2012年12月16日日曜日

映画『ル・アーヴルの靴みがき』

2011年 監督:アキ・カウリスマキ
製作国:フィンランド/フランス/ドイツ
at ギンレイホール




フランス北部の港町ル・アーヴルで靴磨きを生業としているマルセル(アンドレ・ウィルム)は、誰もが認めるよくできた妻アルレッティ(カティ・オウティネン)と慎ましく暮らしていた。
しかしある日アルレッティは倒れて入院してしまう。
医師から余命宣告を受けたアルレッティだが、夫にはそのことを隠し通すことを決意する。
一方夫のマルセルはアフリカからの密航者で、母のいるロンドンに行きたがっている少年イドリッサと出会い、彼をかくまいながらイギリスへの密航のための資金稼ぎに奔走する。

アキ・カウリスマキの5年ぶりの新作らしい。
最近全然見ていなかったから僕は10年ぶりくらいだけど。
なんかタッチはそのままでストーリーは分かりやすいハートウォーミングドラマになっている。
誰もが楽しめるエンターテイメント性に強くなるって方向に進化しているのは嬉しいような少し寂しいような。
でも確実に面白かったな。時間も93分とちょうどいい!

今気づいたけど、キャスト見ていたら密告者役がジャン=ピエール・レオになっている。見ているときは全然気づかなかった。

映画『汽車はふたたび故郷へ』

2010年 監督:オタール・イオセリアーニ
製作国:フランス/グルジア/ロシア
at ギンレイホール




グルジアのオタール・イオセリアーニ監督の半自伝ドラマ。
映画監督の青年ニコラスは、検閲や規制に耐えかねて祖国グルジアを飛び出しフランスに亡命する。
これでやっと自分の撮りたい映画を撮れると思ったニコラスだったが。

一応ジャンルは「ドラマ/コメディ」になってるな。
予告編を見ると面白そうだったんだけど。
とにかく長いわ。126分。
劇中、青年が作る映画に対しておっさんが「映画は90分で収めなきゃ駄目だ」みたいなことを呟くシーンがあるけど、まさにそうだ。
グルジアを飛び出すまでいったい何時間かけるんだ。
(飛び出した後も飛び出す前といろんな意味で何も変わらないのだが)

セリフも少なくて読み取る集中力が必要なのに、なんかしらないけど早々に集中力も切れてあまり楽しめなかった。
なんだろう、長まわしもセリフが少ないのも好きな方なのに。
バランスがなんかおかしいからかな。
電車の車体がカーブに疎って蛇腹のように緩やかにうねる美しいシーン以外はそんなに印象的なシーンもないし、ストーリーがめちゃくちゃ面白いわけでもないし、それほど笑えるわけでもないし、役者はなんだかたどたどしいし、唐突に出てくる人魚は違和感ばりばりだし。
・・・って書いてみると、逆にもしかして凄いんじゃないかと思ってきた。
はちゃめちゃだったらB級映画になるけど、盛り上がりも盛り下がりもせず、ともすれば破綻してしまうような唐突なSF要素もなんか許せてしまう寛容なフラット感は絶妙なバランス感覚でこそなせる技なんじゃないか、と。
今度機会があったらもう一度見てみようかな。でもやっぱり長い。

そういえば熊の檻にすたすた入っていって手で魚をえさやりしているのはびびった。

2012年12月2日日曜日

映画『裏切りのサーカス』

2011年 監督:トーマス・アルフレッドソン
製作国:イギリス/フランス/ドイツ
at ギンレイホール




ジョン・ル・カレの1974年のスパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の映画化。
東西冷戦時代のイギリスの、英国諜報部サーカスを舞台にした映画。

登場人物を把握するのに集中しようとしていたのに、最初の方ちょっと寝てしまった。
細かいところがよくわからなかったものの、なかなか面白かった。
登場人物達が皆渋い。
そして過酷な仕事ながらも皆人間臭い。
内容を全部理解しなくても、この映画がもつ雰囲気だけで十分楽しめると思う。
イリーナも美しいし。

映画『ドライヴ』

2011年 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ピンク色のタイトルからしてB級臭がぷんぷん漂うとおり、フィルムノワール風のB級映画だった。

自動車修理工場で働きながら映画のカースタントもやっている流れ者の男(ライアン・ゴズリング)は、その卓越したドライビングテクニックで夜は強盗の逃走の手助けをする仕事をしていた。
寡黙であまり人と接しない男だったが、同じマンションに住む母子と知り合い、ともに時間を過ごすようになる。
この母親(キャリー・マリガン)の夫は刑務所に服役していて、夫が服役したところから事件が動き出す。

お前ただのドライバーだろ?っていう先入観を持っているとびっくりする。
危険な人物だと思っていた男が実は小物(というかいい奴)で、その上にいる奴らこそ危険だ、と思ったらそいつらも小物で、さらに上に危険な大物が待っている。
悪の大物を相手取り、ただのドライバーなんかなすすべも無く消されるんじゃないかと思いきや、流れ者の男にとっては大物も小物も関係なく、皆くそみたいに格下の相手でしかなかった。

主演のライアン・ゴズリングが怖い。
顔がもう変質者っぽいのに、その上寡黙だったらもう近づいちゃ駄目だろう。
愛する者のすぐ傍で、倒れた敵の頭を狂ったように踏みつけて脳みそがぐちゃぐちゃに飛び出しても蹴り続ける狂気を見せつけられて引かない女はいない。
『きみに読む物語』では好青年だったのにねぇ。

ヒロインは『17歳の肖像』のキャリー・マリガン。

2012年11月18日日曜日

映画『オレンジと太陽』

2010年 監督:ジム・ローチ
製作国:イギリス
at ギンレイホール




1986年イギリスのノッティンガムで、ソーシャルワーカーのマーガレット(エミリー・ワトソン)は、ある女性から母親探しを依頼される。
女性の話では、自分は4歳の頃他の子供たちと一緒にオーストラリアに連れてこられたと。
子供たちだけで渡航するなどありえないと不審がるマーガレットだったが、後日似たような境遇の話を別の人間から聞いたことで本格的に調査を始める。
調べていくと、オーストラリアへの強制児童移民は、イギリス、オーストラリアの両国が国家レベルで関与していた事件だった。

実話らしい。
1970年までの間にオーストラリアに渡った子供の数は13万人というから驚きだ。
公式ページによると
「撮影中の2009年にオーストラリア首相が、2010年にはイギリス首相が、<児童移民>の事実を認め正式に謝罪」しているらしい。

映画の方は、サスペンス風ではあるけど、どちらかというと人間ドラマになっている。
主人公が被害者じゃなくて、スタート地点は事件と全く関わり合いの無かったソーシャルワーカーっていうところが話をこれ見よがしに重くさせずに済ませている。

監督ジム・ローチ。
名前から想像できるようにケン・ローチの息子。

エミリー・ワトソンはおばさんになったなぁ。

映画『少年と自転車』

2011年 監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ,リュック・ダルデンヌ
製作国:ベルギー/フランス/イタリア
at ギンレイホール




もうすぐ12歳になる少年シリル(トマス・ドレ)は、唯一の肉親である父親(ジェレミー・レニエ)により施設に預けられる。
シリルはいつか父親が迎えに来るはずだと信じているが、父親はもうシリルを捨てた気でいて、行方不明になる。
施設を抜け出し父親を探す途中でつながりのできた女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)に週末だけの里親を頼むことで、施設を抜け出さなくても父親探しをできるようになったシリルだが、見つけた父親は。。

愛情と居場所を求めてせわしなく自転車を漕ぐシリルと、いつのまにかこんな大きな少年に母性を発揮して恋人より大事になってしまうサマンサの姿が淡々と描かれる。
監督は『息子のまなざし』を撮ったダルデンヌ兄弟か。
確かにラストの方、ああ、この展開はやばい、と信じ込ませておいて、しれっとすかしていくやり方はこの兄弟っぽい。

話の題材はよくある話だけど、お互い切れやすい糸での繋がりを頼りに綱の上を歩いているような危うい関係性の緊張感がなかなか面白かった。

2012年11月4日日曜日

映画『屋根裏部屋のマリアたち』

2010年 監督:フィリップ・ル・ゲ
製作国:フランス
at ギンレイホール




1960年代のパリ。
証券会社を経営する資産家のジャン=ルイ(ファブリス・ルキーニ)の家には、先代から仕えるフランス人メイドがいたが、妻のシュザンヌ(サンドリーヌ・キベルラン)に反発して辞めてしまう。
新たにやってきたのは若く美しいスペイン人マリア(ナタリア・ベルベケ)。
ただの主人とメイドという関係だったが、アパルトマンの屋根裏で共同生活を営むマリアを含めたたくさんのメイド達の生活に、ジャン=ルイは次第に興味を抱いていく。
興味というかちょっと親切にしたらえらく喜ばれて神のように扱われて有頂天になったという感じ。

やがてジャン=ルイはマリアに恋するようになるのだが、ただのメイドを見る視線が劇的に変化する瞬間がある。
それはバスルームでシャワーをあびるマリアを偶然覗き見してしまう瞬間。
肉感的で抜群のプロポーションをしたマリアの後姿を覗き見て何も感じない男はいない。
理性ではメイドに対してそんな思いを抱いてはいけないと思いつつも、心は完全にこの瞬間にマリアに向いた。
男の恋愛なんてほとんどが性欲ありきだ。
特定の女性によって性欲を大きく刺激させられたら簡単に恋してしまう。
しかも覗き見ってところがまたいいよね。
いや、別に僕に覗き趣味があるわけじゃなくて、映画自体覗き見みたいなもんだから映画的だっていう。。

既婚者が別の女性に惹かれていくっていうのは大抵妻役が嫌な女だけど、妻のシュザンヌはそんなに嫌な人ではない。
えせブルジョワ風で高慢に見えるところもあるけど、1960年代っていう時代柄では性格の良し悪し以前に普通の価値観なのだろう。
純朴な少女のような心を持った田舎娘なのにねぇ。
ただ長いマッチ棒のような女性より肉感的な美女の方がいいよなぁってだけで捨てられたら可哀想でもある。

主演はファブリス・ルキーニ。
今、最も好きな俳優。
役にもぴったり。
この人は優しいのか冷たいのか、無表情なのか表情豊かなのか、変態なのか真人間なのかよくわからない不思議な魅力がある。
「冷たさと優しさを同時に湛えた読めないあの瞳に引き込まれていく」
っていう先日樹木希林について書いた言葉がそのまま当てはまりそうだ。
ということはファブリス・ルキーニはフランスの樹木希林と呼んでもいいかもしれない。
いや、役者としてはファブリス・ルキーニの方がすきだから樹木希林が日本のファブリス・ルキーニかな。

