2021年2月13日土曜日

映画『薬の神じゃない!』

2018年 監督:ウェン・ムーイエ
製作国:中国
at ギンレイホール




2014年に中国で実際に起きた事件がもとになっているそうだ。
かなり社会問題的側面が強い話なのに、一級のエンターテインメントになっていてすごく面白かった。
白血病患者のためとかじゃなくて金儲けのためというのが根底にあるから偽善くさくないところから始まる。
主人公とその仲間達が義賊みたいなヒーローに見えてかっこいい(演出もかっこいい)のだが、それだけじゃなくて、別れ葛藤後悔とそれぞれの背景での人間ドラマも充実していて面白い。
主人公の別人みたいな変化が見ごたえがある。

最初の方で義弟に殴りかかられそうになって窓際で体こわばらせてしゅんとしている表情がかわいい。

2021年1月30日土曜日

映画『mid90s ミッドナインティーズ』

2018年 監督:ジョナ・ヒル
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




90年代なかば。
ロザンゼルスに住む13歳のスティーヴィー(サニー・スリッチ)は若い母(キャサリン・ウォーターストン)と兄イアン(ルーカス・ヘッジズ)の3人暮らし。
スティーヴィーはしょっちゅう兄から暴力を受けている。
っていうだけでも普通の家庭ではないけど、そんなのはまだましな普通の家庭っぽい。
スケートボードショップにたむろする不良達の自由さ強さに憧れを抱いたスティーヴィーは彼らに近づき、そしてスケートボードに熱中していく。

かなり面白かった。
ジョナ・ヒルの初監督作品で、ジョナ・ヒルの自伝的要素もあるらしい。

人種も貧富もてんでばらばらな不良達が面白い。
悩みあがき不安不満のはけ口を探している彼らの仲間意識は強い。
リーダー格のレイ(ナケル・スミス)がかっこいいのよ。
彼らは皆プロのスケートボーダーらしい。
主演のサニー・スリッチも。
サニー・スリッチ君の顔がくしゃってなる心からの笑顔はすごいよな。俳優として今後も活躍していきそう。
フォースグレード(ライダー・マクラフリン)が頭悪いキャラなのに動画編集能力が異様に高いってところに感動する。

両方のポケットからおもむろに飲み物を取り出すルーカス・ヘッジズの仕草がかっこいい。
ルーカス・ヘッジズは端役なのに存在感出てきたな。

映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』

2019年 監督:オリヴィア・ワイルド
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




生徒会長のモリー(ビーニー・フェルドスタイン)は高校生活を勉強に捧げてきて、イェール大学への入学を勝ち取る。
が、遊んでいるばかりでどちらかというと見下し気味だったクラスメイト達が皆名門大学に進学することが分かると途端に焦りだす。
勉強しかしてこなかった!!
まだ間に合う。クラスメイトが開催している卒業パーティに乗り込んで失った3年間を一気に取り戻そうぜ。
と、親友のエイミー(ケイトリン・デヴァー)を誘って呼ばれてもいない卒業パーティに行こうとするが場所がわからない。。。

冴えない子達がっていうこういう青春ものって時代とともによく作られて面白いんだけど、なんかな、おっさんになったためかテンション高すぎて疲れた。
面白くはあるけど、いまいち乗れないまま終わった感じ。

モリーがあんんまり魅力的じゃないんだよな。自分でも性格ブスと自称するくらいだし。
親友のエイミーが癒やし。
エイミーの両親がまたいい人達そうでかわいそう。あんなに準備しているのに。
いい人達といえば、カースト上位の人たちがなんかみんないいヤツなのね。
そりゃトイレで悪口くらいは言うけど悪質ないじめとかまでは絶対しない。
どちらかというとモリーが一番イヤなやつかもww
そんなモリーが今までちゃんと見てこなかった(見下していた?)クラスメイト達と向き合うようになって変わっていく成長譚とも言える。

いけてるグループに中華系の子がいて、こういうアジア系でもイケてるグループに入れるんだなぁと思った。
ニコ・ヒラガ。スケートボーダーとして活躍していて、父親が日本人らしい。
ライアン役のヴィクトリア・ルエスガもスケートボーダーらしいし、なに繋がりなんだろう。

あと、最初大学かと思ったくらい年齢層が高く見える。
ジャレッド(スカイラー・ギソンド)なんかアホな教師がいるなと思ったし。
スカイラー・ギソンドは1995年生まれか。
えっ、というか主演二人含めてみな20代半ばじゃん。。

