2015年 監督:是枝裕和
製作国:日本
at ギンレイホール
予告編見て泣きそうになった映画は大抵本編見ても泣かない、というmy法則が再び実証されたものの、映画自体はかなり面白かった。
綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずという似ても似つかない美人4姉妹。
いや、映画見て姉妹兄弟親子、全然似てないじゃん、というのも野暮だけど、これだけ存在感のある4姉妹だと気になってしまう。全然似てないから!
っていうのも最初だけで、引き込まれていくと本当の姉妹のように見えるから不思議だ。
すずの寝顔を見て耳がだれそれに似ているとか、そりゃぁ耳くらいなら他人でも似ていたりするよなと思いつつも。
吉田秋生の原作を見ていないのだが、どこまで忠実に再現しているんだろう。
日常会話の妙はいつもより少なめな気がした。
(そういえば何年か前にやっていた「ゴーイング マイ ホーム」っていうドラマは是枝色満開だったな。日常会話だけでほとんど話しが進まない回があったりして)
カマドウマのシーンとか面白かったけど原作にもあるのかな。
全体的な印象としては、これはどちらかというと広瀬すずを愛でる映画なのではないかと思った。
それくらい広瀬すずの美少女っぷりがすさまじい。
役柄もあまりにもいい子すぎて何か裏が絶対あるんじゃないかと勘ぐってしまった。(結局とんでもなくいい子)
彼氏になりそうな男の子もイケメンじゃないし。
もう何年かしたら顔のつくりも変わってきそうだから、本当にいい時期に素晴らしい映画に出演してくれてありがたいことだ。
そういえば大竹しのぶが玄関に現れた瞬間に館内に少し失笑が起きたのだが、なんだったんだろう。
いや、なんとなくは分かる。
散々な言われようの母親が現れた、と思ったら大竹しのぶだった!
適任というか大竹しのぶならこの母親を十二分に表現してくれそうな期待感で俺も思わずにやっとしてしまったし。
綾瀬はるかは普段のぼーっとした感じから想像もつかないしっかり者の長女を演じていながら何の違和感もないという素晴らしさ。
長澤まさみは『ロボコン』を頂点として以降はぱっとしない感じがしていたけど、暫く見ないうちに演技の幅が広がっていた。
夏帆はよく知らないが昔の美少女風の顔立ちより今のほうが愛嬌がある気がする。
2015年12月30日水曜日
映画『きみはいい子』
2014年 監督:呉美保
製作国:日本
at ギンレイホール
中脇初枝の同名連作短編集が原作。
学級崩壊寸前のクラスの担任である新人教師岡野匡(高良健吾)。
モンスターペアレントやら生意気なガキどもやら家に帰れない子供やらと向き合う毎日。
一方娘を折檻している母親(尾野真千子)とママトモ(池脇千鶴)との交流。
そして一人暮らしの老人(喜多道枝)と障害を持つ子供を一人で育てる母親(富田靖子)との話。
の3本の話が軸になっている。
尾野真千子の話だけ独立しているのかと思ったら、池脇千鶴役の夫役が匡の同僚教師の大宮(高橋和也)だったんだな。それなりに関連してたんだ。
海があって丘があって陽光で光り輝く町。
幸せしかないような町で凄惨な事件、なんか起きたらいかにもって感じでつまらないところ。
起きるのはどこにでもありふれた状況や事件。
ありふれていたくなんかないのだが、たぶんありふれている「い~~!」ってなるような出来事。
ラストそこで切るかぁ。
凄惨な事件なら丸く解決でもするのだろうが、ことはこの町に閉じた話じゃないからねぇ。
結構面白かった。尾野真千子役の母親と娘とのやりとりは常に泣きそうになってしまった。
製作国:日本
at ギンレイホール
中脇初枝の同名連作短編集が原作。
学級崩壊寸前のクラスの担任である新人教師岡野匡(高良健吾)。
モンスターペアレントやら生意気なガキどもやら家に帰れない子供やらと向き合う毎日。
一方娘を折檻している母親(尾野真千子)とママトモ(池脇千鶴)との交流。
そして一人暮らしの老人(喜多道枝)と障害を持つ子供を一人で育てる母親(富田靖子)との話。
の3本の話が軸になっている。
尾野真千子の話だけ独立しているのかと思ったら、池脇千鶴役の夫役が匡の同僚教師の大宮(高橋和也)だったんだな。それなりに関連してたんだ。
海があって丘があって陽光で光り輝く町。
幸せしかないような町で凄惨な事件、なんか起きたらいかにもって感じでつまらないところ。
起きるのはどこにでもありふれた状況や事件。
ありふれていたくなんかないのだが、たぶんありふれている「い~~!」ってなるような出来事。
ラストそこで切るかぁ。
凄惨な事件なら丸く解決でもするのだろうが、ことはこの町に閉じた話じゃないからねぇ。
結構面白かった。尾野真千子役の母親と娘とのやりとりは常に泣きそうになってしまった。
2015年12月13日日曜日
映画『サイの季節』
2012年 監督:バフマン・ゴバディ
製作国:イラク/トルコ
at ギンレイホール
世界中が注目しているバフマン・ゴバディ監督です。
亡命中のためトルコで撮影。
クルド系イラン人の詩人サデッグ・キャマンガールの実体験に基づく映画らしい。
詩人のサヘル(カネル・シンドルク)は美しい妻ミナ(モニカ・ベルッチ)と幸せに暮らしていたが、イラン革命により政治犯として収容されてしまう。
政治犯でもなんでもなかったのだが、ミナに思いを寄せる運転手のアクバル(イルマズ・アルドアン)が裏で糸を引いていたのだった。
世間では死んだことになっていたサヘル(ベヘルーズ・ヴォスギー)は30年後に出所し、妻を探し出す。
いやぁ面白かった。
もともとあった映像へのこだわりが、この作品で惜しげもなく開放されている。
映像美とかいっちゃうと胡散臭くなっちゃうし、実際映像美という感じではない。
あのコントラストの強い暗めの映像(銀残しかな)に突飛過ぎない幻想映像がしれっと紛れ込んで、地に足がついているのに混沌とした映像世界が出来上がっている。
幻想世界は詩人が主人公だからということだろうが、詩の世界の単なる映像化でもないし心地いいファンタジー映像でもなく、もっとこの映画のストーリーや雰囲気に則してこちらをえぐってくるような攻撃的な使われ方をしている。
『ペルシャ猫を誰も知らない』では音楽で畳み掛けてきたけど、今回は映像で圧倒してくる。
バフマン・ゴバディはまだ3作しか見ていないけど、なんか見るたびに雰囲気が異なるよな。監督名知らないで見てバフマン・ゴバディと当てる自信が全く起きない。
製作国:イラク/トルコ
at ギンレイホール
世界中が注目しているバフマン・ゴバディ監督です。
亡命中のためトルコで撮影。
クルド系イラン人の詩人サデッグ・キャマンガールの実体験に基づく映画らしい。
詩人のサヘル(カネル・シンドルク)は美しい妻ミナ(モニカ・ベルッチ)と幸せに暮らしていたが、イラン革命により政治犯として収容されてしまう。
政治犯でもなんでもなかったのだが、ミナに思いを寄せる運転手のアクバル(イルマズ・アルドアン)が裏で糸を引いていたのだった。
世間では死んだことになっていたサヘル(ベヘルーズ・ヴォスギー)は30年後に出所し、妻を探し出す。
いやぁ面白かった。
もともとあった映像へのこだわりが、この作品で惜しげもなく開放されている。
映像美とかいっちゃうと胡散臭くなっちゃうし、実際映像美という感じではない。
あのコントラストの強い暗めの映像(銀残しかな)に突飛過ぎない幻想映像がしれっと紛れ込んで、地に足がついているのに混沌とした映像世界が出来上がっている。
幻想世界は詩人が主人公だからということだろうが、詩の世界の単なる映像化でもないし心地いいファンタジー映像でもなく、もっとこの映画のストーリーや雰囲気に則してこちらをえぐってくるような攻撃的な使われ方をしている。
『ペルシャ猫を誰も知らない』では音楽で畳み掛けてきたけど、今回は映像で圧倒してくる。
バフマン・ゴバディはまだ3作しか見ていないけど、なんか見るたびに雰囲気が異なるよな。監督名知らないで見てバフマン・ゴバディと当てる自信が全く起きない。
映画『雪の轍』
2014年 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
製作国:トルコ/フランス/ドイツ
at ギンレイホール
上映時間120分を超えたらそれだけで悪だと思う。
196分。
120分を少し超えるどこの話じゃない。
パルム・ドールとったかなんか知らないが今回はパスしようかと思ったけど、併映がバフマン・ゴバディなんだよなぁということでとりあえず見ることにする。
・・・まあ、意外と面白かった。
舞台はトルコのカッパドキア。
元舞台役者のアイドゥン(ハルク・ビルギナー)は親の遺産を引き継いでホテルの経営等をしている資産家。
地元紙にコラムを書く執筆業もやったりしてインテリ、ぶっている。
若い妻は慈善活動に勤しんでいる。
アイドゥンの妹は離婚してアイドゥンのいる実家のホテルに居候している。
この三者の確執、とアイドゥンが家を貸している家族とのいざこざが絡んで196分。
カッパドキアの奇妙な風景の中繰り広げられる物語は、うんざりするくらい面倒な普遍的な人間関係の物語だった。
基本会話劇。
風景と物語のギャップがすさまじい。
阿呆そうな妻が慈善事業の仲間を家に呼んだときのアイドゥンに対するいらつく言動やら、家賃を滞納する家族とか、最初アイドゥンだけがまともだと思っていたけど、アイドゥンはアイドゥンで大概嫌味な男だったりする。
別に殺人事件が起きるとかそんなんじゃないけど、会話劇の節々に人間の嫌な部分とかプライドとか悲しい部分が吹きだまっていて、面倒くせえなぁと思いつつも会話のやりとりでゆっくりと顕になる登場人物達の心情に引き込まれていく。
製作国:トルコ/フランス/ドイツ
at ギンレイホール
上映時間120分を超えたらそれだけで悪だと思う。
196分。
120分を少し超えるどこの話じゃない。
パルム・ドールとったかなんか知らないが今回はパスしようかと思ったけど、併映がバフマン・ゴバディなんだよなぁということでとりあえず見ることにする。
・・・まあ、意外と面白かった。
舞台はトルコのカッパドキア。
元舞台役者のアイドゥン(ハルク・ビルギナー)は親の遺産を引き継いでホテルの経営等をしている資産家。
地元紙にコラムを書く執筆業もやったりしてインテリ、ぶっている。
若い妻は慈善活動に勤しんでいる。
アイドゥンの妹は離婚してアイドゥンのいる実家のホテルに居候している。
この三者の確執、とアイドゥンが家を貸している家族とのいざこざが絡んで196分。
カッパドキアの奇妙な風景の中繰り広げられる物語は、うんざりするくらい面倒な普遍的な人間関係の物語だった。
基本会話劇。
風景と物語のギャップがすさまじい。
阿呆そうな妻が慈善事業の仲間を家に呼んだときのアイドゥンに対するいらつく言動やら、家賃を滞納する家族とか、最初アイドゥンだけがまともだと思っていたけど、アイドゥンはアイドゥンで大概嫌味な男だったりする。
別に殺人事件が起きるとかそんなんじゃないけど、会話劇の節々に人間の嫌な部分とかプライドとか悲しい部分が吹きだまっていて、面倒くせえなぁと思いつつも会話のやりとりでゆっくりと顕になる登場人物達の心情に引き込まれていく。
2015年11月29日日曜日
映画『サンドラの週末』
2014年 監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ
製作国:ベルギー/フランス/イタリア
at ギンレイホール
工場労働者のサンドラ(マリオン・コティヤール)は夫と共働きで二人の子供を育てている。
サンドラはうつ病で休職中だったが、完治したので復帰しようとした矢先、会社から解雇されてしまう。
サンドラを解雇しないと社員にボーナスが支給できないという。
解雇を撤回するには次の月曜の社員による投票で同僚16人のうち過半数がボーナスをあきらめサンドラの復職に投票する必要がある。
今解雇されてしまうと生活が成り立たなくなってしまうサンドラは週末に同僚一人一人を訪ねて説得を試みる。
いきなり解雇通知するのもひどいが、解雇かボーナスを諦めるか社員に選ばせるのもひどい。
解雇されたくないからボーナスを諦めてくれ、って同僚とどこまで親密なのか知らないが、親密の度合いに関係なくきつい説得だよね。
ましてやうつ病の病み上がりの人にやらせることじゃない。
実際サンドラは何度も心が折れかけている。
それでも夫の支えや、中にはうれしいことを言ってくれる同僚もいたりして、なんとか進んでいく。
何度も足を滑らせながら渡っていく危うい綱渡りを見ているようだ。
一人一人の説得がそれぞれワンカットになっているみたいで、かつドキュメンタリー風の映像が生々しい緊張感を湛えている。
結構好きだと思ったらこの監督さん『息子のまなざし』とか『少年と自転車』の人だな。覚えておこう。
製作国:ベルギー/フランス/イタリア
at ギンレイホール
工場労働者のサンドラ(マリオン・コティヤール)は夫と共働きで二人の子供を育てている。
サンドラはうつ病で休職中だったが、完治したので復帰しようとした矢先、会社から解雇されてしまう。
サンドラを解雇しないと社員にボーナスが支給できないという。
解雇を撤回するには次の月曜の社員による投票で同僚16人のうち過半数がボーナスをあきらめサンドラの復職に投票する必要がある。
今解雇されてしまうと生活が成り立たなくなってしまうサンドラは週末に同僚一人一人を訪ねて説得を試みる。
いきなり解雇通知するのもひどいが、解雇かボーナスを諦めるか社員に選ばせるのもひどい。
解雇されたくないからボーナスを諦めてくれ、って同僚とどこまで親密なのか知らないが、親密の度合いに関係なくきつい説得だよね。
ましてやうつ病の病み上がりの人にやらせることじゃない。
実際サンドラは何度も心が折れかけている。
それでも夫の支えや、中にはうれしいことを言ってくれる同僚もいたりして、なんとか進んでいく。
何度も足を滑らせながら渡っていく危うい綱渡りを見ているようだ。
一人一人の説得がそれぞれワンカットになっているみたいで、かつドキュメンタリー風の映像が生々しい緊張感を湛えている。
結構好きだと思ったらこの監督さん『息子のまなざし』とか『少年と自転車』の人だな。覚えておこう。
映画『パレードへようこそ』
2014年 監督:マシュー・ウォーチャス
製作国:イギリス
at ギンレイホール
1984年サッチャー政権下で発表された20箇所の炭鉱閉鎖。
抗議のストライキは4ヶ月目に入ろうとしていた。
ロンドンの同性愛者仲間達は自分たちと同じように政府に弾圧されている炭鉱夫達を支援しようと“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”を立ち上げる。
まだ同性愛者に厳しい時代、集められた基金を全国炭坑労働組合に送ろうとするが何度電話してもやんわり逃げられてしまう。
ならば直接炭鉱に電話しよう、とウェールズの炭坑町に電話したところあっさり受け入れられて、そこから町の人々との交流が始まる。
実話がもとになっているらしい。
厳しさ辛さを乗り越えるバイタリティにあふれた人たちってすごいよね。
おばちゃん嫌いの僕でもこの映画のおばちゃんパワーにはほっこりしてしまう。
検索してみるとなかなか評価が高い模様。
まあ普通に面白かった。
製作国:イギリス
at ギンレイホール
1984年サッチャー政権下で発表された20箇所の炭鉱閉鎖。
抗議のストライキは4ヶ月目に入ろうとしていた。
ロンドンの同性愛者仲間達は自分たちと同じように政府に弾圧されている炭鉱夫達を支援しようと“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”を立ち上げる。
まだ同性愛者に厳しい時代、集められた基金を全国炭坑労働組合に送ろうとするが何度電話してもやんわり逃げられてしまう。
ならば直接炭鉱に電話しよう、とウェールズの炭坑町に電話したところあっさり受け入れられて、そこから町の人々との交流が始まる。
実話がもとになっているらしい。
厳しさ辛さを乗り越えるバイタリティにあふれた人たちってすごいよね。
おばちゃん嫌いの僕でもこの映画のおばちゃんパワーにはほっこりしてしまう。
検索してみるとなかなか評価が高い模様。
まあ普通に面白かった。
2015年11月15日日曜日
映画『セッション』
2014年 監督:デイミアン・チャゼル
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
予告編見て思い出した。
「ラスト9分19秒 映画史が塗り替えられる」
って、ああ、またラストでしょうもないどんでん返しがあるようなインパクトのみの映画かぁ、みたいに思っていたんだった。
本編見ているときは予告編のことなんてすっかり覚えていなくて、で、問題のラスト。
いや、絶対ただでは済まないでしょう、っていう強烈な不安から来る緊張感で心臓ばくばくしながら突入したラスト9分19秒、映画史がどうこうはよく知らないが、一言で言うならとにかく圧巻だった。
とかいうチープな言葉しか出てこないけど、筆舌を尽くせばネタばれになるからさぁ。。
最近エンドロールが流れるころには見た映画を忘れているくらいのドライさだったけど、久しぶりに余韻がしばらく消えないくらい興奮した。
しかし見事だわ。ドラマ的にも演出的にも恐ろしく感動的に昇華されたラスト。ラストのワンカットが静かな余韻を残す名作ならいっぱいあるけど、こんなに長い時間かけて暴力的に飲み込んでくるラストは初めてだ。
ストーリーの概要はまあ予告編のとおり。
名門音楽大学の中にあってさらに最高峰にあるテレンス・フレッチャー教授(J・K・シモンズ)のバンドに加入することが叶ったドラマーのアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)。
揚々と参加した練習では鬼のしごきが待っていた。
予告編にまんまあるけど、椅子は飛ぶ、ひっぱたかれる、罵詈雑言を浴びせられる。
ニーマンと雑談を交わして得たニーマンが父子家庭だという情報も駆使して父親の悪口まで言う。
アニメおたくなら「俺のことはなんと言ってもかまわない。だけど親父の悪口は許さん!」とよくあるセリフを吐いて怒り出しそうなところ。
トロンボーンパートのしごきなんか凄かった。
音程がずれている奴がいるといって一人の気弱そうな青年に思いっきり顔を近づけて大声で罵詈雑言を浴びせかける。
音程がずれていることを分かっていたのか?分からないのか?分からないなら問題外だ!出て行け、みたいな。
その後のオチがまじかよってくらいひどい。
厳しくすることに美学を持っている人ってたまにいるよね。
大体が切れやすくて情緒不安定なだけなんだけど、自分が悪者になることで相手が伸びればそれでいい、みたいな後付け論理で正当化する人。
フレッチャー教授もどちらかというとその部類。
ラストの方ではせこい小物臭まで漂わせ始める。
でもそこまで落としておいてからのあれ、だからこそのラストだよな。
ちなみに俺はほめられて伸びるタイプ。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
予告編見て思い出した。
「ラスト9分19秒 映画史が塗り替えられる」
って、ああ、またラストでしょうもないどんでん返しがあるようなインパクトのみの映画かぁ、みたいに思っていたんだった。
本編見ているときは予告編のことなんてすっかり覚えていなくて、で、問題のラスト。
いや、絶対ただでは済まないでしょう、っていう強烈な不安から来る緊張感で心臓ばくばくしながら突入したラスト9分19秒、映画史がどうこうはよく知らないが、一言で言うならとにかく圧巻だった。
とかいうチープな言葉しか出てこないけど、筆舌を尽くせばネタばれになるからさぁ。。
最近エンドロールが流れるころには見た映画を忘れているくらいのドライさだったけど、久しぶりに余韻がしばらく消えないくらい興奮した。
しかし見事だわ。ドラマ的にも演出的にも恐ろしく感動的に昇華されたラスト。ラストのワンカットが静かな余韻を残す名作ならいっぱいあるけど、こんなに長い時間かけて暴力的に飲み込んでくるラストは初めてだ。
ストーリーの概要はまあ予告編のとおり。
名門音楽大学の中にあってさらに最高峰にあるテレンス・フレッチャー教授(J・K・シモンズ)のバンドに加入することが叶ったドラマーのアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)。
揚々と参加した練習では鬼のしごきが待っていた。
予告編にまんまあるけど、椅子は飛ぶ、ひっぱたかれる、罵詈雑言を浴びせられる。
ニーマンと雑談を交わして得たニーマンが父子家庭だという情報も駆使して父親の悪口まで言う。
アニメおたくなら「俺のことはなんと言ってもかまわない。だけど親父の悪口は許さん!」とよくあるセリフを吐いて怒り出しそうなところ。
トロンボーンパートのしごきなんか凄かった。
音程がずれている奴がいるといって一人の気弱そうな青年に思いっきり顔を近づけて大声で罵詈雑言を浴びせかける。
音程がずれていることを分かっていたのか?分からないのか?分からないなら問題外だ!出て行け、みたいな。
その後のオチがまじかよってくらいひどい。
厳しくすることに美学を持っている人ってたまにいるよね。
大体が切れやすくて情緒不安定なだけなんだけど、自分が悪者になることで相手が伸びればそれでいい、みたいな後付け論理で正当化する人。
フレッチャー教授もどちらかというとその部類。
ラストの方ではせこい小物臭まで漂わせ始める。
でもそこまで落としておいてからのあれ、だからこそのラストだよな。
ちなみに俺はほめられて伸びるタイプ。
映画『君が生きた証』
2014年 監督:ウィリアム・H・メイシー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
息子をなくしてエリートサラリーマンの道を捨ててほぼ浮浪者のようなヨット暮らしを続けるサム(ビリー・クラダップ)。
息子に関わるものは一つも見たくなかったが、息子が残した歌に惹かれ始める。
で、自分で歌いだす。
そしたら若者がむらがってくる。
ウィリアム・H・メイシーの初監督作。
音楽ものって大体うるさく感じることが多いけど、いい声、いい演奏でなかなか聞きごたえがある。
ビリー・クラダップとアントン・イェルチンが吹き替えなしで演奏しているらしい。
バーに出演する脇役の人たちも個性的でいったいどこから見つけてきたのだろう。
音楽ものって書いたけど、結構重めの人間ドラマでもある。
このドラマの中で「音楽」は重要な位置を占めていて、かつ音楽での感情表現が肝なシーンもちらほらある。
特にラストはいいよねぇ。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
息子をなくしてエリートサラリーマンの道を捨ててほぼ浮浪者のようなヨット暮らしを続けるサム(ビリー・クラダップ)。
