2010年 監督:ギャレス・エドワーズ
製作国:イギリス
テレビ録画
タイトルからして8割方B級映画だろうと予測して録画して、冒頭字幕でこの世界観の軽い説明をしちゃっているのを見たときにこれはやはりB級映画だと確信した。
と思ったんだけど、実際はコーショーさすら漂うなかなか面白いロードムービーだった。
メキシコの半分が巨大な地球外生命体の住処となっている世界。
新聞社社長の娘が裕福な自分を嫌ってなんか知らんがメキシコのこの危険地帯の近くに滞在してなんか知らんが怪我する。
新聞社のカメラマンはこの娘をアメリカに連れ戻す任務を受けてやってくるが、死んだ宇宙人しか見たことない男はまたとないチャンスとしてこの地に留まって取材を行いたいと思うのだがパワハラにより断念して娘とアメリカに渋々帰ろうとする、って話。
令嬢役のホイットニー・エイブルが令嬢っぽくないけど金髪ショートカットで綺麗な人だった。
カメラマン役のスクート・マクネイリーはなかなか面白い。
小悪党っぽい顔つきだけど弱そうでいて時にワイルドな感じでもあり胸毛ボーボーでもある。
モーテルで大失態をするところはパンツ一丁と胸毛の滑稽さも合わさって結構笑える。
宇宙人のいる危険地帯に定期的に爆撃を行うアメリカ軍を地元民とかが非難している、ってストレートな風刺。
調べると低予算映画として結構有名な映画だった模様。
ギャレス・エドワーズはこの映画をきっかけに『GODZILLA ゴジラ』の監督に抜擢されている。
2019年12月30日月曜日
2019年12月29日日曜日
映画『永遠に僕のもの』
2018年 監督:ルイス・オルテガ
製作国:アルゼンチン / スペイン
at ギンレイホール
1971年ブエノスアイレス。
真面目な両親の元で育った17歳のカルリートス(ロレンソ・フェロ)はそこいらの女の子より可愛い美少年だった。
で、強盗の常習犯だった。
その手口は大胆不敵で、犯罪を犯している最中とは思えないくらいの余裕ぶり。
その美貌ゆえに何をしても許されるかのよう。
やがて学校で濃いイケメンのラモン(チノ・ダリン)と出会い、コンビで犯罪を重ねていく。
カルリートスが銃を手に入れてからはもうやばい。
ラモンに射殺魔と言われるくらいなんの躊躇もなく撃つ。殺す。
カルリートスはラモンに気がある(でいいんだよな)。
だからコンビを組んでいるのだけど、ラモンもその父親もただの小悪党なのね。
ラモンに至っては芸能活動しようとまでしだすし。(歌っているシーンが笑える)
ラモン達が小物である分、カルリートスの異様さが際立ってくる。
小物というか常識人なのか。カルリートスはネジが飛んでいる。
善悪の区別はなく、果てしなく自由。
比べるものじゃないけど紳士な銀行強盗とか笑えてくる。
面白かった。
主演のロレンソ・フェロは今後どのような役柄を演じていくのだろうか。
母親役にセシリア・ロス。
予告編でも流れているけど「朝日のあたる家」がぴったりだなぁ。
製作国:アルゼンチン / スペイン
at ギンレイホール
1971年ブエノスアイレス。
真面目な両親の元で育った17歳のカルリートス(ロレンソ・フェロ)はそこいらの女の子より可愛い美少年だった。
で、強盗の常習犯だった。
その手口は大胆不敵で、犯罪を犯している最中とは思えないくらいの余裕ぶり。
その美貌ゆえに何をしても許されるかのよう。
やがて学校で濃いイケメンのラモン(チノ・ダリン)と出会い、コンビで犯罪を重ねていく。
カルリートスが銃を手に入れてからはもうやばい。
ラモンに射殺魔と言われるくらいなんの躊躇もなく撃つ。殺す。
カルリートスはラモンに気がある(でいいんだよな)。
だからコンビを組んでいるのだけど、ラモンもその父親もただの小悪党なのね。
ラモンに至っては芸能活動しようとまでしだすし。(歌っているシーンが笑える)
ラモン達が小物である分、カルリートスの異様さが際立ってくる。
小物というか常識人なのか。カルリートスはネジが飛んでいる。
善悪の区別はなく、果てしなく自由。
比べるものじゃないけど紳士な銀行強盗とか笑えてくる。
面白かった。
主演のロレンソ・フェロは今後どのような役柄を演じていくのだろうか。
母親役にセシリア・ロス。
予告編でも流れているけど「朝日のあたる家」がぴったりだなぁ。
映画『さらば愛しきアウトロー』
2018年 監督:デヴィッド・ロウリー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ロバート・レッドフォードの俳優引退作。
74歳のフォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)は銀行強盗を生業としている。
そしてその手口は紳士的で誰一人傷つけない。
楽に生きるなんてどうでもいい、楽しく生きたい。
を体現するかのような人生。
銀行強盗であって脱獄王でもあったりする。
映画始まってそこそこ経ってからタイトルバックが流れるんだけど、一瞬エンドロールかな、と思ってしまった。
そこまでが濃密だったとかじゃなくて、これから始まる本編も別に大した展開しなさそうという諦めからのエンドロール希望だったような気がする。
誰一人傷つけない、って金盗んだ時点で結構な人が傷ついているからね。
しかも楽しく生きたいという薄っぺらい理由で。
自由きままな"かっこいい"アウトローのタッカーであるが、娘からの視点が挿入されると一気にただのダメ人間になる。
このダメ人間視点をもっと広げて欲しかったのだけど、タッカーはそんな茶々に全く揺るがずにかっこいいまま描かれていく。
普通に考えてアウトローというか病気でしょ。万引常習犯と変わらないというか、より迷惑だし。
と、ストーリーはなんだかよくわからなかったけど、ロバート・レッドフォードの皺だらけのダンディさと時の流れを眺め、普通に付き合えそうなシシー・スペイセクの眩い魅力に見とれていると93分耐えられる。
公式ページ見ていたら蓮實重彦がコメント寄せているのね。
デヴィッド・ロウリーをかなり推しているらしい。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ロバート・レッドフォードの俳優引退作。
74歳のフォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)は銀行強盗を生業としている。
そしてその手口は紳士的で誰一人傷つけない。
楽に生きるなんてどうでもいい、楽しく生きたい。
を体現するかのような人生。
銀行強盗であって脱獄王でもあったりする。
映画始まってそこそこ経ってからタイトルバックが流れるんだけど、一瞬エンドロールかな、と思ってしまった。
そこまでが濃密だったとかじゃなくて、これから始まる本編も別に大した展開しなさそうという諦めからのエンドロール希望だったような気がする。
誰一人傷つけない、って金盗んだ時点で結構な人が傷ついているからね。
しかも楽しく生きたいという薄っぺらい理由で。
自由きままな"かっこいい"アウトローのタッカーであるが、娘からの視点が挿入されると一気にただのダメ人間になる。
このダメ人間視点をもっと広げて欲しかったのだけど、タッカーはそんな茶々に全く揺るがずにかっこいいまま描かれていく。
普通に考えてアウトローというか病気でしょ。万引常習犯と変わらないというか、より迷惑だし。
と、ストーリーはなんだかよくわからなかったけど、ロバート・レッドフォードの皺だらけのダンディさと時の流れを眺め、普通に付き合えそうなシシー・スペイセクの眩い魅力に見とれていると93分耐えられる。
公式ページ見ていたら蓮實重彦がコメント寄せているのね。
デヴィッド・ロウリーをかなり推しているらしい。
2019年12月27日金曜日
映画『アマンダと僕』
2018年 監督:ミカエル・アース
製作国:フランス
at ギンレイホール
アマンダのような主役級の少女って大抵可愛らしく芸達者なこまっしゃくれたガキが採用されてうんざりするけど、見てよこの子イゾール・ミュルトリエ、色黒でむちむちしていて眉毛薄くて、全然かわいくないでしょ。
それだけでもう名作だよね。
しかも見終わる頃にはイゾール・ミュルトリエが可愛くてしょうがなくなる。
ダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)はアパートの管理人やら枝の剪定やらの便利屋をして生活している。
仲のいい姉サンドリーヌ(オフェリア・コルプ)はシングルマザーで、7歳の娘アマンダ(イゾール・ミュルトリエ)と暮らしており、ダヴィッドもたまに姪であるアマンダの学校の送り迎えをしたりする。
そして姉の突然の死。
ここ、どうして亡くなるのかは知らないで見ていたので、自転車が古いとかそういうセリフや窓辺に佇むとかのシーン一つ一つにびくびくしていた。
一人取り残されたアマンダを養育できる可能性がある人たちの最有力候補はダヴィッドだが、まだ20代なかばくらいだし、育てる自信がない。
一旦はダヴィッド達の叔母であるモード(マリアンヌ・バスレール)と交互にアマンダの面倒を見ることにするが。。
古い友人に会ったとき、姉の死を伝えないで別れたものの思いとどまってちゃんと伝えるシーンが、二人の会話を聞こえないようにしていて、セリフを想像すると泣けてくる。
「エルヴィスは建物を出た」がラストに繋がり、気丈だったアマンダに涙が止まらない。
今回のギンレイは泣かせにくる。
レナ役のステイシー・マーティンがなかなか気になる。
少し独特な顔立ちだけど、爽やかな美人さん。
IVANに似ている気もする。
製作国:フランス
at ギンレイホール
アマンダのような主役級の少女って大抵可愛らしく芸達者なこまっしゃくれたガキが採用されてうんざりするけど、見てよこの子イゾール・ミュルトリエ、色黒でむちむちしていて眉毛薄くて、全然かわいくないでしょ。
それだけでもう名作だよね。
しかも見終わる頃にはイゾール・ミュルトリエが可愛くてしょうがなくなる。
ダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)はアパートの管理人やら枝の剪定やらの便利屋をして生活している。
仲のいい姉サンドリーヌ(オフェリア・コルプ)はシングルマザーで、7歳の娘アマンダ(イゾール・ミュルトリエ)と暮らしており、ダヴィッドもたまに姪であるアマンダの学校の送り迎えをしたりする。
そして姉の突然の死。
ここ、どうして亡くなるのかは知らないで見ていたので、自転車が古いとかそういうセリフや窓辺に佇むとかのシーン一つ一つにびくびくしていた。
一人取り残されたアマンダを養育できる可能性がある人たちの最有力候補はダヴィッドだが、まだ20代なかばくらいだし、育てる自信がない。
一旦はダヴィッド達の叔母であるモード(マリアンヌ・バスレール)と交互にアマンダの面倒を見ることにするが。。
古い友人に会ったとき、姉の死を伝えないで別れたものの思いとどまってちゃんと伝えるシーンが、二人の会話を聞こえないようにしていて、セリフを想像すると泣けてくる。
「エルヴィスは建物を出た」がラストに繋がり、気丈だったアマンダに涙が止まらない。
今回のギンレイは泣かせにくる。
レナ役のステイシー・マーティンがなかなか気になる。
少し独特な顔立ちだけど、爽やかな美人さん。
IVANに似ている気もする。
映画『Girl/ガール』
2018年 監督:ルーカス・ドン
製作国:ベルギー
at ギンレイホール
ああ、予告編見返すだけで涙出てくる。
バレリーナを目指すララ(ヴィクトール・ポルスター)は、トランスジェンダーの女の子。
どっからどう見ても女の子で、長身でスタイルよくてかわいい。
なのにぺったんこの胸や股の下はやっぱり男であった。
ララは努力が認められて難関のバレエ学校に入学が決まる。
トランスジェンダーを最初から公表しているのだが、クラスメイトの理解度のよさが素晴らしい。
とはいえ嫉妬やらなにやらがうずまくバレエ学校でかつ15,6歳のガキどもでしょ。そんな単純いはいかない。
女の子でありたいのに自分の身体は女の子と決定的に違うところにいる。
足の指を血だらけにしながらも必死にバレエの練習に明け暮れる姿が繰り返し繰り返し描かれると、祈りを捧げているような敬虔で神々しいシーンに見えてくる。
同時に細いのに筋肉質な腕など、男が垣間見えるたびに切なくもなってくる。
女の子になりたい。
崩壊寸前のララの心はバレエにさらにのめり込ませていくが、バレエや学友もララを追い詰めていく。
ララがふりまく笑顔が切ない。
ララが抱えてきた辛さや悲しみがラストで爆発する。
メリッ、ううぅー
痛みもそうだけど、何より切なすぎて涙が止まらない。
よき理解者である(ありたいと思う)父親が駆けつけるシーンもいいよな。
ララ役のヴィクトール・ポルスターは男性でバレエスクールに通うトップダンサーらしい。シスジェンダー。
製作国:ベルギー
at ギンレイホール
ああ、予告編見返すだけで涙出てくる。
バレリーナを目指すララ(ヴィクトール・ポルスター)は、トランスジェンダーの女の子。
どっからどう見ても女の子で、長身でスタイルよくてかわいい。
なのにぺったんこの胸や股の下はやっぱり男であった。
ララは努力が認められて難関のバレエ学校に入学が決まる。
トランスジェンダーを最初から公表しているのだが、クラスメイトの理解度のよさが素晴らしい。
とはいえ嫉妬やらなにやらがうずまくバレエ学校でかつ15,6歳のガキどもでしょ。そんな単純いはいかない。
女の子でありたいのに自分の身体は女の子と決定的に違うところにいる。
足の指を血だらけにしながらも必死にバレエの練習に明け暮れる姿が繰り返し繰り返し描かれると、祈りを捧げているような敬虔で神々しいシーンに見えてくる。
同時に細いのに筋肉質な腕など、男が垣間見えるたびに切なくもなってくる。
女の子になりたい。
崩壊寸前のララの心はバレエにさらにのめり込ませていくが、バレエや学友もララを追い詰めていく。
ララがふりまく笑顔が切ない。
ララが抱えてきた辛さや悲しみがラストで爆発する。
メリッ、ううぅー
痛みもそうだけど、何より切なすぎて涙が止まらない。
よき理解者である(ありたいと思う)父親が駆けつけるシーンもいいよな。
ララ役のヴィクトール・ポルスターは男性でバレエスクールに通うトップダンサーらしい。シスジェンダー。
2019年12月1日日曜日
映画『COLD WAR あの歌、2つの心』
2018年 監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
製作国:ポーランド / イギリス / フランス
at ギンレイホール
オヨヨ~。
この歌つい最近どっかで聞いたことある!って思ったらこの映画の予告編で見たんだった。
ポーランド民謡の『2つの心』。
テーマソングともいうべき歌で、歌詞やアレンジを変えて何度も出てくる。
1949年共産主義政権下のポーランドで、音楽舞踏団を結成したピアニストのヴィクトル(トマシュ・コット)は、そのオーディションに現れた歌手志望のズーラ(ヨアンナ・クーリク)と恋に落ちる。
亡命、別れ、再会、別れ、再会、さようならが民族音楽、ジャズ等の多彩な音楽に彩られながら情熱的に描かれていく。
1シーン1シーンぎゅっと洗練されている感じで、88分しかないけどなかなか充実していた。
ズーラ役ヨアンナ・クーリクの目が魅力的。
製作国:ポーランド / イギリス / フランス
at ギンレイホール
オヨヨ~。
この歌つい最近どっかで聞いたことある!って思ったらこの映画の予告編で見たんだった。
ポーランド民謡の『2つの心』。
テーマソングともいうべき歌で、歌詞やアレンジを変えて何度も出てくる。
1949年共産主義政権下のポーランドで、音楽舞踏団を結成したピアニストのヴィクトル(トマシュ・コット)は、そのオーディションに現れた歌手志望のズーラ(ヨアンナ・クーリク)と恋に落ちる。
亡命、別れ、再会、別れ、再会、さようならが民族音楽、ジャズ等の多彩な音楽に彩られながら情熱的に描かれていく。
1シーン1シーンぎゅっと洗練されている感じで、88分しかないけどなかなか充実していた。
ズーラ役ヨアンナ・クーリクの目が魅力的。
映画『ワイルドライフ』
2018年 監督:ポール・ダノ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
家族でモンタナ州の田舎町に引っ越してきた14歳のジョー(エド・オクセンボールド)。
年若い父ジェリー(ジェイク・ギレンホール)と母ジャネット(キャリー・マリガン)は仲睦まじく、幸せを絵に書いたような家族になっている。
しかしジェリーが職場を首になったところから雲行きが怪しくなり。。
いい映画だけどのめり込むほどではないと思っていたけど、ラストシーンで一気に昇華される。
どことなくぎこちない笑顔の二人とか、その二人に挟まれたジョー君の表情とか、もう久しぶりに泣いた。
ジョー君役のエド・オクセンボールドはのぺっとした顔をしていて、阿呆っぽく見えなくもないけど、実際はかなりクレバーなんだろうな。
あまり感情を表出しない役柄だけど、戸惑いの少し目が泳いだ感じとか、時折両親よりも大人に見えるような意志の強さとか、うまい。
キャリー・マリガンもよくて、いい妻から悪女かよわい女強い女いい女等々をすぅーっと演じている。
なかなかいい映画だった。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
家族でモンタナ州の田舎町に引っ越してきた14歳のジョー(エド・オクセンボールド)。
年若い父ジェリー(ジェイク・ギレンホール)と母ジャネット(キャリー・マリガン)は仲睦まじく、幸せを絵に書いたような家族になっている。
しかしジェリーが職場を首になったところから雲行きが怪しくなり。。
いい映画だけどのめり込むほどではないと思っていたけど、ラストシーンで一気に昇華される。
どことなくぎこちない笑顔の二人とか、その二人に挟まれたジョー君の表情とか、もう久しぶりに泣いた。
ジョー君役のエド・オクセンボールドはのぺっとした顔をしていて、阿呆っぽく見えなくもないけど、実際はかなりクレバーなんだろうな。
あまり感情を表出しない役柄だけど、戸惑いの少し目が泳いだ感じとか、時折両親よりも大人に見えるような意志の強さとか、うまい。
キャリー・マリガンもよくて、いい妻から悪女かよわい女強い女いい女等々をすぅーっと演じている。
なかなかいい映画だった。
2019年11月17日日曜日
映画『長いお別れ』
2019年 監督:中野量太
製作国:日本
at ギンレイホール
蒼井優演じる芙美と一緒に暮らしているらしき男性が中学生っぽいのだが、息子役でも弟役でもなんだか年が合わないと思って悩んでいたら、まさかの恋人役だった。
中学生じゃなくて社会人らしい。
父親(山崎努)が認知症になった。
妻(松原智恵子)は献身的に夫を支え、二人の娘(蒼井優と竹内結子)もサポートする。ただし姉の方はアメリカ暮らしだけど。
中野量太監督って、光に溢れてはっきりくっきりした映像の中で力強い人達を描きながらも、同時に人間の外観やら内面の醜い部分をさらっと映像に載せるっていう印象がある。
今回もそんな感じ。
万引で捕まった時のスーパーの店員は殴りたいくらい腹立つ。
お母さんたちみたいな夫婦になりたかったと言う長女の夫(北村有起哉)は一体何が悪いのか。
少し冷たい感じはするが(部屋はいつも薄暗い印象だし)、父親(山崎努)が気さくだったとも思えない。
結局は妻が我を捨てて、というか何より夫が第一で夫を支えることが生きがいという昔ながらのスタイルであれば、よほどひどい夫でない限りは夫婦円満ってことに帰結するのではないかと思った。
製作国:日本
at ギンレイホール
蒼井優演じる芙美と一緒に暮らしているらしき男性が中学生っぽいのだが、息子役でも弟役でもなんだか年が合わないと思って悩んでいたら、まさかの恋人役だった。
中学生じゃなくて社会人らしい。
父親(山崎努)が認知症になった。
妻(松原智恵子)は献身的に夫を支え、二人の娘(蒼井優と竹内結子)もサポートする。ただし姉の方はアメリカ暮らしだけど。
中野量太監督って、光に溢れてはっきりくっきりした映像の中で力強い人達を描きながらも、同時に人間の外観やら内面の醜い部分をさらっと映像に載せるっていう印象がある。
今回もそんな感じ。
万引で捕まった時のスーパーの店員は殴りたいくらい腹立つ。
お母さんたちみたいな夫婦になりたかったと言う長女の夫(北村有起哉)は一体何が悪いのか。
少し冷たい感じはするが(部屋はいつも薄暗い印象だし)、父親(山崎努)が気さくだったとも思えない。
結局は妻が我を捨てて、というか何より夫が第一で夫を支えることが生きがいという昔ながらのスタイルであれば、よほどひどい夫でない限りは夫婦円満ってことに帰結するのではないかと思った。
映画『洗骨』
2018年 監督:照屋年之
製作国:日本
at ギンレイホール
冒頭の棺の縁に腕と頭をもたれかけさせてる喪服の女性、ってだけでかなり気に入った。
この女優さん水崎綾女、いいね。
ちゃんと沖縄って顔立ちだし。
と思って検索してみたら沖縄出身じゃなかった。
粟国島等に残る風習「洗骨」のために集まった家族の再生の物語。
ちゃんとした家族ドラマに程よく笑いが盛り込まれていてなかなか楽しい。
シリアスの後に笑いでオチをつけるのもやりすぎると邪魔になるけど、むしろシリアスを重層的なものに変容させるから凄い。
深夜の家族の真剣なぶつかり合いの後の「よそでやってくれよ~」なんか、客観的な視点を突如放り込むことでしらけさせるどころか当人たちに閉じていた世界がこの笑いで一気に広がりを見せていく。
吉本が制作に関わっているから笑いが多いのかと思っていたけど、監督の照屋年之ってガレッジセールのゴリだったんだね。
しかもぽっと出で映画監督やってみました、とかじゃなくて、この十数年で短編をいくつも撮ってきた上でのこの映画、ってことらしい。
ちゃんとしている。
脚本も書いているし。
覇気の無いしょぼい親父役に奥田瑛二を持ってきたところは誰が決めたんだろう。
奥田瑛二のイメージと違うのに、映画では本当にしょぼくれまくっていてどハマリしていた。
骨は髪とか肉っぽいものが付いていて、美術すごいなぁ。
製作国:日本
at ギンレイホール
冒頭の棺の縁に腕と頭をもたれかけさせてる喪服の女性、ってだけでかなり気に入った。
この女優さん水崎綾女、いいね。
ちゃんと沖縄って顔立ちだし。
と思って検索してみたら沖縄出身じゃなかった。
粟国島等に残る風習「洗骨」のために集まった家族の再生の物語。
ちゃんとした家族ドラマに程よく笑いが盛り込まれていてなかなか楽しい。
シリアスの後に笑いでオチをつけるのもやりすぎると邪魔になるけど、むしろシリアスを重層的なものに変容させるから凄い。
深夜の家族の真剣なぶつかり合いの後の「よそでやってくれよ~」なんか、客観的な視点を突如放り込むことでしらけさせるどころか当人たちに閉じていた世界がこの笑いで一気に広がりを見せていく。
吉本が制作に関わっているから笑いが多いのかと思っていたけど、監督の照屋年之ってガレッジセールのゴリだったんだね。
しかもぽっと出で映画監督やってみました、とかじゃなくて、この十数年で短編をいくつも撮ってきた上でのこの映画、ってことらしい。
ちゃんとしている。
脚本も書いているし。
覇気の無いしょぼい親父役に奥田瑛二を持ってきたところは誰が決めたんだろう。
奥田瑛二のイメージと違うのに、映画では本当にしょぼくれまくっていてどハマリしていた。
骨は髪とか肉っぽいものが付いていて、美術すごいなぁ。
2019年11月3日日曜日
映画『芳華-Youth-』
2017年 監督:フォン・シャオガン
製作国:中国
at ギンレイホール
この予告編見たら、軍の歌劇団“文芸工作団(文工団)”に所属する若者たちが時代に翻弄されながらも力強く生きる壮大なドラマ、、と思うじゃん。
当たらずも遠からずなんだけど、結構期待を裏切ってくる。
語り部であるスイツ(チョン・チューシー)が冒頭に主人公はリウ・フォン(ホアン・シュエン)とホー・シャオピン(ミャオ・ミャオ)の二人である、というのが後々までジャブのように効いてくる。
誰からも愛されて頼りになり"善人"認定されている模範兵リウ・フォンと、農村の貧しい出自で文工団に入団したシャオピンが、この歌とダンスに溢れた文工団でどんなドラマを見せてくれるんだろう。
なんて考えてしまうと、お前そっちかい!とか抜けるんかい!とか脇役だと思っていたスイツが出しゃばりすぎて実は主人公お前なんじゃないんかい!とかいろいろ突っ込むことになる。
中でも文工団での悲しみの大宴会シーンは、主人公であるシャオピンが見切りを付けた団体というレッテルを貼った上で見ることになるので、寂しい悲しい以外にお前らシャオピンちゃんをよくも、っていう冷めた視点も加わって面白い。
それにしても若者たちの青春の場(醜い面も含め)みたいな平和な所にいたはずのリウ・フォンとシャオピンが辿る道のりの落差がすさまじい。
シャオピンはよく復活したよなぁ。
戦闘シーンはばりばりのCGだけど結構残酷で迫力があった。
予告編見て楽しみだったダンスシーンだけど、あまり多くなかった。
最初の方はダンスというかこれはもしや美脚をひたすら愛でる映画なのかと思ったけどダンスシーンがなければ美脚の出番も無い。(水着シーンはある)
ダンスシーンの少なさの不満はあるけど、予測し難いストーリー展開や、いじめや恋愛や時代や戦争やらの様々な残酷が詰まっているところとか、そんな中で主人公二人のラストの温もりにはほっこりさせられたりして、面白い映画だった。
製作国:中国
at ギンレイホール
この予告編見たら、軍の歌劇団“文芸工作団(文工団)”に所属する若者たちが時代に翻弄されながらも力強く生きる壮大なドラマ、、と思うじゃん。
当たらずも遠からずなんだけど、結構期待を裏切ってくる。
語り部であるスイツ(チョン・チューシー)が冒頭に主人公はリウ・フォン(ホアン・シュエン)とホー・シャオピン(ミャオ・ミャオ)の二人である、というのが後々までジャブのように効いてくる。
誰からも愛されて頼りになり"善人"認定されている模範兵リウ・フォンと、農村の貧しい出自で文工団に入団したシャオピンが、この歌とダンスに溢れた文工団でどんなドラマを見せてくれるんだろう。
なんて考えてしまうと、お前そっちかい!とか抜けるんかい!とか脇役だと思っていたスイツが出しゃばりすぎて実は主人公お前なんじゃないんかい!とかいろいろ突っ込むことになる。
中でも文工団での悲しみの大宴会シーンは、主人公であるシャオピンが見切りを付けた団体というレッテルを貼った上で見ることになるので、寂しい悲しい以外にお前らシャオピンちゃんをよくも、っていう冷めた視点も加わって面白い。
それにしても若者たちの青春の場(醜い面も含め)みたいな平和な所にいたはずのリウ・フォンとシャオピンが辿る道のりの落差がすさまじい。
シャオピンはよく復活したよなぁ。
戦闘シーンはばりばりのCGだけど結構残酷で迫力があった。
予告編見て楽しみだったダンスシーンだけど、あまり多くなかった。
最初の方はダンスというかこれはもしや美脚をひたすら愛でる映画なのかと思ったけどダンスシーンがなければ美脚の出番も無い。(水着シーンはある)
ダンスシーンの少なさの不満はあるけど、予測し難いストーリー展開や、いじめや恋愛や時代や戦争やらの様々な残酷が詰まっているところとか、そんな中で主人公二人のラストの温もりにはほっこりさせられたりして、面白い映画だった。
映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』
2018年 監督:ラース・クラウメ
製作国:ドイツ
at ギンレイホール
ベルリンの壁が築かれる前の1956年の東ベルリン。
エリート高校の仲のいいテオ(レオナルド・シャイヒャー)とクルト(トム・グラメンツ)は度々列車で西に行っていたが、ある時西の映画館でハンガリー動乱のニュース映像を見る。
多くの市民が犠牲になり、その中に有名なサッカー選手も含まれることを知り、クラスの皆に呼びかけて2分間の黙祷を捧げる。
テオはどちらかというと遊び半分だったのかな。
いずれにしろこの黙祷が大問題に発展し、国家による首謀者探しと、仲間や恋人の裏切りやら家族の事情やらいろんなもんが絡んだ人間ドラマが展開される。
まあまあ面白かったけどすぐ忘れそうだな。
クルトとその父親が民族レベルで似ていないのでこれはなんかあるな、と睨んでいたが何もなかった。
テオの親父役ロナルト・ツェアフェルトがいかした親父だった。
穏便に済まそうとしていたのに事を大きくした原因を作ったやつがメガネの真面目そうな小男っていうのはそれっぽい。
それにしても皆すぐ激昂する。怖い民族だ。
原作はディートリッヒ・ガルスカって人が書いた『沈黙する教室 1956年東ドイツ―自由のために国境を越えた高校生たちの真実の物語』で、実話らしい。
