2022年12月18日日曜日

映画『少林サッカー』

2001年 監督:チャウ・シンチー、リー・リクチー
製作国:香港
BS2録画



当時凄まじい大ヒットしたよねー。
今頃になって見てみた。

なんか痛快な娯楽カンフー映画を想像していたけど、これまるっきりチャウ・シンチー映画じゃん。
お馬鹿でゆるいギャグの連続や常識を逸脱した無法な世界。
サッカーのスター選手の足を観客がぶっ壊したり、従業員を瓶で殴ったり客が店員の頭を棒で殴り続けたり。。
この映画が世界で大ヒットするならそれ以前のチャウ・シンチー映画も大ヒットしていなきゃおかしい。
やはりカンフー要素が決め手だったのかな。
ワイヤーアクションなんかも世界ではまだ珍しい頃だったのかも。

ストーリー自体は意外と感動的。
社会の底辺の人たちが立ち上がるストーリー。
特に人生に絶望している風のヒロインの七変化ぶりが秀逸だと思う。
しかもヴィッキー・チャオだし。

なかなか面白かった。

ちなみに私が今まで見た映画で一番爆笑したのはアニタ・ユン目当てで見たチャウ・シンチーの0061/北京より愛をこめて!? 』。
基本クスッ程度の笑いなんだけど油断しているとたまに大爆笑させられるのがチャウ・シンチーの本当の恐ろしさ。

2022年11月27日日曜日

ありがとうギンレイホール

ビルの老朽化により、ギンレイホールは2022年11月27日(日)をもって閉館。移転先は未定。

会員カードの返金対応も始まるらしいし、なんかこのままなくなってしまいそうで怖い。
私が会員になったのは確か1999年だから、20数年通い続けたことになる。
都合がつかなくてスキップしたのはせいぜい5,6回程度だと思うので、ざっと数えて1000本超えてそうだな。
封切りで見て1本1800円だとしたら180万だぜ。
年間1万円で見放題の会員カードのコスパの恐ろしさよ。

飯田橋でなくてもいいから復活してほしいなぁ。
復活するにしても1年以上先になるような気もするし、これからどうするかなぁ。

2022年11月26日土曜日

映画『マリー・ミー』

2022年 監督:カット・コイロ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ジェニファー・ロペスの歌とダンスと驚異的な若さを堪能する映画かな。
ジェニファー・ロペスってなんか歌手として大成しているのは知っていても全く聞いたことなかった。すげーうまいんだな。
ジェニファー・ロペスの出演作を見ていてあれって思ったのは、『Uターン』しか見ていないっぽい。
昔なんかもっと何本も見たような気がするんだけど。。『Uターン』が強烈だったからかなぁ。

映画の方は、大スターとそんな大スターに興味はありませんっていう地味なシングルファーザー高校数学教師とのラブコメディ。
一般人冴えない高校教師役には名優オーウェン・ウィルソン。
ジェニファー・ロペスとオーウェン・ウィルソンは『アナコンダ』で共演しているみたいね。

映画『君を想い、バスに乗る』

2021年 監督:ギリーズ・マッキノン
製作国:イギリス
at ギンレイホール




最愛の妻(フィリス・ローガン)をなくしたばかりのトム(ティモシー・スポール)は、亡き妻との約束を胸に、バスの高齢者フリーパスを使って目的地のランズエンドへと向かう。
おじいさんのロードムービーであり、なかなかの愛の物語でもある。

歩くのもおぼつかない老人の一人旅。
出会うのは親切な人達だけとは限らないってところが面白い。

最初の故障した車のエピソードはよく意味がわからず、なんだったんだろう。
悪者を痛快にやっつけたみたいな展開で、その後子供とにらめっこしているようなあの表情の意味とかもよくわかっていない。
なんか映像で見せる系の映画だったのかと思って少し身構えたものの、全体としてはちゃんとストーリーを説明しようとしている映画っぽく思えた。
説明しようとしているんだけど、様々な出会いやエピソードが詰め込まれていて「質より量」って感じだから結果説明不足とかそんな感じなのかな。

中身不明の大事な謎のトランクの中身は過去シーン等から中盤以降で予測がつくようになっている。
もうちょっとラストぎりぎりまで引っ張ってもいいんじゃないかとか、予告編にもある待ち伏せギャラリーがなんか胡散臭くて邪魔くさいとか、いろいろ不満点はあってもそれでもラストは結構泣いてしまった。
いい映画だ。

2022年11月12日土曜日

映画『ベイビー・ブローカー』

2022年 監督:是枝裕和
製作国:韓国
at ギンレイホール




クリーニング店を営み借金まみれのサンヒョン(ソン・ガンホ)は、赤ちゃんポストがある施設で働くドンス(カン・ドンウォン)と共謀して預けられた赤ん坊をこっそり転売していた。
そんな二人はすでに警察に目をつけられていて、アン・スジン(ペ・ドゥナ)とイ刑事(イ・ジュヨン)はサンヒョン達を転売の現行犯で逮捕するべくマークしている。
いつものように赤ん坊を連れ出したサンヒョン達だけど、今回はいつもと異なり母親ソヨン(イ・ジウン)が思い直して赤ん坊を連れ戻しに戻ってくるというハプニングがある。
で、なんだかんだでロードムービーの始まり。

旅の過程で、違法なことをしているサンヒョンとドンスの人柄や過去、赤ん坊に見向きもしないソヨン、刑事のスジンの事情等々が次第に明らかになりつつ、旅先で出会う施設で売れ残った少年、赤ん坊を求める客、等々、ザ・ロードムービー。
ロードムービー大好き。
キャストだけでなくスタッフも韓国の1流どころが集まっているらしい。
撮影も韓国の人だけど青みがかったくっきりした映像は是枝監督って感じで落ち着く。
ストーリーはかなり凝っているが少し詰め込みすぎかな。って思うところがあっても映像見ているだけで十二分に満足な映画。

ペ・ドゥナは『空気人形』の人か。

映画『セイント・フランシス』

2019年 監督:アレックス・トンプソン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




壁からひょっこりはんする少女とか「ごめんなさい」とか変顔合戦とか「私は勇気がある!」うぉー、とかさ、この予告編見て1mmも面白そうじゃなかったので見ないでスキップすることも視野に入れてたいんだけど、一応見てきた。
で、意外と面白かった。

34歳独身のブリジット(ケリー・オサリヴァン)は定職にもつかず、今はレストランのウェイトレスをしている。
そんなとき短期だが割のいいナニーの仕事にありつけることになる。ちなみにブリジットは子供が別に好きでもない。
面倒見るのはレズビアンカップルの6歳の娘フランシス(ラモナ・エディス=ウィリアムズ)で、この子がなかなかおませというか賢いというか(悪く言えば脚本的に作りすぎている)、ブリジットはだいぶ扱いに四苦八苦するんだけど、次第に心を通わせていき。。

なんかあらすじ書いてもやっぱつまらなそうって思えてくる。
でもなんか面白かったんだよね。
コメディとドラマのバランスがよくて、なかなか赤裸々でもあったからかな。

脚本は主演のケリー・オサリヴァン。
フランシス役のラモナ・エディス=ウィリアムズはフィギアスケートでオリンピックを目指しているらしい。だからスケートシーンがあったのか。

2022年10月30日日曜日

映画『わたしは最悪。』

2021年 監督:ヨアキム・トリアー
製作国:ノルウェー / フランス / スウェーデン / デンマーク
at ギンレイホール




頭いいやつは当然医者になるよねって感じで医大に入ったものの、私が本当にやりたいのはこれじゃないと気づいて自分探しwwwの旅に出るユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)。
とその辺はすっ飛ばしてカメラマンの仕事しているときにパーティーで知り合った風刺漫画家のアクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)と知り合って恋人になってからは落ち着き出す。
落ち着いた、、と思わせておいて実は全然落ち着いていなくてまだ自分探し途中だった。
最悪。

序章とエピローグと12章から成るって最初の方で説明があって、1章が終わるまで恐ろしく長かったことに絶望する。
あと11章とエピローグまであんのかい!
計128分。
でもまあとりあえず最後まで鑑賞はできた。

ベネディクトカンバーバッチに似ているアイヴィン役のヘルベルト・ノルドルムが脇役で終わらなさそうと思ったらやっぱりそうか。
世界が停止するのは最近台湾映画で見たな。

