2004年9月27日月曜日

◇◇◇◇ 田川寿美コンサート ◇◇◇◇◇

私は田川寿美さんのファンです。
寿美さんの歌を聴くのが生きがいです。

仕事を早退して渋谷公会堂へ。
渋谷駅から人ごみの流れに沿って歩く。
渋谷公会堂に近づくにつれ、人の波は若者より年配の人が増えてくる。
少しだけひるみながらも会場に入る。
チケットに記載された席は7列目。探していると前の方の席はほとんど人で埋まっているのを見て、探すのをやめてロビーに戻る。
禁煙マークが見えるがマークの側に「喫煙は所定の場所で」と書いてある。喫煙所を探して1階2階をうろうろするが見つからず、1階の非常口らしきドアの前にいた係員に喫煙所を聞く。
全館禁煙とのこと。でも「どうしても我慢できないようであればこちらへどうぞ」と言われドアの外に案内してくれる。
どうしても吸いたいといえば吸いたいのだけど・・・
雨上がりの空を見上げながら1本愛しく吸う。

会場に戻り自分の座席を探す。ステージに向かって右端から3つ目だった。
開演まで待つ。
左隣には高校生くらいの若い女の子が座っている。右隣には長靴がキュートな小柄なおばちゃん。
傘を杖のようにして暫くぼーっとしていると、おばちゃんが「傘ここ置いていいよ」と言う。前の座席に沿って傘を置かしてくれた。
「どうもすいません。ありがとうございます」
「あのぅ、山内恵介さんですか?」
「えっ?」おばちゃんと目が合う。
「いえ、全然違いますよ。ははは。」
Yシャツネクタイのどっからどうみてもくたびれたサラリーマンの兄ちゃんつかまえて山内恵介とは面食らう。似ても似つかない。周りの人たちに比べて少し若いってだけで間違えた?
彼女の親切は俺を山内恵介だと思ったからなのかなぁ?
それにしても第二の美川憲一と密かに思っている山内恵介と間違われるとは。

いよいよ始まる。
1曲目はデビュー曲『女・・・ひとり旅』
おお!
となりの女の子がマリアを拝んでいるかのように手を合わせた状態で口パクで歌ってる!!
何者だ。田川寿美を目標に演歌歌手を目指している女の子なのか!
そうこう気をとられているうちに曲が終わってしまう。
それだけじゃなくてスピーカーから流れる音になんか違和感感じる。
オケは必要最小限で、ヴァイオリン、エレキ、ソプラノサックスやアルトサックスやフルート(←1人でやってた)、キーボード、ドラム、あとなんかあったかな。ベースもいたか。とりあえず全部一人づつ。
オケの音が聞こえすぎるくらいに聞こえたからうざかったのか、演奏が下手だったのか、演奏のバランスが悪かったか、寿美さんの声量にマイクが耐え切れず時折音が割れているように聞こえたからか。原因の特定が結局最後までできなかったんだけど。
席がはじっこの方でスピーカーのすぐ近くだった事も聞こえてくる音の違和感になったのかもしれない。
そもそもコンサートってクラシック等の生音でしか体験した事なくて(こないだのキュピキュピを除けば)、スピーカーで増幅されたコンサートって始めてだからただ戸惑ったのかもしれない。

次に初期の曲を3曲『思い出岬』『雪舞い列車』(←初めて聴いたがかなりの名曲)『みれん海峡』でデビュー当時からの足音を聞き、そして「華観月」「しゃくなげの雨」で会場を華で満たす。
→衣装チェンジ

ユーモアに溢れた司会のおじさんが場を繋ぐ。ラジオ「華のうた」の会話が流れたりもする。
何分も待った後、イントロが始まった。
寿美さんが登場してくる。その姿を見て息を呑む。
ワインレッドのドレスを纏い、華麗にステップを踏んで舞台中央に進む姿のなんという華やかさ。
華麗に、華麗な、とかちょっとでも動作や行動がかっこよかったりすると簡単に使う言葉だけど、本当に"華麗"な人って見たことあるだろうか。人に呼吸を忘れて見とれさせるほどの。
衝撃はまだ続く。
登場してきて歌った曲が『本牧メルヘン』でこれがまた哀愁の含んだ声で熱情的に歌っているのさ。感動とか通り越して震えてくる。
(「本牧メルヘン」は作詞 阿久悠/作曲 井上忠夫で鹿内孝が歌っていた。GS全盛期にヒットしたソロ曲。)
続けて因幡晃の『わかって下さい』。「涙で、文字が 滲んでいたーならー わかあてー くださいー」の切ない歌声とフレーズが頭から離れない。

一転古い叙情歌を。北原白秋の『砂山』と『城ヶ島の雨』。
歌声がじっくり聴けていい。これらの曲を聴かせられる歌手ってそういないだろう。歌声や情感がむき出しでさらされるから実力がないと聴いてられないだろうし。
『忘れな草をあなたに』そしてシャンソン『サントワマミ』。
『サントワマミ』はどこまでも伸びやかに広がっていく歌唱と可愛らしい声の歌唱の対比が正に「夢のような~」素晴らしさ。
この時だったかな、歌いながら舞台袖の方に歩いていき、歌い終わった瞬間にぴょんと飛び跳ねるようにして袖に消えていった。夢のように。
→衣装チェンジ

ピアノと寿美さん自らのギター弾き語り。
ドリカムの『やさしいキスをして』。なんでこんなにかっこいいのか。シンプルな演奏で歌が映える。
そして『ひばりの佐渡情話』。
これは凄い。何度か寿美さんが歌っているのを聴いた事があるのだけど今までで最高の歌唱だったと思う。
今までは上手に歌っていた感があったけど、今回はかなりいい意味でフォームを崩して歌っている。
基礎のしっかりした人が殻をやぶって自由に羽ばたきだしたらもう誰もかなわない。
今後も年を重ねるごとに常に衝撃と感動を与え続けてくれるであろう田川寿美に対する期待と、今耳から入って全身をしびれさせている奔放で力強い迫力の歌唱で胸がいっぱいになる。
次にギターを置いてピアノ伴奏のみで『初めから今まで』。冬のソナタの主題歌。
冬のソナタも見てないしこの曲はそれほど耳にしたことないのだけど、間違いなくオリジナル歌手よりかは上手いだろうな。持ち歌みたいに歌いこなしている。ハングル語で。
田川寿美の華やかさを見ていると、他の若手女性歌手が皆田舎娘に見えてくるのだけど、かといって寿美さんは都会の人って感じもしない。京都も少し違う。
無国籍なんだよね。和歌山出身の日本人で演歌歌手であることは確かなんだけど、日本人でもどの国の人でもないような。むしろ確かに今を生きている一人の人間でありながら、人間の域を超えた存在といった感じか。
→衣装チェンジ

紫の着物で登場。
『こぼれ月』そして『悲しい歌はきらいですか』。
私が一番気に入ってる曲『悲しい歌はきらいですか』は芯からざわざわ震えが来るほどの衝撃。
今までと歌い方が違う。語尾はくっきりと切って語りかけるように、かつサビは伸びやかに、流麗に。
歌で観客を空間ごと包み込んでしまうのは美空ひばりと田川寿美くらいなもんだ。
『浅野川恋歌』『雑草の泪』『哀愁港』『北海岸』『海鳴り』着物姿でしっとりと。
→衣装チェンジ