製作国:ドイツ
at ギンレイホール
ベルリンの壁が築かれる前の1956年の東ベルリン。
エリート高校の仲のいいテオ(レオナルド・シャイヒャー)とクルト(トム・グラメンツ)は度々列車で西に行っていたが、ある時西の映画館でハンガリー動乱のニュース映像を見る。
多くの市民が犠牲になり、その中に有名なサッカー選手も含まれることを知り、クラスの皆に呼びかけて2分間の黙祷を捧げる。
テオはどちらかというと遊び半分だったのかな。
いずれにしろこの黙祷が大問題に発展し、国家による首謀者探しと、仲間や恋人の裏切りやら家族の事情やらいろんなもんが絡んだ人間ドラマが展開される。
まあまあ面白かったけどすぐ忘れそうだな。
クルトとその父親が民族レベルで似ていないのでこれはなんかあるな、と睨んでいたが何もなかった。
テオの親父役ロナルト・ツェアフェルトがいかした親父だった。
穏便に済まそうとしていたのに事を大きくした原因を作ったやつがメガネの真面目そうな小男っていうのはそれっぽい。
それにしても皆すぐ激昂する。怖い民族だ。
原作はディートリッヒ・ガルスカって人が書いた『沈黙する教室 1956年東ドイツ―自由のために国境を越えた高校生たちの真実の物語』で、実話らしい。
2019年10月20日日曜日
映画『希望の灯り』
2018年 監督:トーマス・ステューバー
製作国:ドイツ
at ギンレイホール
予告編見て面白そうなやつって、たいてい本編がつまらないのだけど、これは期待通りに面白かった。
東西統一後のドイツで、クリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)は巨大スーパーマーケットの在庫係として働き始める。
無口で内気な青年クリスティアンが、上司のイケてる中年おやじブルーノ(ペーター・クルト)の指導の元、苦手なフォークリフトの操作に四苦八苦しながらも真面目に黙々と働き、いつもにこにこ笑顔の人妻マリオン(ザンドラ・ヒュラー)に恋し、っていう話。
音の使い方がすごくよくて、そしてこういう音にこだわる人ってあまり音楽を使わないのだけど、この監督は音楽もがんがん使う。
その音楽がまたいいんだな。
盛り場でのファミコン音楽みたいなピコピコ音とか。
そこでこの音楽かよっていうのもあって、単純に悲しい場面で楽しい音楽流すとかそういうチープな話じゃなくて、もっと刺激的に映像を変容させていくような音楽の使い方というか、説明が難しいし記憶も曖昧だけど、一言でいうならとにかくセンスがいい。
映画の多くを占める無機的な倉庫も様々な表情を見せて面白いけど、店の外のあまりの何もなさにはびっくりする。
予告編にもあるけど、トラックのヘッドライトがひたすら連なる夜の道のシーンはよかったな。
原作はクレメンス・マイヤーって人の短編小説で、脚本も担当していて、しかもマリオンの夫役で出演もしているらしい。(らしいというのはあまり覚えていないから)
クレメンス・マイヤーとトーマス・ステューバーは過去にも何回かタッグを組んでいるらしく、今後も名作をいっぱい撮って欲しいなぁと思う。
製作国:ドイツ
at ギンレイホール
予告編見て面白そうなやつって、たいてい本編がつまらないのだけど、これは期待通りに面白かった。
東西統一後のドイツで、クリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)は巨大スーパーマーケットの在庫係として働き始める。
無口で内気な青年クリスティアンが、上司のイケてる中年おやじブルーノ(ペーター・クルト)の指導の元、苦手なフォークリフトの操作に四苦八苦しながらも真面目に黙々と働き、いつもにこにこ笑顔の人妻マリオン(ザンドラ・ヒュラー)に恋し、っていう話。
音の使い方がすごくよくて、そしてこういう音にこだわる人ってあまり音楽を使わないのだけど、この監督は音楽もがんがん使う。
その音楽がまたいいんだな。
盛り場でのファミコン音楽みたいなピコピコ音とか。
そこでこの音楽かよっていうのもあって、単純に悲しい場面で楽しい音楽流すとかそういうチープな話じゃなくて、もっと刺激的に映像を変容させていくような音楽の使い方というか、説明が難しいし記憶も曖昧だけど、一言でいうならとにかくセンスがいい。
映画の多くを占める無機的な倉庫も様々な表情を見せて面白いけど、店の外のあまりの何もなさにはびっくりする。
予告編にもあるけど、トラックのヘッドライトがひたすら連なる夜の道のシーンはよかったな。
原作はクレメンス・マイヤーって人の短編小説で、脚本も担当していて、しかもマリオンの夫役で出演もしているらしい。(らしいというのはあまり覚えていないから)
クレメンス・マイヤーとトーマス・ステューバーは過去にも何回かタッグを組んでいるらしく、今後も名作をいっぱい撮って欲しいなぁと思う。
映画『誰もがそれを知っている』
2018年 監督:アスガー・ファルハディ
製作国:スペイン/フランス/イタリア
at ギンレイホール
時計塔の中って怖いよね。
あの歯車とか巻き込まれたら大惨事だし。
そういう緊張感の欠片もない若者たちや鳩にこっちが緊張する。
そして何より時計塔の中が出てくるのは名作と決まっている。
文字盤の割れた隙間も映える。
ラウラ(ペネロペ・クルス)は妹の結婚式に出席するために子供を連れて帰郷する。
家族や幼馴染のパコ(ハビエル・バルデム)と再会してまぶしいくらいの賑やかさに溢れる。
結婚式も幸せに幕を閉じようとした矢先、ラウラの娘イレーネが家の中から突然失踪する。
ほどなく誘拐犯から連絡がきて。。
ミステリーだけどあまり謎解きのヒントのようなものはなく、小出しにされる過去やら秘密やらの人間関係の変化が主軸になっている。
見終わってから知ったけど、監督はアスガー・ファルハディだった。
生意気ざかりで未来に希望しか見えていなかったイレーネの今後が心配だ。
製作国:スペイン/フランス/イタリア
at ギンレイホール
時計塔の中って怖いよね。
あの歯車とか巻き込まれたら大惨事だし。
そういう緊張感の欠片もない若者たちや鳩にこっちが緊張する。
そして何より時計塔の中が出てくるのは名作と決まっている。
文字盤の割れた隙間も映える。
ラウラ(ペネロペ・クルス)は妹の結婚式に出席するために子供を連れて帰郷する。
家族や幼馴染のパコ(ハビエル・バルデム)と再会してまぶしいくらいの賑やかさに溢れる。
結婚式も幸せに幕を閉じようとした矢先、ラウラの娘イレーネが家の中から突然失踪する。
ほどなく誘拐犯から連絡がきて。。
ミステリーだけどあまり謎解きのヒントのようなものはなく、小出しにされる過去やら秘密やらの人間関係の変化が主軸になっている。
見終わってから知ったけど、監督はアスガー・ファルハディだった。
生意気ざかりで未来に希望しか見えていなかったイレーネの今後が心配だ。
2019年10月6日日曜日
映画『グリーンブック』
2018年 監督:ピーター・ファレリー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
1962年、ニューヨークのナイトクラブで用心棒をしているトニー(ヴィゴ・モーテンセン)は粗野で無教養だが、その腕っぷしやはったりで周りからの信頼が厚い。愛する妻と子持ち。
一方カーネギーホールに住むドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は天才ピアニストで、本当はクラシックをやりたいが、黒人ということで一般受けのいいポップな曲をやらされている。
このドクター・シャーリーのお抱え運転手としてトニーが採用され、黒人差別が色濃い南部の演奏旅行に出かけるロードムービー。
トニーは周りに流されてか、どちらかというと黒人差別主義者だった。
このトニーがドクター・シャーリーの人柄に触れて変わっていく、みたいな単純な筋書きにはならず(最終的にはそうだけど)、ドクター・シャーリーの最初の印象がまた高圧的で嫌な感じの奴なのね。
この二人が仲良くなるなんて考えられないところからスタートし、旅を通じて黒人差別の実態やドクター・シャーリーの心の内に触れていくことで次第に、っていう話。
ギャングでもないのに暴力に躊躇ないトニーが、いい年してなにやってんのこいつと思いながらも無性にかっこいい。
筋骨隆々じゃなくてちょっとぽっちゃり気味の程よい筋肉感がリアルだし、ヴィゴ・モーテンセンのクールな目もかっこいい。
ピザを二つ折りにしてかぶりつきたくなってくる。ケンタッキーはなんか気持ち悪かったけど。
トニーの妻役リンダ・カーデリーニは40過ぎているのに天使かってくらいキュートだった。テレビを中心に活動していた人っぽい。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
1962年、ニューヨークのナイトクラブで用心棒をしているトニー(ヴィゴ・モーテンセン)は粗野で無教養だが、その腕っぷしやはったりで周りからの信頼が厚い。愛する妻と子持ち。
一方カーネギーホールに住むドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は天才ピアニストで、本当はクラシックをやりたいが、黒人ということで一般受けのいいポップな曲をやらされている。
このドクター・シャーリーのお抱え運転手としてトニーが採用され、黒人差別が色濃い南部の演奏旅行に出かけるロードムービー。
トニーは周りに流されてか、どちらかというと黒人差別主義者だった。
このトニーがドクター・シャーリーの人柄に触れて変わっていく、みたいな単純な筋書きにはならず(最終的にはそうだけど)、ドクター・シャーリーの最初の印象がまた高圧的で嫌な感じの奴なのね。
この二人が仲良くなるなんて考えられないところからスタートし、旅を通じて黒人差別の実態やドクター・シャーリーの心の内に触れていくことで次第に、っていう話。
ギャングでもないのに暴力に躊躇ないトニーが、いい年してなにやってんのこいつと思いながらも無性にかっこいい。
筋骨隆々じゃなくてちょっとぽっちゃり気味の程よい筋肉感がリアルだし、ヴィゴ・モーテンセンのクールな目もかっこいい。
ピザを二つ折りにしてかぶりつきたくなってくる。ケンタッキーはなんか気持ち悪かったけど。
トニーの妻役リンダ・カーデリーニは40過ぎているのに天使かってくらいキュートだった。テレビを中心に活動していた人っぽい。
映画『ブラック・クランズマン』
2018年 監督:スパイク・リー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
1970年代、コロラド州の警察署で初の黒人警官に採用されたロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、白人至上主義のKKKに電話をかけ、潜入捜査を試みる。
といっても黒人じゃ入れないので実際に潜入するのは同僚のフリップ・ジマーマン(アダム・ドライヴァー)が選ばれる。
電話担当のロン、潜入担当のフリップの二人による緊張と笑いと痛快の捜査が始まる。
最初のほうなかなか話が進まないので、黒人達が踊っているシーンとか眠気のピークで少し寝てしまった。
起きたあとは特に展開の矛盾も感じなかったので、きっとたいしたシーンじゃなかったのだろう。。
ロンとフリップは声が明らかに違うし、フリップがそのまま電話担当にもなればいい気もするけど、そうするとロンの仕事がなくなっちゃうし、声の違いがばれるかもという緊張感を生むし、一応
ロンは口が達者(潜入するフリップの方が口が達者である必要があるけど)という設定みたいだから、これでいいのだろう。
というか実話に基づいているんだね。
KKKのメンバーは指導者のデビッド・デューク(トファー・グレイス)を含め、彼らをコケにするあまり、とんでもないアホとして描かれている。
実際レイシストなんて実際そうなのかもしれないし、最後に彼らが実行しようとしたことはひどいけれど、それでも彼ら(一部)の結末が可愛そうだなと思ってしまった。
KKKの対比としてか、ブラックパワーを叫ぶ黒人至上主義集団みたいなものも出てくる。こっちは味方。
以下少しネタバレ
最後の方で銃を構えたロンと彼女を正面から捉えて距離を保ちながら引いていくシーンは昔の黒人ギャング映画みたいでかっこいい。
と思ったらその後の映像、2017年に起きた白人至上主義者の反対デモに車が突っ込む映像が強烈で全てがふっとんだ。
本作がいろいろ茶化しながらコメディ風にシリアスを描いている分、生の泣き叫ぶ声の前では薄い紙切れのように吹き飛ばされる。
このラストに差し込まれる実際の映像にはネットで検索するといろいろ賛否両論が巻き起こっているみたいね。
レイシストが大統領であることとか、現代アメリカへの危機感を啓示するために、むしろ最後のこのドキュメント映像が主で、そのつなぎやおまけとして本編映像が作られたに違いないな。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
1970年代、コロラド州の警察署で初の黒人警官に採用されたロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、白人至上主義のKKKに電話をかけ、潜入捜査を試みる。
といっても黒人じゃ入れないので実際に潜入するのは同僚のフリップ・ジマーマン(アダム・ドライヴァー)が選ばれる。
電話担当のロン、潜入担当のフリップの二人による緊張と笑いと痛快の捜査が始まる。
最初のほうなかなか話が進まないので、黒人達が踊っているシーンとか眠気のピークで少し寝てしまった。
起きたあとは特に展開の矛盾も感じなかったので、きっとたいしたシーンじゃなかったのだろう。。
ロンとフリップは声が明らかに違うし、フリップがそのまま電話担当にもなればいい気もするけど、そうするとロンの仕事がなくなっちゃうし、声の違いがばれるかもという緊張感を生むし、一応
ロンは口が達者(潜入するフリップの方が口が達者である必要があるけど)という設定みたいだから、これでいいのだろう。
というか実話に基づいているんだね。
KKKのメンバーは指導者のデビッド・デューク(トファー・グレイス)を含め、彼らをコケにするあまり、とんでもないアホとして描かれている。
実際レイシストなんて実際そうなのかもしれないし、最後に彼らが実行しようとしたことはひどいけれど、それでも彼ら(一部)の結末が可愛そうだなと思ってしまった。
KKKの対比としてか、ブラックパワーを叫ぶ黒人至上主義集団みたいなものも出てくる。こっちは味方。
以下少しネタバレ
最後の方で銃を構えたロンと彼女を正面から捉えて距離を保ちながら引いていくシーンは昔の黒人ギャング映画みたいでかっこいい。
と思ったらその後の映像、2017年に起きた白人至上主義者の反対デモに車が突っ込む映像が強烈で全てがふっとんだ。
本作がいろいろ茶化しながらコメディ風にシリアスを描いている分、生の泣き叫ぶ声の前では薄い紙切れのように吹き飛ばされる。
このラストに差し込まれる実際の映像にはネットで検索するといろいろ賛否両論が巻き起こっているみたいね。
レイシストが大統領であることとか、現代アメリカへの危機感を啓示するために、むしろ最後のこのドキュメント映像が主で、そのつなぎやおまけとして本編映像が作られたに違いないな。
2019年9月29日日曜日
映画『ドント・ウォーリー』
2018年 監督:ガス・ヴァン・サント
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
アル中の青年ジョン(ホアキン・フェニックス)が、飲酒を引き金に事故にあって脊髄損傷で車椅子生活になる。
絶望からますます酒がやめられず、希望もくそもない状態だったが、ついに断酒を決意する。
実在の風刺漫画家ジョン・キャラハンの物語。
時間軸があらゆる地点に飛びまくるのがなかなか分かりづらい。
ぱっと見事故前事故後なら分かるが、事故後はあまり区別つかないしなぁ。
でもまあ面白かった。
ドニー(ジョナ・ヒル)が主催する断酒のグループセラピーが、たまに怪しい自己啓発グループに見えたりもするけど、このセラピー、そしていつの間にか仲良くなったドニーの言葉に救われていく。
愚痴や悪口を喋りだすジョンに対して「君自身の話をしろ」と諌め誘導するのも上手い。
そしてドニー自身もまだ問題を抱えていて。。
ドニーを演じたのはジョナ・ヒルなんだよね。
おたく系のはずが、ちょっとぽっちゃりだけど髭面ブロンドのイケメンになっている。
ジョンの恋人役にルーニー・マーラ。
役柄もそうだけど天使か、と思う。いつの間にか30超えているんだね。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
アル中の青年ジョン(ホアキン・フェニックス)が、飲酒を引き金に事故にあって脊髄損傷で車椅子生活になる。
絶望からますます酒がやめられず、希望もくそもない状態だったが、ついに断酒を決意する。
実在の風刺漫画家ジョン・キャラハンの物語。
時間軸があらゆる地点に飛びまくるのがなかなか分かりづらい。
ぱっと見事故前事故後なら分かるが、事故後はあまり区別つかないしなぁ。
でもまあ面白かった。
ドニー(ジョナ・ヒル)が主催する断酒のグループセラピーが、たまに怪しい自己啓発グループに見えたりもするけど、このセラピー、そしていつの間にか仲良くなったドニーの言葉に救われていく。
愚痴や悪口を喋りだすジョンに対して「君自身の話をしろ」と諌め誘導するのも上手い。
そしてドニー自身もまだ問題を抱えていて。。
ドニーを演じたのはジョナ・ヒルなんだよね。
おたく系のはずが、ちょっとぽっちゃりだけど髭面ブロンドのイケメンになっている。
ジョンの恋人役にルーニー・マーラ。
役柄もそうだけど天使か、と思う。いつの間にか30超えているんだね。
映画『パリ、嘘つきな恋』
2018年 監督:フランク・デュボスク
製作国:フランス
at ギンレイホール
おっさんとおばさんの恋愛もので、おしゃれ大国フランス産映画、ときたら構えてしまうが、意外と気楽に面白かった。
冒頭からなかなかの嘘つきぶりを発揮する50手前の超迷惑おっさんジョスラン(フランク・デュボスク)は独身を謳歌している。
遊び人だけどスニーカー販売会社の支部長で結構な金持ちだったりする。
そんなジョスランがたまたま車椅子に座っているときに若い美女と知り合い、美女の胸に釘付けになったジョスランは女が勘違いするままに障害者のふりをすることにする。
女の実家のパーティにまでやってきたジョスランはそこで女の姉である車椅子の美女フロランス(アレクサンドラ・ラミー)と出会う。
コメディでありながら身体障害者をちゃんと扱っているうえ、恋愛ものとしてもしっかりしている。
ストーリーはテンポよく進むし、その中で登場人物のキャラクターや関係性は無駄なく表現されるため、かなり脚本がいい。
そしてふんだんに盛り込まれている笑いがなかなか笑える。
劇場内にいた女性二人組なんかそこまで面白いかと思うようなシーンでもゲラゲラ笑っていて、館内のこういう雰囲気ってなんか懐かしいなとほっこりする。
この二人がいなかったらたぶんそんなに笑っていなかったと思うし。
ホテルの廊下とエレベーターのシーンが秀逸だった。
エレベーターから出てすぐ画面から消えてまた現れて、戻るときも一旦消えてからエレベーターに突っ込むっていう、細長く狭い廊下で見せる動的な変化と、この消える現れるの絶妙な間、そして消えることにより空間に広がりが出るところ等、おおーって思った。
しかもここのシーンは遊び人ジョスランの心(人生)の微妙な変化を表すシーンであって、かつ笑いも忘れない、っていう、いやー、名シーンだわ。
それにしてもフロランスって、ヴァイオリニストでありながらテニスプレイヤーでもあり、知的で気さくで美人でスタイルよし、ってハイスペックすぎるよな。
あと、一途でどこか変な秘書マリー(エルザ・ジルベルスタイン)も魅力的だった。
製作国:フランス
at ギンレイホール
おっさんとおばさんの恋愛もので、おしゃれ大国フランス産映画、ときたら構えてしまうが、意外と気楽に面白かった。
冒頭からなかなかの嘘つきぶりを発揮する50手前の超迷惑おっさんジョスラン(フランク・デュボスク)は独身を謳歌している。
遊び人だけどスニーカー販売会社の支部長で結構な金持ちだったりする。
そんなジョスランがたまたま車椅子に座っているときに若い美女と知り合い、美女の胸に釘付けになったジョスランは女が勘違いするままに障害者のふりをすることにする。
女の実家のパーティにまでやってきたジョスランはそこで女の姉である車椅子の美女フロランス(アレクサンドラ・ラミー)と出会う。
コメディでありながら身体障害者をちゃんと扱っているうえ、恋愛ものとしてもしっかりしている。
ストーリーはテンポよく進むし、その中で登場人物のキャラクターや関係性は無駄なく表現されるため、かなり脚本がいい。
そしてふんだんに盛り込まれている笑いがなかなか笑える。
劇場内にいた女性二人組なんかそこまで面白いかと思うようなシーンでもゲラゲラ笑っていて、館内のこういう雰囲気ってなんか懐かしいなとほっこりする。
この二人がいなかったらたぶんそんなに笑っていなかったと思うし。
ホテルの廊下とエレベーターのシーンが秀逸だった。
エレベーターから出てすぐ画面から消えてまた現れて、戻るときも一旦消えてからエレベーターに突っ込むっていう、細長く狭い廊下で見せる動的な変化と、この消える現れるの絶妙な間、そして消えることにより空間に広がりが出るところ等、おおーって思った。
しかもここのシーンは遊び人ジョスランの心(人生)の微妙な変化を表すシーンであって、かつ笑いも忘れない、っていう、いやー、名シーンだわ。
それにしてもフロランスって、ヴァイオリニストでありながらテニスプレイヤーでもあり、知的で気さくで美人でスタイルよし、ってハイスペックすぎるよな。
あと、一途でどこか変な秘書マリー(エルザ・ジルベルスタイン)も魅力的だった。
2019年9月15日日曜日
映画『天国でまた会おう』
2017年 監督:アルベール・デュポンテル
製作国:フランス
at ギンレイホール
この予告編見たとき、第9に乗せてテーブルの上をステップを踏みながら進む女性の脚のシーンでまじ面白そうと思った。
ただ、いつもの通り予告編で面白いやつって本編が期待通りにならないんだよな。
ステップ踏んでいるのは予告編に出てくる少女なのかと思ったらぽっと出の脇役だし、このシーン自体は本編だと特に感動もなくさらっと終わってしまうし。
全体的にはそれほどつまらなくはなかったけど。
第一次大戦の終戦間際、全く無駄な突撃命令の末、顔の下半分を吹き飛ばされた男エドゥアール(ナウエル・ペレス・ビスカヤール)と彼に命を救われたアルベール(アルベール・デュポンテル)の物語。
終戦後、エドゥアールは家に戻りたくないがために死んだことにしてアルベールの家に転がり込む。
画家の卵で芸術家なエドゥアールは怪しげでいやに前衛的なマスクを作ってそのマスクがどれもなかなか面白いんだけど、ストーリー上は特に関係はない。
もごもごとしか声が出ないエドゥアールの言葉を通訳できるかわいい少女ルイーズ(エロイーズ・バルステ)と知り合ってからエドゥアールの計画が始まる。
そこに突撃命令を出した憎き上官プラデル(ロラン・ラフィット)とか、エドゥアールの美しき姉(エミリー・ドゥケンヌ)とか父マルセル(ニエル・アレストリュプ)とかキュートな使用人ポリーヌ(メラニー・ティエリー)とかが絡んでくる。
がちゃがちゃといろいろあるけど、少女なりの愛らしさと聖母のような包容力と本質を捉える辛辣さと残酷さを兼ね揃えた不思議なルイーズの魅力が全てかな。
ドローンなのかCGなのかわからないけど、地上から2階にあがって少し開いた窓の隙間から部屋の中に入っていくみたいなカメラの動きは楽しい。効果的なのかは知らんが。
原作はピエール・ルメートル。映画だと結構なご都合主義になっている気がするけど原作はどうなんだろう。今度読んでみよう。
製作国:フランス
at ギンレイホール
この予告編見たとき、第9に乗せてテーブルの上をステップを踏みながら進む女性の脚のシーンでまじ面白そうと思った。
ただ、いつもの通り予告編で面白いやつって本編が期待通りにならないんだよな。
ステップ踏んでいるのは予告編に出てくる少女なのかと思ったらぽっと出の脇役だし、このシーン自体は本編だと特に感動もなくさらっと終わってしまうし。
全体的にはそれほどつまらなくはなかったけど。
第一次大戦の終戦間際、全く無駄な突撃命令の末、顔の下半分を吹き飛ばされた男エドゥアール(ナウエル・ペレス・ビスカヤール)と彼に命を救われたアルベール(アルベール・デュポンテル)の物語。
終戦後、エドゥアールは家に戻りたくないがために死んだことにしてアルベールの家に転がり込む。
画家の卵で芸術家なエドゥアールは怪しげでいやに前衛的なマスクを作ってそのマスクがどれもなかなか面白いんだけど、ストーリー上は特に関係はない。
もごもごとしか声が出ないエドゥアールの言葉を通訳できるかわいい少女ルイーズ(エロイーズ・バルステ)と知り合ってからエドゥアールの計画が始まる。
そこに突撃命令を出した憎き上官プラデル(ロラン・ラフィット)とか、エドゥアールの美しき姉(エミリー・ドゥケンヌ)とか父マルセル(ニエル・アレストリュプ)とかキュートな使用人ポリーヌ(メラニー・ティエリー)とかが絡んでくる。
がちゃがちゃといろいろあるけど、少女なりの愛らしさと聖母のような包容力と本質を捉える辛辣さと残酷さを兼ね揃えた不思議なルイーズの魅力が全てかな。
ドローンなのかCGなのかわからないけど、地上から2階にあがって少し開いた窓の隙間から部屋の中に入っていくみたいなカメラの動きは楽しい。効果的なのかは知らんが。
原作はピエール・ルメートル。映画だと結構なご都合主義になっている気がするけど原作はどうなんだろう。今度読んでみよう。
映画『僕たちのラストステージ』
2018年 監督:ジョン・S・ベアード
製作国:イギリス/カナダ/アメリカ
at ギンレイホール
ローレル&ハーディの晩年を描いた話。
二人の絆にほっこりする。
ただ、上映後のおまけの10分も無いローレル&ハーディ特選ギャグ集が抜群に面白すぎて、本編を完全に食っていた。
階段をピアノが階段をすべりおちるギャグ(本編にもオマージュされている)は、乳母車を引いた女性の高笑いが怖すぎる。
いや、お前のせいでピアノが落ちたんだろうが。
しかも高笑いを続ける女性のケツにローレルが蹴りを入れる、という今じゃ考えられない仕打ちもある。
そして蹴りに対する報復でハーディは瓶で頭を殴られる、っていう残酷さ。。。面白い。
Youtubeに全編あるな。『極楽ピアノ騒動』(THE MUSIC BOX 1932)
ローレル役にスティーヴ・クーガン。
ハーディ役にジョン・C・ライリー。
ジョン・C・ライリーしばらくみないうちに太り過ぎじゃね?と思ったけど、特殊メイクなんだろう、たぶん。
製作国:イギリス/カナダ/アメリカ
at ギンレイホール
ローレル&ハーディの晩年を描いた話。
二人の絆にほっこりする。
ただ、上映後のおまけの10分も無いローレル&ハーディ特選ギャグ集が抜群に面白すぎて、本編を完全に食っていた。
階段をピアノが階段をすべりおちるギャグ(本編にもオマージュされている)は、乳母車を引いた女性の高笑いが怖すぎる。
いや、お前のせいでピアノが落ちたんだろうが。
しかも高笑いを続ける女性のケツにローレルが蹴りを入れる、という今じゃ考えられない仕打ちもある。
そして蹴りに対する報復でハーディは瓶で頭を殴られる、っていう残酷さ。。。面白い。
Youtubeに全編あるな。『極楽ピアノ騒動』(THE MUSIC BOX 1932)
ローレル役にスティーヴ・クーガン。
ハーディ役にジョン・C・ライリー。
ジョン・C・ライリーしばらくみないうちに太り過ぎじゃね?と思ったけど、特殊メイクなんだろう、たぶん。
2019年9月9日月曜日
映画『チョコレート・ファイター』
2008年 監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
製作国:タイ
BS録画
タイに侵攻してきているヤクザマサシ(阿部寛)と現地のマフィアナンバー8(ポンパット・ワチラバンジョン)がなんかいがみ合っている。
お互いの手打ちの場かなんかに出席しているマフィア側の女ジン(アマラー・シリポン)。
この派手な女が見た目通りの派手なアクションを見せてくれるのかと期待。
しかし一触即発かと思いきやお互いの不可侵を取り決めてなぜか穏便に終わる。
穏便だったけど、マサシはジンに一目惚れしていて(ジンというかジンの眉の傷に)、密かに逢瀬を重ねる。
嫉妬に狂ったナンバー8とひと悶着あった後、なぜかマサシは引き下がって美しいケツだけ見せて日本に帰る。
・・・早くアクション見せろや!
