2010年3月28日日曜日

映画『劔岳 点の記』

2008年 監督:木村大作
at ギンレイホール


劔岳 点の記 メモリアル・エディション [DVD]

16時くらいの回から見に行こうと家でのんびりしていたが、正確な時間でもチェックしておくかと調べると15時25分からではないか!
『劔岳 点の記』が2時間超の大作らしく、いつもより時間がずれている。
慌てて仕度して家を出る。
木村大作。昔テレビで椅子にふんぞりかえって偉そうに語っている姿を見て印象はあまり芳しくない。
期待度は低かったのにさらには長いという事実を知って、その上いきなりこんなに慌てさせられてテンションは下がる一方です。

木村大作の初監督作品で撮影も自ら行っている。
出演者が無駄に豪華で有名どころがいっぱい。
まず浅野忠信が主演。
で仲村トオル、國村隼、笹野高史、小澤征悦、田中要次などが出てきた後に宮崎あおいまで!
そして準主役といっていい案内人役で香川照之。
他にも役所広司、井川比佐志、夏八木勲、松田龍平、モロ師岡、鈴木砂羽、石橋蓮司、新井浩文と次から次へとよく集まったもんです。
皆監督を慕って出演したのだろうか。

明治時代後半、国防のために日本地図を完成する必要があったが、最後にして最大の難所として劔岳が残っていた。
陸軍参謀本部陸地測量部の測量手柴崎芳太郎(浅野忠信)は劔岳の初登頂及びその測量を命じられる。

猛吹雪、一歩足を踏み外せば即死のような絶壁、クレバス、雪崩、落石、という過酷な環境での撮影は大変でしたねぇと素直に思う。
紅葉に雪景色、厳しさも穏やかさも様々な劔岳の表情が映し出されていく。
撮影の技術的なことは知らないのだけど、きっと並のカメラマンではできないような技術と経験を駆使してその瞬間に撮れる風景を限りなく最高な形で切り取っているのだろう。
確かに、絵葉書にでもすれば綺麗そうな風景がたまにある。
ただ、写真を見たければ写真集でも買ってくればいいし、劔岳の荘厳な映像を見たければ日本の名山シリーズでも見ればいい。
映画という形態にした以上、映画としてそれなりに楽しませて欲しいところだけど、なんかところどころ微妙で残念。

まず音楽がうっさい。
音楽は池辺晋一郎なんだけど、なんでこんなことになっちゃったのって思っていると、公式ページによればあの数々のクラシック音楽の選曲は木村大作が自ら行ったとのこと。

あと、一番盛り上がって一番感動的になるはずのシーンのあっけなさはかなり拍子抜けする。
順撮りしたと言っているから最後の方はスタッフの疲労が限界だったのかなぁ。
そもそも139分って長い!

映像で印象に残ったシーンを思い出そうとするが特に思い出せない・・
小市慢太郎の不適ないやらしい笑いくらいか。「遊びねぇ・・ふっ」

浅野忠信は人を寄せ付けない大自然の中より街中にいるほうが映えるよなぁ。
存在感と色気のようなものが自然の圧倒的な力の中で埋もれてしまうので。

笹野高史が國村隼より偉い地位ってどうなのよ。

公式ページのメニューが面白い。
普通は「コメント」というメニューが「称賛のコメント」になり、「監督について」などのメニューが「伝説の活動屋木村大作」になっている。
これは木村大作の性格を意図的に反映したギャグか。なかなかやりおる。

2010年3月22日月曜日

熊木杏里ベストアルバム『風と凪』

昨日買ってきた。
熊木杏里『風と凪』。
3/10発売。

アルバム全部持ってるからベストアルバムっていっても全然興味なかったのだけど、未発表音源やらシングルのカップリングなど2,3曲聴いたこと無い曲が入っている。
しかも「一千一秒」は去年の東京国際フォーラムのライブバージョンらしい。
しかも「私をたどる物語」はフルバージョンらしい。

何か非常に豪華な箱に収められて2枚組みで3500円。
得したようなでも8割がた持っている曲だからうーむと思いつつも、聴いてみると8年近い軌跡が順不同にいしょくたになって熊木杏里を形成していて感慨深い。

風と凪

2010年3月21日日曜日

映画『熊座の淡き星影』

1965年 監督:ルキノ・ヴィスコンティ
BS2 録画


熊座の淡き星影 [DVD]

