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2019年5月12日日曜日

映画『炎の城』

1960年 監督:加藤泰
製作国:日本
BSプレミアム録画


炎の城 [VHS]

明から帰ってきた若殿王見正人(大川橋蔵)は、父親が死に叔父が領主となり、母親はその叔父の妻となっていることを知る。
平和主義者の父と違って叔父は野望の塊のような男。
父の死に疑問を持つ正人は身の危険を感じ、気狂いの振りをしながら父の死の真相を掴もうとするのだが、、、もう泥沼。

ハムレットが原案。
ストーリーは、誰かも確かめないで刺すなよ(師景だとしても今までの努力?が無に帰すし刺すなよ)とか、いや入水しなくてもとか、決闘後のあの人って無駄死になんじゃ?とか、ラストって。。とかいろいろあるけど、概ねは楽しめる。
雪野(三田佳子)の兄祐吾(伊沢一郎)のキャラクターはまっずぐな熱い男でありながら結構ひどいことも平気でやったりとして敵役の造形として面白い。

大川橋蔵の演技はオーバー気味なもののそのオーバーな感情表現に素直に魅入るのもいいし、B級見るように笑ってもいい(駄目?)。
大河内伝次郎は相変わらずセリフが聞きづらいが字幕表示してみていたので問題なし。
三田佳子は綺麗。
高峰三枝子はあまり目立たないけど演じる母君の苦悩がつらい。

加藤泰にしてはカメラがよく動く。
でも程よい長回しや差し色等の控えめな色彩バランスは楽しい。

調べてみると加藤泰はこの映画を「壮烈なる失敗作」と言っているらしい。
主にはラストシーンで会社側の意向により悲劇ものになりそこねたところを言っている模様。
あと、DVD化されていないみたいで、VHSめっちゃ高い。

2006年6月3日土曜日

映画『紅顔の密使』

1959年 監督:加藤泰
BS2 録画


江戸の時代劇かと思ったら平安時代。
反乱軍の悪路王(吉田義夫)はその片腕出羽の赤鷲(田崎潤)と共に、東北各地の蝦夷の不平分子と大陸から流れ込んだアジアの浪人数万を吸収して、その数実に15万!の軍隊にまでなっていた。
その勢いは既に日本を二つに分断するほどの勢力になっている。
「アジアの浪人数万」というのが曲者です。
冒頭のナレーションでさらっと説明されたこの味付けのおかげで、加藤泰の奔放さが正当化される。
蝦夷軍はなんでもありで、モンゴル人だかアラブ人だかペルシャ人だかよくわからない人たちの集まりになっていておもろい。
蝦夷軍はなぜかゲルに住んでいたり。

主演大川橋蔵。
道中一緒になる一条珠実という女優さんは滅茶苦茶綺麗というわけではないのだが、顔を正面からはっきり映さないときは凄く可憐で色っぽい。
俯いている姿とか、笠をかぶって目が隠れて真っ赤な口紅だけがのぞいている雨のシーンとか。

2005年8月28日日曜日

映画『緋牡丹博徒 お竜参上』

1970年 監督:加藤泰
BS2 録画


緋牡丹博徒 お竜参上

緋牡丹博徒シリーズの6作目。
いきなり物語の中盤のようなシーンから始まるからなんだこりゃと思ったんだけど、すぐにはまりだす。
見せ場がてんこもりで、痛快活劇、悲劇、ラブロマンス、横顔うなじエロス、全てが濃縮されて、もう面白すぎる。

九州熊本、矢野一家の2代目緋牡丹のお竜(藤純子)はお君という16歳の少女を探していた。
流れ流れて東京浅草へ。
浅草の鉄砲久一家に草鞋を脱いだお竜。
親分の鉄砲久(アラカン)はそりゃあもう素敵な善玉親分で、対してこの鉄砲久一家の利権を虎視眈々と狙う悪玉に鮫洲政一家というのがいる。
この2家の争い+お君ちゃん+お君ちゃんの恋人銀次郎+流れ者渋メン渡世人青山常次郎(菅原文太)+浅草六区の公演+雪の今戸橋+凌雲閣+無敵のいい女お竜。
途中及び見終わってから感激の涙を拭うことになること請け合いの作品。

