2016年12月16日金曜日

映画『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』

2016年 監督:アレハンドロ・モンテベルデ
製作国:メキシコ/アメリカ
at ギンレイホール




第二次世界大戦下、身長が低くてリトルボーイとあだ名される少年ペッパーが主人公。
兄が扁平足により兵隊になれなかった代わりに、大好きな父が出兵してしまう。
で、ペッパー君は父親の無事の帰還を祈ってかなんか忘れたが、司祭から渡された善行リストの実践を始める。

なかなか優しい映画で、日本とアメリカの描き方も悪者にも善者にも偏りすぎずバランスいい。
ただ、つまらなくはなかったけど面白くもなかった。
兄の扁平足がのちのち生きてくるのは面白かったけど。

ネットのレビューでも見てみるかと調べていると、ペッパーを演じたジェイコブ・サルヴァーティが結構賞賛されている。
そうか、書くことに困ったら子役でも褒めておけばいいのか。
だた、自分は子役自体があまり好きじゃないのでペッパー君も特になんとも思わなかったんだよなぁ。

映画『帰ってきたヒトラー』

2015年 監督:ダーヴィト・ヴネント
製作国:ドイツ
at ギンレイホール




ヒトラーが2014年にタイムスリップした!
新聞、雑誌を読み漁って急速に現代に順応していくヒトラー。
冴えないテレビマンの思惑でドイツ中を行脚して現代ドイツの実情を学ぶヒトラー。
テレビに出演するヒトラー。
ものまね芸人として大人気になるヒトラー。
しかしヒトラーは自分がものまね芸人だとは少しも思っていない。演説できる場があればそれでいい。
やがて彼の芸、というか大真面目な演説は。。。

と、その先を期待していたんだけど、なんだか複雑な劇中劇の入れ子構造でお茶を濁されたような消化不良具合。
原作は世界中でベストセラーになっていて、ラストもだいぶ異なるらしい。

ヒトラーが街を闊歩するとことろかドキュメンタリーっぽい映像だったけど、本当にドキュメンタリーだった模様。
すごいね、役者をあの格好で歩かせたのもそうだけど、若者の反応もすごい。
ヒトラーのビジョンははっきりしているゆえ、その演説は明確でわかりやすい。
政治家として頼れる感に溢れたこんな候補者が出てきたら、ころっと国民は信じてしまうんだろうな。
コメディに笑いながらも時折ぞっとして、なかなか面白かった。

2016年12月4日日曜日

映画『海よりもまだ深く』

2016年 監督:是枝裕和
製作国:日本
at ギンレイホール




15年前に新人賞をとったものの、鳴かず飛ばずで今は取材と称して探偵業をやっている主人公篠田良多(阿部寛)。
ギャンブル好きで妻にも愛想をつかされ逃げられるという典型的なダメ人間。
そのダメ人間にほどよい距離感で接する母親(樹木希林)。
母は夫を亡くして一人で団地住まい。
良多と母親を中心に物語は進んでいく。
といってもストーリー上の大きな展開は無いんだけどさ。

ちょっと設定の違う『歩いても 歩いても』という感じ。
配役の阿部寛と樹木希林は同じだし、阿部寛の役名も今見てみたら同じ良太だな。
なんかもう良太シリーズみたいにして設定変えながらあと10本くらいは良質なホームドラマを量産できそうだな。
会話劇の妙はいうに及ばず、へそくり隠しとか宝くじとか、あとあと効いてくる小道具もうまいしずっと見ていられる。

個人的には実家が団地なので余計に面白かったな。
帰ろうと思えばいつでも帰れる距離にあるところとか、母親がベランダで観葉植物育てていたりとか、「泊まっていきなさいよ」と言うところとかさ。

最後の方でラジオから流れるテレサテンの『別れの予感』、そこでやっとこの映画のタイトルってそこからか!と気づいてなんか意味もなく感動してしまった。

真木よう子は綺麗だな。
怒ったリリー・フランキーはめっちゃ怖かった。

映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』

2016年 監督:岩井俊二
製作国:日本
at ギンレイホール




臨時教師として働く皆川七海(黒木華)はSNSで知り合った鶴岡(地曵豪)ととんとん拍子に結婚。
ここまではまあ普通っぽいが、式の出席者の都合で安室(綾野剛)という男に会ってから、七海の人生は狂いだす。
いや、別に七海が安室と不倫するとかじゃなくて、安室にいいように操られるというか、いや操られているのにまあ七海にしてみればいい方向に向かっているからサスペンス的なものでもないし、蒲田とかいうごみごみした街から大豪邸にいく落差はファンタジーでもあるし、結局結婚が続いていても不幸になっていそうだから「狂いだす」という言い方は適切じゃないかもしれない。
天然っぽい七海が騙されたり操られたりしながら、そんなことは露知らずに純粋に泣いたり笑ったりするのを愛でる映画。
黒木華って可愛いわけでも美人でもないのになんか引き付けられるんだよね。
きらきらした光に照らされる美少女っていういつもの岩井映画のシーンでもなぜか映える。