衣装チェンジの間、司会の話から次の曲は『女人高野』だと知る。
舞台が光で照らされると寿美さんの姿が浮かび上がる。『女人高野』の衣装は少々飽きていたけど今回は衣装が違うではないか。
うろ覚えのため印象で書くと、天草四郎時貞の女性版みたいな。
エレキギターをかき鳴らした寿美さんから迸る熱情。迫力の歌唱。しびれるほどかっこいい。
そしてこのハードロック調の変な曲で唯一演奏と歌のバランスよい合致を感じる。
おお、もうラストだ。最後は一番新しい曲『花になれ』。
「すきな きせーつに ああ~ぁはなーになれ~」

夢の時間をひきずりながら渋谷の街を駅に向かって歩く。

田川寿美の生声聞いて、この人のファルセット(裏声)について認識した事。
TVやCDで聴いていた限り、寿美さんの裏声は魅力的なんだけど、裏声になるとパワーダウンしている気がしないでもない。
しかしなんだ、パワーダウンどころか地声よりパワフルだったりするじゃない。そして裏声まで見事にコントロールしているから力強かったり柔らかだったりと非常に表現も豊か。
裏声使いの名手寿美さんは曲中結構たくさん裏声を使うのだけど、裏声になると声の響きと麗しさが倍増しに広がる。
他の歌手のファルセットと違うのは声の響きが尋常じゃない事で、TV等で聴いているとこの響きは完全に伝わってこない。
地声の響きと麗しさにターボがかかった生ファルセットはとろける陶酔感を与えてくれる。
ああこりゃもう中毒だよ。

2004年9月26日日曜日

映画『晴れ、ときどき殺人』

1984年 監督:井筒和幸
BS2 録画


晴れ、ときどき殺人

名作『ひまわり』の後に見るもんじゃなかったか。
太ったおばさんが殺人現場を目撃する。太ったおばさんは会社の会長さんで偉い人。いつもなんかほおばってる感じ。
この会長のもとに現在容疑者として掴まっている人物を犯人だと証言しろと脅しの電話が入る。
ええ~!もしかしておばさん探偵物じゃないよなぁ。ちょっときついぞ。
でも安心。おばちゃんは病気で亡くなってしまう。このおばちゃん、誰かと思ったら浅香光代。えらい大根役者だと思った。

推理を引き継いだのはアイドル探偵渡辺典子。はぁ安心。
母の死後、悲しみをまぎわらすために赤いレオタード姿で面白いダンスを披露しても、はぁ安心。(フラッシュダンス?)
翼のついた自転車で空を飛んでも、はぁ安心。(ET?)

しっかしギャグがどうしてこんなに笑えないのか。
そもそもあのラストシーンの二人の笑顔は一体なんなのか?監督はちょっとやばい人なのだろうか?
というか松任谷正隆は昔は太っていたのか。
原作赤川次郎。
渡辺典子は、かわいらしい。ただ渡辺典子を撮りたかったような。

映画『ひまわり』

1970年 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
BS2 録画


ひまわり

ソフィア・ローレンの魅力をどう説明しようか。
ほりが深く、厚ぼったい二重まぶた。骨っぽい顔に大きい口。閉じた唇は彫刻のように美しい。
顔の造りは好きじゃない。かつ、もうおばさんだし。
でもなんでこんなに魅力的なんだろうねぇ。
浜辺でマストロヤンニに「君の家こそ農家では?」と言われ「うちは理髪店よ」と返す。この時ソフィア・ローレンが、「はんっ、ふぇへーん」と眉を上げて小さく言うのね。憎らしさに可愛さを含んだ演技の自然さ。
また、二人の結婚式で教会から走り出すソフィア・ローレンの嬉々とした表情よ。
一個一個書いていてもきりがない。ソフィア・ローレンが内に秘めている激情と宿命的に持っているんじゃないかと感じさせる不幸さに惹かれるのかな。(それも演技?)
ちなみに惹かれるというのは女優ソフィア・ローレンに対してで、顔立ちでいえば断然ロシア娘を演じた色白リュドミラ・サベリーエワさんがいいよな。

作品は戦争によって間を引き裂かれた夫婦の運命を描く。

2004年9月25日土曜日

映画『灰とダイヤモンド』

1957年 監督:アンジェイ・ワイダ
BS2 録画


1939年、ドイツはポーランド・ドイツ不可侵条約を破ってポーランドに侵入した。(第二次世界大戦が始まる)
ポーランドにはナチスに協力する人間が誰一人もおらず、ナチスはポーランドに傀儡政権をたてることができなかった。
徹底的な抵抗は犠牲者を多く生み出す。
また、ナチスにより虐殺されたユダヤ人は、ポーランド出身者のみでも270万人にのぼるそうだ。

戦時中ポーランドはドイツとソ連によって分割されている。
ソ連の支配領域はというと、こちらも変わらない。収容所送りや虐殺で多くの人が殺された。
特に「カティンの森の虐殺」では4000名を越えるポーランド軍将校が殺されたとのこと。

1944年8月、ナチスはその勢力を失いつつあった。ポーランドワルシャワの住民はソ連軍の来援を期待して蜂起する。
だがソ連軍は動かなかった。
ワルシャワはナチスによって徹底的に破壊される。
戦後のポーランド支配を目論むソ連にとってはナチスがイギリス寄りの蜂起指導者達を一掃してくれる方が都合が良かった。
1945年2月、米英ソによるヤルタ会談でポーランドをソ連が治めることが認められる。
ワルシャワに国民統一政府が発足される。
ポーランド人が望む望まないを関係なく、ソ連主導の国民統一政府によりポーランドは社会主義的な道を歩むことになる。

そんでこの映画の話だけど、年代は1945年、ドイツが敗戦したあたり。
ワルシャワでの激闘を生き残ったマチェクとアンジェイは、信念の強いコミュニストである県委員会の書記シチューカを暗殺しようとする。
政治背景を知らなくても面白く見れる。
時代の波に否応なしに呑まれ、疑いなく道を歩んでいた青年が国と時代と、人生の喜びと悲哀を一身に受け止める悲劇。
・・・うーん、ポーランドの歴史を調べて書いただけで疲れた。

映画『時をかける少女』

1983年 監督:大林宣彦
BS2 録画


時をかける少女

「土曜日の、じっけんしつ~!」と叫んでダイブするところから原田知世が時空を駆け抜けるシーンまで、本当すごい。というか涙なしに見れない。
演技の面白さや少々ちゃちな特殊効果も絶妙なバランスになって。
映画史に残るSFシーン。

ラストのエンドロールも驚きだな。
予想外な行動は涙なしには見れない。
エンドロールのためにわざわざ本編の撮影以外にもう1テイク撮るという熱の入れ方。
楽しくて楽しくて浄化された心持ち。吾郎(尾美としのり)より深町(高柳良一)を選んでしまうという納得のいかなさも吹っ飛ぶ。

あと岸部一徳と根岸季衣が恋人役なのね。根岸さんはむっちりしたダイナマイトな太ももを披露しているし。もうほんと涙なしには。

まあ、なんといっても一番最後の知世さんの笑顔が全ての映画なんだけど。

2004年9月23日木曜日

映画『リオ・グランデの砦』

1950年 監督:ジョン・フォード
BS2 録画


リオ・グランデの砦

アパッチ族が西部を荒らしてはリオグランデ河を渡ってメキシコに逃げていた。
スターク砦の司令官、カービー・ヨーク中佐は困難な討伐に頭を悩ませる。
そんな時、15年も会っていない息子が新兵として砦にやってくる。
さらには息子を除隊させようと長らく別居中だった妻までやってくる。