息子に関わるものは一つも見たくなかったが、息子が残した歌に惹かれ始める。
で、自分で歌いだす。
そしたら若者がむらがってくる。
ウィリアム・H・メイシーの初監督作。
音楽ものって大体うるさく感じることが多いけど、いい声、いい演奏でなかなか聞きごたえがある。
ビリー・クラダップとアントン・イェルチンが吹き替えなしで演奏しているらしい。
バーに出演する脇役の人たちも個性的でいったいどこから見つけてきたのだろう。
音楽ものって書いたけど、結構重めの人間ドラマでもある。
このドラマの中で「音楽」は重要な位置を占めていて、かつ音楽での感情表現が肝なシーンもちらほらある。
特にラストはいいよねぇ。
2015年11月1日日曜日
映画『イマジン』
2010年 監督:アンジェイ・ヤキモフスキ
製作国:ポーランド/ポルトガル/フランス/イギリス
at ギンレイホール
リスボンの視覚障害者のための診療所にやってきた盲目のイアン(エドワード・ホッグ)。
彼は反響定位という方法で杖なしで外を歩くことができる。
イアンはこの反響定位を教えるインストラクターだった。
10代の子供たちに指導するイアン。
そしてイアンの隣に部屋に住む引きこもりがちな女性エヴァ(アレクサンドラ・マリア・ララ)は、イアンの授業とイアンに次第に惹かれ始めていく。
自然光で撮っているらしい。
舞台はポルトガルだが、映像の雰囲気はイラン映画や中央アジア系の映画に似ている。
盲目かつエコーロケーションなので、音に非常に敏感になる。
自然光のざらざらした質感の映像と、心地よい音、盲目のそこはかとなく漂う不安感、そしてそれらを妨げない多くを語らないストーリー。
大好きだわ。かなり面白かった。
面白かったんだけど、ただ、同じ題材をイランの監督が撮ったらもっと面白かったんじゃないかと考えてしまった。
もっとシンプルに、もっとざらついて、もっと詩的になりそうで。
そういえばモフセン・マフマルバフ『サイレンス』とかマジッド・マジディ『太陽は、ぼくの瞳』等、イラン映画の盲目ものは結構あるな。
製作国:ポーランド/ポルトガル/フランス/イギリス
at ギンレイホール
リスボンの視覚障害者のための診療所にやってきた盲目のイアン(エドワード・ホッグ)。
彼は反響定位という方法で杖なしで外を歩くことができる。
イアンはこの反響定位を教えるインストラクターだった。
10代の子供たちに指導するイアン。
そしてイアンの隣に部屋に住む引きこもりがちな女性エヴァ(アレクサンドラ・マリア・ララ)は、イアンの授業とイアンに次第に惹かれ始めていく。
自然光で撮っているらしい。
舞台はポルトガルだが、映像の雰囲気はイラン映画や中央アジア系の映画に似ている。
盲目かつエコーロケーションなので、音に非常に敏感になる。
自然光のざらざらした質感の映像と、心地よい音、盲目のそこはかとなく漂う不安感、そしてそれらを妨げない多くを語らないストーリー。
大好きだわ。かなり面白かった。
面白かったんだけど、ただ、同じ題材をイランの監督が撮ったらもっと面白かったんじゃないかと考えてしまった。
もっとシンプルに、もっとざらついて、もっと詩的になりそうで。
そういえばモフセン・マフマルバフ『サイレンス』とかマジッド・マジディ『太陽は、ぼくの瞳』等、イラン映画の盲目ものは結構あるな。
映画『おみおくりの作法』
2013年 監督:ウベルト・パゾリーニ
製作国:イギリス/イタリア
at ギンレイホール
主演エディ・マーサン。
この人初めて見たけど一気にファンになった。
たたずまいだけで絵になる役者なんて世界中に数えるほどしかいないけど、エディ・マーサンは確実にその一人に入る。
顔もスタイルもかっこよくもなんともないのに、スクリーンに映える静かな存在感があって。
ロンドンの民生委員、ジョン・メイ(エディ・マーサン)は、孤独死した身寄りのない人たちの身辺整理から葬儀までを行う仕事をしている。
故人の人生を調査し、本当に縁故はないのか確認し、葬儀では故人に合ったベストなBGMをチョイスする等、常に敬意を払って一人一人丁寧に送り出していく。
しかしその几帳面さが仇になり、仕事が遅いという理由でリストラされることになる。
最後の仕事として、アパートの向かいに住んでいながら全く知らなかった老人ビリー・ストークを手がけることになったジョン・メイは、彼の人生を紐解く旅に出る。
ラストの方で、何この展開、と意味がわからず呆気に取られたけど、ラストシーンでは涙がぼろぼろ出てきた。
このラストシーンのためにはそういう展開もしょうがない。
原題は「STILL LIFE」。原題の方がこの映画の空気感に合っている。
製作国:イギリス/イタリア
at ギンレイホール
主演エディ・マーサン。
この人初めて見たけど一気にファンになった。
たたずまいだけで絵になる役者なんて世界中に数えるほどしかいないけど、エディ・マーサンは確実にその一人に入る。
顔もスタイルもかっこよくもなんともないのに、スクリーンに映える静かな存在感があって。
ロンドンの民生委員、ジョン・メイ(エディ・マーサン)は、孤独死した身寄りのない人たちの身辺整理から葬儀までを行う仕事をしている。
故人の人生を調査し、本当に縁故はないのか確認し、葬儀では故人に合ったベストなBGMをチョイスする等、常に敬意を払って一人一人丁寧に送り出していく。
しかしその几帳面さが仇になり、仕事が遅いという理由でリストラされることになる。
最後の仕事として、アパートの向かいに住んでいながら全く知らなかった老人ビリー・ストークを手がけることになったジョン・メイは、彼の人生を紐解く旅に出る。
ラストの方で、何この展開、と意味がわからず呆気に取られたけど、ラストシーンでは涙がぼろぼろ出てきた。
このラストシーンのためにはそういう展開もしょうがない。
原題は「STILL LIFE」。原題の方がこの映画の空気感に合っている。
2015年10月25日日曜日
映画『Mommy/マミー』
2014年 監督:グザヴィエ・ドラン
製作国:カナダ
at ギンレイホール
施設に入院させていた15歳の息子スティーヴ(アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン)を母親ダイアン(アンヌ・ドルヴァル)が引き取りにくるところから始まる。
なんでも施設で手が負えないくらいの暴れっぷりで強制退院みたいな形らしい。
母親はけばめで頭も悪そうな感じでなんかきついかも、と思ったけど、見終わるころにはOhマミーって感じに愛しくなっている。
スティーヴはADHDで、一度キレると母親をも殺しかねない暴れっぷりを見せるが、普段はちょっとやんちゃな少年といった感じ。
父親がいないので、母親と息子の二人三脚の生活が始まる。
この映画、画面サイズがなぜか縦横1:1になっている。
だから狭い。
構図によるのか、本来写っているはずの部分が強引に切り取られているような違和感まで感じる。
と、いっても段々慣れるんだけどさ。
途中、夢シーン等で横が広がったりして、その時の開放感がすごい。
製作国:カナダ
at ギンレイホール
施設に入院させていた15歳の息子スティーヴ(アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン)を母親ダイアン(アンヌ・ドルヴァル)が引き取りにくるところから始まる。
なんでも施設で手が負えないくらいの暴れっぷりで強制退院みたいな形らしい。
母親はけばめで頭も悪そうな感じでなんかきついかも、と思ったけど、見終わるころにはOhマミーって感じに愛しくなっている。
スティーヴはADHDで、一度キレると母親をも殺しかねない暴れっぷりを見せるが、普段はちょっとやんちゃな少年といった感じ。
父親がいないので、母親と息子の二人三脚の生活が始まる。
この映画、画面サイズがなぜか縦横1:1になっている。
だから狭い。
構図によるのか、本来写っているはずの部分が強引に切り取られているような違和感まで感じる。
と、いっても段々慣れるんだけどさ。
途中、夢シーン等で横が広がったりして、その時の開放感がすごい。
2015年10月18日日曜日
映画『真夜中のゆりかご』
2014年 監督:スサンネ・ビア
製作国:デンマーク
at ギンレイホール
スサンネ・ビアの監督作って映像の雰囲気が面白いんだよな。
乾いているようでいてその奥には悲哀とかやるせなさとかそういう重い空気が淀むように漂っている。
だからサスペンスとか人間ドラマがよく合う。
真面目な警官アンドレアス(ニコライ・コスター=ワルドー)は美しい妻アナ(マリア・ボネヴィー)と生まれて間もない赤ん坊とで幸せな日々を送っている。
ある日、通報があり以前逮捕したことのある男の家に向かったところ、育児放棄により浴室に放置されて糞尿まみれになっている赤ん坊を発見する。
同じ赤ん坊を育てている身として、この子をなんとか保護しようとするが、法の関係等で上手くいかない。
そんな時、自分の子供があーってなる。あーってなっちゃって妻は半狂乱で、追い詰められたアンドレアスは一石二鳥ばりの妙案、でも犯罪を思いつく。
最後に予告編でも謳っている「衝撃の事実」があるけど、サスペンスというよりかはその事実もまた人間ドラマのひとつになっている。
役者陣が皆鬼気迫る演技。サネ役のリッケ・マイ・アナスンなんか映画初主演らしい。
製作国:デンマーク
at ギンレイホール
スサンネ・ビアの監督作って映像の雰囲気が面白いんだよな。
乾いているようでいてその奥には悲哀とかやるせなさとかそういう重い空気が淀むように漂っている。
だからサスペンスとか人間ドラマがよく合う。
真面目な警官アンドレアス(ニコライ・コスター=ワルドー)は美しい妻アナ(マリア・ボネヴィー)と生まれて間もない赤ん坊とで幸せな日々を送っている。
ある日、通報があり以前逮捕したことのある男の家に向かったところ、育児放棄により浴室に放置されて糞尿まみれになっている赤ん坊を発見する。
同じ赤ん坊を育てている身として、この子をなんとか保護しようとするが、法の関係等で上手くいかない。
そんな時、自分の子供があーってなる。あーってなっちゃって妻は半狂乱で、追い詰められたアンドレアスは一石二鳥ばりの妙案、でも犯罪を思いつく。
最後に予告編でも謳っている「衝撃の事実」があるけど、サスペンスというよりかはその事実もまた人間ドラマのひとつになっている。
役者陣が皆鬼気迫る演技。サネ役のリッケ・マイ・アナスンなんか映画初主演らしい。
2015年10月4日日曜日
映画『駆込み女と駆出し男』
2015年 監督:原田眞人
製作国:日本
at ギンレイホール
本当自然が綺麗だわ。
日本の四季や寺や庭等々、いちいち美しい。
とまあ、NHKのドキュメンタリーを見ているわけではないのでそれはそれとしても、映画全体としてもなかなか面白かった。
原案は井上ひさしの『東慶寺花だより』。
風景のショットは時に冷酷に、時に厳しい世の中にもある人の優しさや愛情にほっとするのと同じように和む。
ただ、自然が綺麗な分、たまにセットがセットくさいく見えてしまうことがあるけど。
女優陣が皆綺麗だった。
じょご役に戸田恵梨香。
戸田恵梨香は脚が綺麗という以外今まで印象になかったけど、いい女優さんになっていたんだな。
お吟役に満島ひかり。
名前はよく聞くけど初めて見た。お歯黒とか眉なしでよくわからなかったがたぶん美人なんだろう。
ゆう役に内山理名。
男装が似合いすぎる。
法秀尼役に陽月華。
この人が一番気になった。元宝塚らしい。とにかく雰囲気があって映画女優としてひっぱりだこになりそう。
お勝役にキムラ緑子。
えっ、まあ綺麗ではないけど、この人沢村貞子並の名バイプレイヤーになりそうだな。
主演俳優に大泉洋。
口撃による大立ち回り見たときに、あっ、『幕末太陽傳』と思った人も多いはず。
フランキー堺がこの役をやったらもっと面白かったんじゃないかと思うけど適わぬ夢。
じゃあ大泉洋じゃなかったら誰がよかったんだろうと考えると、誰も思い浮かばない。
役者もやるお笑い芸人がよさそうな気もするけど、北野武、笑福亭鶴瓶、坂田師匠、、年齢も雰囲気も合わない。
そもそも中堅どころのお笑い芸人で映画俳優として見ることができる人って一人もいないもんな。
関係ないけど僕の中では駆込寺と言えば隆慶一郎の時代小説『駆込寺蔭始末』で、数十年ぶりに読みたくなってきた。
製作国:日本
at ギンレイホール
本当自然が綺麗だわ。
日本の四季や寺や庭等々、いちいち美しい。
とまあ、NHKのドキュメンタリーを見ているわけではないのでそれはそれとしても、映画全体としてもなかなか面白かった。
原案は井上ひさしの『東慶寺花だより』。
風景のショットは時に冷酷に、時に厳しい世の中にもある人の優しさや愛情にほっとするのと同じように和む。
ただ、自然が綺麗な分、たまにセットがセットくさいく見えてしまうことがあるけど。
女優陣が皆綺麗だった。
じょご役に戸田恵梨香。
戸田恵梨香は脚が綺麗という以外今まで印象になかったけど、いい女優さんになっていたんだな。
お吟役に満島ひかり。
名前はよく聞くけど初めて見た。お歯黒とか眉なしでよくわからなかったがたぶん美人なんだろう。
ゆう役に内山理名。
男装が似合いすぎる。
法秀尼役に陽月華。
この人が一番気になった。元宝塚らしい。とにかく雰囲気があって映画女優としてひっぱりだこになりそう。
お勝役にキムラ緑子。
えっ、まあ綺麗ではないけど、この人沢村貞子並の名バイプレイヤーになりそうだな。
主演俳優に大泉洋。
口撃による大立ち回り見たときに、あっ、『幕末太陽傳』と思った人も多いはず。
フランキー堺がこの役をやったらもっと面白かったんじゃないかと思うけど適わぬ夢。
じゃあ大泉洋じゃなかったら誰がよかったんだろうと考えると、誰も思い浮かばない。
役者もやるお笑い芸人がよさそうな気もするけど、北野武、笑福亭鶴瓶、坂田師匠、、年齢も雰囲気も合わない。
そもそも中堅どころのお笑い芸人で映画俳優として見ることができる人って一人もいないもんな。
関係ないけど僕の中では駆込寺と言えば隆慶一郎の時代小説『駆込寺蔭始末』で、数十年ぶりに読みたくなってきた。
映画『龍三と七人の子分たち』
2014年 監督:北野武
製作国:日本
at ギンレイホール
どちらかというとコメディよりでなかなか笑える。
それでいて死はコメディチックでなく生々しい。
生々しいのに生々しいままギャグにしてしまうという荒業まで披露する。
ストーリーのほうは、とうに引退したやくざ達が再結集して現代やくざとやりあうというもの。
じじいやくざが正義で現代やくざが悪、という単純な構図でなく、じじいやくざも立派な悪なんだよね。
悪というかはた迷惑といったほうがいいか。
社会の中ですましてこじんまりと生きているよりこういう人たちの方が魅力的だったりする。
ただし実際には関わりあいたくないが。
バスの爆走シーンってバブル期のドラマとか映画とかバラエティとかでよくあったのに最近全然見ないな。
昔を懐かしむじじい達にリンクしてこういうシーンを撮ったのかな。
調べてみたら北野監督作は『座頭市』以来だった。
北野映画の孤独と、日常から何かの拍子にくるっと裏返って突然表出する死のイメージが好きで昔は結構見ていたんだけど、ギンレイホールであまりやってくれないからHANABI以降ほとんど見てないや。
製作国:日本
at ギンレイホール
どちらかというとコメディよりでなかなか笑える。
それでいて死はコメディチックでなく生々しい。
生々しいのに生々しいままギャグにしてしまうという荒業まで披露する。
ストーリーのほうは、とうに引退したやくざ達が再結集して現代やくざとやりあうというもの。
じじいやくざが正義で現代やくざが悪、という単純な構図でなく、じじいやくざも立派な悪なんだよね。
悪というかはた迷惑といったほうがいいか。
社会の中ですましてこじんまりと生きているよりこういう人たちの方が魅力的だったりする。
ただし実際には関わりあいたくないが。
バスの爆走シーンってバブル期のドラマとか映画とかバラエティとかでよくあったのに最近全然見ないな。
昔を懐かしむじじい達にリンクしてこういうシーンを撮ったのかな。
調べてみたら北野監督作は『座頭市』以来だった。
北野映画の孤独と、日常から何かの拍子にくるっと裏返って突然表出する死のイメージが好きで昔は結構見ていたんだけど、ギンレイホールであまりやってくれないからHANABI以降ほとんど見てないや。
2015年9月21日月曜日
映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
2014年 監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
冒頭からえらく長い長まわしだなと思っていたら、最後まで1カットだった。
正確には1カット風。
昼夜の超速転換シーンでカットは入っているだろうし、その他でもカメラがすばやくパンする一瞬とかにカットが入っていたりするんじゃないかな。予想でしかないけど。
長まわし好きにはたまらないかというとそうではなくて、ここまで長いともう長まわしの魅力が薄れるし集中力も続かない。
やっぱり10分前後くらいで映画のダイナミズムが濃縮されているような長まわしじゃないと喜べない。
とはいえ、撮影は大変だったろうし凄いことやっているなとは思うけど。
かつてヒーロー映画「バードマン」で一世を風靡した俳優リーガン(マイケル・キートン)は今は落ちぶれている。
再起をかけて、レイモンド・カーヴァー原作の舞台を自ら脚色、演出、主演で製作する。
その舞台の初日公演までのすったもんだの物語。
予告編にあるI can fly!的なジャンプが気になってたんだよね。
自殺にしてもあんなに手足を後ろにまわすなんて気が触れているとしか思えない。
CG使っているようだから本当に飛んだりするのかな、などと予測していて、本編見た結果は、まあ、そうか、という感じ。
音楽のドラムがかっこいい。要所要所で挿入されてカットの代わりを務めたり盛り上げたりだるさを引き締めたり。
主演はバットマン マイケル・キートン。
娘役にエマ・ストーン。化粧のせいか目が怖かった。
マイク役にエドワード・ノートン。
レズリー役にナオミ・ワッツ。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
冒頭からえらく長い長まわしだなと思っていたら、最後まで1カットだった。
正確には1カット風。
昼夜の超速転換シーンでカットは入っているだろうし、その他でもカメラがすばやくパンする一瞬とかにカットが入っていたりするんじゃないかな。予想でしかないけど。
長まわし好きにはたまらないかというとそうではなくて、ここまで長いともう長まわしの魅力が薄れるし集中力も続かない。
やっぱり10分前後くらいで映画のダイナミズムが濃縮されているような長まわしじゃないと喜べない。
とはいえ、撮影は大変だったろうし凄いことやっているなとは思うけど。
かつてヒーロー映画「バードマン」で一世を風靡した俳優リーガン(マイケル・キートン)は今は落ちぶれている。
再起をかけて、レイモンド・カーヴァー原作の舞台を自ら脚色、演出、主演で製作する。
その舞台の初日公演までのすったもんだの物語。
予告編にあるI can fly!的なジャンプが気になってたんだよね。
自殺にしてもあんなに手足を後ろにまわすなんて気が触れているとしか思えない。
CG使っているようだから本当に飛んだりするのかな、などと予測していて、本編見た結果は、まあ、そうか、という感じ。
音楽のドラムがかっこいい。要所要所で挿入されてカットの代わりを務めたり盛り上げたりだるさを引き締めたり。
主演はバットマン マイケル・キートン。
娘役にエマ・ストーン。化粧のせいか目が怖かった。
マイク役にエドワード・ノートン。
レズリー役にナオミ・ワッツ。
映画『マジック・イン・ムーンライト』
2014年 監督:ウディ・アレン
製作国:アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
ウディ・アレン映画の唯一の安心感は、だいたい100分未満くらいで収めてくれるところだよなぁと見始めた瞬間にふと思った。
舞台は1920年代の。中国人の扮装をしたイギリス人マジシャンがアメリカ人霊媒師のペテンを見破るべく南フランスに乗り込む話。
最近のウディ・アレン映画の中ではなかなか面白かった。
というかエマ・ストーンがどの角度からも綺麗で見飽きなかったからかな。
主演コリン・ファースとエマ・ストーン。
安定の年の差ラブコメディ。
製作国:アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
ウディ・アレン映画の唯一の安心感は、だいたい100分未満くらいで収めてくれるところだよなぁと見始めた瞬間にふと思った。
舞台は1920年代の。中国人の扮装をしたイギリス人マジシャンがアメリカ人霊媒師のペテンを見破るべく南フランスに乗り込む話。
最近のウディ・アレン映画の中ではなかなか面白かった。
というかエマ・ストーンがどの角度からも綺麗で見飽きなかったからかな。
主演コリン・ファースとエマ・ストーン。
安定の年の差ラブコメディ。
2015年9月10日木曜日
映画『フォックスキャッチャー』
2010年 監督:ベネット・ミラー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
実話に基づくとはいえ、この予告編結構ネタばれしているよなぁ。
ネタばれしても面白さはそれほど半減しないとはいえ。
舞台は1980年代のアメリカ。
レスリングで兄弟そろって金メダリストのシュルツ兄弟。
弟は選手としても指導者としても突出した兄を尊敬しつつもコンプレックスを感じている。
それに金メダリストといってもレスリングはマイナー競技?なので生活は苦しい。
そんなとき、弟のマーク・シュルツ(チャニング・テイタム)に大財閥デュポン家の御曹司ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から彼が結成したレスリングチームへの勧誘がある。
弟は乗り気だが兄のデイヴ・シュルツ(マーク・ラファロ)は家族がいるのでデュポン家の邸宅に移り住むことに難色を示し、結局弟だけがデュポン家に行く。
→ジョン・デュポンはあからさまにがっかり
偉大な兄の指導でこれまでやってきたマークはひとり立ちし、指導者としてはくそだが大金持ちのデュポンに次第に心酔していく。
なんか怖いわぁ。全編不気味な雰囲気が漂っていて、狂気がそこかしこに潜んではぐくまれている感じ。
デュポン役のスティーヴ・カレルは初めて見たけど、コメディ俳優らしい。
なにこのギャップは。
背低いくせにいつも顎が上がって人を見下しているようで、しかも無表情なのが怖い。
怖いんだけどレスリング嫌いの母親が見学に来たときに急に張り切って指導を始めるところなんかお茶目であったりして、なんか憎めないマザコン。
マーク役にチャニング・テイタム。
脳筋ぶりが上手い。素?