アメリカ人のアンドリュー(マイケル・クレイグ)と結婚したサンドラ(クラウディア・カルディナーレ)はニューヨークでの新生活の前にサンドラの故郷ボルテッラに訪れる。
実家で家政婦から弟ジャンニ(ジャン・ソレル)が度々訪ねてきていることを聞き顔を曇らせるサンドラ。
そして夜の庭でサンドラは弟ジャンニと再会し、二人はただならぬ抱擁を交わす。
次第によみがえってくる過去の記憶。不安を感じ出すアンドリュー。
この姉弟は何か秘密を隠している。
シスコンブラコンにエレクトラコンプレックス。先にエレクトラコンプレックスがあって誰も味方はいないってところでシスコンか。

随分と映像の闇が濃い。
暗いシーンはとことん暗い。
暗い中に浮かび上がる陶器のような白い肌のクラウディア・カルディナーレ、とはいかずにその褐色の肌のせいか、肌がくすんで見える。
クラウディア・カルディナーレはオールバックにして後ろで詰めている姿がほとんどなんだけど、オールバックよりばさっと垂らしているほうが断然色っぽいよな。

2010年3月14日日曜日

映画『レスラー』

2008年 監督:ダーレン・アロノフスキー
at ギンレイホール


レスラー スペシャル・エディション [DVD]

全盛期を過ぎたプロレスラーランディをミッキー・ロークが演じる。
ドキュメンタリータッチに描かれるランディの生活は貧しいものだった。
平日は主にスーパーで働き、週末は各地の小さな会場でのプロレス巡業に出かける。
家族は離散し、孤独な一人暮らし。
家賃すらまともに払えない状態。
それでも過去の栄光とはいえ人気は高いので、プロレス会場では大コールが起きたりする。
華やかな舞台と地味な生活のギャップが生々しい。

落ち目のせいなのかハードコアの試合までこなす。
有刺鉄線は食い込むわホチキスみたいなものを何発も体に埋め込まれるわで大ダメージなんだけど、そんな試合をしなければいけないこと自体はなんとも思っていない。
痛みよりも観客が喜んでくれれば何より嬉しい。

「苦痛なのは外の現実だよ」とわがままな子供のように寂しげに微笑むミッキー・ロークにやられる。
ミッキー・ロークです。
80年代に一躍トップ俳優に躍り出たものの共演者や監督との確執を繰り返し、ギャングとのつながりなど、次第にマスコミのバッシングの対象となり俳優業から遠ざかっていく。
そして元々アマチュアボクサーでもあったロークは90年代にはプロボクサーに転向。
92年に両国で行われた試合では1RKO勝ちするものの、フィニッシュブローは猫パンチと揶揄され、比較的温かい声援を送っていた日本のファンも遠ざかっていく。
とはいえロークはかなりボクシングに打ち込んでいたらしく、鼻や頬の骨折から脳の損傷までかなりのダメージを負う。
約4年間ボクサーをやったあとにカムバックするがボクサー時代の後遺症による整形→顔面崩壊や離婚騒動や暴力事件等々ゴシップニュースでしか話題に上らなくなる。
かなり荒んだ生活をしていたらしい。
「80年代最高、90年代最低」です。
(と、とっくに引退した役者だと思い込んでいたくらいの知識しかなかったので調べてみた。)

この映画はスタジオ側はニコラス・ケイジを主演にと考えていたらしいが、監督のダーレン・アロノフスキーはミッキー・ロークを起用。
集客力のあるケイジを起用しなかったせいで制作費が大幅にカットされたらしい。
そこまで期待されたらその期待に応えなきゃ男じゃありません。ミッキーは全てを賭けてこの映画の撮影に臨む。
主人公ランディとミッキー・ロークという男の人生が重なるところがあるのでなかなか感慨深い。

試合のシーンはあまり多くないけど、なかなか様になっている。相当頑張ったんだろうな。
トップロープからダイブするスローモーションのシーンを予告編で見て楽しみにしていたのだけど、思いのほか感動的で泣きそうになる。
予告編だと思っていたけど公式ページで予告編を見るとそんなシーンないから、シネマ通信で見たのかなぁ。

ランディがギャラを貰ったときにいつも通うショーパブのストリップダンサー役にマリサ・トメイ。
50近いのにあの肉体はびっくり。
ランディの娘ステファニー役にエヴァン・レイチェル・ウッド。
この不細工加減がドキュメンタリーっぽさを出していていいと思っていたけど、エヴァン・レイチェル・ウッドは子役出身で今期待の若手女優らしい。
それにしてもこのステファニーという役は、わがままというか甘えん坊というか、いらっとくる。

映画『グラン・トリノ』

2008年 監督:クリント・イーストウッド
at ギンレイホール


グラン・トリノ [DVD]

クリント・イーストウッドの映画ってあまり見たことないのだけど、なんかこれ見たらアメリカ映画はクリント・イーストウッドだけでなんとか質を保っているんじゃないかと思えてくる。
面白いわ~。
物語への引き込みの妙は初期の黒澤明を超えてるね。