映画『ミッドナイト・イン・パリ』

2011年 監督:ウディ・アレン
製作国:スペイン/アメリカ
at ギンレイホール




ウディ・アレンの中で歴代最高のヒット作だったらしい。

脚本家のギル(オーウェン・ウィルソン)は婚約者のイネズ(レイチェル・マクアダムス)とパリにやってくる。
パリに多大な憧れを抱いているギルは、ひょんなことから毎夜華の1920年代にタイムスリップできるようになる。
フィッツジェラルド夫妻、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリ、ガートルード・スタイン等々、伝説の人物と知り合いになり、そしてピカソの愛人アドリアナと惹かれあっていく。

ウディ・アレンの映画の登場人物というと、夢見がちで駄々っ子のような幼児性、孤独に対する尋常じゃない恐怖心を振り払うかのようにどもりながらまくし立てる言葉、等が思い浮かぶけど、そういうキャラクターが一番合う土地はやっぱりニューヨークなんだなと思う。
他の土地だとせせこましさだけが浮かび上がってくるような印象がある。

ストーリーは単純明快で面白かった。
過去に憧れても、その過去はさらに過去に憧れている。
現代には現代のよさがあるんだから、過去を見るのもいいけどもっと現代も見ようよ、っていう。

主演はウェス・アンダーソン作品や『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』でお馴染みのオーウェン・ウィルソン。
ギルの婚約者役イネズは、アラーキーが「魅惑のレイチェル・マクアダムス、抱きたい。」と言ったレイチェル・マクアダムス。
大人になったな。あれっ、同い年だった。
アドリアナ役は『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』のマリオン・コティヤール。
他、キャシー・ベイツやエイドリアン・ブロディも出ている。
エイドリアン・ブロディは口髭がついていたからか全然気づかなかった。

2012年10月26日金曜日

映画『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』

2011年 監督:蔵方政俊
製作国:日本
at ギンレイホール




定年間近の鉄道運転士は、定年後に苦労をかけた妻を労わりながらのんびり過ごそうと思っていたが、妻は結婚したときから思い続けていた看護士としての職場復帰を密かに実行に移していた。
思いはすれ違って「出て行け」と言って妻は出て行き、離婚へのRAILWAYSを突っ走る。

テレビドラマだったら面白そうだな。

タイトルはなんでこんなにひどいんだろう。
鉄道物語とでもしといたほうがまだましなくらいだ。

女優小池栄子は好きなんだけど、この役が宮崎あおいだったらもっとよかったなぁと想像したりする。
余貴美子さんのやつれた雰囲気は役にはまっていていい。
『真田風雲録』の根津甚八役だった米倉斉加年がちょろっと出ている。

あんまり感想も無いな。
ストーリーは最後の方一瞬えっ?と戸惑うようなしゃれた仕掛けがある。

映画『わが母の記』

2011年 監督:原田眞人
製作国:日本
at ギンレイホール




井上靖の自伝的小説の映画化。
認知症で記憶が混沌としてく母親と、幼い頃母親に一度捨てられたというわだかまりを今でも抱えるベストセラー作家の長男。
そして作家の兄弟、作家の子供たち。
母親と作家を中心に据えた家族の物語。

樹木希林の母親役というと、寺内貫太郎一家とか、あまり面白くなかった東京タワーなんちゃらを思い出すけど、東京タワーよりか大分面白かった。
愛らしくどこかこ憎たらしい感じもするおばあちゃん役をやらせたら樹木希林は最高だ。
冷たさと優しさを同時に湛えた読めないあの瞳に引き込まれていく。

認知症自体はそれほど重い雰囲気で描かれてはいなくて、むしろさらっとした描き方は笑いを誘うことまであるけど、それが逆に残酷だ。
母親に使用人と間違えられたら泣いちゃうよ。

10数年にわたる物語、って知らなかったから、宮崎あおいがセーラー服姿の中学生役で登場したときはびびった。
びびったけど次第に違和感も薄れていくからまたびびる。

次女役の菊池亜希子は初めて見たけど柔和な顔した可愛らしい人だな。
ファッションモデルか。

2012年10月7日日曜日

映画『ファミリー・ツリー』

2011年 監督:アレクサンダー・ペイン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ユーモアまじえつつ淡々と進んで、最後は爽やかだけど、内容は結構残酷だよな。
オアフ島に住むマット・キング(ジョージ・クルーニー)はカメハメハ大王の子孫で、先祖が残した広大な土地を所有して働かなくても食っていけるのだが弁護士をしている。
ある日妻のエリザベスがボート事故で昏睡状態に陥ってしまう。
今まであまり家族を顧みなかったマットは、反抗的な次女の面倒を見つつ、全寮制の高校に通う長女を家に呼び戻す。
こっから家族再生のほんわか物語が始まるわけではない。
長女の口から聞かされたのは、妻が浮気をしていたという事実。

妻は昏睡状態だから何の弁解もできないのね。
家族をほったらかしにしていたマットにも責任の一端はあるはずだけど、一方的に悪者になってしまった妻の死んだように眠っている生気の無い顔がとても残酷だ。
残酷といえば浮気相手の貞淑な妻にとっても残酷な仕打ちだよなぁ。

なにより家族の絆を大事にし、幸せな家族像が国家の基盤とすらなっていながら、どこよりも家族が崩壊している国アメリカのホームドラマ。

おもっ苦しくならないのはユーモアもそうだけど、舞台がハワイってところもあるんだろうな。

マットの従兄弟役の男がジェフ・ブリッジスの雰囲気に似ているなと思ったらボー・ブリッジス、お兄さんだった。
初めて見た。似てる。

映画『幸せへのキセキ』

2011年 監督:キャメロン・クロウ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




「なんでこの家を買ったの?」
「いけない?」
劇中での使い方は少し違うが、何か返答に困った時とか答えるのが面倒なときに使えそうだ。

突撃レポーター風にどこにでもアクティブに突撃取材していく新聞社のコラムニストベンジャミン・ミー(マット・デイモン)は最愛の妻を亡くしたシングルファザー。
母をなくした傷が癒えない問題児の息子ディラン14歳のと、7歳の娘ロージーを見て、ミーは新居に引っ越して心機一転しようとする。
運良く郊外の丘にある大きな家を見つけるが、そこは家とともに閉演状態の動物園と飼育員まで付いてきた。
動物園経営には全くの素人だけど、ミーはこの物件を購入してオーナーになり、動物園再開に向けて動き出す。
実話が元らしい。

飼育員のリーダーは地味な感じで一瞬気づかなかったがスカーレット・ヨハンソン。
そしてレストランをまかされディラン君に興味津々な女の子にエル・ファニング。
こんな田舎町にありえないほどの可愛さをふりまくエル・ファニングは、もっと出番が多かったらその破壊力で映画自体をぶっ壊してしまうんじゃないだろうか。
それにしてもスカーレット・ヨハンソとエル・ファニングが付いてくるんなら借金してでもこの物件買うよなぁ。

ああ、監督はキャメロン・クロウ。
『あの頃ペニー・レインと』でも金髪のかわいい少女(ケイト・ハドソン)が出てきたな。
『シングルス』のブリジット・フォンダも少女じゃなかったけど金髪。

飼育員ピーターを演じたアンガス・マクファーデンが尾崎紀世彦に似ている。

2012年9月30日日曜日

映画『グーグーだって猫である』

2008年 監督:犬童一心
製作国:日本
BSプレミアム録画




大島弓子のエッセイ漫画が原作。
面白かったような特に面白くなかったような。
ジョゼ見たときから思っていたけど、犬童一心のメルヘン漫画脳はちょっと個人的に肌に合わない。
岩井俊二のように突き抜けていればいいんだけど。
あとギャグセンス。

マーティ・フリードマンの解説等で吉祥寺の紹介が随所に入るけど、なんかタイアップしてんのかな。
森三中とか楳図かずおとか珍しい人含めていろんな人たちが出演しているのが、豪華というより内輪的いやらしさ、いや、なんかストーリーの焦点のぼやけ具合とあいまってごちゃごちゃした印象しか受けないのが寂しい。

小泉今日子は声がいいなぁ。
髪型がマーティ・フリードマンに似ているのでたまに見間違えた。

何年か前にギンレイでやっていたのを見逃して後悔した記憶があるけど、小泉今日子が見たかったわけでもないしなんだろうと思ったら上野樹里を見たかったんだ。
上野樹里は面白いなぁ。

2012年9月23日日曜日

映画『おとなのけんか』

2011年 監督:ロマン・ポランスキー
製作国:フランス/ドイツ/ポーランド
at ギンレイホール




室内劇なら演劇や2時間テレビドラマででもやってくれと思いつつ、監督ポランスキーだしなぁと恐る恐る見てみたらくそ面白かった。

子供が喧嘩して一方に前歯を折る大怪我を負わせてしまう。
加害者側の両親が被害者側の両親の家に謝罪に出向いて、この二組の初対面の夫婦間で和解の話し合いが行われる。
被害者側の両親は特にわめきたてるでもなく、むしろ友好的な態度で加害者側を招きいれ、事は穏便に解決するかに見えたが。。

主な登場人物は二組の夫婦の4名のみ。
そしてこの4者は夫婦間ですらそりが合っていない様子。
友好的な話し合いに最初に波風を立たせるのは加害者側の夫アラン(クリストフ・ヴァルツ)で、この道徳性のかけらもない弁護士アランを皮切りに4者が次第に本音と狂気をむき出しにしていく。
サスペンスじゃなくて、良質のコント。

4者はいがみ合っているのに、時折10年来の友人かのように意気投合したりする。
いや、本当に10年来の友人なら人間関係の崩壊を恐れて本音を押し隠すはず。
だから夫婦同士も他人も関係なく感情を爆発させる様は、普通じゃありえないほどの濃密な人間関係を一瞬にして築いているように見える。
ただいがみ合うのではなくて、どこか滑稽で楽しげだから。