ビーニー・フェルドスタインってなんか見たことあると思ったら『レディ・バード』でシアーシャ・ローナンの親友役やっていた子か。

2021年1月16日土曜日

映画『マイ・バッハ 不屈のピアニスト』

2017年 監督:マウロ・リマ
製作国:ブラジル
at ギンレイホール




冒頭から初老の男のコンサートシーンで惹き込まれる。
が、もしかしてこれって紆余曲折を経て復活したクライマックスに相当するシーンをいきなり見せられてるんじゃないか。
と思ったが杞憂だった。
まさに不屈。
というか不運すぎないか。
自業自得な面も多少はあるけど。

「20世紀最も偉大なバッハの奏者」と言われたピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの実話をもとにした映画。
まだご健在。

カーネギーホールのデビューのときに役者が変わって一気に老けたのは面白かった。
20歳という設定だったらしい。

娼館に泊まり込むみたいなだいぶプライベートによったシーンとかっているの?と思ったけどジョアンを語る上ですごく重要な点だったwww

2021年1月2日土曜日

映画『ファヒム パリが見た奇跡』

2019年 監督:ピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァル
製作国:フランス
at ギンレイホール




ファヒム(アサド・アーメッド)は8歳で父とともにバングラディシュからフランスに亡命する。
父親が反体制運動をしていて、かつファヒムはチェスの大会で優勝するほどの有名人だったのでファヒムが誘拐されそうになったりして危険だったから。
フランスでは難民センターに身を寄せながら、チェスクラブにもなんとか入り込む。
クラブの先生シルヴァン(ジェラール・ドパルデュー)はなかなか癖のある人。
あ、なんかあと1行書いたらもうほとんどストーリー全部になってしまう。。

移民問題とチェスの成り上がり譚をからめたエンターテイメント。
浮浪者みたいな生活になったりもするし全然チェスの勉強しているように見えないけど、それで優勝できちゃうなんてチェスって簡単だなと思ってしまった。
というか実話に基づくのか。
公式ページに乗っている実際のファヒム君が子役にすごい似ている。(逆か)
https://fahim-movie.com/about.php
テント村みたいなところでの生活は創作部分らしいので、実際はやっぱり毎日何時間もチェスの勉強していたんだろうな。

で、何が面白かというとチェスクラブの生徒たちの個性が面白すぎるのね。
最初ただの冴えない(というか嫌がらせでもしてきそうな)モブ達かと思ったら、めっちゃいい奴ら。
ひょろひょろで貧相な顔した少年、ふとっちょの少年、少しアジア系の少年、フクロウみたいな顔した少年、前髪切りすぎたぱっつんメガネ少女。
フクロウ少年の表情の豊かさが笑える。
そしてなによりメガネ少女が愛くるしすぎて泣きそうだ。
もうこの子が主役みたいなもんだよ。
女優名がわからないのだけど、数年後とんでもない美人女優として有名になっていそうだ。

映画『ハニーボーイ』

2019年 監督:アルマ・ハレル
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




人気俳優のオーティス(ルーカス・ヘッジズ)君はアルコール依存症。
飲みすぎて事故って更生施設に送られてPTSDかもしれないと言われる。
過去の思い出をノートに書けと言われて思い出すのは父との思い出。
父ジェームズ(シャイア・ラブーフ)は男手一つで息子のオーティス(ノア・ジュープ)君を育てている、のではなくて実際はオーティス君に養われている。
オーティス君は人気子役でジェームズはマネージャーっぽいことを一応はしているけど。
アルコール依存症ですぐキレてどうしようもない親父だけどオーティス君はそれでも父親を愛している。
オーティス君とジェームズの葛藤がメインのドラマ。

脚本がシャイア・ラブーフで、シャイア・ラブーフの自伝的なお話らしい。
面白くはあったけど、なんだろう、会話劇が難しすぎないか。
観ているこっちが1分後には会話の内容忘れているくらいだから、本人もそんなに覚えてはいないはずで、当時の断片的な印象や感情から創作しているのだろうが、12歳の子供との会話にしてはやっぱり難しすぎるよな。