ジョン・ウェインとモーリン・オハラ主演の西部劇。
アクションシーンはもとより、家族を軸にした人間ドラマまでじっくり見せてくれる。
にしても少々物足りない気分。登場人物の顔が全然覚えられなかったからか、映像ばっか見てあまり字幕を読まなかったからか、ジョン・ウェインがしょぼくれた男に見えてしまったからか。

青年になる息子を持つヨーク夫人(モーリン・オハラ)が若く美しすぎる。14,5才で子供生んだのだろうか。息子のジェフが僕の母だと新兵仲間に紹介したシーンが夢幻の空間になっている。

2004年9月20日月曜日

田川寿美&大川栄策スペシャルショー

昨日録画した『BS日本のうた』を鑑賞。

川野夏美が着物着てるの初めて見た。「りんりんりんどうはこ・む・ら・さ・きぃ~」
この人着物の方が断然いいな。

島津亜矢が最近歌っている「帰らんちゃよか」っていう熊本弁の歌があるのだけど、ばってん荒川さんのカバーらしい。
ばってん荒川さんは熊本県を中心に九州全土で活躍中。
1937年生まれ。19歳(18説も)でお米ばあさんを生み出し、芸名をばってん荒川とする。昭和45年33歳でレコードデビュー。
そんで今回収録場所が福岡ということもありばってん荒川さんが出演していた。
何を歌うんだろうと思っていると「帰らんちゃよか」を歌ってくれた。
お米ばあさんの格好で語りかけるような歌い方。声は男そのものなんだけど母(ばあちゃん)の優しさや強さがにじみ出ているように見えるのには感服する。少女みたいに可愛らしかったりもするし。
お米ばあさんの後続けて島津亜矢が同じく「帰らんちゃよか」を歌う。
この並列は結構面白かった。
年齢も性別も歌い方も全く違う二人が同じ曲を続けて歌うって滅多に見れない。

キムヨンジャは乙女だなぁ。

番組後半いよいよスペシャルショー。
演歌界きっての実力者田川寿美と大川栄策。
スペシャルショーっていつも1,2曲他の出演者が応援(コーラスやらプチコント)に加わって華やかに展開するんだけど、今回は完全純血2人だけのスペシャルショー。
なんて地味なんだ!しかもあれっと思ったら終わってしまう。
30分じゃ短い。
消化不良具合はそれだけ歌で堪能させてもらったからか。もっと聴きたいよっていう。

初め、寿美さんの響きのあるファルセットと栄策さんのぼそっとしながらも質感のある渋い声がどうも合わない気がして違和感があった。
でも何度も何度もこのスペシャルショーを繰り返し見ていると段々気にならなくなってくるな。気にならないっていうかむしろ当たり障りのない綺麗なハーモニーを聴かせてくれるよりは個性がそのままさらけ出された状態でぶつかりあってる方が面白い。例え合ってなくても。
寿美さん森山直太朗の「さくら」歌ってた。この曲聴いて気づいたけどこの人の声って滅茶苦茶かっこよかったんだ。
栄策さんはギターの弾き語りで「人生の並木路」を歌う。このショーで歌われた中でトップクラスに渋く地味だった。
よく見るとギターを乗せた足がぷるぷる震えていた。
地味だなんだといいつつも栄策さんほど情感を湛えた歌を聴かせる歌手もいないんだけどな。
「人生の並木路」の後、舞台後ろの段の上に立っていた寿美さんを栄策さんがエスコートして舞台中央に連れて行くという演出らしい。
だが歌い終わった栄策さんがギターやヘッドセットマイクを外すのに手間取っていたため、寿美さんが段を降りる手前で立ち止まってしまっている。
置き終って寿美さんの方を見た栄策さんは寿美さんが待っていることに気づいて慌ててぱたぱた駆け寄った。失礼な言い方だけどおっさんのおちゃめさを醸し出した見事な走り。
駆け寄りだした栄策さんを見た寿美さんは「わおっ」てな感じで両手をぱっと広げてみせるフォローもあり。
無事エスコートされて段を降りれた寿美さんと栄策さんが「二輪草」をデュエット。全くいい夫婦だ・・・ん?あか~ん!

寿美ファンサイトから得た情報によると会場では寿美さんの声が栄策さんの声を掻き消すくらいよく響いていたらしい。というか寿美さんの声しか聞こえないくらいの勢いだったらしい。
放送ではミキサーが上手い事編集したのか。

ところで今に始まった事じゃないけどBS日本のうたのカメラワークと編集にはかなりむかつく。
せわしなく切り替わるカメラ。無意味に揺れるカメラ。思いついたようにズームインするカメラ。全身を見たいときにアップになっているカメラ。無意味にパンするカメラ。
上下左右に揺れる揺れる。せわしなくカメラは切り替わりながら。
うざすぎる。

ああ、そうだ9/2に振り込んで9/11の朝にチケットが届いた。寿美さんの渋谷公会堂のコンサート。
クラシックや現代音楽のコンサートは昔よく行ったけど、歌手のコンサートって初めて。出不精だから。
楽しみだな~。

映画『突然炎のごとく』

1961年 監督:フランソワ・トリュフォー
BS2 録画


突然炎のごとく

恐ろしく展開が速い。ジェットコースター並に。常に刺激的で。
5,6年前に見たときは初っ端からずーっとうとうとして見ていたけど、今回は眠くならなかった。
だが展開の速さを頭で捕捉出来なくなってきた1時間後くらいから飽きた。

映画だから動くのは当たり前なんだけど、見ていてこんなに動きを意識させる映画も珍しい。(相米慎二の初期作品のような動きの焦点が画面のいたるところで無尽に発生しているのとは別のアプローチで)
画面に映っていないところでいろんな人が動いている。
例えばテレーズが煙草で機関車をやってくれているシーンで、テレーズの行進に合わせてカメラがぐるっと一回転する。もとの位置に戻ると立っていたはずのジュールは既に揺り椅子に座っている。
また、山荘の2階のバルコニーからテラスを見下ろしているカトリーヌとジムが映し出された後、カメラはテラスに移る。テラスではジュールと娘が遊んでいる。すると階下に下りるそぶりの全く無かったジムとカトリーヌが突然ジュールのいるテラスに飛び出してくる。間髪いれず可愛い娘は放り投げられ・・・
うーん、説明するのむずい。もう一例だけ書いておこう。
テラスのテーブルでジュールと娘が遊んでいる。
→窓から顔を出したカトリーヌにジュールが呼ばれる。
→ジュールは立ち上がって窓でなく入り口(画面向かって左方向)に向かって歩く。
→入り口からカトリーヌ、そしてジムが出てくる。
→カトリーヌ、ジュール、ジムの三人がテラスの入り口で言葉を交わす。
→カトリーヌは向かって斜め右に歩き去り画面から消える。
→ジュールとジムの二人はカトリーヌとは反対方向に歩き出す。
→歩きながら言葉を交わす二人をカメラが追う。
→二人が行き着いた先は先ほどジュールと娘が座っていたテーブル(食卓)で、そこには既にカトリーヌが着席している。
→ジムは椅子が無いためテラスの端にあった椅子をテーブルまで運んでから座る。
・・・えっ?だからなんなんだろ。書くとどうってことないな。
この流麗でコンパクトな動きが面白いんだけど。
ジムとジュールはカトリーヌに対して秘密の話をするためにカトリーヌと別方向に歩いたのだけど、最初上半身しか映らないからどこに向かって歩いてるんだか全然わかんなかったところでああテラスの縁沿いをぐるっと歩いていただけなのね、っていう驚きと、そうなるとわざわざ遠回りした二人の動きがカトリーヌにはいぶかしいものになるはずが、二人の会話など自分とは無関係だとでも言わんばかりに既に席について食卓を整えているカトリーヌと、この山荘には新参者ゆえテーブルに椅子がないジムとか、まあいろんな細かい要素が一連の流麗な動きになっているのね。

