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2025年3月21日金曜日

映画『台風クラブ』

1985年 監督:相米慎二
製作国:日本
Amazonプライム




いやぁ、狂ってる。
長回し、ロングショット、画面の隅々(画面外含む)まで動く役者、奇行、狂気、ロリコン、と、この監督の全てが詰まったような映画なんだけど、狂気が研ぎ澄まされすぎている。
台風が皆をおかしくした、っていう理由付けで常識や倫理は吹っ飛ぶ。
思春期の生と性のあけすけで純粋な輝き。

冒頭の夜のプールのトプンっていう音からもう名作。
その後静けさから一転バービーボーイズの曲で水着で踊り狂う少女達。
おぼれて目を覚まさない明君に対してどこかのんびりしている周り。ここでもう狂気は始まっている。
しかも明君がおぼれた理由は、少女たちに水泳パンツ脱がされコースロープ巻きつけられてプールの中を引きずり回されたからだったw
いじめというか殺人未遂。
しかし少女達の楽しい笑い声にはいじめ特有の悪意が無い。
ただ遊んでいただけなのだ。
実際明君はいじめられっ子でもなんでもなく、殺されかけたことよりパンツ脱がされたことにテヘッとしている。
かけつけた先生(三浦友和)も目覚めた明君達をぺしぺし叩きながら、既に我関せずでプールで遊んでいる少女たちに「本当ろくでもないなお前ら」で終わり。
こことラストで死の概念が出てくる。死の対比の生。
まだ何者でもない(人間でもない)少年少女が、大人になる手前でもがきながら今の瞬間瞬間を全力で生きている。
その圧倒的な生の輝き、好奇心や無邪気さの前では倫理や理性は邪魔でしかない。
そしてそのタガが外れた純粋さは大人から見ると結構恐怖でもある。

明君、授業中えんぴつ鼻に突っ込みまくっているのめっちゃ笑える。

台風がすべてをおかしくした。っていうか台風の前からだいぶおかしいけどね。台風中は特にやばい。
レイプ未遂でYシャツずたずたで血も点いているのに誰も何も言わないし。美智子(大西結花)もその後なんかケロッとしている。

よくわからないカットのつなぎから、大空をバックに座り込む理恵(工藤夕貴)のシーンが一番好きだな。
風切り音と息遣いと笑顔。何か始まる前の不穏さと笑顔。
あと工藤夕貴の嵐の中のもしも明日がの狂気シーン。

よくサムネで見かける下着姿の少女達が雨の中踊り狂っているシーンはその先まであるとは思わなかったな。
この踊り狂うシーン見ていると『ポンヌフの恋人』の花火の中踊り狂うシーンを思い出した。

純粋でない大人代表の教師役で三浦友和。
主役の三上恭一は鶴見慎吾の弟らしい。
鶴見慎吾もそのまんま兄役で出演している。
ロリコン大学生役に尾美としのり。
温厚そうで見事な入れ墨持ちの教師の彼女のおじ役で佐藤允。
寺田農がどこに出ていたのか分からなかったが、健の同居人役らしい。顔が映らないので全くわからない。
佐藤浩市も全く分からなかったが、体育館で台風来るぞと言っている教師らしい。わからんw
めがねのみどりちゃんは声優の渕崎ゆり子。

この予告編めちゃ奇麗ね。4Kレストア版らしい。

2023年1月29日日曜日

映画『翔んだカップル』

1980年 監督:相米慎二
製作国:日本
BS録画




相米監督のデビュー作。
原作は柳沢きみおの人気漫画。
中学生かと思うくらい童顔な薬師丸ひろ子と鶴見辰吾がスクリーン狭しと動き回る。
デビュー作から相米って感じだったんだな。
自転車のシーンとか、庭から坂を滑り出すまでそこ1カットかよって思ったり、ローラースケートで電話のシーンでは瓶ジュースを持った薬師丸ひろ子が画面奥の居間側から現れてびっくりしたり。
長回しや少しのドリーで空間を一気に広げたりスクリーンの外で動きを持たせたりっていうやつね。