映画『帰らない日曜日』

2021年 監督:エヴァ・ユッソン
製作国:イギリス
at ギンレイホール




なんだか濃密で自然で美しい映画だった、
時間軸がシームレスに飛んで行ったり来たりするのも普段ならいらっとするところだけど、この映画ではさほど気にならず。
1924年のイギリス。豊かな自然と豪邸。そして主演のオデッサ・ヤング。
冒頭のオデッサ・ヤングのアップや駆ける馬の足のスローモーションに始まり、とにかく美しいものを執拗に追いかける。
落ち着いた調度品に溢れた豪邸の中を裸の女にゆったりと散策させるってどういうことよ。
ともすれば下品になりがちなところ、色合いなのかなんなのか、なんかいいバランスで調和しているのね。

主演のオデッサ・ヤングはほとんど無名の人だね。これから有名になるだろうな。
脇役でコリン・ファースとオリヴィア・コールマンが固める。

面白かったー。

2022年10月2日日曜日

映画『モガディシュ 脱出までの14日間』

2021年 監督:リュ・スンワン
製作国:韓国
at ギンレイホール




1991年、当時国連加盟を目指していた韓国政府は、アフリカ諸国でロビー活動を行っていた。
ソマリアでは韓国大使のハン・シンソン(キム・ユンソク)は現地政府に取り入ろうと日々奔走していた。
しかしライバルである北朝鮮は20年も前からアフリカで活動を行っており、北朝鮮の大使リム・ヨンス(ホ・ジュノ)に遅れを取りがち。
で、前半はなにやら昔なつかしい雰囲気のほのぼの展開なんだけど、内線が勃発してからは過酷。

面白かったー。
日本人ならおいでおいでと招き入れそうだけど、そこは敵国、見捨てるのも厭わない姿勢とかちゃんと描いていて好感が持てる。
韓国と北朝鮮でそれぞれやりての若手が職員にいて、お互いばちばちやっているのもいいよね。
突然始まるカンフーアクションとかさ。監督は香港カンフー映画に心酔しているらしい。
最初はただの小物っぽいハン大使が頼れるリーダーみたいにかっこよくなるのも見所。

緩急がうまいのかな。
白旗出すところで旗が取れてしまうところとかギャグシーンだよな。命がけのギャグ。
コン書記官(チョン・マンシク)が憎めない。

本とかで防御力ましましの車がどんどん破壊されていって最終的には芸術的なオブジェみたいになっているのとかもよかったな。

どこで撮影しているんだろうって思ったらモロッコらしい。
ソマリアは渡航禁止らしいしさすがにソマリアじゃないか。
30年前とはいえ、アジアの1小国が現地のソマリアでこれほど大規模に内戦を再現していたらなんか言われたりしないのかなとか思っていた。
それにしても内戦のあの迫力やエキストラの多さはとんでもない規模だし相当制作費もかかっていそう。
日本じゃ今どきこんな大作映画作られないからなかなか楽しませてもらった。

映画『オフィサー・アンド・スパイ』

2019年 監督:ロマン・ポランスキー
製作国:フランス / イタリア
at ギンレイホール




冒頭からすごいロングショット。
恐ろしく広い空間を一糸乱れぬ隊列が進んでいく。
スパイ容疑のユダヤ人陸軍大尉ドレフュス(ルイ・ガレル)が軍服の数々のボタン等を無惨に剥ぎ取られた上、サーベルを膝でへし折られる。

1894年にフランスで起きたドレフュス事件を扱った映画。
主人公はドレフュスでなく、彼の無実を知ることになるピカール中佐(ジャン・デュジャルダン)。
1軍人と国家権力との戦いが始まる。

軍人としての矜持の違いから対立するピカールとアンリ(グレゴリー・ガドゥボワ)。
妖艶な魅力をはなついい女ポーリーヌ(エマニュエル・セニエ)。
根強いユダヤ人差別(ピカール自身もどちらかという反ユダヤってところが面白い)。
って感じでなかなか見応えあって面白かった。
ピカールとドレフュスの関係性もいいよね。地位も命も危うくなりながら奮闘したピカールと向かい合ったドレフュスとの対話は、ドレフュスが失ったものの大きさと反ユダヤへの終わらない闘いが示唆されていそう。

エンドロール見てやっとロマン・ポランスキーだったのかと知った。
結構な年のはずだけどこんな映画作れてすごいな。

弁護士役の人メルヴィル・プポーだったとは全く気づかなかった。
あと筆跡鑑定人がマチュー・アマルリック。

2022年9月23日金曜日

映画『カモン カモン』

2021年 監督:マイク・ミルズ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




子供の取り扱い説明書みたいな映画。

ニューヨークを拠点にラジオジャーナリストとして働くジョニー(ホアキン・フェニックス)。独身。
ジョニーはアメリカ中を飛び回って子どもたちにインタビューしている。
そんな折、母の死後以降いろいろ気まずくなって避けていた妹ヴィヴ(ギャビー・ホフマン)の9歳になる息子ジェシー(ウディ・ノーマン)をしばらく預かることになる。
子供にインタビューはしているけど、子供と長時間普通に接したことのないジョニーの戸惑い。
子どもは大人の鏡というけど、ジェシーを通して大人たちが成長していく物語でもある。

途中だいぶうとうとしてしまった。
子役のウディ・ノーマンがまた達者なんだわ。
達者すぎてしらけるってところまで足が少しかかっているくらいのギリギリのライン。
登場人物が子供(といってももう9歳)を神様みたいに扱って、子供の言動を神のお告げかのように読解していく、みたいなスタンスを披露しなければいけないほどアメリカ社会における子供の扱いは悲惨な状況なのだろうかと思ってしまった。

モノクロで切り取られたアメリカはなかなかよかったし映画は面白かったんじゃないかと思う。寝たからよくわからん。
音を扱っていながらあまり音に繊細ではないところが少し気にはなった。

映画『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』

2019年 監督:フィリッポ・メネゲッティ
製作国:フランス / ルクセンブルク / ベルギー
at ギンレイホール




冒頭の少女二人のかくれんぼ、カラスの鳴き声が不気味な中、一人の少女が忽然と姿を消す。
そんな不穏な映像から、薄暗い部屋のシーンへ。
ベッドに腰掛ける女性と、左奥の鏡越しに女性が小さく映っている。
薄明かりの暖かさと、奥行きがあるようで鏡越しという窮屈なようでもある絶妙な映像。
この冒頭数分だけでただものじゃない映画になっているよなぁ。

南仏モンペリエのアパートの最上階で向かい合った2つの部屋にそれぞれ暮らすニナ(バルバラ・スコヴァ)とマドレーヌ(マルティーヌ・シュヴァリエ)は、長年の恋人関係にある。
二人はアパートの部屋を売り払ってそのお金で二人でローマで暮らす計画を立てていて、いよいよ実行に移すって段階まで来ているものの、マドレーヌは事実をなかなか家族に打ち明けられないでいる。
ニナは独身だがマドレーヌは結婚していて孫までいるのね。
結婚といってもあまり幸せといえない結婚生活だったっぽい。
いつまでたっても家族に言えないマドレーヌにニナは怒るのだが、そんな折マドレーヌの身に。。。

障害があるほど燃える恋、っていうか障害しか無いっていうね。

介護士のおばさんは仕事に対する責任とプライドを持っていて、彼女のニナに対する対応は至極当然のことだったからこそ、可哀想に、って思っていたのに。。。

かくれんぼの少女達は誰かの少女時代とか同じ時代に生きる少女達とかではなく、暗喩的なものだったみたいだ。
黒と白、白をそのまま水中に沈めるか、白を命がけですくい上げるか、っていう。

なかなかおもしろかった。

2022年9月3日土曜日

映画『ブルー・バイユー』

2021年 監督:ジャスティン・チョン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




3歳のときに養子縁組でアメリカにやってきたアントニオ(ジャスティン・チョン)は、シングルマザーのキャシー(アリシア・ヴィカンダー)と結婚して連れ子のジェシー(シドニー・コワルスキ)も含めた3人で貧しいながらも仲良く暮らしていた。
キャシーのお腹には新しい命も宿っている。
新しい家族も増えるし、アントニオは収入の少ない入れ墨の彫師を廃業して新たな職につこうとするがなかなか採用されない。
そんな折、アントニオの不当逮捕をきっかけに養子縁組の時の手続き内容に不備があることが発覚して国外追放命令を受けてしまう。

冒頭のピンク色した入江が幻想的でおー、と思ったんだけど、その後はなんか全編通して映像がつまらないというかしょぼい演出だなぁという印象だった。
ネットで検索してみると、演出はおおむね絶賛されている。そっか。じゃあよかったのか、な?

