2015年6月28日日曜日

映画『カフェ・ド・フロール』

2011年 監督:ジャン=マルク・ヴァレ
製作国:カナダ/フランス
at ギンレイホール




1969年と現代の二つの時代における、まったく関係のない家族の物語が交互に描かれる。
現代パートでは、DJのアントワーヌ(ケヴィン・パラン)が若い恋人ローズ(エヴリーヌ・ブロシュ)と、前妻との間にできた二人の娘とで楽しく暮らしている。
前妻とはソウルメイトというくらいお互い離れがたい存在だったが、若い子に走った、という単純な理由でなく、若さは関係なくてローズには前妻以上の運命を感じているかららしい。
過去パートでは、ダウン症の息子ローラン(マラン・ゲリエ)を一人で育てる美容師ジャクリーヌ(ヴァネッサ・パラディ)の物語が展開される。

この二つの時代の物語、まったく関係ないことはないだろうと接点を探してみても、過去パートのダウン症の子供ローランが現代パートのアントワーヌとイコールになりえないし(アントワーヌはダウン症でないし両親がいるし年齢も合わない)、住んでいる地域も違うしで、まったく接点が無い。
冒頭の空港のダウン症っぽい集団が、後々なんか絶対つながると思って記憶の隅にとどめていたけど、それもあまり関係なかった。
ストーリー上の唯一のつながりは、現代パートのアントワーヌの前妻キャロル(エレーヌ・フロラン)が過去パートのローランの夢をよく見ること。
まじでなんも繋がりないじゃん、という感じだけど、これが最後にばしっとつながる。
アントワーヌが若い恋人ローズを選んだ理由とか、前妻キャロルがいまだにアントワーヌを引きずっている想いとか、すべてがばしっと解決、というか決着する。
こんなの誰も予測できないよー。

あと、ダウン症の子供って生まれたときからわかるのだろうか。

映画『薄氷の殺人』

2014年 監督:ディアオ・イーナン
製作国:中国/香港
at ギンレイホール




ひんやりとした空気感の映像に差し込む電飾のほのかで刺激的な明かり。
人物や物のちょっとした動きが映像をひきしめ変化させ、飽きることなく永遠に魅了していく。
音の使い方も効果的で、いらだたしげに転がり続けるビンの音とか、趣味の悪い色合いの空間で静寂を突如突き破る無慈悲な銃声とか、もう映像に真っ向から対決するくらいの勢いで主張してくる音の使い方って本当大好き。
※ただ、雪を踏む音は個人的に苦手なのであまり聞きたい音では無い(きゅきゅっと気が引き締まるのでそれなりにアクセントにはなったけど)

めちゃくちゃ面白かったわ。
ストーリーも面白かったし。
「長いトンネルを抜けると雪国であった」シーンでは親切なおっちゃん、と思いきや自分のぼろいカブを置き土産に人のバイクを勝手に乗っていってしまうというギャグシーンなんかもある。
カブの持ち主調べればすぐばれそうな気もするけどそこは中国。
屋外スケート場で借りたスケート靴のままスケート場の外までしれっと滑り続けていってしまう自由な神経も中国。

配役は皆、ストーリーにも映像の雰囲気にもびっくりするくらいマッチしている。
主演のリャオ・ファンのちょっと駄目人間ぽいところも見える渋いかっこよさ。
グイ・ルンメイの影のある寡黙な美しさ。
クリーニング店店主役ワン・ジンチュンの善人でも悪人でもないごく一般的な「人間」っていういやらしさ。

調べてみたら主演女優のグイ・ルンメイは『藍色夏恋』(2002)の子だ。少し大人っぽくなったけど全然変わらん。


それにしてもすごい監督が出てきたもんだ。
まだ三作目で、しかも結構な寡作。
次回作はいつになるんだろう。

あと、タイトルは「白昼の花火」の方がよかったんじゃないかな。
ラストは圧巻で泣きそうになった。

2015年6月14日日曜日

映画『ANNIE/アニー』

2014年 監督:ウィル・グラック
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




舞台も見ていないしどんな話かも知らん。でもまったく見る気がしない。
『天才スピヴェット』も見たし帰ろうかと思ったけど一応見てみる。
中盤うとうとして、久しぶりにつらい、と思ったものの、最後の金かけてる感がすごいラストはまあ面白かった。

