2021年12月18日土曜日

映画『モロッコ、彼女たちの朝』

2019年 監督:マリヤム・トゥザニ
製作国:モロッコ / フランス / ベルギー
at ギンレイホール




夫を事故でなくしたアブラ(ルブナ・アザバル)は小さなパン屋を営んで娘ワルダと二人で細々と生活していた。
ある日お腹の大きい妊婦が仕事を探して訪ねてくるがそんな余裕も無いアブラが冷たくあしらって追い返すのだが。。

最初からいかにも善人ですっていうお人好しじゃないのね。
母娘の二人生活じゃ他人にかまっている暇もないのだろう。
しかしアブラはこの追い返した女性のことをずっと気にかけてそわそわしっぱなしっていうところがいい人すぎる。
やがて一緒に住むことになる妊婦サミラ(ニスリン・エラディ)によって生活に変化が訪れる。

女性に厳しそうなイスラム世界でのそれぞれの彼女たちの朝。
原題は『ADAM』。意味はネタばれ。

娘のワルダが幼いのに利発で可愛らしく明るい。
無表情な母親との対比でなおさら輝いてみえる。
いろいろ抱える大人の母親たちだけじゃどんよりするだけだしね。その辺のバランスがよかった。

映画『ベル・エポックでもう一度』

2019年 監督:ニコラ・ブドス
製作国:フランス
at ギンレイホール




ファニー・アルダン。。。この人妖艶な魅力はそのままで全然歳取らないな。
ダニエル・オートゥイユより年上かよ。70って。

元売れっ子イラストレーターで今は時代に取り残されたヴィクトル(ダニエル・オートゥイユ)。
妻のマリアンヌ(ファニー・アルダン)は自由奔放。時代に取り残された皮肉屋の夫にほとほと嫌気がさして不倫しいてる。
ついに妻に追い出されるヴィクトル。
やることもなく、ある日ヴィクトルは息子からプレゼントされた「映画の撮影セットを駆使して好きな時代の好きな役を演じることができるというサービス」に行ってみることに。。

年齢、時代、虚実を超えた恋愛コメディー。
ファニー・アルダン演じるマリアンヌが最初の方ただの嫌な女なんだけど夫を追い出しておいて速攻自分を責めたりとか情緒不安定で謎の人物。
自由奔放な直情型みたいなのにカウンセラーなんていう知的な仕事をしていたりもする。
まあ長年一緒にいるといろいろあるってことかな。
自分のことを誰よりも大事に思ってくれる人が一番大切ってことさ。

2021年12月4日土曜日

映画『イン・ザ・ハイツ』

2020年 監督:ジョン・M・チュウ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




マンハッタンの北部に位置する移民の街が舞台。
ストーリーは移民2世3世達の若者たちの夢と苦悩の物語。
差別とか生活環境の悪化とか。
まあミュージカル映画だしストーリーは結構どうでもいい。
最初のダンスシーンまでだいぶ引っ張られて、やっときたか、ってところでタイトルロゴどーんは上手い。
と思ったけど全般的に歌中心でダンスは少なめだった。

ダンスのジャンルは多岐に渡っていて面白い。
プールの水しぶき使ったダンスとかなかなか盛り上がる。
ただ、、全体的な話、カット割りが細かすぎてダンスをじっくり見たいのに次々に切り替わるからいらっとする。テンポはいいんだろうけど。

かき氷売りが原作/作詞・作曲/音楽/製作のリン=マニュエル・ミランダらしい。多才!

映画『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』

2018年 撮影:シドニー・ポラック
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




予告編見てもいまいちどういう映画かわからないのね。
しかもクライマックスっぽいアメイジング・グレイスの歌唱が予告編で一部聴けてしまうし。
で、本編見るとこれは、、ライブ映像だね。

1972年1月にロサンジェルスの教会で2日間に渡って行われたライブで、このライブのライブ・アルバム『AMAZING GRACE』は大ヒットしている。
そのアルバムのライブ映像が実はありました、ってことらしい。
アルバム聴き込んでいる人は歓喜なんじゃないだろうか。
私なんかは『ラヴ・ソングス~バラード・ベスト~』っていうベストアルバム持っているだけのほぼ初心者なんだけどなかなかおもしろかった。

アレサ・フランクリンの歌をすべての起点として、荘厳な熱量・熱狂で空間が満たされている。
宗教的な祈りにも似ている。
観客もサポートの聖歌隊も撮影スタッフも皆自由で、興奮して立上がる、叫ぶ、吠える、手を叩く、踊りだす、歩き回る、物投げる。
原始的な衝動と熱狂にあてられてこっちも映画館でおとなしく座っているのがもどかしくなってくる。

