2015年 監督:ジャック・オーディアール
製作国:フランス
at ギンレイホール
スリランカの戦禍から逃れるためにフランスにやってきた元兵士のディーパン(アントニーターサン・ジェスターサン)。
一人でではなく、家族の方が難民として受け入れられやすいということで、他人のヤリニと母を亡くした少女イラヤルの3人の擬似家族として。
パリ郊外の団地で管理人の職を得たディーパンはそこでヤリニとイラヤルとともに嘘がばれないようにしながら新たな生活を始める。
最後にめっちゃディーパンが活躍してガキどもを始末するんじゃないかという予感と、もう戦いから離れて欲しいという希望が半々で、グループのボスもヤリニにはなんか優しい一面を見せるし、最後はどうすんだろうと思いながら鑑賞する。
ボスを演じたヴァンサン・ロティエはどっかで見たことあると思っていたけど全くの気のせいらしかった。
一応『ムード・インディゴ うたかたの日々』とかいう映画に出ていたらしいが記憶にないし。
エドワードノートンに少し似ているから勘違いしたのかな。
以下ネタバレ
最後はフィルムノワール的雰囲気。
無双すぎて少し引く。
車に乗っているときにディーパンが脳天ぶち抜かれたように見えたのだけどなんだったんだろう。
あそこで実は死んでいてイギリスの風景は幻想ってことなら、あの無双っぷりも納得がいくし悲しい結末だ。
敢えて死んだ瞬間を分かりづらくしてどっちとも取れるようにしたのかな。
2016年6月13日月曜日
映画『サウルの息子』
2015年 監督:ネメシュ・ラースロー
製作国:ハンガリー
at ギンレイホール
冒頭からピンぼけで何も見えない、と思ったら一人の男がカメラの前にやってきて無表情な顔がくっきりと映し出される。
この男が主人公のサウル。
ホロコースト映画。
ハンガリー系のユダヤ人のサウルは、同胞たちの死体処理を行う特殊部隊ゾンダーコマンドの一人として働いている。
ゾンダーコマンドも最後にはガス室に送られて処刑される運命らしい。
ガス室の血や糞尿処理、死体の運搬、灰の処分等々の重労働をいずれ殺す予定のユダヤ人にやらせる、って物凄い合理的だけど恐ろしいほどに残酷だ。
漫画やら映画やらで「お前に人の心はないのかー!」みたいなセリフを吐く状況が生易しく思えるくらいだ。もう殺す規模が違うし人でなしの数も多すぎる。
カメラはサウルを超接近して追いかけ続ける。
スタンダードサイズの狭い画面の中央にはいつもサウルがいて、サウルの位置にしかピントがあっていないので画面の奥はピンぼけしてほとんど何も見えない。
他のゾンダーコマンドの仲間もサウルと同じ位置に来たときだけやっと顔が判明する。
サウルの位置にしかピントが合わないっていうのは、耐え難い作業に視界や心を閉ざすしかないサウルの心情を表しているのかな。
それに周りの残虐な光景をそのまま映していたらその光景に訴えてくるものがありながらも、どこか映画という虚構から作り物の胡散臭さを感じてしまっていたかもしれない。
にしてもだ、回りの光景がほとんどピンボケしているっていうのはまあ、とにかく疲れる。
エキストラは凄い数がいて、結構な熱演をしていると思う(全裸だし)。ほとんど映っていないけど。
すっぽんぽんで物のように床をずるずる引きずられるのは痛そうだった。
サウルってもうだいぶ精神がおかしくなっていたんだろうな。
ある目的のためだけに、それが自分への救いでもあるかのように、仲間への迷惑を顧みずに突き進むサウルが悲しい。
仲間から見たら大迷惑なサウルだが、仲間たちが異常にサウルに優しい。
昔から知っている同郷の友とかだったりするのだろうか。
ラスト近くの少年のシーンは怖かった。
さんざん地獄を見せられた後に違う世界から来たかのような地獄と全く無縁な少年がするーっと現れるから「なにこれ」と思って一瞬凍りついてしまった。
「違和感」って最近の映画じゃめったに見なくなったな。いいシーンだった。
製作国:ハンガリー
at ギンレイホール
冒頭からピンぼけで何も見えない、と思ったら一人の男がカメラの前にやってきて無表情な顔がくっきりと映し出される。
