2010年12月31日金曜日

2010年

年が経つのは早いな。
10代の10年間と20代の10年間の密度が全然違う。
30代はというと既に丸2年があっという間に経過し、2年前の自分と比べると肉体が老けた以外は何も変わらないし振り返ってみても何も思い出せない。
10代の頃は30代といったらめちゃくちゃ頭がよくなっている筈と思っていたのになぁ。

まだ記憶にあるうちに今年の個人的ニュースを書いておこう。

3位:引っ越した
2位:定食屋に変態がいた
1位:路上でケツ丸出しの女がいた

3位:引っ越した
前の家は8年も住んで飽きたので引っ越した。

2位:定食屋に変態がいた
12月頃だったと思うが、よく行く近所のチェーン店の定食屋に飯を食いに行く。
テーブル席だけどテーブル中央にパーティションがあって向いは見えなくなっている一人掛けの席に座る。
パーティションといっても下が開いているので、向いの人の顔は見えないが手元は丸見えになっている。
向かいの席には太目のサラリーマンが座っているようだ。
左手に携帯、右手に箸を握ってすき焼き定食を食っている。
特に気にせず文庫本を読み始めたのだけど、程なくどこからかくちゃくちゃ音がするので文庫を下ろすと、前の席のサラリーマンがくちゃくちゃ食っている音らしい。
舌打ちのようなチィという音を交えながら頻繁にくちゃくちゃ音をさせるのでかなり気になる。
早く食い終わって帰って欲しいのに未だに携帯を持ちながら飯を食っている。
昔は熱心に携帯いじっているというのはイコールメールしているということだったから、そんなに人と繋がっていたいのか、寂しい奴め、と思ったものだが、今や携帯はメールだけじゃないからな。
そうこうしているうちに飯が来てしまう。
音を気にしないようにして食べ始める。
程なくやっと食い終わったサラリーマンが帰っていったのでほっとする。
やっと落ち着いて飯が食える幸せ。
えーっと、変態の話だけど、このサラリーマンのことでは無い。
問題は次の奴だ。

気付いたら向いに次の客が座っている。
この店はご飯のお代わりがセルフサービスなので、でかい炊飯ジャーから2杯目をよそってきて席に戻ると、思わず固まってしまう。
向かいの席の人が、備え付けの漬物を小皿に山盛りに盛ったその上から一味唐辛子を小さじで丁寧に乗せているところだった。
薄い黄色の今にも崩れそうな漬物の上が尋常じゃない量の一味唐辛子で真っ赤に染まっている。赤い雪をかぶった富士のように。
小さじで一味を振り掛ける行為は一向にやむことなく、そのエンドレスに繰り返されるこぼれないように丁寧に盛っていく手つきの機械的な正確さと、上部一面が真っ赤になっている漬物の対比に次第に狂気を感じてきて戦慄が走る。
変態がいる~~!
僕が気付いてから少なくとも3分以上は一味唐辛子を盛り続けていた。
これ以上は崩れると判断したのかやっと一味を盛り終えると、今度は醤油を取ってこれまた丁寧にぽたぽた垂らしている。
パーティションで丁度顔だけが隠れ、その首の無いーター姿の上半身が人間の食い物とは思えないものを製造している恐怖。
徐に割り箸を取って最後はかき混ぜ始める。
ぐちょぐちょと。
当然ぽろぽろこぼれる。
するとこぼれた漬物を丁寧に拾って元に戻してまたかき混ぜ、またこぼれたのを拾って戻す、を延々と繰り返す。
味覚のおかしさはどうでもいい、それよりセーターの温かい優しさから覗く手が織り成す異常なまでに丁寧な所作が粘質的な変態さを感じさせて気持ち悪い。

いよいよ出来上がった変態の食べ物を変態は二口ほど口に入れてから変態的に箸を置いてしまう。
えっ?あんなに時間かけて作ったのにまさかまずかったの?
最初からそんなものなかったかのように放置される変態の食べ物。
程なく定食が運ばれてくると、変態は変態の食べ物をおかずにしてご飯を食べ始める。
ああ、まずかったからほったらかしにしたわけじゃないのね。
いや、でもあれを普通に食っているのが信じられないけどね。

自分の飯を食い終わったので立ち上がるときに顔を見てやろうと思ったけど、立ち上がってもパーティションに隠れて見えなかった。
ちなみに変態の定食は見ると値段的に上位に入るミックスグリル定食だった。


1位:路上でケツ丸出しの女がいた
つまり路上でケツ丸出しの女がいたんだよ。

あれは12月12日。
髪を切りに近くの床屋に入ってみると、満席のため16時くらいになると言われる。
あと1時間あるな。
予約して一旦家に帰る。
16時近くなったので家を出て床屋に向かう。
下に高速が走る開けた通りを足早に歩いていると、T字路にジャージ姿のヤンキーがうんこ座りしているのが見える。
T字路の角にある店の路地側で、降りたシャッターに向かって座っているので後姿しか見えない。
そのヤンキーに向かってこれまたジャージ姿のヤンキー女が近づいていくところだった。
ヤンキーとヤンキー女。
新富町にもヤンキーがいるんだな。
築地も近いからそっちの方の奴か。
考え事しながら足早に歩いていると、突然真っ白いケツが目に飛び込んでくる。
はぁっ??
膝まで下ろしているジャージで歩きにくいのか蟹股で歩きながらジャージのズボンをたくし上げているところだった。
何が起きたのか間を置いてから考えると、うんこ座りしていたヤンキーは男だと思っていたら実は女で、うんこ座りというかしょんべんしていたらしい。
近づいていったヤンキー女は人が来ることを知らせにいったのか。
それにしても僕以外に人はいないとはいえ、その場でズボンを上げずに下半身丸出しのままかなり開けた通りに歩きながら出た後にズボンを上げてたぞ。
もし通りを僕とは逆方向に歩いている人がいたら、その人は角から突然下半身丸出しのヤンキー女が現れるという衝撃に見舞われることになる。
後ろから見ていても突然で衝撃だったからな。
ちなみにだぶだぶのジャージに比して華奢な太ももと少し肉付きのいいケツというなかなかの組み合わせだった。



なんかベスト3が10月と12月の出来事になってしまった。
2010年の頭の方はもう記憶に無い。

2010年12月30日木曜日

1230

昼頃起きる。
テレビ見たりしてから全く腹減っていないが14時前に昼飯食べに出かける。

年末だというのに、いや、年末だからか凄い人ごみ。
つばめグリル銀座コア店に行ってみるが、14時だというのに店外のベンチで順番待ちしているカップルがいてやめる。混んでるの嫌いだから。
といっても他に食べたいものもないしそもそも腹減ってないし、時間置いてからまた行ってみようと思う。

銀座をふらふら歩いてから15時頃に東銀座のルノアールに入る。
ホットコーヒーをちびちびすすりながらドグラマグラの下巻を読む。
気付いたら16時を過ぎていたので慌てて出る。

つばめグリル銀座コア店に行くと夕方だしさすがに空いている。
和風ハンブルグステーキを頼む。
ランチタイムはとっくに終了しているっぽい。

もう10年前になるか、つばめグリル銀座通り本店でバイトしていたので本当は銀座通り本店に行きたいところだけど、本店は立て替え工事中で大分前から休業中なのでコア店。
ここでのバイトは狭い店内であくせく動き回っているのが僕には苦痛で、週3が週2、週1、月1とどんどんシフトを減らした末に最終的にやめた。
よく、注文しようとしても店員がフロアにいなかったり呼んでも出てこない店が多い中、ここの従業員のお客さんへの気配りは天下一品で、まだ注文待ちとか食べ終わりそうとか一人一人の状態を全て把握していて、別作業中でもお客さんが店員探しに顔を上げた瞬間にすぐ反応して目を合わせるという素早さ。
気配りとは無縁の僕に務まるはずがない。
本店の店長とかスタッフは皆コア店に移ったのかな。
コア店の広い店内を見渡しても若い従業員しか見当たらない。

久しぶりに食った和風ハンブルグステーキは旨かった。
ただ、量が少ない。
ライスが確かお代わり自由だった気がするが、昔働いていたくせに記憶が曖昧だ。
結局お代わりせず。

一度家に戻る。
年末特番の録画していたものを見たりして寛いでから、20時過ぎにまた出かける。
次はシネパトス銀座。
ギンレイ以外の映画館に行くのは何年ぶりだろう。
かつシネパトス銀座は学生の頃しょっちゅう通っていたけど卒業してから一度も行っていない。
最後に見たのはサトウトシキの映画だったかな。
レイトショーで『マタンゴ』鑑賞。
客の入りは1列当たり二人程度。

終わってから吉野家でたまねぎだらけの牛丼食べて今日という個人的に特別な日は終了。

映画『マタンゴ』

1963年 監督:本多猪四郎
at 銀座シネパトス


マタンゴ [DVD]

昔大井武蔵野館か中野武蔵野ホールで上映していたのを見逃したまま気になっていたのを遂に見ることができた。
本多猪四郎と円谷英二のコンビによる怪奇SFサスペンス。

冒頭病院の窓から映し出される銀座っぽい東京の景色を何気なく見ていたら、ビルの窓に映る人影がちゃっちい影絵になっていてそこでやっと気付いたけど、この景色はミニチュアの合成だった。
最初から飛ばすな。
話の筋は、ヨットでクルージングに出かけた男女7人が嵐に巻き込まれて無人島に漂着し、そこでマタンゴに出会ったりマタンゴになったりマタンゴに襲われたりマタンゴをやっつけたり強くないマタンゴがキュートだったりするというもの。

鳥も寄り付かない不気味な無人島で食料も乏しい中、人間のエゴがこれでもかと爆発する。
食料があれば独り占めするだろう、女がいれば襲うだろう、男が邪魔なら殺すだろう、美味いきのこがあれば食うだろう。
石井輝男の『恐怖奇形人間』や加藤泰の『真田風雲録』のようにぶっ飛んでいるのかと思ったら、ストーリーは意外と真面目。
前半は完全にサスペンスになっていて、無人島で見つけた難破船の船内に大量にこびりついた黴や、乗組員の死体が一つも無い謎、鏡が全て取りはずされている謎等、マタンゴ登場に向けて期待を煽る。
この映画で一番びくっとしたのはマタンゴ登場より、難破船の船内を探検中に作田(だったかな)が階段で足を滑らした瞬間だし、探検中に物音にいちいちびくつく男共の描写もしっかりしている。
カルト映画の定義はよく知らないがこれは極めて真面目な映画だと思う。
1作目ゴジラの系譜に繋がる核の恐怖や、現代社会のエゴを表出させ、はんっと言いそうなラストの教訓的なナレーションで締めくくるという。

7人のキャラクターも立っている。
青年実業家ですかしたへたれの笠井(土屋嘉男)。
笠井の部下で友人の作田(小泉博)。一番理性的で正義の人だったのに。。。
笠井の愛人で歌手の麻美(水野久美)。後半の水野久美のエロスがやばい。
大学助教授の村井(久保明)。理性的で一番つまらない。
村井の教え子の大学生明子(八代美紀)。自分じゃ何も決められない意思の弱い女。
作家の吉田(太刀川寛)。頭悪そうに見えて作家。
臨時雇いの漁師小山(佐原健二)。無人島で一番たくましく生きる男。

女性がきのこを食すると妖艶になるという設定らしい。
雨に濡れた水野久美の異常なまでにみずみずしい肌のエロス。
「おいしいわー」と恍惚の表情できのこを齧り、きのこ達は喜んでむくむくと成長し、大量のきのこの中心に妖艶な笑みを浮かべて座すマタンゴ軍団の女王のような水野久美。
物凄い暗喩だ。

タイトルクレジットに天本英世の名前があったけどどこに出ていたのだろうと思ったら、まだ人の形を留めるマタンゴ役だったらしい。
あんな特殊メイクしていたら絶対分らない。

2010年12月29日水曜日

映画『パプリカ』

2006年 監督:今敏
BS2 録画


パプリカ [DVD]

もうちょこちょこやばい瞬間が続いて、我慢していたけど最後の方で唐突にパプリカが現れた時に泣いてしまう。
これは本当面白い。

今年8月に亡くなってしまった今敏の2006年の作品。
何ヶ月か前に追悼で放映していたのを録画しそびれて悔しかったところ、クリスマスにまた放映してくれたので今度はしっかり録画した。
原作は筒井康隆で、2,3年前に読んでからずっと映画版を見たかった。

原作より登場人物が少なく、展開も超速い。
原作で詳細や背景を知っていても戸惑うので、原作を知らないとストーリーは全く何がなんだかわからないかもしれない。
インターネットから夢の世界へ移行する等、現実と夢との境界線も初めから曖昧だし。
でも、ストーリーうんぬんよりもとにかく緻密で豪華絢爛であっと驚く映像表現に飲み込まれっぱなしの90分。
逆さまでのパプリカの初登場シーンやらクレジットタイトルで重力も時間も次元も全て超越して軽やかにスキップするパプリカ等、冒頭数分でがっちりつかまれるから。

今敏は『千年女優』しか見ていないのだが、夢と現実の境目が曖昧になったカオスは『千年女優』もそうだったな。
それもそのはず、今敏曰く「実はその、『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』にしろ『千年女優』にしろ、なぜそういうものを作っていたかというと、パプリカみたいなことをやりたかったんですよ、本当は。」とのこと。
これまで培った技術と経験を本題の『パプリカ』に全てぶち込んだような感じか。正に集大成のような作品だ。

映像、音楽と全てにおいて満足だったが、強いて言えば個人的に声優さんの声がちょっと馴染めなかったかな。
林原めぐみと古谷徹。


久しぶりに小説を読み直そうとして部屋中探したのだけど、どうしても見つからない。
捨てたり売ったりなんかしていないから、無いわけが無いのだが、夢のように消えてしまった。

2010年12月23日木曜日

映画『小さな村の小さなダンサー』

2009年 監督:ブルース・ベレスフォード
at ギンレイホール


Mao's Last Dancer (Movie Tie-In)

2000年に製作の『北京の自転車』と併映するってことは同じ監督なのかと期待してみたものの、撮り方があまりに普通すぎるのでがっくりする。
監督は『ドライビング Miss デイジー』とか撮っている人だな。
中国人ダンサー、リー・ツンシンの半生を追った映画で、舞台は中国とヒューストンが主だが、製作はオーストラリア。
毛沢東の文化政策によって11歳にして両親と引き離されたリー・ツンシンと舞踏学校の仲間達に「こんなとこ嫌いだ」と言わせ、優しかったチェン先生は反革命分子として捕らえられ、アメリカ人が毛沢東をミャア主席と呼び、まるでアフリカの原住民が都会に出てきたかのように描き、資本主義を礼賛し、中国領事館は国際的に非難されるような非常識な行動を取り、リーの母親は「お前達が幼い息子を私達から奪ったんじゃないか!」と叫びってそんなの中国で製作が許可されるわけないか。

主演は英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、ツァオ・チーで、バレエシーンは本格的に堪能できる。
ちなみに青年時代はメルボルンのオーストラリア・バレエ団の中国人ダンサーで、少年時代は中国体育学校出身の少年が演じている。

両親との十数年ぶりの感動の再会シーンではリーが遠目から見ると衣装が白いブリーフ一丁で踊っているようで、これでいいのか、と思うが「本格的」なのでいいのだろう。
父親が「なんで裸なんだ?」と突っ込み「こういう演出なんだよ」というやり取りもあり。
母親の涙にはぐっとくる。
息子はブリーフだけどね。

