2013年1月3日木曜日

映画『桐島、部活やめるってよ』

2012年 監督:吉田大八
製作国:日本
at ギンレイホール




テレビでCMがんがん流れていたからエンターテインメント性の強い映画なんだと思っていたけど、単館上映でひっそり公開してそうな映画だった。
朝井リョウのベストセラーの映画化ってことで宣伝に力入れていたのかな。
原作未読。

成績優秀でバレー部のキャプテンで、彼女は校内一の美人(らしい)、という学園の中心的存在の桐島が突然部活を辞めた。
辞めた理由は誰も知らない。
桐島を拠り所としていたバレー部やクラスの"イケてる"グループに走った衝撃は、桐島なんかと無縁だった他の生徒達にも波及していく。

生徒達の会話や空気感が非常にリアルで面白い。
学園ものの映画は多々あれど、生徒たちの会話にリアルを感じたのは中原俊の『櫻の園』以来だ。

週間少年マガジンに連載している『我妻さんは俺のヨメ』で、イケてる層、大丈夫層、イケてない層のピラミッド型ヒエラルキー図が出てきて、その時はあまり自分の高校生活と照らし合わせて実感がなかったけど、この映画見ていたら確かに"イケてる"グループみたいなものがあったような気がしてきた。
さすがに"イケてる"グループが"イケてない"グループを存在自体否定するように小ばかにするようなことはなかったとは思うけど、僕は授業はぎりぎりまでさぼってクラスにほとんどいなかったので実際はどうだったのかは分からない。
「おっまた~」みたいなくだりが気づいていないだけで、イケてない僕の身にも起きていたのかもしれない。
ああ、恐ろしいね~。

イケてないグループの映画部部長は、それなりに整った顔してるよなぁ、と思ったら神木隆之介だったんだね。
大きくなったもんだ。

イケメン菊池を演じた東出昌大は撮影当時23歳。

有望そうな若手が多く出演している中、前野朋哉を抑えて存在感を一番発揮していたのが橋本愛。
この子缶コーヒーのCMに出ていた子だよな。(このCMは暫く前田敦子だと思っていた)
かわいいとか美人っていうより、神秘的と言ったほうがいくらかしっくりくる不思議な顔立ちと存在感。
校内一の美人役の子とか、イケメン菊池の彼女役の子とか、橋本愛と並ぶと低級な庶民に見えてくる。
クレオパトラとかこんな顔してたんじゃないだろうか。
好きな顔立ちじゃないけど、今後が楽しみだな。
それにしても前田敦子の女優の道は橋本愛によりつぶされたと思って差し支えないと思う。

映画『テルマエ・ロマエ』

2012年 監督:武内英樹
製作国:日本
at ギンレイホール




初め30分くらいは超面白かったけど途中からなんか少し飽きてきた。
そりゃあずっとどたばたやっていたら疲れちゃうから次第にストーリーにシフトしていくのは当たり前の流れだけど、ストーリーがそれほど面白くない。
温泉宿のおっさん連中が出てきてからはあざとさも気になってくる。
広大なローマとせまっくるしい日本の対比も面白いし、日本のおじいちゃん達も面白かったんだけど、なんか惜しい感じ。
シリーズのドラマにしてゆったりやれば面白くなりそう。

監督の武内英樹はのだめドラマの演出家やっていた人らしい。
ああ、そうそう、このノリはまさにのだめじゃん。

ローマのシーンはCGじゃなくてセットに見えたけどどうなんだろうと思ったらやっぱりセットだった。
海外ドラマ『ROME[ローマ]』のセットを借りたらしい。

2013年1月2日水曜日

TVM『サンゴ礁伝説 青い海のエルフィ』

1986年 監督:黒田昌郎
製作国:日本
TOKYO MX録画




「サンゴしょう伝説 青い海のエルフィ」と汚い字で書いた紙の切れ端を勉強机にセロテープで貼り付けていて、結局勉強机を処分するまでの10数年の間確か貼りっぱなしだったと思う。
なんでそんなもの貼り付けていたかというと、小学生の頃テレビで見たこのアニメに号泣し、次放送したら絶対ビデオに録画しようと思っていたから。
(この紙があったからふしぎの海のナディアが始まったときも間違って見ることはなかった)

