦那の不倫がわかった途端に、急に旦那のことがどうでもいい感じになったりあんなに疎んでいた父を恋しく思ったり、って変わりすぎじゃないかw
きっと万が一の事故があったときにベッキーを立ちなおせるために不倫していたのだろうな。

車奪って逃げるおっさんたちとかアメリカっぽい。

ハンターが落ちた時ドゴーンって音しているのはそういうことか。

後味はあまりよろしくなく、見終わってどこか空虚な気持ちになる映画だった。

2025年10月25日土曜日

映画『フルメタル・ジャケット』

1987年 監督:スタンリー・キューブリック
製作国:アメリカ
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二部構成みたいな感じで、第一部の新兵訓練基地で結構腹いっぱい。
二部でがらっと舞台も空気感も変わる。
共通しているのは狂気と恐れで、1から10の数値で表すと
一部:6 to 10
二部:3 to 12
みたいな波がある。
二部なんかいよいよ戦地だからよりやばくなるはずなのに、一部ラストの衝撃から一転ナンシー・シナトラの『にくい貴方』だもんな。
それでもやはり戦地なので段々と混沌としてくる。

キューブリックは屋外より室内シーンが好きだな。
部屋の装飾、配色、無機質さ、奥行き、整然としているようでどこか崩れているっていう恐怖と狂気。
屋外だと空間が広がりすぎる。
だから新兵訓練基地のシーンの方がどちらかという面白いのだけど、後半も最後の方の緊張感はなかなか凄い。
今なら見わけも付かないCGで簡単なのだろうが、これ全部セットだよな。凄い金かけている。

ハートマン軍曹役のR・リー・アーメイはテクニカルアドバイザーとして参加していたが、その迫力を買われてそのまま役をゲットしたらしい。
「上出来だ 頭がマ〇コするまでしごいてやる ケツの穴でミルク飲むまでシゴき倒す! 貴様か腐れマラは?クソガキが!貴様だろ腐れマラは!」
よくまあ卑猥なのかなんなのか意味不明な言葉が流暢に出てくるもんだ。

マシュー・モディーンは名前だけ憶えていてなんで知ってるのかと思って調べたら『リアル・ブロンド』に出ていた人か。

ファミコンウォーズがでーるぞの元ネタと知らなかったので、あっ、てなった。懐かしい。

2025年10月18日土曜日

映画『楽園 流されて』

2005年 監督:亀井亨
製作国:日本
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緑がかった映像は中国の時代物映画のような雰囲気で、何か常識外のことが普通に起こりそうな雰囲気。
舞台は地方の小さな漁村。
局アナで父親は元県知事、選挙に立候補した多々野恵利香(街田しおん)はほぼ勝ちが確定している。
才色兼備で生まれにも恵まれた恵利香だが、性格が最強に悪かった。高慢ちきで、他人をすべて見下している感じを隠しもしない。
一方漁師見習いの青梅洋平(榊英雄)は、言われるまま流されるままに生きてきた人間で、のんびりしているというか馬鹿なのか。
そんな自分が嫌なのかなんなのか、心の奥では怒りの種がくすぶっていって、それは妻にだけ爆発する。
そんなクズ女性とクズ男性が出会い、ハートフルな人間ドラマでも展開するのかと思いきや全然違ったw

以下ネタバレ


性行為シーンは短く少な目だけどポルノ映画やストーリーの面白いAVみたいな感じ。
膝上スカートのスーツなんて風俗の子くらいしか着ないでしょ。色気むんむんの恵利香様。
苛酷な状況でも変わらずなじられて、イラつきながらもただ従う洋平が聖人に見える。
高慢ちきな女性を無力な状況に追い込んでプライドずたずたに凌辱する、ってAVにありそうだが、この映画は少し違って、恵利香様は少しも折れない。
クズとクズが無人島生活を経てなんか成長する、みたいなありきたりな展開もせず、二人ともクズのままなのが清々しい。
無人島からの生還という大ニュースになりそうなことでも関係なく、病院にもいかず、ぼろぼろの姿のままただ選挙の事を考える依然と変わらない高慢ちき恵利香様がかっこよくすらある。
洋平のほうは、もう戻れない理由があるのだが、最後いい感じの別れのシーンだったのに一気に台無しにして頭から血流す洋平が笑える。

榊英雄はその後性加害で逮捕、ってリアルでもクズだったw

2025年10月12日日曜日

映画『罪と悪』

2023年 監督:齊藤勇起
製作国:日本
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サッカー少年達のきらきらした中学生時代。
一転ダークな展開に落ちてからタイトルバック、そして舞台は20年後へ。
タイトルバックまで20分以上たっぷり使ったプロローグで、もう腹いっぱいなくらい詰まっている。タイトルバックの時点で続きが気になるのは久しぶりだ。

いやー面白かった。
程よい緊張感とミステリーと友情と。
ただ、最後あれって感じで終わるのだけは肩透かしだった。ネタバレなので後で話す。

主演高良健吾と大東駿介。
高良健吾は刈り上げがかっこいい。ガタイがいいわけでもないのに圧倒的なカリスマオーラで役に合っている。
大東駿介はだいぶおっさんになったな。三白眼がより強くなってないか。
もう一人の幼馴染の朔役は石田卓也。夜のピクニックの人か。
他、やくざの幹部に村上淳。おお、これまたおっさんになったなぁ。背縮んだ?
やくざの親分に佐藤浩市。痩せた。。
警察の上司に椎名桔平。太った。。

以下ネタバレ


結局やくざとの一件で筋通す形でどうケリつけたのか?
そもそも金を盗んだことなのか村田を殺害したことなのか。。
その辺の展開の前になんか「えっ」と思うような展開になってそのまま終わるからもやもやが凄い。

朔犯人説もあれは事実なのか?
朔が最後まで認めず「偶然と想像で成り立つお話だな」と言っているのは正にその通りで、本当ただの想像じゃん。証拠もないし。
事実ならさすがに認めるだろ。
勘違いによる殺人に始まり勘違いによる殺人で終わる、だったら後味悪いよな。
少し見返してみると、試合の日のシーンで春が朔の自転車が違うことを指摘したときに、朔が「お前のせいだよ」と言った声のトーンがシリアスで怖かったのだが、もし想像通りのことが起きていたならこのトーンの謎にも納得がいく。
「目の下のくますごいけどどうしたの?」っていうのもそういうことか。
あと、直哉が窓から晃に手を振っていると、朔が気づいた瞬間にさっと引っ込んだのも朔を恐れてのことだったのかも。
脚本としては朔が犯人だったってことなんだろうな。
おんさんの所に誘導したのは朔だし、最初に攻撃したのもとどめを刺したのも朔。直哉が犯人なら正樹の財布をわざわざ忍ばせる意味もなく不自然。ってことから想像したのかな。

朔は小林少年をどうやって見つけたんだろう。やくざですら見つけられなかったのに。
小林少年が春が現在抱えている問題の中心っていうのもどこで情報仕入れたのか。
小林少年なのは、彼を殺せばやくざが殺したと思って春とやくざの対立が激しくなることを狙ったのか。
いや、違うか、直哉を犯人に仕立てたわけだから。
えっ、じゃあ小林少年である必要が全く無くないか。。
よくわからんところ。

2025年10月11日土曜日

映画『さまよう獣』

2012年 監督:内田伸輝
製作国:日本
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田舎のバスの車内でばあさんが見知らぬ若い女性に、これ食べ、みたいにおにぎりとおしんこをあげる。
餌付けされた女性はバスを降りて家に帰るばあさんの後ろを少し離れて付いていくのだった。
この若い女性キヨミ(山崎真実)はなんだかんだでばあさん(森康子)の家に居候させてもらうことになる。
若い女性なんかいない村で、キヨミの登場によって村の若者衆は色めき立つのだった。

見終わって5分で何見たか忘れそうになった。
コメディなのかサスペンスなのかエンタメなのかバイオレンスなのか、恋愛物なのか官能物なのか。
そのどれにでもなりそうでどれにもならない中途半端な状態で気づいたら終わっていた。
全体的には都会で傷ついた若者が田舎に来てなんか救われる、みたいなよくある流れなのかな。
ただ、それも分かりづらい。結局キヨミの過去はいまいちわからんし、一体田舎の人たちのこの浅い関係性の何に救われたというのか。

キヨミは何か暗い過去を背負っているらしく、とにかくどんよりしている。
ばあさんと無口なマサル(波岡一喜)と3人の食事シーンなんか会話はほぼ0。
見ているこっちが息苦しい。
ばあさんと仲良くなるわけでもなく、ずっとよそよそしいままなのに、ばあさんはなぜかキヨミを大事に思う。えっ?
得体が知れなさすぎだろう。
そんな暗いキヨミだが、トマト農家のタツヤ(渋川清彦)と話すときは人格が変わったかのように明るくエロくなる。
なにかサスペンス的な不気味さだけど、昔の水商売の癖で人によってキャラを使い分けているとかそんな理由らしい。つまらん理由だった。。

山崎真実はグラドル出身の女優らしい。脱ぎそうで脱がない。
婆さん役の森康子はその棒読み具合からどこかの素人かと思っていたらそこそこ長い経歴の人だった。
渋川清彦はなんか安心感がある。その特徴的な顔で異彩を放っているけどこんなに人気俳優になるとは思ってもいなかった。
シンジ役の山岸門人は凄い良かった。演劇畑の人っぽい。コメディ演技が面白く、バカリズムに少し雰囲気が似ている。キヨミに処女作を渡すまでの一連の面白やりとりがこの映画のクライマックかと思うくらい。
津田寛治はあの声質もそうだけど嫌な男がよく似合う。

ラストの展開はよくわからず、そんな雰囲気微塵もなかったのに一体何をきっかけに惹かれあってんのさ。
家の中と外のギャップはもう少し面白くなりそうだけどそこもなんだか盛り上がらず。

2025年10月5日日曜日

映画『アワ・ブリーフ・エタニティ/OUR BRIEF ETERNITY』

2009年 監督:福島拓哉
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タイトル見て下ネタ系おバカコメディかなと思ったが、概要見るとウィルスパンデミックものらしい。
で、実際見てみるとただの恋愛映画だった。
「俺たちは、短い永遠の中で生きていくんだ」っていうところからのタイトルか。

たまに個人的にどうしようもなく肌に合わない映画っていうのがあって、これは正にそんな映画だった。
学生が作ったのかというような青臭さを滲ませつつ、なんか無駄に文学的で無駄に映像詩目指している、みたいな感じ。
監督のWiki見ると海外で評価されているみたいね。この映画もいろんな映画祭に出品されていた様子。

なかなか面白い展開にならないなぁと思いながらも我慢して見ていたら結局そのまま終わってしまった。
キャラクターにしろ演技にしろ容姿にしろ、魅力的な登場人物が一人もいない、ってところが致命的な気がする。
特に主人公のキャラクターはひどくないか。
昼間っから飲んだくれているアル中無職で、自分のことを「高等遊民」と呼ぶ。
何をするのも面倒で、世の中達観している風というか斜に構えているというか、つまり思春期か!と突っ込みたくなるようなおっさん。
ぼろぼろに見えるポンチョ(実際にはそういうデザインでぼろぼろではない)がお気に入りで、これがまたダサい。
この主人公のどこに感情移入できるのか。。

突然倒れ、2,3日後に目覚めると血縁以外で一番大事な人の記憶を失うという謎の奇病が東京で発生する。
大事な人っていうのは大体恋人とか。
ミオ(呂美)は元彼テル(草野康太)の記憶を失った。
しかし再び出会った二人は再度恋人になるのだった。

恋人の記憶を失っても関係は継続できるのか?
なんかそういうテーマの映画腐るほどあった気がするが、この映画のテーマはそういうところに無い気がする。
じゃあ何かと言うとよく分からないのだが。
結局無気力思春期おっさんが、深くつながっていた女性との関係から恐れで一度逃げ出したものの、逃げるのをやめて人生を一歩踏み出し始めたっていう成長譚なのかな。おっさんの。
元彼っていうことは一度別れたわけで、そこがずっと引っかかっていたけどその要素はあまり関係なかったっぽい。
全般的に青臭いモノローグが無駄に文学的でわかりづらく、声も聞き取りにくいところが多々あるし、結局のところストーリーはよくわからん。
「なんで泣いてるの?」
「あなたを愛しているから」
ってシーンだけはよかった。セリフ書きだしてみるとこっぱずかしいw

