2023年3月5日日曜日

映画『野火』

2014年 監督:塚本晋也
製作国:日本
BS録画



タイトルバックの出し方と琵琶の響きがATG映画または50年代の名作邦画のような年代不詳のどこか懐かしい雰囲気を醸し出していて名作の予感!
その後顔面ドアップから始まるのに少し「ん?」と思いつつも見終わってみればなんかやっぱり不思議なテイストの映画で結論としては面白かった。

太平洋戦争末期のフィリピンレイテ島が舞台。
そこで主人公田村(塚本晋也)が見る地獄絵図。激しい飢えと見えない敵の攻撃の極限状態で精神を保っていられるのか。

学生の頃映画好きの人と話すと誰も彼もゴダール見ろ、鉄男見ろ、って馬鹿の一つ覚えみたいに言うからなんとなく敬遠して見なかった。
ゴダールは結局その数年後に見てしまったがそういえば鉄男は未だに見ていないな。というか塚本晋也監督作を見るのはこれが初めてな気がする。
鉄男や他の作品見ていないからよくわからないものの、作風はB級映画寄りの人なのかな。
顔面ドアップ始まりや特殊メイクによる過度な残酷表現(ところどころギャグ)や少し棒読み風の演技や手持ちカメラ等々。
今調べてみると監督は「自ら製作・監督・脚本・撮影・美術・編集・出演を兼ねる自主制作スタイルを貫いている」らしい。この映画は配給すら自分たちでやっているみたいね。
題材的にはちゃんと撮ろうとすると大規模ロケで相当な予算がかかると思うけど、これを低予算でやるために相当な工夫と撮影の組み立てをやっているらしい。

まあそんな裏側は置いておいてこの映画についてだけど、最初に書いた通りなんか不思議なテイストなんだよね。
題材の重さと真面目さに異質なB級っぽさが付与されることで相互に化学反応起こしているみたいな。
巨額な予算を投じて大作になっていたら逆に胡散臭いんじゃないかと思ってしまうくらいB級っぽさがハマっている気がする。

なんか嫌な顔と嫌な声した役者が出ているなと思ったらリリー・フランキー。
この人こんな嫌な顔と嫌な声してたっけwww
嫌味な小悪党演じさせたら日本一じゃないだろうか。

野火ってタイトルの映画が昔あった気がする。調べたら市川崑で1959年の公開作がある。
市川崑版もこれもどちらも大岡昇平の小説の映画化みたいね。
市川崑版もいつか見てみたい。

2023年1月29日日曜日

映画『翔んだカップル』

1980年 監督:相米慎二
製作国:日本
BS録画




相米監督のデビュー作。
原作は柳沢きみおの人気漫画。
中学生かと思うくらい童顔な薬師丸ひろ子と鶴見辰吾がスクリーン狭しと動き回る。
デビュー作から相米って感じだったんだな。
自転車のシーンとか、庭から坂を滑り出すまでそこ1カットかよって思ったり、ローラースケートで電話のシーンでは瓶ジュースを持った薬師丸ひろ子が画面奥の居間側から現れてびっくりしたり。
長回しや少しのドリーで空間を一気に広げたりスクリーンの外で動きを持たせたりっていうやつね。

石原真理子はこの時はまだ杉村役のためにスカウトされた無名の新人だったらしい。
なんか恐ろしく大人びた雰囲気を漂わせている。

真田広之と原田美枝子がイケイケの大学生として一瞬、ほんと一瞬だけ顔が映る。

2022年12月18日日曜日

映画『少林サッカー』

2001年 監督:チャウ・シンチー、リー・リクチー
製作国:香港
BS2録画



当時凄まじい大ヒットしたよねー。
今頃になって見てみた。

なんか痛快な娯楽カンフー映画を想像していたけど、これまるっきりチャウ・シンチー映画じゃん。
お馬鹿でゆるいギャグの連続や常識を逸脱した無法な世界。
サッカーのスター選手の足を観客がぶっ壊したり、従業員を瓶で殴ったり客が店員の頭を棒で殴り続けたり。。
この映画が世界で大ヒットするならそれ以前のチャウ・シンチー映画も大ヒットしていなきゃおかしい。
やはりカンフー要素が決め手だったのかな。
ワイヤーアクションなんかも世界ではまだ珍しい頃だったのかも。