兄のデイヴ役にマーク・ラファロ。
髪切ると結構はげてるのね。
デュポンの母親役にヴァネッサ・レッドグレーヴ。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
実話に基づくとはいえ、この予告編結構ネタばれしているよなぁ。
ネタばれしても面白さはそれほど半減しないとはいえ。
舞台は1980年代のアメリカ。
レスリングで兄弟そろって金メダリストのシュルツ兄弟。
弟は選手としても指導者としても突出した兄を尊敬しつつもコンプレックスを感じている。
それに金メダリストといってもレスリングはマイナー競技?なので生活は苦しい。
そんなとき、弟のマーク・シュルツ(チャニング・テイタム)に大財閥デュポン家の御曹司ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から彼が結成したレスリングチームへの勧誘がある。
弟は乗り気だが兄のデイヴ・シュルツ(マーク・ラファロ)は家族がいるのでデュポン家の邸宅に移り住むことに難色を示し、結局弟だけがデュポン家に行く。
→ジョン・デュポンはあからさまにがっかり
偉大な兄の指導でこれまでやってきたマークはひとり立ちし、指導者としてはくそだが大金持ちのデュポンに次第に心酔していく。
なんか怖いわぁ。全編不気味な雰囲気が漂っていて、狂気がそこかしこに潜んではぐくまれている感じ。
デュポン役のスティーヴ・カレルは初めて見たけど、コメディ俳優らしい。
なにこのギャップは。
背低いくせにいつも顎が上がって人を見下しているようで、しかも無表情なのが怖い。
怖いんだけどレスリング嫌いの母親が見学に来たときに急に張り切って指導を始めるところなんかお茶目であったりして、なんか憎めないマザコン。
マーク役にチャニング・テイタム。
脳筋ぶりが上手い。素?
兄のデイヴ役にマーク・ラファロ。
髪切ると結構はげてるのね。
デュポンの母親役にヴァネッサ・レッドグレーヴ。
映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
2014年 監督:モルテン・ティルドゥム
製作国:イギリス/アメリカ
at ギンレイホール
戦時中、ドイツのエニグマの解読を試みた数学者アラン・チューリングの物語。
エニグマがよくわからなかったんだけど、複合キーみたいなものが毎日変わるっぽくて、とにかく難しそうだということはなんとなくわかった。
毎日変わるってことは、一日の最後かなんかに翌日の複合キーを送信しているんだろうか。
気になってWikiを見てみたけど、
同じ文字でも打ち込むごとにローターが回転して違う文字に変換されるらしいし、複合キーがあればみたいな単純な話ではないっぽい。
解読するときにプラグボードくらいしかいじっていなかった気がするけど、ローターとかもセットしていたのかなぁ。
で、この情報をどうやって毎日送っているのかはよくわからなかった。
主演はベネディクト・カンバーバッチ。
アスペルガーっぽい言動と天才的頭脳がベネディクト・カンバーバッチの顔立ちによくあっている。なんていってしまうと怒られそうだけど。
チューリングのよき理解者ジョーン役には、今一番男前で美人の女優キーラ・ナイトレイ。
チーム内の打ち解ける過程とか、兄を助けられなかったメンバーのその後とか、いろいろ駆け足な印象もあったけど、115分、なかなか面白かった。
ああ、チューリングテストのチューリングってこのチューリングだったんだ。
製作国:イギリス/アメリカ
at ギンレイホール
戦時中、ドイツのエニグマの解読を試みた数学者アラン・チューリングの物語。
エニグマがよくわからなかったんだけど、複合キーみたいなものが毎日変わるっぽくて、とにかく難しそうだということはなんとなくわかった。
毎日変わるってことは、一日の最後かなんかに翌日の複合キーを送信しているんだろうか。
気になってWikiを見てみたけど、
暗号化・復号の鍵は、いくつかあるローターのうちどの3枚を使うかの組み合わせと、ローターをセットする順序、ローターの目盛りの初期位置、およびプラグボード配線である。
同じ文字でも打ち込むごとにローターが回転して違う文字に変換されるらしいし、複合キーがあればみたいな単純な話ではないっぽい。
解読するときにプラグボードくらいしかいじっていなかった気がするけど、ローターとかもセットしていたのかなぁ。
で、この情報をどうやって毎日送っているのかはよくわからなかった。
主演はベネディクト・カンバーバッチ。
アスペルガーっぽい言動と天才的頭脳がベネディクト・カンバーバッチの顔立ちによくあっている。なんていってしまうと怒られそうだけど。
チューリングのよき理解者ジョーン役には、今一番男前で美人の女優キーラ・ナイトレイ。
チーム内の打ち解ける過程とか、兄を助けられなかったメンバーのその後とか、いろいろ駆け足な印象もあったけど、115分、なかなか面白かった。
ああ、チューリングテストのチューリングってこのチューリングだったんだ。
2015年8月23日日曜日
映画『博士と彼女のセオリー』
2014年 監督:ジェームズ・マーシュ
製作国:イギリス
at ギンレイホール
イギリスの物理学者スティーヴン・ホーキングのお話。
大学時代に難病ALSを発症して余命2年と宣告される。
付き合い始めた彼女は彼を支え続けることを決意する。
この彼女が天使すぎる。
付き合い始めて間もないはずなんだけど、よくそんな決心したな。
敬虔なクリスチャンだからというのもあるだろうけど、多少は献身的な自分に酔っていたりもするんじゃないだろうかと思ってしまう。
演じたのがフェリシティ・ジョーンズっていう綺麗な人だったということもあり、それでも彼女の決心に天使すぎる、と言いたくなるのだけど。
まあ、結果的に天使じゃなかったが、部外者は誰も彼女を責められないよね。
スティーヴン・ホーキングの偉大さとかそこらへんの描写は少ない。夫婦の物語が主題だから。
いい人が多すぎるものの、なかなか面白かった。
製作国:イギリス
at ギンレイホール
イギリスの物理学者スティーヴン・ホーキングのお話。
大学時代に難病ALSを発症して余命2年と宣告される。
付き合い始めた彼女は彼を支え続けることを決意する。
この彼女が天使すぎる。
付き合い始めて間もないはずなんだけど、よくそんな決心したな。
敬虔なクリスチャンだからというのもあるだろうけど、多少は献身的な自分に酔っていたりもするんじゃないだろうかと思ってしまう。
演じたのがフェリシティ・ジョーンズっていう綺麗な人だったということもあり、それでも彼女の決心に天使すぎる、と言いたくなるのだけど。
まあ、結果的に天使じゃなかったが、部外者は誰も彼女を責められないよね。
スティーヴン・ホーキングの偉大さとかそこらへんの描写は少ない。夫婦の物語が主題だから。
いい人が多すぎるものの、なかなか面白かった。
映画『6才のボクが、大人になるまで。』
2014年 監督:リチャード・リンクレイター
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
いつもどおり30分前に行ったら、もう外に並んでいる人たちがいる。
当然満席。こんなに込んでいるギンレイホールは久しぶりだ。
映画は6才の少年が18歳になるまでを追った成長記録。
12年間だけど俳優/女優の交代無し。
つまり12年に渡り毎年?少しずつ撮影したらしい。
誰か事故にでもあってしまったら一気にパーだよね。よく金出したな。
まあ面白かったけど、とにかく長い。
165分あったっぽい。
満席で館内は蒸し暑く、いつもは空席の隣におっさんが座ってしかも肘掛を独占するもんだから圧迫感で落ち着かない、っていうのもあって、120分くらいでもう疲れてしまった。
12年間を描くわけだから165分でも足りないのかもしれないけどさ。
主演はエラー・コルトレーン。
一本の映画で少年が成長していく姿を見るのはなかなか新鮮。
両親役にパトリシア・アークエットとイーサン・ホーク。
姉役にローレライ・リンクレイター。監督の娘らしい。(ちゃっかり娘の成長記録も撮ったということか)
身内びいきと言いたい所だけど、ローレライ・リンクレイターが結構味があってなかなかの存在感を放っていた。
駄目な男にばかり引っかかる母親とか、青年の恋とか夢とか、ありがちといえばありがちな話だけど、12年間の断片的なスナップショットは積み重なって効果を発揮してくる。
どうせ見るなら落ち着いた環境でじっくり見たかったな。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
いつもどおり30分前に行ったら、もう外に並んでいる人たちがいる。
当然満席。こんなに込んでいるギンレイホールは久しぶりだ。
映画は6才の少年が18歳になるまでを追った成長記録。
12年間だけど俳優/女優の交代無し。
つまり12年に渡り毎年?少しずつ撮影したらしい。
誰か事故にでもあってしまったら一気にパーだよね。よく金出したな。
まあ面白かったけど、とにかく長い。
165分あったっぽい。
満席で館内は蒸し暑く、いつもは空席の隣におっさんが座ってしかも肘掛を独占するもんだから圧迫感で落ち着かない、っていうのもあって、120分くらいでもう疲れてしまった。
12年間を描くわけだから165分でも足りないのかもしれないけどさ。
主演はエラー・コルトレーン。
一本の映画で少年が成長していく姿を見るのはなかなか新鮮。
両親役にパトリシア・アークエットとイーサン・ホーク。
姉役にローレライ・リンクレイター。監督の娘らしい。(ちゃっかり娘の成長記録も撮ったということか)
身内びいきと言いたい所だけど、ローレライ・リンクレイターが結構味があってなかなかの存在感を放っていた。
駄目な男にばかり引っかかる母親とか、青年の恋とか夢とか、ありがちといえばありがちな話だけど、12年間の断片的なスナップショットは積み重なって効果を発揮してくる。
どうせ見るなら落ち着いた環境でじっくり見たかったな。
2015年8月9日日曜日
映画『アメリカン・スナイパー』
2014年 監督:クリント・イーストウッド
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
これはカンフー映画だ。
ってドリル男が出てきたときに思った。
わかりやすいラスボスがいて、そのラスボスをやっつけるというカタルシスを得るまでつっきるストーリー。
戦争で精神を病むとかラスボス後のくだりはおまけで。
主人公側は正義、敵側は悪。
と、これが架空の国の架空の人物の話であったなら、手放しで喜んだかもしれないけど、主人公クリス・カイルは実在の人物だし、戦争はイラク戦争を描いている。
そうなると見方は全然違ってくる。
話の流れ上、9.11のあとにイラク戦争に突入しているような感じだから、憎き敵イラクみたいになっちゃっているけど、イラク、関係ないじゃん。
それにイラク戦争自体アメリカが難癖つけて勝手に開戦したのであって、そのアメリカの兵士がPTSDになろうが、知らんがな、と思ってしまう。
戦争で160人以上の敵を射殺した伝説のスナイパークリス・カイルの最初の殺人は、少年とその母親だったけど、戦争とはいえ少年や女を殺さなきゃいけないなんて、戦争ってひどいね、っていう感情よりも、こんな女子供までがアメリカを憎んでいる!って事のほうが先に来る。
敵国イラク側の描写もひどい。まるで残虐で低能で好戦的な野蛮人しかいないかのようだし、アメリカ兵士のイラク人に対する蔑視もひどい。(まあそのおかげで戦闘シーンを普通のアクション映画のように楽しめたりもするんだけど)
そんなわけで、右脳で楽しんで左脳でしらけるという不思議な感覚での鑑賞となった。
こんな映画、中東の人たちには見せられないよなと思いつつ、結末が奇跡的に皮肉な話になっていたので、見ても大丈夫かもと思ったりもする。
無音の黙祷のようなエンドロールが始まって、監督は誰だよ、って目を凝らしていたら、なんとクリント・イーストウッド。
まじか、心の中で悪態つきまくっちゃったけど、俺なんかこの映画を見誤ったのかもと不安になって人の意見を知りたくてネットで調べてみた。
まずウェイン町山
http://miyearnzzlabo.com/archives/22576
なんかアメリカで凄い論争になっているみたいね。
で、町山氏によると、これは戦争を賛美なんかしていない。英雄もいないし、ただ壊れゆく男を描いた話なんだ、なんでそれがわからないんだ、馬鹿ばっかりだ、と。
俺もその馬鹿の一人かもしれない。
いや、そりゃあ戦争を賛美していないことくらいは分かるけどさ、この映画を何も背景を知らずに見たとしたらさ、9.11で多くの命が失われて、テロ許すまじ、ってことで戦争(なぜかイラク戦争)が始まって、その聖戦の中で多くの兵士たちが傷つき倒れ、生き残った兵士もPTSDにかかり、なんにもいいことないのに正義の国アメリカは悪をたたくべく傷つきながら戦っています!っていうふうにしか見えない。
つまりイラク戦争を肯定し、アメリカの正義を訴え、アメリカ最高、アメリカ万歳、ってことでしょ。
壊れゆく男なんてアメリカ万歳に帰結するだけの1要素でしかない。
そんなに精神が病んでいく過程をじっくり描いているわけでもないしさ。
翻訳がよみづらいけどこんな記事もある。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-3dd2.html
これ読むと、アメリカで起こった論争って、論争というか一方的で、この映画に対する批判は一切許されないみたいな状況っぽい。
恐ろしいね。
あと、同ページからのアメリカのイラク占領の話。
ファルージャを調べたらこういうのが引っかかった。
ファルージャ総攻撃の実態
あと、今頃知ったけど、9.11陰謀説なるものもあるんだね。Wikiにもある。
アメリカ同時多発テロ事件陰謀説
真偽のほどはおいておいて、こういう説を唱える人ってどういう気持ちなんだろう。
大統領の人気取りとか経済復興だとかそんな理由で自国民を3000人も犠牲にするやつが世界のTOPだったということに戦慄した上で説を唱えているのだろうか。
イーストウッド自身は『とにかくイラク戦争には反対だ』とはっきり言っているらしい。
PTSDを描きたかったにしても、イラク戦争を題材にし、かつ観客を楽しませるためかイラク戦争をスリリングなアクション映画かのように描いてしまったら、戦争の悲惨さを伝えてもなんだかしらけてしまう。
イーストウッドの意図は知らないが、想像するに、イーストウッドは単にアメリカの一兵士の視点から淡々とこの戦争を描きたかったのではないだろうか。
原作となったクリス・カイルの手記からは、もっとファシスト的で過激な人物像が浮かび上がるらしいが、この映画ではそこを薄めている。
そういう操作はするけど、基本的にはありのまま描く。
一兵士とそれをとりまく人々から見れば、イラク戦争は悪を打ち砕く聖戦であり、イラク人は嫌悪すべき卑劣な野蛮人。
こういう一方的なアメリカ視点で描いて一平凡市民達のアメリカ万歳のような姿勢を貫くことで、批判とかイラク戦争を見つめなおすきっかけとなることを期待していたのかもしれない・・し、していないのかもしれない。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
これはカンフー映画だ。
ってドリル男が出てきたときに思った。
わかりやすいラスボスがいて、そのラスボスをやっつけるというカタルシスを得るまでつっきるストーリー。
戦争で精神を病むとかラスボス後のくだりはおまけで。
主人公側は正義、敵側は悪。
と、これが架空の国の架空の人物の話であったなら、手放しで喜んだかもしれないけど、主人公クリス・カイルは実在の人物だし、戦争はイラク戦争を描いている。
そうなると見方は全然違ってくる。
話の流れ上、9.11のあとにイラク戦争に突入しているような感じだから、憎き敵イラクみたいになっちゃっているけど、イラク、関係ないじゃん。
それにイラク戦争自体アメリカが難癖つけて勝手に開戦したのであって、そのアメリカの兵士がPTSDになろうが、知らんがな、と思ってしまう。
戦争で160人以上の敵を射殺した伝説のスナイパークリス・カイルの最初の殺人は、少年とその母親だったけど、戦争とはいえ少年や女を殺さなきゃいけないなんて、戦争ってひどいね、っていう感情よりも、こんな女子供までがアメリカを憎んでいる!って事のほうが先に来る。
敵国イラク側の描写もひどい。まるで残虐で低能で好戦的な野蛮人しかいないかのようだし、アメリカ兵士のイラク人に対する蔑視もひどい。(まあそのおかげで戦闘シーンを普通のアクション映画のように楽しめたりもするんだけど)
そんなわけで、右脳で楽しんで左脳でしらけるという不思議な感覚での鑑賞となった。
こんな映画、中東の人たちには見せられないよなと思いつつ、結末が奇跡的に皮肉な話になっていたので、見ても大丈夫かもと思ったりもする。
無音の黙祷のようなエンドロールが始まって、監督は誰だよ、って目を凝らしていたら、なんとクリント・イーストウッド。
まじか、心の中で悪態つきまくっちゃったけど、俺なんかこの映画を見誤ったのかもと不安になって人の意見を知りたくてネットで調べてみた。
まずウェイン町山
http://miyearnzzlabo.com/archives/22576
なんかアメリカで凄い論争になっているみたいね。
で、町山氏によると、これは戦争を賛美なんかしていない。英雄もいないし、ただ壊れゆく男を描いた話なんだ、なんでそれがわからないんだ、馬鹿ばっかりだ、と。
俺もその馬鹿の一人かもしれない。
いや、そりゃあ戦争を賛美していないことくらいは分かるけどさ、この映画を何も背景を知らずに見たとしたらさ、9.11で多くの命が失われて、テロ許すまじ、ってことで戦争(なぜかイラク戦争)が始まって、その聖戦の中で多くの兵士たちが傷つき倒れ、生き残った兵士もPTSDにかかり、なんにもいいことないのに正義の国アメリカは悪をたたくべく傷つきながら戦っています!っていうふうにしか見えない。
つまりイラク戦争を肯定し、アメリカの正義を訴え、アメリカ最高、アメリカ万歳、ってことでしょ。
壊れゆく男なんてアメリカ万歳に帰結するだけの1要素でしかない。
そんなに精神が病んでいく過程をじっくり描いているわけでもないしさ。
翻訳がよみづらいけどこんな記事もある。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-3dd2.html
これ読むと、アメリカで起こった論争って、論争というか一方的で、この映画に対する批判は一切許されないみたいな状況っぽい。
恐ろしいね。
あと、同ページからのアメリカのイラク占領の話。
ファルージャ(白リン弾が使用された)や、レジスタンスが潰された他の都市の大量殺戮、アブグレイブでの蛮行、ハディサの大虐殺、マハムディヤでの14歳のイラク人少女輪姦と彼女の家族の虐殺、“レブンワース10”として知られている、バグダッドのアメリカ軍人集団がおかした戦争犯罪、ハムダニアで海兵隊員が行った殺人、“巻き添え殺戮”として知られるバグダッド空爆や、他の無数の残虐行為を、イラク占領は生み出した。記事書いたのアメリカ人だと思うけど「アメリカ軍・諜報機関は、地球上における暴力行為とテロの主要勢力だ」と言ってしまうところが凄い。
イラク国民にむけられた暴力行為や破壊行為は、アメリカ軍がイラクで日常的に行っているのだが、氷山の一角だけしか一般には知られない。これは植民国家“反乱鎮圧作戦”の本質だ。世界中の非常に多くの人々が十分過ぎるくらい理解している通り、アメリカ軍・諜報機関は、地球上における暴力行為とテロの主要勢力だ。
ファルージャを調べたらこういうのが引っかかった。
ファルージャ総攻撃の実態
あと、今頃知ったけど、9.11陰謀説なるものもあるんだね。Wikiにもある。
アメリカ同時多発テロ事件陰謀説