2025年9月27日土曜日

映画『悪の教典』

2012年 監督:三池崇史
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体育教師の柴原(山田孝之)は生徒の弱みを握って淫行しているし、釣井(吹越満)という教師は妻を殺害しているようだし、さわやかイケメン人気教師のハスミンこと蓮実(伊藤英明)は廃墟のような平屋に住んでいるし。。
怪しい奴がたくさん。
他にも資産家の息子の教師久米(平岳大)は生徒の前島雅彦(林遣都)と同性愛の関係。
天才らしき早水圭介(染谷将太)は暇つぶしに集団カンニングを行ったり。
なんかもうこれでもかといろんなもの詰め込んでくる。
モンスターペアレント(滝藤賢一)が些事に思えるくらい強烈。
そんな中、とある人物の違和感が段々と異常性として明らかになっていく。

原作より登場人物だいぶ減らしているらしい。
それでも多いんだけど、有名どころ俳優が多いせいか脚本がいいのか意外と混乱しないで見ることができる。

殺人を巧みに隠蔽してきた犯人だが、言い逃れできない状況に対して出した解決策の発想がもう常軌を逸しているよね。
それすらもなんとか切り抜けようと画策しているし。

山田孝之の役がただのクズ教師なわけないだろう、最後めっちゃ活躍すんじゃないか、という期待とはちょっと違ったけど、きりっとした顔の「美彌」の一言で山田孝之の経歴の中で屈指の名シーンの一つになっているからさすがだ。

吹越満の電車のシーンがなかなかよかった。
あんなにカーブする地点をわざと選んだのかな。

いろんな若手俳優が出ていて、上にあげていない人だと、
二階堂ふみ、ツインテール松岡茉優、伊藤沙莉、岸井ゆきの(どこにいたか分からず)

なかなか面白かった。

2025年9月22日月曜日

映画『夕方のおともだち』

2020年 監督:廣木隆一
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「こんな田舎にはもったいないぐらいのM」と評される天才的なハードMであるヨシダヨシオ(村上淳)は最近スランプに陥っている。
以前のように火花が飛び散るような快楽が無く、段々と醒めてきてしまうのだった。
スランプの原因はおそらく、この道に入るきっかけとなったユキ子女王様(Azumi)を忘れられないからだろう。
ユキ子女王様は4年前に突然姿を消してしまったのだった。
今のミホ女王様(菜葉菜)に不満があるわけではないが、調子が出ないせいでなんかぎくしゃく。
弁明のために店外で会っているうちになんか奇妙に仲良くなっていく。
そんな時ヨシオは最近町でユキ子を見かけたという噂を耳にする。。

最初なんかボールギャグ加えた冴えないおっさんが出てきて、主演の村淳はいつ出てくるのかと思っていたらそのおっさんが村淳だった。
おそらくだけど、役のヨシダヨシオって30前後くらいの設定なんじゃないかな。
村淳も若いとはいえ20代くらいの女子社員に好意を寄せられたり、30そこそこくらいの店長に年下に接するみたいな扱いされたりっていうのは違和感あった。

あ、菜葉菜って20代くらいかと思っていたけど当時30後半くらいだったっぽい。
女性で実年齢より若く見える人って凄いな。

ストーリーはよくわからなくもあったが、「自傷行為は自分の心の歪みを癒す自己治療のプロセス」って劇中で言っていたのが全てかな。
ヨシオもユキ子女王様も子供のころや過去現在に受けた傷が癒えずにもがき彷徨っている。
ってことなんだろうけどよくわからず。各登場人物の掘り下げがもう少し欲しいところ。

店が並ぶ道を二人が歩いているシーンのドリーがなかなか良かった。
しかも話がめっちゃ盛り上がった最高点で「じゃあ僕あっちなんで」とスタスタ帰っていくヨシオが楽しい。
何度も出る坂道のシーンもいい。ヨシオを手伝うか逡巡しながらも通り過ぎるおばさんとか、寝たきりの母親(烏丸せつこ!)をちょっと殺そうとしてみたりとか。

全体的にコメディ調で深刻にもなりすぎずテンポもいいから見やすかった。

風俗やキャバクラ等の夜の世界で一目置かれる客っていうのは金払いのいい客の一択だと思うのだが、そのサービス内容に特化した天才すぎて客なのに一目置かれるっていうのが受ける。

市長選候補のうらがね舞太郎(田口トモロヲ)って絶妙な名前。
劇中でも「うらがね舞太郎ってw」って突っ込んでいるから劇中内のリアル候補名でそれをやっているという。

原作は山本直樹の同名漫画で、短編集の一遍なのかな。ネットで試し読みしたら全く違う話だったし。
キャロルキングの名曲『You've Got a Friend』をもじったらしいダディ竹千代&東京おとぼけCATSの曲『夕方フレンド』からタイトルをパクったらしい。

「よく、このベンチの下あたりに裸で放置されたもんです」
「一度は真冬に夜中中放置されて死にかかったこともありましたね」
「夜が明けて凍え切って意識が朦朧とした僕の目の前に現れたあなたは、ご褒美におしっこをかけてくれた」
「あの時注がれたおしっこの熱さは、僕は、今でも思い出します」
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ロングショットの長回しでいいシーンだった。

2025年9月14日日曜日

映画『日本沈没』

1973年 監督:森谷司郎
製作国:日本
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なんか日本沈没した後にわずかに残った島々で原始的に生き抜く人々が裏切りや略奪等のいがみあいしているような無人島漂流ものみたいな映画かと勝手に思っていたら全然違った。
なかなか沈没しないし。
というか沈没するかもという科学的予測を受けて、研究者達や政府はどう動くべきか?日本をなくした日本民族とは?という葛藤や情熱が重厚な人間ドラマになっている。
リアリティが高くて、シンゴジラなんかチープな茶番劇に見えてくる。

昭和の男たちのかっこよさよ。
葉巻をくゆらせながら家の廊下を歩く丹波哲郎のダンディーさ!
変人だがその信念の強さと意思の固さがかっこいい男小林桂樹!
どれだけ心配したんだという理由だけでぼこぼこにぶん殴る熱い男夏八木勲!
たたずまいだけでダンディーすぎる二谷英明!
どんなじじいよりじじいらしい島田正吾!
仕事終わりに部下を高級外車に乗せて女のいる葉山の別荘に送り届ける理想の上司神山繁!
そして藤岡弘ね。この顔の濃さが許されるのは昭和だけだよな。
最初肉体労働の日雇いバイトの役柄かと思ったら潜水艇の操舵士とかいう頭悪いとできなさそうな職業で驚く。
いや、Gパンデニムシャツって恰好がラフすぎないかw
ちょっと配役ミスってんじゃないかと思いながらも、恋人みたいな女性を助けに火山灰の降り注ぐ中人々と逆行して突き進む姿は藤岡弘じゃなきゃダメだわと思う。

潜水艇のシーンは凄くよかった。
あの静けさや緊張感がたまらない。
あと、映画の始まり部分で音楽の一部かと思いきや新幹線の警笛の音っていうのは面白いつなぎだった。
名シーンは前半に集中している気がする。

特撮も当時にしては凄いんじゃないだろうか。
金もかかっていそう。
精巧に作られたミニチュアが惜しげもなく破壊されたり燃えたりする。
ちゃっちいといえばちゃっちくもあるけど、実写と織り交ぜながらの阿鼻叫喚は結構迫力ある。実際こんなんなったら泣くわ。

小松左京のベストセラーの映画化で、脚本は橋本忍。
キャストも豪華だしそりゃあ大ヒットするな。
面白かった。

2006年にリメイクされている。
ちょっと興味はあるけど監督とかキャスト見ているとなんか微妙だな。草彅君は好きだけど藤岡弘の印象が強すぎる。

なんか他にもアニメとかテレビドラマにもなっているみたい。
アニメの方は予告編見ると一般家族が主人公みたいで、原作の原型をとどめていない感じ。
ドラマは2021年のTBS日曜劇場で、ダイジェストを少し見た印象だとこちらも結構オリジナル脚本。それにしてもドラマだからか映像も役者も演技もなんだかペナッペナに見えた。
・・・おお、なんか昭和の熱さや重厚さダンディーさにかなり毒された気がする。。

2025年9月7日日曜日

映画『帝都物語』

1988年 監督:実相寺昭雄
製作国:日本
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製作費10億円かつストーリーも上映時間も出演者もスタッフも全てが壮大なB級映画。
我をあがめよ!ズバッ!ドゴーン!

ストーリーはもうさっぱり分からない。
登場人物はいっぱい出てくるけどこの人何者?って人が多すぎる。
声も聴きとりづらくてもう10分くらいで流れを追うのは諦めた。

明治大正昭和と駆け抜ける壮大さで、何よりセットの再現が凄いのよ。
日本の近代風俗史としても面白い。

特撮で出てくる異形の者はレイ・ハリーハウゼンみたいなストップモーションで、悪魔みたいな姿のやつもいるしかなり西洋風。
そういうごった煮感が面白い。
クリーチャーのデザインはエイリアンのH・R・ギーガーらしいね。

超常の力を持つもの達の戦いと、それとは関係しているようで関係ない地下鉄事業や東京の都市開発構想とかが並行して描かれ、実在の人物も数多く登場する。
荒俣宏のデビュー作でベストセラーだから、ストーリーを楽しみたかったら原作読んだ方がよさそう。
それにしても「超常の力を持つもの達の戦い」って書くと語弊があるか。白熱の超能力バトルみたいなものがあるわけじゃないから。
なんか気づいたら勝ってる、みたいな。
ストーリーだけでなく、戦いもまた何やっているのかよく分からないのであった。
ただ、使い魔護法童子との闘いで原田美枝子の髪がほどけた瞬間、恐ろしく美しかったので映画史に残るバトルシーンではある。
最終兵器的な石田純一演じる辰宮洋一郎は特に見どころもなく、なんだったんだろう。
そういえば石田純一って俳優だったんだよな。かっこいい。
登場シーンで佐野史郎と会話している時の細かな表情とか自然でいい役者さんだと思った。

「學天則」を作った西村真琴を演じた西村晃は西村真琴の息子らしい。粋な配役だ。
豪華すぎる登場人物は一人ひとり書いていると相当な数になるので、全然気づかなかった人だけ書くと、
中村嘉葎雄、冒頭数秒しか出ていないよね。全然気づかず。かつ役どころは森鷗外、なんて何の説明もなく分からんわ。
島田正吾、あのよぼよぼの爺さん島田正吾だったのか。若い時の映像でしか知らないから気づかず。
いとうせいこう、天才然とした坊ちゃんカットの男、なんかどこかで見たことある嫌な感じの顔だなと思った。
桂三枝、風水師の男、気づけば確かに桂三枝だ!結構いい役もらってやがる。

2025年8月30日土曜日

映画『ザ・ハント』

2020年 監督:クレイグ・ゾベル
製作国:アメリカ
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意外とグロかったので見るのやめようと思っていたところ、主人公誰??っていう引き込み展開にはまって最後まで見てしまった。
見終わって10分で忘れそうな映画だったがまあまあ面白かった。
予告編貼っといてなんだけど予告編は見ない方が楽しめそう。

マナーゲートと呼ばれるゲームがSNS上の陰謀論の一種としてまことしやかに囁かれていた。
それは富裕層が娯楽で特殊な領地に人間を集めて人間狩りを楽しむというもの。
そんな悪趣味なゲームが舞台。

謎なのは狩られる側に大量の武器が与えられるところ。
フェア感を出して罪悪感を少しでもぬぐおうとしたのだろうか。(富裕層はやられないようにするためか軍人を顧問にして訓練を受けていたりする)
物語が進んでいくと、アメリカ中から集められた彼らは何を基準に選ばれたのか?マナーゲートがなぜ開催されたのか?っていうところが明かされていく。
富裕層対貧困層。
これがどちら側の人間も糞な人間として描かれているのが面白い。糞対糞。
なんか調べていると、アメリカの左右の分断対立を強烈に皮肉っているとかなんとか。
そんな社会派?映画だが、普通にサスペンスアクションとして楽しめる。
B級スプラッターとか微妙にコメディ要素もあったりするのは社会風刺という意味ではコケにしている感があっていいよね。

最後の方で一瞬映ったシャンパンに「1907年エドシック」という字幕が付いて何だろうと思っていたんだけど、今見返したら冒頭で話していたシャンパンの話か!