なんだかんだ言ってもそもそもジャンヌ・モローがどうしても老けて見えちゃって、よくのれなかった。
あと、Gコードで録画したというのに最後2分映ってないし。

2004年9月19日日曜日

飲み前

午後3時前に家を出て蒲田に行く。
家賃の更新料を振り込みに東京三菱に行ったんだけど、何回画面をやり直しても現金振込みができない。
キャッシュカードでの振り込みは出来るみたいだけど。
なぜ現金で振り込ませてくれないんだ!
現金で持ってきたからキャッシュカード置いてきちゃったというのに。
西口の三井住友にも行ってみるがこちらも現金振込みができないみたい。休日はできないもんなのか。
ムカムカしながら自転車こいで家に帰り、キャッシュカード持って再び蒲田へ。
カードで振り込んで、それからアパマンへ行く。
坊ちゃん顔した頼りなさげな社員さんに書類渡して更新終了。

5時に友人とマックで待ち合わせしているのだが、時間がある。
時間までシャノアールでくつろぐ予定なのだが、持ってきた文庫本がもうすぐ読み終わるので近くの古本屋でなにか仕入れておこうかと思って寄ってみる。
いろいろ物色していると気づいたら4時回っており、持ってきた文庫本で5時までは持ちそうなので買わずに店を出る。
というか待ち合わせ場所をマックじゃなくてシャノアールに代えてもらおう。
二人の友人のうち一人は遅れると連絡が入っているから1時間シャノアールでそのあとマックで友人一人合流後遅れる友人待ち、ってめんどいし。
だが遅れない方の友人(小中学校時代の友人)の携帯番号を僕は知らない。遅れる友人が番号をメールで送ってくれるという話だったがパソコンの方に送っているみたいで一向にPHSの方にメールが来ない。
遅れる友人に電話して、もう一人の電話番号を聞く。暗記して速攻電話をかけるが全然知らない人が出る。
しょうがない、30分程度の時間つぶしで喫茶店に入るのもなんなので5時まで散歩しよう。
ドラッグストアで綿棒と、100円にも満たない綿棒のみじゃ恥ずかしいからこんにゃく畑一袋を買う。

5時ちょっと前に待ち合わせ場所のマックに行く。
マックの店先で待つ。
来ない。
そもそも通り過ぎる人が皆友人に見えなくもない。ウエストポーチ付けて漫画雑誌を立ち読みしているおたくっぽい兄ちゃんまで友人に見える。7,8年会ってないから。
しびれを切らして遅れるという友人に電話すると、もう一人の友人も遅れるという話を聞く。
じゃあシャノアールで待ってるから着いたら来てくれと言って切る。

今日長い時間渇望していたシャノアールに入ったときは幸せな気分になる。外は暑いし喉も渇いていたので。
アイスカフェオレ飲んで煙草を一服する。
本読んで気づいたらカフェオレに小さな羽根虫が3匹も浮いている。三角関係の後心中したのだろう。灰皿に移す。
半年前から電車の中等でちょこちょこ読んでいた中上健次の『枯木灘』をやっと読み終える。
ちょっとぼーっとした後、暇なのでもう一回最初っから読み出す。
7時前頃に友人達が二人そろって来て居酒屋へ。

・・・

帰宅後、録画していた「BS日本のうた」を見る。寿美さん大川栄策のスペシャルショー。
感想は後日。

映画『いつでも夢を』

1963年 監督:野村孝
BS2 録画


いつでも夢を

公開当時、いったい何万人の日本人が勇気づけられたことでしょう。
ぽっちゃり系の大人気女優吉永小百合と角刈りがびっと決まっている橋幸夫と甘えん坊将軍浜田光夫。
三角関係もどろどろするどころか「でもくらしーと行こうじゃないか」とお互い協定を結ぶ始末。(フェアに勝負しようってことね)
時代の不条理に人生をつまづかせながらも前向きに励ましあいながら生きていこうじゃない、っていうどこまでもクリーンな青春映画。

2004年9月18日土曜日

映画『純情部隊』

1957年 監督:マキノ雅弘
BS2 録画


力道山の映画。
ただし時代は1945年の8月で舞台は兵営。つまり力道山がプロレスラー役じゃなくてぺーぺーの2等兵役なのだ。
軍曹やら伍長にいびられる日々。
進藤英太郎、杉狂児、ディック・ミネ、堺駿二、力道山の仲良し5人組はいびりにも耐えながら兵営にて友情を深めていく。
この兵営には2代目広沢虎造なんかもいて、見事な浪曲を披露している。
一番偉い(?)見習士官に東千代之介。

戦争ものかと思いきや、コメディチックな描き方。
というより力道山はやっぱり力道山だった、っていう展開。
同じ言い方すれば東千代之介は東千代之介で、ディック・ミネはディック・ミネ、堺駿二は堺駿二だった。
まあ、普通に面白い。

2004年9月17日金曜日

懐かしさ

家賃の更新が近づいており、親の印鑑登録証を借りに実家に行く。
借りてから近くの区の特別出張所で住民票と印鑑証明書を貰う。
自転車でそのまま図書館にでも行ってみようかと思ってふらふらこぎだす。
道すがら、結構知っている景色が変わっていることに気づく。
レンタルビデオ屋の「飛行船」が「リバティ」になっていた。「飛行船」は生まれて初めて持った、かつ現在でも唯一所持するレンタルビデオ屋のカードだったのに。
そして第一パンの工場は綺麗な高校に変わっていた。中学生の頃はよくこの工場脇にあったコンビニで立ち読みしたのだけど。
図書館に着く。浪人中に毎日通っていた図書館なのだけど、当時とほとんど変わっていない。
ただ、ちょっと書架の配列が変わっていたくらい。
なんとなしに当時好きだった高橋三千綱の本を探してみたら1冊も無かった。
みんな借りられているのか?そんなわきゃない。
念のため置いてあった検索パソコンで検索してみたらこの図書館にはほんとに1冊も彼の著書が無くなっていた。
知っている景色が変わっていることよりも寂しい気分になる。