撮影を指揮しているのはなんとシドニー・ポラック。
画面にも映りまくっている。
このライブ映像がお蔵入りになった理由がなんかの技術トラブルらしいけどいまいち意味がわからず、なんらかの利権的なもんが絡んでいるんじゃないかと勝手に想像していたけどそんなことはなく
「カットの始めと終わりのカチンコがなかったために音と映像をシンクロさせることができないというトラブルに見舞われ」
らしい。
トラブルというかミスなんじゃねという気もする。。自由だ。

2021年11月21日日曜日

映画『ジェントルメン』

2019年 監督:ガイ・リッチー
製作国:イギリス / アメリカ
at ギンレイホール





マシュー・マコノヒーが登場からいきなり退場で、えっ!てなるけど一応ちゃんと物語の中心。
ロンドンのマリファナ王ミッキー(マシュー・マコノヒー)が引退して事業を売却しようとしているという噂が裏社会に流れる。
利権総額500億。
この一大イベントに表裏関係なくユダヤ人富豪やチャイニーズマフィアの野心家とか私立探偵とか格闘家とかゴシップ紙編集長とかチーマーとかロシアンマフィアとか様々な人物が様々な思惑で関わってきて壮大な駆け引きと運命のスリリングなお祭りが始まる。

ガイ・リッチーって名前だけは記憶していても過去作をすぐに思い出せないくらい記憶があせていた。
そうそう、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』の監督だよ。
ガイ・リッチーファンだったら「これこれ、これが見たかったんだよ」と言いそうなテンポのいいクライムコメディ。

コリン・ファレルも気づかなかったけど、あの私立探偵ヒュー・グラントだったのか!
大物ぶった小賢しい小物感とあの顔がやけに合う!
主役に近い準主役のレイ役の人も存在感抜群だったし誰だったんだろうと、調べてみるとチャーリー・ハナムって人。初めて見たかも。

映画『Mr.ノーバディ』

2021年 監督:イリヤ・ナイシュラー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




妻と子どもたちと暮らすごく平凡な男ハッチ・マンセル(ボブ・オデンカーク)。
路線バスで職場に通い火曜のゴミ当番はいつも出し遅れるような平々凡々な日々。
本当にどこにでもいる無個性で「誰でもない」男ハッチ。
ある日家に強盗が押し入るのだが、果敢に強盗に立ち向かう息子をよそに、ハッチは家族の安全を優先する。
戦わなかったことで周りからは散々な言われようで家族もぎくしゃく。
しかし愛する娘から「猫ちゃんのブレスレットがない」と言われ。。

久しぶりに頭空っぽで痛快に楽しめる映画を見た気がする。面白かった。
超人的な強さではあるけど結構普通にやられもするところがハラハラしてまた楽しい。
結構グロいのには顔をしかめつつも、ゆるいギャグとバイオレンスの絶妙なバランスとか、coolなかっこよさとださかっこよさっていうギャグと表裏一体な感じとか最高だね。
ユリアン(アレクセイ・セレブリャコフ)登場シーンの流れるような長回しもシビれる。

クリストファー・ロイドは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の時はまだ40代だったのか。。知らんかった

2021年11月6日土曜日

映画『騙し絵の牙』

2020年 監督:吉田大八
製作国:日本
at ギンレイホール




この予告編改めて見るとよくできているな。
物語上大したことないシーンや結構重要なシーンとかを予告のあらすじ紹介という目的の映像としてうまいこと切り貼りして当てはめている。
編集の力、すごい。
本編は本編でたぶん原作の力が強い面もあるだろうが結構面白かった。

キャストがうまいことはまっているよね。
はまりすぎて逆につまらなくなりそうなギリギリのライン。

松岡茉優はバラエティもこなす芸達者な部分がわりかし胡散臭さを帯びて少し興味が薄れていたけどこの人やっぱりいいな。画面が映えて明るくなる。

大泉洋は役者であまり見た記憶がない。
けどこのひょうひょうとした役柄はよくはまっているなぁ。切れ者に見えるし。
あ、なんか原作は大泉洋をイメージしてあてがきしたらしい。

うーん、気付いてしまったかも。
さっき胡散臭いって言葉使ったけど、キャストがはまっていると思ったのは胡散臭い役者しか出ていないからだ。
リリー・フランキー、小林聡美、大泉洋、中村倫也、斎藤工、坪倉由幸、國村隼、佐藤浩市,、佐野史郎、etc