ジンは実は妊娠していて女の子を出産。
この子は自閉症だとわかる。
マフィアを抜けていたジンだがナンバー8は未練たらたらで、ジンがマサシに手紙を送ったことを嗅ぎつけ家に押しかけてくる。
子供に危害を加えようとするナンバー8。いよいよアクションかと思いきやなんか弱!
その後子供が家の向かいのムエタイ道場を眺めてキックの練習を始める。こっちか!
ストーリーは結構どうでもいい。日本の漫画が原作みたいね。
自閉症の少女ゼン役を演じるヤーニン・ウィサミタナンが素晴らしい。
華奢な体で美麗な足技を見せてくれる。
お花のアップリケが付いたTシャツでマフィアとやりあっている姿が神々しい。
特にお気に入りはバンダナ男との死闘で男の腿を駆け上がって膝チョップをかますシーン。
シャイニングウィザードを始めて見たときなみの衝撃だよ。膝蹴りじゃなくて膝チョップだからね。
しかも丁度電車(CG?)がやってきているところにかぶせるしスローモーションだし。
後は空中を回転しながら立っている相手の後頭部に蹴りをかましたり、ブレイクのトーマスフレア中のジャージ男の上を回転しながら飛び越えて着地寸前ですくい上げるように顔面に蹴りを入れるやつとか美しい。
あと、倉庫の戦いで「ムン」と呼んだときの声のかわいいこと。
というように、おおーっと思うアクションはそこそこあるけど、全体的にはアクションは少しスピード感にかける気がする。
ジャッキーとかだと絶えずちょこまか動くなり手数を出すし、リー・リンチェイなら技のスピードが尋常じゃない。
やっぱり香港カンフー映画は偉大だなと見ていて思った。
その香港カンフー映画に多大なオマージュがあるからなおさらそう思ったのかもしれない。製氷場での怪鳥音とか、ロッカーを使ったアクションとか、ガラスのテーブルに背中から落ちたり、高所での戦い等々。
ああ、でもエンドロールのNGシーンはなんか痛々しいだけでちょっとしらけてしまった。
飛んできたボールをつかむシーンは逆再生だろうか。
やくざの親分がいる家がありえないくらいの純和風の家だったりとか、外国から見た日本っていうベタは面白いよな。
ストーリーを補足すると、
ゼンがなぜ強いかというと、格闘技や技を見ただけでコピーできる能力があるかららしい。
あの怪鳥音はブルース・リーの映画でも見たのか。
病院通いは最初まだ親指の傷が治ってないのかと思ったけどガンっぽいな、と思ったら実は白血病らしい。
なかなかコメディ要素も強く、精肉場だけで展開されるコメディアクションはジャッキーチェンへのオマージュだろう。
ただ、コメディは戸惑うばかりで笑えない上に結構残酷なシーンも盛り込まれていて微妙だったけど。
ケツに刺さった釘を抜いたところでゼンに蹴られてまたぶすっと刺さるのはMが喜びそうだと思った。
そしてなんといっても一番のコメディは、マフィア側の人間が十数年の時を経て貫禄を増すのではなく、なぜかビジュアル系バンドかと思う容姿に変貌するところ。
黒髪ロン毛をオールバックで後ろに束ねて貫禄のあったボスが、なぜ茶髪中分けロン毛になるんだ~。
そしてこのボスはHPが9999くらいあって、何回殴られようが腹刺されようが刀でがっつり斬られようが何事もなかったかのように平然としてひたすら逃げ回っているのはギャグだよね。
もともとゼンの攻撃力が弱いらしく、雑魚敵も倒したはずなのにすぐ復活してまた襲いかかってくる。
バンダナ男もHP5000くらいはあって、ゼンにやられる度に「うー」と唸って倒れるけど気づいたらすぐ復活してまたお前かという感じのしつこさ。というかこいつ最初に撃たれていたよな。
製作国:タイ
BS録画
タイに侵攻してきているヤクザマサシ(阿部寛)と現地のマフィアナンバー8(ポンパット・ワチラバンジョン)がなんかいがみ合っている。
お互いの手打ちの場かなんかに出席しているマフィア側の女ジン(アマラー・シリポン)。
この派手な女が見た目通りの派手なアクションを見せてくれるのかと期待。
しかし一触即発かと思いきやお互いの不可侵を取り決めてなぜか穏便に終わる。
穏便だったけど、マサシはジンに一目惚れしていて(ジンというかジンの眉の傷に)、密かに逢瀬を重ねる。
嫉妬に狂ったナンバー8とひと悶着あった後、なぜかマサシは引き下がって美しいケツだけ見せて日本に帰る。
・・・早くアクション見せろや!
ジンは実は妊娠していて女の子を出産。
この子は自閉症だとわかる。
マフィアを抜けていたジンだがナンバー8は未練たらたらで、ジンがマサシに手紙を送ったことを嗅ぎつけ家に押しかけてくる。
子供に危害を加えようとするナンバー8。いよいよアクションかと思いきやなんか弱!
その後子供が家の向かいのムエタイ道場を眺めてキックの練習を始める。こっちか!
ストーリーは結構どうでもいい。日本の漫画が原作みたいね。
自閉症の少女ゼン役を演じるヤーニン・ウィサミタナンが素晴らしい。
華奢な体で美麗な足技を見せてくれる。
お花のアップリケが付いたTシャツでマフィアとやりあっている姿が神々しい。
特にお気に入りはバンダナ男との死闘で男の腿を駆け上がって膝チョップをかますシーン。
シャイニングウィザードを始めて見たときなみの衝撃だよ。膝蹴りじゃなくて膝チョップだからね。
しかも丁度電車(CG?)がやってきているところにかぶせるしスローモーションだし。
後は空中を回転しながら立っている相手の後頭部に蹴りをかましたり、ブレイクのトーマスフレア中のジャージ男の上を回転しながら飛び越えて着地寸前ですくい上げるように顔面に蹴りを入れるやつとか美しい。
あと、倉庫の戦いで「ムン」と呼んだときの声のかわいいこと。
というように、おおーっと思うアクションはそこそこあるけど、全体的にはアクションは少しスピード感にかける気がする。
ジャッキーとかだと絶えずちょこまか動くなり手数を出すし、リー・リンチェイなら技のスピードが尋常じゃない。
やっぱり香港カンフー映画は偉大だなと見ていて思った。
その香港カンフー映画に多大なオマージュがあるからなおさらそう思ったのかもしれない。製氷場での怪鳥音とか、ロッカーを使ったアクションとか、ガラスのテーブルに背中から落ちたり、高所での戦い等々。
ああ、でもエンドロールのNGシーンはなんか痛々しいだけでちょっとしらけてしまった。
飛んできたボールをつかむシーンは逆再生だろうか。
やくざの親分がいる家がありえないくらいの純和風の家だったりとか、外国から見た日本っていうベタは面白いよな。
ストーリーを補足すると、
ゼンがなぜ強いかというと、格闘技や技を見ただけでコピーできる能力があるかららしい。
あの怪鳥音はブルース・リーの映画でも見たのか。
病院通いは最初まだ親指の傷が治ってないのかと思ったけどガンっぽいな、と思ったら実は白血病らしい。
なかなかコメディ要素も強く、精肉場だけで展開されるコメディアクションはジャッキーチェンへのオマージュだろう。
ただ、コメディは戸惑うばかりで笑えない上に結構残酷なシーンも盛り込まれていて微妙だったけど。
ケツに刺さった釘を抜いたところでゼンに蹴られてまたぶすっと刺さるのはMが喜びそうだと思った。
そしてなんといっても一番のコメディは、マフィア側の人間が十数年の時を経て貫禄を増すのではなく、なぜかビジュアル系バンドかと思う容姿に変貌するところ。
黒髪ロン毛をオールバックで後ろに束ねて貫禄のあったボスが、なぜ茶髪中分けロン毛になるんだ~。
そしてこのボスはHPが9999くらいあって、何回殴られようが腹刺されようが刀でがっつり斬られようが何事もなかったかのように平然としてひたすら逃げ回っているのはギャグだよね。
もともとゼンの攻撃力が弱いらしく、雑魚敵も倒したはずなのにすぐ復活してまた襲いかかってくる。
バンダナ男もHP5000くらいはあって、ゼンにやられる度に「うー」と唸って倒れるけど気づいたらすぐ復活してまたお前かという感じのしつこさ。というかこいつ最初に撃たれていたよな。
2019年9月1日日曜日
映画『バイス』
2018年 監督:アダム・マッケイ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
こっち見てから『記者たち 衝撃と畏怖の真実』見ればよかったかも。
こっちの方が当事者なので、外から取材する側より突っ込んだ内情が見ることができる。
イラク戦争を巻き起こし、史上最悪の副大統領とも呼ばれるディック・チェイニーの自伝映画。
ディック・チェイニーはまだ生きているし、こういう伝記物って偉大な人物でやるもんじゃないのか?
成功譚あり、駆け引きあり、家族ドラマあり、でディック・チェイニーの人物像に迫っており、主人公としてなかなか面白い。
中盤のえせエンドロールで終わっていれば世界中の人が幸せだったものを。。
政界に復帰してからの極悪ぶりもそれまでの流れであまり嫌悪感なく見ることができるのは、全編結構なブラックコメディ調になっているからだろうか。
フィクションならいいけど、ほぼノンフィクションであって、コメディで軽く包んでやっているのが隠しているというか、より辛辣な感じ。
ディック・チェイニー役にクリスチャン・ベイル。
クリスチャン・ベイルってどんな顔だったっけと思うくらい別人物に見える。
他、チェイニーの妻役で影のドンにエイミー・アダムス。
ラムズフェルドにスティーヴ・カレル。
ブッシュにサム・ロックウェル。
パウエルにタイラー・ペリー。
登場人物が実在の人たちによく似ているのね。段々本人なんじゃないかとすら思ってくる。
ジョージ・W・ブッシュっていいとこのわがままなぼっちゃんみたいな雰囲気が当時嫌いだったけど、この映画のブッシュ像のそのバカっぷりは訴えられないのだろうか。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
こっち見てから『記者たち 衝撃と畏怖の真実』見ればよかったかも。
こっちの方が当事者なので、外から取材する側より突っ込んだ内情が見ることができる。
イラク戦争を巻き起こし、史上最悪の副大統領とも呼ばれるディック・チェイニーの自伝映画。
ディック・チェイニーはまだ生きているし、こういう伝記物って偉大な人物でやるもんじゃないのか?
成功譚あり、駆け引きあり、家族ドラマあり、でディック・チェイニーの人物像に迫っており、主人公としてなかなか面白い。
中盤のえせエンドロールで終わっていれば世界中の人が幸せだったものを。。
政界に復帰してからの極悪ぶりもそれまでの流れであまり嫌悪感なく見ることができるのは、全編結構なブラックコメディ調になっているからだろうか。
フィクションならいいけど、ほぼノンフィクションであって、コメディで軽く包んでやっているのが隠しているというか、より辛辣な感じ。
ディック・チェイニー役にクリスチャン・ベイル。
クリスチャン・ベイルってどんな顔だったっけと思うくらい別人物に見える。
他、チェイニーの妻役で影のドンにエイミー・アダムス。
ラムズフェルドにスティーヴ・カレル。
ブッシュにサム・ロックウェル。
パウエルにタイラー・ペリー。
登場人物が実在の人たちによく似ているのね。段々本人なんじゃないかとすら思ってくる。
ジョージ・W・ブッシュっていいとこのわがままなぼっちゃんみたいな雰囲気が当時嫌いだったけど、この映画のブッシュ像のそのバカっぷりは訴えられないのだろうか。
映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』
2017年 監督:ロブ・ライナー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
政府の嘘を暴く新聞記者ってよく映画化されるよな。
これはイラク戦争開戦の根拠にまつわる嘘を暴く話。
暴くというか、「ナイト・リッダー」という小さな通信社みたいなところなので、そもそも記事を載せてくれなかったりするんだけど。
小さい故に大物でなく職員レベルが主な取材ターゲットとなり、そこから見えてくる真実がある、っていうのが面白い。
主演はウディ・ハレルソンとジェームズ・マースデンの二人なのかな。
ロブ・ライナーが支局長役で出演。頼れる上司っていうのはいいもんだ。
ベテランジャーナリスト役でトミー・リー・ジョーンズ。出てきた瞬間ニヤっとしてしまい、はて?と思ったらコーヒーのCMで見すぎたためになんか色物俳優みたいなイメージが知らないうちについていたのではないかと気づいてびっくりした。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
政府の嘘を暴く新聞記者ってよく映画化されるよな。
これはイラク戦争開戦の根拠にまつわる嘘を暴く話。
暴くというか、「ナイト・リッダー」という小さな通信社みたいなところなので、そもそも記事を載せてくれなかったりするんだけど。
小さい故に大物でなく職員レベルが主な取材ターゲットとなり、そこから見えてくる真実がある、っていうのが面白い。
主演はウディ・ハレルソンとジェームズ・マースデンの二人なのかな。
ロブ・ライナーが支局長役で出演。頼れる上司っていうのはいいもんだ。
ベテランジャーナリスト役でトミー・リー・ジョーンズ。出てきた瞬間ニヤっとしてしまい、はて?と思ったらコーヒーのCMで見すぎたためになんか色物俳優みたいなイメージが知らないうちについていたのではないかと気づいてびっくりした。
2019年8月18日日曜日
映画『運び屋』
2018年 監督:クリント・イーストウッド
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
退役軍人のアール(クリント・イーストウッド)はデイリリーというユリの栽培に情熱を燃やし、園芸界では名を馳せた人物だった。
ユーモアのある紳士なじいさんで、皆から称賛されて幸せの絶頂にいるようだが、仕事優先(娘の結婚式よりも!)で家族をないがしろにしてきたため、家族からは疎まれている。
時が経ちそんなじいさんのよりどころである農園もインターネットの普及に押されて遂に閉園。
家族とは絶縁(もう離婚しているんだったかな)に近いため一人孤独に生きているが、ある時車を運転するだけで金をもらえるという怪しい話を持ちかけられる。
これが麻薬の運び屋。
普通に考えて孫娘の交友関係ってやばいよね。反社会的勢力とつながりがあるとかそういうレベルじゃないし。
メキシコのギャングが皆ごつくて怖い。
そんなギャングにへこへこするイーストウッドに時の流れを感じるが、そこはやはりイーストウッド、へこへこしているわけじゃなくて愛想のいいじいさんだったってだけで次第にギャングもなんのそのの自由さを見せていく。
ギャングに少しも怖じない態度がかっこいいが、よくよく考えると役柄のアールは元軍人とはいえただの花屋だよな。
カットされていたけどギャングにぼこぼこにされるシーンは見たかったな。
ぼこぼこにされている最中でも少しも恐れない姿を見て初めてあの強気が本物になるけど、さすがに90近いじいさんへの暴力シーンは無理なのか。
なかなか面白かった。
刑事役にブラッドリー・クーパー。
その親分にローレンス・フィッシュバーン。
ギャングボスにアンディ・ガルシア。
妻役にダイアン・ウィースト。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
退役軍人のアール(クリント・イーストウッド)はデイリリーというユリの栽培に情熱を燃やし、園芸界では名を馳せた人物だった。
ユーモアのある紳士なじいさんで、皆から称賛されて幸せの絶頂にいるようだが、仕事優先(娘の結婚式よりも!)で家族をないがしろにしてきたため、家族からは疎まれている。
時が経ちそんなじいさんのよりどころである農園もインターネットの普及に押されて遂に閉園。
家族とは絶縁(もう離婚しているんだったかな)に近いため一人孤独に生きているが、ある時車を運転するだけで金をもらえるという怪しい話を持ちかけられる。
これが麻薬の運び屋。
普通に考えて孫娘の交友関係ってやばいよね。反社会的勢力とつながりがあるとかそういうレベルじゃないし。
メキシコのギャングが皆ごつくて怖い。
そんなギャングにへこへこするイーストウッドに時の流れを感じるが、そこはやはりイーストウッド、へこへこしているわけじゃなくて愛想のいいじいさんだったってだけで次第にギャングもなんのそのの自由さを見せていく。
ギャングに少しも怖じない態度がかっこいいが、よくよく考えると役柄のアールは元軍人とはいえただの花屋だよな。
カットされていたけどギャングにぼこぼこにされるシーンは見たかったな。
ぼこぼこにされている最中でも少しも恐れない姿を見て初めてあの強気が本物になるけど、さすがに90近いじいさんへの暴力シーンは無理なのか。
なかなか面白かった。
刑事役にブラッドリー・クーパー。
その親分にローレンス・フィッシュバーン。
ギャングボスにアンディ・ガルシア。
妻役にダイアン・ウィースト。
映画『荒野にて』
2017年 監督:アンドリュー・ヘイ
製作国:イギリス
at ギンレイホール
父と二人暮らしの15歳(年齢は何度も偽る)の少年チャーリー(チャーリー・プラマー)。
貧乏で今は学校にも行っていない模様。
いろいろあって天涯孤独になった少年は、世話してきた競走馬を連れて旅に出る。
昔かわいがってくれた叔母を探しに。
ロードムービーっぽく思うけど、中盤まで旅に出ない。
それに少年が旅に出て様々な経験をして、、とかいう生ぬるい状況でもない。
少年が旅に出る事情は、暇な少年が自分を見つめ直す旅出たとかいうのがちゃんちゃらおかしくなるくらい切実で感情に溢れた事情からくるものだ。
暗い部屋の窓辺に佇むチャーリーのシーンが何度かあって、まばゆい外の世界とは別の暗い場所にいるみたいな暗喩があるのだろうけど、単純に外の光で輝く窓辺と暗い部屋にうっすら浮かぶチャーリーのシルエットが美しい。
なかなか面白かったが、122分はちょっと長い。
心優しく真面目なチャーリーが孤独と悲しみを常に湛えながら必死に生きていく様が胸にぐっとくる。でもやっぱり長い。
製作国:イギリス
at ギンレイホール
父と二人暮らしの15歳(年齢は何度も偽る)の少年チャーリー(チャーリー・プラマー)。
貧乏で今は学校にも行っていない模様。
いろいろあって天涯孤独になった少年は、世話してきた競走馬を連れて旅に出る。
昔かわいがってくれた叔母を探しに。
ロードムービーっぽく思うけど、中盤まで旅に出ない。
それに少年が旅に出て様々な経験をして、、とかいう生ぬるい状況でもない。
少年が旅に出る事情は、暇な少年が自分を見つめ直す旅出たとかいうのがちゃんちゃらおかしくなるくらい切実で感情に溢れた事情からくるものだ。
暗い部屋の窓辺に佇むチャーリーのシーンが何度かあって、まばゆい外の世界とは別の暗い場所にいるみたいな暗喩があるのだろうけど、単純に外の光で輝く窓辺と暗い部屋にうっすら浮かぶチャーリーのシルエットが美しい。
なかなか面白かったが、122分はちょっと長い。
心優しく真面目なチャーリーが孤独と悲しみを常に湛えながら必死に生きていく様が胸にぐっとくる。でもやっぱり長い。
2019年8月4日日曜日
映画『女王陛下のお気に入り』
2018年 監督:ヨルゴス・ランティモス
製作国:アイルランド/アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
18世紀初頭、アン女王(オリヴィア・コールマン)の側には幼馴染である公爵夫人レディ・サラ(レイチェル・ワイズ)がいつもいた。
女王はサラに頼りっきりで、実質サラが最高権力を握っているかのよう。
そのサラの従姉妹で、今は上流階級から没落してしまったアビゲイル(エマ・ストーン)が仕事を求めてやってくる。
身分がすべての世界で、没落したアビゲイルは必死だった。
アビゲイルはアン女王に近づいていき。。
さっき見た映画がなんてクリーンでおしとやかなんだろうと思うくらいどろどろしている。
下ネタあり、謀略あり、女同士のかけひきあり。
調度品の美しさや表面上の優雅さに対しての醜さが際立つ。
女優三人のぶつかりあいも見どころで、若く美しいエマ・ストーン、気品高く凛々しいレイチェル・ワイズ、美しくはない女王オリヴィア・コールマン。
オリヴィア・コールマンは役どころが一心に孤独や悲しみや不条理に耐えるといったタイプってこともあって、着飾った姿からすっぴんやら醜態まで幅広くさらけ出し、常に漂うやつれた感や狂気など、なかなか強烈な印象を残す。
さらけ出すオリヴィア・コールマンに触発されたのかは不明だが、エマ・ストーンがアドリブで脱いだらしい。
らしいというのは、そういえば脱いでいた気がするけどなんかはっきりと覚えていないんだよな。
演出は魚眼レンズのような映像を何度も挟んで覗き見感や不安感を煽るのはまあいいとして、たまに音楽がちょっときつかった。
ピアノとヴァイオリンだったかな、短い一音を交互に鳴らしていくのは拷問かと思う。
こういう不快感を煽るのはわざとだと思うけど、音でやるのは強烈だからやめてほしい。
とか思っていたけど、ラストシーンのちゃちな合成(うさぎ可愛い)とどんどん大きくなる音楽聞いていたら以外にありかもと思ってしまった。くさやみたいな。
なかなか面白かった。
製作国:アイルランド/アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
18世紀初頭、アン女王(オリヴィア・コールマン)の側には幼馴染である公爵夫人レディ・サラ(レイチェル・ワイズ)がいつもいた。
女王はサラに頼りっきりで、実質サラが最高権力を握っているかのよう。
そのサラの従姉妹で、今は上流階級から没落してしまったアビゲイル(エマ・ストーン)が仕事を求めてやってくる。
身分がすべての世界で、没落したアビゲイルは必死だった。
アビゲイルはアン女王に近づいていき。。
さっき見た映画がなんてクリーンでおしとやかなんだろうと思うくらいどろどろしている。
下ネタあり、謀略あり、女同士のかけひきあり。
調度品の美しさや表面上の優雅さに対しての醜さが際立つ。
女優三人のぶつかりあいも見どころで、若く美しいエマ・ストーン、気品高く凛々しいレイチェル・ワイズ、美しくはない女王オリヴィア・コールマン。
オリヴィア・コールマンは役どころが一心に孤独や悲しみや不条理に耐えるといったタイプってこともあって、着飾った姿からすっぴんやら醜態まで幅広くさらけ出し、常に漂うやつれた感や狂気など、なかなか強烈な印象を残す。
さらけ出すオリヴィア・コールマンに触発されたのかは不明だが、エマ・ストーンがアドリブで脱いだらしい。
らしいというのは、そういえば脱いでいた気がするけどなんかはっきりと覚えていないんだよな。
演出は魚眼レンズのような映像を何度も挟んで覗き見感や不安感を煽るのはまあいいとして、たまに音楽がちょっときつかった。
ピアノとヴァイオリンだったかな、短い一音を交互に鳴らしていくのは拷問かと思う。
こういう不快感を煽るのはわざとだと思うけど、音でやるのは強烈だからやめてほしい。
とか思っていたけど、ラストシーンのちゃちな合成(うさぎ可愛い)とどんどん大きくなる音楽聞いていたら以外にありかもと思ってしまった。くさやみたいな。
なかなか面白かった。
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』
2017年 監督:スティーヴン・フリアーズ
製作国:イギリス/アメリカ
at ギンレイホール
ヴィクトリア女王が晩年最も心を許したのはインド人の青年だった。
っていう実話に基づいたお話。
ヴィクトリア女王の即位50周年記念式典で記念金貨を贈呈する役を担ってイギリスにやってきたアブドゥル・カリム(アリ・ファザール)は、なんやかんやで女王の従僕に迎えられる。
物怖じしない明るいアブドゥルは女王(ジュディ・デンチ)に敬意を払いながらも友人のように接する。
そんな関係性が新鮮なのか、女王はアブドゥルとインドにますます興味を惹かれていくが、女王周辺の人達は存在自体が宮廷の作法から外れるこのインド人の存在を疎ましく思う。
この、しきたりや身分もなんのそので自由に振る舞う様が、『きっと、うまくいく』とかの近年のインド映画に似ていて、脚本は絶対インド人だろうと思ったけど、原作がインドの人みたいだな。