映画『怒れ!力道山』

1956年 監督:小沢茂弘
BS2 録画


面白かったぞ。
力道山が子供好きで非常に紳士的な男で。
プロレスはショーじゃありません。八百長もありません。エンターテインメントに特化した特殊なスポーツです。
力道山も映画の中でショーと言われた事に憤慨しているし。
子供達のため、悪を粉砕するために、どうしてもラッキー・シモノビッチに勝たなければならないというシチュエーションがラストの試合を興奮で包む。
といってもどう考えても力道山が勝つ事が決まっているのだけど。
それでもストーリー上プロレスも含めて結構楽しめる。
恩師である代議士大橋と親交のある赤岩という人物が実は悪どい人物だと知った力道山は、大橋に進言しに行く。
しかし大橋にレスラーごときが政治の世界に口出すとは身の程を知れ!政治家はお前達が考えているよりもっともっと高い観点から物事を見ている!などと言われてやりこめられてしまう。
ああ、意思の疎通ができない。自分は無力だ。
しかし落ち込む力道山に飛び込んできた知り合いの記者からの話で、落ち込んでいた気持ちが怒りに変わる。
(展開のテンポがいい上に面白い、っていう例を挙げようとして書いたんだけどこれじゃ分かんないか)

銃で撃たれても試合に出てしまうとはさすがプロレスラーだ。
反則を繰り返すはだしの悪役ラッキー・シモノビッチに怒った植木基晴はシモノビッチに襲い掛かる。
シモノビッチに人形のように軽々放り投げられてしまう。ひどいやつだ。怒れ力道山!
子供がレスラーにぶつかっていくほど熱狂的にプロレスを見れるっていう時代があったんだなぁ。

掃き溜めの鶴のような小宮光江さんが綺麗だ。ふっくらしていて気が強くて美しい。
有馬稲子や岸恵子と比べても見劣りしない美貌の女優だけどネットで調べてみてもあんまし情報が得られない。

大橋役に早川雪洲。
小児麻痺の友人に会わせるべく力道山を呼んで来た元気で小生意気な顔した貫一君は、植木基晴。千恵蔵の実子。
田代百合子が新聞記者。新聞社の名前は「マイチョウシンブン」だ!新井英樹が「ザ・ワールドイズマイン」で「マイチョウシンブン」を登場させたのはこの映画を見たから、ということはまずなさそう。
他、いろいろ。

実際の力道山は凶暴な人だったらしい。三面記事によく「力道山また暴れる」と記事が載っていたとのこと。
高田延彦と永田裕志を足して割ったような顔してるんだね。
力道山は1963年に赤坂のナイトクラブで暴力団員に錆びたナイフで腹部を刺される。
1週間後に死亡。
死因は麻酔医が気管内挿管に失敗したかららしい。

2004年9月16日木曜日

懐かしさ

映画の後、図書館で「ぴあ」でも読もうかと久しぶりに大学に寄ってみる。
夜の外堀公園を歩いて正門に行くとなにやら工事中みたく壁が立ちふさがっている。壁沿いに学生会館の方に向かっては入れるようなので一応進んでみる。
通路を歩いていると夜目でよく見えないがBOX棟が封鎖されているみたいだった。
学生会館は明かりが灯っていて、中に入ろうとしたら、昔置いてあった自販機もなにもかも撤去されてがらんどうだった。
少し恐ろしくなって正門の外に出る。
別の入り口から構内に入る。
図書館は普通にやっていた。
中に入ると、受付がなくなっていて、代わりに改札機みたいな無機的な機械が置いてある。
ライブラリカードを通して入るらしい。近くに学生に向けて、地下1階でカードを発行するように、とか書かれている看板がある。
たぶん僕の持っているカードじゃ入れないのだろうな。試してみる気もカードを発行する気もなれず、帰る。

蒲田から自転車で帰る途中信号待ちをしていると、蒲田行きのバスがのんびりと信号を左折する。
人気(ひとけ)のない暗い夜道。乗客の一人もいないバスの車内が幻想的に青白く光っていた。

映画『みなさん、さようなら』

2003年 監督:ドゥニ・アルカン
at ギンレイホール


みなさん、さようなら

ガエル(マリナ・ハンズ)よりかはナタリー(マリ=ジョゼ・クローズ)の方が好きだな。
セバスチャン(ステファン・ルソー)は婚約者を想い、よくとどまった。

老齢のレミは今病床についている。息子のセバスチャンはロンドンのやり手証券マン。カナダに住む父とは仲が悪い。
それというのも、大学で歴史学を教えていた父は非常に女ぐせが悪かったから。
真面目なセバスチャンはそんな父のだらしなさが納得いかない。

しかし病気の父のためにセバスチャンは婚約者のガエルを連れて父のいるカナダに戻る。
父のため、病院の経営者や組合を買収して広い個室を用意してやったり、世界に散らばっていた父の昔の友人や愛人を呼び寄せたりと、驚くべき迅速な行動力を見せるセバスチャン。
デヴィッド・ドゥカヴニーをさらに甘い顔にしたようなセバスチャン。
セバスチャンを演じたステファン・ルソーはカナダでお笑い界のブラッドピットと呼ばれるコメディアンらしい。

元愛人や友人が病室に来るとひたすら下品な話が繰り返される。少し眠ってしまった。

レミは幸せな死に方したな。死ぬっていうのが、ああ、こうやって友人達の顔を見ている自分の意識が数分後には完全に消滅してしまうんだ、と思うと恐ろしいもんだ。
死に行く意識で初恋の太腿がレミの脳裏に過ぎるのは美しい上に感動的。泣くまではいかなかったけど。

『ビッグフィッシュ』では息子は結局父の生き方に染まったけど、セバスチャンはどうなるんだろう?
ベリーショートの神秘的に美しい容姿を持ったナタリーをほっとけるのか?
父の最期のひとときを一緒に過ごした事で父に感化された、ということはまずなさそうだけど、血は確実に受け継いでいるし。
信念か、血か。いや、どうでもいいや。もうただマリ=ジョゼ・クローズが魅力的すぎて、ひたすらまいっちゃったな。

セバスチャンを演じたステファン・ルソーは、なんでも金で解決する無表情な男を演じているが、嫌味ったらしいどころかその愛くるしい顔ひとつで笑わせてくれる。
幼そうでいてしっかりやり手の証券マンに見えるところが凄い。

レミの生徒役にロマン・デュリスに似た奴がいたな。友情出演かと思ったけどクレジットもないし、見間違いか。

映画『ビッグ・フィッシュ』

2003年 監督:ティム・バートン
at ギンレイホール


ビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディション

サンドラ(アリソン・ローマン)よりかはジェニファー(ヘレナ・ボナム=カーター)の方が好きだな。
エドワード(ユアン・マクレガー)は妻を想い、よくとどまった。

老齢のエドワードは今病床についている。息子のウィルはここ3年ばかり父親と口をきいていない。
それというのも、話し上手の父は身長3M以上はあるだろう大巨人と旅をしたとか、魔女のガラスの目を通して自分の死に方を見たとか、蜘蛛や木々が襲いかかってくる危険な山道を抜けると夢のように幸せな村があった、等々ファンタジックなお話を幾百も持っていて、ウィルは幼少期は面白かったが大人になった今ではとても信じられない話ばかりで父の真の姿が全く見えないことに戸惑っていたのね。
息子から見たら父はただのほら吹き男だったのさ。どこまでが事実でどこからがホラか。真面目なウィルにはその曖昧さが納得いかない。

父の話は全て映像化されている。大巨人や魔女に狼男にビッグフィッシュ、一夜にして庭に敷き詰めた水仙とか。
これがファンタジックかつロマンチックで結構面白い。
ラストのシチュエーションが劇的にファンタジー話の意味を解き明かしている。
いい夫だよエドワードは。それだけにジェニファーが寂しい。