2025年8月24日日曜日

映画『自由を手にするその日まで』

2016年 監督:天野友二朗
製作国:日本
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女性の感傷的でチープなモノローグから始まる。
赤い墨で描いた手書きのタイトルクレジット見ていると、モノローグといいああこれもしかしてぶっとんだB級映画かなと思う。
と思わせておいて!
オフィスで二人のおばさんに朴訥そうな青年がいびられているシーンに。
めっちゃパワハラ。胸が痛い。
しかもこの二人だけじゃなくて、他の女性社員もめっちゃ怖い。ヤンキーですか?
このパワハラがめっちゃリアルなの。
仕事の件で話しかけても無視とか嫌そうに対応したりとか。罵声怒号人格否定小ばかにした笑い。手が出ないだけが救い。
「対岸の火事」はやがて新人社員の女性(みやび)に向けられる。
新人がミスして「どけ!」って押しのけられるの、ああ、懐かしいぜ。昔よくやられたw
同じ新人の別の子には優しいし、最初の青年があまり怒られなくなっているを見るとパワハラよりも陰湿ないじめだよな。いじめの対象が変わった感じ。
この状況を理解してくれる味方が一人もいないのがつらい。
遅れて登場する部長の男がなにか救ってくれるのかと思いきや、この部長はもっとやばいという。
そんでこのクリニックのトップである院長はさらに上をいくという。。
パワハラにセクハラ。
新人のミスの責任を負わない上司。
患者もめっちゃひいているしw
もう信じられない胸糞。
パワハラいじめおばさん達は吐き気がするくらい醜いし、男の上司もキモ醜い。
元いじめられっ子の青年もいじめ側に回っているのは笑う。「言うこと聞いてくれ!」って言う言い方と仕草は最高に上手い。

さて、中盤までひたすら胸糞なこの映画、ここまで長時間引っ張っておいて最後にカタルシスはやってくるのか。
結論、やってきたようでやってこないw
後半はB級なノリになってくる。復讐代行サービスなるものも出てくるし。
ガスマスクで何か調合しているシーンの無駄な煙とかギャグ。
主人公までスイッチしているようでカオス。

それにしてもこんなの学生が見たら自分の将来に絶望するんじゃないか。こんな社会で生きていけないって。
ありえない糞が集まったクリニックが異様ではあるが、パワハラの内容がリアルすぎてこの異様さが霞む。
そのうえ転職会社のエージェントまで胸糞な態度とるし、しまいにはコンビニバイトのギャルですら胸糞って。

いやー、キモイ映画だった。
パワハラや鬱の経験がある人は見ない方がいいと思う。

そういえば『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』も似たような状況(パワハラ度低め)はあったけどその結末はわかりやすいカタルシスでちゃんとしめくられていたな。

2025年8月22日金曜日

映画『(r)adius ラディウス』

2017年 監督:カロリーヌ・ラブレシュ
製作国:カナダ
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SFホラーみたいな感じだがどちらかというとサスペンス。
田舎道で交通事故にあったらしいリアム(ディエゴ・クラテンホフ)は、通りすがりの車に助けを求める。
しかし運転手は何か様子がおかしくて、ドアを開けると死んでいた。
リアム自身頭からかなりの出血をしているのに運転手を助けようと救急車を呼ぼうとする。
そこでやっとリアムは自分の名前が分からない、記憶を失っていることに気づく。
助けを求めて立ち寄ったレストランでは従業員も客も全員死んでいた。
めっちゃテンポがいい。
冒頭5分でリアムの人柄がわかるし、何か謎の現象が起きているらしいという引き込み方もうまい。

なにかやばいウイルスやらガスが空気中に大量に飛散しているのか?
ならばなぜリアムだけ無事なのか?
とまあそこはあまり重要なネタバレじゃないのだが。
人が死ぬ理由(条件)はすぐ判明するし。
しかしよくそなんなん気づくよな。
全く気づきもしなかったから口の覆いを外す理由も距離を測っている理由も分からず、なにやってんのこの人って感じで見ていた。

まあまあ面白かった。
ラストの後味は悪い。切ないというか劇的というか胸糞というか。

2025年8月17日日曜日

映画『娼年』

2017年 監督:三浦大輔
製作国:日本
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主演松坂桃李で原作石田衣良(1作も読んだことない)、ってことで変なことにはならないだろうと思って見始めたらなんかなんだこれといった感じだった。。
ピンク映画よりもピンク映画していて、何か滑稽にすら思えてくる。人のSEXをはたから見るのってエロい時もあれば滑稽な時もある。これはどちらかというと滑稽が勝っていた。
ラストの光の空間の中での疑似3Pみたいなシーンには笑ってしまったんだけどそこでやっとこの映画の見方が分かった、というかこれコメディーだよね。

有名大学の学生森中領(松坂桃李)は、大学にもろくに通わずにバーテンダーの仕事をしながら無気力に毎日を過ごしていた。(アルバイトのバーテンダーが一人いるだけのバーってなんなのよ)
「女なんてつまんないよ」「セックスなんて、手順の決まった面倒な運動です」
思春期の大学生っぽい。クール。
そんなすかした領の言葉にぶちぎれた御堂静香(真飛聖)は領にあるテストを持ち掛ける。
そんなこんなで領は静香が経営する会員制ボーイズクラブのメンバーになる。
で、マダムな女性客達との交流の中で領が成長していくみたいな話。

ストーリーはなんだかよくわからず。原作読めばもっと説明があるのだろうけど。
セックスなんて、とかいう割にはやっている時めっちゃ興奮しているし感度も高いのは矛盾がすぎて。
「女なんてつまんないよ」の理由もよく分からず。
「子供の頃から大人の女性が好きでした」はぁ?好きなんじゃん。
領の成長譚のはずが、色んな性癖の女性とセックスしました、っていうだけになっている気がする。
天然でマダムが喜びそうなセリフを吐いたり、本好き設定で都合よくプラトン読んでたり、ってありがちでできすぎな設定だな。

コメディーと位置付けるとあのシーンとかこのシーンとかいろいろ笑っていいんだという気になってくる。
ストーリー上の突っ込みもそうだけど、グラサンかけておらつきSEXしているシーンはあれはやっぱり意図的なギャグだよな。西岡徳馬もよく飛ばすw
グラサン姿がまたおかしいの。

江波杏子も客として出てくる。これが遺作か。

成長した僕を見てください、っていうけど何が変わったんだろう。
少し優しくなったのと、焦らしという名の必殺足指舐めを覚えたってだけじゃないのか。
指入れるタイミングはめっちゃ早いし相変わらず乱暴な動きだし。
(見せるための濡れ場なのはわかるけどそれならもっとわかりやすく成長の度合いがわかる演出が欲しい)

女優陣は皆体当たりでよく頑張っている。
全員凄いなと思うけど、放尿の子が一番体当たりだったな。
大谷麻衣さんが奇麗。

以下ネタバレ

Wikiに原作の概要が載っていて、それによると恵が未成年への売春を通報したから静香が捕まったらしい。
原作は他にもいろいろちゃんと描写されていて実は面白いのかなぁ。

2025年8月16日土曜日

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』

2019年 監督:セバスチャン・スタイン、ニンジャマン
製作国:ガーナ / ドイツ / 日本
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第二次世界大戦後、ヒトラーと東条英機は実は生きていてガーナに亡命していた。
カラテの暴力となんか不思議な力を持つ党旗による洗脳で、ヒトラーと東条による一大勢力がガーナに誕生した。
彼らに対抗するにはカンフーしかない!

1mmも似せる気のないヒトラーと東条。(ヘルマン・ゲーリングに至っては黒人化)
設定も設定だし、ああそういう映画かと思ったものの冒頭2,3分でもうギブしようかと思った。
B級というかとんでもないくそ映画っぽい。。

字幕がなぜか関西弁で、物凄い違和感がある。遊び心とかじゃなくて関西弁を馬鹿にしているようにすら思える。
雰囲気がおバカ映画ってだけで、がっつりコメディーしているわけじゃないからな。
普通に会話しているシーンでこてこての漫才みたいな関西弁使われても全く合っていない。
道場が襲われている緊迫した状況で、「何してんねん、アンドコ飲んでる場合ちゃう」とかいうセリフ吐かれたら気が抜けるわ。

おバカ映画のくせに無駄にグロかったりもする。いや、おバカ映画はなぜかグロがつきものか。
唐突に指が切り落とされたり、がっつり目つぶし、首ちょんぱ等々。

時代設定は1940年代後半くらいだと思うけど、街並みもなにも現代を隠す気0。
というかそんな時代にガーナにカンフー道場があるのがおかしいかw
ヒトラーなんかDJやってロボットダンスしたりしているからなw
ラストの重要なシーンに出てくる車なんて。。

ヒトラーと東条なんてストーリー上この二人である必要性が全く無い。
東条とか天皇の扱いみていると右翼団体がぶちぎれそう。
そういえば『帰ってきたヒトラー』はよくできたお話だったなぁ。

ストーリーで致命的なのは主人公のアデーが全く魅力がないところ。
大会のメンバーに選ばれずにふてくされているところなんか何こいつ状態だよ。
まあ、ストーリーなんてあってないようなもんだけど。

たぶん好きな人には好きなんだろう。
比較的どんな映画でもそれなりに楽しく見ることができる私でもこれはちょっと厳しかった。。

調べてみると監督のセバスチャン・スタインは日本在住のドイツ人で、ヒトラー役の人だった。
なるほど、確かにこんな映画撮りそうな顔している。
東条役の人にいたっては、役者どころか監督の知り合いの便利屋やっている人らしい。
ランニングシャツの日焼け跡がまぶしい白くぶよぶよな肉体美で選ばれたのかな。

吹き替え版もあって、アデー役はなんと水島裕。
ゲーリングは天龍。
吹き替えの方が面白そうだな。

あと、2が今公開されている。
予告編みると2の方がもっと自由にぶっ飛んでいそう。

ああ、なんか普段よりたくさん感想書いている気がする。別に面白かったわけじゃないのだが。。

2025年8月11日月曜日

映画『殺人狂時代』

1967年 監督:岡本喜八
製作国:日本
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痛快娯楽アクション。
この時代における最高のエンタメ作品じゃないだろうか。
観客をひたすら楽しませようとする愛を感じる。

冒頭のブルッケンマイヤー(ブルーノ・ルスケ)の棒読み日本語と、溝呂木(天本英世)の怪しさと患者たちの狂った笑い声に、アニメーションのオープニング!
なんじゃこりゃって面食らうが、慣れてくると楽しい。
カットの切り替えもドアのスイッチの音が次のカットのジッポの音と重なっていたり、凶器を投げる仕草から肉を台にバンと叩きつける次カット、でそのまま肉を裁く手越しに主人公を映したり。っていう遊び心に溢れている。

女催眠術師の最後が一番面白かったな。
「ビル!覗け!」で一生が終わるとは。

主演は仲代達矢。役の桔梗信治は大学教授なんだけど、マザコンで水虫でのほほんとした変人。
家に知らない男(殺し屋)がいても気づかないし気づいた後もインスタントラーメン食べます?みたいな自由っぷり。
そんなのんびり男が殺し屋やちんぴらとかを次から次にのらりくらりと撃退していく。
段々実は何か裏ああるんじゃね?って匂わせるのもうまい。

ヒロインに団令子。美しい。
役どころは何か怪しさがあったがそういうことね。

この予告編は何か出し惜しみという概念なく全部出している気がする。

2025年8月2日土曜日

映画『コンテイジョン』

2011年 監督:スティーヴン・ソダーバーグ
製作国:アメリカ
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ウイルスパンデミックもので、なかなか設定がリアルなつくりになっている。
ウイルスの解析からワクチン作成までの多大な尽力、感染源の特定、どう公表するかの戦略、陰謀論者の人気ブロガーの暗躍、CDC長官の身内びいき(SNSでばれる)等々。
ただまあ登場人物が多すぎて誰が誰だかよくわからなかったりする。
CDC?WHOの人だっけ?みたいな。
あと、長官が"友人"に逃げるように言ったことが問題だったらしいが、その頃にはもう世界中がパニックになってたんじゃないの?いまいち世間との温度差が分からず。
人々があまりマスクしてなかったりべたべた触ったりしているのが気になったけどそれはまだ危険度の認知が低かったからなのかなぁ。