アブドゥルが意外と打算的なところがあって、そこでなんか冷めてしまった。
ジュディ・デンチってどちらかというと親しみやすい庶民系おばちゃんといったイメージだったけど、高貴な役もよく似合う。
最初の記念式典中の近寄りがたい高貴さは素晴らしい。
食事を恐ろしい速さでがっついても、席でぐーすか眠っても高貴だった。
アブドゥル役のイケメンアリ・ファザールは、『きっと、うまくいく』のジョイ・ロボ役の人。
製作国:イギリス/アメリカ
at ギンレイホール
ヴィクトリア女王が晩年最も心を許したのはインド人の青年だった。
っていう実話に基づいたお話。
ヴィクトリア女王の即位50周年記念式典で記念金貨を贈呈する役を担ってイギリスにやってきたアブドゥル・カリム(アリ・ファザール)は、なんやかんやで女王の従僕に迎えられる。
物怖じしない明るいアブドゥルは女王(ジュディ・デンチ)に敬意を払いながらも友人のように接する。
そんな関係性が新鮮なのか、女王はアブドゥルとインドにますます興味を惹かれていくが、女王周辺の人達は存在自体が宮廷の作法から外れるこのインド人の存在を疎ましく思う。
この、しきたりや身分もなんのそので自由に振る舞う様が、『きっと、うまくいく』とかの近年のインド映画に似ていて、脚本は絶対インド人だろうと思ったけど、原作がインドの人みたいだな。
アブドゥルが意外と打算的なところがあって、そこでなんか冷めてしまった。
ジュディ・デンチってどちらかというと親しみやすい庶民系おばちゃんといったイメージだったけど、高貴な役もよく似合う。
最初の記念式典中の近寄りがたい高貴さは素晴らしい。
食事を恐ろしい速さでがっついても、席でぐーすか眠っても高貴だった。
アブドゥル役のイケメンアリ・ファザールは、『きっと、うまくいく』のジョイ・ロボ役の人。
2019年7月28日日曜日
映画『竜馬を斬った男』
1987年 監督:山下耕作
製作国:日本
BS録画
![竜馬を斬った男 [VHS]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51GZFBYURkL.jpg)
軒先の俯瞰もタイトルの出し方もすべてがかっこいい。
と思ったら夫婦での水の掛け合いシーンには一瞬びびる。
時代劇なのにサックスのライトなミュージックに乗せてスローモーションでの水の掛け合い。
ショーケンのいたずら小僧みたいな無邪気な笑顔と初々しさの塊のような藤谷美和子。
そして最後に抱き合った後の顔を見られない位置で見せた、血なまぐさい争いの真っ只中にいる男が見せた不安と悲しみの一転した真顔の表情。
かっこいいわ~。
静と動光と影の質の高い映像に加えて、上下の急角度のアングルや 風で揺れるのれん越しの食事風景とか上述のスローモーションとかよく意味のわからない赤く光る泥水とか、意欲的(?)なシーンも挟まってきて面白い。
そこに萩原健一の魅力が乗せられたら最強だ。
優しさ悲しみ無邪気さ恐怖狂気、あらゆる感情がときに過剰なまでに表出して引き込まれる。
火のついた書状食ったのはびっくりしたなぁ。
原作は早乙女貢の短編歴史小説で、歴史ミステリーにも挙げられるけど竜馬暗殺の実行犯は歴史上ははっきりとしていない。
主演佐々木只三郎役萩原健一。
ちょっとしか出ない妻八重役に藤谷美和子。
坂本竜馬は根津甚八。
兄役に佐藤慶。
惣兵衛役に大村崑。
京都での愛人っぽい位置になる芸者役に島田陽子。綺麗。
只三郎と同郷でなにかと絡んでくる小物亀谷喜助役に坂東八十助。喜助の最後の告白は笑ってしまった。
喜助の妻に中村れい子。
桂小五郎役にはいつもなんか笑っちゃいそうになる本田博太郎。『北京原人 Who are you?』のイメージが強烈だからかなぁ。
西郷役の人が戦慄するほどの棒読みで誰こいつと思ったら結城貢。料理の人だね、懐かしい。
宮川助五郎とかいうおとりにされるよくわからない役に原吉実。柔道の人。
あとお龍役の人が有名な裸で飛び出していくシーンやってくれたんだけどなぜかモザイク入っているんだよな。なんかあったのかな。久仁亮子。
製作国:日本
BS録画
![竜馬を斬った男 [VHS]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51GZFBYURkL.jpg)
軒先の俯瞰もタイトルの出し方もすべてがかっこいい。
と思ったら夫婦での水の掛け合いシーンには一瞬びびる。
時代劇なのにサックスのライトなミュージックに乗せてスローモーションでの水の掛け合い。
ショーケンのいたずら小僧みたいな無邪気な笑顔と初々しさの塊のような藤谷美和子。
そして最後に抱き合った後の顔を見られない位置で見せた、血なまぐさい争いの真っ只中にいる男が見せた不安と悲しみの一転した真顔の表情。
かっこいいわ~。
静と動光と影の質の高い映像に加えて、上下の急角度のアングルや 風で揺れるのれん越しの食事風景とか上述のスローモーションとかよく意味のわからない赤く光る泥水とか、意欲的(?)なシーンも挟まってきて面白い。
そこに萩原健一の魅力が乗せられたら最強だ。
優しさ悲しみ無邪気さ恐怖狂気、あらゆる感情がときに過剰なまでに表出して引き込まれる。
火のついた書状食ったのはびっくりしたなぁ。
原作は早乙女貢の短編歴史小説で、歴史ミステリーにも挙げられるけど竜馬暗殺の実行犯は歴史上ははっきりとしていない。
主演佐々木只三郎役萩原健一。
ちょっとしか出ない妻八重役に藤谷美和子。
坂本竜馬は根津甚八。
兄役に佐藤慶。
惣兵衛役に大村崑。
京都での愛人っぽい位置になる芸者役に島田陽子。綺麗。
只三郎と同郷でなにかと絡んでくる小物亀谷喜助役に坂東八十助。喜助の最後の告白は笑ってしまった。
喜助の妻に中村れい子。
桂小五郎役にはいつもなんか笑っちゃいそうになる本田博太郎。『北京原人 Who are you?』のイメージが強烈だからかなぁ。
西郷役の人が戦慄するほどの棒読みで誰こいつと思ったら結城貢。料理の人だね、懐かしい。
宮川助五郎とかいうおとりにされるよくわからない役に原吉実。柔道の人。
あとお龍役の人が有名な裸で飛び出していくシーンやってくれたんだけどなぜかモザイク入っているんだよな。なんかあったのかな。久仁亮子。
2019年7月21日日曜日
映画『ビール・ストリートの恋人たち』
2018年 監督:バリー・ジェンキンズ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
黒人同士の恋愛映画ってそういえば見たことないな。
あってもなにか黒人差別の社会的問題が絡んだものになるんだろうし。
で、この映画も正にそう。
舞台は1970年代で、若い黒人カップルが初々しく、でもかっこよくいちゃいちゃしている。
時間軸が現在と過去をいったりきたりして少しずつ明かされていくのだけど、男の方は現在刑務所に入っている模様。
女性の方は身ごもっている。
親父同士が友達らしい両家集まってのお祝いパーティは、女性の方の母親がなんかやばい人で、恐ろしいことになる。のが前半の山場。
男の方は罪を犯したわけではなく、現場の状況的にも確実に無実っぽい。
女性は恋人を助けるべく奔走する。
とかまあそんな話。
衣装とか小物の色使いが面白くて黒に映えるのね。
雨の日の相合い傘に使った赤い傘の小ささよ!あんな大きさじゃ一人でも傘としての機能を果たさないのに、そんな役に立たない赤い傘に入る二人の後ろ姿が美しい。
面白かったけど119分は長いな。
そのシーンいるの?っていうのも多々あった気がする。
ベッドシーンで事に及ぶまでの異常な長さとか。何回白ブリーフ見せるんだ、まだ履いてんのかい!
あとやばい目をした白人警官が職場の人に似ていた。エド・スクラインって人か。今度教えてあげよう。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
黒人同士の恋愛映画ってそういえば見たことないな。
あってもなにか黒人差別の社会的問題が絡んだものになるんだろうし。
で、この映画も正にそう。
舞台は1970年代で、若い黒人カップルが初々しく、でもかっこよくいちゃいちゃしている。
時間軸が現在と過去をいったりきたりして少しずつ明かされていくのだけど、男の方は現在刑務所に入っている模様。
女性の方は身ごもっている。
親父同士が友達らしい両家集まってのお祝いパーティは、女性の方の母親がなんかやばい人で、恐ろしいことになる。のが前半の山場。
男の方は罪を犯したわけではなく、現場の状況的にも確実に無実っぽい。
女性は恋人を助けるべく奔走する。
とかまあそんな話。
衣装とか小物の色使いが面白くて黒に映えるのね。
雨の日の相合い傘に使った赤い傘の小ささよ!あんな大きさじゃ一人でも傘としての機能を果たさないのに、そんな役に立たない赤い傘に入る二人の後ろ姿が美しい。
面白かったけど119分は長いな。
そのシーンいるの?っていうのも多々あった気がする。
ベッドシーンで事に及ぶまでの異常な長さとか。何回白ブリーフ見せるんだ、まだ履いてんのかい!
あとやばい目をした白人警官が職場の人に似ていた。エド・スクラインって人か。今度教えてあげよう。
映画『マイ・ブックショップ』
2018年 監督:イザベル・コイシェ
製作国:スペイン/イギリス/ドイツ
at ギンレイホール
1950年代のイギリスの海辺の小さな町で、未亡人のフローレンス(エミリー・モーティマー)は本屋を開店しようとする。
しかし契約したオールドハウスは町の有力者ガマート夫人(パトリシア・クラークソン)が高尚なる芸術センターを開こうと目を付けていた家だった。
ガマート夫人の嫌味にも負けずにオープンにこぎつけるが、ガマート夫人の謀略は裏で着々と進んでおり。。。って話。
文学作品が原作だし、予告編見てガマート夫人の嫌がらせに立ち向かう主人公の痛快エンターテインメントを期待したら全くはずれだけど、まあまあ飽きずに見れた。
保守的な町で、数少ない味方は引きこもりの本好きのじいさんエドモンド(ビル・ナイ)と、嫌に聡明な小学生の女の子くらいなので圧倒的に弱い。
でもこの二人との関係にはほっこりする。
本への熱い情熱に加えて、優しさ慈しみ、悪意憎しみ、無知厚顔等々、人間関係の様々な感情がうずまいている。
個人的にはエミリー・モーティマー以外で見たかったな。
こういう意思の強い女性ってエミリー・モーティマーに合ってはいるけど、それ以上にエミリー・モーティマーの顔ってなんか狡猾さとか打算的な雰囲気を感じてしまう。
以下少しネタばれ
何も気にしていなかったからモノローグの話者が誰だったのかが最後に明かされてはっとする。
この時代の人たちを見ていたはずなのに時間の概念が突如現れて、しかも思いは引き継がれていく、っていうね。
これは絶対小説で読んだほうが面白いよなという気はする。
ちなみに作中にも出てくる『華氏451度』をトリュフォーが映画化した際の主演女優ジュリー・クリスティがモノローグの声を担当していたらしい。
製作国:スペイン/イギリス/ドイツ
at ギンレイホール
1950年代のイギリスの海辺の小さな町で、未亡人のフローレンス(エミリー・モーティマー)は本屋を開店しようとする。
しかし契約したオールドハウスは町の有力者ガマート夫人(パトリシア・クラークソン)が高尚なる芸術センターを開こうと目を付けていた家だった。
ガマート夫人の嫌味にも負けずにオープンにこぎつけるが、ガマート夫人の謀略は裏で着々と進んでおり。。。って話。
文学作品が原作だし、予告編見てガマート夫人の嫌がらせに立ち向かう主人公の痛快エンターテインメントを期待したら全くはずれだけど、まあまあ飽きずに見れた。
保守的な町で、数少ない味方は引きこもりの本好きのじいさんエドモンド(ビル・ナイ)と、嫌に聡明な小学生の女の子くらいなので圧倒的に弱い。
でもこの二人との関係にはほっこりする。
本への熱い情熱に加えて、優しさ慈しみ、悪意憎しみ、無知厚顔等々、人間関係の様々な感情がうずまいている。
個人的にはエミリー・モーティマー以外で見たかったな。
こういう意思の強い女性ってエミリー・モーティマーに合ってはいるけど、それ以上にエミリー・モーティマーの顔ってなんか狡猾さとか打算的な雰囲気を感じてしまう。
以下少しネタばれ
何も気にしていなかったからモノローグの話者が誰だったのかが最後に明かされてはっとする。
この時代の人たちを見ていたはずなのに時間の概念が突如現れて、しかも思いは引き継がれていく、っていうね。
これは絶対小説で読んだほうが面白いよなという気はする。
ちなみに作中にも出てくる『華氏451度』をトリュフォーが映画化した際の主演女優ジュリー・クリスティがモノローグの声を担当していたらしい。
2019年7月7日日曜日
映画『ちいさな独裁者』
2017年 監督:ロベルト・シュヴェンケ
製作国:ドイツ/フランス/ポーランド
at ギンレイホール
第二次世界大戦末期の敗戦濃厚はドイツで、若い兵士ヴィリー・ヘロルト(マックス・フーバッヒャー)は部隊を脱走する。
追っ手から奇跡的に逃げ延びたヘロルトはさらに幸運にも打ち捨てられた車の中で軍服を発見する。
何気なく来てみた軍服だがそこを部隊からはぐれたという一人の兵士に見つかってしまう。
しかし兵士は彼を大尉と勘違いし、同行を願い出るのだった。
そこから偽大尉の綱渡りと狂気が始まる。
もうばれそうになったら素直に白状したくもなるが、そんなことしたらそこで命が終わる。
そういう緊張感と機転が面白い、なんて悠長なこと言ってられないくらい、その後まじどうしちゃったの?っていう展開になる。
たかが一着の軍服。だけどその軍服の権力は人格にまでじわじわと染み込んでいく。
権力や力があればなんでもできる。人の命すら自分の一存で決められ、まるで神にでもなったかのようだ。
恐ろしい。
実在の人物の実話に基づいているらしい。
収容所の全てを無に帰すような圧倒的な爆発は無常観が漂っていて美しかった。
あと、コメディアンの躊躇ない自死も印象的。
エンドロールでのヘロルト部隊と現代との対比がコミカルなようでいてなかなか怖い。
製作国:ドイツ/フランス/ポーランド
at ギンレイホール
第二次世界大戦末期の敗戦濃厚はドイツで、若い兵士ヴィリー・ヘロルト(マックス・フーバッヒャー)は部隊を脱走する。
追っ手から奇跡的に逃げ延びたヘロルトはさらに幸運にも打ち捨てられた車の中で軍服を発見する。
何気なく来てみた軍服だがそこを部隊からはぐれたという一人の兵士に見つかってしまう。
しかし兵士は彼を大尉と勘違いし、同行を願い出るのだった。
そこから偽大尉の綱渡りと狂気が始まる。
もうばれそうになったら素直に白状したくもなるが、そんなことしたらそこで命が終わる。
そういう緊張感と機転が面白い、なんて悠長なこと言ってられないくらい、その後まじどうしちゃったの?っていう展開になる。
たかが一着の軍服。だけどその軍服の権力は人格にまでじわじわと染み込んでいく。
権力や力があればなんでもできる。人の命すら自分の一存で決められ、まるで神にでもなったかのようだ。
恐ろしい。
実在の人物の実話に基づいているらしい。
収容所の全てを無に帰すような圧倒的な爆発は無常観が漂っていて美しかった。
あと、コメディアンの躊躇ない自死も印象的。
エンドロールでのヘロルト部隊と現代との対比がコミカルなようでいてなかなか怖い。
映画『家へ帰ろう』
2017年 監督:パブロ・ソラルス
製作国:スペイン/アルゼンチン
at ギンレイホール
アルゼンチンで暮らす仕立て屋のおじいちゃんアブラハム(ミゲル・アンヘル・ソラ)はたくさんの孫に囲まれて幸せそうだが明日から老人ホームに入ることになっている。
孫は大好きだが息子娘たちの冷たさにはうんざりし、家出する。
行き先は忌まわしい記憶が勝る母国ポーランド。
ユダヤ人のアブラハムはホロコーストの生き残りだった。
したたかな頑固じじいによるロードムービーで、コミカルさとシリアスのバランスがよく、ラストは感動できる。
60くらいのばあさんでも「お嬢さん」になるのは面白い。
主演のミゲル・アンヘル・ソラの年輪が刻まれた顔がしぶい。
ミゲルは1950年生まれで特殊な老けメイクをしていたらしい。
製作国:スペイン/アルゼンチン
at ギンレイホール
アルゼンチンで暮らす仕立て屋のおじいちゃんアブラハム(ミゲル・アンヘル・ソラ)はたくさんの孫に囲まれて幸せそうだが明日から老人ホームに入ることになっている。
孫は大好きだが息子娘たちの冷たさにはうんざりし、家出する。
行き先は忌まわしい記憶が勝る母国ポーランド。
ユダヤ人のアブラハムはホロコーストの生き残りだった。
したたかな頑固じじいによるロードムービーで、コミカルさとシリアスのバランスがよく、ラストは感動できる。
60くらいのばあさんでも「お嬢さん」になるのは面白い。
主演のミゲル・アンヘル・ソラの年輪が刻まれた顔がしぶい。
ミゲルは1950年生まれで特殊な老けメイクをしていたらしい。
2019年6月23日日曜日
映画『天才作家の妻 -40年目の真実-』
2017年 監督:ビョルン・ルンゲ
製作国:スウェーデン/アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
糟糠の妻とか本当吐きそうになるくらい嫌いで、こないだまでやっていたNHK朝ドラ『まんぷく』の気持ち悪さをいつか書こうと思っていながらまだ書いていない。
で、この映画は糟糠の妻っぽいけど夫婦にはある秘密があって、という話。
すかっとするのを期待していたけど、そういう系ではなかった。
夫ジョゼフ(ジョナサン・プライス)の駄目っぷりが凄いのだが、不倫しながらも妻ジョーン(グレン・クローズ)をちゃんと愛しているところが憎めない。
妻ジョーンもなんだかんだで夫が好きなのね。何度も裏切られ、栄光や名誉も捨て去っているというのに。
昔からこういう男女関係ってあるけど(『夫婦善哉』とか)、私がいなきゃ駄目だと思わせるような男ほどもてるっていうのはいつの時代になったらなくなるんだろうか。
ノーベル賞の式の裏側とか見れるのが面白い。
若い頃のジョーン役のアニー・スタークはグレン・クローズの娘らしい。美人。
他にクリスチャン・スレイターも出演している。
製作国:スウェーデン/アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
糟糠の妻とか本当吐きそうになるくらい嫌いで、こないだまでやっていたNHK朝ドラ『まんぷく』の気持ち悪さをいつか書こうと思っていながらまだ書いていない。
で、この映画は糟糠の妻っぽいけど夫婦にはある秘密があって、という話。
すかっとするのを期待していたけど、そういう系ではなかった。
夫ジョゼフ(ジョナサン・プライス)の駄目っぷりが凄いのだが、不倫しながらも妻ジョーン(グレン・クローズ)をちゃんと愛しているところが憎めない。
妻ジョーンもなんだかんだで夫が好きなのね。何度も裏切られ、栄光や名誉も捨て去っているというのに。
昔からこういう男女関係ってあるけど(『夫婦善哉』とか)、私がいなきゃ駄目だと思わせるような男ほどもてるっていうのはいつの時代になったらなくなるんだろうか。
ノーベル賞の式の裏側とか見れるのが面白い。
若い頃のジョーン役のアニー・スタークはグレン・クローズの娘らしい。美人。
他にクリスチャン・スレイターも出演している。
映画『彼が愛したケーキ職人』
2017年 監督:オフィル・ラウル・グレイザー
製作国:イスラエル/ドイツ
at ギンレイホール
彼を失った男が彼の幻影を求めて正体を隠して彼の妻に近づく。
未亡人によりそう男が夫の弟だとか夫を殺した男だとか、似たような設定の映画はいっぱいあった気がするが、その中でもこの映画はかなり面白い。
ベルリンでケーキ職人としてカフェを経営しているトーマス(ティム・カルコフ)は、イスラエルから度々出張でやってくる客オーレン(ロイ・ミラー)と懇意になり、恋人になる。
ユダヤ教で同性愛は許されない。
オーレンにとってベルリン出張中の一時は安らぎの時間だったのだろう。
しかしある時、イスラエルに戻ったオーレンと一切連絡が取れなくなってしまう。
オーレンには妻と子供もいるし、捨てられたのかとも思うが、意を決して会社にまで突撃したトーマスが知ったのは、オーレンの事故死という事実だった。
失意のトーマスはふらりとイスラエルに現れ、オーレンの妻アナト(サラ・アドラー)を無意識に尾行していた。。
シンプルなお話でトーマスは無口だし感情が顕になる場面も少なくて静かな映画だけど、深い愛情と悲しみが美しく切ない。
バストショットを基本にここぞというときにゆっくりズームしていくのはグッとくる。
男二人はバイセクシュアルってことでいいのかな。トーマスの方は微妙かもしれないが。
男男女の各々が相手二人を、っていう、さらには一人は死亡しているという悲しみの中、事故前のオーレンが最後に何を選択したのかが後に判明したりで死後にも関係性に参入してくる等々、この三者の関係性に人間の悲しみ喜び苦しみが詰まっているから面白い。
特にオーレンの妻への愛撫の仕方をなぞるのは、複雑な愛情に昇華されていて秀逸だったな。
トーマスを演じたティム・カルコフは撮影のために毛剃ったのかなぁ。
真っ白な上に少し太り気味の体型だけどむきむき、というかむちむちで、毛がなくつるつるしている。
実際にゲイなのかと思うくらい。
色合いも面白く、トーマスが履くオーレンの水泳パンツがなぜか馬場なみの真っ赤。
しかしその赤にトーマスの真っ白な肌がよく映える。
部屋でも履いちゃうトーマスがかわい悲しい。
あと、クッキーに乗せるクリームが青!
料理に青ってあまり使わないじゃん。食欲減退しそうだし。
ここで青を持ってくるのは恋人を失った悲しみでの精神不調の表れなのか、そんなの関係なくケーキ職人としての趣味なのか・・
この青クリームのシーンはオーレンの息子とやりとりする結構重要な場面だったりする。
あと、ドイツとイスラエルの関係性や、イスラエル(ユダヤ教)の風習などもストーリーに影響を与えている。
ストーリーに関係ないけど、手に職を持っているっていいよな。どこでも役に立つし。
面白かった。
製作国:イスラエル/ドイツ
at ギンレイホール
彼を失った男が彼の幻影を求めて正体を隠して彼の妻に近づく。
未亡人によりそう男が夫の弟だとか夫を殺した男だとか、似たような設定の映画はいっぱいあった気がするが、その中でもこの映画はかなり面白い。
ベルリンでケーキ職人としてカフェを経営しているトーマス(ティム・カルコフ)は、イスラエルから度々出張でやってくる客オーレン(ロイ・ミラー)と懇意になり、恋人になる。
ユダヤ教で同性愛は許されない。
オーレンにとってベルリン出張中の一時は安らぎの時間だったのだろう。
しかしある時、イスラエルに戻ったオーレンと一切連絡が取れなくなってしまう。
オーレンには妻と子供もいるし、捨てられたのかとも思うが、意を決して会社にまで突撃したトーマスが知ったのは、オーレンの事故死という事実だった。
失意のトーマスはふらりとイスラエルに現れ、オーレンの妻アナト(サラ・アドラー)を無意識に尾行していた。。
シンプルなお話でトーマスは無口だし感情が顕になる場面も少なくて静かな映画だけど、深い愛情と悲しみが美しく切ない。
バストショットを基本にここぞというときにゆっくりズームしていくのはグッとくる。
男二人はバイセクシュアルってことでいいのかな。トーマスの方は微妙かもしれないが。
男男女の各々が相手二人を、っていう、さらには一人は死亡しているという悲しみの中、事故前のオーレンが最後に何を選択したのかが後に判明したりで死後にも関係性に参入してくる等々、この三者の関係性に人間の悲しみ喜び苦しみが詰まっているから面白い。
特にオーレンの妻への愛撫の仕方をなぞるのは、複雑な愛情に昇華されていて秀逸だったな。
トーマスを演じたティム・カルコフは撮影のために毛剃ったのかなぁ。
真っ白な上に少し太り気味の体型だけどむきむき、というかむちむちで、毛がなくつるつるしている。
実際にゲイなのかと思うくらい。
色合いも面白く、トーマスが履くオーレンの水泳パンツがなぜか馬場なみの真っ赤。
しかしその赤にトーマスの真っ白な肌がよく映える。
部屋でも履いちゃうトーマスがかわい悲しい。
あと、クッキーに乗せるクリームが青!