真偽のほどはおいておいて、こういう説を唱える人ってどういう気持ちなんだろう。
大統領の人気取りとか経済復興だとかそんな理由で自国民を3000人も犠牲にするやつが世界のTOPだったということに戦慄した上で説を唱えているのだろうか。
イーストウッド自身は『とにかくイラク戦争には反対だ』とはっきり言っているらしい。
PTSDを描きたかったにしても、イラク戦争を題材にし、かつ観客を楽しませるためかイラク戦争をスリリングなアクション映画かのように描いてしまったら、戦争の悲惨さを伝えてもなんだかしらけてしまう。
イーストウッドの意図は知らないが、想像するに、イーストウッドは単にアメリカの一兵士の視点から淡々とこの戦争を描きたかったのではないだろうか。
原作となったクリス・カイルの手記からは、もっとファシスト的で過激な人物像が浮かび上がるらしいが、この映画ではそこを薄めている。
そういう操作はするけど、基本的にはありのまま描く。
一兵士とそれをとりまく人々から見れば、イラク戦争は悪を打ち砕く聖戦であり、イラク人は嫌悪すべき卑劣な野蛮人。
こういう一方的なアメリカ視点で描いて一平凡市民達のアメリカ万歳のような姿勢を貫くことで、批判とかイラク戦争を見つめなおすきっかけとなることを期待していたのかもしれない・・し、していないのかもしれない。
映画『おやすみなさいを言いたくて』
2013年 監督:エリック・ポッペ
製作国:ノルウェー/アイルランド/スウェーデン
at ギンレイホール
戦場カメラマンのレベッカ(ジュリエット・ビノシュ)は紛争地帯を飛び回る生活を続けている。
たまに帰る家には、優しくイケメンの夫と二人の娘が待っている。
一見幸せそうな家族だが、夫や娘たちは、レベッカがいつ命を落とすかということに常におびえており、精神的に疲れ果ててしまっている。
それを知ったレベッカは、もう紛争地帯には行かないで家族と暮らすことを決意するのだったが。
っていう話。
見ていればわかるけど、レベッカはかなりやばいやつだ。
自分は崇高な仕事をしているという自負に基づいて、理解しない家族に当り散らさないところが救われると思っていたけど、難民キャンプのシーンを見たらそんなのすっ飛ぶ。
娘の安全は守られていたのかもしれないが、母親として側にいないでどうすんだ。
がんがん踏み込んで写真をとりまくるレベッカも、たまたまどっかの軍が助けに来たからよかったものの、あのままだったら確実に殺されていたよね。
その後国連軍が介入してきたのは写真のおかげみたいな流れになっているけど、証拠として判別できる程度の遠くからの写真一枚で十分だし、写真なんか無くても報告だけでもいいよね。
人にカメラを向ける行為って昔からさんざん議論がなされていると思うけど、この映画を見ていると、人の悲しみとか苦しさに平和な国の人間が無遠慮に土足で踏み込んでいくような印象しか受けなかった。
撮られた写真が世界に公開されて自分たちの生活がいい方向に変わるかも、なんて撮られる側は一ミリも考えていないはず。
娘が発表会で、最初は躊躇したけどだんだん抵抗はなくなった。なぜなら彼らは撮られたがっていると感じたから。みたいなことを言っていた気がするけど、大きな勘違いだ。
彼らが怒らないのは生きるのが苦しくてそれどころじゃないから。紛争地帯で、世界に訴えたい、知ってほしい!と思ってカメラに納まる人がいったい何人いるんだろうか。
でも、まあなんだかんだいってもつまらなかったわけじゃなくて、なかなか面白かったんだけどね。
ジュリエット・ビノシュは家庭と仕事の狭間に立たされる葛藤やら狂ったような使命感とか自然に表現して見ごたえがある。
で、そのジュリエット・ビノシュより目立っているのが長女ステフ役のローリン・キャニー。
この子凄いわ。
ビーバーっぽい口元がキュートで、なにより目がきれい。
そのきれいな目が悲しみや不安やあきらめ等、さまざまな感情をまっすぐに訴えてくる。
これが映画デビューらしい。
製作国:ノルウェー/アイルランド/スウェーデン
at ギンレイホール
戦場カメラマンのレベッカ(ジュリエット・ビノシュ)は紛争地帯を飛び回る生活を続けている。
たまに帰る家には、優しくイケメンの夫と二人の娘が待っている。
一見幸せそうな家族だが、夫や娘たちは、レベッカがいつ命を落とすかということに常におびえており、精神的に疲れ果ててしまっている。
それを知ったレベッカは、もう紛争地帯には行かないで家族と暮らすことを決意するのだったが。
っていう話。
見ていればわかるけど、レベッカはかなりやばいやつだ。
自分は崇高な仕事をしているという自負に基づいて、理解しない家族に当り散らさないところが救われると思っていたけど、難民キャンプのシーンを見たらそんなのすっ飛ぶ。
娘の安全は守られていたのかもしれないが、母親として側にいないでどうすんだ。
がんがん踏み込んで写真をとりまくるレベッカも、たまたまどっかの軍が助けに来たからよかったものの、あのままだったら確実に殺されていたよね。
その後国連軍が介入してきたのは写真のおかげみたいな流れになっているけど、証拠として判別できる程度の遠くからの写真一枚で十分だし、写真なんか無くても報告だけでもいいよね。
人にカメラを向ける行為って昔からさんざん議論がなされていると思うけど、この映画を見ていると、人の悲しみとか苦しさに平和な国の人間が無遠慮に土足で踏み込んでいくような印象しか受けなかった。
撮られた写真が世界に公開されて自分たちの生活がいい方向に変わるかも、なんて撮られる側は一ミリも考えていないはず。
娘が発表会で、最初は躊躇したけどだんだん抵抗はなくなった。なぜなら彼らは撮られたがっていると感じたから。みたいなことを言っていた気がするけど、大きな勘違いだ。
彼らが怒らないのは生きるのが苦しくてそれどころじゃないから。紛争地帯で、世界に訴えたい、知ってほしい!と思ってカメラに納まる人がいったい何人いるんだろうか。
でも、まあなんだかんだいってもつまらなかったわけじゃなくて、なかなか面白かったんだけどね。
ジュリエット・ビノシュは家庭と仕事の狭間に立たされる葛藤やら狂ったような使命感とか自然に表現して見ごたえがある。
で、そのジュリエット・ビノシュより目立っているのが長女ステフ役のローリン・キャニー。
この子凄いわ。
ビーバーっぽい口元がキュートで、なにより目がきれい。
そのきれいな目が悲しみや不安やあきらめ等、さまざまな感情をまっすぐに訴えてくる。
これが映画デビューらしい。
2015年7月29日水曜日
映画『はじまりのうた』
2013年 監督:ジョン・カーニー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
音楽を扱った映画って基本的にうるさいから嫌いなんだけど、これはめちゃくちゃ面白かった。
とあるバーで女性がギターの弾き語りをしているシーンから始まる。
そしてそれに熱視線を送る浮浪者っぽい男!こわっ。
時はさかのぼってこの浮浪者っぽい男と女性シンガーがこのバーに来るまでの経緯が描かれる。しゃれおつな構成。
男はかつての名プロデューサーで、女はデビューになんの興味も無いシンガーソングライター。
男は女を説得してその気にさせ、デモテープどころかいきなりアルバムを作り始める。強引。
音楽って楽しいよね、という気分にさせてくれる映画。
恋愛とか家族とか夢とかちょっと変な方向に行きそうな思春期の娘とか、いろいろとじわじわくる要素も詰まっている。
そんで、仕事上のパートナーという位置づけの、親子ほど年の離れたグレタとダン、つまりキーラ・ナイトレイとマーク・ラファロの2ショットがどこ切り取っても絵になるんだな。
なんなんだろう、恋人設定のキーラ・ナイトレイとアダム・レヴィーンの2ショットはありきたりすぎていたって普通なのに、キーラ・ナイトレイとマーク・ラファロの2ショットは輝いている!、と思う。
恋人でもなんでもない仕事上のパートナーって役だけどね。
娘役のヘイリー・スタインフェルドは『トゥルー・グリット』のマティ・ロス役の子か。
大分成長したんだな。この子の独特な顔立ち好きだな。
妻役の人って髪で少し顔が隠れて見ている時はいまいちわからなかったけど、キャサリン・キーナーだった。
映画始まる前にドアの前で並んでいるときにこの映画の主題歌「Lost Stars」が漏れ聞こえてきて、文庫本読みながらなんか懐かしい曲が流れているなと思った。
デヴィッド・ボウイじゃないし、なんだっけなぁ、と少し考えてやめたんだけど、なんか普通にこの映画用に書き下ろされた曲だったっぽい。
前回ギンレイに来たときに館内で流れていたのかなぁ。
YouTubeにあった「Lost Stars」。
まずはキーラ・ナイトレイ版。
しっとり聴きいる歌のうまさで、声もいい。
アダム・レヴィーン版。
マルーン5って1曲も聞いたことないんだけど、アダム・レヴィーンって人めちゃくちゃ歌うまいね。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
音楽を扱った映画って基本的にうるさいから嫌いなんだけど、これはめちゃくちゃ面白かった。
とあるバーで女性がギターの弾き語りをしているシーンから始まる。
そしてそれに熱視線を送る浮浪者っぽい男!こわっ。
時はさかのぼってこの浮浪者っぽい男と女性シンガーがこのバーに来るまでの経緯が描かれる。しゃれおつな構成。
男はかつての名プロデューサーで、女はデビューになんの興味も無いシンガーソングライター。
男は女を説得してその気にさせ、デモテープどころかいきなりアルバムを作り始める。強引。
音楽って楽しいよね、という気分にさせてくれる映画。
恋愛とか家族とか夢とかちょっと変な方向に行きそうな思春期の娘とか、いろいろとじわじわくる要素も詰まっている。
そんで、仕事上のパートナーという位置づけの、親子ほど年の離れたグレタとダン、つまりキーラ・ナイトレイとマーク・ラファロの2ショットがどこ切り取っても絵になるんだな。
なんなんだろう、恋人設定のキーラ・ナイトレイとアダム・レヴィーンの2ショットはありきたりすぎていたって普通なのに、キーラ・ナイトレイとマーク・ラファロの2ショットは輝いている!、と思う。
恋人でもなんでもない仕事上のパートナーって役だけどね。
娘役のヘイリー・スタインフェルドは『トゥルー・グリット』のマティ・ロス役の子か。
大分成長したんだな。この子の独特な顔立ち好きだな。
妻役の人って髪で少し顔が隠れて見ている時はいまいちわからなかったけど、キャサリン・キーナーだった。
映画始まる前にドアの前で並んでいるときにこの映画の主題歌「Lost Stars」が漏れ聞こえてきて、文庫本読みながらなんか懐かしい曲が流れているなと思った。
デヴィッド・ボウイじゃないし、なんだっけなぁ、と少し考えてやめたんだけど、なんか普通にこの映画用に書き下ろされた曲だったっぽい。
前回ギンレイに来たときに館内で流れていたのかなぁ。
YouTubeにあった「Lost Stars」。
まずはキーラ・ナイトレイ版。
しっとり聴きいる歌のうまさで、声もいい。
アダム・レヴィーン版。
マルーン5って1曲も聞いたことないんだけど、アダム・レヴィーンって人めちゃくちゃ歌うまいね。
映画『ビッグ・アイズ』
2014年 監督:ティム・バートン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
実話が元らしい。
60年代にアメリカで大ブームになった、目の大きな女の子の絵。
それを描いたウォルター・キーンは一躍時の人となり、巨大な財を築くのだけど、実はその絵を描いているのは彼の妻のマーガレットだった、という話。
ストーリー的にはラストに来るであろう夫との対決以外に山場はないんじゃないかと思っていたけど、満遍なく面白かった。
新しい夫との素敵な(?)出会いに始まり、一緒に屋外でスケッチするシーンは後の展開へと繋がり、絵が売れ始めてからマーガレットがゴーストであることを黙認してしまうくだりとか、夫ウォルターのプロモーターとしての辣腕ぶりとか、マーガレットの憔悴具合とか、ラストにいくまでの過程が十分面白い。
笑いもふんだんだし。
ただ、過程が面白ければラストはどんだけすかっとするんだろうと思いきや、それほどではない。
ラスト近くのシャイニングばりの狂気を見せられても、丹念に描かれた過程シーンによりウォルターというキャラクターに少なからず親しみを持ってしまっているから。
嫌な奴ではある。人間のクズではある。でも面白いんだよウォルターは。
ラストの一人の立ち回りなんて悲しさとおかしさがまじってなんともいえない感情になる。
映画の一番最後に、本物のマーガレットと、マーガレットを演じたエイミー・アダムスの2ショット写真が映される。
これ見て涙出そうになった。
実話に基づくといわれてもどこか作り物という意識があるところに、本物が急にリンクされるとぐっとくる。
なんだっけ、『最強のふたり』も確か最後に本物の人たちの写真が映っていたけど、あの時はそんなに心動かされなかったな。
これはばあちゃんだからだろうか。
まだ存命だったんだ、というのと、びっくりするくらいのいい笑顔しているから。
主演はエイミー・アダムス。
夫のウォルター役にだいぶ年は離れているけどクリストフ・ヴァルツ。『おとなのけんか』とかジャンゴとか、比較的クールな役でしか見たこと無かったから新鮮。
脇役だと
記者役にダニー・ヒューストン。
なんか偉い批評家っぽい人役にテレンス・スタンプ。
向かいの画廊の主人にウェス・アンダーソン作品でおなじみのジェイソン・シュワルツマン。
あと、幼少期の娘役の子が、かわいいのかかわいくないのかよく分からない顔立ちでつまりかわいかった。デラニー・レイ。
少女期で役者が変わったら普通にかわいくなくなっちゃったけど。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
実話が元らしい。
60年代にアメリカで大ブームになった、目の大きな女の子の絵。
それを描いたウォルター・キーンは一躍時の人となり、巨大な財を築くのだけど、実はその絵を描いているのは彼の妻のマーガレットだった、という話。
ストーリー的にはラストに来るであろう夫との対決以外に山場はないんじゃないかと思っていたけど、満遍なく面白かった。
新しい夫との素敵な(?)出会いに始まり、一緒に屋外でスケッチするシーンは後の展開へと繋がり、絵が売れ始めてからマーガレットがゴーストであることを黙認してしまうくだりとか、夫ウォルターのプロモーターとしての辣腕ぶりとか、マーガレットの憔悴具合とか、ラストにいくまでの過程が十分面白い。
笑いもふんだんだし。
ただ、過程が面白ければラストはどんだけすかっとするんだろうと思いきや、それほどではない。
ラスト近くのシャイニングばりの狂気を見せられても、丹念に描かれた過程シーンによりウォルターというキャラクターに少なからず親しみを持ってしまっているから。
嫌な奴ではある。人間のクズではある。でも面白いんだよウォルターは。
ラストの一人の立ち回りなんて悲しさとおかしさがまじってなんともいえない感情になる。
映画の一番最後に、本物のマーガレットと、マーガレットを演じたエイミー・アダムスの2ショット写真が映される。
これ見て涙出そうになった。
実話に基づくといわれてもどこか作り物という意識があるところに、本物が急にリンクされるとぐっとくる。
なんだっけ、『最強のふたり』も確か最後に本物の人たちの写真が映っていたけど、あの時はそんなに心動かされなかったな。
これはばあちゃんだからだろうか。
まだ存命だったんだ、というのと、びっくりするくらいのいい笑顔しているから。
主演はエイミー・アダムス。
夫のウォルター役にだいぶ年は離れているけどクリストフ・ヴァルツ。『おとなのけんか』とかジャンゴとか、比較的クールな役でしか見たこと無かったから新鮮。
脇役だと
記者役にダニー・ヒューストン。
なんか偉い批評家っぽい人役にテレンス・スタンプ。
向かいの画廊の主人にウェス・アンダーソン作品でおなじみのジェイソン・シュワルツマン。
あと、幼少期の娘役の子が、かわいいのかかわいくないのかよく分からない顔立ちでつまりかわいかった。デラニー・レイ。
少女期で役者が変わったら普通にかわいくなくなっちゃったけど。
2015年7月12日日曜日
映画『0.5ミリ』
2013年 監督:安藤桃子
製作国:日本
at ギンレイホール
明日から出張だし『百円の恋』は113分もあったのにこの『0.5ミリ』は196分もあるし、5時間近くも安藤サクラを見続けるってどうなんだろう、と思って今回ギンレイに行くのを躊躇していたけど、見てよかった。
196分は確かに長い。でもけずれそうなエピソードは無い。
予告編見たときは、おしかけヘルパーするじいさんが何人か入れ替わるみたいだから一人くらいけずって120分以内に収めろよと思ったけど、すべてのエピソードを経てこそのあのラストなので、196分、かなり首が痛くなって疲れたものの満足した。
主演安藤サクラ。
この子の演技しているのに演技していないように見える自然な感じが恐ろしい。才能という意味で。
茂(坂田利夫)に初めて話しかかるときの
「おじいちゃんなにやってるんですか~?」
からの一連の流れは、なにかこう暗くも明るくも無い女が無理に人懐こい声で話しかけているような、もしくはヘルパーとしての職業柄の事務的な声色というか、または生きるために切羽詰った決意を内包しているために声音が演技っぽくなっているというか、、とにかく安藤サクラ演じるサワという女がこの場面この状況この心情でしゃべったらこうなる、というのを安藤サクラはさらっと実践している。
単純に自然な人懐っこい声を出せないという素なのかもしれないけどさ。
調べてみると安藤サクラはどの映画でも演技が絶賛されているみたい。
あと、圧巻だったのは津川雅彦の長回し。
7,8分くらいの独白シーンで、不安で不穏な空気を漂わせながらの台詞回しには引き込まれる。
坂田利夫が出演している映画を見るのはこれが初めてだけど、何この人、ものすごい名役者じゃん。
特に哀愁漂うおっさんとか愛嬌のあるおっさん演じさせたら日本一だな。
安藤サクラの夫って柄本佑なんだね。
ということは、この映画、実際の家族が大いに関わっているんだな、
まず、監督の安藤桃子は安藤サクラの実姉でしょ。
で、佐々木健役の柄本明は安藤サクラの義理の父親。
浜田役の角替和枝は安藤サクラの義理の母親。
フードスタイリストとして参加している安藤和津は安藤サクラの母親。
その他出演者も書いておく。
織本順吉、木内みどり、井上竜夫、ベンガル、浅田美代子(この人も凄い女優だよな)、東出昌大(どこに出ているかわからなかったけどカラオケ店員だったっぽい)、土屋希望。
なかなか豪華。
しれっといれた土屋希望だけど、俺も誰か知らない。この映画がデビュー作で、他には出ていない模様。
そもそも男か女かわからなくて、調べてみたら女性っぽい。失礼しました。
それにしても、検索すると埼玉の高校の野球部員として紹介されていたり、つぶれる寸前のお菓子屋かなんかのブログにベテラン店員として紹介されていたりと謎が多い。
公式ページによるとこの子の父親と安藤桃子が知り合いという縁からスカウトされて出演したらしい。
もう女優はやらないのかな。
製作国:日本
at ギンレイホール
明日から出張だし『百円の恋』は113分もあったのにこの『0.5ミリ』は196分もあるし、5時間近くも安藤サクラを見続けるってどうなんだろう、と思って今回ギンレイに行くのを躊躇していたけど、見てよかった。
196分は確かに長い。でもけずれそうなエピソードは無い。
予告編見たときは、おしかけヘルパーするじいさんが何人か入れ替わるみたいだから一人くらいけずって120分以内に収めろよと思ったけど、すべてのエピソードを経てこそのあのラストなので、196分、かなり首が痛くなって疲れたものの満足した。
主演安藤サクラ。
この子の演技しているのに演技していないように見える自然な感じが恐ろしい。才能という意味で。