主演は
ジョディ・フォスター
ジョン・C・ライリー
ケイト・ウィンスレット
クリストフ・ヴァルツ

クリストフ・ヴァルツだけは初めて見たけど、他の3人にひけをとらないくらいのねちっこい存在感でよかった。

原作は大ヒット舞台劇らしい。


映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

2011年 監督:フィリダ・ロイド
製作国:イギリス
at ギンレイホール




劇場が暗くなった瞬間から猛烈に眠くなって、前半は結構うとうとしてしまった。

鉄の女サッチャーの自伝映画。

サッチャーの自伝というか、メリル・ストリープという女優の素晴らしさを見る映画。
映画役者はスクリーンに映える雰囲気こそ全てで演技力なんてどうでもいいと思っていたけど、メリル・ストリープの演技力は別格だなぁ。

2012年9月9日日曜日

映画『素晴らしい一日』

2008年 監督:イ・ユンギ
製作国:韓国
at ギンレイホール




仕事もなく貯金も底をついた30過ぎの女性ヒス(チョン・ドヨン)は1年前に分かれた元彼に350万ウォンを貸していたことを思い出し、元彼ビョンウン(ハ・ジョンウ)を探しに競馬場へやってくる。
ビョンウンを見つけたヒスだが、ビョンウンもまたプー太郎になっていた。
ビョンウンは返せる金なんか持っていないで、彼の幅広い交友関係を当たって金を借りてヒスに返そう考える。
ビョンウンとヒスの借金返済のための借金ロードムービー。

ビョンウンって奴は、どうしょうもない奴ではあるけど、なんか憎めない。
彼の交友関係はほとんど女性だけど、別に関係を持っているわけでもなさそうで、しかもいまだにヒスに一途だったりするところが誠実とさえ思えてしまう。
ヒスにちゃんと借りていた金を返そうとするところも誠実だ。
よくよく考えれば、そもそも人から借金したり、借金返すためにまた人から借金する行為のどこが誠実なんだって話だが、快く彼に金を貸す友人達や彼の愛嬌のある人柄を見ていると、そんな事実が裏に隠れてしまうから不思議だ。
男は度胸女は愛嬌、っていっても男も愛嬌があると世渡り上手になるもんだ。

ビョンウンを演じたハ・ジョンウは雰囲気が浅野に似ている。
チョン・ドヨンはそんなに若くなさそうだから30くらいかと思っていたけど、撮影当時35歳くらいだ。

映画『ポエトリー アグネスの詩(うた)』

2010年 監督:イ・チャンドン
製作国:韓国
at ギンレイホール




本編見ている時はそうでもなかったのに、後から予告編見直すと涙出そうになる。
分かりにくい暗喩や寓意をちりばめて詩的だろう?と自己満足している映画は多々あれど、本当に詩的な映画っていうのはこういうのをいうんだと教えてくれる。

66歳のミジャ(ユン・ジョンヒ)は中3の孫ジョンウクと二人で暮らしている。
ジョンウクの母親は釜山で働いているらしいが仕送りはほとんど無い様子で、ミジャの介護ヘルパーの仕事で生計を立てている。
ある日ミジャはずっと気になっていた詩のカルチャースクールに通いだす。
しかし同時に病院ではアルツハイマーの初期状態だと診断され、さらには他人事だった少女の自殺に孫が行ったひどい仕打ちが深く関わっている事実を知る。
つらい現実が襲い掛かりながらもカルチャースクールの仕上げである一編の詩の作成を目標に、詩が自分から流れ出る瞬間を不安と期待を込めて待ち続けるミジャだった。

ストーリーだけ見ると強い母(祖母だけど)、力強く生きる女性を描いているみたいだが、全然違う。
ミジャはなんか変な人で、空気が読めない、嫌なもの醜いものは直視しようとしない、っていう我侭な少女のような性格で、傍から見ると馬鹿なんじゃないかと思えてしまう。
映画の主人公なのに魅力的な人物でなく、むしろいらっとするような人なのに、何故だかこの主人公が気になって仕方ない。

見たくないものは見ないで逃避しても現実に発生している問題からは逃げられない。
逃避してもすぐに絡めとられる現実の残酷な事実を他人事のように受け流せばただの頭の変なおばさんになるけど、ミジャはちゃんと現実を理解している。
だからまるで叱られた少女のように一人蹲って嗚咽をもらす。
美しいだけの世界に逃避してもすぐに現実が引き戻す。
そのサイクルがとてもつらい。
のどかな農村地帯の自然に目を奪われ、満面の笑顔で幸せそうに農民と談笑して別れた後、この農村に来た目的をふっと思い出す瞬間、アルツハイマーの進行という事実の認識と、抱えていた問題の再認識が同時に起こり、笑顔がみるみる驚きと苦渋の表情に変化するのを見たとき、苦しいくらいぞくっとした。

ミジャのファッションもポイントになっている。
劇中でも「おしゃれなおばあちゃん」と呼ばれるように、おしゃれなミジャは安物の服をいつもかわいく着こなしている。
しかしどんな場所でも変わらず派手な格好は次第に痛々しくなってくる。

もうなんか全てがこの主人公に興味を惹くようにできていて、かつその全てが苦しさやせつなさを際立たせる要素にもなっているから凄い。

カルチャースクールの講師に教えられた通り、普段見慣れたものを再度見つめなおし、そこから詩をあふれ出るように呼び起こそうとするミジャだったが、つらい現実から目をそむけてしまうミジャには何も見えていなかった。
醜いものもつらいものも真摯に見つめるようになったミジャから生まれた詩とは?
ミジャがした決断とは?

後になってからじわじわくるなかなかいい映画だった。

ミジャを演じたユン・ジョンヒは60年だ70年代に活躍した大女優らしい。
とにかくこの女優さんがやばい。
おそらく素に近いんだろうな。
この人以外のミジャなんて想像できないくらい自然にはまっている。
結婚後フランスで暮らし、映画出演は16年ぶりとのこと。
おっとりしているけど気品があって、雰囲気は田中絹代に似ている。


ああ、あとどうでもいいけど、黙々と食事している孫をミジャがじっと見つめながら「おいしい?」と聞くシーンで、思春期の頃母親から言われるこの「おいしい?」が大嫌いだったなと思い出した。

2012年8月26日日曜日

映画『アーティスト』

2011年 監督:ミシェル・アザナヴィシウス
製作国:フランス
at ギンレイホール




『THE ARTIST』とはまた変なタイトルをつけたもんだ。
芸術家の自伝映画などでよくありそうだと思ったら『金城武の ピックアップ・アーティスト』とか『エロティック・アーティスト』など数件ひっかかるだけなので意外と今までなかったんだね。

サイレント映画の大スターのジョージ(ジャン・デュジャルダン)既婚は、ジョージを慕う女優の卵ペピー(ベレニス・ベジョ)といい感じになる。
で、トーキー時代が到来するけど、ジョージは「アーティスト」なのでサイレントにこだわり、自主制作でサイレント映画を作るが大コケして大スターから一気に転落していく。
方やペピーはみるみる人気が上がり、いまや国民のアイドルにまで登りつめる。
立場の大逆転。
しかしペピーは今でもジョージのことを想っていた!!

予告編のとおりの内容。

基本サイレントのモノクロ映画になっている。
サイレントだけど終始音楽が付属していて、10分くらいでいらっとしてきた。
サイレントならサイレントで押し通せばいいものをラストでなんか分かりやすくトーキーになっちゃっているし、なんなんだろう。
そもそもちょび髭と研ナオコのラブロマンスを見たい人がいるのか?

うとうとしてハッと目覚めたとき、ペピーがジョージのジャケットの袖に自分の片腕を通してジョージに抱かれているような演技をしていて、そこだけ印象に残った。
あと、犬か。犬って演技するんだね。

映画『幕末太陽傳』

1957年 監督:川島雄三
製作国:日本
at ギンレイホール




日活創立100周年でデジタルリマスターされた『幕末太陽傳』。

ジェットコースタームービーっていうと息もつかせぬストーリー展開で最後まで魅せるって感じがするけど、この映画はそんなにストーリーっぽいものがないのに、話術、カメラワーク、音楽などががっちり組み合わさって最高のジェットコースタームービーになっている。
左幸子と南田洋子がとっくみ合いの喧嘩をするシーンなんか、加速していたスピードをさらに振り切るくらいの爆発力で感動して泣きそうになった。

出演者が豪華すぎる。
主演フランキー堺。
女郎おそめさんに左幸子、こはるさんに南田洋子。
女中おひさには芦川いづみちゃん。
高杉晋作石原裕次郎、久坂玄瑞小林旭、長州の志士で二谷英明。
楼主に金子信雄、その妻に山岡久乃。
若衆で岡田真澄、突貫小僧。
おくまさんで菅井きん(この人当時すでにおばさん1926生まれ)。
貸本家金ちゃんに小沢昭一。
最初しか登場しない西村晃。
仏壇屋倉造に殿山泰司。
ついでに番頭善八は織田政雄。

この映画を初めて見たのは確か学生時代にフィルムセンターで50年代の映画をひたすら見続けていた頃だったと思う。
当時川島雄三という名前を知らなかったけど(今でも別に詳しくないが)、フランキー堺の所作の流麗さ口上の見事さに魅せられ、石原裕次郎の違和感のある存在感が印象的で面白かった記憶がある。
10年以上たってこうして見直してみてもやっぱり面白いなぁ。

2012年8月14日火曜日

映画『ヤング≒アダルト』

2011年 監督:ジェイソン・ライトマン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




30後半の女が故郷に戻っていわゆる自分探しをする話のいったいどこに期待すればいいか分からず、全く見る気がしなかったけど、見てみると意外に予想していたのと違っていた。
アメリカンドラマによくあるような成長譚じゃなくて、ただひたすら残酷だという。
確かに現実を知って成長はしているのかもしれないが、それにしても。。

自称作家のゴーストライターでバツイチのメイビス(シャーリーズ・セロン)は高校時代の元彼バディ(パトリック・ウィルソン)から赤ちゃん誕生祝いパーティへの招待状が送られてきたことをきっかけに故郷に帰る。
バディは運命の人であり、再会すればきっとバディと結ばれると信じて。

美人ゆえに華やかで皆から注目されていた高校時代の栄光を40近くなった今でも引きずっている女メイビス。
自分勝手でえらそうでわがままで思い込みが激しくて。
つまり痛い女なんだ。
こんな女最悪だけど、なんだ、キティちゃんのTシャツ着ているの見たら一気に愛しくなってきた。
ただの嫌なヒロインになりそうなところ、上手い。