ストーリー自体は意外と感動的。
社会の底辺の人たちが立ち上がるストーリー。
特に人生に絶望している風のヒロインの七変化ぶりが秀逸だと思う。
しかもヴィッキー・チャオだし。

なかなか面白かった。

ちなみに私が今まで見た映画で一番爆笑したのはアニタ・ユン目当てで見たチャウ・シンチーの0061/北京より愛をこめて!? 』。
基本クスッ程度の笑いなんだけど油断しているとたまに大爆笑させられるのがチャウ・シンチーの本当の恐ろしさ。

2022年11月27日日曜日

ありがとうギンレイホール

ビルの老朽化により、ギンレイホールは2022年11月27日(日)をもって閉館。移転先は未定。

会員カードの返金対応も始まるらしいし、なんかこのままなくなってしまいそうで怖い。
私が会員になったのは確か1999年だから、20数年通い続けたことになる。
都合がつかなくてスキップしたのはせいぜい5,6回程度だと思うので、ざっと数えて1000本超えてそうだな。
封切りで見て1本1800円だとしたら180万だぜ。
年間1万円で見放題の会員カードのコスパの恐ろしさよ。

飯田橋でなくてもいいから復活してほしいなぁ。
復活するにしても1年以上先になるような気もするし、これからどうするかなぁ。

2022年11月26日土曜日

映画『マリー・ミー』

2022年 監督:カット・コイロ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ジェニファー・ロペスの歌とダンスと驚異的な若さを堪能する映画かな。
ジェニファー・ロペスってなんか歌手として大成しているのは知っていても全く聞いたことなかった。すげーうまいんだな。
ジェニファー・ロペスの出演作を見ていてあれって思ったのは、『Uターン』しか見ていないっぽい。
昔なんかもっと何本も見たような気がするんだけど。。『Uターン』が強烈だったからかなぁ。

映画の方は、大スターとそんな大スターに興味はありませんっていう地味なシングルファーザー高校数学教師とのラブコメディ。
一般人冴えない高校教師役には名優オーウェン・ウィルソン。
ジェニファー・ロペスとオーウェン・ウィルソンは『アナコンダ』で共演しているみたいね。

映画『君を想い、バスに乗る』

2021年 監督:ギリーズ・マッキノン
製作国:イギリス
at ギンレイホール




最愛の妻(フィリス・ローガン)をなくしたばかりのトム(ティモシー・スポール)は、亡き妻との約束を胸に、バスの高齢者フリーパスを使って目的地のランズエンドへと向かう。
おじいさんのロードムービーであり、なかなかの愛の物語でもある。

歩くのもおぼつかない老人の一人旅。
出会うのは親切な人達だけとは限らないってところが面白い。

最初の故障した車のエピソードはよく意味がわからず、なんだったんだろう。
悪者を痛快にやっつけたみたいな展開で、その後子供とにらめっこしているようなあの表情の意味とかもよくわかっていない。
なんか映像で見せる系の映画だったのかと思って少し身構えたものの、全体としてはちゃんとストーリーを説明しようとしている映画っぽく思えた。
説明しようとしているんだけど、様々な出会いやエピソードが詰め込まれていて「質より量」って感じだから結果説明不足とかそんな感じなのかな。

中身不明の大事な謎のトランクの中身は過去シーン等から中盤以降で予測がつくようになっている。
もうちょっとラストぎりぎりまで引っ張ってもいいんじゃないかとか、予告編にもある待ち伏せギャラリーがなんか胡散臭くて邪魔くさいとか、いろいろ不満点はあってもそれでもラストは結構泣いてしまった。
いい映画だ。

2022年11月12日土曜日

映画『ベイビー・ブローカー』

2022年 監督:是枝裕和
製作国:韓国
at ギンレイホール




クリーニング店を営み借金まみれのサンヒョン(ソン・ガンホ)は、赤ちゃんポストがある施設で働くドンス(カン・ドンウォン)と共謀して預けられた赤ん坊をこっそり転売していた。
そんな二人はすでに警察に目をつけられていて、アン・スジン(ペ・ドゥナ)とイ刑事(イ・ジュヨン)はサンヒョン達を転売の現行犯で逮捕するべくマークしている。
いつものように赤ん坊を連れ出したサンヒョン達だけど、今回はいつもと異なり母親ソヨン(イ・ジウン)が思い直して赤ん坊を連れ戻しに戻ってくるというハプニングがある。
で、なんだかんだでロードムービーの始まり。