頑固で偏屈で差別主義で息子達にも疎まれている老人ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は妻に先立たれて本当に孤独な一人暮らしを始める。
彼の家の隣には移民のモン族の家族が住んでいて、まあいろいろあって今まで何の交流もなかったこの家族と付き合いだす。

とだけ書くと何も面白い要素がないように見えるな。
でも面白い。

脚本のニック・シェンクはこれがデビュー作らしい。
公式ページがなんかしょぼくて、なんだろうと思ったら、情報はpdfのプロダクションノートに押しやられていた。
というよりこのプロダクションノートをベースにWEBページを作っていたけど金の都合上か途中放棄された感じ。

2010年2月27日土曜日

映画『空気人形』

2008年 監督:是枝裕和
at ギンレイホール


空気人形 豪華版 [DVD]

夜のレインボーブリッジの永遠に続くカーブからゆりかもめの車内の板尾創路へ。
冒頭からいろんな意味で驚きに満ちた静謐な映像にテンションがあがる。

空気人形、つまりラブドール、ダッチワイフ。
空気人形が心を持ちました。
そしてレンタルビデオ屋の店員の男に恋しました。

主演のペ・ドゥナが惜しげもなく裸体を披露する。
ちょっとおしりがでかい気もするがなんと美しい裸体だろう。
性の対象というより美術品のような感じ。
ダッチワイフなんだけど。
これで30歳だから凄い。

ストーリーの方は当然のごとく寓話なんだけど、登場人物が皆現代人のストレスを抱えて病んでいるところがあまりに類型的すぎる気もする。
寓話だからいいのか。
いい人そうな店長の行為にはちょっとびっくりした。
現代人の闇が純粋な心と体を持ったダッチワイフによって浄化、されることなんかこれっぽっちもなく、付かず離れず彼女の笑顔の周辺をただ通り過ぎていく。

空気が抜けたときの「見ないで」という恥じらいから、好きな男に息を吹き込まれたときの満たされた官能とか、ただこれを描きたいがためにダッチワイフに心を持たせたのじゃないかと思うくらいエロティック。

エンドロールで原作が業田良家だと知る。
『ゴーダ哲学堂 空気人形』
って出て、「哲学」という文字を見た途端何か全てがチープで胡散臭く思えてきてしまった。
一つ一つの話がそれぞれ2,30行の文章で誰でもいろんな解釈で簡単に評論できそうなところなど。

ストーリーはまあいいとして、映像がとにかくいい。CGを除き。
撮影:リー・ピンビン
ホウ・シャオシェンの作品の撮影をよくやっている人らしい。
おお、『恋恋風塵(れんれんふうじん)』もこの人だったんだ。

そういえば足をぱたぱたさせて空に浮かぶシーンは予告編で見たときは泣きそうになったのだけど、本編では特になんでもなかったな。

映画『サイドウェイズ』

2008年 監督:チェリン・グラック
at ギンレイホール


サイドウェイズ (特別編) [DVD]

一本目は『空気人形』だと勘違いして見始めたら、オープニングから映像がちゃっちい。
ANAだし。
わざとちゃっちく撮っているのだろうかと思っていると、小日向文世が出てきてさらにうざいナレーションが入る。
ああ、もう一本の方だったか。

カリフォルニアにやってきた小日向文世が売れないシナリオライター役で、カリフォルニア在住で結婚目前の友人に生瀬勝久で、生瀬の独身最後のドライブ旅行に小日向が付き合って出発して、なんだかんだで菊地凛子や旧知の鈴木京香と出会っておっさんが若き日を懐かしむという話。
しっかしまあ123分もあって結構つらい。
こういうのはテレビドラマでやってほしい。

小日向文世と鈴木京香の組み合わせって『重力ピエロ』でもあったな。
だけどこの映画の小日向文世がとにかく冴えなくてしょぼい。
冴えないおっさんの独白。

生瀬勝久がぎょろ目でどうみてもかっこよくないはずが、なんかかっこいい。
役柄はどうしようもない駄目男ではあるのだけど、ただ一点、もてるという特技がある。
かっこいいからもてるのではなくて、もてるからかっこいいのだな。

菊地凛子はあまり好きじゃなかったのだけど、意外と可愛らしかった。
日本語がたどたどしいからかな。

2004年のアメリカ映画『サイドウェイ』のリメイクらしい。
こっちの方はいろいろ賞を取っていて評判よさげ。

2010年2月24日水曜日

川本真琴復活

朝に神奈川テレビかなんかをぼーっと見ていたらなんかのランキングをやっていて、どっかで見たことあるような女性が映っている。
テレビを付けてはいても、音も映像も全く頭に入らず意識は別世界に在籍していたのだけど、なんか気になって画面に集中してみると、あっ、川本真琴?!
アルバムランキング10位。

