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2007年2月25日日曜日

映画『めぐりあい』

1968年 監督:恩地日出夫
BS2 録画


石川セリの武満徹ポップソングというアルバムがある。
武満の合唱曲を各編曲者がポップスに仕上げたアルバム、と勝手に思っていたけどこの映画の冒頭で、石川セリで昔何度も聞いた「めぐり逢い」という歌が流れたので、ああ映画音楽だったんだと知る。
いい歌ですな。
アルバム引っ張り出して見てみると収められた曲の半分くらいは映画音楽じゃん。
「○と△の歌」はそういえば羽仁進の『不良少年』でちょろっと流れてたしな。

主演黒沢年男に酒井和歌子。
黒沢年男は電車で見知らぬ女の乳をもんでカラカラ笑う男で脳みそまで筋肉でできていそうな青年の役。
酒井和歌子はというと、芯の強いしっかりとした女の子の役、というのはどうでもよくてとにかくもう笑顔が可愛すぎる。
列車のドア越しに見せた笑顔にころっと持っていかれる。
しかしまあ事ある毎に笑いすぎだろってくらい笑うなぁ。

酒井和歌子に待ち合わせをすっぽかされた黒沢年男が駅の伝言板に「甘ったれるな」と書き置くのだけど、どう見ても黒沢年男の方が甘ったれなのね。
黒沢年男の絶望がどこがどう絶望なのかさっぱり理解できない。
黒沢年男に限らず、その弟も甘ったれ。
それに比べて酒井和歌子の弟の学生がしっかりしているのでその好青年ぶりがまぶしい。
甘ったれの癇癪持ちと必殺の笑顔のしっかりものとの青春物。

結構面白い。
クロールの息継ぎの時の顔を普通アップで映すか?二人とも前髪ぺっちゃんこ。
雨の中のダンプカーの荷台シーンは笑っちゃうんだけど、ただの荷台のくせに壮大な名シーンになっているところが凄い。
火葬場が山奥で、黒い煙に深い緑、複雑な思いと匂いが混じってそうないいシーン。
他、いろいろ。

酒井和歌子の母役に森光子。夫に死なれてからコップで飲む晩酌が唯一の楽しみという人。
(夫に死なれてから晩酌が楽しみになったっていう設定は前にもどこかで見たな。淡島千景だったっけかな。酒を湯飲みで飲んでるの。思いだせん)
酒井和歌子の弟役で池田秀一。名前をどっかで聞いたことあると思って調べてみたらガンダムのシャアの声の人だった。
他、有島一郎や菅井きんや峰岸徹や田村亮が出ている。


内藤洋子と酒井和歌子は『ドリフターズですよ! 冒険冒険また冒険』にカメオ出演していて、それでしか見たことないと思っていたのだけど、調べてみたら酒井和歌子は小林正樹の『日本の青春』で黒沢年男と一緒に出ていたんだ。全然記憶に無い。
ぐはっ!小林正樹の傑作『いのちぼうにふろう』にも出てたの~。
とにかく今日は内藤洋子と酒井和歌子という二人の女優を知ることが出来て(今更だけど)有意義でした。

映画『あこがれ』

1966年 監督:恩地日出夫
BS2 録画


愛護施設に父親につれられてやってきた信子。
保母の新珠三千代につばを吐きかけるわ箸の持ち方を指導されれば箸を投げ出すわで超問題児だった。
問題児とはいえまだ幼い子供。信子は父親を恋しがる。
そんな信子をからかうのは一郎君。
父親恋しさに泣き出す信子。それにつられて母親に捨てられた一郎君も大泣き。
というのがタイトルロールで簡潔に流れた映像で、物語は少年少女が20歳を過ぎたくらいの頃から始まる。
一郎君(田村亮)は平塚の瀬戸物屋に養子に入って人の出来た養親(加東大介と賀原夏子)に愛情たっぷりに育てられた。
一方信子(内藤洋子)は父親(小沢昭一)と一緒に各地を転々としていた。
平塚で二年ぶりに再会した二人。
お互い本心を隠して友達として付き合っていたのだが次第に抑えられなくなって、ならばとっととくっついちゃえばいいものをよく分からないが養親への義理立て等で上手く行かない。

青春メロドラマなんだけどなかなか面白い。
脇を固める役者陣が何気に豪華。
主役二人の生き方に大きく関わる先生役にいつまでも綺麗な新珠三千代。
一郎の養父に加東大介
信子の父親役で酒飲みの典型的な駄目親父に小沢昭一。
娘を思ってうつろに去っていく時「ばかやろうだよぅ。お前達は」と言ってにやっと笑う。
駄目親父のくせにおいしいところをかっさらっていきます。
一郎の生みの親に乙羽信子。
一郎の消息を聞きに愛護施設に訪れ、園長と話す乙羽信子の複雑な表情が凄いわ。
園長(小夜福子)がまた偉そうなの。一郎を捨てたこの母親を責めるような口調で。
愛護施設の園長という偽善者に見られやすい立場の役が、まんまこの偽善者め!って感じの役になっていて、子を捨てた乙羽信子より悪人に見える。
心優しい新珠三千代が二人の間にお茶持ってやってきてほっとする。
園長の好サポートと乙羽信子の控えめな演技によってこの母親に親近感を持てばその後の新珠三千代や養親など脇役人が次から次へと好サポートを見せ、最後の再会と別れシーンは思わず泣ける。
もう青春メロドラマじゃなくて後半から一気に家族愛の物語へ変貌。
そういえば養父加東大介のまんま姉役で沢村貞子も出ていた。

そして内藤洋子は綺麗だなぁ。
凛としたたたずまいや純真な視線から流れる一筋の涙とか。
その美しい瞳を持った顔がこれでもかってくらい何度もアップで映される。

原作木下恵介で脚本が山田太一。
音楽は武満徹。映画音楽になるとメロディアスな武満徹がギターでメランコリックな旋律を聞かせてくれる。