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2009年10月25日日曜日

映画『ウェディング・ベルを鳴らせ!』

2007年 監督:エミール・クストリッツァ
at ギンレイホール


冒頭からノー・スモーキング・オーケストラのあの音楽で、ああ、クストリッツァ。
クストリッツァの映画を見る場合、この騒々しさに乗れない場合は疲労を感じてしまうのだけど、乗れた場合は最高に楽しくなる。
この作品はというと、ちょっと疲れた。
ギャグの切れがいまいちのため。

山あいの田舎町で祖父と二人で暮らす少年ツァーネ(ウロシュ・ミロヴァノヴィッチ)が、祖父から言いつけられた3つの依頼を果たすために都会に出てくる。
 1.牛を売ってそのお金で聖ニコラスのイコンを買う
 2.好きなお土産を買う
 3.花嫁を見つけて連れ帰る
ツァーネは都会の女性の美しさと色っぽさに目を奪われるのだけど、中でも通りすがりの女学生ヤスナ(マリヤ・ペトロニイェヴィッチ)に一目ぼれして猛アタックをかける。
娼婦やマフィアや殺し屋兄弟も絡んできてどたばた度は最高潮に。

戦争や政治は前面には押し出されていないのだけど、街はほぼ無法地帯で殺しは日常茶飯事となっている。
借金を返せない人はあっけなく銃殺されて棺桶に突っ込まれ、止めに手榴弾で火葬とか。
残酷なんだけど残酷に描かないのはいつもどおりで、銃撃戦なんていうのもノー・スモーキング・オーケストラの音楽に乗せて子供達が遊びで戦争ごっこしているような感じ。

それにしてもヒロインのマリヤ・ペトロニイェヴィッチが綺麗だな。
素人だったのにクストリッツァに見出されていきなりヒロインに大抜擢されたとのこと。
このヒロインだからこそ漫画のような救出劇も恋愛劇も楽しめる。

発明好きの祖父役には『ライフ・イズ・ミラクル』で郵便配達員役をやっていたアレクサンダル・ベルチェク。
スキンヘッド兄弟のでかい方はノー・スモーキング・オーケストラの一員でクストリッツァの息子でもあるストリボール・クストリッツァ。
他、ミキ・マノイロヴィッチやリリャナ・ブラゴイェヴィッチも出ている。

2009年9月21日月曜日

映画『ライフ・イズ・ミラクル』

2004年 監督:エミール・クストリッツァ
BS2 録画


ライフ・イズ・ミラクル [DVD]

録画時間が2時間半になっているし観ようかどうしようか迷ったのだけど、観ておいてよかった~。

セルビアとの国境に程近いボスニアの田舎町が舞台となる。
時代は1992年でボスニア・ヘルツェゴビナ紛争勃発の年。
田舎町の心優しいユーモラスの人々なんていう茶番劇は見たくもないのだけど、クストリッツァなので残酷さと隣り合わせの緊迫したユーモアに溢れている。

始めは群像劇で誰が主人公かもよく分からないのだけど、ルカを家長とした3人家族が中心なんだと分かる。
ルカは40台半ばくらいで鉄道技師としてこの街にやってきたセルビア人。
妻はオペラ歌手かなんなのかよくわからないけど、心の病を抱えているのか精神が少し不安定。
息子は二十歳くらいでプロサッカー選手を目指している。
家族愛に溢れたルカ一家の物語かと思いきや紛争勃発。
紛争勃発により狂おしいほどのラブロマンスに。
サスペンス的要素もあるし千変万化。

このラブロマンスが秀逸で、『トラウマ/鮮血の叫び』並の恋愛映画となっている。
その恋愛模様自体は10代かと思うくらい情熱的に激しい単純なものなんだけど、時代背景と年齢からくる捨てるものの大きさを考えるとそう単純な話ではない。
盲目的な情熱であることには変わりは無いのだけど、葛藤を突き破った先で爆発する生の根源的な力が神秘的に美しくエロティック。

中盤までろくに出演シーンもないヒロイン、ナターシャ・ソラックが綺麗。
20歳くらいなのかと思っていたらナターシャ・ソラックは当時28,9くらいだったみたい。
この人の笑顔とか泣き叫ぶ姿とか無邪気な嬌声とか、全てが美しくて愛しい。

2004年9月4日土曜日

映画『アンダーグラウンド』

1995年 監督:エミール・クストリッツァ
BS2 録画


アンダーグラウンド

第2次大戦中のユーゴスラヴィア、しかも映画タイトルはアンダーグラウンドで171分の大作。
これはかなり見るのに根気がいるのではないかと思ったが、結構面白く見れる。
ただ、作品中ひっきりなしに楽団が陽気な演奏をしているため、ちょっと疲れる。

共産主義パルチザンでゲリラ活動を続ける二人の男と、多情な一人の美しい女優。
男女三人の恋愛事情が、多民族国家ユーゴスラヴィアの激動の歴史と共に悲劇の運命を辿っていく。
共に、っていっても彼らが被った悲劇は戦争や国の事情でやむなく被ったものというわけでもないのだけどな。
でももちろん全く関係ないわけが無く、恋愛事情のうねりと世界事情のうねりが独立しながらもからみあって運命の歯車を回していく。

陽気に滑稽に騒々しく。
おおっぴらに戦争批判をしているわけでもなし、自己愛の狡猾な人間を悪と決め込んでいるわけでもなし。
皮肉屋が人の一生の、重みと醜さと滑稽さと、そして不思議なまでの素晴らしさを描いた人間賛歌。