キャストが豪華。
グウィネス・パルトローが早々に退場するみたいに使い方も豪華w
解剖シーンは結構驚いた。
マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、マリオン・コティヤール。

群像劇みたいだから一人ひとりに焦点充てる時間が無いのだろう。
それにしてもマット・デイモン演じた役の設定だけで2時間ドラマが作れそう。
連れ子同士の結婚で、夫は就活中でキャリアウーマンの妻は不倫中とか。そんな複雑な設定いるのかw
妻と幼い息子を同時に失って、感情を爆発させるシーンはあるものの、なんか立ち直り早くないかと思ったのはこういう複雑な設定が絡んでいたりするのだろうか。

Day2から始まるのなんなの?って思ったがそういうことか。

ど派手な展開はないものの、堅実でなかなか面白かった。

2025年7月28日月曜日

映画『スキマスキ』

2015年 監督:吉田浩太
製作国:日本
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ああ、漫画が原作なのか。それっぽい。
それも1980年代くらいの漫画って感じ。(調べてみると2003年)

大学生のヘイサク(町田啓太)はスキマフェチで、建物の隙間が好きだから建築科に入ったりなんかしている。
隙間が好きってなかなか広がりそうな面白い設定だよな。ホラーにもサスペンスにもコメディにもなり得る。
で、ヘイサクは向かいのアパートのカーテンの隙間から見える隙の多いJD(佐々木心音)の下着姿を覗き見ることに夢中w
それは隙間好きじゃなくてただのエロではないのか。。
隙間から生まれたヘイサクは今隙間をこじ開けていることに感慨を覚える、、ってもう隙間好きの設定とかなくした方がよかったのではないか。ただの普通のエロい大学生。

覗き見というのがポイントで、映画自体が覗き見のようなものだし、覗きの覗きだからなかなか撮るのが難しそう。
なんだけどまあまあ雑な撮り方する。
特に顔のドアップを何度も映すのはもうやめてーって思った。

ヘイサク君は馬鹿だけど純情で見た目に反してなかなか真面目な奴でもある。
馬鹿の度合いについては向こうから丸見えなことに気づかないくらいなので相当馬鹿なのだろう。馬鹿というか無神経か。
一つ分からなかったのは、ヘイサクのあの変なスプーンの握り方は演出なのか?
あの握り方に誰もつっこまないので役者の素なのかと思ったけどさすがに演出かなぁ。
演出だとすると意図が全く分からず。隙間好き・馬鹿というキャラ付けのどれにも関連しないし。

という前置きは以上で、一番言いたいのは佐々木心音がエロすぎる。
ちょうどいいブサ可愛さで、ふにゃーとした笑顔がキュート。キュートでいて男を常に誘っているような甘いフェロモンを放出する笑顔。
露出の多い恰好からはちょうどいい太さの肉感的な美しさが溢れている。
なお、バストトップは無しかと思っていたらあった。
佐々木心音を調べていたら瀬々敬久の『最低。』の彩乃役の子か!
役柄の違いはあれど、エロさという一点に絞れば瀬々監督より佐々木心音をエロく撮っているのではないだろうか。(別にエロく撮った方が凄いわけではないが)
映画自体は映画というかドラマみたいな感じでそれほど面白くはないのだが、佐々木心音の可愛さエロさを堪能てきる映画。

2025年7月19日土曜日

映画『誰も知らない』

2004年 監督:是枝裕和
製作国:日本
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一番いいところで気の抜けた歌がインサートされて白けたこと以外は終始のめり込んで観た。
面白かった。
映像がざらついているのは、モチーフになった巣鴨子供置き去り事件が1988年らしいのでその年代の映画風にしているのかなぁ。

是枝監督ののんびり会話劇はたまにうさん臭く感じるときもあったのだが、子供たちが中心だからかそもそもそんなに会話が無いからか、自然な感じがした。
子役なんか普通違和感の塊なんだけど。
たまに子役にあまり演技させずに自然に遊ばせるみたいな演出の映画があって、そういう場合の子役は好き。
とはいえカメラや大勢のスタッフの前で普通に遊ぶっていうのも子役の才能が必要そう。
鈴木福に似ている茂役の子、木村飛影なんかあの明るさは天性の才能だよな。
身なりが汚くなって髪もぼさぼさになっても何も変わらないのが切なくもあり神々しくもある。
ゆきちゃん(清水萌々子)もかわいい。(アポロはさくまのドロップ扱いなのか)

映像の安定感が異常に高くて、「ほら、美しいショットでしょ、どや?」って感じではなくてどちらかといえば地味なんだけど、どの場面も凄く引き込まれるという。

深夜の道路のど真ん中をきゅるきゅる靴音鳴らしながら歩いているシーンが一番好きだな。深夜の静けさに響き渡る少し間抜けで可愛らしい靴音。

劇中何度も現れる石段も印象的。

あと、兄妹4人で初めて外に出かけた時の公園で、ゆきちゃんが乗った豚の背中に残った土を京子がさっと手で払う短いシーンに何か感動した。
基本的に皆いい子達なのね。
明なんか本来生きるためには何でも許される状況なのに、常に清廉潔白。(最後ゆきちゃんのために禁を犯すのが切ない)
この潔白さに対して何不自由ない友達の愚鈍さが際立つ。そんなんでも初めての友達に焦がれる明。

最後の方の展開は結構異常だよな。
一体何のつながりがあるのか不明だった紗希(韓英恵)が後半絡んでくるんだけど、比較的まともそうな(?)紗希がいてこれだから異常。
異常なんだけど陽光の元歩く4人の後ろ姿の美しさもまた異常。

巣鴨子供置き去り事件を調べると実際はもっとひどい事件だったみたいね。

2025年7月12日土曜日

映画『君が描く光』

2016年 監督:チャン
製作国:韓国
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前半の子役の演技見ていてこれはきついかもと思ったけど、結構すぐ12年後になる。
なかなかストーリーが面白い。
サスペンス感動ドラマ。

どこかの田舎の小さな島の海女ケチュン(ユン・ヨジョン)は、最愛の孫ヘジ(5歳くらい?)と幸せに暮らしていた。
風光明媚なところにばあさんと幼い子供。(子供がちょっとわがままだけどそれも可愛らしいってところか)
設定が甘ったるくてこれをずっと見せられるのかと思っていると、市場で買い物中に突然ヘジが消えてしまうという展開に。
目を離したのはほんの数秒だから、犯人(がいるとすれば)はヘジを担いで走り去ったわけだが、これだけの人だかりで目撃者も多いはずなのに誰も助けてくれない寂しさ。神隠し。
この一瞬の出来事からすぐ12年後に飛ぶのは潔くて好き。

12年後のヘジ(キム・ゴウン)がなんだか『あんのこと』のあんに見えてくる。
苛酷に生きてきた少女がとんでもなくいい子だと簡単にほだされる。
映画としては『あんのこと』の方が何倍も面白いのだけど、ストーリーのエンタメ性はこちらの方が上かもしれない。
なんですぐ島に戻らなかったのかとか(死んだと聞かされたとしても墓参りくらいしてもよさそう)、そういう違和感の積み重ねや、海と空のどっちが広いとか、金色のクレヨンとか、伏線がいくつも緻密に散りばめられている。
12年の歳月や都会暮らしからど田舎へのギャップによる馴染めなさは、ある告白後はまた違った意味を持ってきたり。
っていうように脚本はえらく凝っているんだよな。
最後の方は号泣させられたし。
でもなんか消化不良な感じが残るんだよなぁ。

ばあちゃんがスプーンからこぼれそうな飯をハムっと食った後にそのスプーンをそのままヘジに出してほれ食えっていうシーンが一番良かった。


2025年7月5日土曜日

映画『悪い夏』

2024年 監督:城定秀夫
製作国:日本
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予告編張り付けてなんだが予告編は見ない方がいいかも。
ネタバレってほどでもないけど、主人公の重大な岐路の方向性が先に知れてしまうし、「クズと悪しか出てこない」みたいな煽りを真に受けて痛快なクライムアクションを想像すると全然違うし。

市役所でケースワーカーとして働く佐々木守(北村匠海)は、ある日同僚高野洋司(毎熊克哉)が自分の立場を利用して犯罪を行っていることを知る。
正義感の塊のような宮田有子(伊藤万理華)と共に被害者林野愛美(河合優実)に会いにいったのをきっかけとして守は愛美と親しくなっていく。
しかし背後では裏社会の人間達がある計画を立てて暗躍していた。

原作は染井為人で、第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作らしい。
なかなか面白かった。
ミステリやサスペンスというかどちらかというとコメディっぽくはあった。原作は未読なので知らないけど。
安っぽいやくざみたいなチンピラ金本龍也(窪田正孝)やその三下山田(竹原ピストル)、金本の女みたいなチンピラ莉華(箭内夢菜)とか、キャラクターや存在自体がギャグっぽい。
「まさかほれたとか言うなよ」って突然察する不自然さもギャグっぽいしな。
理不尽な暴力って怖いよね。今時こんなやついる?っていうギャグみたいな存在の金本が近くでうろちょろしているから、それだけでどこか緊張感がある。
ストーリー展開はまあそうなるんだろうなという予測の範囲で進んでいくからこの緊張感がいいスパイスになっている。
主人公がどちらを選ぶのか、という選択結果の見せ方のスピード感がいい。
そしてラストのカオスはカタルシス。凄い盛り上がる。
宮田さんの突然のチープ展開はなんとなく予想はしていたが笑ってしまった。「潔白さ」はフリなのね。
シリアスから高野や宮田さんで一気にコメディになった後、またシリアスっていう怒涛の展開が楽しい。

イケメン北村匠海も暗い男を演じるとなんか不気味になるもんだな。
三白眼が怖いのかな。というか河合優実や木南晴夏とか三白眼率がなかなか高い。
で、この暗い男のどこに惚れたのかはいまいちピンと来ず。。優しければなんでもいいのか。
裏切られたと思ってやさぐれる子供っぽさ。信じてやれよ。「いいよ、一緒に死ぬよ」にも動じないしなんなのこいつ感はある。

大人たちのぐだぐだにも一切無関心で影響受けない純粋の塊である愛美の娘がある意味常軌を逸しているのだが、その逸脱感がまた天使でもある。
そんなに上手い子役じゃないと思うが、ラストの方のカオスで愛美と目が合うシーンは天使だった。

古川佳澄(木南晴夏)に対応する守のシーンは結構圧巻だった。
現実と夢の境目がよくわからなくなるのは城定監督作でよく見る気がする。
守の変貌の悲しみ、古川への同情、そして守の独白による守の怒りや切なさや絶望の吐露、っていう見ている感情がぐじゃっとする。それにそんな大声出して周りの職員が駆け付けないのかという疑問心配も付いてくる(夢のようなシーンだから途中で職員もいなくなっている)。

金本の登場シーンだけど、めっちゃ弱そうなんだよね。
高そうな赤いスポーツカーからサングラスかけたひょろっとした奴が出てきて偉そうに歩いたりして、明らかに下っ端チンピラがちょっといきっているような雰囲気しか無いし。
山田(竹原ピストル)の方が絶対強そうじゃん。強弱の逆転現象。
後のシーンで金本の腕に入れ墨があるのを見て、やっと、あ、こいつやばい奴、って認識したらまあ怖い。
窪田正孝のあの軽い声の飄々とした演技は、金本というキャラと相乗してギャグと恐怖が裏表で存在するような不思議な威圧感があった。

宮田さんを演じた伊藤万理華は、市役所職員とは思えないほどのかわいさ。
調べたら元乃木坂の人みたいね。
なんかこのPVの完成度凄いな。曲、歌、ダンスが高次元すぎる。
昔のPVなのかな。本当に同一人物?