茂(坂田利夫)に初めて話しかかるときの
「おじいちゃんなにやってるんですか~?」
からの一連の流れは、なにかこう暗くも明るくも無い女が無理に人懐こい声で話しかけているような、もしくはヘルパーとしての職業柄の事務的な声色というか、または生きるために切羽詰った決意を内包しているために声音が演技っぽくなっているというか、、とにかく安藤サクラ演じるサワという女がこの場面この状況この心情でしゃべったらこうなる、というのを安藤サクラはさらっと実践している。
単純に自然な人懐っこい声を出せないという素なのかもしれないけどさ。
調べてみると安藤サクラはどの映画でも演技が絶賛されているみたい。
あと、圧巻だったのは津川雅彦の長回し。
7,8分くらいの独白シーンで、不安で不穏な空気を漂わせながらの台詞回しには引き込まれる。
坂田利夫が出演している映画を見るのはこれが初めてだけど、何この人、ものすごい名役者じゃん。
特に哀愁漂うおっさんとか愛嬌のあるおっさん演じさせたら日本一だな。
安藤サクラの夫って柄本佑なんだね。
ということは、この映画、実際の家族が大いに関わっているんだな、
まず、監督の安藤桃子は安藤サクラの実姉でしょ。
で、佐々木健役の柄本明は安藤サクラの義理の父親。
浜田役の角替和枝は安藤サクラの義理の母親。
フードスタイリストとして参加している安藤和津は安藤サクラの母親。
その他出演者も書いておく。
織本順吉、木内みどり、井上竜夫、ベンガル、浅田美代子(この人も凄い女優だよな)、東出昌大(どこに出ているかわからなかったけどカラオケ店員だったっぽい)、土屋希望。
なかなか豪華。
しれっといれた土屋希望だけど、俺も誰か知らない。この映画がデビュー作で、他には出ていない模様。
そもそも男か女かわからなくて、調べてみたら女性っぽい。失礼しました。
それにしても、検索すると埼玉の高校の野球部員として紹介されていたり、つぶれる寸前のお菓子屋かなんかのブログにベテラン店員として紹介されていたりと謎が多い。
公式ページによるとこの子の父親と安藤桃子が知り合いという縁からスカウトされて出演したらしい。
もう女優はやらないのかな。
映画『百円の恋』
2014年 監督:武正晴
製作国:日本
at ギンレイホール
ニートっぽいけどニートじゃない家事手伝い女、一子(安藤サクラ)は、とあるきっかけで家を出て一人暮らしをはじめる。
仕事やら恋やらボクシングやら、と生まれてはじめての事を経験しながら成長していく物語。
って書くとたいして面白そうでもないけど、意外とかなり面白い。
ドラマティックな成功譚ではなくて地味な成長譚だけど、みなぎる社会の底辺感の中、静かに燃えるくじけない闘志が胸を打つ。
笑ったり怒ったり嫌な気分になったりHAPPYになったり、ひっきりなしに楽しませてもくれる。
それとなんといってもボクシングシーンが泣ける。
脚本は脚本賞“松田優作賞”の第1回グランプリになった作品らしい。
監督武正晴作は初めて見たけど結構好きなタイプかもしれない。
予告編にもあるこけるシーンとか、こういう地味なシーン好きだ。
製作国:日本
at ギンレイホール
ニートっぽいけどニートじゃない家事手伝い女、一子(安藤サクラ)は、とあるきっかけで家を出て一人暮らしをはじめる。
仕事やら恋やらボクシングやら、と生まれてはじめての事を経験しながら成長していく物語。
って書くとたいして面白そうでもないけど、意外とかなり面白い。
ドラマティックな成功譚ではなくて地味な成長譚だけど、みなぎる社会の底辺感の中、静かに燃えるくじけない闘志が胸を打つ。
笑ったり怒ったり嫌な気分になったりHAPPYになったり、ひっきりなしに楽しませてもくれる。
それとなんといってもボクシングシーンが泣ける。
脚本は脚本賞“松田優作賞”の第1回グランプリになった作品らしい。
監督武正晴作は初めて見たけど結構好きなタイプかもしれない。
予告編にもあるこけるシーンとか、こういう地味なシーン好きだ。
2015年6月28日日曜日
映画『カフェ・ド・フロール』
2011年 監督:ジャン=マルク・ヴァレ
製作国:カナダ/フランス
at ギンレイホール
1969年と現代の二つの時代における、まったく関係のない家族の物語が交互に描かれる。
現代パートでは、DJのアントワーヌ(ケヴィン・パラン)が若い恋人ローズ(エヴリーヌ・ブロシュ)と、前妻との間にできた二人の娘とで楽しく暮らしている。
前妻とはソウルメイトというくらいお互い離れがたい存在だったが、若い子に走った、という単純な理由でなく、若さは関係なくてローズには前妻以上の運命を感じているかららしい。
過去パートでは、ダウン症の息子ローラン(マラン・ゲリエ)を一人で育てる美容師ジャクリーヌ(ヴァネッサ・パラディ)の物語が展開される。
この二つの時代の物語、まったく関係ないことはないだろうと接点を探してみても、過去パートのダウン症の子供ローランが現代パートのアントワーヌとイコールになりえないし(アントワーヌはダウン症でないし両親がいるし年齢も合わない)、住んでいる地域も違うしで、まったく接点が無い。
冒頭の空港のダウン症っぽい集団が、後々なんか絶対つながると思って記憶の隅にとどめていたけど、それもあまり関係なかった。
ストーリー上の唯一のつながりは、現代パートのアントワーヌの前妻キャロル(エレーヌ・フロラン)が過去パートのローランの夢をよく見ること。
まじでなんも繋がりないじゃん、という感じだけど、これが最後にばしっとつながる。
アントワーヌが若い恋人ローズを選んだ理由とか、前妻キャロルがいまだにアントワーヌを引きずっている想いとか、すべてがばしっと解決、というか決着する。
こんなの誰も予測できないよー。
あと、ダウン症の子供って生まれたときからわかるのだろうか。
製作国:カナダ/フランス
at ギンレイホール
1969年と現代の二つの時代における、まったく関係のない家族の物語が交互に描かれる。
現代パートでは、DJのアントワーヌ(ケヴィン・パラン)が若い恋人ローズ(エヴリーヌ・ブロシュ)と、前妻との間にできた二人の娘とで楽しく暮らしている。
前妻とはソウルメイトというくらいお互い離れがたい存在だったが、若い子に走った、という単純な理由でなく、若さは関係なくてローズには前妻以上の運命を感じているかららしい。
過去パートでは、ダウン症の息子ローラン(マラン・ゲリエ)を一人で育てる美容師ジャクリーヌ(ヴァネッサ・パラディ)の物語が展開される。
この二つの時代の物語、まったく関係ないことはないだろうと接点を探してみても、過去パートのダウン症の子供ローランが現代パートのアントワーヌとイコールになりえないし(アントワーヌはダウン症でないし両親がいるし年齢も合わない)、住んでいる地域も違うしで、まったく接点が無い。
冒頭の空港のダウン症っぽい集団が、後々なんか絶対つながると思って記憶の隅にとどめていたけど、それもあまり関係なかった。
ストーリー上の唯一のつながりは、現代パートのアントワーヌの前妻キャロル(エレーヌ・フロラン)が過去パートのローランの夢をよく見ること。
まじでなんも繋がりないじゃん、という感じだけど、これが最後にばしっとつながる。
アントワーヌが若い恋人ローズを選んだ理由とか、前妻キャロルがいまだにアントワーヌを引きずっている想いとか、すべてがばしっと解決、というか決着する。
こんなの誰も予測できないよー。
あと、ダウン症の子供って生まれたときからわかるのだろうか。
映画『薄氷の殺人』
2014年 監督:ディアオ・イーナン
製作国:中国/香港
at ギンレイホール
ひんやりとした空気感の映像に差し込む電飾のほのかで刺激的な明かり。
人物や物のちょっとした動きが映像をひきしめ変化させ、飽きることなく永遠に魅了していく。
音の使い方も効果的で、いらだたしげに転がり続けるビンの音とか、趣味の悪い色合いの空間で静寂を突如突き破る無慈悲な銃声とか、もう映像に真っ向から対決するくらいの勢いで主張してくる音の使い方って本当大好き。
※ただ、雪を踏む音は個人的に苦手なのであまり聞きたい音では無い(きゅきゅっと気が引き締まるのでそれなりにアクセントにはなったけど)
めちゃくちゃ面白かったわ。
ストーリーも面白かったし。
「長いトンネルを抜けると雪国であった」シーンでは親切なおっちゃん、と思いきや自分のぼろいカブを置き土産に人のバイクを勝手に乗っていってしまうというギャグシーンなんかもある。
カブの持ち主調べればすぐばれそうな気もするけどそこは中国。
屋外スケート場で借りたスケート靴のままスケート場の外までしれっと滑り続けていってしまう自由な神経も中国。
配役は皆、ストーリーにも映像の雰囲気にもびっくりするくらいマッチしている。
主演のリャオ・ファンのちょっと駄目人間ぽいところも見える渋いかっこよさ。
グイ・ルンメイの影のある寡黙な美しさ。
クリーニング店店主役ワン・ジンチュンの善人でも悪人でもないごく一般的な「人間」っていういやらしさ。
調べてみたら主演女優のグイ・ルンメイは『藍色夏恋』(2002)の子だ。少し大人っぽくなったけど全然変わらん。
それにしてもすごい監督が出てきたもんだ。
まだ三作目で、しかも結構な寡作。
次回作はいつになるんだろう。
あと、タイトルは「白昼の花火」の方がよかったんじゃないかな。
ラストは圧巻で泣きそうになった。
製作国:中国/香港
at ギンレイホール
ひんやりとした空気感の映像に差し込む電飾のほのかで刺激的な明かり。
人物や物のちょっとした動きが映像をひきしめ変化させ、飽きることなく永遠に魅了していく。
音の使い方も効果的で、いらだたしげに転がり続けるビンの音とか、趣味の悪い色合いの空間で静寂を突如突き破る無慈悲な銃声とか、もう映像に真っ向から対決するくらいの勢いで主張してくる音の使い方って本当大好き。
※ただ、雪を踏む音は個人的に苦手なのであまり聞きたい音では無い(きゅきゅっと気が引き締まるのでそれなりにアクセントにはなったけど)
めちゃくちゃ面白かったわ。
ストーリーも面白かったし。
「長いトンネルを抜けると雪国であった」シーンでは親切なおっちゃん、と思いきや自分のぼろいカブを置き土産に人のバイクを勝手に乗っていってしまうというギャグシーンなんかもある。
カブの持ち主調べればすぐばれそうな気もするけどそこは中国。
屋外スケート場で借りたスケート靴のままスケート場の外までしれっと滑り続けていってしまう自由な神経も中国。
配役は皆、ストーリーにも映像の雰囲気にもびっくりするくらいマッチしている。
主演のリャオ・ファンのちょっと駄目人間ぽいところも見える渋いかっこよさ。
グイ・ルンメイの影のある寡黙な美しさ。
クリーニング店店主役ワン・ジンチュンの善人でも悪人でもないごく一般的な「人間」っていういやらしさ。
調べてみたら主演女優のグイ・ルンメイは『藍色夏恋』(2002)の子だ。少し大人っぽくなったけど全然変わらん。
それにしてもすごい監督が出てきたもんだ。
まだ三作目で、しかも結構な寡作。
次回作はいつになるんだろう。
あと、タイトルは「白昼の花火」の方がよかったんじゃないかな。
ラストは圧巻で泣きそうになった。
2015年6月14日日曜日
映画『ANNIE/アニー』
2014年 監督:ウィル・グラック
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
舞台も見ていないしどんな話かも知らん。でもまったく見る気がしない。
『天才スピヴェット』も見たし帰ろうかと思ったけど一応見てみる。
中盤うとうとして、久しぶりにつらい、と思ったものの、最後の金かけてる感がすごいラストはまあ面白かった。
で、一番面白かったのはエンドロール。
上から赤い風船がたくさん降ってくるんだけど、エンドロールの字幕にぶつかるとぽーんと跳ね返ってくるくる落ちていくのね。
風船が何かにぶつかって落ちていく様を何パターンも取ってエンドロールの字幕にせっせと当てはめているのかと最初思ったけど、なにしろ数が尋常じゃない。
それにたまに風船じゃありえないスピードで落ちていくのも混じっていたりする。
とすると物理エンジンで字幕を障害物に見立てて風船を投下しているんだな。
ぶつかってくるくる反転する様が本当にすごいわー。
それともうひとつの見所はキャメロン・ディアス。
おでことか目じりとかめいいっぱいしわくちゃにして、口なんかひん曲がりまくりで、もうなにも失うものが無いかのような大仰な演技が素敵過ぎる。
ガキが嫌い。生意気なガキはもっと嫌い。だから芸達者な子役が嫌い。
だけどまあアニー役のクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんはそんなに嫌悪感なかった。
ミュージカルシーンはダンスがほとんど無い(映っていない?)ので面白くなかった。
歌だけで聴かせるなんてジュディ・ガーランドくらいしか認めないぜ。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
舞台も見ていないしどんな話かも知らん。でもまったく見る気がしない。
『天才スピヴェット』も見たし帰ろうかと思ったけど一応見てみる。
中盤うとうとして、久しぶりにつらい、と思ったものの、最後の金かけてる感がすごいラストはまあ面白かった。
で、一番面白かったのはエンドロール。
上から赤い風船がたくさん降ってくるんだけど、エンドロールの字幕にぶつかるとぽーんと跳ね返ってくるくる落ちていくのね。
風船が何かにぶつかって落ちていく様を何パターンも取ってエンドロールの字幕にせっせと当てはめているのかと最初思ったけど、なにしろ数が尋常じゃない。
それにたまに風船じゃありえないスピードで落ちていくのも混じっていたりする。
とすると物理エンジンで字幕を障害物に見立てて風船を投下しているんだな。
ぶつかってくるくる反転する様が本当にすごいわー。
それともうひとつの見所はキャメロン・ディアス。
おでことか目じりとかめいいっぱいしわくちゃにして、口なんかひん曲がりまくりで、もうなにも失うものが無いかのような大仰な演技が素敵過ぎる。
ガキが嫌い。生意気なガキはもっと嫌い。だから芸達者な子役が嫌い。
だけどまあアニー役のクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんはそんなに嫌悪感なかった。
ミュージカルシーンはダンスがほとんど無い(映っていない?)ので面白くなかった。
歌だけで聴かせるなんてジュディ・ガーランドくらいしか認めないぜ。
2015年6月13日土曜日
映画『天才スピヴェット』
2013年 監督:ジャン=ピエール・ジュネ
製作国:フランス/カナダ
at ギンレイホール
予告編見て面白そうだと思っていたけど、冒頭の飛び出す絵本(たぶんCG)を見たときにあれっと思う。
最後までみた感想としては、ロードムービー要素もあるし、ブランコの少女との一瞬のみの出会いとかいいシーンもそれなりにあって、普通に面白かったと思う。
ただ、あまり自分には合わないなと思った。
面白いCGなら好きだけど、おしゃれ感を出すだけのような無駄なCGは邪魔以外の何者でもなく嫌いなため。
エンドロール見ていて初めて知ったが、監督はジャン=ピエール・ジュネだった。納得。
公式ページ見ていたら、なんかこれ3D映画だったらしいね。
3Dで見ていたらあのCGも違って見えたのかもしれない。まあ3Dで映画を見たことは一度もないし今後も見ることはないと思うが。
母親役の人がすごく懐かしい感じがするのに思い出せなくて、誰だろうと思っていたらヘレナ・ボナム=カーターだった。久しぶりに見た。
製作国:フランス/カナダ
at ギンレイホール
予告編見て面白そうだと思っていたけど、冒頭の飛び出す絵本(たぶんCG)を見たときにあれっと思う。
最後までみた感想としては、ロードムービー要素もあるし、ブランコの少女との一瞬のみの出会いとかいいシーンもそれなりにあって、普通に面白かったと思う。
ただ、あまり自分には合わないなと思った。
面白いCGなら好きだけど、おしゃれ感を出すだけのような無駄なCGは邪魔以外の何者でもなく嫌いなため。
エンドロール見ていて初めて知ったが、監督はジャン=ピエール・ジュネだった。納得。
公式ページ見ていたら、なんかこれ3D映画だったらしいね。
3Dで見ていたらあのCGも違って見えたのかもしれない。まあ3Dで映画を見たことは一度もないし今後も見ることはないと思うが。
母親役の人がすごく懐かしい感じがするのに思い出せなくて、誰だろうと思っていたらヘレナ・ボナム=カーターだった。久しぶりに見た。
2015年5月17日日曜日
映画『ゴーン・ガール』
2014年 監督:デヴィッド・フィンチャー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
中盤で一度ネタばれのようにあっさりと真相が分かるけど、
安心してください、そこからもさらに面白さが続きます。
デヴィッド・フィンチャーっぽいテンポのいい最高のジェットコースタームービーになっている。
サスペンスなのかコメディなのかホラーなのか・・話が進むたびに映画の表情が変わるのが面白い。
世界中で大ヒットした小説が原作らしい。原作者が脚本書いてるね。
主演はベン・アフレック。
失踪妻役にロザムンド・パイク。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
中盤で一度ネタばれのようにあっさりと真相が分かるけど、
安心してください、そこからもさらに面白さが続きます。
デヴィッド・フィンチャーっぽいテンポのいい最高のジェットコースタームービーになっている。
サスペンスなのかコメディなのかホラーなのか・・話が進むたびに映画の表情が変わるのが面白い。
世界中で大ヒットした小説が原作らしい。原作者が脚本書いてるね。
主演はベン・アフレック。
失踪妻役にロザムンド・パイク。
映画『トラッシュ! -この街が輝く日まで-』
2014年 監督:スティーヴン・ダルドリー
製作国:イギリス/ブラジル
at ギンレイホール
大人向けサスペンスでありジュブナイルでもある。なかなか面白かった。
予告編見て悲しい結末を予感していて、それとなく最初から心構えして見てしまった。
途中までどこの国だか分からずアジアのどこかかと思って見ていたらブラジルだった。
ブラジルこえーなー。
神父役にマーティン・シーン。
ルーニー・マーラが美人。
悪徳刑事役にあまり悪そうに見えないイケメン、セルトン・メロ。
製作国:イギリス/ブラジル
at ギンレイホール
大人向けサスペンスでありジュブナイルでもある。なかなか面白かった。
予告編見て悲しい結末を予感していて、それとなく最初から心構えして見てしまった。
途中までどこの国だか分からずアジアのどこかかと思って見ていたらブラジルだった。
ブラジルこえーなー。
神父役にマーティン・シーン。
ルーニー・マーラが美人。
悪徳刑事役にあまり悪そうに見えないイケメン、セルトン・メロ。
2015年5月7日木曜日
映画『イーダ』
2013年 監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
製作国:ポーランド
at ギンレイホール
スクリーン幅はスタンダード・サイズで映像はモノクロ。
ただの懐古趣味だったら嫌だなと思ったけど、映画、って感じの映画でかなり面白かった。
余白の多い構図は静謐さで満たされて、映像を見ているだけで堪能できる。
少し重めの時代背景の中、寡黙な主人公イーダ(アガタ・チュシェブホフスカ)の清廉な美しさが映える。
過去にとらわれ続ける叔母の悲痛さも静謐な映像に合っている。
最後の方であるクラシック音楽がかかったとき、あ、これなんだったっけと記憶をたどるためにちょっとスクリーンから意識がそれていたら、衝撃のシーンが展開されて、ああ、もっと集中して見ていればよかったと後悔した。