で、一番面白かったのはエンドロール。
上から赤い風船がたくさん降ってくるんだけど、エンドロールの字幕にぶつかるとぽーんと跳ね返ってくるくる落ちていくのね。
風船が何かにぶつかって落ちていく様を何パターンも取ってエンドロールの字幕にせっせと当てはめているのかと最初思ったけど、なにしろ数が尋常じゃない。
それにたまに風船じゃありえないスピードで落ちていくのも混じっていたりする。
とすると物理エンジンで字幕を障害物に見立てて風船を投下しているんだな。
ぶつかってくるくる反転する様が本当にすごいわー。

それともうひとつの見所はキャメロン・ディアス。
おでことか目じりとかめいいっぱいしわくちゃにして、口なんかひん曲がりまくりで、もうなにも失うものが無いかのような大仰な演技が素敵過ぎる。

ガキが嫌い。生意気なガキはもっと嫌い。だから芸達者な子役が嫌い。
だけどまあアニー役のクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんはそんなに嫌悪感なかった。

ミュージカルシーンはダンスがほとんど無い(映っていない?)ので面白くなかった。
歌だけで聴かせるなんてジュディ・ガーランドくらいしか認めないぜ。

2015年6月13日土曜日

映画『天才スピヴェット』

2013年 監督:ジャン=ピエール・ジュネ
製作国:フランス/カナダ
at ギンレイホール




予告編見て面白そうだと思っていたけど、冒頭の飛び出す絵本(たぶんCG)を見たときにあれっと思う。
最後までみた感想としては、ロードムービー要素もあるし、ブランコの少女との一瞬のみの出会いとかいいシーンもそれなりにあって、普通に面白かったと思う。
ただ、あまり自分には合わないなと思った。
面白いCGなら好きだけど、おしゃれ感を出すだけのような無駄なCGは邪魔以外の何者でもなく嫌いなため。
エンドロール見ていて初めて知ったが、監督はジャン=ピエール・ジュネだった。納得。

公式ページ見ていたら、なんかこれ3D映画だったらしいね。
3Dで見ていたらあのCGも違って見えたのかもしれない。まあ3Dで映画を見たことは一度もないし今後も見ることはないと思うが。

母親役の人がすごく懐かしい感じがするのに思い出せなくて、誰だろうと思っていたらヘレナ・ボナム=カーターだった。久しぶりに見た。

2015年5月17日日曜日

映画『ゴーン・ガール』

2014年 監督:デヴィッド・フィンチャー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




中盤で一度ネタばれのようにあっさりと真相が分かるけど、
安心してください、そこからもさらに面白さが続きます。

デヴィッド・フィンチャーっぽいテンポのいい最高のジェットコースタームービーになっている。
サスペンスなのかコメディなのかホラーなのか・・話が進むたびに映画の表情が変わるのが面白い。
世界中で大ヒットした小説が原作らしい。原作者が脚本書いてるね。

主演はベン・アフレック。
失踪妻役にロザムンド・パイク。

映画『トラッシュ! -この街が輝く日まで-』

2014年 監督:スティーヴン・ダルドリー
製作国:イギリス/ブラジル
at ギンレイホール




大人向けサスペンスでありジュブナイルでもある。なかなか面白かった。
予告編見て悲しい結末を予感していて、それとなく最初から心構えして見てしまった。

途中までどこの国だか分からずアジアのどこかかと思って見ていたらブラジルだった。
ブラジルこえーなー。

神父役にマーティン・シーン。
ルーニー・マーラが美人。
悪徳刑事役にあまり悪そうに見えないイケメン、セルトン・メロ。

2015年5月7日木曜日

映画『イーダ』

2013年 監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
製作国:ポーランド
at ギンレイホール




スクリーン幅はスタンダード・サイズで映像はモノクロ。
ただの懐古趣味だったら嫌だなと思ったけど、映画、って感じの映画でかなり面白かった。
余白の多い構図は静謐さで満たされて、映像を見ているだけで堪能できる。
少し重めの時代背景の中、寡黙な主人公イーダ(アガタ・チュシェブホフスカ)の清廉な美しさが映える。
過去にとらわれ続ける叔母の悲痛さも静謐な映像に合っている。

最後の方であるクラシック音楽がかかったとき、あ、これなんだったっけと記憶をたどるためにちょっとスクリーンから意識がそれていたら、衝撃のシーンが展開されて、ああ、もっと集中して見ていればよかったと後悔した。
まあその後もこういうシーンって何度か他の映画でみたことあるなぁ、『わたしが・棄てた・女』はちょっと違うし、なんだっけ、とまた意識がそれるんだけど。
ちなみに今調べたら音楽はモーツァルトの交響曲第41番だった。