新聞取っていないので普段めったにテレビ番組表を見ることはないのだけど、12/30に寝る前になにげなくネットで番組表を見たら『サンゴ礁伝説 青い海のエルフィ』の文字が見えて慌てて録画した。
偶然ってあるものだ。

ラストは覚えていたけど、細かいところは全く記憶に無く、始めて見る様な感覚で鑑賞。
いやぁ、いい作品だな。
ラストが普通のハッピーエンドだったら全てが記憶の彼方に飛んでいただろう。
そういえば、小学生の頃から高校生くらいまで僕は普通の職業に付く気がなかった。
建設系の仕事はもとより、経済に関わる仕事も含めて、とにかく人類の発展に少しでも繋がるような仕事はしたくなかったから。
このコンクリートのジャングルにどうやったら自然を取り戻せるのだろうと小学生の時まじめに考えていたからな。
そんな考えをしていたのも、そのルーツはこのアニメを見たからじゃないかと思えてきた。
さらなる豊かさを求めて海底でちょっと土木工事をしただけで「海を荒らした」って事になるんだから。
「人類の発展=自然破壊」なんだから、人類はもう発展をやめて現状維持、いや最早現状維持でも自然は破壊されていくからとりあえず退化しとこうぜ。

映画なのかと思っていたら、日本電信電話の冠スポンサー枠として放送された単発のスペシャルアニメだったらしい。
エルフィのキャラクタがナウシカと被るのだけど、さらにエルフィの声はナウシカと同じ島本須美さん。
アルカスの声は城みちる。
城みちるの再デビュー作品として話題になったらしい。
イルカにのった少年はアニメの中でイルカと戯れていました。

2012年12月16日日曜日

映画『ル・アーヴルの靴みがき』

2011年 監督:アキ・カウリスマキ
製作国:フィンランド/フランス/ドイツ
at ギンレイホール




フランス北部の港町ル・アーヴルで靴磨きを生業としているマルセル(アンドレ・ウィルム)は、誰もが認めるよくできた妻アルレッティ(カティ・オウティネン)と慎ましく暮らしていた。
しかしある日アルレッティは倒れて入院してしまう。
医師から余命宣告を受けたアルレッティだが、夫にはそのことを隠し通すことを決意する。
一方夫のマルセルはアフリカからの密航者で、母のいるロンドンに行きたがっている少年イドリッサと出会い、彼をかくまいながらイギリスへの密航のための資金稼ぎに奔走する。

アキ・カウリスマキの5年ぶりの新作らしい。
最近全然見ていなかったから僕は10年ぶりくらいだけど。
なんかタッチはそのままでストーリーは分かりやすいハートウォーミングドラマになっている。
誰もが楽しめるエンターテイメント性に強くなるって方向に進化しているのは嬉しいような少し寂しいような。
でも確実に面白かったな。時間も93分とちょうどいい!

今気づいたけど、キャスト見ていたら密告者役がジャン=ピエール・レオになっている。見ているときは全然気づかなかった。

映画『汽車はふたたび故郷へ』

2010年 監督:オタール・イオセリアーニ
製作国:フランス/グルジア/ロシア
at ギンレイホール




グルジアのオタール・イオセリアーニ監督の半自伝ドラマ。
映画監督の青年ニコラスは、検閲や規制に耐えかねて祖国グルジアを飛び出しフランスに亡命する。
これでやっと自分の撮りたい映画を撮れると思ったニコラスだったが。

一応ジャンルは「ドラマ/コメディ」になってるな。
予告編を見ると面白そうだったんだけど。
とにかく長いわ。126分。
劇中、青年が作る映画に対しておっさんが「映画は90分で収めなきゃ駄目だ」みたいなことを呟くシーンがあるけど、まさにそうだ。
グルジアを飛び出すまでいったい何時間かけるんだ。
(飛び出した後も飛び出す前といろんな意味で何も変わらないのだが)