空港のシーンはセカチュー思い出した。
スライディングしながら駆け寄るのなんて世界中で森山未來くらしかやらない演技だと思っていたよ。
なかなか泣けるシーンのはずがそこで少し覚めてしまった。
覚めたのはエース(マーク・オブライエン)お前急に何があった?とかいろいろ伏線もあったしなぁ。

それにしてもジェシー役のシドニー・コワルスキが凄い。
恐ろしい子役がいたもんだよ。
子供に自由に遊ばせているのを撮影しているような自然さじゃなくて、どう考えても確実に演技しているのに自然っていう。
しかもめっちゃかわいらしいし。

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』

2021年 監督:ヤン・ゴズラン
製作国:フランス
at ギンレイホール




最新型の航空機が墜落。
原因調査の鍵はブラックボックス。
微妙なピッチの違いさえも聞き分ける優秀な音声分析官のマチュー(ピエール・ニネ)はこの事故の担当ではなかったが、上司の謎の失踪により担当することになる。
記者発表まで時間のない中あっという間に原因を特定したマチュー。
しかしこの音声は何かがひっかかる。。。

失踪した上司ポロックや、同じ航空業界で働き、航空機の認証機関みたいなところで働く美人のやり手妻ノエミ(ルー・ドゥ・ラージュ)とか、航空大学時代の同僚で、航空機専門のセキュリティー会社を経営するルノーとか、いろんな人が絡んで謎が深まりながらがしゃがしゃ絶望的に崩壊したりして、なかなかおもしろいサスペンスだった。

面白いのは主人公マチューに対する印象をころころ転換させるところ。
主人公なんだしその圧倒的能力で獅子奮迅の活躍をみせるのかと思いきや、行動力が凄いというか結構やばいやつだったりもする。
彼の妄想はどこまで真実に近いのか?それともただの妄想なのか。評価のゆらぎが面白い。

以下ネタバレ

ラストはなんかあっけなかったな。
あと、あんなに厳重に開封したブラックボックスの中身を、最高権限持っていそうとはいえ簡単にすり替えられるならブラックボックスってなんなの?という気がしないでもない。

2022年8月21日日曜日

映画『偶然と想像』

2021年 監督:濱口竜介
製作国:日本
at ギンレイホール




全三話の短編。
なんとなく登場人物をリンクさせたり、道ですれ違わせたりとかしちゃいがちだけど、完全に独立した三話。
小説でも映画でも短編が苦手な方なんだけど、各話すんなり入れたので脚本がうまいのかな。

全体的な印象としては、ちょっとした違和感を意図的に瞬間的または継続的に入れて画面を引き締めるのが好きな監督なのかな、と。
「第一話 魔法(よりもっと不確か)」の入りの会話内容から面白いんだけど、どことなく棒読みの浮ついた違和感がある。
タクシー運転手がバックミラーでちらっと見たのが何かにつながると思ったらつながらない。
そもそも古川琴音の見た目が子供すぎて、キャラと実物の違和感。。。
あとギャグみたいに使うズームとか。

棒読みのやつは気になって調べてみたら、玄理さんのインタビュー記事があった。
役者による作為的な演技を排したい意図があるみたいね。
濱口竜介監督が『寝ても覚めても』の監督だったと知ったとき、東出昌大とかそういう棒読み役者が大好きな人なんだとすんなり納得したんだけど、そんな演出意図があったのか。

古川琴音はつい最近出てきたと思ったらいつのまにか人気女優になっているのね。
独特な見た目と独特な声での独特な台詞回しで一度見たら忘れないようなスター性があるしなぁ。

「第二話 扉は開けたままで」の渋川清彦はその変態性含めて渋かった。
森郁月さんって人はなかなかの色っぽさ。
渋川&森の抑圧された淡々とした応酬も面白いんだけど、セフレ役の人が役にドはまりしているのが一番おもしろかった。
ぼっちゃん顔でわがままそうで、むきむきじゃないガタイの良さしていて、頭悪そうなのに世の中うまく渡って成功しそうな感じ。
仮面ライダー出身の人みたいね。

「第三話 もう一度」
河井青葉さん演じる役の、おっとりした大物風の風格がすごいわ。
そのせいか、主役の占部房子さんの小物感が際立って、、違和感。
高校の20年目の同窓会ってことは30後半??ってことに違和感。
ああ、違和感って別に悪い意味で行っているわけじゃなくてむしろ逆。楽しい。
予告編にある再会シーンを改めて見ると、目きらきらしているし、事情を知ったあとで見るとさらに面白いな。それにしてもうまい演技だ。

そういえば映画タイトルは偶然と想像か。
偶然はわかりやすいけど想像はそれぞれあれのことかって思い出すと、ああ、ちゃんと偶然と想像じゃん。よくできている!
面白かった。
全7話のシリーズにするらしいので、残り4話も楽しみ。

映画『春原さんのうた』

2021年 監督:杉田協士
製作国:日本
at ギンレイホール




音をよく拾うのね。音響が素晴らしい。音聞いているだけでも何時間でも見ていられそう。
音楽もほぼ無く、あっても和音の響きだけ、みたいな。
好きだわ、こういうの。

映像の方は、ワンシーンワンシーンが恐ろしく長い。
手を洗っているだけのシーンを何十秒も見させられたりとか、長いわって突っ込みたくもなるけど、段々慣れてくる。
むしろそういうゆったりした時間の流れが心地良い。
最近テンポのいい映画しか見ていないから、昔の名作映画とかまた見ていこうかなって思った。

ストーリーは、1mmもわからなかった。
たまに映るおかっぱの子は誰なのよ。
隣の部屋の子かと思った。いつ主人公とからむのかと。
主人公沙知は、周りから何か心配で気にかけられている雰囲気で、どうやら最近大事な人を亡くしたらしい。
それがおかっぱの子かな。
窓枠上映のシーンなんかは、もしや実は沙知は亡くなっていて、追悼で皆が沙知の映像見ているんじゃないかみたいな、それまでのシーンを少し思い返せば辻褄合わないとすぐ分かるような妄想までしてしまうほど混乱はしていた。

主演は荒木知佳という人で、おっとりした感じが映像によく合っている。
映像に映える役者さんってたまにいるけど、この子は映えるというか優しく溶け込む感じで、いつまででも見ていられる。

コロナ禍の撮影だからか、皆普通にマスクしているし、帰宅して入念に手も洗う。
なんかちゃんと現代をありのままに切り取っているのが、普通のことなのに感心した。
映画にしろドラマにしろ、現代ものの話なのにコロナなんかないかのように誰もマスクしていないじゃん。
フィクションであっても時代設定が現代ならマスクしていないとおかしい、っていう当たり前のことになぜ気づかなかったのか。
役者の顔見せることよりも重要なことだよなぁ。

どのシーン、どの登場人物も印象的だった。
人物だと、アパートの前の住人の彼女らしき人がすごくよかった。
なんだろう、一言で言えば「いい人」って感じだけど、なんかすごくリアルな感じなんだよね。喋り方とか。笑顔とか。おどけた感じとか。

シーンだと、いろいろあるけど、雨の中でカッパ着てスクーターに乗る準備しているところかな。
二人の立ち姿とか、ヘルメット拭いたりとかのやりとりがよかった。
あとは道案内でゆったり歩いているところとか、どらやき食っているところとか、突然の書道が本格的でびびったり。

https://www.nobodymag.com/interview/haruharasannouta/interview.html
インタビュー記事が面白い。
書道のシーンは最初の方に撮影されたらしく、その頃にはまだ映画の骨格すら決まっていなかったらしい。
それでよくあんな異様なシチュエーションのシーン撮ったなぁ。

舞台はどこかの地方かと思っていたら聖蹟桜ヶ丘らしい。いいところだねぇ。

2022年8月11日木曜日

映画『ウエスト・サイド・ストーリー』

2021年 監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




タップダンスじゃないミュージカル映画に興味なくて見たことなかったんだけど、えー、こんなお話だったの!
オリジナルってアメリカン・ニューシネマの頃だったっけ?いや、1961年だし、ブロードウェイの初演は1957年。
歌って踊って散っていく。こりゃあ確かに若者に衝撃的に受けそうだぜ。
ロミオとジュリエットが下敷きらしい。そう言われてみればそうだ。

これって脇役は皆プロのダンサーかミュージカル俳優なんだろうか。
ダンススキルが主演二人以外はプロ級で、かなりの見ごたえがある。
本編の一部がyoutubeで見ることができる。


すごいねー。

バーンスタイン作曲の音楽がどれもこれも有名すぎて懐かしい。
吹奏楽でよく演奏されたもんだ。

主演トニー役のアンセル・エルゴートは、坊っちゃん顔のイケメン。
なんか見たことあると思ったら『ベイビー・ドライバー』の人か。

ヒロインマリア役はレイチェル・ゼグラー。
オーディションで選ばれたyoutuberらしい。

バレンティーナという商店のおかみさん役に、前作アニタ役のリタ・モレノ。

以下ネタバレ


しかしまあ、あれだけの稀有なダンススキルを持っていながらどうでもいい諍いで命を落とすとか、兄が殺された日に兄を殺した男と・・・とか、おっさんには理解がおいつかんぞ。

映画『ナイトメア・アリー』

2021年 監督:ギレルモ・デル・トロ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




1939年アメリカ。家を焼いて故郷を離れた青年スタントン(ブラッドリー・クーパー)は怪しいカーニバル一座に拾われる。
スタントンはここで読心術を使ったショーをする夫婦の助手をしながら、読心術を身につける。
で、まあいろいろあってサスペンス!