この男が主人公のサウル。
ホロコースト映画。
ハンガリー系のユダヤ人のサウルは、同胞たちの死体処理を行う特殊部隊ゾンダーコマンドの一人として働いている。
ゾンダーコマンドも最後にはガス室に送られて処刑される運命らしい。
ガス室の血や糞尿処理、死体の運搬、灰の処分等々の重労働をいずれ殺す予定のユダヤ人にやらせる、って物凄い合理的だけど恐ろしいほどに残酷だ。
漫画やら映画やらで「お前に人の心はないのかー!」みたいなセリフを吐く状況が生易しく思えるくらいだ。もう殺す規模が違うし人でなしの数も多すぎる。
カメラはサウルを超接近して追いかけ続ける。
スタンダードサイズの狭い画面の中央にはいつもサウルがいて、サウルの位置にしかピントがあっていないので画面の奥はピンぼけしてほとんど何も見えない。
他のゾンダーコマンドの仲間もサウルと同じ位置に来たときだけやっと顔が判明する。
サウルの位置にしかピントが合わないっていうのは、耐え難い作業に視界や心を閉ざすしかないサウルの心情を表しているのかな。
それに周りの残虐な光景をそのまま映していたらその光景に訴えてくるものがありながらも、どこか映画という虚構から作り物の胡散臭さを感じてしまっていたかもしれない。
にしてもだ、回りの光景がほとんどピンボケしているっていうのはまあ、とにかく疲れる。
エキストラは凄い数がいて、結構な熱演をしていると思う(全裸だし)。ほとんど映っていないけど。
すっぽんぽんで物のように床をずるずる引きずられるのは痛そうだった。
サウルってもうだいぶ精神がおかしくなっていたんだろうな。
ある目的のためだけに、それが自分への救いでもあるかのように、仲間への迷惑を顧みずに突き進むサウルが悲しい。
仲間から見たら大迷惑なサウルだが、仲間たちが異常にサウルに優しい。
昔から知っている同郷の友とかだったりするのだろうか。
ラスト近くの少年のシーンは怖かった。
さんざん地獄を見せられた後に違う世界から来たかのような地獄と全く無縁な少年がするーっと現れるから「なにこれ」と思って一瞬凍りついてしまった。
「違和感」って最近の映画じゃめったに見なくなったな。いいシーンだった。
2016年5月29日日曜日
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』
2015年 監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
142分もあったのか。
少しも飽きなかったので気づかなかった。
冷戦時代にアメリカで捉えられたソ連の老スパイ。
そのスパイを弁護することになったドノヴァン(トム・ハンクス)が主人公。
スパイ映画じゃなくてネゴシエーターだな。
一介の保険の弁護士だったのにドノヴァンの弁護やらスパイ交換やら、どんどんスケールが大きくなっていく。
ストーリーの全体的にはアメリカ人が大好きな人道的英雄譚になっている。
そしてこういうヒーローって必ず家族を愛し家族に尊敬される男なんだよね。
ラストの家族のシーンなんかかっけーってアメリカの少年から父親、じいさんまでが歓喜したに違いない。
英雄が英雄であるためには敵が敵でなければいけないので、この場合はソ連やら東ドイツが敵役を担ってなんか凄い後進国みたいな扱いになっている気がした。
とはいえ、敵国のスパイであるアベル(マーク・ライランス)と友情に似た絆で結ばれたり、スパイを弁護するドノヴァンに対する冷たい視線や仕打ちがころっと転換するある意味アメリカ人の低脳さをこけにしたようなシーンもあったりする。
まあそれもこれも人道的ヒーローがアメリカ人である、ってところに集約されてうやむやになるのだろうが。
スパイ役のマーク・ライランスが凄い魅力的だった。
すべてを達観しているような老練のスパイの静謐な佇まいが渋い。
対するトム・ハンクスは。。あれっ?トム・ハンクスってこんなに太っていたっけ。
快楽をむさぼる成金男みたいな。。
ドイツでの偽家族の退散時の真顔っぷりに笑ってしまったんだけど、こういうのはコーエン兄弟が脚本だからかな。
====