2004年9月15日水曜日

映画『ケス』

1969年 監督:ケン・ローチ
BS2 録画


ラストに起こった悲劇には大きな悲しみと怒りが湧いたのだけど、母親の「たかが鳥でしょ!」という言葉によって完全に孤独になった少年の現在と未来を思い、先ほどまで溢れていた感情はそのまま生を見つめる冷徹な視線に変容する。
これが"リアル"ってものなんだな。

60年代後半のヨークシャー地方の炭坑町が舞台で、そこに住む少年ビリーが主人公。
乱暴な兄とほとんど家にいない母親、学校には聖職者気取りの横柄な教師達。
悲惨さをドラマチックなストーリーで大仰に表現しているわけでもなく、芸術家気取りで淡々と日常を描いているわけでもなく、ただ、そこに生きている人々の"人間らしさ"が少ない表現ながら確実にリアルに描かれる。
これは本当凄い。かつ最高に面白い。
校長に伝言を伝えに行っただけの小さな少年が他の悪童(?)達と一緒になぜか理不尽にも体罰を受けてしまう。小さな少年の潤んだ目が痛い。この理不尽さに遭った少年の感情は後にビリーの口から「あの子落ち込んでいたよ」と語られる事で見事に補足される。
物語の展開の仕方、そしてちょっとしたシーンやセリフにさりげなく織り交ぜられたものが、作中人物の人間味や感情を巧みにつないで見せる。
余分を削ぎ語り過ぎないのだが、常に劇的という不思議な作品。

上手くもないのに大のサッカーファンである体育教師は面白かったな。残酷で横柄な奴なんだけど。
サッカーの授業中に見せた横柄さは本当笑える。ドリブル中に前のめりにずっこけた後、それを生徒のせいにしてPKにしてしまったり、PKで失敗したらお前動いたからもう一度だといって再びPKやったり。
こけた所が一番爆笑した。

映画『洗濯機は俺にまかせろ』

1999年 監督:篠原哲雄
BS2 録画


キザちゃん、キザちゃんって、キザな男についたあだ名かと思ったら名前が木崎だかららしい。
主演筒井道隆と富田靖子。
洗濯機も人生も、くたびれたって諦めずにまだ進めるよ、ちょっと休んで修理してまた頑張りましょうか、って話。

中分けしたボリュームのある髪のサックス青年が、洗濯機を覗き込むため中腰になったとき、前髪を手で後ろに押さえつけながら覗き込む。
ああ、いるいる、そういう仕草する兄ちゃん。しかも店員がそばに立っているし買う気はないけどなんか断りづらい雰囲気。

ほのぼのしながら結構面白い。でもあまり書きたい事が無い。
筒井道隆ぼけーっとしていいね。「今度しゃぶしゃぶ食べにいきましょうねぇ」と自転車で走り去る女性に気の抜けた声で別の女の事を考えながら言ったり。

休み

来週月曜まで夏休み突入。

2004年9月13日月曜日

映画『眠る男』

1996年 監督:小栗康平
BS2 録画


『夏時間の大人たち』を録画したのになぜかこれが入っていた。

群馬県が人口200万人を突破した記念に作られた映画。
群馬県民の税金で製作されたってこと?

小栗監督真面目だな。年をとればとるほど芸術志向が高くなるのはしょうがないのか。
群馬の自然や町並みが鮮やかです。
僕は遠景ショットが好きなんだけど、こうも遠景ショットだらけだと人物が遠い。
自然、家、そこに生きる人、の魅力は充分描かれているから群馬県もとりあえず出来には納得しただろう。
映像にはかなりこだわっている。群馬の自然は辟易するほどの完璧な美を求めて撮らない謙虚さ、故にリアル。でもセット的なところはどれもこれも殊更に"綺麗"だったりする。
と、なんだかいい映画だと言っているのかつまらない映画だと言っているのか、文章のつながりも全くなくて分からないだろうが一つ言いたいのは、現代音楽の作曲家細川俊夫の音楽がひたすら眠気を誘って1時間近くもずっとうとうとしてしまったわけだから感想もくそもない。

2004年9月12日日曜日

映画『ひばり・チエミの弥次喜多道中』

1962年 監督:沢島忠
BS2 録画


ひばり・チエミの弥次喜多道中

今日3本目だからか、このオールハイテンションミュージカル時代劇ムービーはちときつい。
オールハイテンションとは言い過ぎか。緩急は見事にあるのだけど、ハイテンション部分が今の僕の状態ではきつかった。
以前美空ひばり特集の番組で、この作品のワンシーンが取り上げられていた。
それは弥次喜多に扮したひばりとチエミが橋の上を歌い踊りながら渡るシーンで、サビに差し掛かり「タッツタッツタ タッツタァ」と歌いながら走り出した瞬間には何かが弾けたような衝撃があった。
その歌声とローアングルで映された二人の瑞々しい躍動感に感動して泣かされてしまったのだ。
そんなわけで録画しておいたのだけど、疲れているときに見るもんじゃないね。問題の感動したシーンもしらーっと見てしまったし。

ひばりもチエミも演技というか仲のいい友達同士でとにかく陽気に楽しく遊んでいる感じ。そこは愉快ですよ。
美空さんはこの62年だけでも9本くらいの映画に出演しているようだ。しかもほぼ全部主役で。
バイプレイヤーでもないのに1951~1962にかけて毎年7本以上の映画に出演している。驚くべき役者。
歌はもちろん、表情も魅力的だし、立ち回りなんてほんと絶品の素晴らしさ。
江利チエミは江利チエミで田舎娘っぽくておちゃめな魅力を放っている。ちょっとおばさんくさいが。
ただ、ひばりと並んでしまうとどうしてもひばりさんの素晴らしさに目がいってしまうな。
好みの問題かもしれないけど、歌はひばりさんが別格だし、立ち回りや踊りの上手さも際立っているし。

出演者は他にぽっちゃりした濃い顔で色気を放つ東千代之介。
兄と弟一人二役堺駿二。
悪の親玉山形勲。
ひばりとチエミの乳を揉んだ(乳といっても胸の上方部分だったが)田中春男。
凄い役者なのにアホな役もしょっちゅうこなすたんこぶ作って間抜けな千秋実。
茶屋には夢路いとしと喜味こいしが。

映画『リトル・ヴォイス』

1998年 監督:マーク・ハーマン
BS2 録画


リトル・ヴォイス

Wの悲劇を見た疲労が後を引いていたためか見始めてから1時間近くずっと乗れなかった。
でもまあステージで歌っているシーンはよかったな。短かすぎたけど。
しっかしこんなに自分の娘の事を思わない母親っているのだろうか?