面白いけど150分は長いなぁ。

無口な好青年風のスタントン。
しかし意外とやばいやつっていうのは冒頭や、獣人ボコっているところで片鱗が見える。
だからモリー(ルーニー・マーラ)といい感じになっても幸せな未来が見えなくて悲しい。

前半と後半で雰囲気ががらっと変わる。
舞台が変わっても、どこか作り物めいた怪しい雰囲気を保っているところは面白い。
かつての仲間が高級な部屋にいるっていう微妙な違和感とかもよかったな。

途中うとうとしたからか、スタントンの過去や人物像がいまいち不明だった。
中断したカウンセリングの内容の続きがラストのあの回想なのかな。
酒を頑なに絶っていた理由の説明もどこかであったのだろうか。

意外と最重要人物だったリリス・リッター博士にケイト・ブランシェット。
師匠夫婦にトニ・コレットとデヴィッド・ストラザーン。
座長ウィレム・デフォー。

2022年7月25日月曜日

映画『ハウス・オブ・グッチ』

2021年 監督:リドリー・スコット
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




グッチ創業者一族の物語で実話に基づくらしい。
全然知らんかったわー。
映画向きの実話だねー。

運送業を営む父のもとで働くパトリツィア(レディー・ガガ)は、とあるパーティーでマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライヴァー)と出会い恋に落ちる。
マウリツィオはあのグッチ一族の人間だった。
グッチ家とか関係なく恋に落ちている(ように見える)んだけど、マウリツィオの父ロドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)の猛反対に合う。
で、マウリツィオは家を出て二人は晴れて結婚。
マウリツィオは弁護士を目指しながら運送業の手伝いをし、屈強なトラック運ちゃんたちとも打ち解けて、二人は幸せに暮らしましたとさ。
で終わればいいのにそんなのはただの導入で、そっからどろどろの争いが。。

俳優陣だけですごい見ごたえがある。
レディー・ガガは『アリー/ スター誕生』でその自然な演技にかなりびびったけど、この映画だと既にもう大女優の風格を持っている。
ガガの圧をアダム・ドライヴァーの笑顔が和らげていいバランス。
ガガもアダム・ドライヴァーもそれぞれ独特な風貌しているから、二人揃うとなんか特異な絵になって面白い。

マウリツィオの叔父役でアル・パチーノ、父親役にジェレミー・アイアンズという最強の布陣。

怪しい占い師役にフリーダのサルマ・ハエック。

で、一番やばかったのは従兄弟パオロ・グッチ役のジャレッド・レトー。
いかした髪型だぜ。
どこか憎めない哀愁のあるキャラクターがドはまりして愛しくなってくる。
えっ、ドはまりって、、これジャレッド・レトーだよな。。
「アンジェラ15歳の日々」を見ていたときは、それほどイケメンというわけでもないしすぐに消えていく俳優だと思っていたよ。

ストーリーの方はいろいろ展開が唐突な気がした。映画自体は159分もあるのにな。
Wiki見るとパトリツィアは財産目当てで色仕掛けでマウリツィオに近づいたと言われているらしいね。
最初から財産目当てだったのか、それとも後から金に目が眩んだのか、とかその辺が映画では曖昧だから、パトリツィアの狂気とかマウリツィオの心変わりとか、全てが唐突に思えるのね。
ただただガガの狂気の瞳に圧倒されればそれでOKという気もしないでもないけど。

2022年7月17日日曜日

映画『エル プラネタ』

2021年 監督:アマリア・ウルマン
製作国:アメリカ / スペイン
at ギンレイホール




なんか昔懐かしい香りのする映画。
学生の頃こういう映画見ては爆睡していたのを思い出す。
今は、というと、2,3回うたた寝してしまった。
大抵は1回うたた寝して目覚めたらあとはすっきりするもんだけど、、、
私昔バレエダンサー目指していたとかなんとかでふらふらのポーズを取るおばちゃんとか、一体何を見させられているんだと思ってしまったらもう眠気に襲われる。

駆け出しスタイリストのレオ(アマリア・ウルマン)はイギリスから故郷のスペインに帰ってきて母親マリア(アレ・ウルマン)と暮らしている。
離婚して慰謝料で暮らしていた母親は、父親が亡くなって慰謝料が途切れたことで破産寸前。
働いたこともないし働く気もない。
で、レオが支えるのかというとそうでもなくてレオも貧乏。
二人してどん底にいるんだけど母親は能天気だし、レオもレオで絶望と希望の狭間で揺れながらも意外とあっけらかんとしている。

外にいる母親が、見た目若すぎてレオの友達なのかと思っていた。
アップになるとああ、って年相応の顔立ちなんだけど、遠目で見たときの若々しさが凄い。

冒頭の知らないおっさんとのやり取りまでは面白かったんだけど、その後はラストの方まであまり乗れず。(というかそこそこ寝てしまったし)
ラストはよかったし、寝ないでじっくり見れば意外と面白い映画かもしれない。

主演のアマリア・ウルマンが監督・制作もやっていて、アマリア・ウルマンは現代アーティストらしい。

2022年7月3日日曜日

映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』

2019年 監督:
製作国:
at ギンレイホール




テフロンこわっ
環境問題を専門とする弁護士のロブ・ビロット(マーク・ラファロ)のもとに怪しいおっさんがやってくる。
デュポン社が土地にヘンなモノ埋めたから汚染されたとかなんとか。
ロブは企業側の弁護士なんだけど、祖母からの紹介ということもあって実際ウェストバージニア州の町に訪れて例のおっさんウィルバー・テナント(ビル・キャンプ)の話を聞くことになる。
そこからロブの長い長い闘いが始まる。

実話に基づく、ってだけじゃなくて世界中で使われているテフロンだのフッ素樹脂加工だのの話だから、こわっ。
一応空焚きで超高温にでもしない限り安全ってことらしいけど、、

巨大企業が隠しているものを一人の弁護士が気の遠くなる努力で少しずつ剥がしていく、と同時に人間関係が崩れていく。
サスペンス的な要素と人間ドラマ的要素のバランスがよくて充実の126分。

『Take Me Home, Country Roads』「Almost heaven, West Virginia(楽園のような、ウェストバージニア)」とかそんな歌詞だったんだねぇ。

妻サラ役にアン・ハサウェイ。
サラの人物像だけはよくわからなかったな。一応ロブの良き理解者とかいう立ち位置らしいんだけど。
自分はこんなに苦しんでいるのよ、っていう自分が自分がって訴えるあたりがアメリカ人っぽい。
そんでロブが倒れた一因にサラの言動があるはずなのに、当のサラは自分のせいとは一切思っていないどころかいい妻ぶっているから意味不明だった。

良き理解者の上司役にティム・ロビンス。

映画『スイング・ステート』

2020年 監督:ジョン・スチュワート
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ヒラリー・クリントンの選挙参謀ゲイリー・ジマー(スティーヴ・カレル)は、ウィスコンシン州の田舎町で演説する退役軍人ジャック・ヘイスティングス大佐(クリス・クーパー)をYoutubeで見て、彼こそ農村地区で民主党の票を取り返す鍵になると考える。
単身町に乗り込んだジマーは大佐に会って民主党からの出馬を要請するのであった。
で、なんたかんだでこの小さな町の町長選が民主党共和党の威信をかけた代理戦争になっていく、っていうコメディ。