2025年6月28日土曜日

映画『ガキ帝国』

1981年 監督:井筒和幸
製作国:日本
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とんでもない熱量で駆け抜けていく映画ってたまにあるよな。そんな映画。
大阪って昔はこんなイメージだったわ。
街を歩けば不良に囲まれる、みたいな。

昭和42年の大阪。キタの北神同盟とミナミのホープ会がばちばちやりあっている中、リュウ(島田紳助)、チャボ(松本竜介)、ケン(趙方豪)の3人は徒党を組まずに自由に暴れまわっていた。
リュウと一緒の少年院帰りのジョー(升毅)は大阪での自由を求めて北神同盟に入会する。
ジョーによって北神同盟はますます勢力を伸ばしていき、、

ストーリーは正直よくわからないっちゃわからない。
登場人物が多すぎて誰が誰だったか覚えてられなくて。。
それでもなんかはちゃめちゃで楽しいわ。
ガキがガキ同士でお遊びしているんだけど、思わず殺してしまった時の反応とか、ガキのお遊びの範疇を超えた時の姿がリアルで滑稽。
ガキ同士の遊びにインテリやくざ(上岡龍太郎)が絡んできたりして、ガキのお遊びが汚れていく。

若い紳助が愛嬌あってコミカルでかっこいい。
で、愛嬌という点だと松本竜介がさらに飛びぬけている。この圧倒的小物感よ。
上岡龍太郎はかっこいいな。
趙方豪は初めて見たけど凄くいい表情する。早世していて惜しい。

喫茶店の前でリュウとジョーがそれぞれ反対の道に進んでいくシーンいいよね。仲間になりそうでいてもうこの時点で決定的に決別している。
あと、ゴキブリさんと服部(北野誠)の商店街でのやりとりw
あの服部だとは思わなくてなんどか巻き戻して確認しちゃったよ。凄い変わりよう。
ゴキブリさんの裸革ジャンもいかれている感が増していて笑える。
そんなイキったゴキブリさんも人が死ねば慌てふためいて逃げるガキであった。

大杉漣がちょい役で出ている。富士ホールのマスター。
あとアパッチのリーダーに國村隼。その配下に木下ほうかもいたらしい。

2025年6月22日日曜日

映画『ゾンビランド 』

2009年 監督:ルーベン・フライシャー
製作国:アメリカ
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ホラーみたいなグロありのコメディー。
あ、こいつら死なねーなと分かってからは基本的にゾンビの緊張感はなくただのコメディー見ている感じがした。
ロードムービー要素はgood。
そんなに面白くなかったけど、つまらなくはなかった。

主役のコロンバス役にザッカーバーグのジェシー・アイゼンバーグ。
相棒タラハシーにウディ・ハレルソン!
途中で出会う姉妹にエマ・ストーンとアビゲイル・ブレスリン!
ビル・マーレイの豪邸にお邪魔とか実名使うんだと思っていたら出演までするビル・マーレイ!
っていうようにマイナー映画にしてはキャストが豪華すぎないかと思ったら、これマイナーどころか結構なヒット作らしい。
タランティーノが評価しているとかなんとか。ああ、好きそう。

CGありのスタイリッシュな映像と主人公によるナレーションやらモノローグ、っていう映画に対する既視感が凄いある。この時期そういう映画がたくさんあったからなのかなぁ。

10年後の続編もあるらしい。

2025年6月14日土曜日

映画『逆噴射家族』

1984年 監督:石井聰亙
製作国:日本
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学生の頃に『爆裂都市 BURST CITY』っていうぶっとんだ映画見た以来だと思う。石井聰亙監督作。
前半こそ個性的な幸せ家族のほのぼのコメディみたいな雰囲気だが、後半からぶっ飛んでくる。パンクだわー。

真面目なサラリーマン小林勝国(小林克也)は、妻冴子(倍賞美津子)、息子正樹(有薗芳記)、娘エリカ(工藤夕貴)の家族とともに念願の夢のマイホームに引っ越してくる。
勝国にはある悩みがあった。それは自分の家族がそれぞれ何か人と違う個性を持っていること。
それは都会の団地住まいのせいで、この静かなマイホームでその"病気"は回復するだろうと信じている。
ほどなく勝国の父寿国(植木等)が祝いにやってきてなぜか居座る。
それをきっかけに"病気"は悪化していき。。

小林克也は俳優もやっていたんだな。
風貌や体形は冴えないおじさんなんだけど、最後の方の泥まみれのスーツ(礼服)姿がくそかっこいい。ここにあのイケメンボイスが加わったら最強すぎる。
脚本がもう小林克也を想定して書かれていたらしい。
だからこんなにもハマっているのか。
そういえばシャイニングばりのドア破壊があったな。カットも構図も全然違うけど、マイホームの呪いって感じで捉えると全体的なストーリーもシャイニングに影響受けていそう。ジャンルもテーマも全く異なるが。

工藤夕貴は台風クラブといい変態に愛されやすいのだろうか。
亀甲縛りさせられたり植木等に胸もまれたり(さすがにフリまでだった)って当時12,3歳のはずなんだけどな。

植木等はさすがという感じ。コメディはお手の物だよね。前半から元気すぎるほど元気なのだが、後半はさらに生き生きとしていた。

倍賞美津子は、主婦感を出しながら下品感(色気)も出してはまり役。
きれいな人だよね。千恵子より美津子派。

有薗芳記はサイコパス感が凄い。前野朋哉に似ている。

小林克也に限らず他の俳優もあてがきしたんじゃないかってくらいハマっていた。

シロアリ駆除の薬を抱えて疾走するシーンが音楽もいいし一番好きだな。
電車の中でまで走っているしw
あとは爆発の不思議なまでのカタルシス。の後の全てがリセットされるような静寂。

冒頭の空撮は今だとドローンでもっと無機的にスマートな映像になりそう。
同じような家が整然と並ぶニュータウンの街並みをこれみよがしに撮らずにさらっとだけ映す空撮の不安定なカメラの方が味がある。
都会の病と決めつけ家族を見ているようで全然見ていない勝国。
家族の個性はこんなに理路整然とした空間では余計はみ出して見える、っていう意味ではニュータウンの街並みは結構重要なシーンではある。

原案小林よしのりで脚本にも加わっている。
当時の時代背景が色濃く反映されているみたいね。
マイホームやら受験戦争、アイドル・プロレス、流行歌、それに逆噴射。
ストーリーは社会性があって実は結構凝っているような気もする。
ただどちらかというとコメディやぶっ飛び具合を楽しむ映画かな。
面白かった。

2025年5月31日土曜日

映画『愛なのに』

2021年 監督:城定秀夫
製作国:日本
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河合優実見たさに鑑賞。
これ城定監督なのかとびっくりするくらい今まで見た二作とテイストが違う。
脚本のせいなのかな、それにしても是枝監督並みの自然な日常会話の面白みが全面に出ていて思いのほか面白かった。

河合優実の役どころは30のおっさんに突然求婚するJKっていう役で、演じる子によってはただのやばい子になったりしそう。
いや、河合優実が演じてもやばい子に変わりはないんだけど、なんというか盲目な純粋さとかかわいらしさや芯の強さがさりげなく現れていて、やばいんだけど惹かれる、みたいな絶妙な感じになっている。
凄い子だわ。
セリフで面白いのは「(親なんて)関係あります?私たちに」。全国の親が泣く。恋に盲目な若者の発想なんだけどなんかみずみずしい。「私たち」の片割れがおっさんという異物なのも面白い。
というかこの映画はやばい人だらけだな。
なかでも一番やばいのは正雄君(丈太郎)で、若いとかそういうレベルの話じゃなくてサイコパスに近く人として壊れているw (不倫がましに思える)

「城定と今泉が互いに脚本を提供しあってR15+指定のラブストーリー映画を製作するコラボレーション企画「L/R15」の1本」らしい。
ということは脚本は今泉力哉か。

以下、少しネタバレ


「下手ですよね」のくだりのホテルでの亮介(中島歩)と美樹(向里祐香)の長回しの会話は日本映画史上に残るシーンだった。
会話も仕草も間も完璧で笑えるうえにゾっともする。群を抜いてw
亮介を演じた中島歩は面長のひょろっとした人で、登場時こそうさん臭さをまきちらしたただの脇役かと思ったんだけど、役どころは主役級の一人だった。
喋り方がDAIGOみたいで、それがうさん臭さに拍車をかけていたのに、段々とあの喋り方が癒しになってくる。なんか憎めない奴。
不倫中のプレイボーイ然としているのに「下手ですよね」は結構衝撃的。
一人の女性を想い続ける奥手風な多田(瀬戸康史)こそ、前戯もそこそこ&がん突きの下手の代名詞みたいな感じだったのに(映画の尺の都合もあるが)この逆転現象を誰が予想しようか。
あ、中島歩ってふてほどの安森先生か!

2025年5月24日土曜日

映画『キネマ純情』

2016年 監督:井口昇
製作国:日本
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20数年前に『クルシメさん』を見たきりの井口映画でも見てみるかと適当に選んで再生。
冒頭1分でもう大混乱。
これは厳しいかもと思って挫折しかけたが、怖いのもの見たさで鑑賞を続けて最後まで観た。

廃部寸前の演劇部のJK達が、部員の姉のつてで女子大生ナオミが監督する自主映画に出演することになる。
で、ストーリーはキスは世界を救うみたいな話かな。
少女達の百合であり、唐突にホラーでもあり、ゾンビ映画でもあり、バイオレンスもあり、なコメディー。

ナオミ(中村朝佳)のいかにも芸術家気取りの凡才といった感じがよく出ていて面白いのだが、この目力強くてオーラのあるナオミが後半ではスカートめくられてイヤーンとか言っているのを誰が想像できるだろうか。
展開がぶっ飛びすぎていて、常人の発想じゃないw
自分でけしかけたバイト達をぶん殴っているのは笑った。
あとヨシエが「やっぱ嫌いやこいつ」とアカリをはたくシーンは効果音もあって笑える。

自主映画に初めて参加する際の劇中劇への移行の仕方は上手い。普通に騙されたし。

アカリ役 荒川実里
ヨシエ役 洪潤梨
ケイコ役 上埜すみれ
アキ役  柳杏奈
ナオミ役 中村朝佳

我々はクラスの半分以上が美少女という異常な空間が平然と提示される映画に慣れすぎたのかもしれない。
この映画の登場人物達は中心人物含めてなんと普通なんだろう、というか普通より、、
どの子も個性的というかインパクトのある子達で、それがだんだんとクセになってくる。
上埜すみれが結構いい。客観的に見てたぶん一番かわいくないのだが、コメディエンヌとして見ると一番魅力的。
ヨシエとナオミの最後のシーンなんかよくこの脚本でそこまで感情のせて演技できるなと感心する。

この5人のノーメイクスという名前のアイドル、実際に存在して4年間ほどアイドル活動していたらしい。
「埋もれている才能を持った若手女優を発掘し、映画の主演をさせて少しでも運命を変えさせたい」
ってことで井口昇プロデュースで集められた5人らしい。
たぶんノーメイクスの結成がこの映画より先なのかな。
つまりこの映画は紛れもないアイドル映画だったのか!ちょっと衝撃。
それにしてもラストそんな狭いところで躍らすなよっていうセンスw
はい敬礼!
冒頭の衝撃にも関わらず、最後にはこの5人が好きになっているという

2025年5月18日日曜日

映画『新・少林寺伝説』

1994年 監督:バリー・ウォン
製作国:香港
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洪家拳の始祖洪熙官による子連れ狼。
リー・リンチェイ主演。ヒロインチンミー・ヤウ。

なかなかいろいろとぶっ飛んでいて楽しい。
特に人形の使い方が何かを諦めているかのよう。
冒頭の襲われた村の悲惨なシーンに続く、火櫓に遺体を放り投げるシーンなんか吹き出してしまった。
もう人形なんて隠す気もなくて、重さが一切ない人形が回転しながらスポーンと火に飛び込んでいく様はギャグ以外の何物でもない。
背負った赤子の人形が気になりすぎて戦闘シーンより注視してしまったりw
酸のプールの上につるされているシーンなんかは人形というかもはやただの布切れだったw

死体(と思われている)のおばちゃんの上に平気で腰掛けたり壁に投げつけたりサバ折りしたり、子供たちは自由だなぁ。

毘沙門天像みたいな止めポーズがいちいちかっこいい。
マンティン君もちゃんとカンフーやっていて凄いわ。今どうしてるんだろう。

2025年5月10日土曜日

映画『シャイニング』

1980年 監督:スタンリー・キューブリック
製作国:イギリス
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ステディカムで有名というくらいしか知らなくて、サスペンスかなと思っていたらホラーだった。
しっかしまあ怖い。私がホラー映画に耐性があまりないとか関係なしに終始怖い。映像だったり音楽だったり意味の分からないストーリーとか映像の違和感とか一つ一つが全部怖い。
ホラー映画にありがちな、突然現れるとかどぎつい効果音でびびらせるとかそういうのが全く無く、ひたひたと静かに恐怖を積み重ねる感じ。すごく上品。映像美が凄いからできる芸当。

