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2010年12月30日木曜日

映画『マタンゴ』

1963年 監督:本多猪四郎
at 銀座シネパトス


マタンゴ [DVD]

昔大井武蔵野館か中野武蔵野ホールで上映していたのを見逃したまま気になっていたのを遂に見ることができた。
本多猪四郎と円谷英二のコンビによる怪奇SFサスペンス。

冒頭病院の窓から映し出される銀座っぽい東京の景色を何気なく見ていたら、ビルの窓に映る人影がちゃっちい影絵になっていてそこでやっと気付いたけど、この景色はミニチュアの合成だった。
最初から飛ばすな。
話の筋は、ヨットでクルージングに出かけた男女7人が嵐に巻き込まれて無人島に漂着し、そこでマタンゴに出会ったりマタンゴになったりマタンゴに襲われたりマタンゴをやっつけたり強くないマタンゴがキュートだったりするというもの。

鳥も寄り付かない不気味な無人島で食料も乏しい中、人間のエゴがこれでもかと爆発する。
食料があれば独り占めするだろう、女がいれば襲うだろう、男が邪魔なら殺すだろう、美味いきのこがあれば食うだろう。
石井輝男の『恐怖奇形人間』や加藤泰の『真田風雲録』のようにぶっ飛んでいるのかと思ったら、ストーリーは意外と真面目。
前半は完全にサスペンスになっていて、無人島で見つけた難破船の船内に大量にこびりついた黴や、乗組員の死体が一つも無い謎、鏡が全て取りはずされている謎等、マタンゴ登場に向けて期待を煽る。
この映画で一番びくっとしたのはマタンゴ登場より、難破船の船内を探検中に作田(だったかな)が階段で足を滑らした瞬間だし、探検中に物音にいちいちびくつく男共の描写もしっかりしている。
カルト映画の定義はよく知らないがこれは極めて真面目な映画だと思う。
1作目ゴジラの系譜に繋がる核の恐怖や、現代社会のエゴを表出させ、はんっと言いそうなラストの教訓的なナレーションで締めくくるという。

7人のキャラクターも立っている。
青年実業家ですかしたへたれの笠井(土屋嘉男)。
笠井の部下で友人の作田(小泉博)。一番理性的で正義の人だったのに。。。
笠井の愛人で歌手の麻美(水野久美)。後半の水野久美のエロスがやばい。
大学助教授の村井(久保明)。理性的で一番つまらない。
村井の教え子の大学生明子(八代美紀)。自分じゃ何も決められない意思の弱い女。
作家の吉田(太刀川寛)。頭悪そうに見えて作家。
臨時雇いの漁師小山(佐原健二)。無人島で一番たくましく生きる男。

女性がきのこを食すると妖艶になるという設定らしい。
雨に濡れた水野久美の異常なまでにみずみずしい肌のエロス。
「おいしいわー」と恍惚の表情できのこを齧り、きのこ達は喜んでむくむくと成長し、大量のきのこの中心に妖艶な笑みを浮かべて座すマタンゴ軍団の女王のような水野久美。
物凄い暗喩だ。

タイトルクレジットに天本英世の名前があったけどどこに出ていたのだろうと思ったら、まだ人の形を留めるマタンゴ役だったらしい。
あんな特殊メイクしていたら絶対分らない。

2004年11月21日日曜日

映画『怪獣総進撃』

1968年 監督:本多猪四郎
BS2 録画


怪獣総進撃

怪獣が、皆兵器に。
キラアク星人とかいうなめた宇宙人に操られてしまう哀れなゴジラ/ミニラ/アンギラス/ラドン/モスラ/ゴロザウルス/クモンガ/マンダ/バラン/バラゴン。
やっとキラアク星人のコントロールを免れたと思ったら今度は人間ごときに操られてしまう。
自己の尊厳を踏みにじられた偉大な怪獣達は、そのうっぷんを全てキングギドラに向けて解き放つ。
キラアク星人によってやむなく召喚されたキングギドラは理由も分からないまま地球の怪獣達の手で集団リンチにあってしまう。
かなり悲しい映画。
富士火山脈一帯の地底くらいキラアク星人にくれてやればいいものを。悲しい表情で無残に殺されちゃって。
久保明ののーてんきな顔が憎くもなってくる。

人間のストーリー部分はそんなに面白くなかったな。

2004年11月20日土曜日

映画『三大怪獣 地球最大の決戦』

1964年 監督:本多猪四郎
BS2 録画


三大怪獣 地球最大の決戦

高田稔がぁ!自治大臣。
若林映子がぁ!金星人。

セルジナ王国はどこにあるのだろう。日本語圏のヨーロッパ、かつ中世なんだろうな。
セルジナ王国の王女が暗殺計画から逃れるためにはるばる中世からセスナ機で日本にやってくる。
しかし暗殺の手は既に回っており、セスナ機は爆破。
しかし王女は危機を回避し金星人になった。
セルジナ王国の役を任された俳優達は衣装を見た瞬間断らなかったのが凄い。