アメリカの選挙ってなんかもうただの票集めゲームみたいな感じよね。
そういう感じの選挙映画が多いからかもしれないけど。

テンポとノリがよくてなかなか面白かった。

大佐の娘役にマッケンジー・デイヴィス。
登場シーンから魅力的。
敵役にローズ・バーン。

2022年6月18日土曜日

映画『ドリームプラン』

2021年 監督:レイナルド・マーカス・グリーン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




これってあのビンタ映画か。
変なレッテル貼られたもんだ。

ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹っていう最強の二人を育て上げた実父リチャード(ウィル・スミス)はテニス未経験の素人だったっていう話。というか実話。

コンプトンっていう犯罪率がめちゃ高い場所に住むリチャードは子供二人作ってプロテニスプレイヤーに育て上げようとする。
プロテニスプレイヤーの賞金がとんでもない額だということを知ったから。
生まれる前からだよ。
なんかそこからもうぶっ飛んでるよな。
かなり個性的なおやじで、実際関わり合いたくはないタイプだけど、映画で見る分にはなかなかに面白いキャラクターになっている。
金儲けのためというとなんか冷たいし、隣人からは虐待とか言われもするけど、実際はその逆で何より娘たちの安全と将来を優先して考えている。
時に押し付けがましく時に独りよがりだったりもするけど、それはストーリーとしての成長譚。

まあ実際どうだったのかは知らんけどね。対比で描かれるジュニアトーナメントで負けた子供をなじる親とかよりマシだろう。
と、なんか気になって調べてみたらこの記事面白いな。
コンプトンに住んだことまで「劣悪な地域からのし上がったスター」を誕生させるための意図的な演出なのかよ。
あんなに理不尽な暴力から家族を守っていた美談はいったいどこへ。。

ビーナス&セリーナを演じた二人はテニスの優秀な選手をキャスティングしたのかと思っていたけど、普通に子役だったのか。。テニスシーンはCG??

映画『クライ・マッチョ』

2021年 監督:クリント・イーストウッド
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




クライ・マッチョってなんか強烈に印象に残るタイトルだよな。笑っちゃうような滑稽感もある。
マッチョって言葉はWikiだと「マッチョとは、男性がもつという「強靱さ、逞しさ、勇敢さ、好戦性」といった性質を基礎とした思想や信条、行動をあらわす言葉」らしい。

イーストウッド監督主演のロードムービー。
と思ったけど終活物語か。
原作では主人公の年齢はどんくらいなんだろう。
とにかく車の動と静がいいよね。車の映画か。

2022年6月4日土曜日

映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

2020年 監督:ケイリー・ジョージ・フクナガ
製作国:イギリス / アメリカ
at ギンレイホール




ダニエル・クレイグ版ボンドの最後の作品らしい。
感慨深いねぇ。。あっ、よくよく考えたら007ってトム・クルーズのミッション・インポッシブルしか見たことないや。

とにかく一切頭使わずにはらはらどきどきわくわくのアクションを楽しむつもりだったんだけど、登場人物だとか組織名がさっぱりわからず。
スペクターって人の名前?ヴェスパー誰?ホワイト?ボンドはイギリスだからCIAじゃなくてMI6だっけ?マドレーヌ?ダニエル・クレイグとレア・セドゥが父娘じゃなくて恋人設定だと???
今調べると5作全部続き物になっていたみたいね。
スペクターとかホワイトとかマドレーヌは過去作から出ているらしい。
途中で考えるのや覚えるのをやめたのでそれなりに楽しんだ気がする。
過去4作見ている人はたしかに感慨深そうだ。

能面(よく見るとなんか違うような気もしたけど「能面の男」とかはっきり言っているから能面なのだろう)を恐怖を煽る道具にするのは邦画でもまあたまにあるけどなんか微妙よね。
枯山水みたいな庭とか決戦場所とかずいぶん日本要素が多いなと思ったら、監督は日系の人か。関係あるか知らないけど。
あ、この監督『闇の列車、光の旅』撮った人じゃん。作風が違いすぎる。

映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』

2020年 監督:アナス・トマス・イェンセン
製作国:デンマーク / スウェーデン / フィンランド
at ギンレイホール




主演マッツ・ミケルセンだったのか。。今知った。
『アナザーラウンド』くらいでしか知らなかったので全然印象が違う。

軍人のマークス(マッツ・ミケルセン)は赴任先で妻の訃報を聞く。
妻は列車事故に巻き込まれて亡くなったが、一緒にいた娘(アンドレア・ヘイク・ゲーゼベウ)は軽症でなんとか無事。
悲嘆に暮れる中、怪しい男たちが訪ねてきて妙なことを言い出す。
あれは事故じゃない、と。
最強の軍人と理数系のスペシャリスト達の復讐劇が始まる。
っていうあらすじは合っているようで合っていない。
復讐ではあったけど、人生に詰まったやつらの再生の物語っていうほうが近いか。
コメディも織り交ぜつつど派手なアクションも満載でなかなかのエンターテインメント。
面白かった。

偶然の重なりから原因を探ってあのときこうしていればとか考えてもそれは無意味なんだけど、考えちゃうのよね。

強面の父が娘に怒鳴り散らかすっていう関係を最近見たな、古田新太主演の『空白』か。
娘は大事だけど接し方がわからない、みたいな。

2022年5月21日土曜日

映画『ほんとうのピノッキオ』

2019年 監督:マッテオ・ガローネ
製作国:イタリア
at ギンレイホール




予告編見ての通り、まあキモい。
キモかわいいのもいるけど、どちらかといえばまあキモい。
キモいダークファンタジーっぽい映像を楽しむ映画かな。

ストーリーはカルロ・コロディの原作にたぶんかなり忠実っぽい。
ピノッキオはかなりの悪童。言葉は話せるが生まれたばかりだしね。善悪の区別もつかないしわがままで自分勝手。
ピノッキオのくっきり二重のつぶらな瞳がまた小憎たらしいんだわ。
この1mmも感情移入できない主人公が冒険を通して成長していく物語。
序盤からいきなり自己犠牲の精神見せたりして、悪童なのかいいヤツなのかぶれぶれなんだよなぁ。

かたつむりの粘液で滑るところはめっちゃ笑った。

ロベルト・ベニーニは2002年の全盛期頃に自身の監督脚本で原作に忠実な『ピノッキオ』を作っているのね。
しかも主演でピノッキオを演じていたのか。すげー。

映画『TOVE/トーベ』

2020年 監督:ザイダ・バリルート
製作国:フィンランド / スウェーデン
at ギンレイホール




ムーミン作者のトーベ・ヤンソン(アルマ・ポウスティ)の半生を描いた話。
冒頭から突然の爆撃音とか、石膏だかなんだかのぴちゃぴちゃした気持ち悪い音とか、ああ、嫌い、、って思ったけど全体的には面白かった。
というかラストの映像にすべて持っていかれた。
最初なんの映像かわからなくてぼーっと見ていたけど、ああ、もしかして、って気づいたらぶわーって涙出てきた。
この映像が本編でそれまではただの導入だったとは。

2022年5月6日金曜日

映画『梅切らぬバカ』

2021年 監督:和島香太郎
製作国:日本
at ギンレイホール




都会の古民家で山田珠子(加賀まりこ)は自閉症の息子ちゅーさん(塚地武雅)と二人で暮らしている。
しかしちゅーさんももう50歳だし自分もいつまで面倒見れるかわからない。
珠子はちゅーさんを近くのフループホームに預けることにする。

隣に越してきた一家とか、グループホームと近隣住民との関係を描きながら、気づいたら終わっていた。
77分。
短編小説を引き伸ばして映画化したのかなと思ったけど、監督のオリジナル脚本っぽいな。

隣家の息子がいい奴すぎるとか、いくらなんでも夜中に忍び込むのはないだろうとか、隣家の旦那(渡辺いっけい)とか人はそう簡単には変わらないぞ、とか、いろいろ思うところはあるけど、加賀まりこと塚地武雅は良かったからまあいいと思う。

映画『老後の資金がありません!』

2020年 監督:前田哲
製作国:日本
at ギンレイホール




姑に子供に夫に義妹夫婦に、、そして金。
普通の主婦が慎ましくも日々奮闘するドタバタコメディ。

冒頭からお笑い芸人のピスタチオが芸風そのままで出ている。
それを皮切りにまあいろんな人が出てくる。
キワモノばかり。。よく集めたもんだ。
面白いのはこうキワモノを集めまくるとある程度演技の評価の高い役者まで皆キワモノに見えてくる。
いろんな役者をお前キワモノだったのかと再認識してしまった。