映画『Wの悲劇』

1984年 監督:澤井信一郎
BS2 録画


Wの悲劇

世良公則は階段から降りてくる薬師丸ひろ子よりずっと離れたところにいた気がするが、薬師丸に駆け寄る高木美保を見た後あっという間に薬師丸と高木の間に割り込めるというその素晴らしい俊敏さはさすが世良さんですね。

2004年9月11日土曜日

映画『ヒロイン!』

1998年 監督:三原光尋
BS2 録画


のっけからチープなノリで展開する。
大阪下町、未亡人百合子は酒屋を切り盛りして一人娘を育てていた。
酒屋のある商店街は近頃近くにオープンするスーパーによって危機にさらされている。
そしてそのスーパーのオーナー夫人は偶然にも未亡人百合子の小学生時代の幼馴染だった。
というわけでなんだかんだでバレーボールのスポ根ドラマ。

まず、香織役を演じた上野みささんがいい。
元レディースの特攻隊長で今は魚屋という役。
最初の登場シーンでは斜め後方から映されてよく顔が見えなかったので渡辺満理奈かと思った。
めちゃくちゃ美人でもないけれど、とにかくかっこいい。そしてかわいかったり綺麗だったり。
魚でウエイトトレーニングしているシーンは特に可愛かったな。
ばりばりの関西弁でどすをきかせる姿がえらい魅力的。
香織が百合姉百合姉と慕うその未亡人百合子を演じたのが室井滋。
どうみても上野みさの方が強そうだった。スタイルもいいし。

あと未亡人百合子の娘役の中尾貴子という子役の声が渋い。かわいい顔してしゃがれ気味の声でしかも関西弁。

作品の方は出だしからああ、なんか疲れそう、と思ったけど、中盤の橋の上でギャラリーに取り囲まれてのダンスシーンや、感動のラストでは不覚にも涙が出てしまう。
コメディとしてはあまり笑えなかったけど(ふん、と鼻で笑うところはたくさんあり)、これは感動ドラマです。
ラストは盛り上がって満足したところで余計なその後の話など一切入れずに終わったところが気に入る。
室井滋のファッションが手編み系で家庭的ながらもおばんくさくてださいところがGood

2004年9月10日金曜日

映画『少年期』

1951年 監督:木下恵介
BS2 録画


木下惠介 DVD-BOX 第3集

なんだかえらく真面目な映画だな。
ストーリーも撮り方も音楽も。
冒頭から軍歌のような挿入歌が流れて。
戦時中、東京に住む家族が長野に疎開する。
しかし長男の一郎(石浜朗)君は一人東京に残る。
東京に残って一人で頑張ってはいたけれど、強烈なマザコンの一郎君は母が恋しくて恋しくて結局疎開する。

見ていて暫く、僕はなんでこの作品を録画したんだっけと考えていた。
一郎君が家族の疎開先に初めて訪ねて行くシーン、家族のいる家を探していた一郎君は庭先で幼い弟達が「いち、にぃ、さん、しぃ」の掛け声と共に体操をしている姿を見つける。
このシーン見てはたと思い出した(というか確信した)けど、僕以前この作品見てるや。
一度見たくせにほとんど覚えてすらいない作品をなんで録画したんだろう?
全部見終わってから漸く知ったのは監督が木下恵介だったということ。
そうか、木下恵介だから録画したのか。
無名の監督だったらまず見なかったと思う。

氷川きよしを初めて見たときどこかで見たことあると思っていたけど、石浜朗に目の感じが似ていたからだったのかな。
小林トシ子がメガネかけてもんぺ履いた女中役をやっていて面白い。

『二十四の瞳』では土手を行進する子供達を追った移動ショット一つで涙流した記憶があるが、この作品ではそこまで泣くようなシーンはなかった。
ストーリーはほぼ忘れていたけれど、ぶつ切りでシーンの記憶が結構蘇る。

2004年9月8日水曜日

映画『好人好日』

1961年 監督:渋谷実
BS2 録画


数学の教授の笠智衆。妻は淡島千景(夫に尽くす妻を演じさせたら日本一)。
一人娘は涼やかに美しい岩下志麻。

岩下志麻が川津祐介と結婚しようとするのだけど、どちらも親や親族にひとくせもふたくせもある人物がいて・・・
ホームドラマでコメディ。
で、まじで面白い!

川津祐介としたデートの回数を知らず知らずに喋らされたことに気づいた岩下志麻が、「ひどい、ひど~い、ひどいわお母さん」と連呼しながら母淡島千景の腕をつかんでぐらんぐらん揺らしたり体をひっぱたいたりする。
ほのぼの~とした光景のはずがなんでしょう、この違和感。絶妙に度を越えたじゃれあい具合がなんとも面白い。
違和感というか不自然さかな。不自然なリアルさ。が面白い。
岩下志麻が奈良の大仏によく悩み相談を声に出して話しかけてするのだけど、婚約相手がグレゴリーペックに似てると思うとか言うのさ。大仏に。
酒好きという設定の淡島千景は本当に幸せそうに(表情が笑える)酒を飲む。正座してしとやかに。湯飲み茶碗で。
岩下志麻との待ち合わせ場所に駆けつける川津祐介をわざと修学旅行生の群れの中に突っ込ませたり。
妻の女友達の料理屋で正座して無言で酒を飲んでいた笠智衆が女性達の馬鹿笑いに閉口したのか気が振れたかのように歌いだしたり。笑っていいのかなんなのか。
とか、文章で書いてもよくわかんないだろうな。僕も今書いていてだから何なんだろうって思ったし。

とにかくコメディ部分も好き嫌いはあるだろうが僕は結構笑った。
テンポもいい。黛敏郎の音楽もよい。キャストもいい。映像もかなり面白い。

2004年9月5日日曜日

映画『ぼくは怖くない』

2003年 監督:ガブリエレ・サルヴァトレス
at ギンレイホール


ぼくは怖くない

予告編でちらっと見たとき、金髪の子供は少女なのかと思っていたけど少年だった。
少年の方が友情や勇気が深いか。
でも少年期の純粋な恋愛も見たかったなぁ。「恋のはな~さく~ 麦ば~た~け~」なんだから。

イタリアの小さな村。広大な麦畑を少年達がその成長する命を惜しみなく燃焼させながら駆け抜けていく。
黄金色に輝き豊かに揺れる麦畑には圧倒される。
青く突き抜けた空の下に存在する小さな村の住人は皆素朴で温かく、と思いきや村は貧困なのでしょう、大人たちにはある秘密の闇があり・・・

少年ミケーレはある日、家から遠く離れた廃屋の側で秘密の地下室を見つける。
地下室には血だらけで汚れた不思議な金髪の少年がいた。
しっかしこの少年の登場シーンはどんなホラー映画よりも怖かった。心臓飛び出るっていうのはこういうときに使うもんなのだと納得。
『夏解』を見たとき、無意味に驚かす演出は大っきらいだと思ったけど、この作品ではそれほど怒りが湧かない。
少年の視点で描かれているから、少年と一緒に常に冒険気分だったし。

ミケーレの妹マリアが面白い。
可愛らしい少女だが野暮ったいメガネをかけていて、リカちゃん人形みたいなお人形さんを水の中で溺れさせて遊んだりお人形さんを持つときは髪の毛を握り締めてぶらんぶらんさせていたり。
なんか怖い。

映画『グッバイ、レーニン!』

2003年 監督:ヴォルフガング・ベッカー
at ギンレイホール


グッバイ、レーニン!

東ドイツに住み、社会主義に心酔するクリスティアーネはあるきっかけで心臓発作を起こして昏睡状態になってしまう。
彼女が眠っていた8ヶ月間でベルリンの壁は崩壊し、旧東ドイツには資本主義の生み出した製品が西から怒涛の如く流れ込んできていた。
クリスティアーネは目を覚ましたものの、過度なショックは即命取りになる。
この話を医師から聞かされたクリスティアーネの息子アレックスは母にショックを与えないために、家族や近所や友人まで巻き込んで大偽装作戦に奔走する。

途中少し飽きてきたけど、ラストの親子三人のスナップショットには涙。(冒頭でも流れてたか?)