併映の『キングスマン』は見逃した。
17:20を18:20になぜか勘違いしてしまったため。
ノー天気に楽しめそうだったのにな。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
142分もあったのか。
少しも飽きなかったので気づかなかった。
冷戦時代にアメリカで捉えられたソ連の老スパイ。
そのスパイを弁護することになったドノヴァン(トム・ハンクス)が主人公。
スパイ映画じゃなくてネゴシエーターだな。
一介の保険の弁護士だったのにドノヴァンの弁護やらスパイ交換やら、どんどんスケールが大きくなっていく。
ストーリーの全体的にはアメリカ人が大好きな人道的英雄譚になっている。
そしてこういうヒーローって必ず家族を愛し家族に尊敬される男なんだよね。
ラストの家族のシーンなんかかっけーってアメリカの少年から父親、じいさんまでが歓喜したに違いない。
英雄が英雄であるためには敵が敵でなければいけないので、この場合はソ連やら東ドイツが敵役を担ってなんか凄い後進国みたいな扱いになっている気がした。
とはいえ、敵国のスパイであるアベル(マーク・ライランス)と友情に似た絆で結ばれたり、スパイを弁護するドノヴァンに対する冷たい視線や仕打ちがころっと転換するある意味アメリカ人の低脳さをこけにしたようなシーンもあったりする。
まあそれもこれも人道的ヒーローがアメリカ人である、ってところに集約されてうやむやになるのだろうが。
スパイ役のマーク・ライランスが凄い魅力的だった。
すべてを達観しているような老練のスパイの静謐な佇まいが渋い。
対するトム・ハンクスは。。あれっ?トム・ハンクスってこんなに太っていたっけ。
快楽をむさぼる成金男みたいな。。
ドイツでの偽家族の退散時の真顔っぷりに笑ってしまったんだけど、こういうのはコーエン兄弟が脚本だからかな。
====
併映の『キングスマン』は見逃した。
17:20を18:20になぜか勘違いしてしまったため。
ノー天気に楽しめそうだったのにな。
2016年5月15日日曜日
映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』
2014年 監督:リチャード・ロンクレイン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
モーガン・フリーマンとダイアン・キートンが夫婦役。
っていうのが最大の見所。
本当に長年連れ添った夫婦のようだ。
この二人の夫婦っぷりを見ているだけで十二分に楽しめる。
ダイアン・キートンはもう70近いんだな。
メガネがなんか目のイラストがついたアイマスクをつけている様に見えた。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
モーガン・フリーマンとダイアン・キートンが夫婦役。
っていうのが最大の見所。
本当に長年連れ添った夫婦のようだ。
この二人の夫婦っぷりを見ているだけで十二分に楽しめる。
ダイアン・キートンはもう70近いんだな。
メガネがなんか目のイラストがついたアイマスクをつけている様に見えた。
『パリ3区の遺産相続人』
2014年 監督:イスラエル・ホロヴィッツ
製作国:アメリカ/イギリス/フランス
at ギンレイホール
文無しのニューヨーカーマティアス(ケヴィン・クライン)は、父の遺産でパリの高級アパルトマンを相続した。
早速うっぱらおうと有り金はたいてパリにやってきたマティアスは、アパルトマンの住人マティルド(マギー・スミス)という老婦人から「ヴィアジェ」というフランス独特の不動産売買制度について知らされる。
どうも相続したアパルトマンは「ヴィアジェ」での契約であり、遺産相続というか借金の相続(今のところは)だったらしい。
コメディっぽいのかと思っていたら意外とシリアスな人間ドラマだった。
主人公がろくでなしっぽく見えて実はそんな過去があったのか、とか、いつも優雅にかまえているマティルドが衝撃の事実を知ったときの崩れようとか、母親と仲のよさげなクロエ(クリスティン・スコット・トーマス)にそんな思いがあったのかとか。