キワモノさん達

友近
クリス松村
スリムクラブ
佐々木健介&北斗晶
三谷幸喜
竹原芳子
毒蝮三太夫
哀川翔
石井正則
柴田理恵
加藤諒
藤田弓子
竜雷太
高橋メアリージュン
神保悟志

使う意味のない安っぽいCGとか含めて、たぶん意図的に胡散臭い空気づくりをしているんだろうな。
だからこそか、最後はギャップで地味にじわっとくる。
こういうノリは2時間ドラマでやってくれと最初の方は思っていたけど、最後まで見て損はない。
浪費の激しい姑とか頼りない夫とか、怒り心頭で即離婚しそうだけど、奮闘した先にこそ見えてくる想いがある。

主演天海祐希。
この人、顔もスタイルも昔と一切変わらないよね。本当に50代かよ。っていう意味ではキワモノ。
夫役に松重豊。おっとりした役が絶妙に素晴らしい。この人も名優なんだけどキワモノといえばキワモノか。
姑役草笛光子。天海祐希もたいがいだが、この人もう90近いんだぜ。60代くらいにしか見えない。キワモノ。。
義妹役に若村麻由美。この人も『フィレンツェの風に抱かれて』の頃と変わらない美しさ。
娘役に新川優愛。かわえー。

2022年4月23日土曜日

映画『パーフェクト・ケア』

2020年 監督:J・ブレイクソン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




マフィアのボスとか暗殺者とか金塊強奪犯とかさ、悪人が主人公の映画はよくあるけど、この映画の主人公は本物のど畜生なのね。
しかも法は侵していないという。
普通は主人公に成敗されてすっきりする悪人側の人間。
新しい。。

全く感情移入できない主人公なんだけど、人物の構図的には圧倒的で理不尽な力に抗うヒーローみたいになる。
どっちもどっちでどっちも応援したいようなしたくないような。
新しい。。
で、そんな微妙な感情のままで混乱させられながらも意外とそれなりに面白いっていう。
展開が読めないからかな。
ラストは置きに行った感はあるが。

主演ロザムンド・パイク。
相棒役にエイサ・ゴンサレス。
エイサ・ゴンサレス!なにこの人。とんでもなく可愛らしくてとんでもなく美人でとんでもなく魅力的なんだけど。
『ベイビー・ドライバー』に出ているのか。その時はほとんど印象なかったな。

あとピーター・ディンクレイジ。
いい役者さんだよね。この人の次回作『シラノ』では主演らしい。

映画『皮膚を売った男』

2020年 監督:カウテール・ベン・ハニア
製作国:ジア / フランス / ベルギー / スウェーデン / ドイツ / カタール / サウジアラビア
at ギンレイホール




レバノンで苦しい生活を送るシリア難民のサム(ヤヤ・マヘイニ)。
離れ離れになった故郷にいた恋人は結婚してしまったが、未だに連絡は取り合っていてお互いの想いも変わらないのだが、会えない!
そんな時世界的芸術家からある提案をされて、サムは自由(不自由)を手に入れる。

芸術を扱っているからか映像も凝っている。
それでいてストーリーはエンターテインメント。
なかなか面白かった。

真っ白で無機質な空間の中、鏡を使った緻密なカメラワークが展開される冒頭がまず面白いんだけど、この冒頭が実は結構重要なシーンで後でまた生きてくるのね。
ストーリー構成も凝ったもんだ。

唯一音響が無駄にでかいのは不快だったかな。

ヴィム・デルボアの実際のアート作品から着想を得ているらしい。
つまり実際にいるのね。皮膚を売った男が。
ヴィム・デルボアは保険屋の役で出演している。

共演にモニカ・ベルッチ

2022年4月9日土曜日

映画『由宇子の天秤』

2020年 監督:春本雄二郎
製作国:日本
at ギンレイホール




見る前、152分とか本当勘弁してほしいわ。正気かよ。
見た後、なにこの傑作。。

ドキュメンタリー・ディレクターの木下由宇子(瀧内公美)は3年前の女子高生自殺事件の真相に迫るドキュメンタリーを撮影中だった。
いじめで自殺だけど教師に乱暴されたという話になってその教師は自分は無実の遺書を残して自殺した事件。
いじめを隠蔽かつ邪魔な教師を冤罪で排斥しようとした学校側の対応や煽るマスコミに憤るドキュメンタリー。
遺族や加害者側家族とのコンタクトから取材・撮影、検閲する局、といろいろ神経使いそうな作業を黙々とこなす。
で、由宇子の父親は学習塾を経営していて、由宇子も先生として手伝いなんかしている。
そんなとき父親が。。

あ、前半部分だけどなんか書きすぎたか。

父親役の光石研は年の離れた夫役かとしばらく思っていたわ。

塾行ったことないから知らんけど、生徒を下の名前で呼んでいるのがなんかキモかった。普通そうなんか?
あまり普通じゃないなら、それからあの事件、ってマスコミが飛びつくぜ。
マスコミに煽られた世間の目で加害者家族の人生が詰むのは由宇子自身がさんざん接してきた事実。
孤軍奮闘ってやつだよな。心労でハゲそうだ。
由宇子のバイタリティに感服する。

物語は最後の方でいろいろ二転三転してラストの方は展開がいろいろ衝撃よね。
面白かった。

予告編にもある「どっち側なんだよ」「側って何?」は本編の流れで見るとぞくっとした。

映画『空白』

2021年 監督:吉田恵輔
製作国:日本
at ギンレイホール




序盤にくる事故場面がかなりど直球に描かれていて衝撃だった。
序盤なんて普通だいたい油断しているじゃん。
身体的グロさでがつんとやられて、しかもこの後は恐らく精神的グロさのオンパレードなはずなので、これはきついかも、って思ったけど、終始引き込まれてなかなか面白かった。

逃げた万引き犯女子中学生(伊東蒼)を追っていたスーパー店長青柳直人(松坂桃李)。
逃亡劇の結末は悲しい事故。
娘をなくした無骨な漁師の添田充(古田新太)は娘が万引きしたなんて信じられず、真実を突き止めるためにモンスター化していく。

青柳に好意を寄せる草加部麻子(寺島しのぶ)が絶品なのね。
役柄的には一番グロくて、一番癒やし。
独身偽善家おばさんを結構誇張表現した役柄だとは思うけど、一番リアルな役柄に見えた。
寺島しのぶって正直好きな女優じゃなかったけど、見た作品がなぜか美人役が多かったからかな。一気に好きになったわ。

古田新太はこんな怖かったっけ。
いかついトラック運転手をひるませるほどの迫力がすごい。

教師(趣里)が作業の効率とかスケジュールとかをくどくど遠回しに説教しながら説明しているのはなんかいらっとして面白かったな。
こういう教師すごくいそう。
言い過ぎたことを後に反省したこの教師に対して、社会に出てから困るのは彼らなんだから今教えてやるべき、みたいな超絶上から目線のセリフを吐く別の教師とかもいるし。

片岡礼子が演じた役は出来すぎていてなんか逆に怖かった。
添田の態度・対応にも少なからず原因があったはずだよな。
とりあえず車なんて絶対運転しないわって思った。

2022年3月26日土曜日

映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』

2021年 監督:ケヴィン・マクドナルド
製作国:イギリス / アメリカ
at ギンレイホール




9.11米国同時多発テロの首謀者の一人として拘束されていたモーリタニア人、モハメドゥ・ウルド・スラヒ(タハール・ラヒム)。
彼は正当な司法手続きもないまま数年にわたって不当に拘禁され続けていた。
そんなスラヒを人権派弁護士ナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)が弁護することになる。
一方、なんとしてもスラヒを死刑にしたい政府の命を受け、米軍のスチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が準備を始める。
彼は無実なのかそうでないのか。
米軍は拘禁した彼らに対して何をしてきたのか。
スラヒ自身の手記をもとにした映画。

ジョディ・フォスターの貫禄がすごいな。
白髪で一瞬誰か分からなかった。

21世紀でもこんな前近代的なことが起こっているとか、テロへの怒りが狂わせているのか、もともとおかしいのか。
そして宗教の力もまた恐ろしいな。普通許せないよ。。

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』

2020年 監督:ドミニク・クック
製作国:イギリス / アメリカ
at ギンレイホール




この予告編、説明とシーンの切り貼りがうまいな。

キューバ危機の最中の米ソ間の情報戦で重要な役割を果たした男がいた。
その名はグレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)。
平凡な英国人サラリーマン。