山間の道路を走る車の様々な角度からの荘厳な空撮で始まる。
タイトルクレジットが邪魔に思えるくらい荘厳。
音楽は幻想交響曲のあのチューバのメロディ。なんだけどどうも幻想交響曲ではない感じ。
調べるとシャイニングのテーマってなっている。えっ?
グレゴリオ聖歌「怒りの日」を編曲したものらしく、幻想交響曲のあのメロディも「怒りの日」の引用らしい。知らんかった。。

撮りたい映像や撮りたい音があってそこに脚本が付いてくるのか、それとも逆か、っていうのを冒頭の空撮やダニーの三輪車のシーン、血の洪水の美しいしぶきとか見ていて思った。

原作はスティーヴン・キングで、原作を改変しまくっているからキングはこの映画版が大嫌いだそうな。
ジャックはアル中で癇癪持ちっていう設定があったのか。
映画見ているとジャックが狂った理由ははっきりと分からないのだが(分からなくても別にいい)、小説だとその辺の説明がしっかりされている様子。
映画と小説では登場人物たちの人物造形が全く異なり、ラストも全然違うらしい。
近年の漫画のドラマ化時の改変とかかわいく見えてくる。

144分くらいの長い版もあるらしい。

有名な映画だから考察している人もたくさんいて、ネットで少し調べるとまあよくそんなん気づいたなっていう話がぽろぽろ出てきてそれはそれで面白い。

2025年4月26日土曜日

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

2019年 監督:片渕須直
製作国:日本
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冒頭からなんかやばくて、駄菓子屋前でヨーヨーしている弟にそうそう上手上手って言っている姉でぐっときて、緻密で複雑な人々の動きからウイスパーボイスの歌声が聞こえてきたらもう涙腺崩壊しそうになった。

戦争映画かなとなんとなく思っていたけど、この時代を懸命に生きたすずさんという少女の物語だった。
広島が舞台で、呉への空襲、そして原爆、っていうのは確かに大きな要素ではあるのだけど、焦点はあくまでこの時代を生きているすずさんの物語。
すずさんはとてもほんわかした子で、心優しくそして働き者。
怒った姿なんて想像もできないくらい。
ちょっと聖人もしくは阿呆すぎやしないかという気もするが、それが物語が進むにつれ、ストレスで禿げができていたりとか、感情が爆発したりとか、人間らしい側面が見えてきてどんどん魅力的になっていく。

すずさんを演じたのはのん。まんまのんだった。
最初こそ違和感があったけど、だんだんと馴染んできて他の声では考えられなくなる。
感情高ぶったところのシーンとか凄い。

今少し見返すと本当どのシーン見てもぐっとくるものがある。
登場人物達はシンプルな顔立ちなのに物凄く表情が豊かで、所作の一つ一つも緻密で美しい。

なんか公開時よりシーンが追加された版みたいで168分あった。通常長い映画って耐え難いのだけどこれは終始面白かった。

2025年4月19日土曜日

映画『ルックバック』

2024年 監督:押山清高
製作国:日本
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その辺の映画より何倍も映画っぽく、かつ最高のアニメだった。
冒頭の4コマ描いている後ろ姿の細かさ。貧乏ゆすりや手鏡に映る横顔とか、細かい動き(変化)の全てが繊細に洗練されている。
そんな作画が最後まで続くから凄い。
雨の中藤野ちゃんが興奮して走っているシーンなんか名シーンすぎる。
走っている姿が基本的にどれもいいよな。京本ちゃんの走っているシーンとか二人で走っているシーンとか。
ドアという境界線を挟んでつながる時空。
喪失と再生の物語をこれほど完結に感動的に描いた作品ってそうそう無いと思う。

藤野ちゃんの声がよかったんだけど、河合優実だった。この子なんでもできるな。
京本ちゃんの声も女優さんで吉田美月喜という人。この人もすごかった。

2025年4月12日土曜日

映画『ある用務員』

2020年 監督:阪元裕吾
製作国:日本
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なかなか面白いアクション映画。
野間口徹が開始0秒で退場w
映画中盤には早々と物語が一区切りつく。
あとは漫画的なバトルアクションへ。

般若ってラッパーの人なんだね。
大げさな演技がうざいどころかうまい。
目ひん剥いた輩感が怖いんだけど、深見を説得する際の話術で知的な面も違和感なく見せているから凄いわ。
前半の主役は間違いなく般若だよね。
で、後半は前野朋哉が圧倒的な主人公感で一気に映画を乗っ取っていく。

主人公はたぶん福士誠治君演じる深見。
でもあまり存在感が無い。
アクションもだいぶスタント使っているように見えるし。
映画のキャラ的にも役者的にも食われまくっているのが少し残念。

準主役で芋生悠演じるJK真島唯とその幼馴染役の伊能昌幸がいる。
この二人のやり取りがなんかキモイ。
失礼な言い方すると、美男美女でやっても少しキモイやりとりがこの二人でやると。。
伊能君はなんか体鍛えていそうだけどカースト最下層にいそうなモブの風貌なのにくそでかいピアスつけていたりとそのアンパランスさが異様な雰囲気でもある。
伊能君は坂元監督の『最強殺し屋伝説国岡』では主演しているっぽい。
国岡の予告編見るとなんかかっこいいな。髪型が違うからか。

ラスト10分くらいは尺合わせなのだろうか。全く無駄な時間。。

『ベイビーわるきゅーれ』の二人もほぼそのまんまで登場。
ちさとの方はど素人設定かな。
ちさとはまひるについて何となく殺し屋になったみたいな話がどこかであったっけ。

2025年4月6日日曜日

映画『リバー、流れないでよ』

2023年 監督:山口淳太
製作国:日本
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SFほのぼのコメディ。タイムリープもの。
京都の貴船って所が舞台で、貴船の中でも大半が老舗料理旅“ふじや”の中(少し外)で完結する。
小川をスタート地点として2分毎に舞い戻るから同じことの繰り返しで飽きそうだけど、スタート地点からいろんなルートで老舗旅館の中と外を見せてくれてるので、同じことなのに小さく時に大きく変化するそのバリエーションが面白い。
しかも景色もループのたびに晴れていたり大雪だったりっていう変化も面白い。
「世界線がずれている」ってとってつけたような説明だけど、実際は撮影の都合で雪が降ったり止んだりしていたんだろうな。結果オーライ。

役者は近藤芳正と本上まなみ以外は初めて見る人たちだった。
主役の藤谷理子はなかなかのコメディエンヌぶり。特徴的な声が面白い。
脇役陣はなんかベテランの風格がある人たち。映画役者というよりかなり舞台役者よりな気がする。
そういえばストーリー的にも演技的にもこじんまりした範囲の舞台的にも、この映画は映画というより舞台っぽかったな。
ストーリーは人の生き死に要素は無い方がもっとほのぼのできた気がする。
ループの終了がめっちゃハードル高くなるじゃん。死んでるターンなら取り返しがつかないし。
ループのオチはちょっと微妙。造形もお遊戯のような。。

映画見た、って感じは全くしなかったがこういうのもたまにはいいか。

これ貴船の観光映画かなんかなのかと思って調べてみると、別にそういうわけではなさそうだった。
それより劇団ヨーロッパ企画っていう有名なところが手掛けた映画らしい。
ベテランの風格の舞台役者っぽかった脇役陣はやっぱりこのヨーロッパ企画の人たち。
あと、撮影は10年に一度の大寒波に見舞われたから雪が積もっていたりしたらしい。
主演の藤谷理子の経歴が面白くて、英国ロイヤルバレエなどに短期留学するくらいバレエに熱中した後に俳優になっている。

2025年3月30日日曜日

映画『君の名は。』

2016年 監督:新海誠
製作国:日本
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普通にアニメのOPみたいなのが流れた時は笑ってしまったが、さすがに大ヒットしただけあって面白かった。
宣伝で知っていた入れ替わりっていうのはなるほど少しトリッキーな感じなのね。
普遍的なジャンルであるラブロマンスにSF要素加えて、日本的要素も強め、ってそりゃあヒットしそうだ。
ムスビとか引き戸やドア、川などの境界線等民俗学的。
背景がめっちゃ奇麗でそれだけでも結構見応えがある。

新海監督にあまりハッピーエンドなイメージがなかったけど、大ヒット作だしハッピーエンドなんだろうなと思って見ていた。なかなか泣ける。

お前は誰だみたいな知らない落書きより一日分の記憶がなくなっているほうが大ごとだろうとか、今日がいつとか目にする機会いくらでもあるだろうとか、細かいところで突っ込みどころはあれども些細な話。
ただ、二人がひかれあうきっかけみたいなものがストーリー上薄かったのは残念。
薄いというか大事なところがダイジェストという。
しかもRADWIMPSの曲に乗せたダイジェスト。
OPもそうだけどちょこちょこRADWIMPSの曲が挟まるのなんなの?って思った。邪魔。
あと主役は俳優じゃなくて声優の演技で聴きたかった。
なんか文句ばっかり書いているが全体的に面白かった。

2025年3月21日金曜日

映画『台風クラブ』

1985年 監督:相米慎二
製作国:日本
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いやぁ、狂ってる。
長回し、ロングショット、画面の隅々(画面外含む)まで動く役者、奇行、狂気、ロリコン、と、この監督の全てが詰まったような映画なんだけど、狂気が研ぎ澄まされすぎている。
台風が皆をおかしくした、っていう理由付けで常識や倫理は吹っ飛ぶ。
思春期の生と性のあけすけで純粋な輝き。

冒頭の夜のプールのトプンっていう音からもう名作。
その後静けさから一転バービーボーイズの曲で水着で踊り狂う少女達。
おぼれて目を覚まさない明君に対してどこかのんびりしている周り。ここでもう狂気は始まっている。
しかも明君がおぼれた理由は、少女たちに水泳パンツ脱がされコースロープ巻きつけられてプールの中を引きずり回されたからだったw
いじめというか殺人未遂。
しかし少女達の楽しい笑い声にはいじめ特有の悪意が無い。
ただ遊んでいただけなのだ。
実際明君はいじめられっ子でもなんでもなく、殺されかけたことよりパンツ脱がされたことにテヘッとしている。
かけつけた先生(三浦友和)も目覚めた明君達をぺしぺし叩きながら、既に我関せずでプールで遊んでいる少女たちに「本当ろくでもないなお前ら」で終わり。
こことラストで死の概念が出てくる。死の対比の生。
まだ何者でもない(人間でもない)少年少女が、大人になる手前でもがきながら今の瞬間瞬間を全力で生きている。
その圧倒的な生の輝き、好奇心や無邪気さの前では倫理や理性は邪魔でしかない。
そしてそのタガが外れた純粋さは大人から見ると結構恐怖でもある。

明君、授業中えんぴつ鼻に突っ込みまくっているのめっちゃ笑える。

台風がすべてをおかしくした。っていうか台風の前からだいぶおかしいけどね。台風中は特にやばい。
レイプ未遂でYシャツずたずたで血も点いているのに誰も何も言わないし。美智子(大西結花)もその後なんかケロッとしている。

よくわからないカットのつなぎから、大空をバックに座り込む理恵(工藤夕貴)のシーンが一番好きだな。
風切り音と息遣いと笑顔。何か始まる前の不穏さと笑顔。
あと工藤夕貴の嵐の中のもしも明日がの狂気シーン。

よくサムネで見かける下着姿の少女達が雨の中踊り狂っているシーンはその先まであるとは思わなかったな。
この踊り狂うシーン見ていると『ポンヌフの恋人』の花火の中踊り狂うシーンを思い出した。

純粋でない大人代表の教師役で三浦友和。
主役の三上恭一は鶴見慎吾の弟らしい。
鶴見慎吾もそのまんま兄役で出演している。
ロリコン大学生役に尾美としのり。
温厚そうで見事な入れ墨持ちの教師の彼女のおじ役で佐藤允。
寺田農がどこに出ていたのか分からなかったが、健の同居人役らしい。顔が映らないので全くわからない。
佐藤浩市も全く分からなかったが、体育館で台風来るぞと言っている教師らしい。わからんw
めがねのみどりちゃんは声優の渕崎ゆり子。

この予告編めちゃ奇麗ね。4Kレストア版らしい。

2025年3月16日日曜日

映画『放課後アングラーライフ』

2023年 監督:城定秀夫
製作国:日本
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胸糞ないじめにあっていた追川めざし(十味)は父親の仕事の都合でどっかの田舎町に家族とともに引っ越す。
友達は作らないと決めていためざしだったが、元気印の椎羅(まるぴ)やクールメガネの凪(森ふた葉)がずけずけと近寄ってくる。
そしていつのまにか皆で釣りしている。