さておき、ピエロって人間が生み出したキャラクターの最高傑作だよなぁ。
滑稽優しさ哀愁恐怖のすべてが詰まっている。
ジェームズのピエロ姿にはちょっと感動した。

2020年12月19日土曜日

映画『WAVES/ウェイブス』

2019年 監督:トレイ・エドワード・シュルツ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




上流階級で成績優秀でレスリング部のエースの高校生タイラー(ケルヴィン・ハリソン・Jr)。
かわいい彼女もいて順風満帆、
しかし怪我に見舞われたりガキんちょには対処に困るような出来事がタイラー君の身にふりかかる。
とそこまではいいのだがそれらが積み重なって最悪の結果が。。
で次は妹ちゃんエミリー(テイラー・ラッセル)の話になる。

二部構成?
予告編見たときはこのエミリーが主役だと思っていたからタイラー君早く退場しないかなと思っていた。
意外と長い出番。

表向きは理想的な家族があっけなく崩壊し、そして再生していく物語。
ストーリーは本当どうでもいい感じではあった。
演出の方は360度ぐるぐるカメラが回ったり、アスペクト比が心情に応じて変わったりとか、なんかいろいろやっているけど、それが面白いかどうかは置いておいてなにはともあれ音楽を含めて音がうるさいので全く頭に入ってこない。
ダルデンヌ兄弟の映画を見たばかりだからなおさら音に敏感だった。

むきむき黒人金髪がどうも苦手なんだよな。
今やアジア人も含めて理想の体格って男女ともに世界共通のものになりつつあるなか、その理想を一番体現しているのは黒人であってそのままで美しいのになぜださい金髪にするのか。
妹ちゃんの方はスタイル抜群なので2部からが本番みたいな感じ。

妹ちゃんの彼氏ルーク(ルーカス・ヘッジズ)君がサイコパスかシリアルキラーにしか見えなかったのに普通に好青年かい。
ルーカス・ヘッジズは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の甥っ子か。がたいでかくなったな。

面白かったのは俳優たちの年齢で、タイラー役のケルヴィン・ハリソン・Jrと妹ちゃんテイラー・ラッセルと彼女役アレクサ・デミーはともに1994年生まれ。
25歳とかだよ。高校生。
ルーカス・ヘッジズだって1996年生まれ。
確かにはじめ大学生かと思ったら高校生かよと思いはしたけど、そんなに違和感はなかった。若いなぁ。


以下ネタばれ

被害者の親の前でよく号泣できるよなぁ。
タイラーは一体なんのために鍛えていたのか。
殺意があったわけではないのに最愛の人を誤って死なせたなんて精神が崩壊する。
欧米人は特にそう思うけど彼らはなんで怒りを抑えられないのか。
日本人だって怒るけど血管ぴくぴくさせながらも我慢する人がほとんどだよね。
日本人でもたまに大声でブチ切れる人はいるけど、このやばい人達がむしろ世界標準なのか。

一番良くわからないのは、グーか張り手かわからないが決め手は床への頭強打でしょ。
サスペンスドラマとかだと殴られて机の角に頭ぶつけて、っていうのはよくあるが、床って。。
身長高いとしても2M未満の高さから少なくとも横向きに力が加わっている状態で床に頭ぶつけて死ぬ?
タイラーに殴りかかってジャンプしているときに殴られて空中でぐりんと回転してそのまま頭を床に強打、とかいうわけでもないしな。
まだ殴られて首の骨が折れたとかのほうが納得できる。

映画『その手に触れるまで』

2019年 監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ,リュック・ダルデンヌ
製作国:ベルギー / フランス
at ギンレイホール




この予告編、もう絶対面白い映画でしょって期待が高まる。
で、本編は期待通り面白かったのだが、なんというか潔すぎないか。
短いと思ったら84分しかなかったのか。
もっと見ていたかった。

というかこれ監督ダルデンヌ兄弟だった。
確かに。音楽もなく予定調和な盛り上げかたも一切ないのだが、淡々とした中に現れるドラマ性が秀逸だった。

ベルギーに暮らす13歳のアメッド(イディル・ベン・アディ)は最近までゲーム好きの少年だったらしいが、イスラム教の導師に感化されて過激よりのイスラム教にはまっていた。
公式ページによるとベルギーのブリュッセル西部のモレンベークは10万弱の人口の半分(地域によっては8割)がイスラム教徒らしい。
そして一部の過激派はパリ同時多発テロ等にも関与していて「ブリュッセルはヨーロッパにおけるテロリズムの交差点と化している」らしい。
善悪、敵味方、純潔不純。単純明快な二分は思春期に抱える漠然とした不安にがっちりはまったのだろうか。
少年の偏執的なまでの執念がすごい。

農場の女の子ルイーズ(ヴィクトリア・ブルック)がかわいい。
少しませた感じのたくましさがアメッドに与えた影響は大きかっただろうか。


以下ネタバレ
ラストは肩透かしっぽい感じで、まさかっと思ったらエンドロールに入る。
つまりどういうことだろう。
命の危機に際しては過激な思想もころっと覆る程度のことに過ぎなかったってこと?