ストーリーの方は前作だかなんだかの続きみたいな感じらしい。まあ前の作品を見てるかどうかはあまり関係ないのだが。
見所は挙げたらきりがないくらいあって、とにかく人物対人物のやりとりにたゆたうなんともいえないやんわりとした緊張感が常にぞくぞくさせてくれる。
お君ちゃんを発見するシーンの固定長回しの秀逸さ(居合わせた人物達の動きや台詞展開の動的な緻密さ)。
雪の今戸橋での一人の男と一人の女。
・・・等々
手前と奥の縦の構図の使い方もどれも面白いし。(手前に奥にいつもいろんなもんが映りこんでるから空間に余裕が無い印象も受けなくはないのだが)

登場人物で惜しむらくはお君ちゃん(山岸映子)が少しも可愛くなかったことか。
いきなり若山富三郎が出てきたときはびびったがこの作品の中で最も痛快だったシーン。
藤純子はすっごいいい女。川崎弘子さんに匹敵するくらい。藤純子の娘は嫌い。

2004年6月7日月曜日

映画『真田風雲録』

1963年 監督:加藤泰
BS2 録画


知識不足ゆえ、よく知らないで見たのだが、かなり面食らった。
なんと説明すればよいのか。
カルト映画・・・
加藤泰という人間の才能がなんの縛りも無く迸ったらこんな作品になった。
いや、「縛りが無」いどころかこんなに時代考証も映像も特殊効果も全て奔放なら収拾つかなくて逆に大変だったんじゃないか。
才気溢れるという言葉をそのまま当てはめたい人だな。

錦之助が飛ぶ!目が光る!透明になる!関根勤になる!
千秋実が真田幸村!
ジェリー藤尾が歌う!
ミッキー・カーティスが舶来の物を見にまといかき鳴らすはギター?!
若い役のはずの渡辺美佐子が31歳!
大野修理亮治長役が誰かと思えばオウムのああいえば上裕!と思ったら佐藤慶!
服部半蔵(平幹二朗 )とその忍者隊、華麗にステップを踏んだ忍者隊の人達は江口音也バレエ団!知らん!
志村けんのバカ殿以上に顔を白く塗りたくった淀君(花柳小菊)!
ぱっぱらぱーの千姫(本間千代子)!
大阪城に立てこもる浪人や百姓や武士達の大ダンスパーティー!なぜかいる裸の女!素で嬉しそうに抱きつく常田富士男!いい顔してるわ。

なんでもありが本当になんでもありすぎて呆然としながらも笑ってしまう。
しかも一つ一つがただ瞬間的に笑って終わるギャグや不条理じゃすまないシーンも多い。
大野修理の本性を印象的に表出させた瞬間であったり、千秋実をやっぱり千秋実にさせた幸村の最後だったり。
戦に身を投じる決心の心の独白を清次、筧十蔵とそれぞれの生い立ちを絡めて戦前の高揚感と供に語らせた後の由利鎌之助(カーティス)のオチ。カーティスがカメラに向かって喋るオチ。不意の三段オチ。上手い。
忍者というより妖術使いの化物と化した佐助(錦之助)がミッキー・カーティスのギターに術をかけるとギターは青く光りだす。
刻むリズムに乗せられバカみたいに踊りだす敵の武士達。さらには操られるままに海へと行進させられ死んでいく。
死ぬ間際に「無念じゃ~!」と面白おかしく言って散っていくものの、このシーンがえらい恐ろしかった。
どんなに人数的に武力が劣っていても佐助と後数人いればもうこの世に敵はいないんじゃないかと思うような恐るべき妖術。
怖さにアホさが加わるとこうも恐ろしいものか。

佐助と半蔵の初対決シーンなどしびれまくって泣きそうになるくらい素晴らしかった。
「し、しびれるぅ!」という文字を画面に入れる場合、バックの映像は牛が口をくちゃくちゃしている映像を使うもんなのだと初めて知った歴史的一作。