いじめられっ子って感じがよく出ている。
こういう子を前にしていじめにならないのは椎羅達がのびのび生きているからだろう。
ラストの方の長回しの告白は結構泣ける。

田舎の美少女達のほのぼの青春コメディを期待していたから少し違っていたけど、まあいい子たちですな。
椎羅LOVEの明里のキャラが一番面白かったな。演じた平井珠生がいい。
コメディはこの子と宇野祥平が引き受けていた。
他に西村知美や中山忍、藤田朋子も出ている。
監督は『ビリーバーズ』の人だったと見終わってから知った。(最初から知っていたら期待値上がりすぎて落差でやばかったかも)

2025年3月9日日曜日

映画『aftersun/アフターサン』

2022年 監督:シャーロット・ウェルズ
製作国:イギリス / アメリカ
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ストーリーがドラマティックだとか、映像美がぁとかそういうわけじゃないのになんかじわっと余韻を残す映画ってあるよね。そんな映画。面白かった。

どっかのリゾート地にやってきた父と娘の物語。
物語っていうか一見二人がリゾートを満喫しているだけに見える。
見えるっていうかそうか。
父親30歳、娘11歳で、父親は離婚しているっぽい。
二人の仲は良好。たまに静かに喧嘩はする(娘の対応が大人)。
そしてこの父親がなんか少しだけ闇がある。自殺しそうな雰囲気の闇。
加えてスキューバーのシーンとか、なにか事故に合いそうな雰囲気も演出で醸し出すからとにかくはらはらする。
子どもの頃の何もかもが新しくて楽しくて輝いて見える、そして大人へのどきどきする憧れ、っていうのが全編に散りばめられていて、その対比で少し闇のある若い父親が位置する。
ノスタルジックと現実。
ブラウン管テレビとかビデオカメラとか、なんか時代は結構昔の設定で、現代の大人になった娘がそのビデオを見ていたりする。
全てが楽しかった少女時代を見る大人になった娘の視点が加わり、少女時代にはあまり気づけなかった父親を大人になった娘が見つめる。
結構多層な構造でノスタルジックと現実を映し出していて面白い。

アマプラの概略
思春期真っただ中、11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす若き父・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間をともにする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)は、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。
っていうのを映画見終わった後読んで、そういうことか、って思った。
セリフやシーンをしっかり凝視していないとたぶんあまりストーリーは把握できない。
で、予告編見たら泣く。そういうことか、って思ったw
少し早送りしながら見直してみると、そういうことか!ってまた思った。

空港の別れのシーンがソフィのかわいさが爆発して一番よかったのだけど、冒頭の早い段階でこのシーン出てたのね。
よく見るとビデオを停止して巻き戻し(早送り?)している大人ソフィの影が映っている。
ビデオの巻き戻しでこの映画のあのシーンこのシーンが一瞬映しだされて、昔の懐かしいビデオを見る大人ソフィと同じ視点になる。これはこの映画を2回以上見ないと分からない。
それにフラッシュライトのよくわからない人物は大人ソフィで大人ソフィの顔から子供ソフィの顔に切り替わるのは同一人物ですよと示唆していたのか。

以下ネタバレ

絨毯を引き取っているってことはそういうことなんだろうな。
大人ソフィと子供ソフィの時間軸だけでなく、子供ソフィの中でも後半は結構細かく時間軸の前後を入れ替えている気がする。
裸で泣いているシーンや海に入るシーンはソフィと別れた後のシーンなんじゃないだろうか。

ラストの空港別れシーンから現代ソフィ、そしてカメラを回し終えた過去の父親にシームレスにつながるのはいい。
さらには、空港のドアの向こうに消えていった父親だが、ドアの先はフラッシュライトのあの世界なのね。服装が同じだし。
フラッシュライトの世界は劇中何度かインサートされていたけど、その世界にラストで突入するわけ。
この世界では時空が超越していて、ダンスシーンでは父親と大人ソフィが再会していてなかなか感動的。

2025年3月4日火曜日

映画『マニアック・ドライバー』

2021年 監督:光武蔵人
製作国:日本
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アマプラでアクションのカテゴリーの中から適当に時間の短いやつ(75分)選んで鑑賞してみた。
アクションじゃなくてサスペンスホラーだった。
エログロ。
冒頭からどエロい。
そしてその直後のグロシーンで一気に醒める。グロ嫌い。。

タクシー運転手のフジナガ(木村知貴)は、とある理由から心中相手を探している。
というかそんなストーリー伏せる必要ないか。あってもなくてもいいような話だし。
妻が殺人鬼に殺されてその殺人鬼はその場で自殺したんだけど、フジナガはその時のショックから「だから俺も誰かの命を理不尽に奪い、自殺する。これは復讐であり弔いなのだ」と考える。はぁ?
いや、まあエログロに論理的な思考なんかいらないか。
ちなみにこの理由ってやつは最後に一ひねりあったりする。

タクシーが日産プレジデントでなかなかかっこいい。
車の走っているシーンもふんだんでいいね。
車体の外側に取り付けた固定カメラでいろんな角度から走るプレジデントの一部分が映し出される。
・・・車全体を見たいのになかなかじらしてくるぜ。

中盤過ぎあたりから、走る車のシーンも食傷気味になってきて、タクシー乗客の早回しシーンの使いまわしとか見ていると途中で鑑賞やめようかと思ってくる。
一応最後まで見たけど、全体的にはそんなに自分にははまらなかった。
股間フラッシュの殺人鬼の登場シーンとおむつ教祖はなかなかセンス高い。
ありえないくらいの量の血!血!血!と血?内蔵??みたいなやつとか、グロとかエロとか、B級好きとか、一定の客層にはドはまりしそう。

調べてみると、この映画はジャパニーズ・ネオ・ジャーロを謳い、ジャーロにオマージュを捧げているらしい。
ジャーロとかジャッロは文学や映画の一つのジャンルで、映画だとダリオ・アルジェントとかマリオ・バーヴァの作品群が該当する。
アルジェント!
言われてみれば確かに冒頭のタイトルバックもそうだしスタイリッシュな色合いとかもそんな感じだ!
近年ジャーロがまたブームになってきているらしい。
そんな中でのジャパニーズ・ネオ・ジャーロ、という視点で見れば多少は面白く見れたのかも・・・関係ないか。

出演のセクシー女優さんたちもばいーんとしていて皆さん頑張っている。
古川いおり、佐山愛、卯水咲流、きみと歩実
古川ときみとはこんなにむっちりしてたっけ。

2025年3月1日土曜日

映画『シン・ゴジラ』

2016年 総監督:庵野秀明
製作国:日本
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うーん、どうなんでしょう。ちょい微妙だったな。
ゴジラのシーンは迫力あって面白かった。
高層ビルを惜しげもなく攻撃手段に使うところとか、ゴジラが初めて光線吐くところの巨神兵みたいな終末感とか。
だけど、ドラマ部分が圧倒的につまらない!
リアルな設定にしたかったんだろうけど、そんな「へー」とか「こだわっているね」みたいな感想にしかならない設定まじどうでもいいこった。
スーパーX出せや。
よくわからん説明でテンポ感がなくなってしまう。
そして登場人物が多すぎてしかも皆プロトタイプで薄っぺらい。
高橋一生とか塚本晋也とか松尾諭とか市川実日子の役とか、もうアニメのキャラみたい。
石原さとみのキャラだけが頑張っていて、他の役もこのくらいぶっ飛んでくれていると面白かったのだが。

真面目設定だけど、だいぶ意図的なコメディ要素を入れているってところが中途半端なのかな。
全体的にB級映画にもなれず、バトロワみたいにB級的チープさを持った真面目エンタメという絶妙なバランスがあるわけでもない。
石原さとみ役みたいなB級に振り切るか、コメディは抑えて真面目側に振り切るかどっちかで見たかった。

登場人物多いって書いたけど、役者も有名どころがちょい役含めて多々出演している。
ゴジラファンか庵野ファンか知らんがちょっと出すぎじゃないか。。

2025年2月25日火曜日

映画『バトル・ロワイアル』

2000年 監督:深作欣二
製作国:日本
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これも当時ヒットしていたよな。
初めて見たけど、めちゃくちゃ面白かった。
ジュブナイルでやくざ映画!
無人島でやくざ映画!
こんなぞくぞくする設定で面白くないわけがない。
それに加えて
B級映画すれすれの圧倒的エンタメ演出!
北野武の圧倒的存在感!
有名俳優達の若き日の初々しさ!
狂気と仁義のバイオレンスアクションの中の少年少女の切ない純愛!
突っ込みどころも多々あるバイオレンスの中の笑い!
全てが絶妙なバランスの神映画。

血だらけのぬいぐるみを抱えた少女が不気味な笑みを見せる冒頭からこのチープさにぞくぞくする。
時折インサートされる字幕とかも懐古趣味で切なくて可笑しい。
音楽と効果音なんかばちっとはまりすぎてコントレベルに楽しい。バスで七原が殴られるシーンとか首輪爆発のシーンとか。
宮村優子のビデオ説明とキタノのやり取りがこの映画のすべてを物語っている気がする。
真面目の中の笑い。リアルさとエンタメ。

どのシーンも面白くて書いていたらキリがないよな。
細かいところだと
のぶ君が殴られた時の足の回転がブレイクダンスみたいで美しい。
キタノがぬかるみに少し足を滑らしてかわいい。

各々の死にっぷりも皆美学があって映える。
千草貴子役の栗山千明がびっくりするくらい美人。
そんな千草より琴弾ってどういうこっちゃ。
杉村君の唐突な死に方から「喋ったこともなくて」(は?)からの「死ねばいいの」からの狂人対決っていう、混乱の中の静と動の激しい切り替わりは脳汁出るw

allcinemaのコメント見ると圧倒的低評価でびびる。
そうか、原作ファンが原作との差異に不満があるとか、リアリティ求める人が多いとかなのかなぁ。
ストーリーはまあよく分からなくはあるんだけど。
ただの中学教師だったキタノがなんであんなに権力あるのかとか。

ああ、あとプログラミングしている画面を停止して見てみると(おそらくC言語っぽい)、printinteractiveusage()ってusageなんか作っている場合かよって思った。どっから拾ってきたのか。

2025年2月22日土曜日

映画『シュリ』

1999年 監督:カン・ジェギュ
製作国:韓国
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なんか当時大ヒットしていたな。
この頃韓国映画だと確かキム・ギヨンの『破戒』見て衝撃受けていた時で、シュリがそれを超えるとは到底思えず全く興味なく見ていなかった。
なんかデジタルリマスターで最近再公開されたらしい。アマプラにあったので見てみた。

冒頭どことどこが戦っているのか全くわからないゲリラ戦が繰り広げられる。
結構グロい。
その中でも線の細い女性兵士がなんだかめちゃつよ。
射撃の腕は天才的で、格闘もゴリラみたいに強い。
どうも北朝鮮と韓国が戦っていたみたいね。
この激強い女性兵士イ・バンヒは後に韓国に潜入して韓国の核物理学者とかそういう重要人物をばんばん暗殺した後姿を消す。
で、このイ・バンヒを追う二人の韓国情報部員ユ・ジュンウォン(ハン・ソッキュ)とイ・ジャンギル(ソン・ガンホ)がダブル主人公っぽい。

ジュンウォンと恋人イ・ミョンヒョン(キム・ユンジン)のイチャイチャや興味ないなれそめ話など聞かされたりした後、3人で食事しているシーンで一旦限界がくる。
なんかつまらないぞー。
もうすぐ結婚するとかって死亡フラグ立てるな!とか、この恋人がイ・バンヒなんじゃね、とかもうありきたりな展開が予想されてほぼ確実にそうなりそうだからどうしたもんかと思う。
ちなみにこの食事シーンの箸使いの下手さが最後につながっていたりする。

ストーリーはジャッキーのポリスストーリーとかそんな感じのレベルの話で、ストーリーはどうでもよくてアクションとラブロマンスが主軸なのかな。
それにしてもチープなメロドラマだった。

ストーリーの細かいところはよくわからなかったけどまあいいか。
雨の中3人で走っていたのにいつの間にか当たり前のようにジャンギルが消えていたりとか、旅客機テロ事件でパク・ムヨン(チェ・ミンシク)はどうやって逃げたのかとか。