もうまさしく「人間ドラマ」といった感じのストーリーを3人の名優と演出が重苦しくも軽々しくもない適度なバランスを作り上げていて、なかなか面白かった。
他、脇役で不動産屋役のドミニク・ピノンとか、いい感じのアクセントになっている。
製作国:アメリカ/イギリス/フランス
at ギンレイホール
文無しのニューヨーカーマティアス(ケヴィン・クライン)は、父の遺産でパリの高級アパルトマンを相続した。
早速うっぱらおうと有り金はたいてパリにやってきたマティアスは、アパルトマンの住人マティルド(マギー・スミス)という老婦人から「ヴィアジェ」というフランス独特の不動産売買制度について知らされる。
どうも相続したアパルトマンは「ヴィアジェ」での契約であり、遺産相続というか借金の相続(今のところは)だったらしい。
コメディっぽいのかと思っていたら意外とシリアスな人間ドラマだった。
主人公がろくでなしっぽく見えて実はそんな過去があったのか、とか、いつも優雅にかまえているマティルドが衝撃の事実を知ったときの崩れようとか、母親と仲のよさげなクロエ(クリスティン・スコット・トーマス)にそんな思いがあったのかとか。
もうまさしく「人間ドラマ」といった感じのストーリーを3人の名優と演出が重苦しくも軽々しくもない適度なバランスを作り上げていて、なかなか面白かった。
他、脇役で不動産屋役のドミニク・ピノンとか、いい感じのアクセントになっている。
2016年5月5日木曜日
映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』
2015年 監督:サイモン・カーティス
製作国:アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
いやぁ、面白かった。
クリムトの「黄金のアデーレ」にこんなドラマがあったんだね。
しかも弁護士を担当したのがシェーンベルクの孫とか。
ヘレン・ミレンのこの上品さは何だろう。嫌味のない品を持ったばあさんって稀有な存在だよな。
ライアン・レイノルズはこの映画で初めて見たけど、そんなに頭がよさそうに見えない。
フベルトゥス役の俳優がどこかで見たことあるのに思い出せずにいたけど、『グッバイ、レーニン!』『ベルリン、僕らの革命』等に出ていたダニエル・ブリュールだった。
製作国:アメリカ/イギリス
at ギンレイホール
いやぁ、面白かった。
クリムトの「黄金のアデーレ」にこんなドラマがあったんだね。
しかも弁護士を担当したのがシェーンベルクの孫とか。
ヘレン・ミレンのこの上品さは何だろう。嫌味のない品を持ったばあさんって稀有な存在だよな。
ライアン・レイノルズはこの映画で初めて見たけど、そんなに頭がよさそうに見えない。
フベルトゥス役の俳優がどこかで見たことあるのに思い出せずにいたけど、『グッバイ、レーニン!』『ベルリン、僕らの革命』等に出ていたダニエル・ブリュールだった。
映画『ミケランジェロ・プロジェクト』
2013年 監督:ジョージ・クルーニー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
なんか後半近くまで全然のれないんだよな。
何が起きているのか、何をやっているのかよく分からないというか。
シリアスなのかコメディーなのか、そのバランスが非常に悪いのも一因かな。
予告編を見た感じは何も考えずに楽しめそうだと思ったのだけど。
ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット等々、役者陣は豪華。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
なんか後半近くまで全然のれないんだよな。
何が起きているのか、何をやっているのかよく分からないというか。
シリアスなのかコメディーなのか、そのバランスが非常に悪いのも一因かな。
予告編を見た感じは何も考えずに楽しめそうだと思ったのだけど。
ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット等々、役者陣は豪華。
2016年4月17日日曜日
映画『マイ・ファニー・レディ』
2014年 監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
コールガールから人気の新進女優になったイザベラ・“イジー”・パターソン(イモージェン・プーツ)が、インタビューを受けながらその過去を紐解いていく。
なかなか笑える群像コメディ。
最後にはあの監督まで登場するし、最初から最後まで楽しかった。
主演のイモージェン・プーツってはじめてみたけど綺麗さと愛らしさを兼ねそろえて、いろんな映画で重宝しそうだな。
オーウェン・ウィルソンは変わらないな。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
コールガールから人気の新進女優になったイザベラ・“イジー”・パターソン(イモージェン・プーツ)が、インタビューを受けながらその過去を紐解いていく。
なかなか笑える群像コメディ。
最後にはあの監督まで登場するし、最初から最後まで楽しかった。
主演のイモージェン・プーツってはじめてみたけど綺麗さと愛らしさを兼ねそろえて、いろんな映画で重宝しそうだな。
オーウェン・ウィルソンは変わらないな。
映画『夏をゆく人々』
2014年 監督:アリーチェ・ロルヴァケル
製作国:イタリア/スイス/ドイツ
at ギンレイホール
監督のアリーチェ・ロルヴァケルは1981年生まれの女性監督。
って知ってびっくりした。
長編2作目にしておそろしい名作を作ったものだ。
舞台はイタリアトスカーナ。人里離れた土地で昔ながらの方法で養蜂を営む家族の物語。
たぶん息子が欲しかったのだろうが、4人の娘と両親の6人家族。プラスよくわからない居候の女性ココを含めれば7人。
長女のジェルソミーナ(マリア・アレクサンドラ・ルング)は12歳ながら父親の右腕として働いている。
ある日村にテレビ番組「ふしぎの国」のテレビクルーがやってきて、居合わせたジェルソミーナは司会者ミリーのきらびやかさに心惹かれていく。
食品衛生の基準に満たない作業所は改築を迫られ、ミツバチは隣の畑の除草剤によって全滅に追い込まれるという状況の中、この番組が伝統に則った生活を営む家族のコンテストを開くときき、ジェルソミーナは出演を希望するが父親は断固反対する。
『ブラス!』等々の最近のイギリス映画によくあるような田舎町のハッピーな成功譚ではない。
家父長制の家庭の中でテレビ番組や少年更生プログラムでやってきた少年等、外部から訪れる変化に敏感に反応して美しく揺れ動く、思春期のジェルソミーナの物語。
ジェルソミーナを溺愛しているが愛情表現の不器用な父親に触発されてか、とにかくジェルソミーナが愛しい。
ジェルソミーナの心の機微が暖かい陽光に照らされながら繊細に綴られていく。
導入からよくて、真っ暗闇に中に光が現れて、移動する光は二つになり四つになり、車のヘッドライトだと気づく頃にはなにごとかの事件の幕開けかと思う。
停車した車から降りてきた男たちは、「あんなところに家なんてあったか?」「昔からあるだろ」みたいな会話の後に家族が住む家の中にシーンが移る。
おもむろに起きだすジェルソミーナ。
しかし外の様子とはなんら関係なく、閉じた家の中では別の要素でにわかに騒がしくなる。
あと、ラストもまた秀逸なんだな。
あまり書けないけど、美しく儚い幻のような。。
司会者ミリーは誰だこのおばさんと思っていたらモニカ・ベルッチだったらしい。
製作国:イタリア/スイス/ドイツ
at ギンレイホール
監督のアリーチェ・ロルヴァケルは1981年生まれの女性監督。
って知ってびっくりした。
長編2作目にしておそろしい名作を作ったものだ。
舞台はイタリアトスカーナ。人里離れた土地で昔ながらの方法で養蜂を営む家族の物語。
たぶん息子が欲しかったのだろうが、4人の娘と両親の6人家族。プラスよくわからない居候の女性ココを含めれば7人。