2020年12月5日土曜日

映画『パブリック 図書館の奇跡』

2018年 監督:エミリオ・エステヴェス
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




オハイオ州に大寒波が襲来する。
凍死者も出る中、市が提供する避難用シェルターは満杯。
ホームレス達は身を守るため行きつけの?図書館に立てこもる。
図書館職員のスチュアート・グッドソン(エミリオ・エステヴェス)は最初こそ難色を示すが次第に彼らに協力することにする。

この事件の解決を利用したい次期市長選に立候補者の検事ジョシュ・デイヴィス(クリスチャン・スレイター)とか、大事件にして有名になりたいレポーターのレベッカ(ガブリエル・ユニオン)とか、なんかお疲れ気味の館長(ジェフリー・ライト)とか、ホームレスになっている息子を探したい敏腕交渉人(交渉してたっけ?)のビル・ラムステッドアレック・ボールドウィン)等々、外では思惑がうずまきながらも、内ではその息子やらレーザーアイを持ったビッグ・ジョージ(チェ・“ライムフェスト”・スミス)やらグッドソンの過去とかいろいろドラマもある。
陽気でバイオレンスでチャーミングで社会問題を扱いながらも頭空っぽで楽しく鑑賞できる。
全体的に人物造形はそんなに深くはないけど、こういう定型的なので固めるとそれはそれで楽しい。
館長が合流するところなんかよく意味がわからないのもあってギャグっぽく見える。蝶ネクタイをかっこよく外すのなんか全然かっこよくないしwww。
レーザーアイがメガネかけて周りを見渡したり、人をガン見したりする演技って誰がやってもそりゃあこうなるよなという白々しさが楽しい。

グッドソンの同僚でぱっつん前髪メガネのぽっちゃりマイラ(ジェナ・マローン)が可愛い。
なんやかんやいいながらも帰らずに留まるとはいい子だ。
アパート管理人のアンジェラ(テイラー・シリング)もその顎とともになかなか男勝りなさばさば感がいい感じ。

なにより驚いたのは、レポーターで馬鹿な小娘役のガブリエル・ユニオンはなんと1972年生まれ!
テイラー・シリングより12歳も上だよ~~。

映画『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』

2019年 監督:フランソワ・オゾン
製作国:フランス
at ギンレイホール




今も裁判が進行中らしいプレナ神父事件という実際の事件が題材になっている。
主演が途中でシームレスに切り替わっていくような形になっている。

事件自体はカトリック教会にありがちな少年への性犯罪。
しかしまあ何十年もの間罪を重ね続ける、野放しにされる、っていう環境がもう恐ろしい。
犯罪の性質上被害者が声をあげにくいということもある。
子供に与える衝撃・トラウマは空き巣に入られたとかそんなレベルじゃないから重犯罪だよな。
そういえば映画の中で教会が素晴らしいものとして描かれているのをあまり見た記憶がない。

被害者達は大人に成長した今も事件のトラウマを抱えている。
エマニュエル(スワン・アルロー)がプレナに関する新聞記事見ただけで癲癇みたいな発作を起こしたのは泣きそうだ。
というかバイクになんか乗っても大丈夫なんだろうか。
エマニュエルの彼女の嫉妬具合も壊れているよなぁ。
被害者たちのトラウマ、親の葛藤・無関心、家族愛、教会や神父の無垢なのか馬鹿なのかわからないずる賢さ、被害者たちのすれ違い。
事件の内容もさることながら、なかなか面白い人間ドラマになっている。

エンドロール見て気づいたけど監督はフランソワ・オゾンだった。
まじか、全然気付きもしなかった。。こういう題材も撮るのか。
あと、一人目のアレクサンドル役はメルヴィル・プポーだった!
一時期好きな俳優を聞かれたらメルヴィル・プポーとロマン・デュリスと言おうと決めていた時期がある。(誰にも聞かれなかったが)
そんなにお気に入りだったのに全く気づかなかった。というか今でもなんかしっくり来ていないけど。おっさんになったな。