映画『犬部!』

2021年 監督:篠原哲雄
製作国:日本
at ギンレイホール




実在したサークル犬部の創設メンバたちのお話。
青森県十和田市の獣医学生、花井颯太(林遣都)は大の犬好き。
同じく犬好きの盟友柴崎涼介(中川大志)と、ボロアパートのご近所さんの猫派、佐備川よしみ(大原櫻子)と、真面目な後輩くん秋田智彦(浅香航大)を仲間に引き入れて犬部を設立する。
犬、猫たちの保護活動ね。
この学生時代から16年後、サークルメンバたちはそれぞれ動物たちと向き合ってきて。。

ノンフィクション小説やらコミカライズやらいろいろメディア展開しているらしい。
映画化に際してはベテランの篠原哲雄を起用するあたり結構本気。
安定して面白かった。

林遣都はデビュー作の『バッテリー』で見て以来、一時期消えかけていたような気がするけど気のせいか。順調にキャリア重ねて今や超売れっ子俳優だな。
犬への愛に溢れすぎて少し常軌を逸したところもある人物像とぶっきらぼうな台詞回しがよく合っている。
中川大志の役も犬愛に溢れているけど、中川大志の雰囲気からしてなんか本当にやばいやつに見えるときがある。。

安藤玉恵さんが癒やしだわ。

2021年10月23日土曜日

映画『ノマドランド』

2020年 監督:クロエ・ジャオ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




リーマンショックで住居を失ったことを機に、ファーン(フランシス・マクドーマンド)は車を住居とするノマド(遊牧民)になる。
デイブ(デヴィッド・ストラザーン)以外は実際のノマド達らしい。
ジェシカ・ブルーダーの世界的ベストセラー・ノンフィクション『ノマド:漂流する高齢労働者たち』が原作らしい。
ノンフィクションの映画化だからノンフィクションのフィクションでドキュメンタリーチックで、、え、どういうこっちゃ。

大自然と文明を行き来しながらノマド達との交流を通して一人のノマドとして強く前を向いて生きていくロードムービー。
この生き方が気ままなのか辛いのかはどっちもどっちだけど、家族や家を大事にする(美学にしている)当のアメリカ人達が一番驚きそうな生き方。
ノマド達の笑顔の裏に刻まれている人生の年輪が熱い。

フランシス・マクドーマンドはもう60超えているのね。確かに『ファーゴ』の時点でそれほど若くはなかったけど。

映画『ブラックバード 家族が家族であるうちに』

2019年 監督:ロジャー・ミッシェル
製作国:アメリカ / イギリス
at ギンレイホール




海辺に住むポール(サム・ニール)とリリー(スーザン・サランドン)夫婦のもとに、週末、家族が集ってくる。
家族団らんとおもいきや、どうやらリリーは末期がんで、この週末に安楽死する計画らしい。
家族も当然知っていて、最後の別れのために集まった。
集まったのは長女ジェニファー(ケイト・ウィンスレット)と夫(レイン・ウィルソン)と二人の息子(アンソン・ブーン)。
そして次女のアナ(ミア・ワシコウスカ)と恋人のクリス(ベックス・テイラー=クラウス)。アナは母親の決断にあまり納得していない。
そして家族じゃないけどリリーの親友リズ(リンゼイ・ダンカン)もやってくる。

出演者8人、で舞台劇のよう。
登場人物達のキャラクターを簡潔に浸透させつつ家族が集まった理由や関係性を小出しに進めていく展開はほどよく飽きさせない。
「これだけは約束して!お母さんを悲しませるようなことだけは絶対しないで」っていう長女が次女に言ったセリフとか、いろいろ集約しているよな。
ただしこれで皆一気にジェニファーが嫌いになるだろうけど。

一応スーザン・サランドンとケイト・ウィンスレットが初共演っていうのが売りらしい。
スーザン・サランドンは個人的にはそんなに気になる女優じゃないのと、ケイト・ウィンスレットは好きだけど上述の通り役柄が嫌だったので微妙で、そんなことよりもミア・ワシコウスカが全てをかっさらうくらい輝いていた気がした。
役どころとしてもいろいろ抱え込んでいるから一番難しいんじゃないだろうか。
あまりに自然に演じているからか、アナの悲しみや苦しみが一番刺さる。
そして泣きながら笑っている表情とか、愛しさにも溢れているから最強すぎる。

あと、家族でジェスチャーゲームやっているのは衝撃だったな。
ジェスチャーゲーム、、家族で!?ひぃーー。