江青により推進された「模範的」バレエはこの映画で見る限りなかなか面白かった。

原題はMAO'S LAST DANCER。

理不尽な事には徹底的に抗う弁護士が頼もしくもあり、映画としてはつまらなくもある(『北京の自転車』を見た後だからなおさらに)。

映画『北京の自転車』

2000年 監督:ワン・シャオシュアイ
at ギンレイホール


ギンレイの受付で財布からカードを出して差し出したら受け取ろうとした従業員さんから「カードが違います」と言われ、差し出した自分の右手につまんでいるカードに目を落とすとPASMOだった。
慌ててギンレイの会員カードを取り出して渡す。
恥ずかしい。

北京の自転車 [DVD]

前回ギンレイに来た時この映画の予告編は流れなかったから全く内容が分らないまま見始める。
いやぁー、面白い。
期待感も何もないまま見た映画が驚くほど面白かった時ほど興奮することはないよなぁ。
今年観た映画のNo.1にしよう。

山西省から北京に出稼ぎにやって来たグイ(ツイ・リン)は自転車宅配便の仕事にありつく。
今まで乗ったことも見たことも無いかっこいい高級マウンテンバイクが支給され、しかも宅配の点数をかせぐとその自転車は自分のものになるという。
北京を走り回り、あと少しで自分のものになるという所で自転車が盗まれてしまう。

盗まれた自転車は高校生のジェン(リー・ビン)が乗っていた。
一応不良のカテゴリーに入ると思われる青春を謳歌する高校生ジェン。
そして頑固だけど真面目で純朴なグイ。
隣のマンションの裕福な高嶺の花の女性をじっと見つめて、向こうが気付くとさっと目をそらすばればれな行動を何度も繰り返す純朴なグイなんだよ。
そんな自転車が盗まれて仕事もクビになってしまった可哀想なグイと比較するとジェンに対しては怒りしか湧いてこない。
ジェンがまたむかつく顔してるんだな。
もう見つけ次第ぼこぼこにしてくれることを祈る。
なのになんだ、グイは自分の自転車を見つけてしげしげと見渡していたところ、怒りの形相で追っかけてきたジェンを見た途端、殴りかかるでもなく自転車に乗って一目散に逃げ出すではないか。
「おい!まて!ドロボー!!」
この逃げるシーンがなかなかいい。
低いギアでしゃかしゃか漕ぐグイと全力疾走のグイ、そこから高スピードの危うい緊張→静止→ユーモア→激しい怒り、と怒涛の展開をする。
もう怒りだよ怒り。映画観てこんなに怒ったことは無いってくらいの怒り。本当むかつく。

同級生の不良仲間とつるんで遊んでいるジェンは痩せ型で背も高くない。
不良仲間も皆弱っちそう。
一人ガタイのいいやつがいるけど、中分け眼鏡のただのデブだ。
そんななんちゃって不良仲間に取り囲まれて恐怖で手も足も出ないグイのなんて哀れなことか。
社会人が高校生ごときガキどもに理不尽な仕打ちを受けるのだ。
哀れというか情けない。
でも最初は気付かなかったけど、社会人といってもどうやらグイはこの高校生と同い年くらいらしい。
この年でもう働くグイと高校に通う裕福な不良という対決。
裕福といってもジェンの家庭はかなりの貧乏で小学生の義妹の進学費やらなんやらでいつまで経っても父親からマウンテンバイクを買ってもらえない。
友達がマウンテンバイクに乗って遊んでいるのをいつも傍から見ているだけだった。
都市部、農村部での貧富の差はむろんのこと、都市部の中でもいろんな貧富の層がある。

警察にでも行けばいいものを、貧困層は警察を利用することすらできないのか知らないが、とにかくあまりに理不尽な仕打ちにも泣き寝入りするしかない。
しかしジェンの自転車に対する執着心は異常だった。
もう頑固とかいうレベルじゃないくらい自転車に固執している。
愛だね、これは。
その異常な愛の結果、グイとジェンの間である折衷案が取り交わされ実践される。
そんなんでいいのかよというような取引だけど、そのおかげでお互い関わることのなかったであろう二人の間に友情とも違う密かな連帯感が生まれる。
そして悲しみのラストへ。
なんかあんなにむかついていたジェンがかっこよく見えてくる。

それにしてもラストで見張り役のような不良が自転車を執拗に蹴りつける姿が滑稽だ。
怒りの矛先を直接当人に当てずに物に当たっている、という訳でもないけど、とにかく物に当たる姿っていうのは滑稽以外の何者でもない。
昔図書館の閲覧室で勉強しているとくっちゃべっているカップルに切れたらしい中学生が壁やドアを蹴りながら退出していって、特に気にもしていなかったが閉館時間になって帰ろうとしたら僕の自転車が倒れている上に前かごがぐちゃぐちゃにひん曲がっている。
きっとあの切れた中学生の仕業に違いない。
っていうのをふと思い出した。
この映画の不良もきっと日々の生活で溜まる怒りがあってそれを執拗なまでに自転車に当たっていたのだろう。

エンドロールを見ていると、2000年という文字が見える。
10年前じゃん。
2001年にベルリン国際映画祭銀熊賞を取っているらしい。
なんでも広電総局の管理部門が批准した脚本に沿わなかったため、長らく上映禁止になったとのこと。
監督はワン・シャオシュアイでいわゆる中国の第6世代の監督。

2010年12月13日月曜日

12月INFO

BS2 12月13日(月) 午後9:00~10:50
サイコ 1960年・アメリカ PSYCHO
〔監督〕アルフレッド・ヒッチコック
BS2 12月14日(火) 午後1:00~2:49
疑惑の影 1942年・アメリカ
〔監督〕アルフレッド・ヒッチコック
BS2 12月15日(水) 午後9:00~10:57
フレンジー 1972年・イギリス
〔監督〕アルフレッド・ヒッチコック
BS2 12月20日(月) 午後1:00~2:31
勝手にしやがれ 1959年・フランス
〔監督・脚本〕ジャン・リュック・ゴダール
BS2 12月22日(水) 午後2:30~2:59
ラ・ジュテ 1962年・フランス
〔監督・脚本〕クリス・マルケル
BS2 12月24日(金) 午前0:15~2:16 (23日深夜)
奇跡 1955年・デンマーク
〔監督・脚本〕カール・ドライヤー
BS2 12月24日(金) 午後1:00~3:16
太陽に灼かれて 1994年・ロシア/フランス
〔製作・監督・脚本〕ニキータ・ミハルコフ
BShi 12月26日(日) 午後3:30~4:54
アフガン零年(ぜろねん) 2003年・アフガニスタン/日本/アイルランド
〔製作・監督・脚本〕セディク・バルマク

ヒッチコックは他にも何本かあります。
他、ジャン・ギャバン、アラン・ドロンの共演特集とか。

新聞取ってない代わりに毎月月間のテレビ雑誌を買っていたけど、引っ越してから一回も買っていない。
民放で放映される映画がノーカットかどうかの情報が雑誌が無いから分らなくなってしまった。
ネットで調べてもカットの有り無しという一番重要な情報を載せてくれているページが見つからないんだよなぁ。

そういえば昨日コタツ出した。
毎年記録として書いているから一応。

2010年12月9日木曜日

映画『ヴェラクルス』

1954年 監督:ロバート・アルドリッチ
BS2 録画


ヴェラクルス [DVD]

バート・ランカスターのこの胡散臭い笑み!
怒りも照れも賞賛も裏切りも全て一つの笑みで表現するという胡散臭さ。
ただでさえ色黒なのに黒い服に身を包んで不適な笑みを浮かべるから白くない歯が白く見える。

南北戦争直後のメキシコ、南軍の敗将ベン・トレーン(ゲイリー・クーパー)は雇い主を求めてさまよっていた。
そんな折、ならず者のジョー・エリン(バート・ランカスター)と出会う。
二人は組んでマクシミリアン皇帝から護衛の仕事を得る。
伯爵令嬢のマリーが乗る馬車をヴェラクルスの港まで送り届けるという仕事だったが、実はこの馬車には大金が隠されており、革命軍が狙っていた。
危険な行程。
さらには大金をねこばばしようとするマリー、ベン、ジョーの騙しあい。
なかなか面白い。

どこからともなく遠くの高所に大量に出現する革命軍が不気味。
ロケ地メキシコでピラミッド等が映っている。
テオティワカンの遺跡?
ピラミッドにもしっかり一行を見下ろす革命軍が。

調べていたらラストの決闘に面白い事実があった。
ガンマンは拳銃の重さから実弾が残っているかを判断できるそうだ。
この映画の決闘の勝者は、敗者の拳銃を手に取った後に怒りの表情で投げ捨てるのだけど、投げ捨てる前に確かに重さを確かめるような仕草をしている。
弾が入ってなかったってこと?
いや、発砲したのだから無くなるのは当然だしなぁ。
実は空砲で空砲の薬莢を重さで認識したのか。
いや、そんな都合よく空砲が入っているわけ無いし。
銃の仕組みがよく分らないのでなんとも判別できないけど、敗者が実は勝者を殺す気が無かったっていう設定の方がかっこいいな。
その事実を勝者は銃の重さで気付いて怒りの表情をするという。

ゲイリー・クーパーはその存在感だけで十分意義があるが、一発殴ったら相手が遠くまで吹っ飛ぶほどの腕力があるように見えない。
役柄としても南部紳士で善人っていうのが憎めない悪役のバート・ランカスターを引き立たせる役のように思える。
それでもバート・ランカスターにぎりぎりのところで食われないでいるのは大スターゲイリー・クーパーだからか。

端役でチャールズ・ブロンソンが出ている。髭が無い。
アーネスト・ボーグナインも出ている。『ポセイドン・アドベンチャー』のロゴ刑事。

=====
これ、録画したのが2005年5月30日。
アナログのHDDレコーダーにはまだまだ見ていない映画がたくさん残っている。
地デジの液晶で見ると本当画質が汚いんだよなぁ。
それと、既に見たけどDVDに焼こうと残している映画が20本くらいあって、これをどうするかも微妙。
再生すると綺麗に表示されないのが分っていてDVDに焼く気にはなれない。
これから何年もかけてBSで放映してくれるのを待つかな。

2010年12月5日日曜日

見終わって

ギンレイで一本目見た後に席を移動したのだが、2本目が始まる直前に文庫本を前の席の床に置き忘れていたことに気付く。
まあ、2本目終わったら取りに行こうと思って特に気にせず。
2本目終わって前の席に行ってみると、な、無い~。
言ったり来たり怪しくうろうろするがやっぱり無い。
もしかしたら受付に届いているかも、と思って「あの~、本を置き忘れてしま・・」と言いかけたら従業員が「ああ、これですか」と視線をカウンターに落とすので追うように視線の先を見ると、八重洲ブックセンターのブックカバーの正しく僕の本。
受け取ってそそくさと映画館を後にする。
ところでこの本、久しぶりに読もうと引っ張り出した蓮實重彦の本なんだよね。
他の場所ならともかく映画館で蓮實重彦の本を落とすって人によってどう思うか千差万別だと思うけど、いずれにしろなぜだか気恥ずかしい。

その後BOOK OFFに行く。
最近FNS歌謡祭でTOKIOやV6が光GENJIの「Graduation」を歌っていて、何の思い入れもないのに懐かしさに切ない気持ちになる。
作詞:飛鳥涼 作曲:CHAGE。
名曲だわー。
ということでチャゲアスのCDでも探そうかとCDの250円コーナーを見ていたら、もう解散したバンド、ジムノペディ『雨、所により花吹雪』がしれっと置いてあるのを見つける。
新品なみに綺麗。
もう慌てて確保した。

チャゲアスのCDはいっぱい置いてあったけど、よくよく考えると基本的にカセットテープで一通り持っているんだよなと思ってやめる。デッキがないから再生できないが。

ついでに普通価格の洋楽コーナーも見ていたらデイブエドモンズの紙ジャケットがたくさん置いてある。
こんな紙ジャケット見たことないぞ。
ジャケット見てみると2008年に発売になっている。
昔は中古CDショップ行ってもデイブエドモンズのCDはめったに置いてなくて(新品ではいくつかみかけたけど・・)、見つけた時に買うようにしていても数年で海賊版っぽいライブCDを1枚買えただけだというのに、豊かな時代になった。

他にも見ていて「こんなの置いてある」と思うCDは手に取って見ると2008年が多い。
2008年ってなんかあったんだっけ。
中でも緑色の帯がついた同じレーベルから出ているらしきシリーズのCDをよく見かけ、見たこと無いなぁと手に取るとやっぱり2008年。
ネットで調べてみるとこの緑色の帯のCDはSHM-CD(Super High Material CD)とかいう高音質のCDシリーズらしい。
SHM-CDが製品化されたのが2008年。
既存アルバムのSHM-CD化による再販やら独自のベスト版など大量に発売されたのが中古市場に流れてきたということか。
ピーター・フランプトン、ハンブル・パイ、ニューヨーク・ドールズ等々ベスト版になって手に入れやすくなっている。

長い間物色したけど結局『雨、所により花吹雪』だけ購入する。
家帰ってさっそく聞く。
おお、懐かしい。
昔so-netの音楽サービスでこのアルバムを毎日パソコンで聞いていた以来だから8年ぶりくらいか。
ジムノペディはDVDがamazonで超高額になっていて、CDも高騰しているのかと思ったけど今調べてみると普通の値段で売ってるな。
5年前に買ったDVDはまだ開封すらしていないのだが本当いつ見ようか。

そういえば3日にBSハイビジョンでやっていたジャッキー・チェンの『スパルタンX』を録画し忘れた。

映画『やさしい嘘と贈り物』

2008年 監督:ニコラス・ファクラー
at ギンレイホール


やさしい嘘と贈り物 [DVD]

むー、なんだろう。一言で言うと恐ろしくつまらない。
前回のギンレイで予告編を見ていて大体のストーリーは知っていたけど、この予告編って完璧にネタばれしているよねぇ。
最初からそういう「設定」で話が進むのかと思いきや、後半どころか最後の最後でやっとその「設定」が事実として明かされる。
「設定」を匂わすものは随所に現れるものの、明確になるのはラストなのでこれをネタばれと言わずになんというのか。
いや、気持ちは分かる。「老人の恋愛物です」なんて宣伝して人が集まるわけないもんね。劇場に足を運ばせたら勝ちなんだから。
それにそういう「設定」があると知っていなければかったるくて見てられないというのもまた事実だし。
だから個人的にこの予告編に対して文句を言う気持ちは全くない。
オチを知っていようが知るまいがたぶんつまらないものはつまらないと思われるので。

出会いのシーン等でドラマチックにライトアップしたりという演出を懲りずに何度もやったり、スキー場だかどこかで一本の木に二人が背をもたせかけているよさげなシーンはカメラの距離が近すぎるしシーン自体短かすぎる。
ラジオかなんか分からないが毎日変わる音楽の目覚ましがなぜか非常に耳障り。
目覚ましだからそれでいいのかもしれないけど。
目覚める直前の赤や青の煙みたいなCG?とバックに流れる不穏な音がうざいからかな。
この煙みたいなやつはシナプスの消滅を現しているのか。
それにしてもチープだ。
チープってことで考えると、この一昔前のトレンディドラマのようなベタなノリは老齢の初々しい恋と背後に隠れて(隠れてないけど)最後に明るみになる真実を際立たせるための意図的なものだったという可能性も無きにしも非ず、、、とちょっと検索してみると否定的な意見が全く見られないので日和見的に肯定してみる。

主演はマーティン・ランドーとエレン・バースティンという作品に対してもったいない感じの豪華さ。
御年77のエレン・バースティンの可愛らしさが異常。
恋愛物はヒロインが可愛くないと駄目だよねぇ。
その点は軽くクリアしているのでいくらか救いがある。

