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2016年12月4日日曜日

映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』

2016年 監督:岩井俊二
製作国:日本
at ギンレイホール




臨時教師として働く皆川七海(黒木華)はSNSで知り合った鶴岡(地曵豪)ととんとん拍子に結婚。
ここまではまあ普通っぽいが、式の出席者の都合で安室(綾野剛)という男に会ってから、七海の人生は狂いだす。
いや、別に七海が安室と不倫するとかじゃなくて、安室にいいように操られるというか、いや操られているのにまあ七海にしてみればいい方向に向かっているからサスペンス的なものでもないし、蒲田とかいうごみごみした街から大豪邸にいく落差はファンタジーでもあるし、結局結婚が続いていても不幸になっていそうだから「狂いだす」という言い方は適切じゃないかもしれない。
天然っぽい七海が騙されたり操られたりしながら、そんなことは露知らずに純粋に泣いたり笑ったりするのを愛でる映画。
黒木華って可愛いわけでも美人でもないのになんか引き付けられるんだよね。
きらきらした光に照らされる美少女っていういつもの岩井映画のシーンでもなぜか映える。

地曵豪って人は初めて見たけど、電話で起こっている姿がなんかぞっとするくらいリアルで怖かった(役柄もあるだろうが)。

里中真白役は見たことあるけど思い出せず、市川実和子実和子姉妹のどっちかかなぁと思っていたらエンドロールでCoccoと知りびっくりする。
こんなに普通に、いや、普通以上に演技できるんだ。
それにしてもやせすぎだろ。。でも役柄にぴったり。

エンドロールに名前があった夏目ナナはあのマネージャ役の人だったのか。
雰囲気変わったのかな。
あと、希崎ジェシカとか森下くるみとかもちょい役で出ている。

りりぃはこの時は元気そうだな。ご冥福をお祈りします。

ああ、あとふんだんに使われるクラシック音楽はだいたいうるさかった。

2007年11月10日土曜日

映画『花とアリス』

2004年 監督:岩井俊二
BS2 録画


花とアリス 特別版花とアリス 通常版

岩井俊二は前に一作、なんだっけな、『PicNic』かなんか見て、やっばー、このオタク世界に全然ついていけない、っつって。
それから岩井俊二は一切見ていない、っつって。
のだけど『花とアリス』はそういえば蒼井優がバレエを踊っているとかいう情報を聞いたような気するな、っつって。
見てみる。
むーん。この映画で坂本真が語尾に「っつって」と必ずつけるのね。段々うざくなってくるのだけど、たまに使ってみると結構楽しいかも。

で、この映画、やっばー。蒼井優がよすぎる。
ちょっとした表情のかわいらしいこと。
鼻を両手の人差し指ではさんで鼻声で「ごめんなさい」と言っても蒼井優ならOK。
そして鈴木杏と蒼井優の掛け合いも奇跡的な絶妙さで面白いしな。

アリス(蒼井優)とハナ(鈴木杏)は親友で一緒の高校に進学する。
ハナは中学時代に駅のホームで見かけてあこがれていた先輩のいる落語研究会に入部。
先輩の下校を尾行しているところで先輩がシャッターに頭をぶつけて気絶。
なんだかんだでハナは先輩を記憶喪失扱いしてちゃっかり彼女の位置に収まる。
自分の名前も覚えているし最近の事も覚えているのに、彼女のことだけは忘れてしまったという記憶喪失。
んな馬鹿なと思ってもこの先輩はぼーっとした変なやつなので、騙されてもなんか納得。
コメディだよね。
嘘がばれそうになったため、ハナはさらに嘘を重ねて親友のアリスを元カノに仕立て上げる。
元カノの事まで忘れたのか!
先輩は過去の記憶を思い出そうとアリスとデートを重ねる。
まあ、三角関係。

ストーリーの主軸はこの三角関係なんだけど、話は結構大きく広がる。
まず主役二人の背景の描き方が上手い。
アリスは母子家庭で母親(相田翔子)は新しい彼氏とデートばかりしている。
家の中は臭くない程度に乱雑。家事をしていないらしい。
そんな家庭だがアリスは奔放で明るい。
本当の父親ともよく会う。というか父親が大好きらしい。
ハナの頼みに付き合って先輩に元カノのふりして接するが、アリスは先輩とのありもしない過去の記憶たどりデートを、父親との懐かしい過去の記憶たどりに常に置き換える。
これが最後の方でトランプのハートのエースとして油断すると泣きそうになるくらいのいい話になるんだな。
明るいアリスに対して、暗くはないがどこか狂気を秘めたハナ。
臆病なのか大胆なのかわからない。
憧れの先輩の彼女になる手腕はコメディの世界だったけど、ハナの嘘は夢野久作の『少女地獄 何でもない』の世界だった。
激しい嫉妬とまくしたてる嘘の狂気。
嘘を重ねて自分の首を絞めていき、「先輩が私のことを好きなったという事実は・・・ありません」という悲惨な言葉をはく羽目に陥る。
でもいいシーンだけどね。
ハナの背景はいまいち描かれないのだけど、ラストの方で思いがけない形でハナの過去とアリスとの関係が明かされる。
ああ、これで十分です。
そして過去と擬似過去の現在が交錯する中で未来の線も折り重ねてくる。
アリスはスカウトされて芸能事務所に入っていろんなオーディションに出るのね。
奔放なアリスも社会に出ればおとなしい女子高生。このギャップ。
社会には一癖も二癖もある連中が待ち受けてるし。ルー大芝とかアブちゃんとか。

つっこみどころはとりあえず置いておこう。トランプのカードが10年近くも浜辺に落ちているわけねーだろ、とか。