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2012年8月26日日曜日

映画『幕末太陽傳』

1957年 監督:川島雄三
製作国:日本
at ギンレイホール




日活創立100周年でデジタルリマスターされた『幕末太陽傳』。

ジェットコースタームービーっていうと息もつかせぬストーリー展開で最後まで魅せるって感じがするけど、この映画はそんなにストーリーっぽいものがないのに、話術、カメラワーク、音楽などががっちり組み合わさって最高のジェットコースタームービーになっている。
左幸子と南田洋子がとっくみ合いの喧嘩をするシーンなんか、加速していたスピードをさらに振り切るくらいの爆発力で感動して泣きそうになった。

出演者が豪華すぎる。
主演フランキー堺。
女郎おそめさんに左幸子、こはるさんに南田洋子。
女中おひさには芦川いづみちゃん。
高杉晋作石原裕次郎、久坂玄瑞小林旭、長州の志士で二谷英明。
楼主に金子信雄、その妻に山岡久乃。
若衆で岡田真澄、突貫小僧。
おくまさんで菅井きん(この人当時すでにおばさん1926生まれ)。
貸本家金ちゃんに小沢昭一。
最初しか登場しない西村晃。
仏壇屋倉造に殿山泰司。
ついでに番頭善八は織田政雄。

この映画を初めて見たのは確か学生時代にフィルムセンターで50年代の映画をひたすら見続けていた頃だったと思う。
当時川島雄三という名前を知らなかったけど(今でも別に詳しくないが)、フランキー堺の所作の流麗さ口上の見事さに魅せられ、石原裕次郎の違和感のある存在感が印象的で面白かった記憶がある。
10年以上たってこうして見直してみてもやっぱり面白いなぁ。

2004年6月30日水曜日

映画『しとやかな獣』

1962年 監督:川島雄三
ビデオ→DVD録画


しとやかな獣

会社の先輩に借りて見たのだけど、息をもつかせぬ面白さ。
始まって20分後くらい、家族四人の顔をそれぞれ映すショットがある。
黙りこくった四人の顔。
とてつもない静寂。
冒頭からずっとかかっていたバックミュージックが止まったからこんな静かになったのだろうか?と一瞬思うが、考えてみればバックミュージックなんか流れていなかった。
じゃあなんでただ登場人物の顔を映しているだけなのにこんなに違和感があるのかと思えばこの映画、ひっきりなしに誰かしらが喋っていたからだった。
父が喋り母が喋り、息子が喋り娘が喋り、社長が喋りピノサク君が喋り・・・
ひっきりなしのセリフの応酬が実にリズミカル。
さらにその軽快なセリフミュージックの内容がこれまた実に腹黒いんだから軽く眩暈がする。

舞台となっている場所は団地の一室なんだけど、カメラは状況に合わせて仰角俯瞰、窓の外ドアの外等々様々な位置から人物を捉える。
この部屋は狭いっちゃあ狭いのだが、窓がまるで日本家屋のように大きく開いている。入り口の内開きドアは閉めていたり開けっ放しだったり。
空間の開放感や閉塞感をセットの状態やカメラ位置で見事に調節している。

子供のいる後家で、生きるために最も腹黒い人間になった女性を演じたのは若尾文子さん。
どうもこの人僕の中ではセーラー服におさげで丸メガネをかけたロリ少女のイメージで固まってしまっていたのだけど、この映画では少女の顔に大人の表情が張り付いたような不思議な魅力があった。(しかも役どころは腹黒いし)

使用された音楽は能の囃子ぐらいだった気がする。ぃよぉ~っぽんぽんぽぽんぽん、ってリズムはこの映画によく合う。
テレビに映し出されたディスコの映像。ディスコミュージックは次第に囃子に変わり、部屋の中を無尽に踊り狂う若者二人。窓の外は真っ赤な夕焼けで食卓では父と母が黙々と食事をしている、ってそんなシーンもありました。
ちなみに終始灰色がかった映像には時たまのっぺりした吐き気を感じたりもする。