まあその後もこういうシーンって何度か他の映画でみたことあるなぁ、『わたしが・棄てた・女』はちょっと違うし、なんだっけ、とまた意識がそれるんだけど。
ちなみに今調べたら音楽はモーツァルトの交響曲第41番だった。
製作国:ポーランド
at ギンレイホール
スクリーン幅はスタンダード・サイズで映像はモノクロ。
ただの懐古趣味だったら嫌だなと思ったけど、映画、って感じの映画でかなり面白かった。
余白の多い構図は静謐さで満たされて、映像を見ているだけで堪能できる。
少し重めの時代背景の中、寡黙な主人公イーダ(アガタ・チュシェブホフスカ)の清廉な美しさが映える。
過去にとらわれ続ける叔母の悲痛さも静謐な映像に合っている。
最後の方であるクラシック音楽がかかったとき、あ、これなんだったっけと記憶をたどるためにちょっとスクリーンから意識がそれていたら、衝撃のシーンが展開されて、ああ、もっと集中して見ていればよかったと後悔した。
まあその後もこういうシーンって何度か他の映画でみたことあるなぁ、『わたしが・棄てた・女』はちょっと違うし、なんだっけ、とまた意識がそれるんだけど。
ちなみに今調べたら音楽はモーツァルトの交響曲第41番だった。
映画『100歳の華麗なる冒険』
2013年 監督:フェリックス・ハーングレン
製作国:スウェーデン
at ギンレイホール
爆笑とまではいかないけど(ブラックユーモアだし)、なんか久しぶりに笑えて楽しい映画を見た気がする。
100歳の誕生日に老人ホームから抜け出したアラン(ロバート・グスタフソン)の気ままなロードムービー。
気ままっていっても周りで人がばんばん死ぬけどね。
爆弾遊びが大好きだったアラン少年は問屋のおやじかなんかを誤って爆殺してしまう。
ふっとんだ首がボンネットに落ちてきたりと、シリアスな残酷さとコミカルさが表裏一体のなんともいえないシーンの後、少しも悪びれないアラン少年が映し出される。
悪びれないどころか死んだ男を間抜け扱いしているし。
ここでアラン、そしてこの映画の死生観を観客は理解する。
死なんてただそこで終わるってだけのこと。そして死の原因が自分にあろうがそれは死んだ奴の運が悪かったってだけの話。というか間抜け。みたいな。
だからその後の数々の死もあっという間に感覚が麻痺してすんなり受け入れてしまう。
ただ、アランのように行動原理が"無欲な衝動的欲求"で成り行きまかせのような生き方は命がいくつあっても足りないけど、そこはまあフィクションなのでなんだかんだで100歳まで生きている。
"無欲な衝動的欲求"といっているのは自分でも何言ってるかよくわからないが、アランは物欲、自己顕示欲とかそういう社会的欲求にびっくりするくらい興味を示さないから。
じゃあ何があるかというと、派手な破壊欲求。
しかも本人が意図していなくても、天然なのか阿呆なのか、成り行きでいろんな人の人生を破壊していくから生粋のデストロイヤーだ。
この破壊欲が殺人衝動にならなくてよかったもんだ。死に無頓着な分かなり危ないし。
まあ間接的に十数万人殺しているけどね。
そういえばアランは青年期に、こんなやつの子孫を残しちゃいけない、と医者により子供が埋めないように手術(去勢?)されているが、これって性欲もなくなるのかな。
手術しなくても薄そうな気もするが。
主演のロバート・グスタフソンは実際は50歳くらいで老けメイクしていたらしい。
製作国:スウェーデン
at ギンレイホール
爆笑とまではいかないけど(ブラックユーモアだし)、なんか久しぶりに笑えて楽しい映画を見た気がする。
100歳の誕生日に老人ホームから抜け出したアラン(ロバート・グスタフソン)の気ままなロードムービー。
気ままっていっても周りで人がばんばん死ぬけどね。
爆弾遊びが大好きだったアラン少年は問屋のおやじかなんかを誤って爆殺してしまう。
ふっとんだ首がボンネットに落ちてきたりと、シリアスな残酷さとコミカルさが表裏一体のなんともいえないシーンの後、少しも悪びれないアラン少年が映し出される。
悪びれないどころか死んだ男を間抜け扱いしているし。
ここでアラン、そしてこの映画の死生観を観客は理解する。
死なんてただそこで終わるってだけのこと。そして死の原因が自分にあろうがそれは死んだ奴の運が悪かったってだけの話。というか間抜け。みたいな。
だからその後の数々の死もあっという間に感覚が麻痺してすんなり受け入れてしまう。
ただ、アランのように行動原理が"無欲な衝動的欲求"で成り行きまかせのような生き方は命がいくつあっても足りないけど、そこはまあフィクションなのでなんだかんだで100歳まで生きている。
"無欲な衝動的欲求"といっているのは自分でも何言ってるかよくわからないが、アランは物欲、自己顕示欲とかそういう社会的欲求にびっくりするくらい興味を示さないから。
じゃあ何があるかというと、派手な破壊欲求。
しかも本人が意図していなくても、天然なのか阿呆なのか、成り行きでいろんな人の人生を破壊していくから生粋のデストロイヤーだ。
この破壊欲が殺人衝動にならなくてよかったもんだ。死に無頓着な分かなり危ないし。
まあ間接的に十数万人殺しているけどね。
そういえばアランは青年期に、こんなやつの子孫を残しちゃいけない、と医者により子供が埋めないように手術(去勢?)されているが、これって性欲もなくなるのかな。
手術しなくても薄そうな気もするが。
主演のロバート・グスタフソンは実際は50歳くらいで老けメイクしていたらしい。
2015年4月19日日曜日
映画『紙の月』
2014年 監督:吉田大八
製作国:日本
at ギンレイホール
見終わってまあ面白かったという思いとともにしこりのように残るのは、なんだろうこの気持ち悪さはという感覚。
思い返すと、青っぽい色調やら音楽やらホームの階段を下りてくるスローモーションとか大学生のくそがきとのくさいじゃれあいとか、いろんな細かい気持ち悪さが積み重なっているのかもしれない。
吉田大八は『桐島、部活やめるってよ』の人だね。
桐島での校内や生徒に漂っていた不穏な空気感を、そのまま社会人の(しかも犯罪の絡んだ)上にシフトすると、なんだか醜くなるのだろうか。
主演宮沢りえ。もう輝いていた頃の体重には戻らないのかな?
相手役に池松壮亮。
初めて見たけど、あの声としゃべり方がなかなか神経を刺激してくる。声はともかくしゃべり方は役に合わせた演技だろうか。だとしたら凄い奴だ。あれっ、横道世之介とか夜のピクニックで見ているっぽい。
他、中原ひとみちゃんが出ている。
製作国:日本
at ギンレイホール
見終わってまあ面白かったという思いとともにしこりのように残るのは、なんだろうこの気持ち悪さはという感覚。
思い返すと、青っぽい色調やら音楽やらホームの階段を下りてくるスローモーションとか大学生のくそがきとのくさいじゃれあいとか、いろんな細かい気持ち悪さが積み重なっているのかもしれない。
吉田大八は『桐島、部活やめるってよ』の人だね。
桐島での校内や生徒に漂っていた不穏な空気感を、そのまま社会人の(しかも犯罪の絡んだ)上にシフトすると、なんだか醜くなるのだろうか。
主演宮沢りえ。もう輝いていた頃の体重には戻らないのかな?
相手役に池松壮亮。
初めて見たけど、あの声としゃべり方がなかなか神経を刺激してくる。声はともかくしゃべり方は役に合わせた演技だろうか。だとしたら凄い奴だ。あれっ、横道世之介とか夜のピクニックで見ているっぽい。
他、中原ひとみちゃんが出ている。
映画『滝を見にいく』
2014年 監督:沖田修一
製作国:日本
at ギンレイホール
基本的におばちゃんって嫌いなんだけど、見終わる頃にはこの7人のおばちゃんが好きになる。
7人のおばちゃんたち。
個性的な、というより、普通のおばちゃんたち。
普通のおばちゃんの何が魅力なのかって、それはよくわからない。
この年まで生きてきた年輪があるからかな。
それと周りに誰もいないためか、時折いかんなく発揮されるおばちゃん達の少女性がまぶしい。
それぞれ様々な過去を持ち今を生きるおばちゃんたちも、社会における大人の仮面をはずせば女子中学生かってくらいきゃぴきゃぴした素顔が現れる。
そう、女子中学生は女子中学生でしかないが、おばちゃんは女子中学生でもあり女子高生でもあり新入社員でもあり奥さんでもあり母親でもあり、人生の苦楽をたくさん経験している凄い生き物なんだ。
おばちゃん素晴らしい。
7人のおばちゃんを演じた女優さん達は、ほとんどが素人らしい。
小林聡美とかもたいまさことかいうありきたりな配役だったら最後までしらけていたと思う。
そういえば出演者が少ないからか、エンドロールが超短かった。
製作国:日本
at ギンレイホール
基本的におばちゃんって嫌いなんだけど、見終わる頃にはこの7人のおばちゃんが好きになる。
7人のおばちゃんたち。
個性的な、というより、普通のおばちゃんたち。
普通のおばちゃんの何が魅力なのかって、それはよくわからない。
この年まで生きてきた年輪があるからかな。
それと周りに誰もいないためか、時折いかんなく発揮されるおばちゃん達の少女性がまぶしい。
それぞれ様々な過去を持ち今を生きるおばちゃんたちも、社会における大人の仮面をはずせば女子中学生かってくらいきゃぴきゃぴした素顔が現れる。
そう、女子中学生は女子中学生でしかないが、おばちゃんは女子中学生でもあり女子高生でもあり新入社員でもあり奥さんでもあり母親でもあり、人生の苦楽をたくさん経験している凄い生き物なんだ。
おばちゃん素晴らしい。
7人のおばちゃんを演じた女優さん達は、ほとんどが素人らしい。
小林聡美とかもたいまさことかいうありきたりな配役だったら最後までしらけていたと思う。
そういえば出演者が少ないからか、エンドロールが超短かった。
2015年4月5日日曜日
映画『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』
2013年 監督:リチャード・カーティス
製作国:イギリス
at ギンレイホール
日々の一瞬一瞬の時間はかけがえのないものなんだよ、というのを失敗したら何度でもやり直せるタイムトラベル能力という反則どころじゃないチート能力で逆説的に説明するお話。
というお説教的な主題はどうでもよくて、ジャンル的には恋愛コメディなので、なによりヒロインが重要だ。
で、そのヒロインはみんな大好きレイチェル・マクアダムス。
だからまあ面白かった。
主人公の妹キットカット役の子がなかなか存在感があって、奔放でありながら不幸な影が付きまとうその役柄とともに魅力を発揮していた。
リディア・ウィルソンって子らしい。子っていうかもう30っぽいが(born 1984)。
製作国:イギリス
at ギンレイホール
日々の一瞬一瞬の時間はかけがえのないものなんだよ、というのを失敗したら何度でもやり直せるタイムトラベル能力という反則どころじゃないチート能力で逆説的に説明するお話。
というお説教的な主題はどうでもよくて、ジャンル的には恋愛コメディなので、なによりヒロインが重要だ。
で、そのヒロインはみんな大好きレイチェル・マクアダムス。
だからまあ面白かった。
主人公の妹キットカット役の子がなかなか存在感があって、奔放でありながら不幸な影が付きまとうその役柄とともに魅力を発揮していた。
リディア・ウィルソンって子らしい。子っていうかもう30っぽいが(born 1984)。
映画『フランシス・ハ』
2012年 監督:ノア・バームバック
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
最近の作品なのにモノクロ使う人ってあまり好きじゃないから警戒していたけど、いやあ、面白かった。
この監督はヌーヴェルヴァーグが大好きなんだろうな。
冒頭のけんかごっこやら踊りながら疾走するシーンとか部屋の調度品とか、雰囲気は1960年代のフランス映画を見ているよう。
なのに舞台はアメリカだしパソコンやら携帯は出てくる紛れもない現代、っていうその違和感も面白い。
主題歌に古すぎず新しすぎないデヴィッド・ボウイの『モダン・ラブ』を持ってくるのも絶妙。
舞台も音楽もすべて1960年代にしたらただの懐古趣味でしかないけど、ヌーヴェルヴァーグの雰囲気の中で現代との対比の他にいろんな要素をちょっとづつずらしていくから刺激がある。
ソフィーのあの変なメガネって今の人かけるの?とか。
そういえば日本も少し出てきて、近年世界中の人が馬鹿みたいに日本大好きと言っている中、東京なんて大嫌いと言ってしまうのも面白い。
主演はグレタ・ガーウィグ。
ソフィー役のミッキー・サムナーはスティングの娘っぽいな。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
最近の作品なのにモノクロ使う人ってあまり好きじゃないから警戒していたけど、いやあ、面白かった。
この監督はヌーヴェルヴァーグが大好きなんだろうな。
冒頭のけんかごっこやら踊りながら疾走するシーンとか部屋の調度品とか、雰囲気は1960年代のフランス映画を見ているよう。
なのに舞台はアメリカだしパソコンやら携帯は出てくる紛れもない現代、っていうその違和感も面白い。
主題歌に古すぎず新しすぎないデヴィッド・ボウイの『モダン・ラブ』を持ってくるのも絶妙。
舞台も音楽もすべて1960年代にしたらただの懐古趣味でしかないけど、ヌーヴェルヴァーグの雰囲気の中で現代との対比の他にいろんな要素をちょっとづつずらしていくから刺激がある。
ソフィーのあの変なメガネって今の人かけるの?とか。
そういえば日本も少し出てきて、近年世界中の人が馬鹿みたいに日本大好きと言っている中、東京なんて大嫌いと言ってしまうのも面白い。
主演はグレタ・ガーウィグ。
ソフィー役のミッキー・サムナーはスティングの娘っぽいな。
2015年3月22日日曜日
映画『ショート・ターム』
2013年 監督:デスティン・ダニエル・クレットン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
アメリカの実名レビューサイトロッテンマイヤー、じゃなくてロッテントマトで驚きの満足度99%を獲得したとかなんとかで、胡散臭いなぁと思ったけど普通に面白かった。
大感動したとか面白すぎて大絶賛するとかじゃなくて飽くまで普通に面白かっただけだけど。
ロッテントマトのこの満足度の基準ってなんなんだろう。
満足不満足の2択の場合、つまらなくなければ満足に入れるから癖の無い映画ならみな100%近くなる気がする。
心に傷を負ったティーンのための短期保護施設が舞台。
問題児の女の子が話の主題かと思いきや(確かにキーではあるが)、そっちかよ!的な展開に。
なんかこういう仕事するのは同じような境遇じゃなきゃ勤まらないと言われている気もする。
スタッフとして入ったばかりの意識高い系の学生の兄ちゃんは馬鹿っぽそうだったし。
この馬鹿な兄ちゃんがもう少しかき回してくれるかと思いきや存在感薄いままだったので寂しい。
最後はほっこりするし見て損することは無い。
特に女性には受けがよさそう。
なんといっても主人公グレイス(ブリー・ラーソン)の恋人のメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr)が信じられないくらいのいい奴で女性にとっての理想の男性像に近そうだから。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
アメリカの実名レビューサイトロッテンマイヤー、じゃなくてロッテントマトで驚きの満足度99%を獲得したとかなんとかで、胡散臭いなぁと思ったけど普通に面白かった。
大感動したとか面白すぎて大絶賛するとかじゃなくて飽くまで普通に面白かっただけだけど。
ロッテントマトのこの満足度の基準ってなんなんだろう。
満足不満足の2択の場合、つまらなくなければ満足に入れるから癖の無い映画ならみな100%近くなる気がする。
心に傷を負ったティーンのための短期保護施設が舞台。
問題児の女の子が話の主題かと思いきや(確かにキーではあるが)、そっちかよ!的な展開に。
なんかこういう仕事するのは同じような境遇じゃなきゃ勤まらないと言われている気もする。
スタッフとして入ったばかりの意識高い系の学生の兄ちゃんは馬鹿っぽそうだったし。
この馬鹿な兄ちゃんがもう少しかき回してくれるかと思いきや存在感薄いままだったので寂しい。
最後はほっこりするし見て損することは無い。
特に女性には受けがよさそう。
なんといっても主人公グレイス(ブリー・ラーソン)の恋人のメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr)が信じられないくらいのいい奴で女性にとっての理想の男性像に近そうだから。
映画『悪童日記』
2013年 監督:ヤーノシュ・サース
製作国:ドイツ/ハンガリー
at ギンレイホール
原作はアゴタ・クリストフの『悪童日記』1986年。
世界的ベストセラーで、この映画見た人の大半が原作も読んでいてかつ概ね好評の模様。
なるほど、映像もいいし確かに面白かったけど、見終わってなんかすっきりしないというか印象に残らないというかもやもや感が残るのは、俺が原作を未読だからに違いない。
幸せそうな一般家庭のお子ちゃま達が気付いたら危ない子供達になっていた時からついていけていなかったかもしれない。
主役の双子はハンガリー中の学校を長い期間探し続けてやっと見つけた素人の子供達らしい。
無垢そうでいて力強い目つきや大人びた表情等々、凄い子供達を見つけたもんだ。
この役にこまっしゃくれた子役なんか使ったら胡散臭さしか残らないからね。
製作国:ドイツ/ハンガリー
at ギンレイホール
原作はアゴタ・クリストフの『悪童日記』1986年。
世界的ベストセラーで、この映画見た人の大半が原作も読んでいてかつ概ね好評の模様。
なるほど、映像もいいし確かに面白かったけど、見終わってなんかすっきりしないというか印象に残らないというかもやもや感が残るのは、俺が原作を未読だからに違いない。
幸せそうな一般家庭のお子ちゃま達が気付いたら危ない子供達になっていた時からついていけていなかったかもしれない。
主役の双子はハンガリー中の学校を長い期間探し続けてやっと見つけた素人の子供達らしい。
無垢そうでいて力強い目つきや大人びた表情等々、凄い子供達を見つけたもんだ。
この役にこまっしゃくれた子役なんか使ったら胡散臭さしか残らないからね。
2015年3月15日日曜日
映画『蜩ノ記(ひぐらしのき)』
2013年 監督:小泉堯史
製作国:日本
at ギンレイホール
原作は葉室麟。
小泉堯史ってなんとなく藤沢周平原作の映画をいっぱい撮っている気がしていたけど、フィルモグラフィー見てみると一本も撮っていなかった。
監督が配役にどこまで関わっているか知らないが、予測するにまあおちゃだ君は製作側の要望かなと思う(いまどきただの時代劇じゃ人が入らないから)。
そして堀北真希はグレーゾーン。
で、それ以外は監督の配役かなと思う。
役所広司、原田美枝子、いいじゃない。
井川比佐志、最高だね。
寺島しのぶ。。。ん?絶世の美女みたいな役。。年配の人には受けがいいのだろうか。寺島しのぶならまだ富司純子に若作りさせてやってもらった方がいいのだが。
小泉堯史ってそんなに見ていないけど、いつも平均以上の映画を撮ってくれるから安心して見る事ができる。
ただ、なんかきれい過ぎるせいか可も無く不可も無くという感じだけど。
見ているとき切腹つながりで小林正樹の傑作『切腹』を思い出した。
きれい過ぎる『蜩ノ記』の対極にある感じ。予告編が落ちていたからはっておく。
製作国:日本
at ギンレイホール
原作は葉室麟。
小泉堯史ってなんとなく藤沢周平原作の映画をいっぱい撮っている気がしていたけど、フィルモグラフィー見てみると一本も撮っていなかった。
監督が配役にどこまで関わっているか知らないが、予測するにまあおちゃだ君は製作側の要望かなと思う(いまどきただの時代劇じゃ人が入らないから)。
そして堀北真希はグレーゾーン。