映画『100歳の華麗なる冒険』

2013年 監督:フェリックス・ハーングレン
製作国:スウェーデン
at ギンレイホール




爆笑とまではいかないけど(ブラックユーモアだし)、なんか久しぶりに笑えて楽しい映画を見た気がする。

100歳の誕生日に老人ホームから抜け出したアラン(ロバート・グスタフソン)の気ままなロードムービー。
気ままっていっても周りで人がばんばん死ぬけどね。

爆弾遊びが大好きだったアラン少年は問屋のおやじかなんかを誤って爆殺してしまう。
ふっとんだ首がボンネットに落ちてきたりと、シリアスな残酷さとコミカルさが表裏一体のなんともいえないシーンの後、少しも悪びれないアラン少年が映し出される。
悪びれないどころか死んだ男を間抜け扱いしているし。
ここでアラン、そしてこの映画の死生観を観客は理解する。
死なんてただそこで終わるってだけのこと。そして死の原因が自分にあろうがそれは死んだ奴の運が悪かったってだけの話。というか間抜け。みたいな。
だからその後の数々の死もあっという間に感覚が麻痺してすんなり受け入れてしまう。

ただ、アランのように行動原理が"無欲な衝動的欲求"で成り行きまかせのような生き方は命がいくつあっても足りないけど、そこはまあフィクションなのでなんだかんだで100歳まで生きている。
"無欲な衝動的欲求"といっているのは自分でも何言ってるかよくわからないが、アランは物欲、自己顕示欲とかそういう社会的欲求にびっくりするくらい興味を示さないから。
じゃあ何があるかというと、派手な破壊欲求。
しかも本人が意図していなくても、天然なのか阿呆なのか、成り行きでいろんな人の人生を破壊していくから生粋のデストロイヤーだ。
この破壊欲が殺人衝動にならなくてよかったもんだ。死に無頓着な分かなり危ないし。
まあ間接的に十数万人殺しているけどね。
そういえばアランは青年期に、こんなやつの子孫を残しちゃいけない、と医者により子供が埋めないように手術(去勢?)されているが、これって性欲もなくなるのかな。
手術しなくても薄そうな気もするが。

主演のロバート・グスタフソンは実際は50歳くらいで老けメイクしていたらしい。

2015年4月19日日曜日

映画『紙の月』

2014年 監督:吉田大八
製作国:日本
at ギンレイホール




見終わってまあ面白かったという思いとともにしこりのように残るのは、なんだろうこの気持ち悪さはという感覚。
思い返すと、青っぽい色調やら音楽やらホームの階段を下りてくるスローモーションとか大学生のくそがきとのくさいじゃれあいとか、いろんな細かい気持ち悪さが積み重なっているのかもしれない。
吉田大八は『桐島、部活やめるってよ』の人だね。
桐島での校内や生徒に漂っていた不穏な空気感を、そのまま社会人の(しかも犯罪の絡んだ)上にシフトすると、なんだか醜くなるのだろうか。

主演宮沢りえ。もう輝いていた頃の体重には戻らないのかな?
相手役に池松壮亮。
初めて見たけど、あの声としゃべり方がなかなか神経を刺激してくる。声はともかくしゃべり方は役に合わせた演技だろうか。だとしたら凄い奴だ。あれっ、横道世之介とか夜のピクニックで見ているっぽい。
他、中原ひとみちゃんが出ている。

映画『滝を見にいく』

2014年 監督:沖田修一
製作国:日本
at ギンレイホール




基本的におばちゃんって嫌いなんだけど、見終わる頃にはこの7人のおばちゃんが好きになる。
7人のおばちゃんたち。
個性的な、というより、普通のおばちゃんたち。
普通のおばちゃんの何が魅力なのかって、それはよくわからない。
この年まで生きてきた年輪があるからかな。
それと周りに誰もいないためか、時折いかんなく発揮されるおばちゃん達の少女性がまぶしい。
それぞれ様々な過去を持ち今を生きるおばちゃんたちも、社会における大人の仮面をはずせば女子中学生かってくらいきゃぴきゃぴした素顔が現れる。
そう、女子中学生は女子中学生でしかないが、おばちゃんは女子中学生でもあり女子高生でもあり新入社員でもあり奥さんでもあり母親でもあり、人生の苦楽をたくさん経験している凄い生き物なんだ。
おばちゃん素晴らしい。

7人のおばちゃんを演じた女優さん達は、ほとんどが素人らしい。
小林聡美とかもたいまさことかいうありきたりな配役だったら最後までしらけていたと思う。

そういえば出演者が少ないからか、エンドロールが超短かった。