2004年5月25日火曜日

映画『瞼の母』

1962年 監督:加藤泰
BS2 録画


瞼の母

なんていいやつなんだ、中村錦之助は。いいやつすぎて涙が出る。

この映画エキストラが面白い。街道や江戸の町を歩くただの通行人なんだけど、ありとあらゆる職業格好の人物が素敵に通り過ぎ、または立ち止まる。
存在感がありすぎず、なさすぎず、エキストラはやっぱりエキストラなんだけど、彼らだけ見ていても面白いくらい。
エキストラですら面白いのだからもちろん中心となる人物達はもっと面白い。
盲目の三味線引き浪花千栄子や江戸の導入にあまりにもふさわしい酔漢星十郎、むさいやくざものを見事に演じた山形勲、見れば見るほど味わい深い顔した原健策、流し目が強烈だった沢村貞子、・・・きりがない。
名シーンも盛りだくさん。
浪花千栄子、星十郎、錦之助が織り成したあの詰まりに詰まった極上の長回し。
母木暮実千代と子錦之助、再会シーンでの興奮と歓喜と衝撃と動揺と失意と…って様々な感情の複雑な襞。

殺陣のシーンで、画面見てると立ち回る人達が動くたびにいやに残像が画面に残って、ああ、いつもHDDに録画するとき画質を少し落として入れているのだけどこんなになっちゃってたんだ、なんで今まで気づかなかったのだろう?って思ったけどこれは録画画質の問題じゃないよな、よく考えると。

2004年5月23日日曜日

映画『風と女と旅鴉』

1958年 監督:加藤泰
BS2 録画


面白すぎる。最初から最後までのめりこんで、ラストではかない余韻に浸る。
わがままそうな坊ちゃん顔した中村錦之助が孤独にいじけた男を上手く演じている。
演技と言うか顔がもう役にはまっているからな。
ちなみにこの作品で錦之助は初めてノーメークで出演したらしい。
もう一人の主役が三国連太郎。渋くて男前な三国。

冒頭、旅姿の三国が山道をひょこひょこ走る。酔っているかのような走り方。この走り方一つとってももう面白い。
のどがからからに渇いていたらしく、小川を見つけた三国はのどを潤す。
水を飲むのに夢中の三国の背後に忍び寄ったのが錦之助。こうして二人は出会う。
素性の知れない二人。錦之助の生まれた村で次第に明らかになる過去。
途中までこの二人は強いのか強くないのかよく分からないんだよね。誰とも戦わないから。
錦之助が演じている役は精神的に幼い印象を受けるため、弱そうな気もするしでも意外と強いのかもしれないし。
三国は年長として渋い雰囲気が強そうに見えるけど、なんだか頼りない歩き方するから弱そうでもある。
強い弱いや謎の過去も含めてちょこちょこ明らかにしながら物語は展開していく。
しかも織り交ぜられたユーモアも結構笑える。
三国と殿山泰司のコメディアンぶりに笑い、錦之助の真面目なウインクに笑い・・・

そういえば長谷川裕見子の登場シーンでのひんやりとした視線のあまりの麗しさにはぞくっとしたな。

2004年4月30日金曜日

映画『沓掛時次郎 遊侠一匹』

1966年 監督:加藤泰
BS2 録画


沓掛時次郎 遊侠一匹

うわー、血がどばどばだぁ。真っ赤なペンキみたいな血が。

佐伯清版の『沓掛時次郎』と比較しながら見た。加藤版はこっちはこっちで面白い。
でもやっぱ佐伯清版の方が好きだな。
加藤版では時次郎がおきぬに罪を責められるシーンがほとんどない。おきぬに責められクールな時次郎ががびーんってなってやくざ家業に嫌気がさし、渡世人をやめて子供の玩具を売り歩く人になりながらおきぬ親子を陰ながら見守る時次郎がかっこいいのに。
加藤版の時次郎はなんだか最初から渡世人に嫌気がさしている風なのだな。
だから時次郎が自分の生きてきた道を完全否定される衝撃もないし、おきぬへの複雑な慕情もあっさりしている。

たぶん佐伯版を見ていなかったら面白い面白いって書きまくっているかもしれない。
それにしても時次郎は鬼神の如くつえーな。
それにしても太郎吉ぼっちゃんの顔がほとんど映っていないのは何故だ!可愛くなかったからか!
太郎吉を演じた中村信二郎は歌舞伎役者。映画はこれと『たそがれ清兵衛』にしか出演していないみたい。