セリフも少なくて読み取る集中力が必要なのに、なんかしらないけど早々に集中力も切れてあまり楽しめなかった。
なんだろう、長まわしもセリフが少ないのも好きな方なのに。
バランスがなんかおかしいからかな。
電車の車体がカーブに疎って蛇腹のように緩やかにうねる美しいシーン以外はそんなに印象的なシーンもないし、ストーリーがめちゃくちゃ面白いわけでもないし、それほど笑えるわけでもないし、役者はなんだかたどたどしいし、唐突に出てくる人魚は違和感ばりばりだし。
・・・って書いてみると、逆にもしかして凄いんじゃないかと思ってきた。
はちゃめちゃだったらB級映画になるけど、盛り上がりも盛り下がりもせず、ともすれば破綻してしまうような唐突なSF要素もなんか許せてしまう寛容なフラット感は絶妙なバランス感覚でこそなせる技なんじゃないか、と。
今度機会があったらもう一度見てみようかな。でもやっぱり長い。

そういえば熊の檻にすたすた入っていって手で魚をえさやりしているのはびびった。

2012年12月2日日曜日

映画『裏切りのサーカス』

2011年 監督:トーマス・アルフレッドソン
製作国:イギリス/フランス/ドイツ
at ギンレイホール




ジョン・ル・カレの1974年のスパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の映画化。
東西冷戦時代のイギリスの、英国諜報部サーカスを舞台にした映画。

登場人物を把握するのに集中しようとしていたのに、最初の方ちょっと寝てしまった。
細かいところがよくわからなかったものの、なかなか面白かった。
登場人物達が皆渋い。
そして過酷な仕事ながらも皆人間臭い。
内容を全部理解しなくても、この映画がもつ雰囲気だけで十分楽しめると思う。
イリーナも美しいし。

映画『ドライヴ』

2011年 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ピンク色のタイトルからしてB級臭がぷんぷん漂うとおり、フィルムノワール風のB級映画だった。

自動車修理工場で働きながら映画のカースタントもやっている流れ者の男(ライアン・ゴズリング)は、その卓越したドライビングテクニックで夜は強盗の逃走の手助けをする仕事をしていた。
寡黙であまり人と接しない男だったが、同じマンションに住む母子と知り合い、ともに時間を過ごすようになる。
この母親(キャリー・マリガン)の夫は刑務所に服役していて、夫が服役したところから事件が動き出す。

お前ただのドライバーだろ?っていう先入観を持っているとびっくりする。
危険な人物だと思っていた男が実は小物(というかいい奴)で、その上にいる奴らこそ危険だ、と思ったらそいつらも小物で、さらに上に危険な大物が待っている。
悪の大物を相手取り、ただのドライバーなんかなすすべも無く消されるんじゃないかと思いきや、流れ者の男にとっては大物も小物も関係なく、皆くそみたいに格下の相手でしかなかった。

主演のライアン・ゴズリングが怖い。
顔がもう変質者っぽいのに、その上寡黙だったらもう近づいちゃ駄目だろう。
愛する者のすぐ傍で、倒れた敵の頭を狂ったように踏みつけて脳みそがぐちゃぐちゃに飛び出しても蹴り続ける狂気を見せつけられて引かない女はいない。
『きみに読む物語』では好青年だったのにねぇ。

ヒロインは『17歳の肖像』のキャリー・マリガン。

2012年11月18日日曜日

映画『オレンジと太陽』

2010年 監督:ジム・ローチ
製作国:イギリス
at ギンレイホール




1986年イギリスのノッティンガムで、ソーシャルワーカーのマーガレット(エミリー・ワトソン)は、ある女性から母親探しを依頼される。
女性の話では、自分は4歳の頃他の子供たちと一緒にオーストラリアに連れてこられたと。
子供たちだけで渡航するなどありえないと不審がるマーガレットだったが、後日似たような境遇の話を別の人間から聞いたことで本格的に調査を始める。
調べていくと、オーストラリアへの強制児童移民は、イギリス、オーストラリアの両国が国家レベルで関与していた事件だった。

実話らしい。
1970年までの間にオーストラリアに渡った子供の数は13万人というから驚きだ。
公式ページによると
「撮影中の2009年にオーストラリア首相が、2010年にはイギリス首相が、<児童移民>の事実を認め正式に謝罪」しているらしい。

映画の方は、サスペンス風ではあるけど、どちらかというと人間ドラマになっている。
主人公が被害者じゃなくて、スタート地点は事件と全く関わり合いの無かったソーシャルワーカーっていうところが話をこれ見よがしに重くさせずに済ませている。