実話に基づくらしい。
アレックス(メラーブ・ニニッゼ)との友情や、妻シーラ(ジェシー・バックリー)との誤解からの関係悪化、使命、スリル、絶望。。
実話に基づきながらしっかりエンターテイメントしていて面白かった。

KGBの人なんか見覚えあるんだけど誰だろう。公式ページのキャスト欄に出ていない。
調べてみたらキリル・ピロゴフというロシアの映画と演劇の俳優兼作曲家らしい。

2022年3月12日土曜日

映画『最後の決闘裁判』

2021年 監督:リドリー・スコット
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




14世紀のフランスが舞台。
始まって速攻寝てしまった。
起きたあとはがっつり見たけど、153分は長いなぁ。
ジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)、ジャック・ル・グリ(アダム・ドライヴァー)、マルグリット(ジョディ・カマー)の3者の視点の3章仕立てになっているけど、マルグリット編とか削られても大して違いがない気もする。
というかそもそもこの3者の視点の違いって微妙な差異だから同じシーンを何度も見せられているような。。。同じシーンについては微妙な差異を楽しむものなのかもしれないけど。

決闘シーンはかなりの迫力。つまりグロい。でも手に汗握るわ。
それまでの話はこの決闘シーンのための長い長い前フリだったのかと思った。


中世とかどの国でも生まれたくないよな。いろいろ理不尽すぎる。
少し怒られただけでハラスメントとヒステリックに叫ぶ人は昔にタイムスリップしたら様々な理不尽に憤死するか捕まって拷問受けて即人生終わりそう。

映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』

2020年 監督:エメラルド・フェネル
製作国:イギリス / アメリカ
at ギンレイホール




予告編にもある「hey! I said what are you doing」ってやつは冒頭のプロローグなんだけど、これ見ただけでなんか満足してしまった。
まだ2時間近くも残っているのかと少し憂鬱になったものの、いやいや、それも一瞬のことで最後までなかなかおもしろかった。

医大生だったキャシー(キャリー・マリガン)は中退後、街のカフェで無気力に働いている。
無気力なのは人生に挫折したとかそんなんじゃなくて、彼女はある怒りの衝動と復讐にのみ生きていて、その他の事はどうでもよかったから。
彼女の医大時代の事件とは?彼女のこれからの幸せは?という2つの軸で話が展開する。

どこの発展途上国の話だよって感じだがアメリカ!
フィクションとはいえ怖いわー。その倫理観。

それにしてもキャリー・マリガンもだいぶ老けてきたな。

2022年2月26日土曜日

映画『Our Friend/アワー・フレンド』

2019年 監督:ガブリエラ・カウパースウェイト
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




過去いくつも作られている死ぬまでにしたいほにゃらら系でしかもタイトルからしてさらに友情からめてくるお涙頂戴ものかぁ、と思ってまったく見る気になれなかったけど、見てみるとなかなかおもしろかった。

ジャーナリストのマット・ティーグ(ケイシー・アフレック)と舞台女優のニコル・ティーグ(ダコタ・ジョンソン)、そして二人の親友デイン・フォシュー(ジェイソン・シーゲル)の物語。
ニコルが末期がんで余命宣告を受ける。
幼い娘二人を育てながら妻の看病もするのはマット一人では無理がある。
二人の親友であるデインは自分の人生よりも最優先で献身的にこの家族を支えるのだった。

やりたいことリストはほんのおまけ程度の一要素だったのはよかった。
時系列はいったりきたりで複雑すぎてちょっとついていけなかった。
登場人物誰が誰だったかいまだによくわかっていないww
なんか優しい友人たちがわさわさやってくる感動モノかと思っていたけど、フレンドは親友であるデインのみ。
デインがまた変わった人なんだけどその辺は時系列飛んだときに過去がたりで彼の人生の一片が垣間見れたりする。
子供時代からの友人ではなくて、なんかつい最近知り合ったばかりのような印象だけど、時系列的にはあれは結構な昔だったのだろうか。

悲しいけどラストの印象は爽やか。
もう一回見ると時系列もなんとなく理解してよさそうだ。

映画『1秒先の彼女』

2020年 監督:チェン・ユーシュン
製作国:台湾
at ギンレイホール




郵便局で働くヤン・シャオチー(リー・ペイユー)30歳。
彼女は何でもワンテンポ早い。
何から何までワンテンポ早いって設定を徹底しているわけじゃないけど、この設定が物語上重要なポイントになっている。
シャオチーは新しくできたイケメン彼氏とのバレンタインデートを楽しみにしていたのだが、気づいたらバレンタインデーが終わっていた。
は?
手がかりを頼りに探したなくなった1日の記憶はさらに過去へと繋がり。。

冒頭の交番に駆け込んで「1日を無くしました」みたいな導入は結構あざといものの、ストーリーは工夫をこらして楽しませてくれそうという予感は感じられる。
実際なかなか面白かった。
ミステリーでファンタジーでコメディーでラブストーリー。

ウー・グアタイ(リウ・グァンティン)の子供時代を演じた子がめっちゃ似ている。

時間静止は合成かと思ったら違うのね。
走っている自転車とか地面にごりごりに固定しているのか。

2022年2月12日土曜日

映画『MINAMATA―ミナマタ―』

2020年 監督:アンドリュー・レヴィタス
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




フォトジャーナリスト、ユージン・スミスが水俣を取材していた時期を描いた伝記もの。
アル中気味で荒んだ生活をしていて写真を辞めようとしているユージン・スミス(ジョニー・デップ)がいろいろ葛藤・再起する姿と水俣病が描かれる。
水俣病をもっと知りたければドキュメンタリー見ろよって話だし映画なんだから人間ドラマっぽい物語展開があって当然なんだけど、なんかどっちつかずで中途半端な印象がした。
浅野忠信である必要もなさそうなちょい役とか、あまり交流のない真田広之とか、なんか浮いているんだよね。

でもまあ面白かった。
とにかく理不尽な暴力は怖いなと思った。

映画『沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家』

2020年 監督:ジョナタン・ヤクボウィッツ
製作国:アメリカ / イギリス / ドイツ
at ギンレイホール




パントマイムの神様マルセル・マルソーの実話に基づいた話。
戦時中にユダヤ人孤児をたくさん救ったっていう話だけど、マルソー自身はレジスタンス時代の活動内容を自ら語ることはなかったらしい。
じゃあこの話は一体どこから。。。
救われた孤児とかマルソーの関係者とかからなのかね。

マルソーを演じるのはジェシー・アイゼンバーグ。
パントマイムは練習したんだろうけど。。
この物語でパントマイムはそんなに重要じゃないもののもうちょっと「おおっ」って思うものを見たかったな。
予告編にもあるいないないばあみたいなやつもあまりに普通で。

物語の脚色は結構強く入っているんじゃないかと思う。
以下ネタバレ

ナチの将校みたいな人はたかだか10数人のユダヤ人の子供を逃さないためにすべての仕事ほっぽりだして国境付近まで出張するってどんだけ暇なんだよ、って思った。追いつくのも異様に早いし。

2022年1月30日日曜日

映画『アナザーラウンド』

2020年 監督:トマス・ヴィンターベア
製作国:デンマーク / スウェーデン / オランダ
at ギンレイホール




「血中アルコール濃度を0.05%に保つと仕事の効率が上がる」らしい。
冴えない4人の高校教師が実験と称して実証を始める。仕事中に酒を飲むということ。
お気楽ておバカなコメディを期待しているとしたら少し色合いが異なる。
コメディではあるが印象としてはほろ苦い人生讃歌だから。

主演のマッツ・ミケルセンを見ているとクリストファー・ウォーケンは元気かなって思った。なんか雰囲気似ているから。
マッツ・ミケルセンはサイコパス演じたら怖そう。
実際この映画でも結構なんか裏あるんじゃないかと思ってびくびくしたわ。
不敵な笑みがまじ怖い。
お、以前見た『偽りなき者』もこの監督とマッツ・ミケルセンのコンビだったのか。

ダンスシーンはもっとじっくり見たかったな。あれだけ溜めに溜められたら期待値も上がる。

映画『明日に向かって笑え!』

2019年 監督:セバスティアン・ボレンステイン
製作国:アルゼンチン
at ギンレイホール




2001年のアルゼンチンの田舎町。
不況にあえぐ打開策として農協を設立しようとして村人から資金を集めるんだけど、集めた資金を銀行に預けた途端に金融危機で預金封鎖。
なんやかんやあって、この金融危機に乗じて金を横取りした悪徳弁護士がいることがわかってこいつから金を奪還する大作戦が始まる。