結局最後はなんなのかよくわからなかったけど、まあつまらなくはなかった。
人の善意ほど残酷なものはないもんだ。
善意というか意図的な悪意だったのかな。

映画『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』

2011年 監督:テイト・テイラー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




1960年代アメリカ南部の人種差別意識の強い町で、黒人メイドの差別の実態を本にしようとした作家志望の女性がいた。

予告編見る限り、重い話ではなくコメディ風の明るい話に見える。
となると偽善的ないやらしさが出てきてうんざりするんじゃないかと思ったけど、結構面白く見れた。

子気味いいほどくっきり分かれている善と悪の悪の主役とでもいうべきブライス・ダラス・ハワードが嫌な女を好演していて、その嫌な感じ、というか悲しい感じがはまっていて最高によかった。

冒頭のだだっ広い一本道を土煙を後方に巻き上げながら走っていくオープンカーがかっこいい。

2012年7月29日日曜日

映画『戦火の馬』

2011年 監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




『蜂蜜』が静謐すぎたので冒頭から惜しみなく流れる音楽が新鮮だ。
フルートの独奏がなかなか悪くないと思っていたのも束の間、オケの仰々しい厚みがかぶさってきてすぐ辟易する。
しかも木の柵から顔をのぞかせる青年が学生の自主制作映画に出てきそうな安い顔した青年(撮り方によるのだろうが)だったので、結構出だしから躓いた。

農村の牧場で生まれた美しい仔馬は、農耕馬を買いに来た農夫テッドにより買い取られる。
仔馬はジョーイと名づけられ、デッドの息子アルバートにより愛情込めて育てられる。
で、戦争起きてジョーイは戦場に引っ張り出されていろんな馬好きの人たちにめぐり合いながら戦場を転々として最後にはへーっていう展開。

塹壕に挟まれた中間地帯で両軍の兵士がフレンドリーになる、っていろんな映画で見てきたけど、映画人は皆こういうのが何度もやりたくなるくらい好きなのかね。

音楽ジョン・ウィリアムズ。
ちなみに若い頃の一時期、ギタリストのジョン・ウィリアムズとこの人を同一人物だと勘違いしていた。

映画『蜂蜜』

2010年 監督:セミフ・カプランオール
製作国:トルコ/ドイツ
at ギンレイホール




記憶ではエンドロールも含めてバックミュージックが一切使われていなかったはず。
代わりに聞こえてくるのは自然の音や生活音。
深い森の中をロバを曳いた男が枯葉を踏みしめてフレーム奥から歩いてくる静けさに満ちた冒頭でなんか面白そうと思う。
無駄に音楽を使うくらいなら映画に一切音楽なんていらないと思っているから、これは大分好みかもしれない。
と、思ったんだけど長いわ~。
と、思ったら103分だからそう長いわけでもなかった。
展開がゆったりしているからかな。

6歳のユスフは深い森林に囲まれた山岳地帯で両親と暮らしている。
養蜂家の父親が大好きなユスフは、たまに父親を手伝って一緒に森に入ったりする。
そんなある日、父親が巣箱を仕掛けに行ったまま戻らなくなってしまう。

このユスフって少年の顔が凄くいい。
きらきら光る瞳はまっすぐだけど媚を含んでいて、間抜けに口を開いてきょどっている様は馬鹿なんじゃないかと思うが、大胆にずるがしこかったりもする。

少年、青年、大人と三つの時代を描いたユスフ三部作の三部目らしい。
少年の部なのに三部目なのはこの三部作が未来から過去を辿る流れになっているから。

印象に残ったのは、斜面と空が斜めにきれいに寸断された構図の中を母親とユスフが登っていくシーンと、父親が落ちるシーンの残酷なまでのちゃっちさかな。

2012年7月15日日曜日

映画『ヒア アフター』

2010年 監督:クリント・イーストウッド
製作国:
at ギンレイホール




最近のCG技術は凄いな。
津波のシーンは水が襲ってくる恐怖に圧倒される。
でも、それ以上に水中で死にかけのセシル・ドゥ・フランスが凄い顔(表情)しているのでびっくりした。

パリ、ロンドン、サンフランシスコでそれぞれの物語が同時進行する。
パリでは冒頭で死に掛けたジャーナリストマリー(セシル・ドゥ・フランス)が臨死体験の果てに死の世界に目覚めて危ない人になり、ロンドンでは仲のいい双子が死に直面し、サンフランシスコでは死の世界とコンタクトが取れる霊能者ジョージ(マット・デイモン)が普通の生活をおくれずに苦悩している。

臨死体験って一時期テレビではやったよね。
結局死に面して(または蘇生して)脳が作り出した幻覚でしょ、って思ってWikipedia見てみると科学では説明できない事象も多々あるらしい。

霊能者ジョージは相手の手を触れると、あっちの世界につながり、触れた相手の亡くなった近しい人間と話をすることができる。
あっちの世界につながる瞬間は少し衝撃があるらしく、ジョージがびくっとするのだけど、傍から見ると触れただけでそんなに感じるなんて超敏感症?って思われちゃうだろうし、本人が言うように「呪い」の能力だ。

全体的にラストがよく分からなかったものの、まあ面白かった。

映画『永遠の僕たち』

2011年 監督:ガス・ヴァン・サント
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




事故で両親を亡くし自身も臨死体験をした少年と、余命数ヶ月の少女の恋愛物。
死を身近に経験している少年と、死が間近に迫っている少女っていう、重たかったり感動物になっちゃいそうな内容だけど、なんか終始爽やかな印象。

少年には英語ぺらぺらの特攻兵の幽霊ヒロシ(加瀬亮)が見える。
少年が「死はただ消えるだけだ!」と少女に言ってみても、じゃあヒロシは何なのと突っ込みたくなる。

幽霊ヒロシも含めた3人の物語になっていて、死が来るまでに命を輝かせ続けた少女が、お別れを言えずに死別した者たちの未練を死によって救うという感じか。

少年イーノック役にヘンリー・ホッパー。
ホッパーです。デニス・ホッパーの息子です。
少女アナベル役にミア・ワシコウスカ。
この子『キッズ・オールライト』に出ていた子だ。
ロングだった髪がベリーショートになって、表情の豊かさや可愛らしさがより魅力的になっている。

アナベルが首がねじれて痙攣し出すシーンは、以前仕事中にてんかんの症状を起こした女性を思い出した。

人の葬儀に出席する少年って設定はなんかよく見る設定だな。何の映画か思い出せないけど。
『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』とかか。

2012年7月1日日曜日

映画『ヒューゴの不思議な発明』

2011年 監督:マーティン・スコセッシ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』は未だに見たことないんだよな。

謎の機械人形が動き出すことで、ホラーな展開をするのだと勝手に勘違いしていたら、寝耳に水なジョルジュ・メリエスという名前が出てくるからびっくりする。
ホラーどころか、映画創成期にオマージュを捧げた真面目な映画だった。(別にホラーが真面目じゃないと言っているわけじゃない。。)

イザベル役の少女は可愛らしいけどどこか影があるような気がすると思っていたら、『モールス』のクロエ・グレース・モレッツだった。
この子いいねぇ。

したたかそうなエミリー・モーティマーが清楚な花売り娘役。
冷徹鉄道公安官に密かに思いを寄せられて危険危険と思いきや、最後には尻に敷いているところはさすがエミリー・モーティマー。

メリエス役は『砂と霧の家』のベン・キングズレー。
メリエスの写真を見ると結構似てる。

映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』

2011年 監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




タンタンの冒険
サブタイトルがユニコーン号の秘密
って子供向けだとしてもこのタイトルは無いわ~
って思ったけど、元々原作は『タンタンの冒険旅行』っていう1929年からある漫画、そしてアニメ化もされて世界中で親しまれている有名な作品らしい。
そういえばこのアニメのこのキャラクターはどこかで見たことある気もする。
で、この映画はタンタンのファンであるスピルバーグが3DCGアニメとして映画化したもの。

元を知らないので何も思い入れが無い、という前提で見た感想は、一言で言うと「なんだか気持ち悪かった」。
主人公のタンタンは変な髪形の年齢不詳の男で、肌の質感まで妙にリアルだから気持ち悪い。
主人公がかっこよくない上に、相棒みたいなハドック船長がこれまたぶ男なのだ。
検索してアニメのキャラクターを見ると二人とも愛すべき特徴のあるキャラクターに見えるけど、このキャラクターをたまに実写かと見まがうほど精巧にCGで再現してしまうと気持ち悪いだけだ。

CGアニメーションでしか表現できないような大アクションもふんだんに盛り込まれて、楽しいのかもしれないが、印象としては実写と2Dアニメがそれぞれ持つ表現力を大味に薄めて中間地点に中途半端に立ってはみたものの、どこに向かえばいいか分からずおろおろしている感じ。

ストーリーは忘れた。
とにかく疲れた。

CG技術の発達は凄いな。
海とかどうやって作ったんだろう。

2012年6月17日日曜日

映画『人生はビギナーズ』

2010年 監督:マイク・ミルズ
製作国:
at ギンレイホール




75歳でゲイとカミングアウトした父親が死んだ後から物語が始まる。
38歳独身のオリヴァー(ユアン・マクレガー)は父親の思い出とともに新たに人生を歩み始める。
っていうような話だったと思うが詳細はもう忘れた。
恋人役のメラニー・ロランが綺麗だった。

映画『ゲンスブールと女たち』

2011年 監督:ジョアン・スファール
製作国:フランス/アメリカ
at ギンレイホール




122分もあってちょっと長いのが痛いがまあ面白かった。

酒とタバコと歌と女に囲まれた人生。
決して美男子ではないのになんかかっこいい。
役者がたばこ吸っていると無性にたばこ吸いたくなるのだけど、ゲンスブール(役の俳優)が吸っているとそれが体の一部のようにスタイルに馴染んでいるから、たばこ吸いたい欲求が不思議と一度も沸かなかった。

主演のエリック・エルモスニーノだけじゃなく、BBとジェーン・バーキン役の女優さんも意外と似ている。

2012年6月3日日曜日

映画『サラの鍵』

2010年 監督:ジル・パケ=ブランネール
製作国:フランス
at ギンレイホール




アスシュビッツもの、と思いきや、戦時中パートと現代パートに分かれていて、現代を生きる女性ジャーナリストジュリア(トクリスティン・スコット・トーマス)がアウシュビッツに送られたユダヤ人少女サラの足跡をたどるような形で物語が進行する。
戦時中パートだけでもひとつのドラマだけど、サラの足跡を辿るうちにジュリアの人生にも変化が訪れる。
現代パートってなんなんだろうと思っていたけど、最後のあのオチのためだったのか。
泣くところだった。