料理に青ってあまり使わないじゃん。食欲減退しそうだし。
ここで青を持ってくるのは恋人を失った悲しみでの精神不調の表れなのか、そんなの関係なくケーキ職人としての趣味なのか・・
この青クリームのシーンはオーレンの息子とやりとりする結構重要な場面だったりする。
あと、ドイツとイスラエルの関係性や、イスラエル(ユダヤ教)の風習などもストーリーに影響を与えている。
ストーリーに関係ないけど、手に職を持っているっていいよな。どこでも役に立つし。
面白かった。
2019年6月9日日曜日
映画『アリー/ スター誕生:アンコール・バージョン』
2018年 監督:ブラッドリー・クーパー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ロックスターの男がライブ会場で彼女をステージに上げようとして、彼女はいやいや私なんてとお決まりに拒否するものの、その後厚かましくもステージに上がって朗々と歌い始め、歌声を聞いた観客がウォーって叫ぶ。
スター誕生。
レディー・ガガ。
っていう予告編見たときに、これくそつまんないでしょっ、て思うじゃん。
しかも136分。
で、期待もしていなかったけど、意外と飽きずに楽しめた。
ライブで歌うのがピークかと思ったら、結構な前半のシーンで、その後も話が続く。
最後はなにその展開と思ったけど、というか1937年の映画『スタア誕生』から始まって数々のリメイクが作られ続けているテンプレ話らしい。
栄光やら挫折やら恋やら悲劇やら精神衰弱やら、確かにアメリカ人が好きそうではある。
それにしてもレディー・ガガが普通の女優さんみたいに何の違和感もなく、というより普通の女優さん以上の存在感を持って演じているのが凄い。
一方相手役のブラッドリー・クーパーも自身の生歌っぽいのにうまいし雰囲気もある。
歌はいうまでもないレディー・ガガが演技もこなし、役者であるブラッドリー・クーパーが歌もこなす、っていう両者のぶつかりあいだけでも見ごたえがある。
ブラッドリー・クーパーは撮影の一年半前からボーカルレッスンに取り組んでいたらしい。
役者を背後から映すのが印象的。
ストーリー的には、今の時代SNSで荒れないのが不思議。
だって観客はスタージャクソン・メインを見るためにライブに来ているのに、どこの誰とも知らない素人がどんなに歌がうまかろうがステージに立って歌っていたら「はぁ?」ってなるよな。
「お、なかなかいいじゃない」と思うよりもまず「誰だてめー!」だよ。
っていうのはまあこの王道ドラマと役者と音楽による圧倒的パワーの前では取るに足らない些事なんだけどさ。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ロックスターの男がライブ会場で彼女をステージに上げようとして、彼女はいやいや私なんてとお決まりに拒否するものの、その後厚かましくもステージに上がって朗々と歌い始め、歌声を聞いた観客がウォーって叫ぶ。
スター誕生。
レディー・ガガ。
っていう予告編見たときに、これくそつまんないでしょっ、て思うじゃん。
しかも136分。
で、期待もしていなかったけど、意外と飽きずに楽しめた。
ライブで歌うのがピークかと思ったら、結構な前半のシーンで、その後も話が続く。
最後はなにその展開と思ったけど、というか1937年の映画『スタア誕生』から始まって数々のリメイクが作られ続けているテンプレ話らしい。
栄光やら挫折やら恋やら悲劇やら精神衰弱やら、確かにアメリカ人が好きそうではある。
それにしてもレディー・ガガが普通の女優さんみたいに何の違和感もなく、というより普通の女優さん以上の存在感を持って演じているのが凄い。
一方相手役のブラッドリー・クーパーも自身の生歌っぽいのにうまいし雰囲気もある。
歌はいうまでもないレディー・ガガが演技もこなし、役者であるブラッドリー・クーパーが歌もこなす、っていう両者のぶつかりあいだけでも見ごたえがある。
ブラッドリー・クーパーは撮影の一年半前からボーカルレッスンに取り組んでいたらしい。
役者を背後から映すのが印象的。
ストーリー的には、今の時代SNSで荒れないのが不思議。
だって観客はスタージャクソン・メインを見るためにライブに来ているのに、どこの誰とも知らない素人がどんなに歌がうまかろうがステージに立って歌っていたら「はぁ?」ってなるよな。
「お、なかなかいいじゃない」と思うよりもまず「誰だてめー!」だよ。
っていうのはまあこの王道ドラマと役者と音楽による圧倒的パワーの前では取るに足らない些事なんだけどさ。
映画『私は、マリア・カラス』
2017年 監督:トム・ヴォルフ
製作国:フランス
at ギンレイホール
こういうのって歌が少ないともっと聞かせろ!と思うし、歌ばっかりだともっと人物像を見せろと思うから、この映画に関してはいいバランスなんだと思う。
ただ、クラシックって眠くなるんだよね。
あと相当映画館の音響設備が優秀でないとマリア・カラスの魅力の半分も伝わらない。高音が少し音割れしていたし。
秘蔵映像も満載らしいのでクラシックファンにはたまらないんだろう。
こうやってマリア・カラスを追った数々の映像を見ていると、普段なんなのこの人達って思う芸能人を追っかけるレポーター達も実は貴重で素晴らしい仕事をしていたんだなと思う。
だってこの人達が追っかけたからこそ映像が残っているんだし。
ただし芸術関係の人たちに限った話でタレントやら芸人やらはどうでもいいことに変わりはない。
マリア・カラスの随分私的な心情が朗読されるしなんだろうと思ったら、私的な手紙や未完の自叙伝からの引用らしい。
しかも朗読は『永遠のマリア・カラス』でカラスを演じたファニー・アルダン。
カルメンのハバネラってこうして聞くと懐かしい歌謡曲みたいだな。
製作国:フランス
at ギンレイホール
こういうのって歌が少ないともっと聞かせろ!と思うし、歌ばっかりだともっと人物像を見せろと思うから、この映画に関してはいいバランスなんだと思う。
ただ、クラシックって眠くなるんだよね。
あと相当映画館の音響設備が優秀でないとマリア・カラスの魅力の半分も伝わらない。高音が少し音割れしていたし。
秘蔵映像も満載らしいのでクラシックファンにはたまらないんだろう。
こうやってマリア・カラスを追った数々の映像を見ていると、普段なんなのこの人達って思う芸能人を追っかけるレポーター達も実は貴重で素晴らしい仕事をしていたんだなと思う。
だってこの人達が追っかけたからこそ映像が残っているんだし。
ただし芸術関係の人たちに限った話でタレントやら芸人やらはどうでもいいことに変わりはない。
マリア・カラスの随分私的な心情が朗読されるしなんだろうと思ったら、私的な手紙や未完の自叙伝からの引用らしい。
しかも朗読は『永遠のマリア・カラス』でカラスを演じたファニー・アルダン。
カルメンのハバネラってこうして聞くと懐かしい歌謡曲みたいだな。
2019年5月19日日曜日
映画『ジュリアン』
2017年 監督:グザヴィエ・ルグラン
製作国:フランス
at ギンレイホール
「どちらかがウソをついてますね」みたいなサスペンス風を予告編では強調しているけど、予告編見てなんとなく分かる通り、父親が強烈なDV男。
離婚調停でDVの証拠が不十分なのか、共同親権が認められてしまい、11歳のジュリアン(トマ・ジオリア)は隔週の週末に父親アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)と過ごさなければいけなくなる。
息子に会いたがるくらいだから、息子に対する愛情はある。
だけどもアントワーヌはちょっとした怒りの感情すら抑えることができない。
ちょっと録音でもしておけば接近禁止にできそうだけど。
終始緊張感が漂い、母と子供の恐怖が伝染してくる。
父親の方もなんというか悪意があるわけじゃなくてただ家族と一緒にいたかっただけなんだよね。
社会不適合者というか自制心の効かなさと思いやりの無さで無意識に自ら希望を台無しにする哀れな男。
予告編がよろしくなくて、衝撃の結末とか大傑作とか散々煽るからなんかびっくりするような展開が待っているのかと思ってしまう。
だから、あれっ?終わり?みたいな感じだった。
予告編見ていなかったらサスペンスよりかは家族ドラマ社会ドラマとして多少見ることができたかもしれない。
製作国:フランス
at ギンレイホール
「どちらかがウソをついてますね」みたいなサスペンス風を予告編では強調しているけど、予告編見てなんとなく分かる通り、父親が強烈なDV男。
離婚調停でDVの証拠が不十分なのか、共同親権が認められてしまい、11歳のジュリアン(トマ・ジオリア)は隔週の週末に父親アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)と過ごさなければいけなくなる。
息子に会いたがるくらいだから、息子に対する愛情はある。
だけどもアントワーヌはちょっとした怒りの感情すら抑えることができない。
ちょっと録音でもしておけば接近禁止にできそうだけど。
終始緊張感が漂い、母と子供の恐怖が伝染してくる。
父親の方もなんというか悪意があるわけじゃなくてただ家族と一緒にいたかっただけなんだよね。
社会不適合者というか自制心の効かなさと思いやりの無さで無意識に自ら希望を台無しにする哀れな男。
予告編がよろしくなくて、衝撃の結末とか大傑作とか散々煽るからなんかびっくりするような展開が待っているのかと思ってしまう。
だから、あれっ?終わり?みたいな感じだった。
予告編見ていなかったらサスペンスよりかは家族ドラマ社会ドラマとして多少見ることができたかもしれない。
映画『マチルド、翼を広げ』
2017年 監督:ノエミ・ルボフスキー
製作国:フランス
at ギンレイホール
オープニングで校舎から出てきたマチルド(リュス・ロドリゲス)が歩きながら横を向いた瞬間に映像が静止して文字が浮かぶ。
一瞬で再開してその後もスタッフの文字が出るけど、ところどころスローにしたりなんかして結構好きかもと期待が膨らむ。
で、見終わった感想としては、面白かった気もするが微妙だった気もする。
9歳のマチルドは母親(ノエミ・ルボフスキー)と二人暮らし。
学校では特に友達もいないはみ出し物。
それゆえに担任が母親を呼び出して三者面談をするが、どうも母親の言動がおかしい。
母親は精神が病んでいるらしい。
面談ではマチルドのほうが保護者かのようだ。
という親子の関係性や置かれた状況を冒頭数分であっという間に描ききるのはすごい。
両親は離婚している。
養育能力が欠如した母親と幼い娘を放って置くなんてひどい父親(マチュー・アマルリック)に思えるが、マチルドは父親とはしょっちゅう連絡をとって仲がいい。
離婚の原因は不明で、精神を病んだ妻に耐えられなかったか、もしくは別れたことで妻の精神が病んだのか。
マチルド視点では離婚の原因など知る由もないしどうでもいいのだろう。
大好きな母親と一緒に暮らすことのほうが今現在一番大事で一生懸命だから。
そういう母と娘、母の苦悩や娘の孤独を描いた物語。
それほど大きな展開があるわけでもないので、途中から骸骨のシーン等少しうつらうつらしてしまう。
フクロウが喋るとかいうファンタジーっている?って思ってあまり乗れなかったけど、途中でこれはマチルドの孤独が生んだ架空のお友達と気づいてからは面白くなる。
友達の意見というよりマチルドの本音や心の声が発せられる。
溺死したオフィーリアのイメージがマチルドに重なったり、自分を埋葬してみたりとかは言いたいことはわかるけど、それよりもマチルドと母親とのやりとりをもっと見たかった気もする。
歌のシーンで母親が寄り添ってしまうシーンとか泣ける。
監督脚本で母親役でもあるノエミ・ルボフスキーの実体験をもとにしているらしい。
以下ネタバレ
大好きな母親で自分に惜しみなく愛情をそそいでくれるけど時折母親の考えていることがわからない。
しょっちゅう振り回されてばかりいるけどそれでも一緒にいたい。
池から這い出ることができないような檻に閉じ込められる圧迫感や孤独を感じながらも健気に生きる9歳の少女を誰もが愛するだろう。
だからラストで役者が変わったときにはぁ?ってなる。
だいぶ似た雰囲気の女優さんだったけど、それでも他人じゃん。
ラストのやりとりが秀逸で感動的なだけに「お前誰だよ」っていう感情を押し殺すのに必死だった。
成長させなくてもよかったんじゃないかなぁ。
エンドロールの主題歌何気なく聞いていたら
アレラ・ダイアン2003年の『oh! my mama』っていう曲らしい。
製作国:フランス
at ギンレイホール
オープニングで校舎から出てきたマチルド(リュス・ロドリゲス)が歩きながら横を向いた瞬間に映像が静止して文字が浮かぶ。
一瞬で再開してその後もスタッフの文字が出るけど、ところどころスローにしたりなんかして結構好きかもと期待が膨らむ。
で、見終わった感想としては、面白かった気もするが微妙だった気もする。
9歳のマチルドは母親(ノエミ・ルボフスキー)と二人暮らし。
学校では特に友達もいないはみ出し物。
それゆえに担任が母親を呼び出して三者面談をするが、どうも母親の言動がおかしい。
母親は精神が病んでいるらしい。
面談ではマチルドのほうが保護者かのようだ。
という親子の関係性や置かれた状況を冒頭数分であっという間に描ききるのはすごい。
両親は離婚している。
養育能力が欠如した母親と幼い娘を放って置くなんてひどい父親(マチュー・アマルリック)に思えるが、マチルドは父親とはしょっちゅう連絡をとって仲がいい。
離婚の原因は不明で、精神を病んだ妻に耐えられなかったか、もしくは別れたことで妻の精神が病んだのか。
マチルド視点では離婚の原因など知る由もないしどうでもいいのだろう。
大好きな母親と一緒に暮らすことのほうが今現在一番大事で一生懸命だから。
そういう母と娘、母の苦悩や娘の孤独を描いた物語。
それほど大きな展開があるわけでもないので、途中から骸骨のシーン等少しうつらうつらしてしまう。
フクロウが喋るとかいうファンタジーっている?って思ってあまり乗れなかったけど、途中でこれはマチルドの孤独が生んだ架空のお友達と気づいてからは面白くなる。
友達の意見というよりマチルドの本音や心の声が発せられる。
溺死したオフィーリアのイメージがマチルドに重なったり、自分を埋葬してみたりとかは言いたいことはわかるけど、それよりもマチルドと母親とのやりとりをもっと見たかった気もする。
歌のシーンで母親が寄り添ってしまうシーンとか泣ける。
監督脚本で母親役でもあるノエミ・ルボフスキーの実体験をもとにしているらしい。
以下ネタバレ
大好きな母親で自分に惜しみなく愛情をそそいでくれるけど時折母親の考えていることがわからない。
しょっちゅう振り回されてばかりいるけどそれでも一緒にいたい。
池から這い出ることができないような檻に閉じ込められる圧迫感や孤独を感じながらも健気に生きる9歳の少女を誰もが愛するだろう。
だからラストで役者が変わったときにはぁ?ってなる。
だいぶ似た雰囲気の女優さんだったけど、それでも他人じゃん。
ラストのやりとりが秀逸で感動的なだけに「お前誰だよ」っていう感情を押し殺すのに必死だった。
成長させなくてもよかったんじゃないかなぁ。
エンドロールの主題歌何気なく聞いていたら
I'll be a mamaって変化したところで泣きそうになる。
I'll have a daughter
アレラ・ダイアン2003年の『oh! my mama』っていう曲らしい。
2019年5月12日日曜日
映画『炎の城』
1960年 監督:加藤泰
製作国:日本
BSプレミアム録画
![炎の城 [VHS]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51E%2B38kkUML.jpg)
明から帰ってきた若殿王見正人(大川橋蔵)は、父親が死に叔父が領主となり、母親はその叔父の妻となっていることを知る。
平和主義者の父と違って叔父は野望の塊のような男。
父の死に疑問を持つ正人は身の危険を感じ、気狂いの振りをしながら父の死の真相を掴もうとするのだが、、、もう泥沼。
ハムレットが原案。
ストーリーは、誰かも確かめないで刺すなよ(師景だとしても今までの努力?が無に帰すし刺すなよ)とか、いや入水しなくてもとか、決闘後のあの人って無駄死になんじゃ?とか、ラストって。。とかいろいろあるけど、概ねは楽しめる。
雪野(三田佳子)の兄祐吾(伊沢一郎)のキャラクターはまっずぐな熱い男でありながら結構ひどいことも平気でやったりとして敵役の造形として面白い。
大川橋蔵の演技はオーバー気味なもののそのオーバーな感情表現に素直に魅入るのもいいし、B級見るように笑ってもいい(駄目?)。
大河内伝次郎は相変わらずセリフが聞きづらいが字幕表示してみていたので問題なし。
三田佳子は綺麗。
高峰三枝子はあまり目立たないけど演じる母君の苦悩がつらい。
加藤泰にしてはカメラがよく動く。
でも程よい長回しや差し色等の控えめな色彩バランスは楽しい。
調べてみると加藤泰はこの映画を「壮烈なる失敗作」と言っているらしい。
主にはラストシーンで会社側の意向により悲劇ものになりそこねたところを言っている模様。
あと、DVD化されていないみたいで、VHSめっちゃ高い。
製作国:日本
BSプレミアム録画
![炎の城 [VHS]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51E%2B38kkUML.jpg)
明から帰ってきた若殿王見正人(大川橋蔵)は、父親が死に叔父が領主となり、母親はその叔父の妻となっていることを知る。
平和主義者の父と違って叔父は野望の塊のような男。
父の死に疑問を持つ正人は身の危険を感じ、気狂いの振りをしながら父の死の真相を掴もうとするのだが、、、もう泥沼。
ハムレットが原案。
ストーリーは、誰かも確かめないで刺すなよ(師景だとしても今までの努力?が無に帰すし刺すなよ)とか、いや入水しなくてもとか、決闘後のあの人って無駄死になんじゃ?とか、ラストって。。とかいろいろあるけど、概ねは楽しめる。
雪野(三田佳子)の兄祐吾(伊沢一郎)のキャラクターはまっずぐな熱い男でありながら結構ひどいことも平気でやったりとして敵役の造形として面白い。
大川橋蔵の演技はオーバー気味なもののそのオーバーな感情表現に素直に魅入るのもいいし、B級見るように笑ってもいい(駄目?)。
大河内伝次郎は相変わらずセリフが聞きづらいが字幕表示してみていたので問題なし。
三田佳子は綺麗。
高峰三枝子はあまり目立たないけど演じる母君の苦悩がつらい。
加藤泰にしてはカメラがよく動く。
でも程よい長回しや差し色等の控えめな色彩バランスは楽しい。
調べてみると加藤泰はこの映画を「壮烈なる失敗作」と言っているらしい。
主にはラストシーンで会社側の意向により悲劇ものになりそこねたところを言っている模様。
あと、DVD化されていないみたいで、VHSめっちゃ高い。
2019年5月5日日曜日
映画『日日是好日』
2018年 監督:大森立嗣
製作国:日本
at ギンレイホール
予告編にもあるけど樹木希林のこのタイトルの読み上げ方っていかにも樹木希林って感じでいいよね。
二十歳の大学生典子(黒木華)はひょんなことから従姉妹の美智子(多部未華子)とともに茶道を習い始める。
お茶の先生役に樹木希林。
典子が茶道の才能に溢れていて、何気なく始めたのにめきめき頭角を現して大会で優勝しました!とかそういうストーリーじゃない。
才能というかセンスがあるのは後から入ってきた女子高生(山下美月)で、典子の方はそんなにセンスない。
まあ、形から入ってあとで心が付いてくる世界では継続が重要なんだろうし上達の速さはたぶん些事。
おっちょこちょいと言われる典子が茶道を好きなり、茶道を通した「気づき」が人生の悲喜こもごもに寄り添っていく支えていく物語。
なにで見たか忘れたけど映画においてモノローグの多用はださいという通説があったと思う。
心象とか状況とか、映画なんだから言葉で説明しないで映像や演技で表せよ、言葉で説明しちゃったら小説から想像力を奪っただけの作品になっちゃうじゃん、とかそんな理由だと思われる。
ただ個人的には別にモノローグは嫌いじゃないし、むしろ説明してくれてありがとうなんだけど、この映画見ていたら「うっせーな、おい」と思ってしまった。
「掛け軸は字を読むんじゃなくて絵として眺めればいいんだ(どや)」
「ある日些細な音の違いがわかるようになった(どや)」
等々、中学生か!と思うようなことを私って感受性豊かでしょとひけらかすように言われ続けるとうるさくもなる。
「日日是好日」の額が前半の浅い理解から、後半で人生を経た上で新たな意味を持って再度映し出されたときに、おおーってなったのに間髪入れずにモノローグ(セリフだったかも)で説明が入るもんだから、「ここも説明するんかい!」って心でつっこんでいたら何におおーってなったのかも忘れてしまった。
原作は森下典子のエッセイ『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』。
エッセイが原作ならモノローグも多くなっちゃう、かな。
これは確か90年代初頭くらいからの話だったと思うが、最近『1987、ある闘いの真実』のキム・テリを見てから80年代あたりの女性ファッションや髪型が好きで、だからかわいい多部ちゃんが見れて満足した。
製作国:日本
at ギンレイホール
予告編にもあるけど樹木希林のこのタイトルの読み上げ方っていかにも樹木希林って感じでいいよね。
二十歳の大学生典子(黒木華)はひょんなことから従姉妹の美智子(多部未華子)とともに茶道を習い始める。
お茶の先生役に樹木希林。
典子が茶道の才能に溢れていて、何気なく始めたのにめきめき頭角を現して大会で優勝しました!とかそういうストーリーじゃない。
才能というかセンスがあるのは後から入ってきた女子高生(山下美月)で、典子の方はそんなにセンスない。
まあ、形から入ってあとで心が付いてくる世界では継続が重要なんだろうし上達の速さはたぶん些事。
おっちょこちょいと言われる典子が茶道を好きなり、茶道を通した「気づき」が人生の悲喜こもごもに寄り添っていく支えていく物語。
なにで見たか忘れたけど映画においてモノローグの多用はださいという通説があったと思う。
心象とか状況とか、映画なんだから言葉で説明しないで映像や演技で表せよ、言葉で説明しちゃったら小説から想像力を奪っただけの作品になっちゃうじゃん、とかそんな理由だと思われる。
ただ個人的には別にモノローグは嫌いじゃないし、むしろ説明してくれてありがとうなんだけど、この映画見ていたら「うっせーな、おい」と思ってしまった。
「掛け軸は字を読むんじゃなくて絵として眺めればいいんだ(どや)」
「ある日些細な音の違いがわかるようになった(どや)」
等々、中学生か!と思うようなことを私って感受性豊かでしょとひけらかすように言われ続けるとうるさくもなる。
「日日是好日」の額が前半の浅い理解から、後半で人生を経た上で新たな意味を持って再度映し出されたときに、おおーってなったのに間髪入れずにモノローグ(セリフだったかも)で説明が入るもんだから、「ここも説明するんかい!」って心でつっこんでいたら何におおーってなったのかも忘れてしまった。
原作は森下典子のエッセイ『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』。
エッセイが原作ならモノローグも多くなっちゃう、かな。
これは確か90年代初頭くらいからの話だったと思うが、最近『1987、ある闘いの真実』のキム・テリを見てから80年代あたりの女性ファッションや髪型が好きで、だからかわいい多部ちゃんが見れて満足した。
映画『モリのいる場所』
2017年 監督:沖田修一
製作国:日本
at ギンレイホール
画家熊谷守一の晩年の暮らしを描いたフィクション。
Wikiだと文化勲章の内示を辞退したのは本当らしいが。
30坪にも満たないが木々が鬱蒼と生い茂る庭をこよなく愛し、毎日庭に出て虫や自然を観察するのを日課にしているモリ(山崎努)。
高名画家には来客が絶えずいつも賑やか。
って話。
沖田修一っぽい温かみのある作品だけど、どうも作り物めいて見えてしまうのはなんだろうか。
庭を愛する老人だと『人生フルーツ』をどうしても思い出してしまう。
傑作『人生フルーツ』がドキュメンタリーな分だけ、対比で『モリのいる場所』がそう見えてしまうのかもしれない。
それと、どうもコメディに寄せすぎていて、少しあざとい気もする。
タライのシーンは丁寧に前フリがあったものの、笑うよりかまじびっくりしたわ。
主演山崎努と樹木希林。
三上博史すごい久しぶりに見たけど、こんなキワモノ俳優だったっけ。
他には 加瀬亮、光石研、吹越満、池谷のぶえ、きたろう、林与一、嶋田久作等が出演している。
このドキュメンタリーも面白い。
製作国:日本
at ギンレイホール
画家熊谷守一の晩年の暮らしを描いたフィクション。
Wikiだと文化勲章の内示を辞退したのは本当らしいが。
30坪にも満たないが木々が鬱蒼と生い茂る庭をこよなく愛し、毎日庭に出て虫や自然を観察するのを日課にしているモリ(山崎努)。
高名画家には来客が絶えずいつも賑やか。
って話。
沖田修一っぽい温かみのある作品だけど、どうも作り物めいて見えてしまうのはなんだろうか。
庭を愛する老人だと『人生フルーツ』をどうしても思い出してしまう。
傑作『人生フルーツ』がドキュメンタリーな分だけ、対比で『モリのいる場所』がそう見えてしまうのかもしれない。
それと、どうもコメディに寄せすぎていて、少しあざとい気もする。
タライのシーンは丁寧に前フリがあったものの、笑うよりかまじびっくりしたわ。
主演山崎努と樹木希林。
三上博史すごい久しぶりに見たけど、こんなキワモノ俳優だったっけ。
他には 加瀬亮、光石研、吹越満、池谷のぶえ、きたろう、林与一、嶋田久作等が出演している。
このドキュメンタリーも面白い。
2019年5月4日土曜日
映画『人情紙風船』
1937年 監督:山中貞雄
製作国:日本
BSプレミアム録画
![人情紙風船 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/518EDNG3CFL.jpg)
江戸の長屋が舞台。
粋な男髪結新三(中村翫右衛門)は隠れて賭場を開いたりして地元のヤクザ衆に目を付けられている。
長屋の隣人の浪人者海野又十郎(河原崎長十郎)は亡くなった父の知人である毛利三左衛門に士官の口を頼もうとするが毛利は海野を厄介者扱いする。
で、なんやかんやあってまじかって話。
めちゃくちゃ面白いというわけではないけど、傑作と呼ばれるだけあって確かに面白い。
早くも遅くもないストーリー展開のくせに一つ一つがシンプルに的確で、がっちり嵌まる心地よさがある。
それぞれ追い詰められていく新三と海野の対比も面白い。
新三が命がけの豪胆さでヤクザの親分(市川笑太郎)を追い返すところは屈指の名シーンだ。
町人の新三が武士に劣らない気概を持っている分、海野の不器用さや鈍臭さが実に悲しい。
画面構成も静と動のバランスが、えー、なんというかやっぱり的確、という言葉がいいかな。
例えば、白子屋から叩き出されてぼこぼこにされる海野→そこから新三を追いかけ始めて走り去ったやくざ衆のあとの一瞬の静けさ→新三を追いかけるやくざ衆→追い詰めた新三とやくざ衆のやりとり→静けさの中むっくり起き上がる海野
この時起き上がる運のの画面奥の店先では吊るされた無数の何か(何かわからん)が風でひらひら揺れているのね。
冒頭からして雨の夜からの晴れた朝、そして長屋に入っていく役人達が水たまりを避けてくねくね動くのもいいよな。
