BS2 録画
ラストに起こった悲劇には大きな悲しみと怒りが湧いたのだけど、母親の「たかが鳥でしょ!」という言葉によって完全に孤独になった少年の現在と未来を思い、先ほどまで溢れていた感情はそのまま生を見つめる冷徹な視線に変容する。
これが"リアル"ってものなんだな。
60年代後半のヨークシャー地方の炭坑町が舞台で、そこに住む少年ビリーが主人公。
乱暴な兄とほとんど家にいない母親、学校には聖職者気取りの横柄な教師達。
悲惨さをドラマチックなストーリーで大仰に表現しているわけでもなく、芸術家気取りで淡々と日常を描いているわけでもなく、ただ、そこに生きている人々の"人間らしさ"が少ない表現ながら確実にリアルに描かれる。
これは本当凄い。かつ最高に面白い。
校長に伝言を伝えに行っただけの小さな少年が他の悪童(?)達と一緒になぜか理不尽にも体罰を受けてしまう。小さな少年の潤んだ目が痛い。この理不尽さに遭った少年の感情は後にビリーの口から「あの子落ち込んでいたよ」と語られる事で見事に補足される。
物語の展開の仕方、そしてちょっとしたシーンやセリフにさりげなく織り交ぜられたものが、作中人物の人間味や感情を巧みにつないで見せる。
余分を削ぎ語り過ぎないのだが、常に劇的という不思議な作品。
上手くもないのに大のサッカーファンである体育教師は面白かったな。残酷で横柄な奴なんだけど。
サッカーの授業中に見せた横柄さは本当笑える。ドリブル中に前のめりにずっこけた後、それを生徒のせいにしてPKにしてしまったり、PKで失敗したらお前動いたからもう一度だといって再びPKやったり。
こけた所が一番爆笑した。
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