予告編にもあるけど、少女がでかい兵士を見上げながらおびえを強い意志で覆い隠して名乗りながら握手を求める姿がいい。

映画『やがて来たる者へ』

2009年 監督:ジョルジョ・ディリッティ
製作国:イタリア
at ギンレイホール




戦時中に実際に起きた事件に基づくお話。
1943年のイタリア北部の山村で、8歳の少女マルティーナ(グレタ・ズッケーリ・モンタナーリ)は生活している。
生まれたばかりの弟を自分の腕の中で亡くして以来口がきけなくなってしまったマルティーナは、新たに母親のおなかの中に宿っている命が生まれ出てくることを心待ちにしている。
大人達はドイツ軍を追い払おうと反抗勢力結成して戦っているが、マルティーナにとっては新しい命にしか関心が無いし、ドイツ軍の青年も敵ではなく気のいい兄ちゃんでしかない。
やがてパルチザンとドイツ軍の抗争は激化していき。。

声を出せないというところがこの戦時下においてマルティーナという少女の聖性や純粋性を高めているのだけど、声が出せないということは声を取り戻す瞬間はきっと劇的なシーンのはず。
チープなドラマだったら悲しみの叫びだったりするのだろうが、この映画では・・・
思わず泣きそうになった。

なかなか面白くて、大家族の家父長が家族のためにもなんとしても生き延びようともがいているところから絶望に変わる瞬間とか、妻に似ているというだけで助けられた姉がとった行動とか、パルチザンに捕らえられたドイツ軍兵士の最後とか、それぞれの人間ドラマや人の運命が悲惨な出来事の周囲で着実に息づいている様が簡潔に描かれていくから引き込まれる。

2012年5月20日日曜日

映画『灼熱の魂』

2010年 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
製作国:カナダ/フランス
at ギンレイホール




1+1が1なんだ
で全てを悟るとはさすが数学者。

母親の遺言で死んだはずの父親といるはずのない兄を探すことになった双子の姉弟。
また父親探しのロードムービーか、と思っても、この作品は父親というより母親の過去を追う物語になっている。
しかも壮絶な人生だったらしい。
この時代に壮絶な人生、ってたいしたことないじゃんと思っていたけど、確かに壮絶だった。。

細かく章が変わるたびに現れる大文字の章名のキャプションの赤さが痛々しい。

冒頭等で流れるレディオヘッドの「You and Whose Army」はトム・ヨークの歌声がマッチしているようでいて、でも曲自体が有名すぎるから結構微妙。

映画『幸せパズル』

2010年 監督:ナタリア・スミルノフ
製作国:アルゼンチン/フランス
at ギンレイホール




どこにでもいる普通の主婦マリア(マリア・オネット)はパーティに集まってゆったりくつろぐ人たちにせっせと料理を提供していた。
そのパーティは自分の50歳の誕生パーティなんだけど。
もうすぐ独立しようかという年頃の息子二人と夫に囲まれて一見幸せそうだが、何かが足りない。
そんなマリアは誕生日プレゼントのひとつとしてあったジグソーパズルにはまりだす。
初めてやり始めてから少しも日にちが経っていないのに、組み立てるスピードに自信を持っちゃうところが世間知らずなんだけど、実は本当に才能があって、知り合った独身の富豪と組んでパズルの世界大会を目指し始める。

普通の主婦の成功譚かと思いきや、家族の物語になっている。
ラストの長閑な爽やかさが泣ける。

なんか勝手にドイツ映画かと思っていて、主演のマリア・オネットがドイツ人にしては肌が綺麗だと思っていたらアルゼンチン映画だったのか。
1966年生まれらしいから撮影当時44くらいか。

2012年5月6日日曜日

映画『マネーボール』

2011年 監督:ベネット・ミラー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




面白くはあったけど、なんだろうこの違和感は。
冒頭のブラッド・ピットがビジネス相手と交渉するシーンは駆け引きが潜んで緊張するシーンのはずなのに、なんか上滑りしていって全く乗れない。
その後も駆け引き的な交渉術がたくさん出てくるけど、少しもわくわくしないんだな。
『ソーシャル・ネットワーク』の会話が面白すぎてその余韻が残っているためかもしれない。
それに役を作っているのかなんなのか、ブラッド・ピットの声ってこんなに汚かったっけ。

弱小貧乏球団のアスレチックスを常勝チームへと作り変えた実在のゼネラルマネージャー、ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)の物語。
選手を育てては他球団に高額で取られてしまうという繰り返しを続けるアスレチックスはとにかく金が無い。
根本的に何かを変えなくてはならない。
そんな時インディアンズのスタッフで選手の分析をしていた若者ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)に出会う。
ビリーはピーターとともに新たな戦略を実践し始めるが。。

何気なくジョナ・ヒルで検索してみたら、痩せてとんでもなくイケメンになっていた。

映画『ソーシャル・ネットワーク』

2010年 監督:デヴィッド・フィンチャー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




新作映画の情報に疎い僕でも話題になっていたことは知っている『ソーシャル・ネットワーク』。
120分もあって長いし一体どれだけ面白いんだよと半信半疑で見ると、冒頭の主人公と彼女の会話から引き込まれてあっという間に終わってしまった。

facebookの創始者マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)を中心に、facebookの誕生そして発展の経緯がマーク・ザッカーバーグに対する二つの訴訟からフラッシュバックする形で語られる。

会話がとにかく面白いんだな。
心理的な駆け引きやユーモアがあるわけでもないのに、なぜか引き込まれる。
人間関係が崩壊するような危うさや、無法者とでも言いたくなるようなザッカーバーグの言動にひやひやするからだろうか。

監督はデヴィッド・フィンチャーだったのか。
あまり見てないけど、こんな作風だったっけ。
スピーディーに飽きささせない展開はそれっぽいけど。

ITに詳しくなくてかつfacebookもやっていなくても普通に楽しめると思う。
そんなに難しい用語や専門的な話が出てくるわけじゃないから。
優秀な社員をハッキング能力で選抜するところとか面白い。
質は置いといて開発スピードだけはそこらのエンジニアの非じゃないだろう。
僕は10年SEやっているけど未だにハッキングの仕方がよく分からない。(セキュリティ上知っておかなくてはいけないと思いつつ)
ザッカーバーグが寮内のシステムにハッキングする時(唯一専門用語が飛び交うシーン)に「Apacheの設定をOpenにしてwgetコマンドでgetだぜ」っていうセリフが出てくるけど、そもそもどうやってサーバにログインできたのかっていうところが知りたいところ。

カタカタカタってキーボード打ちまくって一瞬で「できました」って言ってみたいものだ。


※ギンレイホールは両端が3席シートになっていて、その3席シートのさらに一番壁側に座っていたのだけど、前の席の兄ちゃんが映画が始まる直前に3席シートの真ん中に移動しやがった。
3席シートを一人で占有するような座り方の厚かましさはいいとして、真ん中の席は僕の席とスクリーンの直線上に位置するので、普通なら後ろの席の人を気にしてそんな席に座らないでしょう。混んでいるならしょうがないとしても。
しかもこの人は座高が高いのでかなり背筋を伸ばさないとこいつの頭でスクリーンが隠れてしまう。
それだけならまだしも定期的に首をかくかく動かすもんだから気が散ってしょうがない。
いらっとして思わず席を2回くらい蹴ってしまった。。。ちょっと反省

2012年4月22日日曜日

映画『宇宙人ポール』

2010年 監督:グレッグ・モットーラ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール





下品で陽気で気のいいアメリカ人、お馬鹿なアメリカ人、権力欲に取り付かれたアメリカ人、差別主義アメリカ人、考えが凝り固まった田舎の閉鎖的アメリカ人、そして銃社会アメリカ。
滑稽にカテゴライズしたアメリカの縮図を見せられている感じ。

主人公のグレアム(サイモン・ペッグ)とクライブ(ニック・フロスト)は筋金入りのSFオタクで、イギリスからコミコン目当てに念願のアメリカにやってきた。
コミコンを満喫した二人はキャンピングカーを借りてUFOの聖地めぐりを始める。
道中事故現場に遭遇した二人は、そこでポールと名乗る宇宙人と出会う。
ロードムービー。

面白かったなぁ。
友情、恋愛、アクション、ヒューマンドラマ、ギャグ、ブラックユーモア、オタク的オマージュ、等々いろんなものが詰まっていながらさらっと纏め上げて最高のエンターテインメントになっているから凄い。

悪人というほど憎めない奴が滑稽に死んでいくのは少し後味悪いけど、脇役の生死など死に方が面白ければそれでいいじゃんっていうブラックユーモアの一環と捉えると、所詮作り話なんだからという映画に対する皮肉にも見えてきて面白い。

ああ、そうだ、SFグッズショップかなんかのシーンでB-52'sの「Planet Claire」がかかっていたんだよね。
映画の中でB-52'sの曲を聴いたのは初めてかもしれない。
今まで気づかなかったけど、B-52'sって確かにおたく受けしそうだ。


映画『メン・イン・ブラック2』

2002年 監督:バリー・ソネンフェルド
製作国:アメリカ
at ギンレイホール


メン・イン・ブラック2(1枚組) [DVD]

1は見たことあるような無いような。
たまにはこういうど派手なCG大作を気楽に見るのもいいよね、と思っていたけど、なんか途中から飽きてきて超つかれた。
あれ、85分しかなかったんだ。

コメディなのかSFアクションなのかよく分からないから、いっそのことCGをもっとちゃっちくするか着ぐるみにすれば面白いB級映画になるんだけどなぁ。
CGといっても10年前なので今から見るとそんなに凄いというわけでもないのだろうが。(あまりCG映画を見る機会がないのでよく知らない)
ストーリーは申し分なくB級。

なんで今頃ギンレイでメン・イン・ブラックをやるんだろうと思っていたら、近々メン・イン・ブラック3が公開されるからかな。

ちょっと出てきたマイケルは本物らしい。

2012年4月8日日曜日

映画『家族の庭』

2010年 監督:マイク・リー
製作国:イギリス
at ギンレイホール




この予告編も大概ひどいよな。
なんかハートウォーミングなドラマなのかと思った。
ハートウォーミングで130分もあるなら耐えられそうにないから最初の方遠慮なく寝てしまった。
それが、まさかなぁ。
心温まるどころか残酷すぎてワタシの心に寒風が吹き荒んだ。