長屋の庭木なんかもよく風で揺れていたりするけど、この風ってたまたまなのか意図的なのかは知らない。
あと、海野が完全に突き放されて雨の中立ちすくむシーンでは、静止からとぼとぼ歩き出す海野の背後を忠七が猛スピードで白子屋に駆け込むところを重ね、次のストーリー展開につなげるところもかっこいい。
あからさまに静と動を対比させてどうだ!みたいな感じじゃなく、画面内でわちゃわちゃいろんなもの動かしてどうだ!って感じでもない。
さりげなく的確に動きがあるってところがもうセンスとしかいいようがない。
海野役の河原崎長十郎は河原崎長一郎のお父さんだな。
あとヤクザ衆の若頭的立ち位置の男がなんか加東大介に似ていると思ったら加東大介だった。市川莚司は加東大介の旧芸名らしい。
ちなみに山中貞雄は昔(調べたら2000年だな)ビッグコミックスペリオールで「沙堂やん」っていう山中貞雄を扱った漫画を読んで初めて知って、それからずっと気になっていた。
で、2011年に録画したやつを令和1本目として選んでやっと見た次第。
アナログ放送時代には現存する3本を録画していたはずだけど(結局未見)、デジタルになってからはこの遺作1本しか録画してなかったみたいだな。
他のも見たい。
製作国:日本
BSプレミアム録画
![人情紙風船 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/518EDNG3CFL.jpg)
江戸の長屋が舞台。
粋な男髪結新三(中村翫右衛門)は隠れて賭場を開いたりして地元のヤクザ衆に目を付けられている。
長屋の隣人の浪人者海野又十郎(河原崎長十郎)は亡くなった父の知人である毛利三左衛門に士官の口を頼もうとするが毛利は海野を厄介者扱いする。
で、なんやかんやあってまじかって話。
めちゃくちゃ面白いというわけではないけど、傑作と呼ばれるだけあって確かに面白い。
早くも遅くもないストーリー展開のくせに一つ一つがシンプルに的確で、がっちり嵌まる心地よさがある。
それぞれ追い詰められていく新三と海野の対比も面白い。
新三が命がけの豪胆さでヤクザの親分(市川笑太郎)を追い返すところは屈指の名シーンだ。
町人の新三が武士に劣らない気概を持っている分、海野の不器用さや鈍臭さが実に悲しい。
画面構成も静と動のバランスが、えー、なんというかやっぱり的確、という言葉がいいかな。
例えば、白子屋から叩き出されてぼこぼこにされる海野→そこから新三を追いかけ始めて走り去ったやくざ衆のあとの一瞬の静けさ→新三を追いかけるやくざ衆→追い詰めた新三とやくざ衆のやりとり→静けさの中むっくり起き上がる海野
この時起き上がる運のの画面奥の店先では吊るされた無数の何か(何かわからん)が風でひらひら揺れているのね。
冒頭からして雨の夜からの晴れた朝、そして長屋に入っていく役人達が水たまりを避けてくねくね動くのもいいよな。
長屋の庭木なんかもよく風で揺れていたりするけど、この風ってたまたまなのか意図的なのかは知らない。
あと、海野が完全に突き放されて雨の中立ちすくむシーンでは、静止からとぼとぼ歩き出す海野の背後を忠七が猛スピードで白子屋に駆け込むところを重ね、次のストーリー展開につなげるところもかっこいい。
あからさまに静と動を対比させてどうだ!みたいな感じじゃなく、画面内でわちゃわちゃいろんなもの動かしてどうだ!って感じでもない。
さりげなく的確に動きがあるってところがもうセンスとしかいいようがない。
海野役の河原崎長十郎は河原崎長一郎のお父さんだな。
あとヤクザ衆の若頭的立ち位置の男がなんか加東大介に似ていると思ったら加東大介だった。市川莚司は加東大介の旧芸名らしい。
ちなみに山中貞雄は昔(調べたら2000年だな)ビッグコミックスペリオールで「沙堂やん」っていう山中貞雄を扱った漫画を読んで初めて知って、それからずっと気になっていた。
で、2011年に録画したやつを令和1本目として選んでやっと見た次第。
アナログ放送時代には現存する3本を録画していたはずだけど(結局未見)、デジタルになってからはこの遺作1本しか録画してなかったみたいだな。
他のも見たい。
2019年4月30日火曜日
映画『雨上がりの駅で』
1996年 監督:ピーター・デル・モンテ
製作国:イタリア
DVD
![雨上がりの駅で [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/516X3BTEAFL.jpg)
バーや犬の散歩のバイトをしながら女友達や男の家を泊まり渡る根無し草のコラ(アーシア・アルジェント)。
ある日犬の散歩の雇い主から、痴呆症を患った父親を尾行して父親が迷子になったら知らせてほしいと頼まれる。
老人コジモ(ミシェル・ピコリ)とコラの付かず離れずのロードムービー。
タイトルロール中のミシェル・ピコリ、階段に座り込んで買ったばかりのスリッパやネクタイを確認するだけなんだけど、その所作だけでもう引き込まれる。
あまりセリフがないのにあのにじみ出る優しさと悲しみはなんなんだろう。
そしてアーシア・アルジェント。
三白眼の力強い瞳が美しくて儚い。
この力強さと儚さの同居が役柄に合っていることも加わって神がかった存在感を残していて、時にはっとするほど美しい。
どちらかというと美人だけど決して美人女優じゃないのにな。
あまり笑わないしぱっと見表情豊かに見えないかもしれないけど、こんなに魅力的で繊細な表情をする女優を他に知らない。喜怒哀楽の表情が豊かなだけの女優がアホに見えてくる。
映像に映えるという点では当時のアーシア・アルジェントは最強だろう。
この映画が名作なのはミシェル・ピッコリとアーシア・アルジェントによるところが大きくて、アーシア以外の女優だったら「ふーん」で終わったかもしれない。
公開当時、今はなき銀座テアトル西友で観たんだけど、ラストシーンでぼろぼろ泣いてエンドロール終わっても胸がいっぱいで暫く席から立ち上がれなかった。
映画見てこれほど感動したのは後にも先にも他になかった気がする。
なのでブログのタイトルに役名使うくらいのお気に入り作品なんだけど、感動したのは若かったからで、今見ても別に面白くないんじゃないかという気がしていた。
いやぁ~取り越し苦労。今見ても名作だった。
この映画あんまり有名じゃないしネットで見ても評価はそんなに高くないみたいだな。
たぶんストーリーがあまり説明がなく細かい部分が分かりづらいってのも理由だろう。
俺もいまだに細かいところよく分っていない。
でもそんなのどうでもいいくらいにアーシア・アルジェントとミシェル・ピコリさえ見ていればラストで泣ける。
演出的にはビクトル・エリセに近い(やべぇ怒られそう)。
ビクトル・エリセ好きにビクトル・エリセは3本しか長編撮ってないと言われるけど実はこれもビクトル・エリセが撮ったんだよと言って見せたら5割以上の人が信じるんじゃないだろうか。(イタリア語であることに疑問を持たない前提で)
ピーター・デル・モンテは今何してるんだろう。
<ストーリー補足とか不明点(ネタばれ含む)>
母親は事故か自殺でコラが幼い頃に亡くなっている。
そのことがコラと兄の二人に暗い影を落とす一因になっている。
愛されなかったことから愛を拒絶とか将来に希望を持てないとかそんな影。
兄はソーシャルワーカーにお世話になっている模様。
駅まで送るのも拒否した兄が妹の列車をずっと車で追いかけ続けたのは謎。
なんかわからんが前に進もうとしたのか。
兄がコジモを置いてけぼりにしたのも謎。
コジモに誰かと勘違いされて親しくされて離れがたくなったがこのままではまずいと思ったか。
あのブローチみたいなやつがキーっぽいが前のシーンで出てたかな。
コラの飛び降りは全てが嫌になった自殺だけど、母親のトレースであり、入水による浄化の儀式にもなっているのかな。
過去を受け止めてちゃんと前を向き出すきっかけ。
陶器工場の主任っぽいおばさんが一人椅子に座って頭をゆすったのは謎だけど、なんか過去に娘を自殺で失ったとかそういうトラウマがあったに違いない。
列車に向かって手を振る男女4人組はカップルに続けて田舎の仲のいい四人組の幸せそうな風景をコラに見せただけかと思っていたけど、今見返すとこの4人ってローマにいるコラの友達っぽいな。
友達の幻が列車に手を振っているのって、やっと人とちゃんと向き合えるようになったコラに手を振っているのかな。
まだ嫌になった状態ならバイバイしているのかも。
バイバイであれば絶望であり、その後の写真裏の「旅の道連れ」が効いてくる。
あと妊婦のいるところに車でやってきたのはたぶん雇い主の夫で、この時は他人同士だったからその後一気に恋仲になったと思われる。
そもそもそんな不倫話いるのかって気もするが、走り出す列車から首だけ出す雇い主が可愛そうだけど意外と名シーン。
製作国:イタリア
DVD
![雨上がりの駅で [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/516X3BTEAFL.jpg)
バーや犬の散歩のバイトをしながら女友達や男の家を泊まり渡る根無し草のコラ(アーシア・アルジェント)。
ある日犬の散歩の雇い主から、痴呆症を患った父親を尾行して父親が迷子になったら知らせてほしいと頼まれる。
老人コジモ(ミシェル・ピコリ)とコラの付かず離れずのロードムービー。
タイトルロール中のミシェル・ピコリ、階段に座り込んで買ったばかりのスリッパやネクタイを確認するだけなんだけど、その所作だけでもう引き込まれる。
あまりセリフがないのにあのにじみ出る優しさと悲しみはなんなんだろう。
そしてアーシア・アルジェント。
三白眼の力強い瞳が美しくて儚い。
この力強さと儚さの同居が役柄に合っていることも加わって神がかった存在感を残していて、時にはっとするほど美しい。
どちらかというと美人だけど決して美人女優じゃないのにな。
あまり笑わないしぱっと見表情豊かに見えないかもしれないけど、こんなに魅力的で繊細な表情をする女優を他に知らない。喜怒哀楽の表情が豊かなだけの女優がアホに見えてくる。
映像に映えるという点では当時のアーシア・アルジェントは最強だろう。
この映画が名作なのはミシェル・ピッコリとアーシア・アルジェントによるところが大きくて、アーシア以外の女優だったら「ふーん」で終わったかもしれない。
公開当時、今はなき銀座テアトル西友で観たんだけど、ラストシーンでぼろぼろ泣いてエンドロール終わっても胸がいっぱいで暫く席から立ち上がれなかった。
映画見てこれほど感動したのは後にも先にも他になかった気がする。
なのでブログのタイトルに役名使うくらいのお気に入り作品なんだけど、感動したのは若かったからで、今見ても別に面白くないんじゃないかという気がしていた。
いやぁ~取り越し苦労。今見ても名作だった。
この映画あんまり有名じゃないしネットで見ても評価はそんなに高くないみたいだな。
たぶんストーリーがあまり説明がなく細かい部分が分かりづらいってのも理由だろう。
俺もいまだに細かいところよく分っていない。
でもそんなのどうでもいいくらいにアーシア・アルジェントとミシェル・ピコリさえ見ていればラストで泣ける。
演出的にはビクトル・エリセに近い(やべぇ怒られそう)。
ビクトル・エリセ好きにビクトル・エリセは3本しか長編撮ってないと言われるけど実はこれもビクトル・エリセが撮ったんだよと言って見せたら5割以上の人が信じるんじゃないだろうか。(イタリア語であることに疑問を持たない前提で)
ピーター・デル・モンテは今何してるんだろう。
<ストーリー補足とか不明点(ネタばれ含む)>
母親は事故か自殺でコラが幼い頃に亡くなっている。
そのことがコラと兄の二人に暗い影を落とす一因になっている。
愛されなかったことから愛を拒絶とか将来に希望を持てないとかそんな影。
兄はソーシャルワーカーにお世話になっている模様。
駅まで送るのも拒否した兄が妹の列車をずっと車で追いかけ続けたのは謎。
なんかわからんが前に進もうとしたのか。
兄がコジモを置いてけぼりにしたのも謎。
コジモに誰かと勘違いされて親しくされて離れがたくなったがこのままではまずいと思ったか。
あのブローチみたいなやつがキーっぽいが前のシーンで出てたかな。
コラの飛び降りは全てが嫌になった自殺だけど、母親のトレースであり、入水による浄化の儀式にもなっているのかな。
過去を受け止めてちゃんと前を向き出すきっかけ。
陶器工場の主任っぽいおばさんが一人椅子に座って頭をゆすったのは謎だけど、なんか過去に娘を自殺で失ったとかそういうトラウマがあったに違いない。
列車に向かって手を振る男女4人組はカップルに続けて田舎の仲のいい四人組の幸せそうな風景をコラに見せただけかと思っていたけど、今見返すとこの4人ってローマにいるコラの友達っぽいな。
友達の幻が列車に手を振っているのって、やっと人とちゃんと向き合えるようになったコラに手を振っているのかな。
まだ嫌になった状態ならバイバイしているのかも。
バイバイであれば絶望であり、その後の写真裏の「旅の道連れ」が効いてくる。
あと妊婦のいるところに車でやってきたのはたぶん雇い主の夫で、この時は他人同士だったからその後一気に恋仲になったと思われる。
そもそもそんな不倫話いるのかって気もするが、走り出す列車から首だけ出す雇い主が可愛そうだけど意外と名シーン。
2019年4月28日日曜日
映画『万引き家族』
2018年 監督:是枝裕和
製作国:日本
at ギンレイホール
父:治(リリー・フランキー)
母:信代(安藤サクラ)
祖母:初枝(樹木希林)
息子:祥太(城桧吏)
母の妹:亜紀(松岡茉優)
拾ってきた子:ゆり(佐々木みゆ)
「次々と明かされていく、家族の秘密」って宣伝的には謳い文句にしたいんだろうけど、是枝作品なのでそういう驚き的なものにドラマチックな展開を付与して明かすような脚本じゃない。
家族の関係は何気ない一言やシーンでしれっと判明する。
ドラマは主幹である家族の関係性にこそあればよく、秘密はこの関係性の間に揺らいでいる一要素でしかないから。
寄り添い生きる家族の、思いやりや利己性、信頼と不信、強いのかもろいのか分からない絆、そういう繊細な関係性が静かに熱い物語。
映像はしっとりして名シーンが多く、細野晴臣の音楽も主張しすぎずいい感じだし、役者達の抑制された自然な演技はぐっとくるしで、すべてが高水準で面白かった。
特に安藤サクラはすごいな。
朝ドラで「萬平さ~ん」とかいってニコニコしている安藤サクラに「これじゃない感」のフラストレーションが溜まっていたけど、一気に解消したわ。
製作国:日本
at ギンレイホール
父:治(リリー・フランキー)
母:信代(安藤サクラ)
祖母:初枝(樹木希林)
息子:祥太(城桧吏)
母の妹:亜紀(松岡茉優)
拾ってきた子:ゆり(佐々木みゆ)
「次々と明かされていく、家族の秘密」って宣伝的には謳い文句にしたいんだろうけど、是枝作品なのでそういう驚き的なものにドラマチックな展開を付与して明かすような脚本じゃない。
家族の関係は何気ない一言やシーンでしれっと判明する。
ドラマは主幹である家族の関係性にこそあればよく、秘密はこの関係性の間に揺らいでいる一要素でしかないから。
寄り添い生きる家族の、思いやりや利己性、信頼と不信、強いのかもろいのか分からない絆、そういう繊細な関係性が静かに熱い物語。
映像はしっとりして名シーンが多く、細野晴臣の音楽も主張しすぎずいい感じだし、役者達の抑制された自然な演技はぐっとくるしで、すべてが高水準で面白かった。
特に安藤サクラはすごいな。
朝ドラで「萬平さ~ん」とかいってニコニコしている安藤サクラに「これじゃない感」のフラストレーションが溜まっていたけど、一気に解消したわ。
映画『カメラを止めるな!』
2018年 監督:上田慎一郎
製作国:日本
at ギンレイホール
広い建物内で声が響きまくって聞きづらいし、無駄すぎる変な無言の間があるし、急にカメラ目線だし、途中からゾンビをぐわんぐわんズームしてださいし、斧を偶然拾うの棒読みだし、斧持って叫んでいるシーンが異様に長いし等々書ききれないくらいへんてこなシーンが多く、ワンカットの凄さ以外には何も面白いところがなかった。
苦痛すら感じるくらいで、途中一人劇場から退席したのも納得できる。
なんかあっという間に終わってなんじゃこりゃと思っていると続きが。。。
マニアックなとんでもB級映画としてヒットしたのかと勘違いしてしまった。
なかなか面白かった。
それにしても個性的でクセの強い俳優が多いなぁ。コメディに映える。
製作国:日本
at ギンレイホール
広い建物内で声が響きまくって聞きづらいし、無駄すぎる変な無言の間があるし、急にカメラ目線だし、途中からゾンビをぐわんぐわんズームしてださいし、斧を偶然拾うの棒読みだし、斧持って叫んでいるシーンが異様に長いし等々書ききれないくらいへんてこなシーンが多く、ワンカットの凄さ以外には何も面白いところがなかった。
苦痛すら感じるくらいで、途中一人劇場から退席したのも納得できる。
なんかあっという間に終わってなんじゃこりゃと思っていると続きが。。。
マニアックなとんでもB級映画としてヒットしたのかと勘違いしてしまった。
なかなか面白かった。
それにしても個性的でクセの強い俳優が多いなぁ。コメディに映える。
2019年4月14日日曜日
映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』
2018年 監督:R・バールキ
製作国:インド
at ギンレイホール
「も~どこまでいっちゃうの~って」
ギンレイで並んで待っているときに見終わって出てきた女性二人組がこんなこと言って通り過ぎていった。
鑑賞して、本当どこまでいっちゃうの~だった。
昔ながらの慣習が残るインドの村で、嫁が好きすぎる筋肉おじさんラクシュミ(アクシャイ・クマール)は妻のために生理用ナプキンを買い求める。
これがくそ高い。
こんなの自分で作れんじゃねと思って綿を使って自作してプレゼントするが、やっぱり吸収率はよくなく、汚してしまったと妻に責められてしまう。
インドでは生理はダブーで、期間中はなんか離れたところで生活し、女性は使い古した汚い布で凌ぐという状態。
そんなんだから男性が生理について語ったり携わったりするなんてもってのほか。
しかしこの汚い布が原因で病気になる女性が後を絶たず、妻大好きラクシュミは妻のために生理用ナプキンの試作に没頭していく。
ミュージカルシーンはほとんど無いものの、冒頭の音楽から最高だ。
そして脚本(実話に基づき脚色を加えているとのこと)が抜群に面白い。
笑い、怒り、悲しみ、喜び、いろんな感情に溢れた上、古い慣習(ガヤトリ)と新しい女性(パリー)との対比に恋愛要素まで盛り込んできやがる。
ラストのスピーチは前半長くていらなくないかと思ったけど、後半の加速は前半あってのもので、なかなか圧巻の感動スピーチになっている。
安価なナプキン作っただけの男の話かと思いきや、本当どこまでいっちゃうの~、だ。
後にちゃんと購入していると思うけど、長い試作期間中に材料のセルロース・ファイバーはサンプルだけじゃ絶対足りないよな。
製作国:インド
at ギンレイホール
「も~どこまでいっちゃうの~って」
ギンレイで並んで待っているときに見終わって出てきた女性二人組がこんなこと言って通り過ぎていった。
鑑賞して、本当どこまでいっちゃうの~だった。
昔ながらの慣習が残るインドの村で、嫁が好きすぎる筋肉おじさんラクシュミ(アクシャイ・クマール)は妻のために生理用ナプキンを買い求める。
これがくそ高い。
こんなの自分で作れんじゃねと思って綿を使って自作してプレゼントするが、やっぱり吸収率はよくなく、汚してしまったと妻に責められてしまう。
インドでは生理はダブーで、期間中はなんか離れたところで生活し、女性は使い古した汚い布で凌ぐという状態。
そんなんだから男性が生理について語ったり携わったりするなんてもってのほか。
しかしこの汚い布が原因で病気になる女性が後を絶たず、妻大好きラクシュミは妻のために生理用ナプキンの試作に没頭していく。
ミュージカルシーンはほとんど無いものの、冒頭の音楽から最高だ。
そして脚本(実話に基づき脚色を加えているとのこと)が抜群に面白い。
笑い、怒り、悲しみ、喜び、いろんな感情に溢れた上、古い慣習(ガヤトリ)と新しい女性(パリー)との対比に恋愛要素まで盛り込んできやがる。
ラストのスピーチは前半長くていらなくないかと思ったけど、後半の加速は前半あってのもので、なかなか圧巻の感動スピーチになっている。
安価なナプキン作っただけの男の話かと思いきや、本当どこまでいっちゃうの~、だ。
後にちゃんと購入していると思うけど、長い試作期間中に材料のセルロース・ファイバーはサンプルだけじゃ絶対足りないよな。
映画『ブレス しあわせの呼吸』
2017年 監督:アンディ・サーキス
製作国:イギリス
at ギンレイホール
ロマン・デュリスに雰囲気が似ていると思う『ソーシャル・ネットワーク』や『ハクソー・リッジ』のアンドリュー・ガーフィールドと、なかなかの美人だけど出演作も多くなくて初めて見たクレア・フォイっていうって女優が主演。
ロビン(アンドリュー・ガーフィールド)とダイアナ(クレア・フォイ)夫妻は第一子も身籠って幸せの真っ只中にいたが、ロビンがポリオに感染して全身麻痺になってしまう。
生きることを諦めつつあったロビンだが、妻の献身的な支えによって生きられるだけ(それも楽しく)生きてやろうと決意する。
ドイツの施設は驚きだね。
絶対発狂するわ。
二人の出会いから描かれていて、結婚して発病するまで実際にはいくらか年月を経ていると思うけど、感覚的にはついこないだ知り合ったばかりなのによくそこまで献身的にできるなぁと思ってしまう。
発病までをだらだら描いてもかったるいものの、せめて夫婦になった後から始めるなりにしてほしかったな。
実際には妻は子育てや家事をしながら常に夫の状態を気にかけ、夫の介護(着替えやら下の世話やらetc)にも当然恐ろしいほどの労力を要しているはずで、その辺の苦労は意外とスルーされているのは幸せの美談には邪魔だったからかな。
製作国:イギリス
at ギンレイホール
ロマン・デュリスに雰囲気が似ていると思う『ソーシャル・ネットワーク』や『ハクソー・リッジ』のアンドリュー・ガーフィールドと、なかなかの美人だけど出演作も多くなくて初めて見たクレア・フォイっていうって女優が主演。
ロビン(アンドリュー・ガーフィールド)とダイアナ(クレア・フォイ)夫妻は第一子も身籠って幸せの真っ只中にいたが、ロビンがポリオに感染して全身麻痺になってしまう。
生きることを諦めつつあったロビンだが、妻の献身的な支えによって生きられるだけ(それも楽しく)生きてやろうと決意する。
ドイツの施設は驚きだね。
絶対発狂するわ。
二人の出会いから描かれていて、結婚して発病するまで実際にはいくらか年月を経ていると思うけど、感覚的にはついこないだ知り合ったばかりなのによくそこまで献身的にできるなぁと思ってしまう。
発病までをだらだら描いてもかったるいものの、せめて夫婦になった後から始めるなりにしてほしかったな。
実際には妻は子育てや家事をしながら常に夫の状態を気にかけ、夫の介護(着替えやら下の世話やらetc)にも当然恐ろしいほどの労力を要しているはずで、その辺の苦労は意外とスルーされているのは幸せの美談には邪魔だったからかな。
2019年3月31日日曜日
映画『おかえり、ブルゴーニュへ』
2017年 監督:セドリック・クラピッシュ
製作国:フランス
at ギンレイホール
ブルゴーニュでワイン造りを営む一家の三兄弟の物語。
長男ジャン(ピオ・マルマイ)が10年ぶりに戻ってくるところから始まる。
戻った理由は父親が危篤だから。
時期はちょうど収穫期。家業を支えてきた長女ジュリエット(アナ・ジラルド)と、別の大規模ドメーヌの婿養子になっている次男ジェレミー(フランソワ・シヴィル)、そしてジャンとあと昔からいるらしい従業員のおっさんの4人は収穫に向けての準備を始める。
で、ほどなく父親が亡くなって、多額の相続税支払いという問題に直面する。
家を売るとか畑を売るとか、とにかく危機。
そして3人は3人共どれぞれ悩みや問題を抱えていた。
久しぶりに揃った3兄弟がワイン造りを通してぶつかり、前に進んでいく物語。
なかなか面白かった。
ストーリー自体はそんなに凝ったものではない。
父親との対立で家を飛び出した長男が(中学生か!)父親の本当の思いを後半で知るところとか、言いなりだった義父に思いをぶちまける成長した次男とか、ベタといえばベタ。
でもお前なんかクビじゃ!といいたくなるバカなバイトとなぜかいい仲になる等の予想外の展開も見せてくれる(このバイトあんちゃんとのラストのやりとりはほっこり)。
ああ、凝ってないと言ったけど、10年ぶりの兄とのやりとりや、3兄弟の優しや絆、それぞれの葛藤は意外と丁寧に描かれていて、そういうところは凝っているかな。
過去と現在等、時間の概念が色濃いのも面白い。
冒頭でぶどう畑の1年の四季の移ろいが早回しで映し出され、時間が超圧縮される(CGじゃなさそうだし本当に1年以上費やして撮影しているんだろうな)。
しかし長男ジャンと兄弟の間には10年という空白期間が常に横たわっていて、10年という期間は非常に重い。
久しぶりに実家のワイン造りに参加するジャンが収穫日を決める際にジュリエットの意見に反対するのは、長男として、そしてオーストラリアでワイナリーを営む者としてのプライドがありそうだが、俺が俺がで我を通さずに決定はジュリエットに委ねるところなど、兄弟への思いやりとともに10年も音信不通だった引け目が感じられる。
幼い3兄弟がブランコにかけよるシーンはなんとなく見ていたけど、これが最後のほうで繰り返されたときには泣きそうになった。
長男ジャンと兄弟の間には10年という空白期間が常に横たわっていたのだけど、その壁が完全に取り払われた瞬間。
映像的な時間で言えば、窓から外をのぞく幼少のジャンが大人のジャンに変わる、というよくあるシーンだけならともかく、この二人をしれっと共存させたりもする。
あと、道を歩くジャンがあたかも歩きながらその光景を見ているようだが、それは何日か前のかつ場所も違う光景だったりとか。
こういう跳躍好きだな。
収穫でやってくる大量のバイト見ていたら高橋三千綱の『葡萄畑』っていう小説を思い出した。
製作国:フランス
at ギンレイホール
ブルゴーニュでワイン造りを営む一家の三兄弟の物語。
長男ジャン(ピオ・マルマイ)が10年ぶりに戻ってくるところから始まる。
戻った理由は父親が危篤だから。
時期はちょうど収穫期。家業を支えてきた長女ジュリエット(アナ・ジラルド)と、別の大規模ドメーヌの婿養子になっている次男ジェレミー(フランソワ・シヴィル)、そしてジャンとあと昔からいるらしい従業員のおっさんの4人は収穫に向けての準備を始める。
で、ほどなく父親が亡くなって、多額の相続税支払いという問題に直面する。
家を売るとか畑を売るとか、とにかく危機。
そして3人は3人共どれぞれ悩みや問題を抱えていた。
久しぶりに揃った3兄弟がワイン造りを通してぶつかり、前に進んでいく物語。
なかなか面白かった。
ストーリー自体はそんなに凝ったものではない。
父親との対立で家を飛び出した長男が(中学生か!)父親の本当の思いを後半で知るところとか、言いなりだった義父に思いをぶちまける成長した次男とか、ベタといえばベタ。
でもお前なんかクビじゃ!といいたくなるバカなバイトとなぜかいい仲になる等の予想外の展開も見せてくれる(このバイトあんちゃんとのラストのやりとりはほっこり)。