で、それ以外は監督の配役かなと思う。
役所広司、原田美枝子、いいじゃない。
井川比佐志、最高だね。
寺島しのぶ。。。ん?絶世の美女みたいな役。。年配の人には受けがいいのだろうか。寺島しのぶならまだ富司純子に若作りさせてやってもらった方がいいのだが。
小泉堯史ってそんなに見ていないけど、いつも平均以上の映画を撮ってくれるから安心して見る事ができる。
ただ、なんかきれい過ぎるせいか可も無く不可も無くという感じだけど。
見ているとき切腹つながりで小林正樹の傑作『切腹』を思い出した。
きれい過ぎる『蜩ノ記』の対極にある感じ。予告編が落ちていたからはっておく。
2015年3月8日日曜日
映画『舞妓はレディ』
2014年 監督:周防正行
製作国:日本
at ギンレイホール
マイフェアレディのもじりと思われるタイトルのとおり、ミュージカルになっている。
でも役者はミュージカル俳優とか使っていなくて、普通の役者さんが出演している。(ダンスとしては草刈民代がいたりもするけど)
ミュージカルってなんといっても歌やダンスのうまさが重要なんだなぁと改めて思った。
公式ページによると監督は、本格的なミュージカル映画を撮る気はさらさらなかった、歌は役者にしか出せない味があるからそれを出したかった、みたいなことを言っている。
なるほど、ただ、竹中直人あたりからなんか耳障りになってきてミュージカルシーンになるたびにちょっとため息が出てしまった。
主役の少女上白石萌音はよかったけど。
最後の方で上白石萌音が踊りだしたときはその違和感とともにミュージカルって感じで超楽しかった。
あと回想シーンの大原櫻子もよかった。
やっぱり味とかうんぬんの前に歌がうまくないと駄目だよなぁ。
出演者はちょい役含めて有名どころがやりすぎなくらいたくさん出ている。
長谷川博己って始めてみたけど、歌のお兄さんが役者に転向したのかとずっと思っていた。
富司純子はずっと漢字だけ芸名変わったと思っていたけど読み方も「ふじすみこ」に変えていたと今知った。
冒頭の草刈民代の劇はまんま緋牡丹博徒へのオマージュだったね。本人いるけど。
竹中直人が演じた富さんの役名は青木富夫だったらしい。突貫小僧だ。
ミュージカルシーン見ながら思ったんだけど、純和風ミュージカルって今まであったのかな。
歌は長唄、ダンスの代わりに舞、みたいな。
ついでに浪曲師、長唄、義太夫、津軽三味線、琵琶、琴、尺八、雅楽、日本舞踊に歌舞伎役者に能楽師狂言師、なんでもかんでも集めたミュージカルを誰か作ってくれないかな。
盛り上がるかどうかは知らないが。
まあ歌舞伎自体がミュージカルみたいなもんだけど。
製作国:日本
at ギンレイホール
マイフェアレディのもじりと思われるタイトルのとおり、ミュージカルになっている。
でも役者はミュージカル俳優とか使っていなくて、普通の役者さんが出演している。(ダンスとしては草刈民代がいたりもするけど)
ミュージカルってなんといっても歌やダンスのうまさが重要なんだなぁと改めて思った。
公式ページによると監督は、本格的なミュージカル映画を撮る気はさらさらなかった、歌は役者にしか出せない味があるからそれを出したかった、みたいなことを言っている。
なるほど、ただ、竹中直人あたりからなんか耳障りになってきてミュージカルシーンになるたびにちょっとため息が出てしまった。
主役の少女上白石萌音はよかったけど。
最後の方で上白石萌音が踊りだしたときはその違和感とともにミュージカルって感じで超楽しかった。
あと回想シーンの大原櫻子もよかった。
やっぱり味とかうんぬんの前に歌がうまくないと駄目だよなぁ。
出演者はちょい役含めて有名どころがやりすぎなくらいたくさん出ている。
長谷川博己って始めてみたけど、歌のお兄さんが役者に転向したのかとずっと思っていた。
富司純子はずっと漢字だけ芸名変わったと思っていたけど読み方も「ふじすみこ」に変えていたと今知った。
冒頭の草刈民代の劇はまんま緋牡丹博徒へのオマージュだったね。本人いるけど。
竹中直人が演じた富さんの役名は青木富夫だったらしい。突貫小僧だ。
ミュージカルシーン見ながら思ったんだけど、純和風ミュージカルって今まであったのかな。
歌は長唄、ダンスの代わりに舞、みたいな。
ついでに浪曲師、長唄、義太夫、津軽三味線、琵琶、琴、尺八、雅楽、日本舞踊に歌舞伎役者に能楽師狂言師、なんでもかんでも集めたミュージカルを誰か作ってくれないかな。
盛り上がるかどうかは知らないが。
まあ歌舞伎自体がミュージカルみたいなもんだけど。
2015年2月22日日曜日
映画『誰よりも狙われた男』
2013年 監督:アントン・コルベイン
製作国:アメリカ/イギリス/ドイツ
at ギンレイホール
スパイ映画だけどそれほど小難しくないので面白い。というか傑作。
何よりもち肌フィリップ・シーモア・ホフマンがいい。
予告編にもあるけど銀杏並木かなんかに佇むフィリップ・シーモア・ホフマンを見てよ。
でぷっとした体型なのにこのかっこよさ。
佇まいだけで魅了できてしまう俳優って世界でも数えるほどしかいない。
薬物死か、残念。
CIA役にロビン・ライト。やってくれるぜCIA。
弁護士にレイチェル・マクアダムス。相変わらずえろい。
銀行家にウィレム・デフォー。エリアス軍曹。
イッサ役にグリゴリー・ドブリギン。ひげをそったらとんでもなくイケメンに変身したのでびっくり。
部下のマキシミリアン役にダニエル・ブリュール。『グッバイ、レーニン!』とかの。
アブドゥラ博士にホマユン・エルシャディ。気づかなかったけど『桜桃の味』の人だった。
製作国:アメリカ/イギリス/ドイツ
at ギンレイホール
スパイ映画だけどそれほど小難しくないので面白い。というか傑作。
何よりもち肌フィリップ・シーモア・ホフマンがいい。
予告編にもあるけど銀杏並木かなんかに佇むフィリップ・シーモア・ホフマンを見てよ。
でぷっとした体型なのにこのかっこよさ。
佇まいだけで魅了できてしまう俳優って世界でも数えるほどしかいない。
薬物死か、残念。
CIA役にロビン・ライト。やってくれるぜCIA。
弁護士にレイチェル・マクアダムス。相変わらずえろい。
銀行家にウィレム・デフォー。エリアス軍曹。
イッサ役にグリゴリー・ドブリギン。ひげをそったらとんでもなくイケメンに変身したのでびっくり。
部下のマキシミリアン役にダニエル・ブリュール。『グッバイ、レーニン!』とかの。
アブドゥラ博士にホマユン・エルシャディ。気づかなかったけど『桜桃の味』の人だった。
映画『リスボンに誘われて』
2013年 監督:ビレ・アウグスト
製作国:ドイツ/スイス/ポルトガル
at ギンレイホール
しがない高校教師が偶然から一冊の本に出会う。
その聞いたことも無い作家の素顔を尋ねて突発的にリスボンに訪れた教師はそこで様々な作家の関係者と出会い、事実を紡いでいく。
原作はパスカル・メルシエの『リスボンへの夜行列車』。
シャーロット・ランプリングが久しぶりに見たら年老いたせいか倍賞千恵子にしか見えなかった。
役どころのこじらせたブラコンぶりも倍賞千恵子っぽい気もするし。
でも似ているといっても女優の存在感としてはシャーロット・ランプリングの方が圧倒的だけど。
主演ジェレミー・アイアンズ。
しがない高校教師のわりに渋かっこよすぎる気もするけど、冒頭の一人チェスとかで一気にしがないイメージに。
他、ブルーノ・ガンツも出ている。
ジョルジェっていう重要人物の役どころで、その迫力や人間味に圧倒される。
エステファニア役のメラニー・ロランは超美人。『PARIS(パリ)』や『オーケストラ!』に出ていたらしいが思い出せない。
製作国:ドイツ/スイス/ポルトガル
at ギンレイホール
しがない高校教師が偶然から一冊の本に出会う。
その聞いたことも無い作家の素顔を尋ねて突発的にリスボンに訪れた教師はそこで様々な作家の関係者と出会い、事実を紡いでいく。
原作はパスカル・メルシエの『リスボンへの夜行列車』。
シャーロット・ランプリングが久しぶりに見たら年老いたせいか倍賞千恵子にしか見えなかった。
役どころのこじらせたブラコンぶりも倍賞千恵子っぽい気もするし。
でも似ているといっても女優の存在感としてはシャーロット・ランプリングの方が圧倒的だけど。
主演ジェレミー・アイアンズ。
しがない高校教師のわりに渋かっこよすぎる気もするけど、冒頭の一人チェスとかで一気にしがないイメージに。
他、ブルーノ・ガンツも出ている。
ジョルジェっていう重要人物の役どころで、その迫力や人間味に圧倒される。
エステファニア役のメラニー・ロランは超美人。『PARIS(パリ)』や『オーケストラ!』に出ていたらしいが思い出せない。
2015年2月8日日曜日
映画『グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-』
2013年 監督:ニルス・タヴェルニエ
製作国:フランス
at ギンレイホール
車いす生活を送る17歳のジュリアン(ファビアン・エロー)は、彼のことを敬遠しがちな父ポール(ジャック・ガンブラン)に、一緒にトライアスロンに出たいと言い出す。
ポールは昔トライアスロンに出てリタイアしている。
一人でも大変なのにもう年だし、ましてや息子を引っ張りながら出場するなんて考えられない。金もかかるのに失業中だし。
でもなんだかんだで出場するという話。
一応息子も○○に耐えて頑張ったみたいなことになっているけど、実際何もやってないよなぁ。
親子の共同作業・挑戦ってところが、父親におんぶにだっこの息子という図式にしか見えなくなっている気もしないでもないが、自然はきれいだしトライアスロンシーンも熱気が凄いので楽しめると思う。
個人的には父と子の関係をもっと文学的な深みを持たせて静かにぶつかり合わせつつ、そしてトライアスロンには結局出ない、って感じのストーリーの方が見てみたいかな。
アメリカの有名親子チーム・ホイトにインスパイアされて作られたらしい。
製作国:フランス
at ギンレイホール
車いす生活を送る17歳のジュリアン(ファビアン・エロー)は、彼のことを敬遠しがちな父ポール(ジャック・ガンブラン)に、一緒にトライアスロンに出たいと言い出す。
ポールは昔トライアスロンに出てリタイアしている。
一人でも大変なのにもう年だし、ましてや息子を引っ張りながら出場するなんて考えられない。金もかかるのに失業中だし。
でもなんだかんだで出場するという話。
一応息子も○○に耐えて頑張ったみたいなことになっているけど、実際何もやってないよなぁ。
親子の共同作業・挑戦ってところが、父親におんぶにだっこの息子という図式にしか見えなくなっている気もしないでもないが、自然はきれいだしトライアスロンシーンも熱気が凄いので楽しめると思う。
個人的には父と子の関係をもっと文学的な深みを持たせて静かにぶつかり合わせつつ、そしてトライアスロンには結局出ない、って感じのストーリーの方が見てみたいかな。
アメリカの有名親子チーム・ホイトにインスパイアされて作られたらしい。
映画『ぼくを探しに』
2013年 監督:シルヴァン・ショメ
製作国:フランス
at ギンレイホール
フランス映画のファンタジーものが大の苦手なので、アメリのプロデューサーが手がけ、『イリュージョニスト』のシルヴァン・ショメの初の実写長編映画、っていうので悪い予感しかしなかったが、まあそれなりに楽しめた。
ファンタジー色がそんなに強くないからかな。
にしても106分が異様に長く感じたけど。
ピアニストを目指す青年ポール(ギョーム・グイ)は幼い頃に両親を亡くし、二人の叔母に育てられた。
両親を亡くしたショックで言葉を話せないポール。
耳は聞こえるからか手話もできない模様。
そんなポールはある日同じアパートに住む変なおばちゃんマダム・プルースト(アンヌ・ル・ニ)に怪しいハーブティーを飲まされてトリップする。
このハーブティーには幼い頃の記憶を呼び覚ます効果があり、ポールはこのハーブティーに夢中になる。
いや、ヤク中とかじゃなくてさ、過去の記憶に夢中ってことで。
二人の叔母の若い頃を演じた女優がびっくりするくらいそっくりで、あれ?こっちが本物で叔母の方は特殊メイクでもしているの?と一瞬混乱した。
アニー伯母さんの方を演じたベルナデット・ラフォンは2013年7月25日に逝去している。
マダム・プルーストを演じたアンヌ・ル・ニが誰かに似ていると思って考えていたら、『オール・アバウト・マイ・マザー』でゲイの娼婦を演じた女優アントニア・サン・フアンに似ているんだ。
※以下、ネタばれ
最後、ポールが振り返って父親みたくすごい形相で「わー」ってやるのかと思ったら、「パ・パ」かぁ、ふーんって感じにエンドロール見ているときふと気づいた。
喋ってんじゃん。。
製作国:フランス
at ギンレイホール
フランス映画のファンタジーものが大の苦手なので、アメリのプロデューサーが手がけ、『イリュージョニスト』のシルヴァン・ショメの初の実写長編映画、っていうので悪い予感しかしなかったが、まあそれなりに楽しめた。
ファンタジー色がそんなに強くないからかな。
にしても106分が異様に長く感じたけど。
ピアニストを目指す青年ポール(ギョーム・グイ)は幼い頃に両親を亡くし、二人の叔母に育てられた。
両親を亡くしたショックで言葉を話せないポール。
耳は聞こえるからか手話もできない模様。
そんなポールはある日同じアパートに住む変なおばちゃんマダム・プルースト(アンヌ・ル・ニ)に怪しいハーブティーを飲まされてトリップする。
このハーブティーには幼い頃の記憶を呼び覚ます効果があり、ポールはこのハーブティーに夢中になる。
いや、ヤク中とかじゃなくてさ、過去の記憶に夢中ってことで。
二人の叔母の若い頃を演じた女優がびっくりするくらいそっくりで、あれ?こっちが本物で叔母の方は特殊メイクでもしているの?と一瞬混乱した。
アニー伯母さんの方を演じたベルナデット・ラフォンは2013年7月25日に逝去している。
マダム・プルーストを演じたアンヌ・ル・ニが誰かに似ていると思って考えていたら、『オール・アバウト・マイ・マザー』でゲイの娼婦を演じた女優アントニア・サン・フアンに似ているんだ。
※以下、ネタばれ
最後、ポールが振り返って父親みたくすごい形相で「わー」ってやるのかと思ったら、「パ・パ」かぁ、ふーんって感じにエンドロール見ているときふと気づいた。
喋ってんじゃん。。
2015年1月25日日曜日
映画『しわ』
2011年 監督:イグナシオ・フェレーラス
製作国:スペイン
at ギンレイホール
さすがに4本目ともなると眠くなってきてうつらうつらしてしまった。
夢と現の狭間で見たせいか、怒りや悲しみにあふれているはずの主人公の目が吸い込まれそうなほどの無で、結構トラウマになりそう。
いや、つまらなかったわけじゃなくて、むしろ一本目で見たかったくらい面白かったのだけど、絵も内容も強烈だった、ということ。
銀行の支店長だったエミリオに、退職後、認知症の症状が現れ始める。
息子夫婦に見放されるような形で養護老人施設に入れられるエミリオ。
同室のミゲルや他の住人とも次第に打ち解けてくるエミリオだったが認知症は次第に悪化していき。。
なんだろうね、この何十年も生きてきた老人たちの重みと同時にある悲哀は。
ミゲルの男っぷりが泣ける。
製作国:スペイン
at ギンレイホール
さすがに4本目ともなると眠くなってきてうつらうつらしてしまった。
夢と現の狭間で見たせいか、怒りや悲しみにあふれているはずの主人公の目が吸い込まれそうなほどの無で、結構トラウマになりそう。
いや、つまらなかったわけじゃなくて、むしろ一本目で見たかったくらい面白かったのだけど、絵も内容も強烈だった、ということ。
銀行の支店長だったエミリオに、退職後、認知症の症状が現れ始める。
息子夫婦に見放されるような形で養護老人施設に入れられるエミリオ。
同室のミゲルや他の住人とも次第に打ち解けてくるエミリオだったが認知症は次第に悪化していき。。
なんだろうね、この何十年も生きてきた老人たちの重みと同時にある悲哀は。
ミゲルの男っぷりが泣ける。
映画『イリュージョニスト』
2010年 監督:シルヴァン・ショメ
製作国:イギリス/フランス
at ギンレイホール
手品師の主人公の佇まいとか所作とか、台詞の少なさとかパントマイム風のコメディとか、正にそのものなんだけど、劇中にジャック・タチの『ぼくの伯父さん』のシーンが挿入されるまでまったく気づかなかった。
この主人公ってユロ氏そのものじゃん。
ジャック・タチが娘にあてた幻の遺稿が原作らしい。
で、手品師の名前タチシェフはジャック・タチの本名(それは知らなかった)。
アニメで見るユロ氏というのもまあ面白いけど、欲を言えばやっぱりジャック・タチ監督主演で見たかったな。
アニメだと少々前衛的なセットはないし、主人公の無表情な(肉体としての)存在感は薄れてどうしてもマイルドになってしまう。
アニメ映像としては面白かったけど。
少女はもう少し美人にしてほしかった。(ちなみにこの少女は馬鹿なんだろうか。。)
製作国:イギリス/フランス
at ギンレイホール
手品師の主人公の佇まいとか所作とか、台詞の少なさとかパントマイム風のコメディとか、正にそのものなんだけど、劇中にジャック・タチの『ぼくの伯父さん』のシーンが挿入されるまでまったく気づかなかった。
この主人公ってユロ氏そのものじゃん。
ジャック・タチが娘にあてた幻の遺稿が原作らしい。
で、手品師の名前タチシェフはジャック・タチの本名(それは知らなかった)。
アニメで見るユロ氏というのもまあ面白いけど、欲を言えばやっぱりジャック・タチ監督主演で見たかったな。
アニメだと少々前衛的なセットはないし、主人公の無表情な(肉体としての)存在感は薄れてどうしてもマイルドになってしまう。
アニメ映像としては面白かったけど。
少女はもう少し美人にしてほしかった。(ちなみにこの少女は馬鹿なんだろうか。。)
映画『ファンタスティック Mr.FOX』
2009年 監督:ウェス・アンダーソン
製作国:アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
パペットアニメ見るの久しぶりだ。
狐の毛並みがきれい。
すべて動物の擬人化かと思いきや、人間も出てくる。
原作は児童文学『すばらしき父さん狐』(『父さんギツネバンザイ』)らしい。
これ、監督はウェス・アンダーソン。
実写の制限が少ないせいかやりたい放題、というかウェス・アンダーソン色が満開になっている。縦の断面で切り取ったような構図もふんだんだし。
今思うと『グランド・ブダペスト・ホテル』の雪上チェイスとかってこのアニメを撮った経験が生かされているのかもしれない。
製作国:アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
パペットアニメ見るの久しぶりだ。
狐の毛並みがきれい。
すべて動物の擬人化かと思いきや、人間も出てくる。
原作は児童文学『すばらしき父さん狐』(『父さんギツネバンザイ』)らしい。
これ、監督はウェス・アンダーソン。
実写の制限が少ないせいかやりたい放題、というかウェス・アンダーソン色が満開になっている。縦の断面で切り取ったような構図もふんだんだし。
今思うと『グランド・ブダペスト・ホテル』の雪上チェイスとかってこのアニメを撮った経験が生かされているのかもしれない。
2015年1月24日土曜日
映画『ファンタスティック・プラネット』
1973年 監督:ルネ・ラルー
製作国:フランス/チェコ
at ギンレイホール
ギンレイでのアニメ特集オールナイト1本目。
先月は年末だし天井桟敷だったから混んでいたのかと思ったら、先月以上の混み具合、というか満席だった。
ファンタスティック・プラネットって見たことある気もするし見たいと思って見逃していた気もするし、と思いながら映画が始まった瞬間、鮮明に過去に見た記憶がよみがえってきた。
この超絶いかした音楽と不安を感じさせる絵を忘れるわけがない(忘れていたわけだけど)。