インファント島がどこにあるのか知らないが、モスラが日本にたどり着く前にキングギドラによって日本は壊滅しているだろう。
キングギドラを造型した人は凄いな。神獣の如く。
最強の宇宙怪獣キングギドラから地球を守るためにモスラがゴジラとラドンを説得する。
怪獣語があるという設定で来たか。子美人ザ・ピーナッツが訳してくれる。
「争いをやめ、皆で力を合わせて地球をキングギドラの暴力から守ろうと言っています」
「ゴジラもラドンも、俺達の知ったことか勝手にしやがれ、と言っています」
そっぽ向いてふてぶてしい顔したゴジラとラドン。
怪獣に人間のような人格まで与えてしまうとは。しかも小学生並の人格で笑える。
徹底的に娯楽作品を貫いて突き進んでいく姿勢、ってどこまで行っちゃうんだろう?今の時点でもうかなり首絞めてるぞ。
ゴジラやラドンの主張を聞いた夏木陽介は「ちきしょぅ!分からず屋っていうのは人間だけじゃないんだな」
出た!人間様のご都合主義が。ゴジラとラドンをどうやって倒すか討論していたのにキングギドラが強大だと知ったら今度はゴジラとラドンを利用してキングギドラを倒させようとするなんて。
でも夏木陽介は、王女の性格を取り戻した金星人若林映子に「そなたは・・・誰じゃ?」と聞かれて、「私は日本の警察官。そしてあなたのボディーガード!」とクールに決めてくれたからOK。
「ボディーガード」と言いつつ振り向いてかっこよく暗殺者に銃弾を撃ち込もうとするが暗殺者の銃弾であっけなく拳銃をがけ下に落とされてしまう夏木陽介の「あっ」という間抜けな表情もGOOD。

映画『キングコング対ゴジラ』

1962年 監督:本多猪四郎
BS2 録画


キングコング対ゴジラ

北極の氷が溶け、眠っていたゴジラが復活!
北極基地のトンネルからミニチュアの戦車が勇ましくぞろぞろ出てきて、海の中からのろのろ近づいてくるゴジラに向けて一斉射撃。
圧倒的強さのゴジラは戦車の砲弾が当たってもびくともしない。赤い砲弾はまるでボールみたいにゴジラに当たっても跳ね返るだけ。
なんという頑丈かつ弾力のある皮膚でしょう。
瞬間移動並みに突然基地のある島に上陸を果たしたゴジラを見たらこりゃかなわんってことで戦車はぞろぞろトンネルの中に引き返す。なんと簡潔な表現。

一方、スポンサーであるパシフィック製薬の宣伝部長多胡(有島一郎)から特命を受けたTTVテレビカメラマン桜井(高島忠夫)と演出部員の古江(藤木 悠)は南海のファロ島へ巨大なる魔神(キングコング)を探しに旅立っていた。
ゴジラがどうこうとかじゃなくてただ単に視聴率アップのために。
~略~
そんなこんなでキングコングとゴジラが対決する。

締めのセリフ。
「今の僕に言えることは・・・人間は改めて動植物の自然に適応する能力に学ぶべきだ・・・それだけしか言えないね。」
ど、どこからこんな結論が?
「今の僕に言えることは・・・人間は改めて傲慢で自分勝手で地球上に人間しか生物がいないと勘違いしていることを自覚するべきだ・・・それだけしか言えないね。」
「今の僕に言えることは・・・人間は改めてキングコングに対して与えた自分勝手で残酷な仕打ちを鑑みて罪悪感に苛まれるべきだ・・・それだけしか言えないね。」
キングコングのあまりの悲惨さに涙。

さて、キングコングとゴジラのどっちが強いか。
機敏さと体技ではキングコングが圧倒的に有利だろう。
だがゴジラの放射能火炎は反則的な破壊力がある。
ゴジラが放射能火炎でキングコングを倒す図は想像できても、ただの怪力ゴリラであるキングコングがゴジラを抹殺できる図など少しも想像できない。
想像通り1回戦は放射能火炎にびびったキングコングが頭をぽりぽり掻いて逃げてしまった。
ゴジラがトラウマとなった可愛そうなキングコングだが、麻酔銃で眠らされ、全く愛の無い縛り方で吊るされながらゴジラのもとへ空輸される。
麻酔から覚めた時には眼下にゴジラを発見。びっくりしてあばれるキングコングが本当にかわいそう。
しかし直後に大爆笑シーンが待っているのだけど。これは久しぶりに映画見て大笑いした。

なかなか笑いに溢れた娯楽作品。
ゴジラが落とし穴に落ちたり、石を投げようとしたキングコングが勢いあまって山の斜面を転げ落ちて岩で頭を打ったり。
基本は着ぐるみなんだけど、巨大蛸は本物の蛸の映像と合成している。結構気持ち悪い。
ところどころストップモーションも使われる。蛸が人間捕まえたり、ゴジラが尻尾で体を支えながら両足でけんかキックしたりするシーンで。
そうだ、ゴジラのこのストップモーションは可笑しかったな。
ゴジラはこの映画では結構機敏でかつキングコングに負けず怪力だった。キングコングが勝てる要素が見つからない。

ゴジラのみならずキングコングにまで襲われる"とろい"浜美枝を恋人に持つ佐原健二は可愛そうだ。
高島忠夫まで付いてくるし。