長女のジェルソミーナ(マリア・アレクサンドラ・ルング)は12歳ながら父親の右腕として働いている。
ある日村にテレビ番組「ふしぎの国」のテレビクルーがやってきて、居合わせたジェルソミーナは司会者ミリーのきらびやかさに心惹かれていく。
食品衛生の基準に満たない作業所は改築を迫られ、ミツバチは隣の畑の除草剤によって全滅に追い込まれるという状況の中、この番組が伝統に則った生活を営む家族のコンテストを開くときき、ジェルソミーナは出演を希望するが父親は断固反対する。
『ブラス!』等々の最近のイギリス映画によくあるような田舎町のハッピーな成功譚ではない。
家父長制の家庭の中でテレビ番組や少年更生プログラムでやってきた少年等、外部から訪れる変化に敏感に反応して美しく揺れ動く、思春期のジェルソミーナの物語。
ジェルソミーナを溺愛しているが愛情表現の不器用な父親に触発されてか、とにかくジェルソミーナが愛しい。
ジェルソミーナの心の機微が暖かい陽光に照らされながら繊細に綴られていく。
導入からよくて、真っ暗闇に中に光が現れて、移動する光は二つになり四つになり、車のヘッドライトだと気づく頃にはなにごとかの事件の幕開けかと思う。
停車した車から降りてきた男たちは、「あんなところに家なんてあったか?」「昔からあるだろ」みたいな会話の後に家族が住む家の中にシーンが移る。
おもむろに起きだすジェルソミーナ。
しかし外の様子とはなんら関係なく、閉じた家の中では別の要素でにわかに騒がしくなる。
あと、ラストもまた秀逸なんだな。
あまり書けないけど、美しく儚い幻のような。。
司会者ミリーは誰だこのおばさんと思っていたらモニカ・ベルッチだったらしい。
2016年3月27日日曜日
映画『恋人たち』
2015年 監督:橋口亮輔
製作国:日本
at ギンレイホール
これは、名作すぎる。
特にある登場人物がうんこ座りでたばこふかしながら野ションして、たばこの火をおもむろに地面に持っていって消した「ジュッ」っていう音でこの映画は僕の中で殿堂入りした。
過去の傷を引きずったり、家庭に縛られて鬱屈していったり、と悩みをかかえながら毎日を生きる人たちの群像劇。
もう、なんというか日常的すぎるというか、リアルすぎるというか、そのリアルってやつがリアルっぽいどころか嫌悪感まで抱きそうなほどの真に迫ったリアルで、他の映画がすべて上辺を綺麗に取り繕った偽者にすら思えてくる。
予告編にもあるけど、常にいらいらして高圧的に当り散らす弁当屋のおかみとかさ。
このおかみは物語の最初の方にしか出てこないくせにここで一気に引き込むよね。
おかみだけじゃなくてそれをにこにこなだめる夫、そしておかみに理不尽にどなられる業者の男なんかもリアルすぎて怖い。
この業者の男藤田(光石研)は愚鈍そうな人物として登場したくせにかなりのアウトローだったりする。
主要な話の軸は主に二つで、一つは通り魔に妻を殺された男篠塚(篠原篤)を中心とした話。
橋梁点検をする職に付いているが、いまだに立ち直れずに日々を生きている。
生活は厳しく健康保険もろくに払えない。
医者の高圧的な一言「払いなさいよ」。こんな口の利き方する医者がいたらぶんなぐりそうになるよな。
もう一つは夫と姑の3人で暮らす主婦の高橋(成嶋瞳子)を中心とした話。
もう台所のごちゃっとした雰囲気(決して汚いわけじゃない)に嫌悪感を抱いてしまったが、そんなもんは序の口。
この高橋という役柄とそれを演じた成嶋瞳子がとにかく凄い。
いい具合の不細工加減からにじみ出る熟して朽ちかけはじめそうな体臭がこちらまで漂ってきそうだ。
(あれっ、ほめているつもりが恐ろしい悪口になっている気がする・・)
家庭的で夫に尽くし、小説や漫画を書くささやかな趣味を持ち、騙されやすく人のいい、乙女のような心を持った主婦。
にわとりを捕まえようと藤田と一緒にきゃっきゃきゃっきゃやっている様子とか、敬語の使いっぷりとか、凄まじいまでの攻撃力だ。
この二つの他には弁護士四ノ宮(池田良)を中心とした話もある。
この細身で情の薄そうな四ノ宮が、見た目どおりの嫌なやつなんだな。
こんな嫌な奴だけどこいつもまた偏見からくる理不尽に打ちのめされる。