地質学者のトム(ジム・ブロードベント)と医学カウンセラーのジェリー(ルース・シーン)は誰もが羨む仲のいい初老の夫婦。
彼らの一人息子で弁護士のジョー(オリヴァー・モルトマン)は30過ぎてもまだ未婚、ということが唯一の悩みの種という幸せ家族。
この初老夫婦のもとには、息子はもとより、夫や妻の長年の友人がたくさん訪ねてくる。
「ここに集まると、喜びは倍に、悲しみは半分になる」
嘘こけって話です。
訪ねて来る人達は皆、人生がどこか充足していないと感じているような、世の中の大多数の人間に当てはまる人達になっている。
孤独(未婚)であったり不健康(肥満体、喫煙者等)であったり家庭が円満でなかったり。
こういうステレオタイプな人達に対比して、初老の夫婦の充実加減もまた「理想」のステレオタイプであって、夫婦仲は円満、休日は市民菜園で二人そろって畑仕事、採れた野菜を仲良く料理、食生活は安定してタバコも吸わないので健康、夫婦そして息子もそれなりにステータスのある職業に付いている。
「理想」の家族に「現実」の訪問者が訪れると、それぞれのステレオタイプの特性がくっきり現れてきて、「現実」側がとてつもなくみじめになってくる。

偽善者、というほといやらしくもなく、仏のようにいい人達、というほど現実離れもしていない、そこそこやさしい老夫婦というところが絶妙だ。
とりわけ嫌な奴とかひどい奴が出てくるわけじゃないのにこんなに残酷なのは、撮り方によるのだろう。
シーンの変わり目などで特にそうだけど、みじめな訪問者の表情のアップをこれでもかと長回しで映し出すから。
ただ映しているだけなのに執拗さを感じるほど長いのでえぐるような残酷さがある。
ラストなんかもう。。
悲しみは半分に、どころかもうずたぼろでしょ。

結婚していない息子に途中から彼女ができるのだけど、この彼女もえぐい。
イギリスの国民性がよく分からないが、とにかく底抜けに陽気で、馴れ馴れしい。
彼氏の両親と初対面なのに隠れていて「わぁ」とドッキリで驚かすなんてありえるのだろうか。
いや、まあそれはいいとして、言いたいのはこの彼女、とびっきり可愛くない!
ジョーとはバーで出会ってその時彼氏がいたけどびびびっときたのでジョーと付き合うことにした、っていうお互い人目ぼれというエピソードも素直に納得できない。
でもこの可愛くないところが凄くリアルなんだな。
理想の家族というのを絵空事のように突き抜けていかないための抑止力が彼女なんだろう。
抑止といっても彼女の明るさの破壊力は絶大だ。
馴れ馴れしいがいい子っぽいので両親には普通に気に入られている上、彼女が陽気であればあるほどメアリー(レスリー・マンヴィル)がみじめになっていく。
滑稽の裏に潜む無情の残酷さ。
あ、メアリーは「現実」の代表でこの映画の主役みたいな女性ね。

マイク・リーって『人生は、時々晴れ』の監督さんだ。
最初から気づいていればハートウォーミングドラマなんて思わなかったのに。

映画『ラビット・ホール』

2010年 監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




幼い一人息子を交通事故で失った夫婦のお話。

息子の事故に泣き叫ぶ母親と、頑張っている少女の真剣な表情の2点が鉄板の僕の涙腺ポイントなので、この映画は泣けそうだと思ったけど、最初から息子亡くなった状態から始まるし、回想で出てくる事故のシーン見ても泣けなかった。
子供が夫のスマホの動画で少し出てくる程度で何の思い入れもなかったからかな。

ピュリツァー賞受賞の同名戯曲を映画化で、ニコール・キッドマンが初めて製作と主演を兼ねたらしい。
夫役はアーロン・エッカート。

事故の時、車を運転していたジェイソン役のマイルズ・テラーが面白い。
ぬぼーっとしていて、変態っぽくて、いじめられていそうで、でも心優しそうで。

他、ダイアン・ウィーストとかサンドラ・オーとかも出演。

2012年3月25日日曜日

映画『あしたのパスタはアルデンテ』

2010年 監督:フェルザン・オズペテク
製作国:イタリア
at ギンレイホール




ローマで小説家を目指しているトンマーゾ(リッカルド・スカマルチョ)は久しぶりに故郷の古都レッチェに帰郷する。
実家は3代続く老舗のパスタ工場だった。
兄のアントニオとともに工場を引き継ぐために、経営学部を卒業していることになっているトンマーゾは実は文学部を卒業していた。
かつそれだけじゃなくて彼はゲイだった。
共同経営者を招いたディナーパーティーで秘密をぶちまけて勘当されて自由になることを目論むトンマーゾだったが。。

分かりやすいストーリー展開でなかなか面白いコメディ。
いや、それよりもびっくりなのはアルバ役のニコール・グリマウドという女優さんで、この人が美しいうえにキュートすぎる。
1980年生まれ。
次回作はアージア・アルジェント共演作らしい!

映画『さすらいの女神(ディーバ)たち』

2010年 監督:マチュー・アマルリック
製作国:フランス
at ギンレイホール




『潜水服は蝶の夢を見る』の俳優マチュー・アマルリックの監督作。
111分と長いのだけど思いのほか面白かった。

セクシーショーでフランスツアーを行っている一座のお話。
ショーのプロデューサーのジョアキム(マチュー・アマルリック)はフランスのTVマンだったが、業界から干されたためアメリカに渡り、そして今回フランスに凱旋してきた。
彼にとってパリ公演は重要な意味を持っていたが、その肝心のパリ公演がなかなか決まらず港町ばかりを巡業していた。

このショーはバーレスクの進化形“ニュー・バーレスク”と呼ばれるものらしい。
あそこ(たぶんあそこ)から札の紐をつるつる取り出したりと際どいことやるが乳首は出さない。
そしてダンサーの年齢層は皆高く、ことごとく太っている。。。
ショーはユーモアのエンターテインメント色も強いので、観客はセクシーさに盛り上がっているのかエンターテインメントに盛り上がっているのかよく分からなくなったりもするけど、おそらくセクシー含めて両方に盛り上がっているのだろう。
出演していたダンサー達は皆本物の現役ニュー・バーレスクダンサーだったらしい。
もちろん演技も未経験で。
ミミ・ル・ムー役のミランダ・コルクラシュアなんてベテランの女優さんかと思っていた。

マチュー・アマルリックは凄いな。
おどおどした感じの目と口ひげのアンバランスが面白い。

2012年3月11日日曜日

映画『50/50 フィフティ・フィフティ』

2011年 監督:ジョナサン・レヴィン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ラジオ局に勤めるアダム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)27歳。
画家の恋人とはなんかうまくいっていないけど楽天的。
そんなアダムに突然訪れるがん宣告。5年生存率50%。me?!

女好きの親友カイル(セス・ローゲン)は50%ならカジノじゃ大もうけだと笑い飛ばし、軽いノリで闘病生活が描かれる。
軽いって軽んじているとかじゃなくて、ギャグやユーモアと闘病生活の現実のバランスが絶妙なので面白い。
仲良くなった闘病仲間が突然亡くなっていなくなったりもする。

垂れ目のむっつりすけべ顔の主人公アダムを中心に、無神経で自分のことしか考えていなさそうでいてさりげなくがん患者と付き合う方法みたいな本を読んでいたりする陽気で下品で友人思いなカイル、新米カウンセラーで美人というわけでもないのになんか気になるキャサリン(アナ・ケンドリック)、愛しているのか愛していないのかよく分からない潤んだ小動物のような懇願の視線をする元恋人のレイチェル(ブライス・ダラス・ハワード)、等々キャラクターも際立っていて面白いコメディ人間ドラマになっている。

映画『私だけのハッピー・エンディング』

2011年 監督:ニコール・カッセル
製作国:アメリカ
at ギンレイホール


私だけのハッピー・エンディング [Blu-ray]

今年度の健康診断行ってないからなんか気になるんだよな。

広告代理店で働くマーリー(ケイト・ハドソン)は快活で人生を謳歌中の30歳。
恋人は作らない主義だけど男とはちゃんと遊ぶ。
仕事も順調で、漫画みたいに破天荒なプレゼンで仕事を取ったりする。
そんなマーリーに突然訪れる末期がん宣告。余命半年。

明るく怖いもの知らずという感じの女性が、がん宣告により絶望して明るさ強がりの仮面がはがれてぼろぼろになっていく様を残酷に描いていく、のかと思いきや、主治医と恋に落ち、仲間たちとの絆を深め、ぎくしゃくしていた家族との関係も修復し、大円満で明るく逝っていく。

顔が大きいケイト・ハドソンは『あの頃ペニー・レインと』のペニー・レインだったんだな。

2012年2月26日日曜日

映画『親愛なるきみへ』

2010年 監督:ラッセ・ハルストレム
製作国:アメリカ
at ギンレイホール


親愛なるきみへ [DVD]

キアロスタミの映画観たついでに一応見てみる。
こてこてのラブストーリーものかと思っていたら、途中「えっ、まじ?」っていうよく分からない展開をする。
自閉症(エラーコイン)とか9.11とかいろいろ要素はあるけど最終的にはやっぱりこてこてのラブストーリーに帰結する。

こてこてのラブストーリーで重要なのはヒロインがどれだけ可愛いかということだけど、ヒロインは歌って踊れて『ジュリエットからの手紙』等々大活躍中のアマンダ・サイフリッド。
悪くはないけれど蛙顔のアマンダ・サイフリッドが心優しく「尻軽」でない女の子には全然見えなくて苦労する。
いや、実際いい子なのかもしれないけどさ。。

監督はラッセ・ハルストレムなんだよね。
『サイダーハウス・ルール』とか『ショコラ』の人。
・・・なんか珍しく名前を記憶していたから好きな監督かと思っていたけど、調べてみると過去に見た作品がめちゃくちゃ面白かったわけでもなかったな。

映画『トスカーナの贋作』

2010年 監督:アッバス・キアロスタミ
製作国:フランス/イタリア
at ギンレイホール




何も知らないで見てこれがキアロスタミ監督作だと分かる人がいるだろうか。
舞台はイタリアだし主演の二人、特にジュリエット・ビノシュが喋る喋る。
脚本だけ見れば恋愛論を中心に議論を戦わせる男女なんてエリック・ロメールが撮っているのかと思うくらい。
キアロスタミの映画自体観るのは『桜桃の味』以来だから僕が分からないだけかもしれないけど。。