旅の過程で、違法なことをしているサンヒョンとドンスの人柄や過去、赤ん坊に見向きもしないソヨン、刑事のスジンの事情等々が次第に明らかになりつつ、旅先で出会う施設で売れ残った少年、赤ん坊を求める客、等々、ザ・ロードムービー。
ロードムービー大好き。
キャストだけでなくスタッフも韓国の1流どころが集まっているらしい。
撮影も韓国の人だけど青みがかったくっきりした映像は是枝監督って感じで落ち着く。
ストーリーはかなり凝っているが少し詰め込みすぎかな。って思うところがあっても映像見ているだけで十二分に満足な映画。

ペ・ドゥナは『空気人形』の人か。

映画『セイント・フランシス』

2019年 監督:アレックス・トンプソン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




壁からひょっこりはんする少女とか「ごめんなさい」とか変顔合戦とか「私は勇気がある!」うぉー、とかさ、この予告編見て1mmも面白そうじゃなかったので見ないでスキップすることも視野に入れてたいんだけど、一応見てきた。
で、意外と面白かった。

34歳独身のブリジット(ケリー・オサリヴァン)は定職にもつかず、今はレストランのウェイトレスをしている。
そんなとき短期だが割のいいナニーの仕事にありつけることになる。ちなみにブリジットは子供が別に好きでもない。
面倒見るのはレズビアンカップルの6歳の娘フランシス(ラモナ・エディス=ウィリアムズ)で、この子がなかなかおませというか賢いというか(悪く言えば脚本的に作りすぎている)、ブリジットはだいぶ扱いに四苦八苦するんだけど、次第に心を通わせていき。。

なんかあらすじ書いてもやっぱつまらなそうって思えてくる。
でもなんか面白かったんだよね。
コメディとドラマのバランスがよくて、なかなか赤裸々でもあったからかな。

脚本は主演のケリー・オサリヴァン。
フランシス役のラモナ・エディス=ウィリアムズはフィギアスケートでオリンピックを目指しているらしい。だからスケートシーンがあったのか。

2022年10月30日日曜日

映画『わたしは最悪。』

2021年 監督:ヨアキム・トリアー
製作国:ノルウェー / フランス / スウェーデン / デンマーク
at ギンレイホール




頭いいやつは当然医者になるよねって感じで医大に入ったものの、私が本当にやりたいのはこれじゃないと気づいて自分探しwwwの旅に出るユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)。
とその辺はすっ飛ばしてカメラマンの仕事しているときにパーティーで知り合った風刺漫画家のアクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)と知り合って恋人になってからは落ち着き出す。
落ち着いた、、と思わせておいて実は全然落ち着いていなくてまだ自分探し途中だった。
最悪。

序章とエピローグと12章から成るって最初の方で説明があって、1章が終わるまで恐ろしく長かったことに絶望する。
あと11章とエピローグまであんのかい!
計128分。
でもまあとりあえず最後まで鑑賞はできた。

ベネディクトカンバーバッチに似ているアイヴィン役のヘルベルト・ノルドルムが脇役で終わらなさそうと思ったらやっぱりそうか。
世界が停止するのは最近台湾映画で見たな。

映画『帰らない日曜日』

2021年 監督:エヴァ・ユッソン
製作国:イギリス
at ギンレイホール




なんだか濃密で自然で美しい映画だった、
時間軸がシームレスに飛んで行ったり来たりするのも普段ならいらっとするところだけど、この映画ではさほど気にならず。
1924年のイギリス。豊かな自然と豪邸。そして主演のオデッサ・ヤング。
冒頭のオデッサ・ヤングのアップや駆ける馬の足のスローモーションに始まり、とにかく美しいものを執拗に追いかける。
落ち着いた調度品に溢れた豪邸の中を裸の女にゆったりと散策させるってどういうことよ。
ともすれば下品になりがちなところ、色合いなのかなんなのか、なんかいいバランスで調和しているのね。

主演のオデッサ・ヤングはほとんど無名の人だね。これから有名になるだろうな。
脇役でコリン・ファースとオリヴィア・コールマンが固める。

面白かったー。