おバカキャラの兄弟二人が優しいいい笑顔するんだよな。
川辺に住む見るからにやばそうなおっちゃんもそうだけど、人間少しぶっ飛んでいる方が幸せそう。

まあまあ面白かった。

あの親子フェルミン・ペルラッシ(リカルド・ダリン)とロドリゴ・ペルラッシ(チノ・ダリン)は本物の親子らしいね。

2022年1月15日土曜日

映画『ブータン 山の教室』

2019年 監督:パオ・チョニン・ドルジ
製作国:ブータン
at ギンレイホール




ブータン映画って初めて見たかも。
都会っぽいところで暮らす若い教師(教師見習い?)のウゲン(シェラップ・ドルジ)は、教師なんかやめてミュージシャンになることを夢見ている。
しかしなんやかんやで冬までの期限付きでブータンで最も僻地になる村、ルナナの学校に赴任することになる。

ヒマラヤ山脈にある標高4,800メートルもの高地。
もっと景色をいっぱい見たかったな。

ルナナの人たちが皆いい人すぎる。
悪意というものが存在しない世界。
幸福度No.1へのアンチテーゼとしてか、飲んだくれの親父がいたりもするけど、攻撃性は無いしな。

なかやまきんに君に似た主人公がどうも魅力的じゃないんだよな。
現代の若者っていうことでわざとそういう描写にして、ルナナに来て変わっていくってことなんだけど、変わってもそんなに印象変わらない。。

クラス委員のペム・ザムちゃんが実際にペム・ザムちゃんで実際にルナナに住んでいて実際に家庭崩壊しているらしい。
ペム・ザムちゃんには幸せになってほしい。

こういう田舎の学校もの映画っていつも文部科学省のなんかが付くよね。
まともに勉強できない環境では勉強したい子どもたちで溢れている。
先進国では勉強したくない子どもたちで溢れている。
勉強できるって素晴らしいことだ。
とはいえこれを見た日本の子供が勉強に対して意欲が湧いたとしても一月も持たなさそう。
そもそも勉強が嫌いな理由の大半は教師や授業内容にある気がするし。
思えば我々は最低でも9年は勉強しているんだよな。たかだか数ヶ月じゃ圧倒的に足りない。

以下ネタバレ


ルナナに永住っていうのも違う気がするけど、オーストラリアでミュージシャンっていうのもなんだかな。
あのペム・ザムちゃんの願いを断ってまでやることか。
都会で教師ならいいとか言うと職業差別になるけど、この主人公にいい印象が無いからか、君はルナナに人生捧げたほうが人様の役に立てるんじゃないかと上から目線で思ってしまった。

外国から文化が押し寄せて、伝統文化とかの独自性が失われつつある現代のブータンを描いている作品でもあるらしい。
主人公のように外国へ出ていく若者も多くなっているとのこと。
最後の歌は、外国一辺倒でなくウゲンの心にしっかりとルナナ(伝統)が刻まれているっていう描写とするとテーマとしては合っているのか。

映画『トムボーイ』

2011年 監督:セリーヌ・シアマ
製作国:フランス
at ギンレイホール




夏休み中に家族で新しい街に引っ越してきた10歳のロール(ゾエ・エラン)。
新しい街の子どもたちの輪の中にも次第に溶け込んでいく。
ただし女の子ロールでなくミカエルという名の男の子として。。

繊細な作品だなぁ。
しかもそれを出演者がほぼ子どもたちだけやっているってところが凄い。
特にロールを演じたゾエ・エランがいい。どちらかというと表情豊かな方ではないけど、無邪気さと葛藤不安の行き来はなかなか引き込まれる。
ゾエ・エランは本物の女の子なのね。
体つきは男の子で違和感ないからどっちだろうと思っていた。
撮影がもう数ヶ月遅かったら体つきも変わっていたんだろうな。そういう意味では奇跡。

子役嫌いだけど、こういう子どもたちに演技させるというか無邪気に遊ばせているっていう感じの映画なら好き。
妹ジャンヌ(マロン・レヴァナ)なんか特に無邪気で可愛らしい。

製作年2011年は表記ミスじゃなくて10年前の作品がやっと日本で公開されたっていうこと。
監督は『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマで、セリーヌ・シアマの長編2作目にあたる。
『燃ゆる女の肖像』のヒットによって発掘されたとかじゃなくて、この映画は本国フランスで劇場公開時に大ヒットしていたらしい。

以下ネタバレ

途中で中だるみはしていたけど、ラストがすべてもっていったな。
ラストが笑顔で終わる映画って『雨上がりの駅で』以来大好きなんだよね。

2022年1月4日火曜日

映画『街の上で』

2019年 監督:今泉力哉
製作国:日本
at ギンレイホール




やば、今年一番の名作かも。
下北沢が舞台で、古着屋で働く荒川青(若葉竜也)自身とその周りの人々のそれぞれの恋愛模様が描かれる。
群像劇とまではいかなくて主役はあくまで青なんだけど、周りのエピーソードもなかなか濃密で楽しい。
「この人達はどういう人たちでどういう関係なんだろう」っていうわくわくを簡潔なセリフやシーンで小出しに表していくのがうますぎる。
簡潔さもあればじっくりな長回しもあって、初対面の男女が部屋の中で机挟んで会話しているシーンなんか長いのに1秒も飽きなかった。
会話の緊張感とかぎこちなさとか不思議なシチュエーションとか全てが絶妙で役者も監督もすごいや。

全体のストーリー構成もなかなか不思議。
起承転結のわかりやすい構成ではなくて、終始にやにやしていたらいきなりクライマックスっぽい大爆笑の山場に遭遇する感じ。

なんか常識に囚われていないところが若い才能って気がして今泉力哉監督は20代くらいかと思ったけど、そこそこキャリアのある方だったのね。
他の作品も観てみたい。

主人公青をとりまく女性は以下の4人
・川瀬雪(穂志もえか):元カノ
・田辺冬子(古川琴音):馴染みの古書店店員
・高橋町子(萩原みのり):卒業制作で映画を撮る美大生
・城定イハ(中田青渚):その衣装スタッフ

町子だけは少し印象悪い感じで残念かも。
ビーバーみたいで可愛らしい中田青渚が演じた城定イハがミステリアスでいてなんか頼りがいもあってよかったな。

あと朝ドラ俳優成田凌が朝ドラ俳優役として出演している。

映画『浜の朝日の嘘つきどもと』

2021年 監督:タナダユキ
製作国:日本
at ギンレイホール




福島県南相馬にある映画館「朝日座」の支配人森田保造(柳家喬太郎)は経営難から100年続いた映画館を閉めることを決意する。
しかしそにに一人の女性(高畑充希)がやってきて映画館を継続するように説得を始める。
このちょっと口の悪い初対面の女の子と喧嘩しながらもその熱意と行動力に動かされて保造も継続に光を見出していくのだが、、

単純な好みだけど高畑充希があまり好きじゃないというのと、芸人さん(大久保佳代子)が重要そうな役で出ているっていうのであんまり期待していなかったけど、結構面白かった。

高畑充希は朝ドラ『とと姉ちゃん』で食傷気味になって以来避けがちだった。
久しぶりに見ると普通に見ることができる。(なんか失礼なことばかり言っている気がする。。)
演技の上手い下手はよくわからないけど、学生時代の野暮ったい感じと社会人以降の化粧ばっちりの輝いた表情のギャップが面白く、美人顔じゃないのに時折すごく美しかったりする。
役柄としては学生時代と社会人で性格が180度変わっているのが(原因は不明)面白い。

大久保さんは最初こそ違和感あったけどすぐ慣れた。むしろ役にはまっているし。
芸人で役者をやる人は多いけど、どうもコント見ているような変な感じになるんだよな。最初は。
劇団ひとりなんかはくさい演技を笑いにしているような人だけど、いつだったか朝ドラ出ていたときは慣れて結構普通に見ていたっけな。
演技力が一定水準以上ある人ばかりだから慣れれば普通。
ただ、芸人さんで役者としてすごいと思うのはビートたけしくらいしか思い浮かばないけど。

竹原ピストルがエキストラみたいなちょい役で出ていてなにこれって思ったら、ドラマ版っていうのがあってドラマ版の主役が竹原ピストルなのね。
ドラマが先でこの映画版はその前日譚。
なにこれめっちゃ見たい。