監督は24歳だったらしい。

映画『瞳の奥の秘密』

2009年 監督:フアン・ホセ・カンパネラ
at ギンレイホール


瞳の奥の秘密 [DVD]

刑事裁判所を引退した男ベンハミン(リカルド・ダリン)は25年前の凄惨な事件を題材に小説を書こうとしていた。
当時の職場を訪れるとかつての上司イレーネ(ソレダ・ビジャミル)が彼を迎える。
この年下の上司の女性とベンハミンは何やらただの上司と部下ではなさそうな関係。
そこから過去と現在が交互に描かれ、25年前の事件とは何か、上司との関係は?等々次第に明らかになっていく。。。という書いてしまうとなんてことはない話に思えるけど、これが面白い。
スペイン/アルゼンチン映画。
アルゼンチンでは歴史的大ヒットだったらしい。

冒頭のモザイク?がかった映像とか目のアップとか、なんか芸術志向の監督なのかと思って微妙な感じがしたけど、段々気にならなくなる。
瞳の奥の秘密ってことで、カメラの手前に物や人の後頭部をピンボケ状態で映し出して被写体を覗き見るようなショットが執拗に繰り返され、見る、覗き見るという行為を弥が上にも意識させる演出。
見つめすぎてばれたり、ばれていないはずだったのに靴紐結ぶ行為すら見られていたり、大きく開いた胸元を一心に覗き見たり、見られているから柱の影に隠れてたり、見られたり聞かれたりするからドアを閉めようとしたり、見られていることを意識して銃を見せたり、見られることを恐れて写真立てを倒したり、覗き見たらでかい檻があったり。
それは誰でもないカメラという視点にまで広げて。
サッカー場のシーンでは犯人を追いかける手持ちカメラの緊迫した1人称視点、そこからいつのまにか誰でもないカメラ視点に移行していたり。
ああ、そう、このサッカー場のシーンの入りってCGなのかなぁ。フィールドから観客席まで上空からビューンとカメラが飛んでいってしかもその一瞬で見事にゴール決めているし。

もう忘れてしまったのだけど冒頭はベンハミンとイレーネだったのかな。
モラレスとリリアナ・コロトだと思っていた。
列車に乗り込む男をただ立ちすくんで放心したように見つめていた女が走り出した列車に意識を取り戻して必死にホームを走って男を追いかける、ってこんな情熱的だったらこの女は男を失った今、もう生きていけないのではないだろうか。

te moからte amoへ。
Aが壊れたタイプライターがそう繋がるか。

2010年11月23日火曜日

映画『華麗なるアリバイ』

2007年 監督:パスカル・ボニゼール
at ギンレイホール


アガサ・クリスティー 華麗なるアリバイ [DVD]

上院議員の邸宅で行なわれた親族、親しい友人のみのパーティで殺人事件発生。
8人全員が容疑者。
動機は、愛。

という予告編を見たとき、登場人物多くてかったるそうだな、事件発生後にどうせ容疑者達が言い争ったり被害者との関係が顕になったりとだらだら進んでいくんでしょ。
と全く見る気が起きず。
フランス映画界の豪華キャストで送ると言われても、無知ゆえにミュウ=ミュウしか知らない。

このテンションの低さを救ったのはマルト役のセリーヌ・サレットで、このぺちゃぱいの女性がいじらしくて可愛い。(むー、検索しても全然情報が得られない)
そんな入りだったけどいつの間にかこの映画自体に引き込まれていることに気付く。
これ、面白いです。
特にラストの方なんて初期のダリオ・アルジェントのホラーサスペンスのようにどきどきして怖い。
ただでさえ犯人が恐ろしいのに足もすくむ高所で不安定な足場の落下の恐怖が加わったら盛り上がる要素満載です。
ラストの怒涛の展開、演出はヒッチコックぽくもあったな。
大注目のマルトの想い人、いい奴フィリップ(マチュー・ドゥミ)が後半中心になるので愛にも溢れ。

監督は聞きなれないけど脚本家として活躍している人らしい。
フィルモグラフィー見ると、おお、ジャック・リヴェットのほとんどの作品の脚本に関わっている。
初監督だけどキャリアはかなりのベテランだった。

映画『クレイジー・ハート』

2009年 監督:スコット・クーパー
at ギンレイホール


クレイジー・ハート [DVD]

かつてスターだった男が今では売れずに各地をどさまわりしている。
生活も荒れ果てた初老にさしかかろうかという男の孤独な背中。

よくある話じゃないか、と日吉ミミも歌っているように、最近では『レスラー』もこんな話だった。
全然期待していなかったのにこれがかなり面白い。

伝説のシンガーソングライターのバッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)は、昔ながらのファンは未だにいるものの、今では曲も何年も書いていなくて落ちぶれている。
一方かつて弟子だったトミー・スウィート(コリン・ファレル)は人気の絶頂にいる。
何万人の前で歌う弟子に対して、バッドは最早ライブハウスでもない地方のボーリング場でステージを行なったりしている。
しかも重度のアル中だ。
そして何度か結婚しているが今は一人身の孤独。
ある時地方紙の女性記者ジーン(マギー・ギレンホール)からインタビューを受けたバッドはこの記者ジーンとねんごろになっていく。
親子くらい年が離れているんじゃないだろうか。
愛する人もできて本格的に復活したいところに、かつての弟子トミーのライブの前座の依頼が舞い込んでくる。
他の歌手ならともかくあいつだけは駄目だ、と言うもののこんなにいい話は他に無い。
渋々出演を承諾する。

監督は俳優さんらしい。
初監督なのに映像の一つ一つが熟練の監督かのように落ち着いている。
カメラマンの腕?
撮影はバリー・マーコウィッツ。
調べてみると『スリング・ブレイド』の撮影している人だな。
他にもニコラス・ケイジの監督作の撮影もしている。。。
俳優監督と縁があるのか。

後半、アル中のバッドがいつぽっくりいくのかと、その危うさから目が離せない。
この緊張感とすかしの連続。
むさくるしく不健康なバッドからすっきりした後の清潔感漂うバッドの驚くべき変化も見もの。

主演ジェフ・ブリッジス。
ジェフ・ブリッジスはかっこいいなぁ。
本人が歌っているっぽい。
堂々たる歌いっぷりで、全編歌に溢れているのに飽きない。
地方の名も無いバックバンドの演奏者も皆ありえないくらい上手いし。
コリン・ファレルも本人が歌っているのかな。

バッドの親友役でロバート・デュヴァルも出演。
もう80近いのに若々しい。

2010年11月20日土曜日

旧居

そういえば引越してから1ヵ月を過ぎた。
冷蔵庫も買った、電子レンジも買った、テレビも買った、HDDレコーダーも買った、ナノイー発生器も買った。
ベッドはまだ迷って買っていない。
未だに僕が住む4階には僕しか住んでいないらしい。

今日は年末調整を出すために会社のある蒲田くんだりまで行って来た。
社長の机の上に置いて会社を後にする。
せっかく蒲田に来たからどこか行こうと思って、会社の横に置きっぱなしの自転車で矢口渡近くのよく通っていた喫茶店に行く。

ああ、自転車の事書いておこう。
2年くらい前にしょっちゅうパンクしては修理に持っていってを繰り返していると、ある時もうタイヤが駄目だからタイヤを交換した方がいいと言われる。
5千円くらいかかる、と。
この自転車は確か2,3万とそこそこ高くて、しかも当時まだ買ってから2年くらいしか経っていないというのに、もうタイヤが駄目ってどういうことだと憤慨しながら修理は保留にして会社の横に置きっぱなしにしてから早2年。
もう処分されていて無いんじゃないかと思ったけど、行ってみたら奥の方に埃まみれで健在していたので先日ついに修理してきた。
鉄の部分が尋常じゃなく錆びていたけどそこは無視してまず埃を綺麗に拭きとって、錆び錆びでガチゴチになっている外れたチェーンを10分くらい格闘して取り付けてから自転車屋に持っていく。
この自転車を買った自転車屋はパンクの修理とか比較的安くてよく利用していたけど、いつだったか凄く横柄な態度の店員に頭に来てから一度も行っていないのだが、久しぶりに持っていってみる。
店の中に自転車を入れてから奥の店員を呼ぶと、そこは売り場だから勝手に上げないでください、コンクリートに傷がつくから、といきなり怒られる。
あの横柄な店員まだいたんだ。
パンクの修理と必要な場合はチューブの交換をお願いして店を出る。
チューブの交換の場合は3900円かかるらしい。安いな。
暫くすると電話が来る。
もうタイヤが駄目だからタイヤを交換する必要があり三千いくらだかかかるがいいか、と。
チューブとタイヤを交換して遭わせて6千いくら?と思って聞いてみると、ですから3900円です!と切れ気味に言われてむっとしながらもお願いする。
時間になり取りに行って支払って早々に後にするべく自転車にまたがって漕ぎ出すと意外に快適に仕上がっている。
後輪ブレーキがほとんど利かなくなっていたのに調整してくれたっぽい。
暫く走ってから止まって後輪の空気入れるところを見ると、紛失していたバルブのキャップも補足してくれている。
ただ、二度といかないと思う。

話を戻すと、喫茶店でケーキセット頼んで新聞読んで文庫読んで煙草吸って暫くくつろいだ後、夕飯にシダットに行く。7時半くらいだったかな。
初めて見る店員にバターパニールとナンを注文する。
ここのバターパニールはやっぱり甘くて美味いなぁ。
初めて見る店員だから僕の事知らないだろうと思ったけど、ちゃんとサービスでラッシーが出てくる。
半年前くらいからよく見かけるようになった女性店員がちらっと見えたからその人が覚えていたのかな。
サービスで出てくる飲み物は僕が頻繁に行くからサービスしてくれていると思っていたけど、もしかしたらよく行くとか関係無しにサービスで飲み物を一律出しているのかもしれない。

満腹になった後、旧居を見に行く。
駅から旧居までの道は往復でもう千回以上は歩いたはずだ。
この道を歩くことはもうないんだなと感慨にふける。
マンションについて外から見上げると、住んでいた部屋はカーテンも無く真っ暗なので、まだ誰も住んでいないようだ。
あの臭い部屋のクリーニングはもう終わったのかな。
この部屋も二度と入ることはないのか。
ここが初めて一人暮らしした所なので、よくよく考えてみるとかつて何年も住んでいた部屋に二度と入れなくなるという経験は初めてだ。
実家はまだあるし、実家は一度も引越ししていないので。
さして思いでもないけど寂しいもんです。

2010年11月7日日曜日

映画『おとうと』

2009年 監督:山田洋次
at ギンレイホール


おとうと <通常版> [DVD]

オールバックの女性は自意識過剰で性格が悪い、と小学生の頃に感じていた事をふと思い出した。
これは多分にオールバックだった同級生の女の子の印象によるのだけど。
オールバックって額が丸出しは当然のこととして髪の毛もびしっと頭の形に沿って撫で付けられているから、顔そのものが惜しげもなく前面に押し出されているわけだ。
顔に相当自信があるってことでしょ。
だから自意識過剰で性格が悪いっていう論理だけど、そういえば蒼井優もオールバックが多い。
やっぱり小学生の考えなんてそんなもんです、
ちなみに男のオールバックはただのハゲだ。

主演吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優。
しっかりものの姉と駄目駄目な弟、結婚したけど離婚しちゃった出戻りの姉の娘、の三者の物語。
段々退屈になってきて、後半にボランティアに近い利益度外視の生活保護者のホスピスが登場してからは一体何の映画観ているのかよくわからなくなってくる。

役者陣がどうもすっきりしない。
蒼井優は蒼井優じゃなくても全然構わないようなしょぼい役だし、吉永小百合は原爆詩の朗読のし過ぎのせいが演技のセリフが棒読みになっているし、鶴瓶は『ディア・ドクター』のような深みが出ていないし。
主演陣が消化不良のまま有名どころが脇役でわらわら出てきてさらに邪魔する。
『幸福の黄色いハンカチ』の3人はあんなに魅力的に撮っていたのにねぇ。

とはいえ、ラストはあやうく泣きそうになってしまう。
これがホスピスじゃなくて普通に病院だったら入院費やらなんやらを姉がなけなしの金を搾り出して払わなければならず、全然違う結末になったはずだが。
都合よくできているもんだ。

鶴瓶が吉永小百合を「おねーちゃん、おねーちゃん」と呼び、義母役の加藤治子が「いい年しておねーちゃんって。。」と言う。
こう書くとなんか豪華というかかなり特異で面白い配役だなぁ、というのは置いといて、僕にも姉がいるけど未だにおねーちゃんと呼んでいる。
当たり前のように思って疑問もわかなかったけど、そうか、僕ももうとっくに「姉さん」と呼ばなければいけない年なのかもしれない。

映画『幸福の黄色いハンカチ』

1977年 監督:山田洋次
at ギンレイホール


幸福の黄色いハンカチ [DVD]

子供の頃からテレビでたまたまやっているのをなんとなく最後まで見たりして結局3,4回くらい観ている気がする。不可抗力的に。
デジタルリマスター版らしいのだけど、せっかくだから最初からじっくり観てみようかな、と。

冒頭の北海道に行くまでのシーンは初めて観た。
天井から窓、武田鉄矢の足と降りていく始まりはなかなかいい。
何度も観ているのに飽きずにさらっと楽しく観る事が出来る。
武田鉄矢と桃井かおりと高倉健という絶妙な組み合わせによるやりとりが楽しいからな。
倍賞千恵子は日本の女優の中で最も苦手な人なのであまり意識しないようにしてスルー。。。したいところだけど出演している以上見えてしまう。
「一度結婚しているけど、あんたそれでもいいの?」と健さんの顔を見ないで言いながら濡れた髪の雫を顔を無造作に撫でて払う仕種など倍賞千恵子!または山田洋次!?という感じでうげーと思う。

クライマックスの変な音楽は最悪だけど最悪だから記憶に残る。

2010年11月3日水曜日

引越(4) ~引越まで

 9/27(月)
初期費用の清算書をスキャナでPDFにしたものがメールで送られてくる。
契約は販売会社で行なうらしい。

 9/28(火)
引越会社指定なのでその指定の引越会社から電話が来る。
次の土曜に見積もりに来てもらうことになる。

 9/29(水)
振り込む。

 9/30(木)
販売会社での契約手続き希望日を土日で出していたのに、土日は予約で全部埋まっているらしい。
どんだけ忙しい会社なのだろう。

 10/2(土)
引越会社の営業がやってくる。
たぶんファミリー向けの一番小さいトラックになる。
事前に調べたところ、単身引越サービスは同一区内でしか駄目らしい。
テレビは持っていかないというと、もし持っていくことになってもトラックの容量は十分あるから構いませんと言われる。
全然余裕らしい。
日にちは10/15(金)を希望したけど、10/12~14だともっと安くなるという。
平日なら安いと思ったけど金曜は人気らしい。
10/14(木)にする。
時間は8時から。
早いなと思って朝の方が安いのかなと思って聞いてみると、むしろ午後の方が安いのだと。
じゃあ午後がいいよと思うが、次の日仕事だし時間はあった方がいいかなと思ってそのままにする。
ダンボール20箱貰う。置き場所が無い。

引越先は
「地デジチューナー設置のため、アナログTVは別途チューナー必要」
で、意味不明なので何度か仲介の不動産屋に聞くと、いまいち要領を得ないものの要はVHFアンテナを設置していないらしい。
テレビとHDDレコーダーを地デジに買い換えないとなぁ。
アナログのHDDレコーダーが2台あってそのうちの1台は処分しようと思う。
もう一台の方はあまりにたくさん入っていて整理するのは間に合わないので引越後にゆっくりやろう。
処分する方には主に紅白が入っている。
2005年の紅白からDVDに焼いていこうとするけど、4時間20分あるから20分削除しないと。