英国の作家ジェームズ(ウィリアム・シメル)は新作『贋作』の発売記念講演を行うためイタリアトスカーナに来ていた。
講演を聞きにきたフランス人でイタリア在住でギャラリーを営む女主人(ジュリエット・ビノシュ)は、彼の通訳にメモを渡して講演を途中退出する。
やがて彼女のギャラリーを訪れたジェームスは彼女の案内で近くの名所をドライブで散策することにする。
とあるカフェで夫婦と間違われた二人はそのまま成り行きで結婚15年目の倦怠期のような夫婦を演じ始める。
寄り添い、喧嘩し、思い出を懐かしく語る初対面の贋作の夫婦。
いや、実は初対面かどうかも怪しい。
英語しか喋れないと思ったジェームズが流暢にフランス語喋ったり、髭を二日置きに剃る習慣を女が知っていたり等々設定は極めて曖昧だから。
といってもカフェに入った辺りからカフェの女主人とジュリエット・ビノシュが軽妙なやりとりを始めるまでの間爆睡したので見逃しただけかもしれないけどさ。

本物のコピー、偽者、という概念を二人の会話の議論で繰り広げていたかと思うと、この映画、そして映画そのものにまでいつのまにか広がっているから面白い。

冒頭から引き込まれる。
テーブルとその上のマイクだけの誰もいない固定ショットにタイトルロールが流れるのだけど、人はいっぱいいるらしくざわざわとした話し声だけが聞こえる。
こういうときエキストラ達はどういう会話をするのだろう。
これから始まる講演についての話か全く関係ない世間話か。
何を喋っているのかさっぱり分からないけど、咳払いが聞こえたりしてざわざわした雰囲気が音だけでこれから始まる講演、そしてこの映画に対する高揚感を起こさせてくれる。

ジュリエット・ビノシュが演じるギャラリーの女主人は、なんやかんや議論を吹っかけてくるのでかなりうざったく、ジェームズも閉口してしまう。
感情の波が激しくて、怒ってたかと思うと窓越しに見える結婚パーティの様子を首を伸ばして見て表情が一気にほころんだりする。
この時のうれしそうな女主人の表情見たら愛しくてたまらなってきた。

小津ばりの切り替えしショットでの二人のやり取りは次第に滑稽味を帯びてきて、声を出してフフっと笑ってしまったのだが、その瞬間観客の誰も笑っていなかったようなので少し恥ずかしかった。

相手役のウィリアム・シメルはオペラ歌手なんだそうだ。

2012年2月12日日曜日

映画『ゴーストライター』

2010年 監督:ロマン・ポランスキー
製作国:フランス/ドイツ/イギリス
at ギンレイホール




いまどきの監督ならテンポよく展開していきそうだが、退屈しない程度の間があるし、主な舞台になる島の別荘はいやに近代的な作りだし、で監督は若手じゃないのかなと思っていたらベテランどころかポランスキーだった。

イギリス元首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を請け負ったゴーストと名乗るだけのゴーストライター(ユアン・マクレガー)は、ラングが滞在するアメリカの寂しい孤島に向かう。
前任者がフェリーから落下して事故死したため彼に白羽の矢がたったのだが、前任者の死には不可解な謎があった。
ゴーストが島に着いて間もなく、ラングは戦犯としてイギリスから追われる身になってしまう。
でもゴーストは知ったこっちゃ無いので依頼どおりラングへのインタビューを通して執筆を開始するが、偶然前任者が残した資料を発見したことにより自叙伝に隠された裏の意味に迫っていく、巻き込まれるといったほうがいいか。

ラストシーンとかパーティー会場でメモが伝達されていったりとか、って皆なんかの映画で見たことあるようなないような気もする。
そう思ってしまうのはこの映画が50年代60年代くらいの名作サスペンスを見ているかのような雰囲気を持っているからだろう。
なかなか面白かった。

ラングの妻役のオリヴィア・ウィリアムズが綺麗。
シャーロット・ランプリングとキャサリン・キーナーを足して2で割ったような。。

ラングのモデルは恐らくブレア。

映画『ミケランジェロの暗号』

2010年 監督:ヴォルフガング・ムルンベルガー
製作国:オーストリア
at ギンレイホール




ノンストップアクション映画を見ているようにテンポのいいサスペンス。

1938年、ウィーンで画廊を営むユダヤ人一家カウフマン家では、数百年前にイタリアから盗まれたというミケランジェロの素描を秘蔵していた。
やがて戦争が始まると同時にナチスに奪われた絵は、後にドイツとイタリアの同盟の道具に使用されようとする。
しかし、ナチスが奪ったこの絵は実は画廊の主人が作らせた贋作だった。
本物のありかを吐かせるため、収容所にいたカウフマン家の長男ヴィクトル(モーリッツ・ブライブトロイ)が超重要人物としてベルリンに移送される。
が、移送途中で飛行機がパルチザンにより撃墜され。。

第二次世界大戦、ユダヤ人というキーワードながら、殊更暗くなる要素がなく、むしろユーモアに溢れて笑いすら起こる。
戦争が始まる前、とある諍いで監獄にぶちこまれたヴィクトルが署長をおちょくるくらいの超余裕ぶりを披露しているのを見て、ああ、もうすぐ戦争が始まったらそんな余裕は吹っ飛んで悲惨な現実が待ち受けているというのに、可哀想だなと思っていたらとんでもない。
戦争が始まって状況が一変してもヴィクトルは何も変わらなかった。
破天荒でスリリングなサバイバルは綱渡りの命がけでありながら、必死であればあるほど本人や周りが相対的に滑稽になる。
滑稽になれば余裕も生まれる。まるでゲームを楽しんでいるかのような余裕が。
背景には確実にユダヤ人が被った悲しい歴史があって、直截的ではないけどそれも確かに描かれている。
でも痛快に楽しめるっていうのが不思議。
戦争が始まる前の余裕っぷりを可哀想だなと思ったと書いたけど、むしろ劇的に不幸で暗くなる展開を望んでいたかもしれない。
いい意味で裏切られたな。

ヴィクトル役のモーリッツ・ブライブトロイは濃いというかなんというか印象的な顔している。
見たことあるような無いようなと思って調べたら、『ルナ・パパ』とか『ラン・ローラ・ラン』とか『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』、最近では『ソウル・キッチン』とか、偶然意外と見ていた。
今回の役は顔が強烈だったのでもう覚えた。

2012年1月29日日曜日

映画『モールス』

2010年 監督:マット・リーヴス
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




予告編が上手い。
いじめを扱った人間ドラマかサスペンスかホラーかよく分からない曖昧さ。
見る前に劇場のドアの前に並んでいると、子供の叫び声が大音響で継続して漏れ聞こえてきたのでホラーか、と知る。
ホラー、と言えばそうだが、小さな恋のメロディみたいな少年少女の恋愛物ともいえる。
ただしR15+だけど。

オーウェン役のコディ・スミット=マクフィー君は色白の美少年だが今田耕司に似ている不思議な顔立ち。
アビー役のクロエ・グレース・モレッツは美少女ではあるけど、時折嫌に老けた表情をする。
コディ・スミット=マクフィーの方が女の子として可愛らしく見えたりもするし。
演技でやっていたら凄いな。
公式ページにあるクロエ・グレース・モレッツのコメント動画を見ると普通の少女と言う感じ。

CGがちゃっちいので低予算映画かと思ったら、スウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッドリメイクらしい。
じゃああれで結構金かけてるのか。

映画『ウィンターズ・ボーン』

2010年 監督:デブラ・グラニック
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




アジアの自然の緑って豊穣な緑って感じだけど、アメリカの緑ってなんであんなにくすんでいるんだろう。
まして冬ならなおさら寒々しさしか感じない。
そもそもアメリカって木生えてたっけ?とすら思う。
ファミコンソフトのMOTHERでグリズリーが出てきそうな雰囲気だ。冬だけど。
この映画はアメリカ中西部ミズーリ州のオザーク高原というところが舞台らしい。

予告編の印象では少女が失踪している父親を探して旅に出て成長していくロードムービーなのかと思っていたけど、そんな生易しいもんじゃなかった。
そもそも主人公の17歳の少女は幼い弟妹と精神を病んだ母親を一人で支える一家の大黒柱であって、ちんたら旅に出てくそどうでもいい成長のドラマを経験しなくても生活的には十全に大人だった。
自立しているとか以前に既にいろんなものを背負っているから。
体つきもがっちりしているし。

山の中の寂れた田舎町では、血縁関係にある一族が結束して強固な共同体を作っていた。
しかも「ならず者」という言葉がぴったりの集団。
ならず者に性別年齢は関係なく、一族総ならず者なので怖い。
彼らを堅く結びつけるものに血縁と「おきて」がある。
掟がなんなのかよく分からなかったけど、とにかく掟は絶対で、それを破るものは誰であろうと死の制裁が加えられる。

家族の生活を守るため失踪した父親を探すリー(ジェニファー・ローレンス)は、叔父や遠縁の親族を当たってみるが、誰もがリーを門前払いする。
それでも強引に一族の有力人物とコンタクトを取ろうとすると、一族の女達による消される寸前の集団リンチに合う。。

ストーリー自体はよくわからなかった点があるものの、早くも今年見た映画のNo.1にしたいくらい面白かった。
最後の方で叔父を見送るリーの表情に涙出そうになった。
ジェニファー・ローレンスは初めて見たけど、この子は本当にいい女優さんだな。

2012年1月15日日曜日

映画『サンザシの樹の下で』

2010年 監督:チャン・イーモウ
製作国:中国
at ギンレイホール




文化大革命の時代に生きた青年と少女の恋愛物。
ストーリーで泣くことはまず無いのだが、これはちょっと涙出そうになった。
ラストのあのメイクは反則すぎる。
プラトニックを貫こうとしたのは彼女の将来を思ってか。

場面展開がテロップで行なわれたりしているのがサイレント映画風で、実際セリフもそんなに多くないので雰囲気に合っている。
セリフは少ないけど些細な動作や小道具や音で、感情豊かに綴られていく。
特にジンチュウの足の包帯を巻きなおしてやるスンの傍らで、ジンチュウの母親が立てる内職の音が印象に残る。

チャン・イーモウはこのブログを調べてみると2004年に見た『HERO』一本しか引っかからないから、相当久しぶりだ。
最近は変なのしか撮っていないらしいから原点回帰みたいな感じなのかな。
中国の農村のシーンが抜群に良くて、直前に見た『シャンハイ』でごみごみした映像を見させられた分、凄く安心して落ち着く。
今回のギンレイのプログラムはおそらくコン・リーつながりだと思うが、農村風景を見ていると、こういう長閑な農村地帯で静かに力強く命を躍動させていたコン・リーが、時を経て『シャンハイ』という輪郭のぼやけた映像世界に現れていたのかと思うと不思議な感慨がある。

