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2010年12月29日水曜日

映画『パプリカ』

2006年 監督:今敏
BS2 録画


パプリカ [DVD]

もうちょこちょこやばい瞬間が続いて、我慢していたけど最後の方で唐突にパプリカが現れた時に泣いてしまう。
これは本当面白い。

今年8月に亡くなってしまった今敏の2006年の作品。
何ヶ月か前に追悼で放映していたのを録画しそびれて悔しかったところ、クリスマスにまた放映してくれたので今度はしっかり録画した。
原作は筒井康隆で、2,3年前に読んでからずっと映画版を見たかった。

原作より登場人物が少なく、展開も超速い。
原作で詳細や背景を知っていても戸惑うので、原作を知らないとストーリーは全く何がなんだかわからないかもしれない。
インターネットから夢の世界へ移行する等、現実と夢との境界線も初めから曖昧だし。
でも、ストーリーうんぬんよりもとにかく緻密で豪華絢爛であっと驚く映像表現に飲み込まれっぱなしの90分。
逆さまでのパプリカの初登場シーンやらクレジットタイトルで重力も時間も次元も全て超越して軽やかにスキップするパプリカ等、冒頭数分でがっちりつかまれるから。

今敏は『千年女優』しか見ていないのだが、夢と現実の境目が曖昧になったカオスは『千年女優』もそうだったな。
それもそのはず、今敏曰く「実はその、『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』にしろ『千年女優』にしろ、なぜそういうものを作っていたかというと、パプリカみたいなことをやりたかったんですよ、本当は。」とのこと。
これまで培った技術と経験を本題の『パプリカ』に全てぶち込んだような感じか。正に集大成のような作品だ。

映像、音楽と全てにおいて満足だったが、強いて言えば個人的に声優さんの声がちょっと馴染めなかったかな。
林原めぐみと古谷徹。


久しぶりに小説を読み直そうとして部屋中探したのだけど、どうしても見つからない。
捨てたり売ったりなんかしていないから、無いわけが無いのだが、夢のように消えてしまった。

2005年7月18日月曜日

映画『千年女優』

2001年 監督:今敏
BS2 録画


千年女優 コレクションBOX (初回生産限定版)

アニメ。
30年前に引退して以来公の場に姿を見せなかった大女優藤原千代子。
映画制作会社社長で千代子の大ファンである立花源也は千代子のドキュメンタリーを制作するために取材の約束を取り付ける。
若いカメラマンを連れて千代子の家を訪れた社長。70を過ぎ、老体となった千代子が現れるまでのどきどき感。
若い頃は神々しいまでの存在であった女優も年をとったら「ん?」ってことが現実多いからきっと社長も今の千代子を見て少しがっくりするんだろうな、と思いながらもそこはアニメ、現れた老女は素敵な素敵な老女だった。
公の場に出なかった千代子が取材を受けたのは社長がある鍵を千代子に渡す約束をしたからであり、その鍵とは千代子の人生でとても大事な鍵だった。
取材が始まり、鍵に秘められたストーリーが語られる。
戦時中、千代子が女優になるところから始まり、いくらかストーリーに乗ってきたところで「ん?」なんだ?いきなり戦国時代に飛んでしまう。
と思ったら今度は千代子がくの一になる。
と思ったら今度は千代子が花街の遊女になる。
続く。

まあ鍵っていうのは千代子が女優になる前に出会った青年活動家の持ち物だったのね。
そして幼き千代子はこの青年活動家に恋する。
憲兵に追われて行方知れずになった青年活動家に鍵を返すため(青年と再び再会するため)の長いながーい道程が彼女の出演作とシンクロしながら描かれていく。
とりあえずごちゃごちゃしているのだが細かいところはどうでもいいや。
一人の青年を愛し、一生探し続けた可憐な女性の物語。

青年を求め、走り叫ぶ姿や泣きの描き方が上手いのか泣き所がいくつかある。
「もう 顔も思い出 せ な い」この静けさと呆けた社長とカメラマンの顔。泣ける。
この映画の山場である青年の手紙を読み北海道にひたすらかけて行く中年にさしかかった千代子の駆ける姿なんかカットバックのカオスと音楽と合わせて少し鼻で笑いながらも泣ける。
「待って 待って! お願いです! 待ってぇ~!!」泣ける。
千代子のラストの台詞はいくらか救いか。

このアニメ、老いと人生の積み重ねも一つのテーマになっている。
千代子のファンでお茶目な社長なんて顔といい格好といいどっからどうみても怪しいおっさんなんだけど、青年時代の純朴で心優しい姿と現在の姿が重なる瞬間に時の流れと一人の男の人生が浮かび上がる。
撮影所の下っ端がそのまま映画界にとどまって小さな制作会社の社長になったのか。
愛しいおっさんだ。