 10/3(日)
買い換える地デジテレビもレコーダーもそれぞれどのメーカーにするかなかなか決まらないし紅白はなかなか整理できないし。

 10/4(月)
今の部屋の10月分の家賃がどうなったのか未だに連絡が来ない。
解約することすら大家に伝わっていないのではないだろうか。
そろそろ電話して問いただそうかと思っていると、仕事帰りにマンションの下で大家のおばちゃんに呼び止められる。
一応不動産から連絡はあったらしい。
いまいち話の内容が分からなかったのだけど、不動産屋の電話番号がどっかいってしまったから、10月分の日割りの額や立会い日をどうするか等不動産屋に連絡しておいてくれないかみたいなことを言っていた。
いや、それは解約手続きするときに不動産屋に僕から言ってあって、大家さんと相談して後日連絡するという話になっていたのですが。。。と言うと暫く固まってどうしようかしらみたいな感じになるので、電話番号なら分かるからちょっと待っててくださいと言って一旦部屋に戻って番号をメモ用紙に控えて渡す。
立会いは忙しくて時間作れないのよねとか言っていた。
ついでに柿を1個貰う。

 10/5(火)
今のマンションの不動産屋から電話がある。
日割りの額を教えてもらって控える。
立会いについては、大家が来れなくなったので不動産屋の人だけが来るそうだ。
そして日にちは希望していて17日は都合が悪いので16日にしてくれないかと頼まれる。
まあ、いっかと思って了承する。

 10/7(木)
マンションの販売会社で契約手続きするために仕事帰りに高田馬場に行く。
迷惑電話で有名でも直接関わることはないだろうと思っていたのに入居審査で電話かけたり会社にまで訪れたりすることになるとは。
出されたコーヒーを飲みながら暫く待っていると、小柄なおじさんと目の少し釣りあがった若い女性が出てくる。
事細かに契約内容を説明してくれる。
最後に署名して判子押して終わり。
一個個人情報の扱いについての誓約書で、販売会社が個人情報を営業活動に利用することの承諾みたいな書類があって、うーむと唸りながら固まっていたのだけど、まあどうせ会社にかかってきも俺いないしいっかと思って署名する。

家帰ってから電気、ガス、水道、NHK、NTT、プロバイダの移転手続き(停止と開始)をネットで行なう。
NTTとADSLの移転は時間がかかるらしく、10/20くらいまでインターネットが使用できないっぽい。

 10/8(金)
午前半休取って区役所に行って転出届を出してくる。
ついでに郵便局に行って郵便物の転送手続きをする。

NTTから電話がある。
どうも新築ゆえか部屋がまだ登録されていないとかで、登録が必要だと。
そして新築だから派遣で工事が必要で、派遣で1万円くらい費用がかかる、と。
そういえば昨日の契約時に光を導入しているから住居人は安く利用できます、とパンフレットをちらっと見せてもらって、あまり興味なかったけど二千円くらいの金額だったのを思い出す。
あんまり聞いたことないプロバイダだった気がする。
パンフレットは部屋に置いてありますのでという話なので詳細が分からないが、この機会に光にしてしまえばNTTの固定電話回線が不要になる。
電話回線の移転手続きは今の場所の利用停止手続きだけにしてもらって、新居での利用をするかどうかは後日回答という形にしてもらう。

仕事して家に帰るとマンションの下でまた大家に呼び止められる。
不動産屋が立会いにこれなくなったらしい。どんだけ忙しいんだよ、全く。
「不動産屋からそう伝えてくれと言われたけど、なかなか会えないしどうしようかと思っていたのよ。不動産屋がこれないのを知らないまま当日待ちぼうけになったら困るしねぇ。本当よかった。」
マンション1階の野菜置き場で大家がたまたま作業しているところに帰ってきたからよかったものの、タイミングが合わず会わなかったら本当どうするつもりだったんだろう。
たぶん17日にいつまで待っても来ない不動産屋に激怒して怒りの電話をかけていたことだろう。恐ろしい。
立会いの方は大家もこれないしどうするんだと思ったら、立会いは無しということになる。
敷金は2ヶ月分の内1ヶ月分だけ返してくれるらしい。
「壁紙の張替えとか結構するのよねぇ」
8年住んで煙草のヤニでまっ黄色。ろくに掃除もしてないからかなり汚い、臭い。
1ヶ月分返ってくるのは最高の結果かも。
10月分の日割りの家賃については返却される敷金から引いて貰うことにする。

 10/9(土)
利用しているプロバイダso-netのページを見ていると、光でUCOMがある。
ああ、新居はUCOMだったかなぁ。
月額料金はADSLより少し高い。ただ、NTTの電話回線が無くなれば断然安いか。
だけどそもそもUCOMかどうかも分からない。
プロバイダが変わるのは嫌だな。
なんかもういいやと思ってNTTに電話して移転手続きしてもらうことにする。

 10/10(日)
新しい部屋を見に行く。
シンクは横幅はやっぱり狭いものの縦幅はそこそこあるので鍋一つくらいは入りそう。
部屋はやっぱり狭いなぁ。
内見の時は新築にうかれて気付かなかったけど、近くの高速の車の音が結構する。
窓を閉めても換気口から車の音が通奏低音のように響いてくる。
ねっころがって家具の配置を考えながらうるせーなーと思う。
5階からだと見えていた柳は4階からは見えなかった。
窓に近づくと斜め向いのマンションらしき建物の部屋にいる人と目が合う。
それにしてもこの斜め向いは事務所かなんかなのだろうか。
人がたくさんいる。
カーテン開けると部屋の半分はまる見えだな。
テレビは壁沿いに置いて自分の定位置はその反対側の壁沿いにしようかな。
向かいのマンションから見えない死角を居場所にすればカーテンも開け放つことができる。

光はQit光だった。


 10/11(月)
紅白のDVDダビングが完了したのでHDDレコーダーを取っておいたダンボール箱に入れる。
前に部屋にねずみが出て、いつのまにか現れなくなったことがあって、最後に目撃したのがテレビの裏だったため、テレビの裏に積み重ねていたHDDレコーダーのでっかい箱の中で死んでいるに違いないと思っていたけど、箱を開いても何もいなかった。
じゃあもう一つのHDDレコーダーの箱の中で死んでいるに違いない。

さあすっきりした。引越三日前にやっと梱包を始める。
まずはCD類の梱包完了。

 10/12(火)
NTTから電話がある。
開通工事の立会い日はいつにするかというのと電話番号が変更になるが候補の中から選べ、と。
立会いは10月21日(木)午前9時~10時にしてもらって電話番号はなんでもよかったけど一応後で回答ってことにする。
電話番号はそのままだと思ってインターネットプロバイダのADSL移転手続きを同時に進めているのだけど、電話番号が変わることをプロバイダに伝える必要があるか、とNTTに聞く話でもないのかもしれないけど一応聞いてみると、連絡した方がいい、と。
電話番号が確定するのは開通工事が完了した後らしい。

家に帰ってから姉に電話して不用品を取りに来てもらう。
・デスクトップPCとモニタ
・PS2
・アナログHDDレコーダー
・電気ストーブ
・電子レンジ
・机
・冬服夏服
リサイクルショップに持ち込んで売っ払ってくれることになっている。
「全然荷造りしてないじゃん。間に合わないよ。」と怒られる。

本、書類等の梱包完了。
深夜4時過ぎにやっと寝る。

 10/13(水)
so-netに電話して電話番号が変わる旨を連絡する。
移転手続きで記入した電話番号はただの参考情報でプロバイダとしては特にどうでもいいらしい。
だが、念のため回線業者に確認します、と暫く待たされる。
するとこのままだと二重に料金が発生してしまうとのこと。
つまり今の移転申込みの作業が終わってその料金が請求された後に電話番号が変わったことでの変更手続きでまた料金が発生する。
一度キャンセルして電話番号が確定してから再度移転手続きした方がいいらしいのでキャンセルする。
ああ、またADSLの開通が先になってしまった。

梱包の続きをする。
22時くらいから風呂掃除する。
ここ2年くらいさぼっていたのでひどい状態。
2時間くらいやって疲れたのでやめる。

ああ、もう食器とか生活用品とか服とか全然梱包できていないのに0時過ぎ。
昨日3時間くらいしか寝てないから少なくとも4時間くらいは寝ておきたい。
ただ、もう全然やる気が起きず、ちょっと作業してはどうダンボールに入れるか悩んでちょっと一服っていうのを繰り返して遅々として進まない。

家電は業者が梱包してくれるらしいのでアナログHDDレコーダーの箱はいらないなと思って、処分しようと開けようとする直前にねずみのことをはっと思い出し、どきどきしながら開けてみたけど結局いなかった。
箱の中で腐っていたとしても臭いで気付くよな。
じゃああのねずみは一体どこに消えたのだろう。

6時くらいにさすがにやばいと思ってもう何も考えずにダンボールに突っ込んでいく。
引越業者が来る8時まで作業をし続ける。
掃除とかADSLが暫く使えないのでPHSつないでダイヤルアップする方法を試そうとかいろいろ予定していたものが全くできていないけど、とりあえず梱包はそれなりに完了。


 10/14(木)
8時ちょっと過ぎに引越業者から電話が来て、作業開始。
がたいのいい兄さん二人がさくさくダンボールを運び出していく。
本やCDをめいいっぱい詰めたダンボールなど、これは重くて大変だぁと思っていたのに、さくさくと。
なんか一刻も早く体鍛えたくなってくる。

掃除できなかったのでずっと位置を変えていない家具の裏や床にまるで廃墟のような埃の束ができていて恥ずかしい。
そもそも自分じゃ慣れてあまり気にしないけど、煙草のヤニや体臭などでこの部屋はかなり臭いらしいので恥ずかしいなんて今更な気もする。

バルコニーの洗濯機を取り外すときにブシューっと失敗していた。
蛇口がちゃんと閉まってなかったらしい。
その失敗とは関係ないけど、排水ホースが2箇所ほど破れているらしい。
洗濯しているときに水が漏れたりしてませんでしたか?と聞かれるが漏れてはいなかったように思うと答えたものの、後で思い出すとそういえば最近いやにベランダが濡れてる時があって、隣の部屋のエアコンのせいだと思っていたけど洗濯機の排水ホースからだったのかもしれない。

1時間ちょっとで荷物を全て積み終わる。

生活用品など詰めたリュックしょって、まずはコンビニに行っておにぎりを買う。
昨日の夜からなんも食ってないので腹減った。
電車で有楽町へ。

新居の前にもうトラックが着いていたけど、作業員は車内で寝ている。
とりあえず部屋に行ってみる。
新築の匂い。
携帯見ると引越業者からの着信が入っていた。ちょうど歩いていたときだな。
下に降りて搬入作業を開始してもらう。
家具の配置などなにも考えていないので適当に置いてもらう。

洗濯機は水溜めて脱水してもらったら排水ホースの破れ目から結構水が漏れてパンの半分くらいまで水びたしになっている。
排水ホースは安いから買い換えた方がいいとのこと。
洗濯機自体買い換えようかな。でもずっとバルコニーに置いていたから汚いという事以外は普通に使えるわけだしもったいない。悩みどころ。

簡単に家具を配置してみたりした後、近くの区役所に行って転入届を出してくる。
そしてそのまま旧居に戻る。

掃除する。
母と姉が来て手伝ってくれる。

近くの大家が経営する八百屋に行って大家のおばちゃんに鍵を渡す。
敷金は一か月分から10月分の日割り家賃を引いた額という話だが、用意しようと思っていてまだできていないらしく、しかも金額を忘れた、と。
家に戻れば日割り額のメモがある、けど今自転車を主人が乗っていってしまっている。
戻ってこないなぁと言いながら暫く待たされる。
歩いて1分くらいなんだから歩けよと思うがなかなか動かない。
ようやく重い腰をあげて歩いて家にメモを取りに行って程なく自転車に乗って主人が帰ってくる。
おばちゃんも戻ってきて敷金とみかん10個くらい貰ってお礼言って安い菓子折り渡して店を出る。

車で待たせていた母と姉と3人で寿司食ってから別れる。


後で思い出したけど、引越しする前に旧居周辺で行ってみようとしていたことをすっかり忘れていた。
■屋上に行く
旧居に入居した頃に一度屋上で作業中の人に用があって上ったきり一度も行っていない。
普段は閉まっていて出れるのかどうかもよく分からないがもう一度行ってみようと思っていたのになぁ。
■近くのコンビニに行く
歩いて2分くらいのセブンイレブンにはくさるほど行ったけど、歩いて数十秒のところにも名前は忘れたがコンビニがあって、そこは一度も入ったことが無い。
24時間営業じゃなくて夜中には閉まっているコンビニ。

まあとりあえず引越が終わってまずはひと段落。
こっからテレビやHDDレコーダーや冷蔵庫や電子レンジや生活用品やもしかしたらベッド購入や布団買い替え等々、検討して揃えなければいけないものがたくさんある。

引越(3) ~入居審査

 9/12(日)
明日から審査に入るとメールが来る。

ネットで調べていると、あの新築マンションの販売会社はマンション投資の迷惑電話で有名らしいと知る。
家賃が高い。初期費用が高い。販売会社が不安。
考えるのが面倒になってきたのでこないだから始めているゲームをする。『デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 アバドン王』KINGモード。

 9/14(火)
仕事中、知らない電話からかかってきて、販売会社だなと思って一旦廊下に出ようと歩き出したら速攻切れてしまう。
折り返しかけようかと思うがまたかかってくるだろうと思って放って置く。
結局それ以来かかってこなかった。

八丁堀のご対面マンションの販売会社も検索してみると、迷惑電話の悪徳業者リストにしっかり入っていた。
安めのマンションの販売会社なんてどこも同じようなもんに違いない。
気にしないことにする。

それより新富町の新築マンションの部屋の写真を見ていると、こんなに狭かったっけと思う。
バルコニー側の左隅は柱なのか異様に出っ張っているし、部屋の中に在るクローゼットも心持ち出っ張っている気がする。
6畳というけど実質5畳くらいしかないんじゃないだろうか?
新築の綺麗さに見とれてあんまり広さを考えていなかった。
部屋の4隅っていうのは家具配置で一番有効利用できる重要な箇所だと思うのだけど、バルコニー側の左手は出っ張った柱、右手は換気口、バルコニーの反対側はドアとクローゼットがあってそもそも物を置けそうに無い。
そう、狭いくせに物を置く場所が全然ない。
あと気になったのはシンクが異様に狭い。
キッチンもちゃんとチェックしたはずだけど、写真で見る限り鍋一つすら入らないんじゃないだろうかという狭さ。

考えるのが面倒になってきたのでこないだから始めているゲームをする。
早くクリアしてすっきりしないと。

 9/16(木)
昼飯にパンを食っているとき電話が鳴る。
手を拭いて慌てて取り出したところで切れる。
火曜もそうだけど呼び出し音4回くらいしか鳴らしてないだろう。
一体どんだけせっかちなんだ。

 9/18(土)
ゲームする。
こんなことしている場合じゃない気も激しくする。

 9/19(日)
ゲームする。
こんなことしている場合じゃない気も激しくする。

入居審査に一体どれだけ時間取ってるんだ。
一個気になっているのは、入居希望日を10月下旬としているが、この新築物件が入居可能になるのは10/1からで、もし9月に契約成立した場合は入居は10月下旬でも家賃は10/1からすぐ発生するのだろうか?
今住んでいる所をまだ解約していないのだが。
仲介の不動産屋にメールで問い合わせる。