地曵豪って人は初めて見たけど、電話で起こっている姿がなんかぞっとするくらいリアルで怖かった(役柄もあるだろうが)。

里中真白役は見たことあるけど思い出せず、市川実和子実和子姉妹のどっちかかなぁと思っていたらエンドロールでCoccoと知りびっくりする。
こんなに普通に、いや、普通以上に演技できるんだ。
それにしてもやせすぎだろ。。でも役柄にぴったり。

エンドロールに名前があった夏目ナナはあのマネージャ役の人だったのか。
雰囲気変わったのかな。
あと、希崎ジェシカとか森下くるみとかもちょい役で出ている。

りりぃはこの時は元気そうだな。ご冥福をお祈りします。

ああ、あとふんだんに使われるクラシック音楽はだいたいうるさかった。

2016年11月20日日曜日

映画『ブルックリン』

2015年 監督:ジョン・クローリー
製作国:アイルランド/イギリス/カナダ
at ギンレイホール




1950年代のアイルランドの小さな町で暮らすエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は神父の計らいで単身ブルックリンに移り住む。
知らない土地での生活に馴染めず、故郷を懐かしみつらい日々を送るエイリシュだが、イタリア系の気のいい青年トニー(エモリー・コーエン)と出会ってからエイリシュの人生は劇的に充実していく。

1950年代の街並みや調度品、服装、そしてシアーシャ・ローナンの静けさを湛えた佇まいに魅了される。
エイリシュがいい子なんだわ。
いい子なんだけど帰国した後にアメリカ帰りのアバズレ風に見えてしまうのが心が痛い。

ストーリー的には女ってよく分からない、という話だった。
以下、ネタばれ


なぜにジムに惹かれる?そりゃあ紳士的でいい奴ではあるけどさ。
故郷か、それともブルックリンか、悩んだ末の決断の決め手はそれかい!
きっとジムとトニーならもちろんトニーなのだが、故郷には母もいるし結婚相手としては同じ国の人間がいいかも、ってことで揺れ動いていたのだろう。
決断のきっかけはきっかけに過ぎず、形としては愛を選んだということだ。
エイリシュ情熱的~。

映画『これが私の人生設計』

2014年 監督:リッカルド・ミラーニ
製作国:イタリア
at ギンレイホール




世界で活躍する女性建築家のセレーナ(パオラ・コルテッレージ)は人生を見つめなおして故郷のローマに戻ってくる。
ただしローマの建築業界は超男性社会で入り込む隙間もなく、ウェイトレスをしたりしてなんとか過ごしていく。
で、バイク盗まれたり男と出会ったり建築会社に潜り込んだりするっていうアラフォー女性応援コメディ。

最初の方は全然面白くなかった。
コメディ要素がなんかしっくりこず、公営団地でいきなりでかい音させてびっくりさせるのも嫌いだし、恋愛相手になるっぽい魅力的な男性(ラウル・ボヴァ)の登場シーンはこれでもかとちゃかしまくっているし。
アラフォー独身女性が主人公ってことで恋愛要素も当然のごとく入るはずで、その相手となりうる男性の重要な登場シーンなのに、こんなにコメディになっちゃったらもうこの先にどんなドラマが待ち受けていようが二人の展開を常にしらけて見てしまうだろう。
と、思っていたのだけど、この男、実はゲイだった!
っていう事実が判ってから登場シーンのちゃかしぶりも納得し、違和感を感じていたコメディ要素もなんか慣れてきてだんだんと面白くなってきた。

女性秘書(ルネッタ・サヴィーノ)が会社の玄関で社長の家族を見つめているときの悲しげな表情には泣きそうになった。
それにしてもなにがきっかけでこの秘書は反旗を翻したんだろう。

主演のパオラ・コルテッレージは国民的歌手としても人気らしい。

2016年11月6日日曜日

映画『ルーム』

2015年 監督:レニー・アブラハムソン
製作国:アイルランド/カナダ
at ギンレイホール




生まれたときから「部屋」に閉じ込められ、一度も外に出たことのない少年とその母親の話。
母親が息子の名前を連呼して泣き叫んだり(もう演技を超えてすごい形相だった)、good byとか、泣くわ~これ。