アレックスの恋人役で、かわいらしいんだけどくせのある顔した女優チュルパン・ハマートヴァさんは『ツバル』や『ルナ・パパ』の主演女優さん。
『ルナ・パパ』ではしつこい顔芸演技が気にくわなかったのだけど、この作品はまあまあ。

奇しくも『アンダーグラウンド』の次に見た作品。
外の世界で起こっていることを全く知らない人。
閉じられた空間で他者から嘘の情報を伝えられる。
愛する祖国の現状を知らない。
騙されている方は傍から見ると滑稽でコケにされていると言えなくも無いが、それもこれも深い愛情ゆえに・・・
嘘だからこそ作れた理想(夢)も、いつか現実と寄り添い合わせながら前に進まなければならない。

2004年9月4日土曜日

映画『アンダーグラウンド』

1995年 監督:エミール・クストリッツァ
BS2 録画


アンダーグラウンド

第2次大戦中のユーゴスラヴィア、しかも映画タイトルはアンダーグラウンドで171分の大作。
これはかなり見るのに根気がいるのではないかと思ったが、結構面白く見れる。
ただ、作品中ひっきりなしに楽団が陽気な演奏をしているため、ちょっと疲れる。

共産主義パルチザンでゲリラ活動を続ける二人の男と、多情な一人の美しい女優。
男女三人の恋愛事情が、多民族国家ユーゴスラヴィアの激動の歴史と共に悲劇の運命を辿っていく。
共に、っていっても彼らが被った悲劇は戦争や国の事情でやむなく被ったものというわけでもないのだけどな。
でももちろん全く関係ないわけが無く、恋愛事情のうねりと世界事情のうねりが独立しながらもからみあって運命の歯車を回していく。

陽気に滑稽に騒々しく。
おおっぴらに戦争批判をしているわけでもなし、自己愛の狡猾な人間を悪と決め込んでいるわけでもなし。
皮肉屋が人の一生の、重みと醜さと滑稽さと、そして不思議なまでの素晴らしさを描いた人間賛歌。

2004年9月3日金曜日

サイト一周年

気づいたらサイトを作ってちょうど1年です。
バーボンをくゆらせて一人で祝おうと思ったが、バーボンないからふじ100%リンゴジュースをくゆらせる。

映画『2ペンスの希望』

1951年 監督:レナート・カステラーニ
BS2 録画


レナート・カステラーニか。恥ずかしながらよく知らなかったので調べてみた。
けど、よく分からなかった。
ネオレアリズモの巨匠とのこと。
ネオレアリズモとは一言じゃ言えないけれど戦時中ファシストの統制下で自由を抑圧されていた映画人達が、資金不足もなんのそので屋外に飛び出しイタリアの過酷な現実をありのままに映し出そうとしたリアリズム運動の事だったと思う。
ロベルト・ロッセリーニの1945年作『無防備都市』を原点としヴィスコンティの『揺れる大地』(1948)やヴィットリオ・デ・シーカの『靴みがき』(1946)『自転車泥棒』(1948)等が初期ネオレアリズモとして有名。

レナート・カステラーニはこの『2ペンスの希望』で1952年カンヌパルムドールを受賞している。
1954年には『ロミオとジュリエット』も撮っている。
この人の監督作を見るのはこの作品が初めてだけど、デ・シーカの『ああ結婚』の脚本にレナート・カステラーニが名を連ねていた。

普段は監督の経歴とか調べもしないのだけど、なんせ滅茶苦茶この作品は面白かったからな。
まだ9月だけれど、今年度に見た映画の中でナンバーワンにしたい。

舞台はナポリ近郊の田舎村で、青年アントニオが除隊し村に戻ってきたところから始まる。
彼の父は既に他界しており、彼は家族の中で唯一の男として母や姉妹を養うために働き口を探す。
しかし失業者が列を成すこの村ではなかなか仕事が見つからないのである。
そんな時、花火師の娘カルメラと出会う。カルメラはアントニオにぞっこんほれ込む。
でもアントニオは恋愛などしてる場合じゃない。カルメラなど気にもかけていなかったのだが次第にアントニオもカルメラに惹かれていく。
ってまあ、ちまちま書いていてもしょうがないから大まかに言うと、結婚しようとするが金が無くてできない!って話。この辺の時代のイタリア映画によくある話。
カルメラの父は無口で厳しい人なのね。そしてカルメラの家はある程度金を持っている家らしい。だから父はまともに職にもついていないアントニオなど身分が違うといった感じで認めない。
家族を養うため、結婚資金を作るため、日雇いで転々としながら必死に働くアントニオ。

あらすじだけ書くと暗そうな気がするが、映画は逆に底抜けに明るく楽しい。
そして映画見て涙出たのは久しぶり。
泣いたのは3,4箇所あるのだけど、1つ挙げるなら村に初めて通ったバスの開通式でアントニオがそのバスの運転手に就任したため、カルメラは仕事を抜け出して開通式に駆けつける。
着いたと同時に騒々しく爆竹を鳴らして風のように去っていく。
イタリアの明るい自然の中を腰を曲げて野生のように駆け抜ける姿が軽快な音楽に乗せてローアングルで映される。→泣
父の作業場に戻り何事もなく作業を再開するカルメラに父は爆竹を鳴らしたのは誰かと聞く。
カルメラはしらを切るが、続けて「お前がぬすんだのならただじゃおかん」という父の言葉を聴いて瞬時に判断したカルメラは「お仕置きを」と自ら頬を差し出し、父も間髪入れずがつんとはたく。→泣
鼻を手でくしゅっとさせ身震いした後に顔を上げ体を揺らせて明るくカルメラは歌いだす。→泣
・・・文章で書くっていうのは難しいなぁ。爆竹が鳴ってからカルメラが歌いだすまでの流れが涙出るくらい最高に素晴らしいのさ。
村人はよく歌を歌うのだけど、カルメラは特によく歌う。あばずれた声が非常に魅力的なのね。

人の家のうさぎを盗んでおいて責められても巧みにすっとぼけたりする自己中心的なアントニオの母親が次第にたくましくて頼りになるキュートなおばちゃんに見えてきたり、しゃがみこんで夢中でいたずらをしているカルメラをアントニオが蹴っ飛ばして突っ込みを入れたり、鎖でつながれ監禁されながらも三角座りで暴力的に声を張り上げ歌うカルメラに母が優しく近づき手を差し伸べるがその差し出した手に向かって「ワンワンワン」って叫びながら噛み付くそぶりをしたり、教会で働く小柄でよぼよぼのじいさんがとてもいい顔していたり、カルメラが店先から振り向いて走り去ろうとした瞬間に店の軒先に付いた日よけだか雨よけのテントを張るための紐に演出なのか素なのかぶつかったり、アントニオの着ているランニングシャツが無残なまでに穴だらけだったり。

演出も音楽も役者も全部いい。
役者は無名の新人と撮影場所の村人とのこと。
DVDに焼こっと。

2004年9月2日木曜日

映画『A・LI・CE』

1999年 監督:前島健一
BS2 録画


A・LI・CE

むむ、小学生が書いた脚本を中学生が直したのだろうか?
ある意味素晴らしい。

フル3DCGアニメ。
プレステのRPGで挿入されるあのアニメーションを85分間ずっと見せられる感じ。

3DCGアニメで映画を作る時ってどうやったら面白い作品になるかなぁ。
登場人物の一人だけが実写でしらっとした顔して出演しているとか。そんなもんしか思い浮かばない。