キャンセルはいつまでなら可能なのかも聞こうとしたけど、もういいやと決心する。
狭いのは家具を処分するなり配置を工夫すれば何とかなるだろう。

 9/20(月)
爆睡していたら電話が鳴って飛び起きる。
仲介の不動産屋からで、契約成立と同時に家賃が発生するから解約はもうしておいた方が無難だと。
審査が通らなかった場合は即別物件を探すことになるがひと月もあるなら大丈夫だろう、と。
家賃発生日はできるだけ遅めになるように調整してくれるらしい。
また、入居審査は本人確認、保証人確認の順で進むらしく、その最初の本人確認で躓いている、ってことは1週間以上経過しているのに実質何も進展していないってことになる。
入居審査の方はすぐ電話が切れるから今度かかってきて出れなかったらこっちから電話していいかと聞くと、それは構わないはずだと。
電話番号は火曜木曜にかかってきた番号が販売会社のもののはずだが、明日一度電話入れるように販売会社に言っておいてくれるらしい。

さて、今の部屋の解約の電話しようと契約書を探し出して見ていると、解約は書類書いて郵送なり持っていくなりするらしい。
解約書をざっと記入して持っていく。

店に行ったら持っていた解約通知書のフォーマットが古かったらしく、その場で書き直して手続き完了。
一ヵ月後ということで契約終了は10/19。
明け渡しは10/17(日)にしておく。
10月分の家賃はどうなるのか聞くと、日割りの額は大家と相談して後日連絡しますとのこと。

 9/21(火)
健康診断で溜池山王に行く。
午前中で全部終わって飯食って帰る。

健康診断中に販売会社から電話が来ているはずだと思っていたけど、携帯見ると着信が入っていない。
とっとと進めてほしいので、こっちから電話してやった。
マンション勧誘の迷惑電話で有名な会社だけど、対応は普通だった。
本人確認がこれで完了したので次に保証人確認に移ります、と。

 9/22(水)
仲介の不動産屋から電話がある。
販売会社が姉の会社に電話したところ、いないと言われたらしい。
保証人の項目に書いた会社の番号は本社の番号だけど、姉は本社にはいない。
その場にいなくてもここにはいないみたいに在籍の確認が取れるような対応ならそれでOKになるらしいが、いないだけじゃ確認にならないらしい。当たり前か。
仲介業者も販売会社からの又聞きで、姉の会社の人が一体どういう対応したのか知らないし、僕は僕で姉の会社の事なんてほとんど知らない。
知らない者同士であれこれ予測してもしょうがないので、とりあえず姉がいる場所の電話番号を確認したら報告することにする。

姉と連絡取って姉が出れる番号を教えてもらう。
同僚には話してあるので同僚が出てもいいように言ってくれるらしい。
いないと言われた件については、最近知らない会社からの電話を取り次いだら金銭がらみのトラブルに発展したことがあって、知らない会社からの電話は取り次がないように全社員に通達があったからそのせいかも、と。
間違いなくそのせいだ。
あと、10月いっぱいでの退職が決まったらしい。
そして今日は祝日で休みで明日9/24が最後の出勤、後は有給消化。

 9/24(金)
仲介の不動産屋から電話があって入居審査が通ったと。
ばんざーい。

来週、販売会社から清算書が届いたら送るとのこと。

引越(2) ~内見

もうかなりうろ覚え。
出来事と日にちは実際と合ってないかもしれないけど、書いてしまえばそれが事実にすりかわる。


 9/8(水)
今日から日曜まで夏休み。
不動産は水曜休みが多いというし、とりあえず今日はゲームする。

 9/9(木)
昼も大分過ぎてからのそのそ起きて、さてどうしようかと思う。
まずはどの地域に引っ越すか考慮しないと。
候補は有楽町の東側と恵比寿と飯田橋。
見に行くのが手っ取り早いとまずは有楽町に行ってみる。

着いたのは15時半くらいだったかな。
新富町、入船、新川あたりをふらふら歩き回る。
ここらへんはなかなかいい所だな。手ごろそうなマンションもちらほら見える。
不動産屋があったら入ってみようかと思うのだが、いくら歩き回っても不動産屋が見つからない。
探すのを諦めた頃に目の前にピタットハウスが現れる。
ガラスに貼ってある物件を見ていると9万以下で結構あるもんだ。
店の中を覗くとなんか混んでいたのでちょっと気負けして入らずに通り過ぎる。

隅田川近くの住宅街を散歩していると空き地らしき場所が見えてきて、こんな狭い土地にもいずれマンションが建つのだろうかと歩きながら考えていると、いや、空き地じゃないや、公園だ。
雑草の茂る殺風景な公園の真ん中にぽつんと古びたベンチが2台あって、2台のベンチの間に灰皿が見えたので、ああ丁度いいや一服しようと思って公園に立ち入ったその瞬間、デジャブとも違う既視感がする。
どっかで見たことあるぞと思いながらベンチに腰掛けると確信に変わる。
ここって『空気人形』で使われていた所だ。
川向こうに見える無駄に高いマンションとかそのまんまだし、目の前の堤防やこのベンチにペ・ドゥナが座っていたよな。
煙草吸っていると犬を連れた奥さんがやってきて、犬の首輪をはずしてボールで遊ばせていた。
のどかだ。
目の前の堤防やその先にそびえるマンションは無機的だし、廃れた空き地のような狭い公園だけど。
湊公園というらしい。

歩いた感じだと湊、新川辺りがよさげな感じ。
歩きつかれたので帰ろうと思って今どこにいるんだかよく分からなかったけど、とりあえず東京方面に向かって歩き出す。
歩いていると左手に建物のガラスごしに紙が展示されていて一瞬不動産屋かと思って見てみると映画のポスターっぽい。
あっ、ここフィルムセンターじゃん。
そういえば昔毎日のように大学とここを行ったり来たりしていた頃は昭和通りより東側は人なんか住んでいるとも考え難い全く未知の物寂しい地域だと思っていたな。
湊や新川なんか昭和通り渡ってさらに新大橋通りも渡った先になる。

東京駅は工事中か。
八重洲南口の改札近くにあったパン屋はどっかいっちゃったみたいだけどおにぎり屋はまだあった。

家に帰ってSUUMOで部屋探しする。
山手線の駅周辺だと1Kは恵比寿が一番相場が高いらしい。
もう夏休みも終わっちゃうし有楽町の東側にしようと思う。

 9/10(金)
SUUMOから中央区を中心に物件を揃えているという不動産屋を1件ピックアップして、そこに行ってみようと思う。
ただ、昼過ぎまで寝ていたので15時前くらいに有楽町に着く。
歌舞伎座の位置からして晴海通りを築地方面に歩くと右手にあるらしい。
なんで昨日気づかなかったかなと思って晴海通りを歩いていたらいつの間にか歌舞伎座まで着いてしまう。
おお、見落としたっぽいと今度は注意深く見ながら歩くけど数寄屋橋近くまで戻っても見つからない。
あれっ?
今度は左側の歩道から右手を見ながら歩いてみるがやっぱり無い。
何度か行き来したけど確実に無い。
HPの更新も新しかったから潰れたわけじゃなさそうだし。
晴海通り沿いじゃなくて一本ずれるのかと思って南側、北側とそれぞれ歩いてみるけどやっぱり無い。
携帯で調べようとしたけど不動産屋の名前を忘れた。
SUUMOから検索しようとするがあまりに重くて20分くらいチャレンジして諦めた。

もしかしたら見た地図は東西逆だったのかもと思って晴海通りを築地の方まで行ってみようと思う。
万年橋でスーツ姿でアンケートボードのようなものを抱えた新入社員っぽい女性がたくさん立っていて、通り過ぎたら後ろから声かけられる。
内容聞く前に断ったらしつこく食い下がられたけど面倒だから断る。
新大橋通りの交差点辺りでやっぱり無いなぁと携帯を見ていると初老のおばさんに新橋演舞場の場所を聞かれる。
新橋演舞場の場所を30台前半の男に聞くなんて!
地元民じゃないし詳しく覚えてない。ここより南の方を指して、「向こうの方だと思うけどすいません分かりません」と謝る。
おばさんはその後年配のおじさんに声かけて、詳しく道順を教えてもらっていた。
そういえば昨日は昭和通りを茅場町に向かってふらふら歩いていたら、女性から八丁堀はどっちですか?と聞かれた。
さっき通り過ぎた気がするなぁと思って来た道を指してあっちですと言う。
ここ数日よく声を掛けられる。
間違いなく気さくな雰囲気はかもし出していないはずなのだが。

目星つけていた不動産屋が見つからないので時間も夕方近くになってしまったし、昨日見つけたピタットハウスに行くことにする。
どこにあったかうろ覚えだけどここより北であることは間違いないので北に向かって歩き出すと、なんか不動産屋がある。
店の名前を見ると、ああ、確か探していた不動産屋はこんな名前だった。
どうも僕が見た地図は90度方角が回転していたらしい。

腹が減っていたのでコンビニでおにぎりとアイス買って歩き食いして一服してから店に入る。
17時くらいになっていたかな。

女性の方が対応してくれる。
・管理費込みで9万以下
・場所はこの辺でJRの有楽町か東京駅に徒歩で30分以内で行ける場所
・20平米以上で6畳より大きい部屋
・2階以上
といった条件で6,7件見繕ってくれる。
じゃあ内見に行きましょうかという言葉を待ちつつ不動産屋さんのお勧めポイントなど聞いたり雑談したりしている内に最終的に3件になる。
なんかいつまで経っても内見の話が出てこなくてこのままだと0件まで絞られちゃうんじゃね、と思って「ではこの3件でお願いします」と言ってみると、明日以降で都合のいい日を聞かれる。
時間も遅かったからなぁ。
明日の11時に内見の予約をして店を出る。

外はもう暗くなっていたけど、せっかくだから先にその3件の立地を見てみようと思う。
八丁堀と水天宮と人形町。

八丁堀のマンションから行こうとしたけど少し通り過ぎてしまったようなので水天宮から行ってみる。
住所とGoogleマップを頼りになんとかたどり着く。
1フロア二部屋くらいなのだろうか、細くて高い。
近くに無機質な首都高の高架があって、夜というのもあるけどそれがなんだか寂しげ。
高架をくぐってサラリーマンがちらほらやってくるのと、マンションの隣の自営業らしきおっさん達がミニバンに何かを積み込んでいるの以外は人があまりいない。
マンション前の道路は狭い2車線で車なんかほぼ通らないので静かなのはいい。
ただ、3階の部屋だから向かいの建物に阻まれて外の眺めは悪そう。
5階以上だとずっと先まで開けそうなので惜しいなぁ。

次に人形町に行ってみる。
探している住所はGoogleマップに番地が載っていなくて、電柱などの住所表示を見ながら歩き回って探す。
しっかしどこ歩いても車がびゅんびゅん走ってるなぁ。
やっと見つけたマンションは大通り沿いだった。
階数は8階と高いので高さで車の音は少しは和らぐだろうか。

不動産屋が一押ししていた八丁堀のマンションに期待を込めて向かう。
大通りに面しているけど部屋は反対側だからうるさくないという話だった。
やっぱり9万以下くらいだと大通り沿いとかになってしまうのかな。
こちらもGoogleマップでは場所が分からなくて探して歩き回る。
やっと見つけたマンションはちょっと笑ってしまった。
似たような作りの同じような高さのマンションと幅1Mちょっと程度の狭い路地を挟んでご対面している。
大通り側はマンションの側面で、バルコニーは狭い路地に面して並んでいるのだけど、狭い路地を挟んだ向かいのマンションもやっぱり大通側が側面で、しかもバルコニーはこっち向いちゃっているもんだから本当にご対面している感じで格好悪い。
部屋は大通りの反対側って話だけど、そもそも大通り側に部屋が無いし、対面している側の反対側には部屋が無さそうに見える。
地図上の位置的には最高にいいんだけどなぁ。

外から見た感じだと3件とも少し微妙だったのでちょっとがっかりしながら帰る。
部屋の作りがいいことを祈ろう。

 9/11(土)
11時に店に行く。
水天宮のマンションは決まってしまったらしく、内見は八丁堀と人形町の2件になってしまう。

まずは八丁堀のマンションまで歩きで。
路次、「昨日見たけど向かいのマンションと対面しているんですね」と言ったら、なんか部屋を勘違いしていたらしく、暫く記憶を辿るように考え込んだ後に、今から見に行く部屋はその対面している側の部屋だったかもしれない、とのこと。
部屋に入ってみると窓の外からすぐ向かいのマンションの壁が見える。
窓に近づくと向かいのマンションの窓が見えた。少しずらしているらしい。
でもカーテン閉まっているけどカーテン開けたらお互い部屋の9割方見渡せるな。
部屋は6.3畳とのことだが、正方形に近い形のせいか今の部屋より狭く感じもする。
キッチンや風呂トイレは快適そう。
窓を開けると通りの車の音がうるさい。
閉めるとかなり遮音されるけど、やっぱりうっさいな。

次に人形町。
タクシーで移動。車は所有していないらしい。
着いて部屋に行き、窓を開けるとすごい音。
8階だろうがなんだろうが車の音の大きさは変わらない。
角部屋なので側面にも小さい窓があって、そちらも開けるとさらにうるさい。
ただ、この小窓から通りを歩く人を眺めるのは楽しい気もする。

2件とも微妙だなと思っていると、先ほどの八丁堀のマンションでのミスを気にしてか、近くに人形町店があるからそこで他の物件を探しましょうと申し訳無さそうに提案される。
人形町店で探す。といっても条件に合う物件は昨日ほとんど検討されつくした感じなので1日でそうそう物件が増えるわけでもない。
JRの駅まで近いところと言ったけどもっと隅田川よりでもいいですよと言うと、別にJRの駅から遠くなってもこの辺なら対して家賃に変わりはないらしい。
となると条件を緩めるか。
9万を少しならオーバーしても、というと新築の物件でいいのが一つあるらしい。
9万2千円。そして敷金礼金が2ヶ月ずつ。高いなぁ。人形町のマンションは敷金礼金無しだったし。
部屋は6畳。
ただ、場所は新富町でかなりいい位置にある。
まだ工事中だけど土曜だけ内見できるらしい。
さっそく見に行く。

さすが新築。綺麗だ。
1階のエレベータにはエレベータ内を映すモニターなんか設置されていたりする。
9万2千円の部屋は4階だけど、賃貸の内見で見れるのは5階だけ(分譲は6階)なので5階の部屋に行く。
部屋に入るとこれがまたおしゃれ。
フローリングや壁の白とドアなどの黒がいいバランスで配置されていて格好いい。
さっきの2件は築6年以内くらいで綺麗だなと思っていたけど、新築の比じゃないな。
窓の外も斜め右にマンションっぽい建物があって邪魔だけど、左側は結構開けている。
開けているのは、道路を挟んだ斜め左に小さな稲荷神社があるのと、その先は高速が地面に少し潜る高さで走っていることによる。
高速が近いけど音はそんなに気にならない。
高速脇にある大きな柳が少し見えるのもなんかいい。(4階からも見えるかどうか分からないが)
この立地で新築で9万2千円って格安な気がする。
家賃は階が一つ上がるごとに500円UPするらしい。
4階が高さと値段で一番手ごろ。

ここは入居申込み書をこのマンションの販売会社に出す必要があるとのこと。
早いもの順なので後でキャンセルもできるから出すだけ出しておいた方がいいですがどうしますか、と聞かれたのでキャンセルできるなら、と出すことにする。
店に戻ってさっそく申込書を記入。
すらすら書いていたけど保証人欄見てぴたっと止まる。
すっかり忘れてた。
両親はもう定年退職しちゃったし。
後は姉しかいないのだけど、ちょっと微妙。
確か2,3ヶ月前に一部上場企業に正社員として入社できたみたいなメールが来たけど、こないだ実家に帰ったらもう辞めようとしていると親づてに聞いたから。
悩んでいると、保証のサービスしている会社に家賃の半分だかを納めることで保証人の代わりにすることも可能と言われるが、姉がいるのに馬鹿らしい。
姉にしよう。
ただ、会社名とか全く覚えてない。
保証人欄はとりあえず名前だけでその他は空欄で出して、後日未記入事項を記入することになる。