ああ、凝ってないと言ったけど、10年ぶりの兄とのやりとりや、3兄弟の優しや絆、それぞれの葛藤は意外と丁寧に描かれていて、そういうところは凝っているかな。
過去と現在等、時間の概念が色濃いのも面白い。
冒頭でぶどう畑の1年の四季の移ろいが早回しで映し出され、時間が超圧縮される(CGじゃなさそうだし本当に1年以上費やして撮影しているんだろうな)。
しかし長男ジャンと兄弟の間には10年という空白期間が常に横たわっていて、10年という期間は非常に重い。
久しぶりに実家のワイン造りに参加するジャンが収穫日を決める際にジュリエットの意見に反対するのは、長男として、そしてオーストラリアでワイナリーを営む者としてのプライドがありそうだが、俺が俺がで我を通さずに決定はジュリエットに委ねるところなど、兄弟への思いやりとともに10年も音信不通だった引け目が感じられる。
幼い3兄弟がブランコにかけよるシーンはなんとなく見ていたけど、これが最後のほうで繰り返されたときには泣きそうになった。
長男ジャンと兄弟の間には10年という空白期間が常に横たわっていたのだけど、その壁が完全に取り払われた瞬間。
映像的な時間で言えば、窓から外をのぞく幼少のジャンが大人のジャンに変わる、というよくあるシーンだけならともかく、この二人をしれっと共存させたりもする。
あと、道を歩くジャンがあたかも歩きながらその光景を見ているようだが、それは何日か前のかつ場所も違う光景だったりとか。
こういう跳躍好きだな。
収穫でやってくる大量のバイト見ていたら高橋三千綱の『葡萄畑』っていう小説を思い出した。
映画『マダムのおかしな晩餐会』
2016年 監督:アマンダ・ステール
製作国:フランス
at ギンレイホール
メイドのマリア(ロッシ・デ・パルマ)がセレブの晩餐会に身分を隠して出席することになったが、セレブにはいなさそうなお茶目さに惹かれたのか、英国紳士に一目惚れされる。
晩餐会主催者のボブ(ハーヴェイ・カイテル)とアン(トニ・コレット)の夫妻を中心にした上流階級の裏幕やらゴシップやらを絡めながらマリアの恋の行方を見守る恋愛コメディ。
と思いきやどちらかというとただのコメディドラマかな。
メイドが若く可愛らしくあったらラストの印象も変わりそうだが、あのラストとこの映画の雰囲気(あからさまでないけどなんとなく上流階級が下品)なら子持ちのおばさんのほうが痛みがあるのかな。
そんなに面白くなかったのだけど、ずっと何かに似ていると気になっていたロッシ・デ・パルマが、そうだONE PIECEのビッグマムに似ているんだと気づいてからは多少面白くなった。
製作国:フランス
at ギンレイホール
メイドのマリア(ロッシ・デ・パルマ)がセレブの晩餐会に身分を隠して出席することになったが、セレブにはいなさそうなお茶目さに惹かれたのか、英国紳士に一目惚れされる。
晩餐会主催者のボブ(ハーヴェイ・カイテル)とアン(トニ・コレット)の夫妻を中心にした上流階級の裏幕やらゴシップやらを絡めながらマリアの恋の行方を見守る恋愛コメディ。
と思いきやどちらかというとただのコメディドラマかな。
メイドが若く可愛らしくあったらラストの印象も変わりそうだが、あのラストとこの映画の雰囲気(あからさまでないけどなんとなく上流階級が下品)なら子持ちのおばさんのほうが痛みがあるのかな。
そんなに面白くなかったのだけど、ずっと何かに似ていると気になっていたロッシ・デ・パルマが、そうだONE PIECEのビッグマムに似ているんだと気づいてからは多少面白くなった。
2019年3月17日日曜日
映画『寝ても覚めても』
2018年 監督:濱口竜介
製作国:日本
at ギンレイホール
東出君主演のかったるそうな恋愛映画より瀬々監督の映画見せてくれよと思ったけど、そこそこ面白かった。
運命のように他人同士見つめ合ったのをきっかけに恋人になった鳥居麦(東出昌大)と泉谷朝子(唐田えりか)。
若く初々しいカップル、と思いきや朝子はなんかぼーっとした子だし麦なんかふわふわした喋り方だしちょっとでかけて1週間帰ってこないなんてざらだという変人。
バイクの二人乗りで車に突っ込んだかなんかで路上に投げ出された二人が、目が覚めてお互い見つめ合った後大笑いしてそのまま路上で抱き合ってキスをしだす。(奇跡的に無傷だったらしい)
車の人とか野次馬が二,三人その異様な光景を呆然と立ち尽くして見るっていうのを上空からの視点で捉えた映像を見たときに、これはくそ映画だったか、とうんざりする。
伊藤沙莉だけが救いだと癒やされながらもなんとか見ていると、朝子の不思議ちゃんぶりが次第に面白くなってくる。
最初の鳥居麦役も東出昌大だったんだな。
丸子亮平(東出昌大)を見て朝子が「バク。。」と驚いたのを見て、いや、全然似ても似つかないだろうと思ってしまった。
東出君=眉毛だから眉毛が見えないと誰かわからない。
原作だときっと心理描写がふんだんでもう少し心の動きがわかりやすいんだろうなと思った。
エンドロール見るまで気づかなかったが、仲本工事も気のいいおっさん役で出ている。
こちらも近年のNHK朝ドラメンバーが大量に出ている。
『ごちそうさん』:東出昌大
『あまちゃん』:山下リオ(GMT徳島)、東出昌大(若き日の大吉役で出ていたらしい)
『あさが来た』『まんぷく』:瀬戸康史
『ひよっこ』:伊藤沙莉
『まれ』:渡辺大知
製作国:日本
at ギンレイホール
東出君主演のかったるそうな恋愛映画より瀬々監督の映画見せてくれよと思ったけど、そこそこ面白かった。
運命のように他人同士見つめ合ったのをきっかけに恋人になった鳥居麦(東出昌大)と泉谷朝子(唐田えりか)。
若く初々しいカップル、と思いきや朝子はなんかぼーっとした子だし麦なんかふわふわした喋り方だしちょっとでかけて1週間帰ってこないなんてざらだという変人。
バイクの二人乗りで車に突っ込んだかなんかで路上に投げ出された二人が、目が覚めてお互い見つめ合った後大笑いしてそのまま路上で抱き合ってキスをしだす。(奇跡的に無傷だったらしい)
車の人とか野次馬が二,三人その異様な光景を呆然と立ち尽くして見るっていうのを上空からの視点で捉えた映像を見たときに、これはくそ映画だったか、とうんざりする。
伊藤沙莉だけが救いだと癒やされながらもなんとか見ていると、朝子の不思議ちゃんぶりが次第に面白くなってくる。
最初の鳥居麦役も東出昌大だったんだな。
丸子亮平(東出昌大)を見て朝子が「バク。。」と驚いたのを見て、いや、全然似ても似つかないだろうと思ってしまった。
東出君=眉毛だから眉毛が見えないと誰かわからない。
原作だときっと心理描写がふんだんでもう少し心の動きがわかりやすいんだろうなと思った。
エンドロール見るまで気づかなかったが、仲本工事も気のいいおっさん役で出ている。
こちらも近年のNHK朝ドラメンバーが大量に出ている。
『ごちそうさん』:東出昌大
『あまちゃん』:山下リオ(GMT徳島)、東出昌大(若き日の大吉役で出ていたらしい)
『あさが来た』『まんぷく』:瀬戸康史
『ひよっこ』:伊藤沙莉
『まれ』:渡辺大知
映画『孤狼の血』
2017年 監督:白石和彌
製作国:日本
at ギンレイホール
東映やくざ映画。
舞台は昭和63年の広島。
マル暴のベテラン刑事大上章吾(役所広司)にヒロダイ出身の新人エリート日岡秀一(松坂桃李)が付くことになる。
大上のもとで仕事のノウハウを覚える日岡だが、大上はとんでもない違法刑事だった。
失踪した兄を探してほしいとやってきたナイスバディの女性と署内でやってしまう(一応女性も合意の上)ような男だ。
しかもそのシーンを見せずに取調室から出てきた大上がベルトをかちゃかちゃ締めるっていう事後だけ。
とんでもない。
まあ、日岡はこの行為については気づいていないけど、それ以外にもいろいろあって正義感に篤い日岡はその違法性に憤りを覚える。
というかエリート刑事がこんなところに配属しているのがおかしいらしく、実際日岡はやくざとの癒着等黒い噂の絶えない大上を監査するべく派遣された男だった。
地元では尾谷組と巨大組織五十子会を後ろ盾にした加古村組との間で火種がくすぶっていた。
大上は失踪した男について加古村組の男にそれとなく探りを入れると、失踪にはやくざが関与していることに気づく。
そこからもういろんな人の想いや思惑が入り乱れて熱い展開をしていく。
違法とはいえ、というか違法行為を最大限に使った大上の刑事の能力は高く、恐るべきスピードで真相に迫っていく、っていうのも見どころ。
暴力が街中に普通にはびこる時代(昭和63年ってそんなだったか?)の、なんでもあり(本当はちゃんと駄目)な世界は恐ろしくて関わるのはごめん蒙りたいのだけど、傍から見る分には熱い。
面白かった。
原作者の柚月裕子はまだ読んだことないけど、これを女性が書いたのかっていうのが驚きだな。
出演者に最近のNHK朝ドラの出演者が多数出ている。
『わろてんか 』:松坂桃李
『半分、青い。』:滝藤賢一、中村倫也
『とと姉ちゃん 』:阿部純子(綾さん)、ピエール瀧
エンドロール見ているとこんな人も出ていたんだと思う。
最近どんどん視力悪くなっているのもあって注視しないと誰が誰だかわからない。
竹野内豊:加古村組の若頭野崎役。気づかなかった。。
範田紗々:まじか。どこに出ていたかわからんが、おそらく風俗嬢の子かなぁ。
MEGUMI:失踪兄を探してほしいとやってきた女。MEGUMIだからそういうシーンなかったのか。この役を範田紗々がやるべきじゃないのか!
今日ギンレイホールめっちゃ混んでいた。
ピエール瀧が出てきたとき、だから混んでいるのかと納得したが、後で考え直すとこの『孤狼の血』と瀬々敬久の『菊とギロチン』が1週のみの上映だったから、先週ギンレイに来た人が今週も来て混んでいたっぽいな。
どっちかを見るなら瀬々監督の方だけど、1週上映というのを今日まで気づかなかったから見逃した。
でも『孤狼の血』も面白かったのでまあよしとしよう。
製作国:日本
at ギンレイホール
東映やくざ映画。
舞台は昭和63年の広島。
マル暴のベテラン刑事大上章吾(役所広司)にヒロダイ出身の新人エリート日岡秀一(松坂桃李)が付くことになる。
大上のもとで仕事のノウハウを覚える日岡だが、大上はとんでもない違法刑事だった。
失踪した兄を探してほしいとやってきたナイスバディの女性と署内でやってしまう(一応女性も合意の上)ような男だ。
しかもそのシーンを見せずに取調室から出てきた大上がベルトをかちゃかちゃ締めるっていう事後だけ。
とんでもない。
まあ、日岡はこの行為については気づいていないけど、それ以外にもいろいろあって正義感に篤い日岡はその違法性に憤りを覚える。
というかエリート刑事がこんなところに配属しているのがおかしいらしく、実際日岡はやくざとの癒着等黒い噂の絶えない大上を監査するべく派遣された男だった。
地元では尾谷組と巨大組織五十子会を後ろ盾にした加古村組との間で火種がくすぶっていた。
大上は失踪した男について加古村組の男にそれとなく探りを入れると、失踪にはやくざが関与していることに気づく。
そこからもういろんな人の想いや思惑が入り乱れて熱い展開をしていく。
違法とはいえ、というか違法行為を最大限に使った大上の刑事の能力は高く、恐るべきスピードで真相に迫っていく、っていうのも見どころ。
暴力が街中に普通にはびこる時代(昭和63年ってそんなだったか?)の、なんでもあり(本当はちゃんと駄目)な世界は恐ろしくて関わるのはごめん蒙りたいのだけど、傍から見る分には熱い。
面白かった。
原作者の柚月裕子はまだ読んだことないけど、これを女性が書いたのかっていうのが驚きだな。
出演者に最近のNHK朝ドラの出演者が多数出ている。
『わろてんか 』:松坂桃李
『半分、青い。』:滝藤賢一、中村倫也
『とと姉ちゃん 』:阿部純子(綾さん)、ピエール瀧
エンドロール見ているとこんな人も出ていたんだと思う。
最近どんどん視力悪くなっているのもあって注視しないと誰が誰だかわからない。
竹野内豊:加古村組の若頭野崎役。気づかなかった。。
範田紗々:まじか。どこに出ていたかわからんが、おそらく風俗嬢の子かなぁ。
MEGUMI:失踪兄を探してほしいとやってきた女。MEGUMIだからそういうシーンなかったのか。この役を範田紗々がやるべきじゃないのか!
今日ギンレイホールめっちゃ混んでいた。
ピエール瀧が出てきたとき、だから混んでいるのかと納得したが、後で考え直すとこの『孤狼の血』と瀬々敬久の『菊とギロチン』が1週のみの上映だったから、先週ギンレイに来た人が今週も来て混んでいたっぽいな。
どっちかを見るなら瀬々監督の方だけど、1週上映というのを今日まで気づかなかったから見逃した。
でも『孤狼の血』も面白かったのでまあよしとしよう。
2019年2月24日日曜日
映画『1987、ある闘いの真実』
2017年 監督:チャン・ジュナン
製作国:韓国
at ギンレイホール
1987年の韓国。一人のソウル大学生が警察に連行されたあと取り調べ(拷問)中に命を落とす事件が発生する。
警察はこれを隠匿しようとするが、正義感にあふれる暴力検事のチェによって拒否されたりなんやかんやあって公になってしまう。
軍事政権下において国に戦いを挑む国民達の姿が描かれる。
なかなか珍しいと思うけど、主役がシームレスに移行する。
検事だったり新聞記者だったり看守だったりデモの学生だったり。
でも全編通じて出ているから主役は悪役のパク所長(キム・ユンソク)になるのかな。
悪役でありながら情に厚いというか頼りになるというか不思議なキャラクター。
なんかこの端役の子異常にかわいいなと思った女子大生ヨニ(キム・テリ)が中心人物になったのは嬉しい。
検事やら記者やらが中心になる中で、デモすら全く関係なく興味もない普通の女子学生を最後に中心に持ってくるところがうまい脚本だな。
そしてなにより演じたキム・テリがキュートすぎる。
もうキム・テリに全部持っていかれた。
ああ、あと亡くなった学生の母親が強烈だった。
息子はどこにいるんだい、みたいにやってきた母親が嗚咽をもらす家族にびっくりして恐る恐る首を左に回すとそこに息子の遺体が!
うわあーー!
っていう演技が最高すぎて笑いそうになってしまった。
ソル・ギョングも出ているんだけどアクションやっちゃったりしてすごい人だ。
製作国:韓国
at ギンレイホール
1987年の韓国。一人のソウル大学生が警察に連行されたあと取り調べ(拷問)中に命を落とす事件が発生する。
警察はこれを隠匿しようとするが、正義感にあふれる暴力検事のチェによって拒否されたりなんやかんやあって公になってしまう。
軍事政権下において国に戦いを挑む国民達の姿が描かれる。
なかなか珍しいと思うけど、主役がシームレスに移行する。
検事だったり新聞記者だったり看守だったりデモの学生だったり。
でも全編通じて出ているから主役は悪役のパク所長(キム・ユンソク)になるのかな。
悪役でありながら情に厚いというか頼りになるというか不思議なキャラクター。
なんかこの端役の子異常にかわいいなと思った女子大生ヨニ(キム・テリ)が中心人物になったのは嬉しい。
検事やら記者やらが中心になる中で、デモすら全く関係なく興味もない普通の女子学生を最後に中心に持ってくるところがうまい脚本だな。
そしてなにより演じたキム・テリがキュートすぎる。
もうキム・テリに全部持っていかれた。
ああ、あと亡くなった学生の母親が強烈だった。
息子はどこにいるんだい、みたいにやってきた母親が嗚咽をもらす家族にびっくりして恐る恐る首を左に回すとそこに息子の遺体が!
うわあーー!
っていう演技が最高すぎて笑いそうになってしまった。
ソル・ギョングも出ているんだけどアクションやっちゃったりしてすごい人だ。
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
2017年 監督:ナタウット・プーンピリヤ
製作国:タイ
at ギンレイホール
貧しいながら頭のいい女子高生リン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)は学費の高い進学校に奨学生として転入する。
仲良くなった頭の悪い友達を救うためにカンニングの手助けをしたことをきっかけにして、学内での一大ビジネスを展開する。
なんせこの学校は金持ちぼっちゃん嬢ちゃんで頭の悪い子だらけだったので顧客には全く困らない。
スタイリッシュなカットで犯罪をスリリングに子気味よく描いていく。
で、スリルな緊張感を軸にして、友情やらそこはかとない恋愛要素とか家族愛とか貧富の差とか賄賂とか、って要素で巧みに味付けしていく。
面白かった。
その後の友情がどうなったか気になるところ。
カンニングとか主役の顔立ちとかで最初中国映画かと思っていたけどタイ映画。
主役の子はモデル出身らしい。
製作国:タイ
at ギンレイホール
貧しいながら頭のいい女子高生リン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)は学費の高い進学校に奨学生として転入する。
仲良くなった頭の悪い友達を救うためにカンニングの手助けをしたことをきっかけにして、学内での一大ビジネスを展開する。
なんせこの学校は金持ちぼっちゃん嬢ちゃんで頭の悪い子だらけだったので顧客には全く困らない。
スタイリッシュなカットで犯罪をスリリングに子気味よく描いていく。
で、スリルな緊張感を軸にして、友情やらそこはかとない恋愛要素とか家族愛とか貧富の差とか賄賂とか、って要素で巧みに味付けしていく。
面白かった。
その後の友情がどうなったか気になるところ。
カンニングとか主役の顔立ちとかで最初中国映画かと思っていたけどタイ映画。
主役の子はモデル出身らしい。
2019年2月17日日曜日
映画『500ページの夢の束』
2017年 監督:ベン・リューイン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ウェンディ(ダコタ・ファニング)は自閉症で、現在は姉(アリス・イヴ)と離れて施設で過ごしている。
ある日大好きなスタートレックで脚本コンテストが開かれていることを知り、ウェンディは書き上げた大作を応募しようとする。
しかしいろいろあってもう郵送しても期限に間に合わない状況になったため、自らロサンゼルスまで持っていく決意をする。
ウェンディとダコタ・ファニングを同時に愛でるロードムービー。
スタートレックの知識はほぼ無いけど楽しめる。
昔のホームビデオで幼いウェンディが突然癇癪を起こして叫びだす映像とか泣きそうだ。
現在のウェンディは大分自分を抑制しているが、姉とのシーンで想いが溢れ出すところなどつらい。
逃げるように去る姉は薄情かと思いきや、姉は誰よりも妹のウェンディを大事に思っていて、つらすぎて逃げ出してしまったのね。
ああ、背景としては、母親は他界し(父親は不明)、姉はウェンディの面倒を見ていたが、結婚して赤ん坊が生まれたので姉は泣く泣く妹を施設に入れたらしい。
赤ん坊に危険が及ぶことを危惧したのだろうが、そういう背景があると、ウェンディが高速で操る編み物のあの棒が恐ろしくなってくる。
泣き笑いのハートフルドラマでありながら、いろんなところではらはらする程よい緊張感もあり、民度の低い男どもに怒りも湧くし(なんとか語を駆使する警官以外ろくな男がいない!)で感情のオンパレードな充実した映画になっている。
隠れていたのにスタートレックマニアの警官の策略?に騙されて顔を出してしまうウェンディのキュートさにはまいる。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ウェンディ(ダコタ・ファニング)は自閉症で、現在は姉(アリス・イヴ)と離れて施設で過ごしている。
ある日大好きなスタートレックで脚本コンテストが開かれていることを知り、ウェンディは書き上げた大作を応募しようとする。
しかしいろいろあってもう郵送しても期限に間に合わない状況になったため、自らロサンゼルスまで持っていく決意をする。
ウェンディとダコタ・ファニングを同時に愛でるロードムービー。
スタートレックの知識はほぼ無いけど楽しめる。
昔のホームビデオで幼いウェンディが突然癇癪を起こして叫びだす映像とか泣きそうだ。
現在のウェンディは大分自分を抑制しているが、姉とのシーンで想いが溢れ出すところなどつらい。
逃げるように去る姉は薄情かと思いきや、姉は誰よりも妹のウェンディを大事に思っていて、つらすぎて逃げ出してしまったのね。
ああ、背景としては、母親は他界し(父親は不明)、姉はウェンディの面倒を見ていたが、結婚して赤ん坊が生まれたので姉は泣く泣く妹を施設に入れたらしい。
赤ん坊に危険が及ぶことを危惧したのだろうが、そういう背景があると、ウェンディが高速で操る編み物のあの棒が恐ろしくなってくる。
泣き笑いのハートフルドラマでありながら、いろんなところではらはらする程よい緊張感もあり、民度の低い男どもに怒りも湧くし(なんとか語を駆使する警官以外ろくな男がいない!)で感情のオンパレードな充実した映画になっている。
隠れていたのにスタートレックマニアの警官の策略?に騙されて顔を出してしまうウェンディのキュートさにはまいる。
映画『ライ麦畑で出会ったら』
2015年 監督:ジェームズ・サドウィズ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に感銘を受けた高校生の青年が、この作品を舞台化して皆に伝えたいと思い、脚本を書き上げる。(セリフはほぼ原作どおりらしいが)
1969年のこと。
舞台化にあたり、サリンジャーの許可を得るために、住まいも不明なサリンジャーを探す旅に出る。
主人公ジェイミー(アレックス・ウルフ)は真面目キャラでなんかいじめられているのね。
といっても弱々しくて暗い感じじゃなくて、結構活発ですらある。
周りの奴らをクズだと思っているが、寂しさも感じている。
しかし、ある日度の過ぎたいたずらを受けたのを機に寮を飛び出す。
サリンジャーを探しに。
旅のお供は演劇交流で知り合った他校のブロンドの可愛い子、でなく、どちらかというと地味な女の子ディーディー(ステファニア・オーウェン)。
そばかす顔のこのディーディーがめっちゃいい子で泣けてくる。
ドローンの映像とか、鹿の剥製のアップとそれを見つめて首を傾げるジェイミーとか、なんとなくつまらなそうと思ったけど、ロードムービーだしまあ楽しめた。
ディーディーかわいいし。
サリンジャー役にクリス・クーパー。
allcinemaで「ライ麦」で検索したら2001年公開の『ライ麦畑をさがして』という映画も引っかかった。
概要見るとかなり似ているのでこの2015年版はリメイクなのかと思ったけど、2001年のやつもアメリカ映画だし、『ライ麦畑で出会ったら』の公式ページにも何も書いていないし、そもそも監督ジェームズ・サドウィズのほぼ実体験だというしで、なんら関係ないっぽい。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に感銘を受けた高校生の青年が、この作品を舞台化して皆に伝えたいと思い、脚本を書き上げる。(セリフはほぼ原作どおりらしいが)
1969年のこと。
舞台化にあたり、サリンジャーの許可を得るために、住まいも不明なサリンジャーを探す旅に出る。
主人公ジェイミー(アレックス・ウルフ)は真面目キャラでなんかいじめられているのね。
といっても弱々しくて暗い感じじゃなくて、結構活発ですらある。
周りの奴らをクズだと思っているが、寂しさも感じている。
しかし、ある日度の過ぎたいたずらを受けたのを機に寮を飛び出す。
サリンジャーを探しに。
旅のお供は演劇交流で知り合った他校のブロンドの可愛い子、でなく、どちらかというと地味な女の子ディーディー(ステファニア・オーウェン)。
そばかす顔のこのディーディーがめっちゃいい子で泣けてくる。
ドローンの映像とか、鹿の剥製のアップとそれを見つめて首を傾げるジェイミーとか、なんとなくつまらなそうと思ったけど、ロードムービーだしまあ楽しめた。
ディーディーかわいいし。
サリンジャー役にクリス・クーパー。
allcinemaで「ライ麦」で検索したら2001年公開の『ライ麦畑をさがして』という映画も引っかかった。
概要見るとかなり似ているのでこの2015年版はリメイクなのかと思ったけど、2001年のやつもアメリカ映画だし、『ライ麦畑で出会ったら』の公式ページにも何も書いていないし、そもそも監督ジェームズ・サドウィズのほぼ実体験だというしで、なんら関係ないっぽい。
2019年2月3日日曜日
映画『search/サーチ』
2018年 監督:アニーシュ・チャガンティ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
チャット、テレビ電話、SNS、ニュース映像、時には監視カメラの映像等々、全編PCの画面のみで構成される。
基本は家の中だけど、主人公の外での行動が野次馬が撮影してアップした映像として映されたり等、自ら勝手にかけた制約の中でいろいろ工夫していて面白い。
ただ、やっぱり狭っ苦しいよな。
ストーリーの方は、高校生の一人娘が突然行方不明になって、父親が探す話。
警察もよく捜査してくれているのだが、父親もいてもたってもいられずに独自に調査をする。
娘のPCのパスワードを突破し、関連人物への電話攻撃をしまくって浮かび上がってくる自分の知らない娘の一面。
ひょんなことからなんか気になるって感じで次々に新たな事実を掘り出す主人公は天才かと思う。
全編PC画面とかいうよりか、普通にストーリーが面白かった。
家族愛の物語。
公式ページの疑似ウインドウが面白い。モーダルダイアログっぽくてそうじゃない。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
チャット、テレビ電話、SNS、ニュース映像、時には監視カメラの映像等々、全編PCの画面のみで構成される。
基本は家の中だけど、主人公の外での行動が野次馬が撮影してアップした映像として映されたり等、自ら勝手にかけた制約の中でいろいろ工夫していて面白い。
ただ、やっぱり狭っ苦しいよな。
ストーリーの方は、高校生の一人娘が突然行方不明になって、父親が探す話。
警察もよく捜査してくれているのだが、父親もいてもたってもいられずに独自に調査をする。
娘のPCのパスワードを突破し、関連人物への電話攻撃をしまくって浮かび上がってくる自分の知らない娘の一面。
ひょんなことからなんか気になるって感じで次々に新たな事実を掘り出す主人公は天才かと思う。
全編PC画面とかいうよりか、普通にストーリーが面白かった。
家族愛の物語。
公式ページの疑似ウインドウが面白い。モーダルダイアログっぽくてそうじゃない。
映画『ウインド・リバー』
2017年 監督:テイラー・シェリダン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバーは深い雪に閉ざされた山岳地帯。
ここで一人の女性が雪の上で凍りついた死体として発見される。
発見したのは地元の白人ハンターコリー(ジェレミー・レナー)。
FBI捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)はこのコリーの助けを借りながらなれない土地での調査を開始する。
なかなか面白かった。
題材は社会派サスペンスなんだけど、誰もが思う通り、これって現代版西部劇じゃん。
圧倒的な荒野は極寒の雪に覆われた山岳となり、どこからともなく現れるインディアンは守るべき存在となる等の違いはあれど、ガンアクションでばたばた死ぬ様や雰囲気は西部劇。
あのライフル銃のとんでもない威力よ。そんなに吹っ飛ぶ?