ジンチュウを演じた主演女優のチョウ・ドンユイは何千人もの中から抜擢されたらしい。
有名になるかな。モウガール。

映画『シャンハイ』

2010年 監督:ミカエル・ハフストローム
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




1941年の太平洋戦争開始直前の上海で、一人の米国諜報員が殺された。
殺されたコナーの同僚であり親友でもあった諜報員のポール(ジョン・キューザック)は、上官からコナーが追っていた人物、そしてコナーの死の謎を追うように命じられる。

ストーリー自体は別にどうでもいい感じ。
いってみればこれは男の魅力対決の映画だ。
チョウ・ユンファ VS 渡辺謙 VS ジョン・キューザック
見る前に名前だけで判断するとチョウ・ユンファの圧勝じゃんと思うけど、思いのほかKen Watanabeも魅力を発揮している。
アジア勢二人が拮抗して輝いている中、主役のはずのジョン・キューザックが残念な感じに。
欧米人に混じってアジア人が出てくると、大抵はアジア顔の方がやぼったく見えるはずなのになぁ。
ジョン・キューザックは嫌いな役者じゃないけど、アジア勢二人が全力で生きている厳しいかっこよさがある中、いいとこのぼっちゃん育ちのベビーフェイスが諜報員ごっこしているような雰囲気。
ピンチになっても自分だけは死なないみたいな余裕すらある。諜報員ごっこなんだから。
魅力的な男ほど死して輝きを永遠にしなければならない。だから死んだ奴が主役だ。

この3人、いや2人と対等に渡り合うのがアジア映画界の至宝コン・リー。
もう40後半だというのに若々しすぎて恐ろしい。

無名の素人かと思っていたスミコ役は菊地凛子だったらしい。
へー、そうなんだ。

今予告編見直していて思ったけど、チョウ・ユンファが劇団ひとりに見えてきた。。

2012年1月5日木曜日

1月INFO

1月4日(水)午後1:00~2:24  BSプレミアム
「瞼の母」1962年・ 日本
〔監督・脚本〕加藤泰
1月5日(木)午後1:00~2:30  BSプレミアム
「関の彌太ッぺ」1963年・ 日本
〔監督〕山下耕作
1月6日(金)午後1:00~2:51  BSプレミアム
「反逆児」1961年・ 日本
〔監督・脚本〕伊藤大輔
1月16日(月)午後10:02~11:13  BSプレミアム
「祇園の姉妹(きょうだい)」1936年・ 日本 
〔監督・原作〕溝口健二
1月17日(火)午後1:00~2:47  BSプレミアム
「突然炎のごとく」1961年・ フランス
〔監督・脚本〕フランソワ・トリュフォー
1月18日(水)午後10:02~11:44  BSプレミアム
「姉妹」1955年・ 日本 
〔監督・脚本〕家城巳代治
〔出演〕野添ひとみ、中原ひとみ
1月23日(月)午後1:00~3:13  BSプレミアム
「魂のジュリエッタ」1965年・ イタリア/フランス
〔監督・原案・脚本〕フェデリコ・フェリーニ
1月24日(火)午後1:00~2:49  BSプレミアム
「道」1954年・ イタリア
〔監督・脚本〕フェデリコ・フェリーニ
1月25日(水)午後1:00~2:43  BSプレミアム
「あゝ結婚」1964年・ イタリア/フランス
〔監督〕ビットリオ・デ・シーカ
1月25日(水)午後9:00~11:03  BSプレミアム
「天然コケッコー」2007年・ 日本
〔監督〕山下敦弘
1月29日(日)午後10:02~午前0:24  BSプレミアム
「真実一路」1954年・ 日本
〔監督〕川島雄三
1月30日(月)午後1:00~2:28  BSプレミアム
「風の中の子供」1937年・ 日本 
〔監督・脚本〕清水宏
1月31日(火)午後1:00~2:27  BSプレミアム
「人情紙風船」1937年・ 日本 
〔監督〕山中貞雄

いっぱい挙げてみたけど、どれも見たことあるので個人的には気になるものはそんなに無い。
見てない中だと「天然コケッコー」ってやつと溝口、川島雄三、清水宏のやつかな。


あ、
あけましておめでとうございます

なんかGoogle+にあるFlashゲームやりまくっていたら正月なんてあっという間に終わって、さっき2週間以上前に見た映画の感想をやっとUPし終えたところ。
今日(昨日)見てきたギンレイの映画の感想は一体いつになるだろう。

2012年1月4日水曜日

映画『海洋天堂』

2010年 監督:シュエ・シャオルー
製作国:中国
at ギンレイホール




自閉症の息子と末期がんの父親の親子の絆を描いた感動作。
主演はカンフーアクション無しのジェット・リー。
撮影はクリストファー・ドイル。
音楽は久石譲。

という期待する要素が全く無い中、怖いもの見たさのような気持ちで見始めると、冒頭の揺れる水面に手を浸すシーンがあまり美しくなくていきなり躓いたものの、一応最後までそれなりに見れる。
予想の範囲は決して超えないけど。

今までジェット・リーの演技というと、あの童顔から繰り出す無邪気な笑顔と、目を見開いて呆然とした驚きor悲しみの表情くらいしか記憶に無いのだけど、少し白髪の混じった髪にめがねを掛けていて、おお、なんだか普通の俳優が演技しているように見える。
真面目で純朴な男の役なら彼にぴったりかもしれない。
でもジェット・リーの顔立ちってなんか特殊なんだよね。童顔だからかな。
もちろん特殊な顔した役者なんて腐るほどいるけど(スティーヴ・ブシェミとかクラウス・キンスキーとか岸部一徳等々)、特殊で強烈な顔と演技で破壊する寸前の存在感を発揮する役者達と違って、ジェット・リーの特殊な顔は最も映画栄えしない顔立ちという感じがする。(無個性とか、どこにでもいそうな顔立ちというならまだしも)
映画栄えしない顔立ちだからこそ超絶美麗なカンフーアクションが彼の体を覆い尽くすようにぴったり張り付いているのであって、体の一部、いや大部分といっていいカンフーアクションを強引に引き剥がしたら痛々しく内蔵が顕になるようなもんだ。
過去のイメージってやつかね。
見る前に思っていたよりかは普通に素の役者ジェット・リーを見ることができたけど、志村けんが映画に出たらどんなに上手くてもコントのイメージが完全に拭いきれないのに似て、違和感からたまにふと我に返って過去のカンフーアクションを思い出したり、この役を見たことも無い無名の俳優が演じていたらどういう印象になっていただろうなどと考えたりしてしまう。
ああ、でも北野武や鶴瓶は最初から何の違和感もなかったな。
・・・違いがよく分からない。実のところ演技の良し悪しなんてさっぱり分かっていないし。
ジェット・リーは普通の俳優として何本も映画に出てくれば慣れるかもしれない。
ただ、カンフーアクションをしない俳優ジェット・リーを望んでいる人は少ないと思うが。

ちょろっと出てくる妻役の女優さんが綺麗だ。

ジェット・リーは脚本にほれ込み、ノーギャラで出演しているらしい。

ちょっとネットで検索してみると、軒並み高評価の模様。
つまらなくはなかったけど、閉塞的に美の上澄みを断片で掬い取っていくようなスカスカ感とスタイリッシュさの間を紙一重で切り抜けていくようなクリストファー・ドイルのカメラはこの脚本に合わないし、久石譲の音楽は相変わらず甘く主張しすぎて邪魔だし、で個人的にはそんなに面白くはなかった。

世界中にいる自閉症の人達は、両親が死んでしまった後一体どのように過ごしているのだろう。

ギンレイホールのプログラム構成は、前回の『人生、ここにあり!』とこれを組み合わせた方が面白そうだ。

映画『木洩れ日の家で』

2007年 監督:ドロタ・ケンジェジャフスカ
製作国:ポーランド
at ギンレイホール




モノクロの病院のドアの窓ガラスににょきっと現れる老婆の顔。
人生が刻みこまれたような深い皺が寡黙に美しい。
この老女の対応をする太った中年女医が横柄な態度な分醜く見えるため、一層この老女が引き立つ。
全編モノクロ作品ということであまり見る気がしなかったけど、この出だしを見る限り結構面白いんじゃないかと期待する。
中盤少し眠くなったけど、全体的には50年代前半辺りの佳作を観ている感じでなかなか面白かった。

ワルシャワ郊外の緑豊かな土地にひっそり佇む木造の古いお屋敷。
91歳になるアニェラ(ダヌタ・シャフラルスカ)はこのお屋敷で愛犬フィラデルフィアを話し相手に静かに暮らしていた。
アニェラは結婚して市街に住んでいる息子の家族と一緒にこの屋敷に住みたかったが、アニェラと違い息子はこの屋敷に何の執着も無かった。
隣人を双眼鏡で覗き見し、フィラデルフィアに話しかける毎日。
たまに息子が孫娘を連れて顔を見せに来るが、ぷくぷく太った孫娘はわがままで祖母に対する愛情のかけらも無い。
仕舞には信じていた息子が。。

冒頭の市街地のシーンで車のブレーキの音が鳴り響いたので、実はアニェラはこの時死んでいて、それに気付かず幽霊のまま生活している、というM・ナイト・シャマラン落ちなんじゃないか?ばればれだぜ、と途中まで信じていたけど、ちゃんと生きていたらしい。
始まって20分くらいはアニェラの事を皆無視している風だったので意図的にやっている気もするが、ただの孤独な老人という演出だったのかな。

登場人物はそれなりにいるけど、8割方アニェラとフィラデルフィアだけとなる。
アニェラを演じたダヌタ・シャフラルスカは1915年生まれで、世界現役最高齢の女優さんらしい。
ちょっとした表情の変化やさりげない仕草にこの役と本人の積み重ねてきた人生が詰まっているようで目が離せない。(途中うとうとしたけどね)
このダヌタ・シャフラルスカと対等に張り合っているのがフィラデルフィアで、本当どういう調教しているのだろう。
両者の演技合戦が見物になっている。
主演犬優賞をあげたいもんだ。

ラストの方のブランコのシーンはもっと感動シーンになるはずだと思うのに、変にカメラが動きすぎて気持ち悪かった。
それ以外に不満は特に無い。