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2006年6月4日日曜日

映画『ろくでなし』

1960年 監督:吉田喜重
BS2 録画


ろくでなし

川津祐介の棒読みに始まり、映画の雰囲気からか全ての役者が棒読みなクールさを漂わす。
銀行家の息子の川津祐介と、彼の金にたかるように集まった学生3人のうちの1人が津川雅彦。
この4人の悪友は働くでもなく特にやることなしにふらふらと遊んでいた。
川津の父の会社の秘書に高千穂ひづる。
つんつんした高飛車才女の高千穂になにかとちょっかいを出す川津達。
ただのろくでなしのガキ共としか見ていなかった高千穂だが、次第に津川に興味を持っていく。
津川もまた高千穂に興味を持つのだが、ろくでなしを自覚する津川はろくでなしを抜け出したいながらも責任を持てないろくでなしのままでしかいられない。

吉田喜重デビュー作。
車内での会話の撮り方とか面白い。
後部座席と運転席という視線が交わらない位置にいる2人を横顔、後ろ姿で台詞ごとにせわしなく交互に映したり。

拳銃を売りつける端役のやくざに佐藤慶。顔がこえー。
海の夜のパーティで歌っていたのは若き佐々木功だったらしい。

2005年1月16日日曜日

映画『炎と女』

1967年 監督:吉田喜重
BS2 録画


炎と女

最後まで見た後、思わずフフフと笑ってしまう。
さっぱし意味不明だったから。
ただでさえ与えられる情報が少ないのに、何度もうとうとしてしまったりセリフが聞き取れなかったりしたから余計わけがわからない。
ということでもう一回注意深く見て、やっとストーリーが分かる。

伊吹真五(木村功)、立子(岡田茉莉子)夫妻には、1歳の息子鷹士がいる。
幸せそうなこの家族を羨むのが真五の友人らしき坂口健(日下武史)という産婦人科の院長の男で、彼には鳥好きで奔放な性格の妻シナ(小川真由美)がいるが子供はいない。
まあ二組の夫婦が出てくるわけだ。
彼らをつなぐ人物に藤木田(北村和夫)という医師がいる。
立子は藤木田に「鷹士の本当の父を教えてください」なんて言うからただごとじゃない。
そして藤木田と真五の会話では真五が種無しだと伝えられ、人工授精しかないと言われるシーンがある。
このシーンは何気なく前のシーンと繋がっているから分かりにくいのだが、2年位前を描いたシーンなのね。
だから鷹士は人工授精によって生まれたのだと知る。
この後も現在、そして1,2年前の出来事がまるで連続する同じ時間軸のように描かれていく。
現在と過去において何気なく交わされるセリフや何気なく挿入されるシーンが次々に事実や人物像を浮き上がらせていく。
難解というよりか一つ一つが驚くほどシンプルで、かつ物語が展開するにしたがって既に過ぎ去ったシーンまでもがわさわさと動き出す。
結構面白い。特に2回目。

岡田茉莉子はやっぱり魅力的だけど67年ともなるとちょっとだけ微妙かな。

2004年12月31日金曜日

映画『血は渇いてる』

1960年 監督:吉田喜重
BS2 録画


血は渇いてる

会社の集団解雇通知の場で、社員の木口(佐田啓二)は拳銃自殺を図る。
「僕はどうなってもかまいません。みんなを首にしないでください」
同僚の金井(織田政雄)が割って入ったために一命を取り留めた木口。
マスコミは社会問題として大きく取り上げる。
この騒動に目をつけたのは生命保険会社のキャリアウーマンのユキ(芳村真理)で、木口を保険会社のコマーシャルタレントとして利用した。
一躍時の人となる木口であったが・・・

いつも俯いてぼそぼそ喋る木口は自分に全く自信がない。
暗く常に思いつめ、人のためと言いつつ彼は自分しか見ていない。
木口が自分で言うように、自殺しようとしたのは皆のためとかではなくて、ただクビが恐ろしかっただけなのね。
有名人になった木口は講演とか行っても言う事は「働いている人がみんな幸せに、なんの心配もなく働けるようになりたい、したいと思っております」とか観念的な事しか言えない。
でも受ける受ける。
たぶん今まで誰からも相手にされなかったのに、多くの人、大衆に必要とされる人間となったことを次第に木口は自覚していき、これまでの人生になかった充実感を感じるようになっていく。
木口の愛が欲しい妻(岩崎加根子)、木口を利用して社会を動かしてやろうという野望を抱くキャリアウーマン、木口の偽善が反吐が出るほど嫌いな冷めた週刊誌記者の原田(三上真一郎)、木口にのっかりそれなりに有名になった金井、等々、木口を中心に様々な人物の感情が歯車をきりきり回していく。

有名になったから変わった、とかいうんじゃなくて、大衆含め各々の人物達のむしろ何も変わらない根本的性質が起こす摩擦の物語。
また冷徹に撮るなぁ。でも結構スタイリッシュ。
監督2作目。

2004年12月5日日曜日

映画『秋津温泉』

1962年 監督:吉田喜重
BS2 録画


秋津温泉

むかむかむかー!
長門裕之め。
・・・ぶつぶつ。

戦時中、結核に苦しみ自暴自棄になっている一人の青年(長門裕之)が秋津温泉に流れ着く。
そこには健康的によく笑う快活な少女(岡田茉莉子)がいた。
少女に命を救われ、生きる希望を持った青年であったが・・・

岡田茉莉子の魅力を四方八方から映し出す岡田茉莉子映画。

はぁ~・・・
岡田茉莉子も映像も、くどいくらいに流れるテーマミュージックもストーリーも、全てにおいて哀感の溜息が漏れる。
ああ、悲しい。岡田茉莉子の燃える情熱も痛々しい幸せのひと時も燃え尽きた空ろさも、全て悲しい。
女が女であること、女が最も美しく輝くこと、そのとき男はどうしようもなくしょうもないこと。

2004年11月28日日曜日

映画『告白的女優論』

1971年 監督:吉田喜重
BS2 録画


告白的女優論

30越えたあたりの浅丘ルリ子とそれぞれ40目前の有馬稲子に岡田茉莉子。
3大女優の共演。
彼女達が演じるのはこれまた女優の役で、三人の有名女優が「告白的女優論」というタイトルの映画にクランクインするまでの話。
女優の気まぐれ、女優のわがまま、女優の狂気、等々なんと言われようが、またなんと勘違いされようが、物陰から覗く女優の顔は誰よりも悲しくて孤独な女性の顔だった。

実生活(←映画上の話)がどうあれ、それでも女優が女優として歩く瞬間。ラストは涙が溢れる。
この映画、いつも人物がなにかの物越しに、また、人の体越しに、さらには鏡越しに映される。
手前と奥という構図を基本にして撮られているからこそ、ラストの突然の並列、しかもこれまで交わらなかった三人の全身ショットが異常な驚きとともに飛び込んでくる。
この閃光に一瞬目が眩んでぽっかり開いた空洞に、この映画を見る人がまず期待するであろうショットを見ているんだという感動と、このシーンに至るまで見てきた三人の女性の悲しみと強さとがまとまって迫ってくるのだから弥が上にも泣いてしまう。

女優合戦とでもいった感じでなかなか見ごたえのある映画。
・・・峰岸徹って前の芸名峰岸隆之介だったんだ。