店を出た後にもう一度その新築物件を見に行って周りをうろちょろする。
そしたらさっきの不動産屋の女性とばったり出くわす。
別の客をその物件に案内するところっぽい。
次の客の予約が入っているのにぎりぎりまで僕の面倒を見てくれていたのかな。

保証人はとりあえず置いといて飯田橋のギンレイに映画を見に行く。

夜、姉から話を聞くと、辞めようとしているけど今辞められたら困るとかで退職願が受理されなくてもめているらしく、まあいずれにしろ今月はまだ在籍しているらしいので必要情報聞き出して不動産屋にメールする。

2010年10月24日日曜日

映画『モリエール 恋こそ喜劇』

2007年 監督:ローラン・ティラール
at ギンレイホール


モリエールの来歴のうち、空白の数ヶ月を描いたフィクション。
実力のある役者陣の軽妙な掛け合いが終始楽しい。

モリエール役にロマン・デュリス。
いいんだけどロマン・デュリスはやっぱり現代の若者で見たいなぁ。
と思ったらこの人いつのまにかもう36歳。

準主役で存在感抜群なのがファブリス・ルキーニ。
この人の目が泳いだ感じはコメディで遺憾なくその実力を発揮する。
(シリアルな映画でもどこか愛嬌を感じさせるから本当面白い)

ロマン・デュリスのロマンスの相手役にラウラ・モランテ。
程よくふくよかな体格から母性と共に大量の色香を発散している。
始めて見る女優さんだと思っていたけど、『息子の部屋』の母親役の人だ。
と、そんなことより撮影当時50を過ぎてるじゃん。
こんなにエロい50代がいたとは。

この3人が主要登場人物で、コメディながら3者の円熟した演技力の掛け合いはなかなかの見もの。
ちょっとロマン・デュリスが浮き気味な気もしないでもないけど。

他にもリュディヴィーヌ・サニエちゃんも脇役で出演して華を添える。

映画『オーケストラ!』

2009年 監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
at ギンレイホール


オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

フランス映画だったんだな。
ロシアのボリショイ交響楽団で清掃員として働くアンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコフ)は、かつて天才指揮者として名をはせた男だった。
ある日支配人の部屋でパリの激情から届いた出演依頼のFAXを目にしたアンドレイはかつての仲間を集めて偽ボリショイ交響楽団として出演を企てる。

オーケストラなので当然最後は演奏で締めくくられるのだけど、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、これが泣ける。
終始おちゃらけたノリの中に少しずつ織り込んだ真面目なストーリーが最後の演奏に集約して。

30年のブランクはあっても一応実力は折り紙つきの元一流演奏家集団という設定だけど、30年のブランクがありながらリハーサルすら真面目にしないってどうなんだろう。
リハーサルどころか練習すらしない。
中には30年ぶりに楽器に触って本番を迎える者もいたんじゃないだろうか。
プロとしての誇りすらないのか、と思うけど本番の演奏中の団員の心境の変化を描くためには下手糞でなければならないしねぇ。難しいねぇ。

2010年10月10日日曜日

映画『春との旅』

2009年 監督:小林政広
at ギンレイホール


春との旅【DVD】

主演仲代達矢!と徳永えり。
それから淡島千景も出ているし、他にも田中裕子、香川照之、大滝秀治、柄本明、小林薫、菅井きん、美保純、戸田菜穂も出演。
この豪華キャストの監督は一体誰なのかというと小林政広。。。
あざとい演出であんまりいい印象の無い監督だから微妙と思ったものの、これはそんなに悪くは無い。
だって仲代達矢を安いビジネスホテルのロビーに一人で座らせるんだぜ。

徳永えりは目の力が凄く良くて、仲代達矢の存在感に負けていない。
あの蟹股走りは演出なのかな。演出ならばなかなかやるな。
予告編でも流れたけど、仲代達矢と腕を組んで二人で走っていく後姿はあの走り方もあって泣きそうになる。

映画『パーマネント野ばら』

2010年 監督:吉田大八
at ギンレイホール


パーマネント野ばら [DVD]

「私、狂ってる?」って瞬間『ニンゲン合格』の「俺、存在した?」を急に思い出した。
海に面した田舎町の下品で不幸だけど逞しい人達のショートエピソードはうんざりする寸前で程よく制御され、ラストで積み重ねたイメージが一気に心に浸透する。
他者との関わりの中で生きる人間の根源的な問いかけは悲しくて温かい。

主演菅野美穂。
この人はドラマでも映画でも一本も観ていない気がするけど、こんないい女優さんだったんだな。

原作はいつの間にかのりにのっている西原理恵子。

2010年9月26日日曜日

映画『マイ・ブラザー』

2009年 監督:ジム・シェリダン
at ギンレイホール


予告編見たときに話が以前見た映画にそっくりで、ぱくり?と思ったけどリメイクらしい。
元はデンマーク映画『ある愛の風景』。

なにか非常に分かりやすくまとまった感じで、雰囲気はオリジナルの方がよかった気がする。

いかつい兄役にトビー・マグワイア。
今までひ弱なぼっちゃんのイメージだったから違和感あったのだけど、狂気の面は確かに目が怖い。
ただ、やっぱり暴れてもひ弱そうだからなんとかなりそうな気もする。
オリジナルの兄ちゃんは本当怖かったからなぁ。

弟役にはジェイク・ギレンホール。
こちらはなかなかオリジナルとイメージが近い。怯えたような目とか。

そしてなにより妻役がナタリー・ポートマン。
よく外国映画で登場人物が「あいついい女だろ」みたいなことを言うシーンがあるけど、9割方「えっ?まじで?」と思う。
こういうセリフを聞いて初めてああ、いい女という設定だったんだと納得するという。
しかしながらこのナタリー・ポートマン、「すっげーいい女だな」「うんうん、ものすっげーいい女だよ」と即答したくなるくらいいい女。
美人というには少し独特な顔立ちではあるけど本当に美しい。
フレームの中で主張し過ぎずないのにどこに収まってもしっくり絵になる。
本当世界の宝だよ、ナタリー・ポートマンは。

娘二人が可愛いようであまり可愛くない子役を使っているところは好感。
設定上一方は可愛くない必要があったのかもしれないけど、ちょうどいい感じの子役を見つけたもんだな。
可愛くてそれっぽく演技もするこまっしゃくれたガキじゃないだけで見てるほうは凄く助かる。

映画『新しい人生のはじめかた』

2008年 監督:ジョエル・ホプキンス
at ギンレイホール


新しい人生のはじめかた [DVD]

中高年の恋愛物、なんて全く見る気しないのに役者がダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンなら見てもいいかなと思う。

展開はお約束満載なのに、なんか面白く見れる。
服屋で女性が試着によるプチファッションショーを彼氏の前で披露するのをバックミュージックに載せて楽しげに映し出すのなんてゲゲッと普通なるところだけど、そこはエマ・トンプソンとダスティン・ホフマンというおばさんとおじいさんのコンビだとまた違った味わい。

ダスティン・ホフマンの役は62歳という設定らしい。実際はなんと72歳だ。
一体こんな若々しい70代がいるだろうか。
50代でも通じそう。

いろんな理由でとにかく切ない状況、生活にある中高年二人がロンドンのヒースロー空港で出会う。
出会うというかホフマンがエマ・トンプソンをナンパする。
このナンパしているとき、なんかのセリフの後にホフマンが首だけエマ・トンプソンの方に向けてじっと無言で見つめるシーンがあって、その時のホフマンの目がつぶらな小動物のような可愛い目になっていて噴出しそうになった。
なんてお茶目な72歳。

2010年9月22日水曜日

引越(1)

今住んでいるマンションの契約更新が近づいてきた。
いつも契約更新が近づく度に引っ越そうと思うのだけど、仕事が忙しいからそんな煩わしい事してられない、と先送りにしてきた。
でも、今凄い暇なんだな。仕事が。
暇は言いすぎか。作業はちゃんとしているが残業をほとんどしていない、っていうのはいたって普通の事なんだけど、今までの終電帰りに比べると超暇という感じがする。
8年も住んでるし、給料も上がったことだしってことで引っ越そうと思う。

思えば今の家に引っ越す直前、一度夜中に新居の部屋を様子見に訪れたことがある。
真っ暗な部屋から窓の外の街灯を眺めていると、どこからか話し声のようなくぐもった音が聞こえてくる。
なんだろうと耳を澄ますと、どうも隣の部屋のテレビの音らしい。
なんだこの壁の薄さはと愕然すると同時に2年で速攻引っ越してやると決意したものだったが。

部屋は3階建ての2階の角部屋で隣は一軒家になっている。
この一軒家も曲者で、当初は夜中に赤ん坊の夜泣きが丸聞こえでひどかった。
今は子供も成長して小学生くらいになっているが、問題は続く。
休みの日の朝など、母親の怒鳴り声と子供の泣き声が聞こえてきてとても寝ていられないくらいうるさいときがある。
子供は姉と弟の二人いるっぽいのだが、弟が本当にすぐ泣く。
昼間は出かけているのか聞こえないが、朝と夕方で1日に10回以上泣く。
泣くのと同時に聞こえるのは母親の怒鳴り声。
「なにやってんだよー!お前はーー!!」
「だからこうしろって言っただろー!!」
「うるせーなー!!」
等々。
虐待でもしているのかと思ったがそういうわけでもないらしい。
泣いていないときは姉弟そろって両親に甘えるような声ではしゃいでいるときもあるし。
でも、たまにバチーンって音が聞こえると同時に泣き声のボリュームがレベルアップする時もあったな。
北斗晶みたいな感じの母親を想像していたのだが、一度ちらっと目撃したところ小柄でおかめみたいな顔した母親だった。
泣き声とか怒鳴り声とか、僕の部屋だけじゃなくて他の部屋や表の通りにも丸聞こえだと思うのだけど気にしないのかなぁ。
夫婦喧嘩は無い模様。
最近では姉が弟を泣かして、姉の言葉遣いが母親そっくりなのに戦慄した。


今の部屋の愚痴書いたついでに一通り書いておくかな。

隣の部屋の音が普通に聞こえる。

家の前の通りをでかいトラックなどが通ると地震のように揺れる。

部屋の真下が野菜置き場(1階に住む大家は八百屋)になっていて、夏場に風を通そうとドアを半開きにしていたらたくさんゴキブリが入ってきた。
ドアを開けないようにしたら1年に1回出るか出ないかくらいになる。

一度ねすみが出たことがある。

キッチンは電気コンロ1口で、非常に料理がしづらい。
なので2年くらいで全く自炊しなくなった。

間取りは6畳の1Kだが、9畳の部屋に住んでいる人の部屋に遊びに行ったとき凄く羨ましかった。家賃は僕の部屋より4千円くらい安いのに!


嫌なところだけ書いてもなんなのでいいところも書いておくか。

天井までの高さ1Mもないロフトがあって、上って座っても背筋が伸ばせないのだけど、これがいい物置き場になっていて、家電のダンボールや夏場は掛け布団やコタツ布団等をぶっこんでいられるから便利。

家賃は引き落としと手渡しを選択できて、なんとなく手渡しにしているのだが、毎月近所にある大家がやっている八百屋に家賃を持っていくと必ずバナナとかみかんとかなにかしらくれる。

そんくらいかな。

長くなってしまったので一旦ここで切ろう。

2010年9月11日土曜日

映画『ボーダー』

2008年 監督:ジョン・アヴネット
at ギンレイホール


ボーダー [DVD]

デ・ニーロとアル・パチーノがベテラン刑事役で共演。
冒頭から射撃場で二人が並んでばんばん発砲しているのでその姿にファンは歓喜するのだろう。

ターク(デ・ニーロ)とルースター(アル・パチーノ)はニューヨーク市警のベテラン刑事で名コンビとして数々の事件を解決してきた。
ニューヨークでは法律を盾に警察の追及を巧みに逃れてのうのうと暮らしている犯罪者が大勢いた。
そんな時、悪人ばかりを狙った連続殺人事件が発生する。
この犯人がタークらしい。
タークの自白ビデオや事件のモノローグが度々挿入される。
時は前後しながら、二人が連続殺人事件を追う姿が描かれる。
警察では犯人は警察関係の人間とにらみ、タークに嫌疑をかけていた。
タークのパートナーであるルースターはタークがそんなことするわけないと憤慨する、という人間ドラマ。
中盤過ぎたあたりでもしやと思うが前半は本当なんも疑いもしなかったな。
自白ビデオの最初に犯人の名前言っていたのかなぁ。

この二人、名コンビというかどこか時代に取り残された迷コンビに見えてしまうのは何故だろう。
二人の刑事がど派手に活躍するアクション映画ではなく、上記の通りシリアスな話なのでリアルさが必要なんだけど、そのリアルさの中でこの二人は浮いている。
昔の刑事映画の観すぎな痛い二人のような感じ。
セリフは忘れたけど娼婦に聞き込みに言ったときにルースターがちょっとウィットというか下品なセリフを吐いて立ち去るのだけど、言った本人はかっこいいつもりでも娼婦は「は?何言ってんだこのじじー」みたいな表情でルースターの後姿を眺めている。
破天荒で有能な名コンビ、を気取って偉そうにしているお荷物じいさん達、とまでは言いすぎかもしれないけど、結局あんな事件起こしちゃったら残った方はニューヨーク市警内の若手から総スカン食らったりしないだろうか。

「ゴッドファーザー」シリーズでは二人が同じシーンに収まることはなく、1995年の「ヒート」でも同一のフレームに収まることがほとんどなかったことから、待望の"共演"らしい。
といっても僕はこの二人に特に思いいれが無いのでそれほど感動が無い。
なんでだろうと思ったらアル・パチーノは『スケアクロウ』や『セルピコ』など若い頃の作品から今に至るまで結構見ているけど、デ・ニーロの若い頃の作品って一本も観ていないからだな。
それはつまり巷で名作と呼ばれている作品を全く見ていないことを意味する。。。

映画『シャーロック・ホームズ』

2009年 監督:ガイ・リッチー
at ギンレイホール


シャーロック・ホームズ Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

冒頭、いきなりクライマックス。
まるでアクション映画の終了5分前に映画館に駆け込んでクライマックスを眺めているような出だしに唖然とする。
ホームズとワトソン君のコンビはこうやっていくつもの事件を解決してきたのだよ、という軽い導入なのだろう。
と思ったらちゃんとこの冒頭の解決事件はこの物語の「冒頭」であって、繋がっているのね。
あと武闘派ホームズというのをきっちり印象付けるための冒頭。

謎解きはあるにはあるけど、ミステリーというより武闘派ホームズ&ワトソンによるアクション映画になっている。
緩急がよいので長くてもなかなか楽しめる。
雰囲気のあるものからうさんくさいものまでCGもふんだんで盛り上げてくれる。
ああ、129分もあったんだな。

そういえばひとつ不覚にも泣きそうになったシーンがある。
工場での大爆発シーン。
圧倒的な火力の前で命の灯が一瞬で吹き飛びそうなくらい力なくゆらめくスローモーションは、ベタでありながらその無情な破壊力と無力な人間に泣きそうになる。