アルバム作りたいような話を大分前にWEBサイトで見たような気がするけどついに出したのか。
速攻買いにいかなければ。。。といっても次の休みまでは動けない。

2010年2月13日土曜日

映画『ポー川のひかり』

2006年 監督:エルマンノ・オルミ
at ギンレイホール


ポー川のひかり [DVD]
ポー川のひかり [DVD]

なんて不可解なんだろう。
不可解でエキサイティングな映画を久しぶりに見た気がする。

前回ギンレイに来たときに見た予告編なんかすっかり忘れたのでどんな内容だか曖昧なまま見始めたのだけど、冒頭の映像を見る限りこれはホラー映画?と思う。
このダリオアルジェントのような色合い。
イタリア映画ってみんなこんな色合いだっけと思ってちょっと思い出してみるけど、いやいやそんなことはないと思いながら見続ける。
どこかの古い美術館のようなところで老いた守衛が何か異変を感じて館内を見に行く。
美術館、と思ったけど大学らしい。
古めかしい建物に老人が一人。
「誰かいますか?」と恐る恐る部屋に入るところなんてホラー映画じゃん。
錠前のかかった檻越しに中を覗いた守衛が「なんという事だ!」ジーザスって感じで取り乱して階下に下り電話をかける。
警察がやってきて初めて檻の中を見せてもらえるのだけど、檻の中ではたくさんの古書が開かれた状態で床、そして机に太い釘で打ち付けられていた。
(そもそも図書館のドアがなんて檻なんだろう・・)

犯人探しのミステリーじゃないので犯人はすぐ判明する。
この大学の若き哲学教授だった。
髪ぼさぼさ髭ぼうぼうの教授はオープンカーを運転して田舎を疾走している。
教授は車を乗り捨て、橋の上から上着と金を抜き取った財布を投げ捨て自殺を装う。
そして川のほとりにあった半壊、いや全壊した小屋を住処として隠遁生活を始める。
やがて教授は近くの村人からキリストさんと呼ばれて村人の心の拠り所となっていく。

冒頭の大学から一変、川のほとりはホラーとは一切無縁の穏やかな風景。
穏やかだけど風光明媚ではないところも面白い。
このポー川流域というのは昔からイタリアの芸術家に愛された場所らしいのだけど。
人口なのか川原の砂浜で日光浴する村人のすぐ傍をモトクロスバイクが轟音と砂塵を巻き上げて何台も通り過ぎたり。

大学以外にホラーがあるとすれば教授の無表情さかな。
基本的に怖いくらい無表情で、笑っても目が笑っていないような。
キリストさんだからきっと常人と違う域に達しているのだろう。
こんな感じでもなぜか村人に愛されているので怖くはない。
ただ、最後の方でまた大学が映されるのだけど、そうするとまた一気にホラーの世界に引き込まれる。

ポー川のほとりにやってきた教授に興味を持って積極的にアタックしてくる若い女性ゼリンダがいる。
そんなに美人ではなく、若いといっても妙齢な気もするが、村人が年寄りばかりなので若さが目立つ。
開放的な若さで、下ネタもなんのその。
(そういえば江戸時代はお堅い武家の家庭でも家族ぐるみで下ネタを楽しんで皆で笑っていたらしい)
ゼリンダのはにかみを持った積極的な行動を見ていると純粋だなぁと思う。
ギンレイに来る前に読んでいた藤沢周の小説が不倫の男女のどろどろした都会の駆け引きの話だったから、なおさらそのギャップがまぶしい。

一番不可解なのはラストで、ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、ただ教授の真意がよく分からない。
キリストさんで寓話だからといえば、ありだけど。
泣かせちゃ駄目じゃないか、まったく。

この映画、ちょいちょいずらしてくるから、大きな展開が無いくせに面白い。
監督のエルマンノ・オルミはイタリア映画界の名匠で、もう80近い。
こんな人がいたんだな。

映画『ジェイン・オースティン 秘められた恋』

2007年 監督:ジュリアン・ジャロルド
at ギンレイホール


ジェイン・オースティン 秘められた恋 [DVD]

なんか丁寧に作ってあるなという印象。
120分あるんだけど飽きずに見れる。
ただ、もう細部が全然思い出せない・・

ジェイン・オースティンの伝記物。
生涯独身だったジェイン・オースティンだが、唯一燃えるような恋をした時期があった、ってところに焦点を当てた内容。

ジェイン・オースティン役にアメリカ人のアン・ハサウェイ。
お相手のトム・ルフロイ役にジェームズ・マカヴォイ。


見終わった後にギンレイの会員カードの更新をする。
10回目の更新。
記念すべき10回目だけど特に何かあるわけでもなく普通に更新。