生きるのはつらいね。
脇役でいえば黒田大輔演じるその名も黒田大輔が印象深い。
「あなたともっと話したいと思うよ」
隻腕という役柄。
保険課の職員を演じた山中崇も嫌な感じ。
そういえばこの職員が出てくるシーンで
「それじゃああなたの胸先三寸で決まるということですか?」
「そうです」
みたいな篠塚とのやりとりがあって、篠塚って一応学が無い設定だから胸先三寸っていう誤用を使っているのかと思いながらもそもそも学が無いのであればこの言葉すら知らないんじゃないかとも思うし、そういうさじ加減がなんか絶妙だなと思う。
篠塚の会社の後輩も強烈だった。
「っすよ」という敬語の使い方をするけどちゃらい系じゃない短髪の小男で、いかにもお調子ものといった感じ。
こういう後輩苦手だわ~。
製作国:日本
at ギンレイホール
これは、名作すぎる。
特にある登場人物がうんこ座りでたばこふかしながら野ションして、たばこの火をおもむろに地面に持っていって消した「ジュッ」っていう音でこの映画は僕の中で殿堂入りした。
過去の傷を引きずったり、家庭に縛られて鬱屈していったり、と悩みをかかえながら毎日を生きる人たちの群像劇。
もう、なんというか日常的すぎるというか、リアルすぎるというか、そのリアルってやつがリアルっぽいどころか嫌悪感まで抱きそうなほどの真に迫ったリアルで、他の映画がすべて上辺を綺麗に取り繕った偽者にすら思えてくる。
予告編にもあるけど、常にいらいらして高圧的に当り散らす弁当屋のおかみとかさ。
このおかみは物語の最初の方にしか出てこないくせにここで一気に引き込むよね。
おかみだけじゃなくてそれをにこにこなだめる夫、そしておかみに理不尽にどなられる業者の男なんかもリアルすぎて怖い。
この業者の男藤田(光石研)は愚鈍そうな人物として登場したくせにかなりのアウトローだったりする。
主要な話の軸は主に二つで、一つは通り魔に妻を殺された男篠塚(篠原篤)を中心とした話。
橋梁点検をする職に付いているが、いまだに立ち直れずに日々を生きている。
生活は厳しく健康保険もろくに払えない。
医者の高圧的な一言「払いなさいよ」。こんな口の利き方する医者がいたらぶんなぐりそうになるよな。
もう一つは夫と姑の3人で暮らす主婦の高橋(成嶋瞳子)を中心とした話。
もう台所のごちゃっとした雰囲気(決して汚いわけじゃない)に嫌悪感を抱いてしまったが、そんなもんは序の口。
この高橋という役柄とそれを演じた成嶋瞳子がとにかく凄い。
いい具合の不細工加減からにじみ出る熟して朽ちかけはじめそうな体臭がこちらまで漂ってきそうだ。
(あれっ、ほめているつもりが恐ろしい悪口になっている気がする・・)
家庭的で夫に尽くし、小説や漫画を書くささやかな趣味を持ち、騙されやすく人のいい、乙女のような心を持った主婦。
にわとりを捕まえようと藤田と一緒にきゃっきゃきゃっきゃやっている様子とか、敬語の使いっぷりとか、凄まじいまでの攻撃力だ。
この二つの他には弁護士四ノ宮(池田良)を中心とした話もある。
この細身で情の薄そうな四ノ宮が、見た目どおりの嫌なやつなんだな。
こんな嫌な奴だけどこいつもまた偏見からくる理不尽に打ちのめされる。
生きるのはつらいね。
脇役でいえば黒田大輔演じるその名も黒田大輔が印象深い。
「あなたともっと話したいと思うよ」
隻腕という役柄。
保険課の職員を演じた山中崇も嫌な感じ。
そういえばこの職員が出てくるシーンで
「それじゃああなたの胸先三寸で決まるということですか?」
「そうです」
みたいな篠塚とのやりとりがあって、篠塚って一応学が無い設定だから胸先三寸っていう誤用を使っているのかと思いながらもそもそも学が無いのであればこの言葉すら知らないんじゃないかとも思うし、そういうさじ加減がなんか絶妙だなと思う。
篠塚の会社の後輩も強烈だった。
「っすよ」という敬語の使い方をするけどちゃらい系じゃない短髪の小男で、いかにもお調子ものといった感じ。
こういう後輩苦手だわ~。
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