ホームズにロバート・ダウニー・Jr、ワトソンにジュード・ロウ、ヒロインにレイチェル・マクアダムス。
アラーキーがきみに読む物語で「魅惑のレイチェル・マクアダムス、抱きたい。」と言ったあのレイチェル・マクアダムスです。

ロバート・ダウニー・Jrはワトソンの婚約者メアリーにワインをぶっ掛けられた後、ナプキンをかけて平然と食事を始める時の表情が秀逸だったな。

2010年8月21日土曜日

映画『9<ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』

2009年 監督:シェーン・アッカー
at ギンレイホール


9&ltナイン&gt~9番目の奇妙な人形~ コレクターズ・エディション [DVD]

CGアニメーション。
全部CGなのかな。麻の質感とかすごい。

人類が滅亡した世界で目を覚ました人形ロボット。
背中には「9」の数字が描かれている。
外に出ると背中に「2」と書かれた仲間に出会う。
博士風で魅力的な「2」だったが、ビーストと呼ばれる変なロボットにあっという間に連れ去られてしまう。
出合った瞬間に消えたよ。。。

ストーリーは単純。
しかも展開がかなりおかしい。
ラスボスは序盤にいきなり登場して暴れまわるし、キャラクターは中途半端なままいなくなったりするし、まあ期待を裏切って楽しませてくれると言えなくも無いけど、盛り上がる沸点をどこに設定しているのかわからないまま道に迷った感じにラストを迎えてしまう。
ナンバーの刻まれた仲間は1から8までいて、9より大分先に目覚めていたらしい。
ぽっと出の9が活躍、というかそもそも全ての元凶であるところがノレない一番の理由かな。
CG自体は雰囲気が抜群によく、緻密なのでストーリーは基本的に無視して観た方がよかったかもなぁ。

人形の目は双眼鏡みたいな形になっていて、それが眼鏡を連想させ、そこからさらにのび太君を連想させる。
9種類ののび太君がいる感じ。
「7」は女性キャラとなっていて、しかも最強の女戦士。
俊敏でとにかくかっこいい。
かっこいいんだけど、やっぱり外見はのび太君なんだな。
あ、「7」の声優はジェニファー・コネリーだったんだ。フェノミナ。

映画『第9地区』

2009年 監督:ニール・ブロンカンプ
at ギンレイホール


District 9 [DVD] [Import]

ドキュメンタリーのようなインタビューから始まる。
MNUという民間の軍事企業のなんかの役職についたヴィカスというおっさんの昇進コメントに始まり、そこからいろんな人へのインタビューに移っていく。
インタビューから見えてくるのは、どうやら28年前に南アフリカ共和国のヨハネスブルグ上空に巨大なUFOが現れ、しかも動かなくなったUFOの中で発見された大量のエイリアンは難民としてヨハネスブルグの第9地区と呼ばれる仮説住宅街に住んでいるらしいということ。
ヨハネスブルグがそんなことになっていたとは知らなかったねぇ。
そして「ヴィカスがあんなことするなんて」と、インタビューはどうやらある事件の発生後に撮られたものらしい。
ということは今いないはずのヴィカスのコメント映像は過去の記録映像ってことか。
現在のインタビューと過去の記録映像を織り交ぜたドキュメンタリー風導入から、記録映像とヴィカス視点の混在状態へとシフトしていく。
時間軸のばらばらな導入なのに上手いことまとまって少しも混乱しない上、興味を引く謎を残しつつ状況をぱっと理解できるから導入としてよくできている。
エビと呼称(蔑称)されるエイリアンも冒頭から出現して強烈だし。

第9地区が本当いい絵面になっている。
どこまでも開ける空の下、粗末で不衛生で。
そしてそこに住む気色悪いでかいエイリアン達。
このエイリアン達は働き蟻のような位置づけで知能が低い奴らということらしいので非常に野蛮。
でも同じくらい人間達も野蛮で非道でエゴイスト。
主人公のヴィカスも英雄なんかじゃなくて、気さくな笑顔で非道を行なうし最後になるまで嫌らしいくらいエゴイストだし。
人間も野蛮なエイリアンも風船のように肉塊を飛び散らせて死んでいく様は残虐を通り越して滑稽になる。
スターシップ・トゥルーパーズみたいだ。
死んでいくのは下衆ヤローか無人格の奴ばかりなので肉片飛び散っても心は痛まない。
主な人物の中でまともなのが知能の高いエイリアン、クリストファー・ジョンソンとその息子だけど、まともな奴は絶対死なない。
体の半分ちょっとしか隠れない薄い鉄板を防御にして銃弾の嵐の中を突っ走っても体には一発も被弾しないという奇跡。

超強力なエイリアンの武器や、その武器を搭載しまくった最強のパワードスーツ等々、SF趣味をチープに刺激してくる。
パワードスーツの性能の初披露はマシンガンの弾を防ぐシーンなのだけど、弾がパワードスーツの前の空中で静止してどんどん雪だるまみたいに膨れて丸まっていくのね。
ちょっと目が悪くてどこがどうなっているかよく見えなかったけど、マシンガンの弾を一つ一つ打ち落とすように相殺していたのか、特殊なバリアーで丸めたのかな。
とにかく得体の知れないパワードスーツが出だしからマシンガンの弾をぶっとんだ防ぎ方するからその超高性能ぶりに思わずにやっとしてしまう。
本当この映画は見せ方が上手いよな。
※パワードスーツはもちろんエイリアンのものだけど、これ、大きさ的にエイリアン乗れるのかなぁ。

途中ちょっと中だるみするもののかなり面白いSFコメディだった。
それにしても重要アイテムの宇宙船のエネルギー源でありとんでもな変化をもたらしもするあり得ない変な液の原料はなんだったんだろうな。

あと、エイリアンの居住区隔離やエイリアン立ち入りお断りの看板とかまんまアパルトヘイトなので触れないわけにはいかないのかと思ったけど、公式ページ見ると「製作陣は直接的なメタファーは意図していない」らしいのでいいや。
白人と白人以外という区分が人間とエイリアン、という風に人間が人種を超えて一つになっているのはそれはそれで幸せだね。

2010年8月15日日曜日

映画『新ポリス・ストーリー』

1993年 監督:カーク・ウォン
BS2 録画


新ポリス・ストーリー デジタル・リマスター版 [DVD]

ジャッキーがコミカルを封印して挑戦した香港ノワール。
熱湯の中から取り出した拳銃にあっちゃあっちゃする以外は本当真面目。
ただ、アクションはジャッキーで、やっぱり高いところから落ちる。

昔、たぶん高校生くらいの頃に見て面白かった記憶があるのだけど、今見ると記憶ほどでもないかな。
一度見たら二度と忘れないケント・チェンの体格と風貌が強烈。
刑事でありながら誘拐事件の主犯である役がケント・チェン。
犯人がケント・チェンであることは最初から隠しもしないので、ジャッキーと行動を共にしつつこっそり妨害をし続けるケント・チェンを見て「志村後ろ後ろ!」状態が継続する。
それにしてもケント・チェンが分かりやすいくらい挙動不審。
気づけよという感じだけどそこはまあ後ろ後ろなので。
事件の主犯を台湾に派遣して台湾警察の捜査を邪魔したり、と香港警察の威信が落ちるというか国際問題にも発展しかねない。ジェット・リーの『キス・オブ・ザ・ドラゴン』のフランス警察ほどひどくはないけど。

誘拐されるロー・ガーインってどこかで見たことあるなぁと思って調べてみたら『0061/北京より愛をこめて!?』『君さえいれば/金枝玉葉』『金玉満堂(きんぎょくまんどう)/決戦!炎の料理人』と懐かしい作品名が出てくる。
久しぶりに見たいな。

花火

夕方、よく行く喫茶店でくつろごうとして出かけるとありえないくらいのたくさんの人とすれ違う。
何事かと思ったら浴衣姿の人見て思い出した。
今日は終戦日。
毎年終戦記念日に行われる大田区平和都市宣言記念事業「花火の祭典」の観客達か。
人ごみを掻き分けて商店街の喫茶店にたどり着いたらお盆で休みだったので帰る。

音が聞こえ出してからサンダルつっかけて見に行く。



デヂカメの写真をどうも長いことPCに取り込んでいなかったらしい。
去年に大学の友人と久しぶりに鎌倉で会った時の写真。



そして去年の花火


進歩ないなぁ。

2008年の新潟の花火



ついでに2008年の鎌倉。

2010年8月8日日曜日

映画『17歳の肖像』

2009年 監督:ロネ・シェルフィグ
at ギンレイホール


17歳の肖像 コレクターズ・エディション [DVD]

舞台は1961年ロンドン郊外。
成績優秀な16歳のジェニー(キャリー・マリガン)はパリにあこがれる好奇心旺盛な女子高生。
ある日おっさんにナンパされる。
少し前髪が後退し始めているおっさんデイヴィッド(ピーター・サースガード)はとっても紳士的でとっても優雅でとっても大人だった。
このプレイボーイと仲良くなって付き合いだした彼女は大人の世界の魅力に取り付かれる。
大人の世界を知った少女にとって同級生の元ボーイフレンドなんてもう乳臭いガキでしかない。

キャリー・マリガンは16歳にしては少し老けているなとたまに思ったりしたけど、24歳らしい。
それはそれでびっくりだな。童顔だからそんなに違和感がなかったし。
予告編で驚異の新人現る!みたいに煽っていたから、てっきり映画の中で脱いでいるもんだと思っていたら全く脱いでないじゃん。
見ているときは16や17ならまあねえ、と納得したけど24歳なら脱いでも全然問題ないでしょう。
背伸びした少女の大人との悲しい恋物語がリアルな体験になるか絵空事になるかは脱いでいるがどうかで決まるといっても過言ではない。
というのは言いすぎかもしれないけど。
キャリー・マリガンは可愛くない笑い方が可愛い。

お父さん役にアルフレッド・モリナ。
校長にエマ・トンプソン。

映画『ウディ・アレンの 夢と犯罪』

2007年 監督:ウディ・アレン
at ギンレイホール


ウディ・アレンの夢と犯罪 [DVD]

軽妙に展開するストーリーに飽きずに、かといって特にのめりこみもせずに最後まで見て1時間も経てば頭からすっかり見た記憶がなくなるという僕がウディ・アレンの映画を見るときのいつものパターン。

ユアン・マクレガーとコリン・ファレルが兄弟役。
下流階級から脱出することを夢見る頭の切れる兄イアン(ユアン・マクレガー)と、運動神経抜群でギャンブル好きの弟テリー(コリン・ファレル)。
二人はなけなしの金を出し合って小型ヨットを購入しようとする。
小型ヨットの所持が上流階級のステータスだから欲しかったのかねぇ。
ちょうど弟テリーがギャンブルで儲けたために無事購入できてラッキーという感じだが、小型ヨットっていうのは映画の中じゃ事件の発生現場でしかない。
『太陽がいっぱい』『水の中のナイフ』等々。
不幸決定。

弟テリーがポーカーで大負けしてヤミ金に多額の借金を負って、兄は兄で超美人の女優の卵アンジェラ(ヘイリー・アトウェル)と結婚するべく金が必要、ってことで最も頼れる大金持ちの叔父(トム・ウィルキンソン)に相談を持ちかける。
叔父は金を出すことを承諾するが、交換条件が出される。
その条件というのが、一族の成功者で英雄のような叔父がいかに悪どく儲けてきたかを示唆する内容で。。
なんか題材的に1960年代くらいの映画を見ているような気分。

雨の中木陰に避難して叔父の依頼内容を聞くシーンはなかなかよかったな。
コリン・ファレルはワイルドな風貌から段々幼く臆病な目に変化していくのが上手い。

2010年8月4日水曜日

8月INFO

BS2 8月6日(金) 午前1:10~2:54(5日深夜)
軽蔑 1963年・フランス
〔監督・脚本〕ジャン・リュック・ゴダール
BS2 8月24日(火) 午前0:15~2:36(23日深夜)
シテール島への船出 1984年・ギリシャ/西ドイツ/イギリス/イタリア
〔製作・監督・脚本〕テオ・アンゲロプロス
BS2 8月25日(水) 午前0:25~2:31(24日深夜)
霧の中の風景 1988年・ギリシャ/フランス
〔製作・監督・原案・脚本〕テオ・アンゲロプロス
BS2 8月26日(木) 午前0:15~2:29(25日深夜)
永遠と一日 1998年・ギリシャ/フランス/イタリア
〔製作・監督・脚本〕テオ・アンゲロプロス
BS2 8月27日(金) 午前0:15~3:05(26日深夜)
エレニの旅 2004年・ギリシャ/フランス/イタリア/ドイツ
〔監督・脚本〕テオ・アンゲロプロス

見ての通りアンゲロプロス祭りです。
あと昨日の深夜に『勝手にしやがれ』やっていたみたい。

2010年7月25日日曜日

映画『しあわせの隠れ場所』

2009年 監督:ジョン・リー・ハンコック
at ギンレイホール


しあわせの隠れ場所 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

実話ですか、そうですか。
アメフトは、というかスポーツ全般全く知らないのだけど、アメフトのNFLドラフト: 2009年 / 1巡目で指名されたマイケル・オアー選手の実話を元にした映画。
母親は薬中で13人の兄弟は散り散り。父親には会った事が無い。施設を転々。
高校2年の時にアクレスト・クリスチャンスクールへの入学が認められる。
家も寝るところも無く冬の夜中に一人歩いているところをテューイ夫妻が見つけて、キリスト教精神にのっとり彼を家に招き入れる。
で、いつの間にかテューイ夫妻は彼の後見人となり家庭教師をつけたり部屋を与えたりする。
テューイ家というのは超セレブな白人家庭でアクレスト・クリスチャンスクールに通う年頃の娘と小学生くらいの男の子の4人家族。
ここに紛れ込んだ熊みたいに大きい図体の黒人青年。
しかも図体の割に俊敏で運動神経抜群。
彼が暴れたら家長なんて一撃で即死です。
色白で眉毛が立派な娘さんも危ない!
ってはずなんだけど、このオアー君はその過酷な人生から想像つかないくらいおとなしくて心優しい青年なのね。
オアーは学問の成績もみるみる上げてアメフトでも頭角を表していく。
もうできすぎなくらいできすぎなお話だけど、実話です、と言われればそうですか、と言うしかない。

セレブ家庭が貧しい黒人青年の面倒を見るっていう図式だけ見れば偽善くささしか漂わないが、テンポはいいので飽きずには見れる。
みんないい人たちだ。
ただ、綺麗すぎるゆえに学校での娘に対して行われている嫌がらせとかもっとどろどろした嫌な部分を欲してしまう。
まあ、そこを強く描けば描くほどテューイ家の聖人ぶりが強調される結果になるわけだが。

セレブの肝っ玉母さん役にサンドラ・ブロック。
できすぎなくらいできすぎなふつーの配役ゆえにはまっている。
色白眉毛立派な娘さんはリリー・コリンズという子で、フィル・コリンズの娘らしい。

映画『マイレージ、マイライフ』

2009年 監督:ジェイソン・ライトマン
at ギンレイホール


マイレージ、マイライフ [DVD]

なんか久しぶりにえらい混んでいて満席になっている。
ジョニーデップやらブラッドピットやらが出ている映画だとたまに満席ってことがあったけど、今回のプログラムって誰が出ているんだっけ?と思って見始めるとジョージ・クルーニー。
なにぃー、ジョージ・クルーニーはそんなに集客力があるのか!
と思ったらアカデミー賞にノミネートされたりと結構話題の映画だったみたいね。

主人公のライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)はリストラ宣告人として年間322日間も出張しているという生活。
結婚願望もなく、家族とも疎遠。
家にいるより空の旅とホテル住まいがなにより快適。
そんな男の前に二人の女性が現れ、彼の人生の価値観は少しづつ変化し始める。