予告編見たときは閉じ込められているのは子供だけだと勝手に勘違いしていたので、母親と二人でマンションっぽい部屋に住んでいるのは逃げ出した後の話なのかと思ってしまった。
だからどたどた走り回ったりジャンプして階下の住民から文句くるぞとはらはらしたり。

少しネタばれすると、
部屋の中の話とその後の外の話が半々くらいで描かれている。
だから部屋の中にずっといる親子という謎のミステリーから脱出のアクション、そしてその後の人間ドラマ、と盛りだくさん。
全体に共通してあるのは親子の愛情で、どの段階でもこの要素ひとつがアクセントになって泣ける。
世界を知らない子供と世界を知っている母親。外に出た後の二人の順応の仕方の対比も面白い。

母親役にブリー・ラーソン。
少年役にジェイコブ・トレンブレイ。
二人とも初めてみたけど今後も大活躍しそうだな。
じいじ役にウィリアム・H・メイシーも出ている。

映画『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』

2015年 監督:ジュリアン・ジャロルド
製作国:イギリス
at ギンレイホール




英国王女の秘密の外出
っていうお話。
1945年の戦勝記念日に王女時代のエリザベス女王が王宮を抜け出していた、という史実に着想を得たらしい。

エリザベス王女を演じた主演のサラ・ガドンは冒頭のモノクロを見たときになんだこのおばさんはと思ったけど、よくよく見るとなかなかの美形で気品もあって役柄に合っている。
対してマーガレット王女を演じたベル・パウリーが農夫の娘のような野暮ったさを放っていて、サラ・ガドンが品があるだけに対比でどんどんみすぼらしく見えてくる。
自由奔放な恋多き王女というイメージをコメディにしたらこうなるのかもしれないけど。

それにしても国民全員が祝って国中お祭り騒ぎになるなんてこと滅多にないよな。
ハロウィンだって限定的な場所で限定的な人たちが騒いでいるだけだし祝っているわけでもないし。
昔のサッカーワールドカップは皆熱狂していたような気もするけど、興味ない人はいっぱいいたしどちらかというと屋内で熱狂していたし。
だから屋外屋内問わずどこいっても人が祝っているという不思議な光景と1945年の雰囲気がなかなか楽しめた。

2016年10月16日日曜日

映画『すれ違いのダイアリーズ』

2014年 監督:ニティワット・タラトーン
製作国:タイ
at ギンレイホール




ど田舎の水上学校にやってきた新任教師のソーンは毎日失敗ばかり。
そんなとき偶然前任教師のエーンの日記を見つけ、その内容に共感したりしているうちにソーンは会ったこともないエーンに恋をする。
って話。

水のあるアジアのど田舎の風景と純朴な子供たち、そこに異分子のようにやってきて、気づいたら自然に染まっていくソーンやエーン。
田舎と若い二人のパワフルさとの対比や、王道のすれ違いにほんわかする。
現代映画なのに映像にしろストーリーにしろどこか懐かしい。アジア映画は不思議で面白いねぇ。

若い二人ってかいたけど、二人ともそれほど若くないんだな。
ソーン役のスクリット・ウィセートケーオはタイで最も人気のあるポップスターらしい。あと数年ではげそう。
エーン役のきれいな人チャーマーン・ブンヤサックは1982年生まれだな。

映画『神様メール』

2015年 監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
製作国:ベルギー/フランス/ルクセンブルク
at ギンレイホール




予告編の小さな鳥の群れを操って動かしている男のシーンから、この映画面白そうという予感がしていたのに見事に外れたな。
パソコンを使って人々の運命をもてあそぶ神がいて、その娘が父に反逆して余命を知らせるメールを全人類に一斉送信する。
その後娘は下界に降り立ち、6人の使途を探しに旅に出る。
片腕が義手の美しき女とかゴリラに恋したおばさんとか冒険家になりたかった男とか殺し屋に転身した男とか。
一人一人やそれぞれが寓話的なお話でゆったり展開されていく。

全体的な印象としては、醜悪、という言葉が浮かぶ。
醜悪で面白いとかじゃなくて、なんかどことなく不快でもどかしい醜悪。
芸術作品にもなれず、エンターテインメントにもなれないどっちつかずの状態でそのまま終わる感じ。

なんだろうね。まず音が不快だな。
特に神様役のおっさんの怒鳴り声が今まで聞いたことないような耳障りな響き。
叫び声やら突然入る大きな音とか。
予告編の鳥のシーンもなんか思っていたのと違って感動もなかったし。

宗教的にかなり突っ込んだブラックジョークは海外ではどういう反応しているんだろう。

あ、この監督『八日目』の人だったのか。