胸糞悪いのを吹っ飛ばすにはあれくらいやらなきゃ駄目なんだろう。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
ネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバーは深い雪に閉ざされた山岳地帯。
ここで一人の女性が雪の上で凍りついた死体として発見される。
発見したのは地元の白人ハンターコリー(ジェレミー・レナー)。
FBI捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)はこのコリーの助けを借りながらなれない土地での調査を開始する。
なかなか面白かった。
題材は社会派サスペンスなんだけど、誰もが思う通り、これって現代版西部劇じゃん。
圧倒的な荒野は極寒の雪に覆われた山岳となり、どこからともなく現れるインディアンは守るべき存在となる等の違いはあれど、ガンアクションでばたばた死ぬ様や雰囲気は西部劇。
あのライフル銃のとんでもない威力よ。そんなに吹っ飛ぶ?
胸糞悪いのを吹っ飛ばすにはあれくらいやらなきゃ駄目なんだろう。
2019年1月20日日曜日
映画『判決、ふたつの希望』
2017年 監督:ジアド・ドゥエイリ
製作国:レバノン/フランス
at ギンレイホール
レバノン作品って初めてだな。
トニーとヤーセル、二人の男のささいな諍いから始まった裁判が国中を巻き込む大騒動になる。
なんでそうなったのかというと、一方はパレスチナ難民、一方はキリスト教徒で、キリスト教徒側(原告)が放った一言が問題だったから。
どっちの言い分も分かる、みたいなややこしいことをせずに、原告側トニーや弁護人のふてぶてしさにたぶん観客は皆ヤーセルを応援する。
しかし一方だけ悪者にするわけがなく、次第にトニーの過去が明らかになったりして。。
脚本が本当よくできている。
内戦は収束して街が復興しても、心の傷は癒えない。
二人は(国民は)過去と向き合い、現在を歩むっていう成長譚にもなっている。
自動車修理してやるシーンなんてほっこりする。
あまり、というかほぼレバノンの現代史を知らないけど、すごく面白かった。
製作国:レバノン/フランス
at ギンレイホール
レバノン作品って初めてだな。
トニーとヤーセル、二人の男のささいな諍いから始まった裁判が国中を巻き込む大騒動になる。
なんでそうなったのかというと、一方はパレスチナ難民、一方はキリスト教徒で、キリスト教徒側(原告)が放った一言が問題だったから。
どっちの言い分も分かる、みたいなややこしいことをせずに、原告側トニーや弁護人のふてぶてしさにたぶん観客は皆ヤーセルを応援する。
しかし一方だけ悪者にするわけがなく、次第にトニーの過去が明らかになったりして。。
脚本が本当よくできている。
内戦は収束して街が復興しても、心の傷は癒えない。
二人は(国民は)過去と向き合い、現在を歩むっていう成長譚にもなっている。
自動車修理してやるシーンなんてほっこりする。
あまり、というかほぼレバノンの現代史を知らないけど、すごく面白かった。
映画『運命は踊る』
2017年 監督:サミュエル・マオズ
製作国:イスラエル/ドイツ/フランス/スイス
at ギンレイホール
この予告編さ、ラクダが通るのに始まり名作か自己満足系か判断付きにくいけど、最後の方のそれまでの雰囲気とあからさまに異質なマンボのリズムにのせたダンスが見事で、名作に違いないと思う。
ただ、予告編で名作と思ったやつって大体本編見るとつまらなかったりするんだよなぁ。
イスラエル。
ミハエルとダフナ夫妻のもとに軍人がやってきて、息子ヨナタンの戦死が伝えられる。
悲しみにくれる二人だが、後に誤報だったと伝えられる。
全体的な印象としては、潔癖で無機質な静謐さがグロい感じ。(グロいシーンがあるわけではない)
面白いかどうかでいうと途中何度もうとうとしたためよくわからない。
突然大きな音入れて無駄に驚かす映画って苦手なんだよなぁ。
音に結構こだわりがあるように見えて、音使いはなかなかよかっただけに残念。
あと、真上からのシーンが異様に多く、カメラもぬるぬる回転するけど、何度も見ると飽きる。
ラクダはそう関係してくるのか。。
製作国:イスラエル/ドイツ/フランス/スイス
at ギンレイホール
この予告編さ、ラクダが通るのに始まり名作か自己満足系か判断付きにくいけど、最後の方のそれまでの雰囲気とあからさまに異質なマンボのリズムにのせたダンスが見事で、名作に違いないと思う。
ただ、予告編で名作と思ったやつって大体本編見るとつまらなかったりするんだよなぁ。
イスラエル。
ミハエルとダフナ夫妻のもとに軍人がやってきて、息子ヨナタンの戦死が伝えられる。
悲しみにくれる二人だが、後に誤報だったと伝えられる。
全体的な印象としては、潔癖で無機質な静謐さがグロい感じ。(グロいシーンがあるわけではない)
面白いかどうかでいうと途中何度もうとうとしたためよくわからない。
突然大きな音入れて無駄に驚かす映画って苦手なんだよなぁ。
音に結構こだわりがあるように見えて、音使いはなかなかよかっただけに残念。
あと、真上からのシーンが異様に多く、カメラもぬるぬる回転するけど、何度も見ると飽きる。
ラクダはそう関係してくるのか。。
2019年1月6日日曜日
映画『輝ける人生』
2017年 監督:リチャード・ロンクレイン
製作国:イギリス
at ギンレイホール
35年連れ添った夫が定年退職し、その功績を讃えられてナイトの称号を得る。
それによって自分はレディとなることに喜ぶサンドラ(イメルダ・スタウントン)。
しかし華々しいパーティの途中で夫の浮気が発覚する。
家を飛び出し長らく連絡していなかった姉ビフ(セリア・イムリー)の安アパートに転がり込む。
熟年男女の恋愛もの。
40代の恋愛ものでもう~んと思うのに60とは思い切ったものだ。
しかもヒロインのサンドラがいかにもブルジョワな感じの高慢ちきな女性で、思い切り過ぎだろうと思う。
しかしサンドラも姉とすごすうちに角が取れていき、可愛らしくすらなっていく。
相手役のチャーリーを演じるのはティモシー・スポール。
最近では『否定と肯定』で憎たらしい役をやっていて、イケメンとは程遠い、はずなのになぜかかっこいい!
最初はどうかと思ったが、全体的にはイギリス映画って感じて笑いあり涙ありの人生賛歌で面白かった。
「信じれば、飛べる!」って絶対あのあとドボンしているよね。あの貧弱なジャンプ力。
製作国:イギリス
at ギンレイホール
35年連れ添った夫が定年退職し、その功績を讃えられてナイトの称号を得る。
それによって自分はレディとなることに喜ぶサンドラ(イメルダ・スタウントン)。
しかし華々しいパーティの途中で夫の浮気が発覚する。
家を飛び出し長らく連絡していなかった姉ビフ(セリア・イムリー)の安アパートに転がり込む。
熟年男女の恋愛もの。
40代の恋愛ものでもう~んと思うのに60とは思い切ったものだ。
しかもヒロインのサンドラがいかにもブルジョワな感じの高慢ちきな女性で、思い切り過ぎだろうと思う。
しかしサンドラも姉とすごすうちに角が取れていき、可愛らしくすらなっていく。
相手役のチャーリーを演じるのはティモシー・スポール。
最近では『否定と肯定』で憎たらしい役をやっていて、イケメンとは程遠い、はずなのになぜかかっこいい!
最初はどうかと思ったが、全体的にはイギリス映画って感じて笑いあり涙ありの人生賛歌で面白かった。
「信じれば、飛べる!」って絶対あのあとドボンしているよね。あの貧弱なジャンプ力。
映画『フジコ・ヘミングの時間』
2018年 監督:小松莊一良
製作国:日本
at ギンレイホール
フジコ・ヘミング初のドキュメンタリー映画。
年齢非公開だがたぶん80半ばくらいかな。
異様に若々しい。
そしておしゃれ。
現在のフジコの生活と過去の語りが交互に描かれる。
不遇の人生を過ごしながらも晩年に花開き、世界中に家を持ってかなり裕福そうだけど決して驕らず、真摯に生きている様が清らかに見える。
なかなか面白かった。
フジコ・ヘミングって名前くらいしか知らない程度で、印象的には秋元順子みたいなもんかと思っていた。
秋元順子って気づいたら歌謡界に現れて気づいたら大物歌手っぽく振る舞っていた。
(「おばさん」を擬人化したらこうなる、みたいな風貌もそうだけど、個人的にはあまり好みの歌手ではない)
フジコ・ヘミングもなんか知らないけどいつの間にか話題になっていたよね。
だから同じように思っていたけど。。
演奏も何度か流れるけど、恐ろしいほどに柔らかくメロディアスに弾く。
これは人気が出るわけだ。
魂のピアニスト、とか呼ばれているらしい。
そういえば昔良く聞いていて前橋汀子も魂のヴァイオリニストとか冠がついていた。
今調べると魂のヴァイオリニストは若林暢の代名詞っぽい。
魂の、ってつけるの日本人好きだよな。
他の演奏者に魂ないわけないのに。
フジコ・ヘミングをネットで調べると、賛否両論で、耳の肥えた人からするとミスタッチが多すぎて圧倒的に技術力が足りずに聴いてられないらしい。
プロの演奏家でもミスタッチしない人なんかいないはずだが、その数があまりに多いとさすがに気になるのだろう。
あとあまり譜面通りに弾かないらしく、そういうのって中高生が喜びそうだ。
映画見ていてなんとなく引っかかっていたけど、後半以降やっと気づいたのは、バナナマンの日村に似ている。
製作国:日本
at ギンレイホール
フジコ・ヘミング初のドキュメンタリー映画。
年齢非公開だがたぶん80半ばくらいかな。
異様に若々しい。
そしておしゃれ。
現在のフジコの生活と過去の語りが交互に描かれる。
不遇の人生を過ごしながらも晩年に花開き、世界中に家を持ってかなり裕福そうだけど決して驕らず、真摯に生きている様が清らかに見える。
なかなか面白かった。
フジコ・ヘミングって名前くらいしか知らない程度で、印象的には秋元順子みたいなもんかと思っていた。
秋元順子って気づいたら歌謡界に現れて気づいたら大物歌手っぽく振る舞っていた。
(「おばさん」を擬人化したらこうなる、みたいな風貌もそうだけど、個人的にはあまり好みの歌手ではない)
フジコ・ヘミングもなんか知らないけどいつの間にか話題になっていたよね。
だから同じように思っていたけど。。
演奏も何度か流れるけど、恐ろしいほどに柔らかくメロディアスに弾く。
これは人気が出るわけだ。
魂のピアニスト、とか呼ばれているらしい。
そういえば昔良く聞いていて前橋汀子も魂のヴァイオリニストとか冠がついていた。
今調べると魂のヴァイオリニストは若林暢の代名詞っぽい。
魂の、ってつけるの日本人好きだよな。
他の演奏者に魂ないわけないのに。
フジコ・ヘミングをネットで調べると、賛否両論で、耳の肥えた人からするとミスタッチが多すぎて圧倒的に技術力が足りずに聴いてられないらしい。
プロの演奏家でもミスタッチしない人なんかいないはずだが、その数があまりに多いとさすがに気になるのだろう。
あとあまり譜面通りに弾かないらしく、そういうのって中高生が喜びそうだ。
映画見ていてなんとなく引っかかっていたけど、後半以降やっと気づいたのは、バナナマンの日村に似ている。
2019年1月5日土曜日
映画『星を追う子ども』
2011年 監督:新海誠
製作国:日本
テレビ録画
熊木杏里の『Hello Goodbye & Hello』は『星を追う子ども』という映画の主題歌になっているらしい。
というのでずっと気になっていたアニメ映画。
自然豊かな山あいの町に暮らす小学生くらいの少女アスナ。
父親は幼い頃になくなって母と二人暮らし。
母は仕事でだいたいいないのでアスナが家事全般をしている。
学校や友達にもなんだか馴染んではいないようで、家事が終わったらもっぱら一人で遊んでいる。
光と影で彩られる風景は綺麗だし、この自然の中で少女がどう成長してくのかとなかなか楽しみになる導入部。
と思っていたら、リスだか猫だかよくわからない動物が突然ひょこひょこやってきて、えっ、もしやファンタジー、、、嫌いじゃないぜ!!
生と死を扱って世界観も壮大で、細かい人物設定の謎も多いけど、なかなか面白い冒険ものだった。
『Hello Goodbye & Hello』っぽいアレンジ曲は流れていたけど『Hello Goodbye & Hello』そのものが最後にかかったときはグッときた。
「一人でラジオ聴きながら、どこか遠い、違う場所に行かなきゃってずっと思ってたんです。私がいたい場所はここじゃない。見たこともないどこかなんだって」
ああ、自分の居場所はここじゃないと、よくわからないなにかを追い続けた『秒速5センチメートル』の貴樹君の荒みっぷりを見たあとだけに、このセリフは不吉だ。
ドキドキ冒険気分のアスナは絶対ひどい目に合う。
って思ったんだけど、女の子補正、子供補正がかかってよかった。
主人公が女の子はいいとして小6くらいって設定は冒険活劇では結構特殊だよな。
ジブリっぽいのは監督自身ある程度意識的にそうしているらしい。
この監督、どのシーンも光と影が印象的だけど、時折強い光も使われる。
ただ、見えないくらいの強い闇っていうのはないのね。
製作国:日本
テレビ録画
熊木杏里の『Hello Goodbye & Hello』は『星を追う子ども』という映画の主題歌になっているらしい。
というのでずっと気になっていたアニメ映画。
自然豊かな山あいの町に暮らす小学生くらいの少女アスナ。
父親は幼い頃になくなって母と二人暮らし。
母は仕事でだいたいいないのでアスナが家事全般をしている。
学校や友達にもなんだか馴染んではいないようで、家事が終わったらもっぱら一人で遊んでいる。
光と影で彩られる風景は綺麗だし、この自然の中で少女がどう成長してくのかとなかなか楽しみになる導入部。
と思っていたら、リスだか猫だかよくわからない動物が突然ひょこひょこやってきて、えっ、もしやファンタジー、、、嫌いじゃないぜ!!
生と死を扱って世界観も壮大で、細かい人物設定の謎も多いけど、なかなか面白い冒険ものだった。
『Hello Goodbye & Hello』っぽいアレンジ曲は流れていたけど『Hello Goodbye & Hello』そのものが最後にかかったときはグッときた。
「一人でラジオ聴きながら、どこか遠い、違う場所に行かなきゃってずっと思ってたんです。私がいたい場所はここじゃない。見たこともないどこかなんだって」
ああ、自分の居場所はここじゃないと、よくわからないなにかを追い続けた『秒速5センチメートル』の貴樹君の荒みっぷりを見たあとだけに、このセリフは不吉だ。
ドキドキ冒険気分のアスナは絶対ひどい目に合う。
って思ったんだけど、女の子補正、子供補正がかかってよかった。
主人公が女の子はいいとして小6くらいって設定は冒険活劇では結構特殊だよな。
ジブリっぽいのは監督自身ある程度意識的にそうしているらしい。
この監督、どのシーンも光と影が印象的だけど、時折強い光も使われる。
ただ、見えないくらいの強い闇っていうのはないのね。
映画『秒速5センチメートル』
2007年 監督:新海誠
製作国:日本
テレビ録画
放映前のナレーションで「3本の短編ラブストーリー」とかいうから、えっ、めんど!と思う。
第1話:桜花抄
冒頭声だけ聞こえる男女が高校生かなと思ったら小学生。
その後成長して中1。
小学校卒業と同時に転校して栃木に行った女の子に会いに行く物語。
夜の田舎しかも大雪の中走る電車。
人のいない車内は寂しく、外は真っ暗で、しかも行き先は行ったこともない見知らぬ土地。
この恐ろしいまでの不安感が緻密に描きこまれた映像で表現されていてなかなかいい。
謎ポエムが邪魔だけど、このポエム聞いていると、なんかどちらかといえば女の子に会いたい気持ちよりとっとと引き返したい気持ちの方が強いように見える。
見知らぬ土地の真っ暗な町に一人放り出されるのはとにかく怖いからね。
「貴樹君、、きっと、この先も大丈夫だと思う。絶対。」
今思えば不吉な前振りというか未来予知というか、何か予感を感じたのだろうか。
それにしてもお互いの両親は捜索願でも出したのだろうか。
第2話:コスモナウト
あれ、なんか続きっぽい。
独立した短編じゃなくて連作短編か。
夜の電車もよかったけど中1の初々しい恋愛ポエムだけじゃ少し物足りなかったので続きがあってよかった。
第3話:秒速5センチメートル
CM飛ばしたときに本編も飛ばしたのかと思うくらいあっという間に終わってしまう。
結構男性の支持率が高いらしい。
会社の先輩も激推ししていた気がする。
20代くらいまでなら感傷に浸れそうだが、弾力を失いきった心のおっさんにはちょっとなと思う。
製作国:日本
テレビ録画
放映前のナレーションで「3本の短編ラブストーリー」とかいうから、えっ、めんど!と思う。
第1話:桜花抄
冒頭声だけ聞こえる男女が高校生かなと思ったら小学生。
その後成長して中1。
小学校卒業と同時に転校して栃木に行った女の子に会いに行く物語。
夜の田舎しかも大雪の中走る電車。
人のいない車内は寂しく、外は真っ暗で、しかも行き先は行ったこともない見知らぬ土地。
この恐ろしいまでの不安感が緻密に描きこまれた映像で表現されていてなかなかいい。
謎ポエムが邪魔だけど、このポエム聞いていると、なんかどちらかといえば女の子に会いたい気持ちよりとっとと引き返したい気持ちの方が強いように見える。
見知らぬ土地の真っ暗な町に一人放り出されるのはとにかく怖いからね。
「貴樹君、、きっと、この先も大丈夫だと思う。絶対。」
今思えば不吉な前振りというか未来予知というか、何か予感を感じたのだろうか。
それにしてもお互いの両親は捜索願でも出したのだろうか。
第2話:コスモナウト
あれ、なんか続きっぽい。
独立した短編じゃなくて連作短編か。
夜の電車もよかったけど中1の初々しい恋愛ポエムだけじゃ少し物足りなかったので続きがあってよかった。
第3話:秒速5センチメートル
CM飛ばしたときに本編も飛ばしたのかと思うくらいあっという間に終わってしまう。
結構男性の支持率が高いらしい。
会社の先輩も激推ししていた気がする。
20代くらいまでなら感傷に浸れそうだが、弾力を失いきった心のおっさんにはちょっとなと思う。
2019年1月4日金曜日
映画『聲の形』
2016年 監督:山田尚子
製作国:日本
テレビ録画
昔週刊少年マガジンに掲載された読み切り読んであまりに面白いので読後にしばらく呆けていた。
殴り合っているときの硝子の、解放されたかのようにうっすら笑みを浮かべる止め絵(漫画だからどのコマも止まっているけど)には特にガツンとやられた。
(この2013年の12号はなんだか捨てられずに今でも持っている)
その後連載が開始されて、これがまた面白い。
読み切りのその後の余韻に形が与えられるのに不安もあったけど、登場人物も増えて毎回飽きさせない。
いじめる側いじめられる側、傍観者、家族、新しい友だち。
彼ら彼女らの過去そして現在における思いや後悔、葛藤が、水面下や表層で激しく交錯する様が熱すぎる。
で、映画。
本当は公開中に映画館で見たかったけど、絶対泣くわと思って躊躇しているうちに見れなかった。
泣かずに見ようと思いつつも、将也や硝子が動いているの見るだけで開始からもうやばい。
なんとか我慢はしたが、将也の母の足にすがって謝るシーン等々いくつも抑えきれないところがあった。
2時間に収めるため主要人物を将也、硝子、結絃、植野あたりに絞ってよくまとまっているなと思う。
あまりフィーチャーされなかったけどみんな大好きなキャラ川井さんの自己愛っぷりの強烈さも垣間見れたし。
植野が猫耳をすちゃっと装着して近づいてくる原作屈指の名シーンはなんで変えちゃったんだろう。
でもまあかなり堪能したし濃密で面白かった。
製作国:日本
テレビ録画
昔週刊少年マガジンに掲載された読み切り読んであまりに面白いので読後にしばらく呆けていた。
殴り合っているときの硝子の、解放されたかのようにうっすら笑みを浮かべる止め絵(漫画だからどのコマも止まっているけど)には特にガツンとやられた。
(この2013年の12号はなんだか捨てられずに今でも持っている)
その後連載が開始されて、これがまた面白い。
読み切りのその後の余韻に形が与えられるのに不安もあったけど、登場人物も増えて毎回飽きさせない。
いじめる側いじめられる側、傍観者、家族、新しい友だち。
彼ら彼女らの過去そして現在における思いや後悔、葛藤が、水面下や表層で激しく交錯する様が熱すぎる。
で、映画。
本当は公開中に映画館で見たかったけど、絶対泣くわと思って躊躇しているうちに見れなかった。
泣かずに見ようと思いつつも、将也や硝子が動いているの見るだけで開始からもうやばい。
なんとか我慢はしたが、将也の母の足にすがって謝るシーン等々いくつも抑えきれないところがあった。
2時間に収めるため主要人物を将也、硝子、結絃、植野あたりに絞ってよくまとまっているなと思う。
あまりフィーチャーされなかったけどみんな大好きなキャラ川井さんの自己愛っぷりの強烈さも垣間見れたし。
植野が猫耳をすちゃっと装着して近づいてくる原作屈指の名シーンはなんで変えちゃったんだろう。
でもまあかなり堪能したし濃密で面白かった。
登録:
投稿 (Atom)