途中から飽きてきて眠くなってきてしまった。
この倦怠感を予定調和なハッピーエンドでも見てさっぱりさせようとしていたのに、これってなんだ、ハッピーエンドっぽくない・・・

主人公がなんか知らないけど心変わりしていって疎遠だった家族、妹の結婚式に出席する。
姉や妹は彼を歓迎。
粛々と準備が進む結婚式だったが当日に新郎が本当にここで独身生活を終わっていいのかといきなり悩みだして部屋に閉じこもってしまう。
すると姉が主人公に「今まであなたは家族との関係が疎遠すぎてどこか家族ではない存在のように思っていた。だけど新郎を説得することができたらあなたを家族の一員として迎えるわ」みたいなたぶん全然セリフは異なっていた気もするがそんなセリフを吐く。
で、結局独身貴族を謳歌する主人公は独身に未練を感じる新郎を見事に説得することに成功するのだけど、そのとき姉が「これでやっと家族の一員ね」と言う。
むー、これも主人公の心変わりの重要な1エピソードなのだろうが、この姉は一体何様だよとまず思ってしまう。
家族の一員かどうかをなぜ姉が決めるのだ。
そして実の兄弟なのに家族の一員と認めるかどうかを新郎を説得できるかどうかを試金石にしてしまうという薄情さ。
説得できるかどうかは家族への愛情の強さで決まる話じゃないだろう。
家族の一員のくだりは冗談っぽくもあるけど、万が一失敗したら妹の結婚式はパーになるし、せっかく久しぶりにやってきてくれた弟との関係は微妙になって再び疎遠になることは間違いない。
それを当然分かっていて言っているのだから失敗したらもうお前なんて知らんということでしょ。
主人公のドライさばかりが強調されるが、主人公の姉のドライさ、傲慢さに及ぶものなんていないのだった。

全体的には結局よく分からなかったな。
あ、ジェイソン・ライトマンは『JUNO/ジュノ』の監督だ。

2010年7月11日日曜日

頭痛とかさよならマック

昨日の夜ゲームをしていたらそのまま寝てしまった。
休日には珍しく朝早くに目覚めて、しょうがないからまたゲームする。
そして飯田橋に映画を見に行く。

朝から眼鏡かけてゲームをしていたせいか、映画見ている最中からひどい頭痛がする。
眼鏡を長時間かけていると目の疲れからたまに頭痛がすることがあったけど、きっとそれだろう。
それにしてもあまりに痛いし吐き気までしてきた。
飯も食わずに一目散に帰宅してすぐ寝る。19時頃だったか。
気づいたら深夜2時くらい。
うー腹へった。頭痛は引いたっぽい。
近くの100円SHOPで食料買い込んで家で食べる。
風呂入って2時間くらいぼーっとして眠くなってきたのでまた寝る。

全然話は違うが、飯田橋のマックが6月で閉店した。
学生の頃はそんなにいかなかったのだけど、社会人になって隔週で飯田橋に通うようになってからは8割方マックで飯食ってから映画見ていた。
さみしいなぁ。2階から通り行く人を見下ろしてぼーっと眺めるのが楽しかったのに。
これからどうしよう。

映画『ハート・ロッカー』

2008年 監督:キャスリン・ビグロー
at ギンレイホール


ハート・ロッカー [DVD]

イラクで活動する爆発物処理班のお話。
命張って市民守ってますとか戦争批判とか、なんにせよ無駄に戦争しかけたり火種撒いたりするアメリカ側が作っている以上めんどくせえなぁと思ってあまり見る気がしなかったのだけど、思ったよりかは面白かった。

まずガイ・ピアース演じるトンプソン軍曹を筆頭にサンポーン軍曹(アンソニー・マッキー)、エルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)の3人組が爆弾の処理にあてっているのだが、早々にガイ・ピアース死亡。
なにー、一番有名どころがいきなり消えた!
トンプソン軍曹の代わりにやってきたのがジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)。
この男が主人公。
この男は命をかけた爆弾との技術の戦いに至上の喜びを感じているような男。
正義感だけで命張っているような奴じゃなくてよかったぁ。

イラク戦争の背景がどうとかどっちが正義とかそういうのじゃなくて淡々と爆弾処理と戦争を綴っていく、ように見える。
(ドキュメンタリータッチの揺れるカメラはちょっとうざい)
でもどっちが正義っていうとアメリカ側の視点である以上アメリカが正義っぽく感じなくもないかな。
3人の結束を固めるきっかけとなる銃撃シーンでは、一人一人狙い済まして撃ち殺したあとに「よし、あと一人だ」っていうところなど、まるで射撃ゲームをやっているようだし、他にも感覚が麻痺した非人道的なノリがアメリカ兵にところどころ感じられる(殺し合いの戦争だからしょうがない?)けど、それよりもイラク側が子供の体内に爆弾埋め込んだり市民に爆弾撒きつけたりする、っていうほうがよっぽど非人道的だよな。
敵は敵として無人格な得体の知れない「もの」でしかないし、そういう点ではあっけらかんとした娯楽映画に仕上がっている。
アメリカが正義!と高らかに謳っているわけでもなく、誰でも救えるヒーローを描いているわけでもないので中立的な印象があるけど、よくよく考えると娯楽映画である以上やっぱり主人公はヒーロー(戦争によってかちょっと精神が破綻している)だしアメリカ正義!なんだな。
そして舞台はイラク戦争である必要など全く無く、戦争背景や反米メッセージなどは一切排したところが潔いというかなんというか。
排されると逆に意識しちゃうのだけど、主人公同様あっけらかんとスリルという麻薬に浸ってなんも考えずに見るのが一番楽しめます。

映画『月に囚われた男』

2009年 監督:ダンカン・ジョーンズ
at ギンレイホール


月に囚われた男 コレクターズ・エディション [DVD]

3年契約で月で一人働く男。
任期もあと二週間というところで、自分の他に誰もいないはずの月で彼は自分と同じ顔をした人間を発見する。
「この任務は何かおかしい」

という予告編見たらいろいろ想像しちゃうねぇ。
幻覚?クローン?

SFミステリーなんだけどもう少しミステリー色が欲しかったな。
ミステリー部分は早々に解明されるので後は自我、人権的なドラマ。
ただし主人公の娘のようなよくわからない少女はミステリー。

どんなにちゃっちいセットでもフィルムを通すとそれっぽく見えるもんだけど、それでもなんかセットがちゃっちい。
CGも安っぽいし。
ハリウッド大作映画かと思っていたけど実は低予算なのだろうか。
と思って帰って調べてみたらやっぱり低予算で作られたらしい。
というか監督のダンカン・ジョーンズはデヴィッド・ボウイの息子!?
スペース・オディティ聴きながらSFマニアの道に踏み込んだのか・・

主演サム・ロックウェル。
主演というか9割方サム・ロックウェルしか出ていないのだが。
声の出演でケヴィン・スペイシー。
機械的ながら温かみのあるなかなかいい声。

2010年6月27日日曜日

映画『ニューヨーク、アイラブユー』

2008年 監督:チアン・ウェン,ミーラー・ナーイル,岩井俊二,イヴァン・アタル,ブレット・ラトナー,アレン・ヒューズ,シェカール・カプール,ナタリー・ポートマン,ファティ・アキン,ジョシュア・マーストンランディ・バルスマイヤー
at ギンレイホール


ニューヨーク, アイラブユー [DVD]

10人の監督がニューヨークを舞台に撮ったオムニバス。
オムニバスならオムニバスで一個一個完全に区切ってくれればいいものを、分割したり中途半端につながりがあって群像劇っぽくなっているから困る。
短編はやっと馴染んできたところで終わってしまうから苦手だし、群像劇は登場人物が多くて苦手だし、ってことでその両方を合わせたような映画が僕にとって苦しくないわけが無い。
たくさん出てくる登場人物を一人一人覚えられないから少しでも似た顔の人が出てくると混乱してわけが分からなくなる。

とはいえ、エピソードの一つ一つはなかなか面白い。
中でも他に比べると少し異色でもあった「シェーカル・カプール監督のアッパー・イースト・サイド」のオペラ歌手とホテルボーイの物語がよかったな。優しさと悲しみに満ちた人生が柔らかい光の中で幻想的に濃縮されていて。
あとは「ファティ・アキン監督のチャイナタウン」。スー・チーは前は可愛くもなんともなかったのにいつの間にか色っぽくなったなぁ。

岩井俊二も監督の一人に名を連ねている。「岩井俊二監督のアッパー・ウェスト・サイド」。
小汚い格好しているけどイケメンすぎるオーランド・ブルームの前に現れた女性がドストエフスキーのぶ厚い本で顔を隠していて顔が見えない。
しかし本をすっとどけるとくりくりお目めででこっぱちの可愛らしい顔が微笑んでいる。
ああ、岩井俊二だねぇ。
そしてこの女性はなんとクリスティナ・リッチ。
痩せていて顔も変わっているから全然気づかなかった。

ナタリー・ポートマンも監督、そして女優として参加している。
スキンヘッドは感動すら覚える美しさ。

映画『抱擁のかけら』

2009年 監督:ペドロ・アルモドバル
at ギンレイホール


抱擁のかけら [DVD]

『ライブ・フレッシュ』や『オール・アバウト・マイ・マザ』でペネロペ・クルスを見たときは綺麗な人だなと思ったものの、最近はどうも苦手なんだな。
そのペネロペ主演の狂おしい愛憎劇。

タイトルにもある通り「抱擁」がところどころで悲しくて純粋なアクセントになっている。

様々な登場人物の想いが複雑に絡み合って生み出される重層的な悲喜劇はアルモドバルっぽい。
ただ、アルモドバルってことでいつも期待値が高くなってしまうので、いまいち感が少し漂うのだけど映画自体はそこらの作品より楽しめます。

2010年6月22日火曜日

小橋

小橋健太が結婚した。
何日か前にGoogleの急上昇ワードに小橋健太がランクインしていて、まさか三沢のように・・・とどきどきしながら検索してみると、特に何も引っかからない。
なんだったんだろうと思っていたのだけど、急上昇ワードに上がったのは「踊る!さんま御殿!!」に出ていたからだったらしい。結婚のニュース記事見ていて判明した。

お相手は演歌歌手のみずき舞。
知らんなぁ。
30代くらいまでの演歌歌手は一通り抑えていたと思っていたけどテレビにはほとんど出ていないのかな。
それにしてもテレビにも出ずに活動している演歌歌手は一体どれほどいるのだろう。ラジオ?
有線の演歌チャンネルとか聞いていても8割方聴いたこと無い曲だしなぁ。

僕の秘蔵の歌番組DVDコレクションは1枚作るごとにエクセルに曲タイトルと歌手を記入しているので、そのエクセルを検索してみると1件引っかかった。

夢ゆらら みずき舞 NHK歌謡コンサート 2005/04/26

2005年か、全然記憶に無い。
今度再生してみるか。

ちなみに今Googleの急上昇ワードを見るとトップ20内に名前無し。

2010年6月13日日曜日

映画『ずっとあなたを愛してる』

2008年 監督:フィリップ・クローデル
at ギンレイホール


ずっとあなたを愛してる [DVD]

どこかの空港のベンチに物凄い彫りの深い二重まぶたのおばさんが呆けた顔して座っているのが映し出される。
またおばさんか!
そのおばさんの所に比較的すっきりした顔立ちのショートカットの女性がやってくる。
おばさんの妹らしい。

おばさんの方ジュリエット(クリスティン・スコット・トーマス)は刑務所から出所してきたばかりだった。
刑務所に入った理由は息子殺し。15年。
妹レア(エルザ・ジルベルスタイン)は大学の講師で結婚もしている。
レアには幼い娘が二人いるのだけど、娘はフランス人の両親なのに強烈にアジア顔となっている。
どうも二人ともベトナムからの養子らしい。
長女プチ・リスと次女アメリア。
出所したジュリエットは妹のこの家庭にしばらくお邪魔することになってこの地までやってきた。
だけどジュリエットの心は閉ざされていて、妹家族とも距離を置いている。
妹の方は大好きだった姉との空白の期間を埋めようと必死に頑張る。

中盤眠くなって少し寝る。
ちょっともったいなかったかな。なかなかいい映画だったので。

ジュリエットは悪い人じゃなさそうだけど、息子殺しの真相は最後まで明かされないし、初日に少女 プチ・リスにきれたりして情緒不安定なのかなとも思う。
だからプチ・リスに気に入られて二人で仲良く遊んでいても、もしかしてとんでもない事件に発展するのではないかという不安感も付きまとう。

さりげなく存在感を出す脇役達もいいねぇ。

ジュリエットは美人という設定らしい。
たまに美人に見えなくは無いが、うーむ。
欧米人の美的感覚との乖離を感じるよくある瞬間。

映画『フローズン・リバー』

2008年 監督:コートニー・ハント
at ギンレイホール


前回のギンレイのプログラムを見逃したので予告編を見ておらず、どんな映画かも知らずに見始める。
フローズン・リバーか。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
川が凍るって時が止まる、未来の見えない閉塞、とかそんな映画なのかねぇ等と想像しながら。

バスローブのようなものから老女の足が覗いている。
カメラが上がると続いて老女の手が映る。
さらに上がるとパーマのかかった長い茶色の髪の先端が見える。
あれっ、若いの?
さらに上がると女の顔が映るのだけど、ああ、やっぱり老女だ。
と思ったら5,6歳くらいの子供にママと呼ばれている。えっ。
着替えるために下着姿になったのを見ると、刺青が目立つその肌の感じはどうも40半ばくらいっぽい。
そんな年齢のわりに大変老け込んで見えるおばさんが主人公。

で、主役がもう一人いて、こっちの方は逆に小学生の太った男の子だと思っていたら実は30前くらいの女性だったという驚きの風貌。

華やかさのかけらもない二人の女性の映画で一体何を楽しめばいいんだと思ったのも一瞬で、意外となかなか面白い映画だった。
貧困と差別の中で自分を、家族を守ることに必死な二人の物語。
2008年サンダンス映画祭のグランプリらしい。

2010年6月8日火曜日

映画『明日、陽はふたたび』

2000年 監督:フランチェスカ・アルキブジ
BS2 録画


明日、陽はふたたび

冒頭、夜中、地震が起きたらしい。
それも建物が崩壊するほどの大地震。
パニックになりながら広場に逃げ延びた住民達は、追い討ちをかけるように消えた電気に一斉に悲鳴を上げる。
ばらばらだった悲鳴が一体になった後の暗闇と静寂。
暗闇の中で「それから数年後」というのをなぜか切に希求したものの、まだまだ地震の夜は続いている。
これはなかなか先は長いぞという予感。

舞台は1997年9月のイタリア中部カッキアーノ。
この地震は実際に起きたアッシジの大地震。

大きな展開も無く、なんでこんなかったるい映画見てるんだろうと思いながらもなぜか再生を停止する気は起きずに見続ける。
いやぁー、停止しないでよかったな。
ラストは涙出るし。
清々しい気持ちになった後の、少女のあのなんともいえない表情、希望と絶望の裏表の中で切ないようでいて生命の力強さで満たされているようなあの表情がとても印象深い。

かったるい理由は群像劇だからだろう。
登場人物は多い。
町の助役夫妻とその二人の息子。
いつも一緒の仲良し女の子。
ゲイと精神に少し障害をきたした母親。
教会のフレスコ画修復に来たイギリス人とその妻。
小学生の女性教師。
等々。
地震により関係が崩れたり再構築されたり新たにつながりができたり。
登場人物覚えた後に見る2回目が一番面白いかも。
人間っておもしろいなぁと思うくらい様々な在り方が描かれているから。