監督ジム・ローチ。
名前から想像できるようにケン・ローチの息子。

エミリー・ワトソンはおばさんになったなぁ。

映画『少年と自転車』

2011年 監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ,リュック・ダルデンヌ
製作国:ベルギー/フランス/イタリア
at ギンレイホール




もうすぐ12歳になる少年シリル(トマス・ドレ)は、唯一の肉親である父親(ジェレミー・レニエ)により施設に預けられる。
シリルはいつか父親が迎えに来るはずだと信じているが、父親はもうシリルを捨てた気でいて、行方不明になる。
施設を抜け出し父親を探す途中でつながりのできた女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)に週末だけの里親を頼むことで、施設を抜け出さなくても父親探しをできるようになったシリルだが、見つけた父親は。。

愛情と居場所を求めてせわしなく自転車を漕ぐシリルと、いつのまにかこんな大きな少年に母性を発揮して恋人より大事になってしまうサマンサの姿が淡々と描かれる。
監督は『息子のまなざし』を撮ったダルデンヌ兄弟か。
確かにラストの方、ああ、この展開はやばい、と信じ込ませておいて、しれっとすかしていくやり方はこの兄弟っぽい。

話の題材はよくある話だけど、お互い切れやすい糸での繋がりを頼りに綱の上を歩いているような危うい関係性の緊張感がなかなか面白かった。

2012年11月4日日曜日

映画『屋根裏部屋のマリアたち』

2010年 監督:フィリップ・ル・ゲ
製作国:フランス
at ギンレイホール




1960年代のパリ。
証券会社を経営する資産家のジャン=ルイ(ファブリス・ルキーニ)の家には、先代から仕えるフランス人メイドがいたが、妻のシュザンヌ(サンドリーヌ・キベルラン)に反発して辞めてしまう。
新たにやってきたのは若く美しいスペイン人マリア(ナタリア・ベルベケ)。
ただの主人とメイドという関係だったが、アパルトマンの屋根裏で共同生活を営むマリアを含めたたくさんのメイド達の生活に、ジャン=ルイは次第に興味を抱いていく。
興味というかちょっと親切にしたらえらく喜ばれて神のように扱われて有頂天になったという感じ。

やがてジャン=ルイはマリアに恋するようになるのだが、ただのメイドを見る視線が劇的に変化する瞬間がある。
それはバスルームでシャワーをあびるマリアを偶然覗き見してしまう瞬間。
肉感的で抜群のプロポーションをしたマリアの後姿を覗き見て何も感じない男はいない。
理性ではメイドに対してそんな思いを抱いてはいけないと思いつつも、心は完全にこの瞬間にマリアに向いた。
男の恋愛なんてほとんどが性欲ありきだ。
特定の女性によって性欲を大きく刺激させられたら簡単に恋してしまう。
しかも覗き見ってところがまたいいよね。
いや、別に僕に覗き趣味があるわけじゃなくて、映画自体覗き見みたいなもんだから映画的だっていう。。

既婚者が別の女性に惹かれていくっていうのは大抵妻役が嫌な女だけど、妻のシュザンヌはそんなに嫌な人ではない。
えせブルジョワ風で高慢に見えるところもあるけど、1960年代っていう時代柄では性格の良し悪し以前に普通の価値観なのだろう。
純朴な少女のような心を持った田舎娘なのにねぇ。
ただ長いマッチ棒のような女性より肉感的な美女の方がいいよなぁってだけで捨てられたら可哀想でもある。

主演はファブリス・ルキーニ。
今、最も好きな俳優。
役にもぴったり。
この人は優しいのか冷たいのか、無表情なのか表情豊かなのか、変態なのか真人間なのかよくわからない不思議な魅力がある。
「冷たさと優しさを同時に湛えた読めないあの瞳に引き込まれていく」
っていう先日樹木希林について書いた言葉がそのまま当てはまりそうだ。
ということはファブリス・ルキーニはフランスの樹木希林と呼んでもいいかもしれない。
いや、役者としてはファブリス・ルキーニの方がすきだから樹木希林が日本のファブリス・ルキーニかな。