今はあの駆除の錠剤みたいなものを発射するマシンのポンポンポンという破裂音がトラウマだわ。
感想は以前書いているので略。
映画『ファンタスティック・プラネット』
製作国:フランス/チェコ
at ギンレイホール
ギンレイでのアニメ特集オールナイト1本目。
先月は年末だし天井桟敷だったから混んでいたのかと思ったら、先月以上の混み具合、というか満席だった。
ファンタスティック・プラネットって見たことある気もするし見たいと思って見逃していた気もするし、と思いながら映画が始まった瞬間、鮮明に過去に見た記憶がよみがえってきた。
この超絶いかした音楽と不安を感じさせる絵を忘れるわけがない(忘れていたわけだけど)。
今はあの駆除の錠剤みたいなものを発射するマシンのポンポンポンという破裂音がトラウマだわ。
感想は以前書いているので略。
映画『ファンタスティック・プラネット』
2015年1月18日日曜日
映画『ジゴロ・イン・ニューヨーク』
2013年 監督:ジョン・タートゥーロ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ジョン・タートゥーロが監督と脚本と主演している。
で、ウディ・アレンがこのジョン・タートゥーロのジゴロネタに飛びついて(確かに大好物そう)脚本にあれこれ口出した挙句にジョン・タートゥーロとW主演で出演したらしい。
90分という潔さで普通に楽しめる。
ウディ・アレン色が強くなっているけど監督脚本はあくまでジョン・タートゥーロなのでシニカルな笑いはあっても最終的にはマイルドな口当たり。
ヴァネッサ・パラディがいくつになっても魅力的だった。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ジョン・タートゥーロが監督と脚本と主演している。
で、ウディ・アレンがこのジョン・タートゥーロのジゴロネタに飛びついて(確かに大好物そう)脚本にあれこれ口出した挙句にジョン・タートゥーロとW主演で出演したらしい。
90分という潔さで普通に楽しめる。
ウディ・アレン色が強くなっているけど監督脚本はあくまでジョン・タートゥーロなのでシニカルな笑いはあっても最終的にはマイルドな口当たり。
ヴァネッサ・パラディがいくつになっても魅力的だった。
映画『アデル、ブルーは熱い色』
2013年 監督:アブデラティフ・ケシシュ
製作国:フランス
at ギンレイホール
表情のクローズアップばかり。最近流行っているのかな。顔のクローズアップばかりってせせこましいから嫌いなんだけど、この映画に関しては結構面白かった。
不躾なまでの執拗なクローズアップは、人が無意識に他者との間に張る防御的な膜をあっさり突き破って登場人物の生の姿をこれでもかと大衆にさらけ出す。(感情の機微や想いが重要なストーリーと、それを表現するだけの役者あってこそだけど)
そんな演出スタンスだから性交シーンもあからさまでそして異様に長い。(それだけに勝手にモザイク入れたのが残念)
長すぎね?と思うくらい長いのだが、それも最後の方の喫茶店のシーン見て、ああ、あのくそ長い数々の性交シーンはここに集約するのかと納得する。
179分もあって見る前はふざけんなと思ったが、なかなか面白かった。
2013年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを取ったらしいが、賞が監督だけでなく主演女優二人(アデル・エグザルコプロス、レア・セドゥ)にも贈られるという史上初の革命がもたらされて話題になったらしい。
製作国:フランス
at ギンレイホール
表情のクローズアップばかり。最近流行っているのかな。顔のクローズアップばかりってせせこましいから嫌いなんだけど、この映画に関しては結構面白かった。
不躾なまでの執拗なクローズアップは、人が無意識に他者との間に張る防御的な膜をあっさり突き破って登場人物の生の姿をこれでもかと大衆にさらけ出す。(感情の機微や想いが重要なストーリーと、それを表現するだけの役者あってこそだけど)
そんな演出スタンスだから性交シーンもあからさまでそして異様に長い。(それだけに勝手にモザイク入れたのが残念)
長すぎね?と思うくらい長いのだが、それも最後の方の喫茶店のシーン見て、ああ、あのくそ長い数々の性交シーンはここに集約するのかと納得する。
179分もあって見る前はふざけんなと思ったが、なかなか面白かった。
2013年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを取ったらしいが、賞が監督だけでなく主演女優二人(アデル・エグザルコプロス、レア・セドゥ)にも贈られるという史上初の革命がもたらされて話題になったらしい。
2015年1月12日月曜日
映画『チョコレートドーナツ』
2012年 監督:トラヴィス・ファイン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
舞台は1970年代、シンガーを夢見るショーダンサールディ(アラン・カミング)はある日ゲイを隠して生きる弁護士ポール(ギャレット・ディラハント)と出会いカップルになる。
ちょうどその頃、ルディの隣人が覚醒剤所持で捕まり、一人残されたダウン症の子供マルコ(アイザック・レイヴァ)と、なんだかんだで3人の家族が出来上がる。
予告編はいつもメガネかけないでボーっと見ているからゲイのカップルだったんだと本編見て知った。
それにしても差別がすごいな。
退職してもう視界から消えてるのにそれじゃ飽き足らずにあそこまでやるなんて彼らにはゲイはゴキブリ以下に見えてるんだろうね。
そんな中、あの学校の先生すごいいい人だわぁ。惚れるレベル。
マルコ役のアイザック・レイヴァのくしゃっとした笑顔が温かくて切ない。
調べてみるとダウン症俳優って結構いるんだな。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
舞台は1970年代、シンガーを夢見るショーダンサールディ(アラン・カミング)はある日ゲイを隠して生きる弁護士ポール(ギャレット・ディラハント)と出会いカップルになる。
ちょうどその頃、ルディの隣人が覚醒剤所持で捕まり、一人残されたダウン症の子供マルコ(アイザック・レイヴァ)と、なんだかんだで3人の家族が出来上がる。
予告編はいつもメガネかけないでボーっと見ているからゲイのカップルだったんだと本編見て知った。
それにしても差別がすごいな。
退職してもう視界から消えてるのにそれじゃ飽き足らずにあそこまでやるなんて彼らにはゲイはゴキブリ以下に見えてるんだろうね。
そんな中、あの学校の先生すごいいい人だわぁ。惚れるレベル。
マルコ役のアイザック・レイヴァのくしゃっとした笑顔が温かくて切ない。
調べてみるとダウン症俳優って結構いるんだな。
映画『シンプル・シモン』
2010年 監督:アンドレアス・エーマン
製作国:スウェーデン
at ギンレイホール
配給会社かなんかのクレジットマークの合間に少し耳障りな単調なドラムの音をインサートして不穏な雰囲気をかもし出した後、一転明るい音楽とポップな天体アニメーションとともにクレジットタイトルが始まる。
予告編も面白そうだし映画の始まり方も楽しいしで期待は高まる。
で、楽しいことは楽しいのだけど、なんかなぁ、どうも最後まであまりのれなかった。
あまり分析する気もないが、ぱっと思い当たるところを挙げると、
・顔のアップが多い →うざい
・登場人物がよく大声で叫ぶ →うるさい
・なんかハッピーエンドっぽい →いやいや、絶対続かないって
てところかなぁ。
製作が2010年と少し古いのは映画祭かなんかで上映していたのが好評につき2014年に劇場公開した、とかなんとからしい。
製作国:スウェーデン
at ギンレイホール
配給会社かなんかのクレジットマークの合間に少し耳障りな単調なドラムの音をインサートして不穏な雰囲気をかもし出した後、一転明るい音楽とポップな天体アニメーションとともにクレジットタイトルが始まる。
予告編も面白そうだし映画の始まり方も楽しいしで期待は高まる。
で、楽しいことは楽しいのだけど、なんかなぁ、どうも最後まであまりのれなかった。
あまり分析する気もないが、ぱっと思い当たるところを挙げると、
・顔のアップが多い →うざい
・登場人物がよく大声で叫ぶ →うるさい
・なんかハッピーエンドっぽい →いやいや、絶対続かないって
てところかなぁ。
製作が2010年と少し古いのは映画祭かなんかで上映していたのが好評につき2014年に劇場公開した、とかなんとからしい。
2015年1月2日金曜日
秋田の人
大晦日に実家に帰って1日の夜に戻ってきた。
0時過ぎたくらいだったかな。
夜中でもそこそこ人がいる街なのにほとんど人影がなくて廃墟みたいだと思いながら家に向かって歩いていたら、暗闇に息を潜めた大量の行列が突然視界に入ってきてびっくりした。
Apple Storeの初売りの行列らしい。
この寒い夜に音も無く並ぶ人たちを横目に見ながらさっさと通り過ぎてしばらく歩いていると、向かいから歩いてきた人に少しなまったイントネーションで声をかけられる。
すいません。。。この辺の方ですか?
はい
自分秋田から出てきたんですが。。あの。。こんなこと聞くのもなんですが、、笑わないでくださいね。。
えっ?はい。
この辺に$&#$ってありますか?
えっ?
何て言ったか聞こえなくて聞き返そうとしたんだけどなにやら目頭押さえて少しうずくまってしまって、なにごとかと一旦待ってみたら
ああ、本当こんなに目見て話聞いてくれるなんて、、俺今泣きそうです。
ここにくるまで交番とかいろんなところ行ったけど誰も俺の顔見て話してくれない。
東京ってこんなところなのかって。。
俺なんて本当死んだほうがいいくそみたいな人間なんですよ。
あ、すいません、で、よく聞こえなかったんですけど、どこをお探しですか??
あ、雨風しのげるところです。
ああ。。。
秋田に比べれば寒くないだろうと思ったけど東京も夜は寒いですね。雪があるほうがまだ暖かいですよ。
雨風って漫画喫茶とかかな、金はあるのか?、なんなんだろうこの人とか、なんかいろいろ考えながら話聞いたり質問したりでうろ覚えだけど、話を要約すると
あれ、なんか要約でもなんでもなくなってきたけど、まあ要約できるほどよく理解できなかったのでしょうがない。
で、俺はどうすればいいんだろう。
ヒッチハイクで秋田に帰れっていう線はもう試して挫折しているらしいし。
大変ですね、頑張ってください、ではさようなら、と言って帰ったら金も無いこの人は野たれ死ぬだろうし強盗とか犯罪やられても困るし。
じゃあやっぱりこれしかないか、、
「えーと、なんて言って渡したらいいかわかりませんが、1/6までの足しにしてください」
と財布から1万円札出して渡そうとすると、彼は改まって姿勢を正し、
「あつかましいお願いですが、11,200円でお願いできないでしょうか」
「ああ、はい・・」
「・・ほんっとうに・・ありがとうございます」
「あっちに漫画喫茶あるんで今夜はそこで」
「いや、このお金は使えません!」
「えっ??」
「これで明日秋田に帰ります」
どうも11,200円は普通列車の乗車券代だったらしい。
それじゃあ足りないでしょ、ともう千円プラス。
プラス千円したからこれで漫画喫茶にいけるだろうと再度勧めると行かないと言う。
秋田に戻ったからと言ってすぐに仕事が見つかるわけでもないということから極力無駄遣いしないようにしようとしているらしい。
ああ、と思ってさらに三千円プラスして渡す。
あれ、昔時計詐欺にあって見知らぬ人に結構な額をふんだくられた嫌な思い出がよみがえる。
でも目は終始潤んでいるし悪い人じゃなさそうだしなぁ。
「携帯持ってますか?俺の家の電話番号入力してほしいです」
話の途中から筆記用具持ってるか?携帯持ってるか?と何度か聞かれて、電話番号教えたがっているのをドライな東京人間の俺はなんか面倒だとやんわり避けてきたけど、しつこいので名前と電話番号聞いてとりあえず携帯に入力しておいた。
「きっと電話してください。必ず返すので!」
「いや、いいですよ」
「いや!東北人の誇りにかけて必ず返します!」
「はぁ」
1月末までの電話料金は払ってから東京に来ているらしい。
たぶん電話はしないだろうと思う。死んでないかは気になるけど。
ちゃんと聞かなかった疑問点としては
・なぜ東京に出てくるときに持ってきた金を帰りの電車賃がなくなるまで使ってしまったのか?
→働いて得るはずだったお金がなんらかの理由で入らなかった??
→秋田の家を完全に引き払って東京に来たとかじゃないから(気分転換で来てみたみたいなこと言っていたし)帰るつもりだったはずなのに
・急にクビになった、のがいつか知らないが、35なら貯金くらいあるでしょ。銀行に一銭も無いの?全財産600円??
→クビになったのは1年以上前とかで秋田で仕事も見つからず失業手当も受けられず貯金も減りいよいよやばくなってきて東京にかけてみようと残りの全財産引っつかんで出てきた、に違いない。
→じゃあ秋田に帰れても駄目じゃん。。
→生活保護も受けれなかったの??
えっ、なんか書いてみるとこの辺超重要な点じゃん。なんで聞かなかったんだろう。
これが詐欺じゃないなら無事に秋田に戻れても未来が無い。。
FacebookとかやってるかとさっきGoogle検索で名前を入力してみたら、候補で「秋田」と出てきたので、凄くドキッとした。
時計詐欺の時も聞いたこと無いブランド名入力してみたらそんな感じだったから。
秋田が出てきたのは漢字違いの同姓同名の高校球児がいるからっぽい。
0時過ぎたくらいだったかな。
夜中でもそこそこ人がいる街なのにほとんど人影がなくて廃墟みたいだと思いながら家に向かって歩いていたら、暗闇に息を潜めた大量の行列が突然視界に入ってきてびっくりした。
Apple Storeの初売りの行列らしい。
この寒い夜に音も無く並ぶ人たちを横目に見ながらさっさと通り過ぎてしばらく歩いていると、向かいから歩いてきた人に少しなまったイントネーションで声をかけられる。
すいません。。。この辺の方ですか?
はい
自分秋田から出てきたんですが。。あの。。こんなこと聞くのもなんですが、、笑わないでくださいね。。
えっ?はい。
この辺に$&#$ってありますか?
えっ?
何て言ったか聞こえなくて聞き返そうとしたんだけどなにやら目頭押さえて少しうずくまってしまって、なにごとかと一旦待ってみたら
ああ、本当こんなに目見て話聞いてくれるなんて、、俺今泣きそうです。
ここにくるまで交番とかいろんなところ行ったけど誰も俺の顔見て話してくれない。
東京ってこんなところなのかって。。
俺なんて本当死んだほうがいいくそみたいな人間なんですよ。
あ、すいません、で、よく聞こえなかったんですけど、どこをお探しですか??
あ、雨風しのげるところです。
ああ。。。
秋田に比べれば寒くないだろうと思ったけど東京も夜は寒いですね。雪があるほうがまだ暖かいですよ。
雨風って漫画喫茶とかかな、金はあるのか?、なんなんだろうこの人とか、なんかいろいろ考えながら話聞いたり質問したりでうろ覚えだけど、話を要約すると
- 秋田で勤めていた派遣会社からいきなり首切られた
- 気分転換として12/19に東京に出てきてみたけど持ってきた金も使い果たして今600円くらいしかない
- 今公衆トイレで顔洗ってポマードつけてある程度身なりを整えてきた
- 1/6にどこだかで日雇いの仕事があるらしいので行ってみるつもり
- 両親は既に他界
- 交番に行ったが住所だの電話番号だのいろいろ聞いてくるくせに何もしてくれない。両親がいないってだけで凄く冷たくなった。(※警察としては親御さんに連絡取って、くらいしかできないだろうからしょうがないと俺は思ったけど)
- 築地に行って秋田方面のトラックに乗せてもらおうとトラック見つけてはワーッと駆け寄っていったが乗せてくれるどころか凄く怒られた
- 35にもなってこんな状態で俺なんて本当死んだほうがいいんだ
- 警察のやつらとか住所だの電話番号だのさんざん教えたのに、これで俺がそこらで野たれ死んだらどうしてくれるんだ!ただじゃおかねぇ!
- こんなことなら東京なんて出てくるんじゃなかった
- 警察に浮浪者とは一緒に寝ないほうがいいと言われた。危ないから。
- 警察には1/6のその日雇いの仕事はそういうのやくざがやっていたりして危ないからやめた方がいいと言われた
- こんなに俺の話聞いてくれるなんて。。凄い感動している
- あなたとはもっと別の形で会いたかった
あれ、なんか要約でもなんでもなくなってきたけど、まあ要約できるほどよく理解できなかったのでしょうがない。
で、俺はどうすればいいんだろう。
ヒッチハイクで秋田に帰れっていう線はもう試して挫折しているらしいし。
大変ですね、頑張ってください、ではさようなら、と言って帰ったら金も無いこの人は野たれ死ぬだろうし強盗とか犯罪やられても困るし。
じゃあやっぱりこれしかないか、、
「えーと、なんて言って渡したらいいかわかりませんが、1/6までの足しにしてください」
と財布から1万円札出して渡そうとすると、彼は改まって姿勢を正し、
「あつかましいお願いですが、11,200円でお願いできないでしょうか」
「ああ、はい・・」
「・・ほんっとうに・・ありがとうございます」
「あっちに漫画喫茶あるんで今夜はそこで」
「いや、このお金は使えません!」
「えっ??」
「これで明日秋田に帰ります」
どうも11,200円は普通列車の乗車券代だったらしい。
それじゃあ足りないでしょ、ともう千円プラス。
プラス千円したからこれで漫画喫茶にいけるだろうと再度勧めると行かないと言う。
秋田に戻ったからと言ってすぐに仕事が見つかるわけでもないということから極力無駄遣いしないようにしようとしているらしい。
ああ、と思ってさらに三千円プラスして渡す。
あれ、昔時計詐欺にあって見知らぬ人に結構な額をふんだくられた嫌な思い出がよみがえる。
でも目は終始潤んでいるし悪い人じゃなさそうだしなぁ。
「携帯持ってますか?俺の家の電話番号入力してほしいです」
話の途中から筆記用具持ってるか?携帯持ってるか?と何度か聞かれて、電話番号教えたがっているのをドライな東京人間の俺はなんか面倒だとやんわり避けてきたけど、しつこいので名前と電話番号聞いてとりあえず携帯に入力しておいた。
「きっと電話してください。必ず返すので!」
「いや、いいですよ」
「いや!東北人の誇りにかけて必ず返します!」
「はぁ」
1月末までの電話料金は払ってから東京に来ているらしい。
たぶん電話はしないだろうと思う。死んでないかは気になるけど。
ちゃんと聞かなかった疑問点としては
・なぜ東京に出てくるときに持ってきた金を帰りの電車賃がなくなるまで使ってしまったのか?
→働いて得るはずだったお金がなんらかの理由で入らなかった??
→秋田の家を完全に引き払って東京に来たとかじゃないから(気分転換で来てみたみたいなこと言っていたし)帰るつもりだったはずなのに
・急にクビになった、のがいつか知らないが、35なら貯金くらいあるでしょ。銀行に一銭も無いの?全財産600円??
→クビになったのは1年以上前とかで秋田で仕事も見つからず失業手当も受けられず貯金も減りいよいよやばくなってきて東京にかけてみようと残りの全財産引っつかんで出てきた、に違いない。
→じゃあ秋田に帰れても駄目じゃん。。
→生活保護も受けれなかったの??
えっ、なんか書いてみるとこの辺超重要な点じゃん。なんで聞かなかったんだろう。
これが詐欺じゃないなら無事に秋田に戻れても未来が無い。。
FacebookとかやってるかとさっきGoogle検索で名前を入力してみたら、候補で「秋田」と出てきたので、凄くドキッとした。
時計詐欺の時も聞いたこと無いブランド名入力してみたらそんな感じだったから。
秋田が出てきたのは漢字違いの同姓同名の高校球児がいるからっぽい。
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