石原真理子はこの時はまだ杉村役のためにスカウトされた無名の新人だったらしい。
なんか恐ろしく大人びた雰囲気を漂わせている。

真田広之と原田美枝子がイケイケの大学生として一瞬、ほんと一瞬だけ顔が映る。

2011年2月6日日曜日

映画『セーラー服と機関銃』

1981年 監督:相米慎二
BS2 録画


セーラー服と機関銃  デジタル・リマスター版 [DVD]

好きな監督だけど、このブログに相米慎二のタグが無いってことは彼の監督作を見るのは少なくとも8年ぶりくらいになるのか。
昔一度観た『セーラー服と機関銃』を再見。

何度観ても面白いな。
ヒットすることが目的の商業映画なのにあまりに自由だ。
円広志と林家しん平の漫才のようなやりとりに始まり、ヒロインのトップアイドル薬師丸ひろ子の登場シーンは間抜け面したブリッジ。
とそこまではちょっと奇抜でひねくれた奴ならちゃっちい反抗心でやりそうだけど、クレジットタイトルの終了とともに薬師丸がしゃがんだ瞬間、薬師丸の目線がちょうど踏み切りの遮断機でぴったり隠れるっていうのはどうだ。
クレジットタイトル中に柳沢慎吾と光石研とあと一人の薬師丸取り巻きトリオが、ワンカットの中で不自然なまでに自在に位置を変えて動き回っているのを、ああ相米慎二だなぁと思ってぼーっとしている所で現れるこの唐突な目線隠しにはちょっと度肝を抜かれた。
クレイジーだ。。。

相米の他の作品同様、内面的にも動作的にも絶えず変化し続けていく少女を、長回しのカメラや超俯瞰の引きのショット等様々な位置から執拗なまでに追いかけていく。
どっからでも見てるぞ、というのがたまに偏執的な狂気を感じるほどに。
自在に動く予測不能な少女の動きを根気強く見守るわけだから、カメラの動きは大らかであって、薬師丸の後頭部に隠れて話し相手がほとんど見えなくなっちゃったり、引きのカメラがパンすれば植木や柱に阻まれて何も見えなくなっちゃったりもするのだが、それはつまり遮蔽物により対象への注視力が増すということでもあり、映画が常にそうであるため忘れてしまうがカメラといういるはずのない第三者の視点がごつごつとした手触りで浮かび上がってくるということでもある。
監督と一緒に少女(少年)という不定形な存在が発散する予期せぬ力と、内在する心の機微を見つめる、というわけだ。

「カ・イ・カ・ン」の有名な機関銃掃射シーンでは薬師丸の右頬にいつのまにか血糊が付いている。
火薬に驚いたのか反動で体が斜め右後ろに向き、そのまま二回目の掃射を行なうのだけど、この時顔が後ろ向いて隠れているからその一瞬で血糊を付けたのかな。
それにしてもその後つーっと血が線を引いて流れるから絶妙な血糊の量だ。
右後ろへの掃射は危うく仲間を撃ち殺すことにもなりかねず、NGかと思いきやOKにしたのはこの絶妙な血糊のせいかもしれない。
・・・と思ったら血糊じゃなくて、破裂して飛び散った瓶の破片で本当に怪我していたらしい。

ばんばんばんばん、泣くまいと思っていたのに『お引越し』もそうだったけどラストは反則だよな。

ストーリーは展開がよく分からないのだけど、『セーラー服と機関銃 完璧版』とかいうのがあるからそちらの方だといくらか話の流れのつじつまが合っているのかもしれない。

組員明を演じている人がどこかで見たことあると思っていたら酒井敏也だった。

そういえば何年か前に長澤まさみで再ドラマ化されていたな。
怒りを覚えるくらいつまらなかったけど。