2025年2月16日日曜日

映画『VIDEOPHOBIA』

2019年 監督:宮崎大祐
製作国:日本
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全編モノクロームの静かな映画。
のはずなのに音楽がうるさい。
エンディング曲とか余韻もなにもすべて吹っ飛ばす破壊力w
予告編見ていると、この映像と音楽のミスマッチは意図的にやっているのかなという気もする。

大阪コリアンタウンに住む青山(朴)愛(廣田朋菜)は、ある日自分のとある映像がエロサイトにアップロードされているのを見つける。
そこからじわじわと不安と妄想が侵食していき、何が現実なのかわからなくなっていく。

現代でモノクロで撮るなんて大体イキった作品が多い中、この映画はなかなか面白かった。
コリアンタウンとモノクロが時代を超越してあやふやな現実感を与えていて見応えがある。
妄想がはっきりとした妄想ではないので、見ている方も何が現実か、どこまでが現実だったのか、わからない恐怖がある。
ジャンルとしてはホラー・サスペンスに分類されているのね。
被害者の会のシーンなんか笑いと意味不明な恐怖、宗教的怪しさの狭間でなかなか怖かった。

主人公は感情をあまり表に出さない。
動画を見つけた時のショックも受けているのか分からないほどに。
しかし、後の精神が蝕まれているかのような現実の崩壊を見ていると、泣き叫ぶシーンを見せられるよりずしんとくる。

いいシーンはいろいろあったが、中でも商店街を部屋着で駆けているシーンが一番好きだな。

映画のジャンルでいうと、コメディを付け加えてもいいかもしれない。
ワークショップのシーンの反抗とか、被害者の会もそうだし、ラストのあのもぐりっぽい医者とか、別人じゃん!とか。
着ぐるみっていう物自体も笑いと恐怖が共存している存在だしな。コメディ的要素も少しは意識しているはず。

出演は他には忍成修吾、芦那すみれ、サヘル・ローズ。

2025年2月11日火曜日

映画『Winny』

2022年 監督:松本優作
製作国:日本
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東出君っていつも一人だけ別世界の住人のように浮いた感じになるイメージがある。
でも「プログラミング言語以外の言語で喋る術を知らない」とか言ってしまう天才プログラマーでプログラム以外のことはからっきしというどこか浮いた存在の役柄がよく合っている。
東出君自体のプライベートも浮いてるしある意味この人も天才なのかも。
ラストに金子勇のインタビュー映像が流れて、それを見る限り流暢に喋るしそんなにずれた人に見えなかったけどどうなんだろう。

腐敗した京都府警や司法、それにそれほど関係ない滋賀県警の裏金事件とか絡めて、善と悪っていう対立がはっきり描かれている。
小悪党がよく似合う渡辺いっけいとか、地味に怖い渋川清彦とか、腐敗っぷりを効果的に演出している。
そして一番悪役っぽい吹越満はなぜか善の弁護側。
っていうのが善悪をあまりに区別しすぎるとうさん臭くなるから針の穴ほどの緩みを与えるためにとった配役なのかも。
といってもあまりにも善悪の構図がはっきりしすぎてうさん臭いことに変わりはないけどね。
たった2行書き換えるだけで今ある情報漏洩を止めることができる、ってそんな簡単な事なら逮捕前に直しとけよと思わないでもない。まあ脆弱性ってそんなもんか。突かれるまで気づかない。

Winny事件って話題になっていたものの詳細はよく知らなかった。
映画見た後でもよくわからないっちゃ分からない。
包丁が犯罪で使われたらその包丁を作った人が罪に問われるのか?っていうのは当時からよく耳にした気がする。
弁護団事務局長の壇氏はこの刃物の例えは使ったことがなく、例えるなら「高速道路でみんなが速度違反をしていることを知っていたら、国土交通省の大臣は捕まるのか」っていうのをよく言っていたらしい。
高速というインフラの上で違法行為が行われているっていうのでこっちの方が多少わかりやすいか。


この動画なかなかに気持ち悪い。
優秀な弁護人っていうジョークのひろゆきとのやりとりとか、その程度のオツムとか。。

例えでいうと川上量生の「殺人につかう刀を作って、包丁だと言い張っていた」っていうのがしっくりくる。
Winny自体に一貫して否定的な産業技術総合研究所の高木浩光は「Winnyネットワークはワームプラットフォームである」「Winnyはネットワークに参加する人が全員適法に使わない限り、適法に使えない」と言っている。
高速道路の例えでいうと、麻薬の運び屋御用達の高速道路を作って、さらにはこの高速道路を走った車には勝手に麻薬が搭載される機能付き、みたいな話か。(例えが下手か)
金子勇が天才プログラマーであったことは確かだけど、Winnyが「世界にも類を見ない危険なツールであった」っていうのはちゃんと認識していた方がいいだろうな。

2025年2月8日土曜日

映画『バトルクリーク・ブロー』

1980年 監督:ロバート・クローズ
製作国:アメリカ / 香港
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ジャッキーチェンの昔の映画はだいたい見ている気になっていたけど、なんか見たことないやつが何本かありそう。
これもその一つ。

舞台はアメリカ。
マフィアに店を脅かされなんやかんやでバトルクリーク格闘技選手権とかいうのに出る話。
ストーリー上の面白さはなきに等しいかな。
ローラースケートの賭けレースにしろ、格闘大会にしろ、ルールがなんでもありすぎて大らかというかぶっ飛んでいて面白い。
レースなんか選手同士の妨害ありどころか、観客まであからさまに妨害して、それでなんとなくレースが成り立つんだから、無法地帯どころかむしろかなりお行儀がいい。
格闘技大会も、決着の場面を観客が誰も目撃していないのに優勝者が決まって誰も文句言わないという。。
思えば冒頭の高所での謎の筋トレ(しかもドライブデート中?)からぶっ飛んでいたな。普通に凄くはあるので構わないけど。
暴力反対の父がジェリー(ジャッキー)の格闘技大会での活躍を大喜びしているのも深い謎。

中国人同士のカンフー対決が少しあるくらいで後は巨漢アメリカ人に小柄なジャッキーが無双する。
強敵と戦うって感じは一切なく、無駄な邪魔が入る以外は基本的に無双。
なんか物足りない感じ。。

師匠役にマコ岩松が出ている。
ラスボスのH・B・ハガティは日本でも活躍した往年のプロレスラーらしい。

格闘技大会の出場者がほとんど喋らないのは中国語喋れないからかと思ったけど、字幕版見てみたら皆英語だった。
監督のロバート・クローズは燃えよドラゴンの監督。アメリカ人。
ジャッキーの初のアメリカ進出映画とのこと。
ジャッキーは当時アジアではすでにスーパースターだったが、アメリカでは無名すぎて撮影に口を出すことも武術指導することもできなかったらしい。
この不満が後の80年代の数々の名作誕生につながったりしているのかも。

2025年2月1日土曜日

映画『ビリーバーズ 』

2022年 監督:城定秀夫
製作国:日本
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一応サスペンスなのかな。
ジャンルはどうあれ、久しぶりに面白い恋愛ものを見た気持ち。
そしてエロティック。
孤島に男二人と女一人、って野獣のような本能でめちゃくちゃになりそうなんだけど、孤島といっても食料は定期的に運ばれてくるし、それほど原始的な生活はしていない。
何より彼らの教義から性欲は抑制されているので、気持ち悪いくらい清らかに健全(?)。
(新興宗教の信者だから別の方向で何か狂気があるけど)
副議長さんと呼ばれる女性も若くてきれいな人だがエロいオーラが何もない。
それなのに、雨のシーンを皮切りにスイッチが切り替わったように突如としてエロさが顔を出してくる。
以降はもうエロの塊。我慢しろというのが無理なくらい。
演じた北村優衣さんが体当たりで凄いわ。(綾瀬はるかに少し似ている)
セクシー系の人だったりするのかと思ったら普通に女優さんだった。
出演作見ていたら女子グルメバーガー部っていうドラマで見ているな。あれから数年でこんな体当たりしているとは。

原作は山本直樹の漫画。山本直樹も重要な人物でちょい役で出演している。
ストーリーは細かいところよくわからなかったけど(オペレーターさんの記憶が飛ぶ理由とか大波とかラストとか)、漫画読むとわかるのかなぁ。

冒頭ドローンから始まり、3人の周りをカメラがぐるぐる回るのが受け付けずに速攻見るのやめかけた。やめないでよかったー、面白かった。

2025年1月26日日曜日

映画『響-HIBIKI』

2018年 監督:月川翔
製作国:日本
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原作はスペリオールで読んでいて結構好きな漫画だった。
映画はおおむね原作通りに話が進んでいた気がする。(原作うろ覚え)
主演は平手友梨奈。
主人公響のぶっとんだ恐ろしさとかカリスマ性がよく合っている。
が、ちょっと美少女すぎる。
フードかぶっているシーンなんか美少女オーラ出まくっているし。
響ってかわいらしくはあるけど決して美少女ではない(眼鏡陰キャ)ってイメージだったからそこはなんとなく違和感があった。(書いてみると至極勝手なイメージだな)
原作者と監督が響は平手友梨奈に是非!って感じだったらしい。

イメージでいうと編集者の花井役が北川景子で、これもなんかイメージが。。
元ヤンの武闘派なのに大人しく社会に適合した敏腕編集者っていうギャップがいいキャラだったんだけど、映画ではなんか強そうじゃないし、凛夏の一件が印象強くなっちゃって無能な編集者って感じだった。

脇役は他にもなぜか豪華。
小説家役で小栗旬に柳楽優弥に北村有起哉、あとちょい役で吉田栄作。
他には高嶋政伸とか山村紅葉とか。
祖父江凛夏役のアヤカ・ウィルソンは子役出身でそこそこ有名そう。

全体的にはまあ面白かった。ああ、そうそうこういう展開だったとか懐かしくて。
続きが見たいけどもう作れなさそうだな。
演出は、緊張感を醸し出す音楽とかちょっとうるさかった。なんかそういう小手先の演出が多めな印象。

2025年1月19日日曜日

映画『あんのこと』

2023年 監督:入江悠
製作国:日本
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アマプラで本当に適当に選んで鑑賞始めたんだけど、もう今年No.1にしたいくらいの名作だった。
冒頭の「この映画は実際にあった事件に基づいている」っていう字幕に最初はふーん程度だったのに、だんだんとこの一文がのどに刺さった骨のようにじんじんとつっかえて気になってくる。
「事件」ってなんだよ。。
主人公のあんちゃんが真面目でいい子すぎて、事件なんて起こらなくていいからとにかく幸せになってほしいと願わずにはいられない。
終始どきどきしていた。

杏の母親がなかなか強烈。
家からベルトかちゃかちゃした男が出てくるってだけで全てを悟らせる。(しかも家に婆さんいるし)
その後の激しいDV。。
ばあさんはある程度まともそうなんだけど、どうしてこうなったか。
家族に男がいないことが関係しているのだろうか。
もうとにかく狂っている。
演じた河井青葉さんは役柄から鬼女のように怖いけどよく見るとなかなか奇麗な人。

物語の最重要人物の刑事多々羅を演じたのは佐藤二朗。
ヨガシーンで少しコメディチックになるけどそれ以外はシリアス。
多々羅は昭和の男。
そして男って馬鹿だねとかそんな言葉で片付けられないレベルの阿呆。

ある目的をもって多々羅に近づく雑誌記者役に稲垣吾郎。
50代でこんな若い素人いるかっていうのは置いといて、「あんちゃん」ってちゃんづけで呼んでいるのは少しきもい。

そして主役が河合優実。
この子凄い。
なんというか対比で他の役者があざとく見えてしまうくらい役柄に自然に溶け込んでいて、見てるだけで心が揺さぶられる。
この映画は確実にこの子を中心に回っている。(主人公だからとかではなく)
とんでもない才能だよな。
初めて見たと思ったら『由宇子の天秤』の女子高生役の子か。妙に雰囲気あって結構覚えている。
ふてほどにも出ているらしいので今度見てみるかな。
そういえば『由宇子の天秤』の主人公の父親もやらかしていたな。
人柄や善性と下半身は別の生き物なんだろうか。

入江監督はドラマでやっていたサイタマノラッパーを見たくらいなのでもっといろいろ見てみたい。