2010年12月23日木曜日

映画『北京の自転車』

2000年 監督:ワン・シャオシュアイ
at ギンレイホール


ギンレイの受付で財布からカードを出して差し出したら受け取ろうとした従業員さんから「カードが違います」と言われ、差し出した自分の右手につまんでいるカードに目を落とすとPASMOだった。
慌ててギンレイの会員カードを取り出して渡す。
恥ずかしい。

北京の自転車 [DVD]

前回ギンレイに来た時この映画の予告編は流れなかったから全く内容が分らないまま見始める。
いやぁー、面白い。
期待感も何もないまま見た映画が驚くほど面白かった時ほど興奮することはないよなぁ。
今年観た映画のNo.1にしよう。

山西省から北京に出稼ぎにやって来たグイ(ツイ・リン)は自転車宅配便の仕事にありつく。
今まで乗ったことも見たことも無いかっこいい高級マウンテンバイクが支給され、しかも宅配の点数をかせぐとその自転車は自分のものになるという。
北京を走り回り、あと少しで自分のものになるという所で自転車が盗まれてしまう。

盗まれた自転車は高校生のジェン(リー・ビン)が乗っていた。
一応不良のカテゴリーに入ると思われる青春を謳歌する高校生ジェン。
そして頑固だけど真面目で純朴なグイ。
隣のマンションの裕福な高嶺の花の女性をじっと見つめて、向こうが気付くとさっと目をそらすばればれな行動を何度も繰り返す純朴なグイなんだよ。
そんな自転車が盗まれて仕事もクビになってしまった可哀想なグイと比較するとジェンに対しては怒りしか湧いてこない。
ジェンがまたむかつく顔してるんだな。
もう見つけ次第ぼこぼこにしてくれることを祈る。
なのになんだ、グイは自分の自転車を見つけてしげしげと見渡していたところ、怒りの形相で追っかけてきたジェンを見た途端、殴りかかるでもなく自転車に乗って一目散に逃げ出すではないか。
「おい!まて!ドロボー!!」
この逃げるシーンがなかなかいい。
低いギアでしゃかしゃか漕ぐグイと全力疾走のグイ、そこから高スピードの危うい緊張→静止→ユーモア→激しい怒り、と怒涛の展開をする。
もう怒りだよ怒り。映画観てこんなに怒ったことは無いってくらいの怒り。本当むかつく。

同級生の不良仲間とつるんで遊んでいるジェンは痩せ型で背も高くない。
不良仲間も皆弱っちそう。
一人ガタイのいいやつがいるけど、中分け眼鏡のただのデブだ。
そんななんちゃって不良仲間に取り囲まれて恐怖で手も足も出ないグイのなんて哀れなことか。
社会人が高校生ごときガキどもに理不尽な仕打ちを受けるのだ。
哀れというか情けない。
でも最初は気付かなかったけど、社会人といってもどうやらグイはこの高校生と同い年くらいらしい。
この年でもう働くグイと高校に通う裕福な不良という対決。
裕福といってもジェンの家庭はかなりの貧乏で小学生の義妹の進学費やらなんやらでいつまで経っても父親からマウンテンバイクを買ってもらえない。
友達がマウンテンバイクに乗って遊んでいるのをいつも傍から見ているだけだった。
都市部、農村部での貧富の差はむろんのこと、都市部の中でもいろんな貧富の層がある。

警察にでも行けばいいものを、貧困層は警察を利用することすらできないのか知らないが、とにかくあまりに理不尽な仕打ちにも泣き寝入りするしかない。
しかしジェンの自転車に対する執着心は異常だった。
もう頑固とかいうレベルじゃないくらい自転車に固執している。
愛だね、これは。
その異常な愛の結果、グイとジェンの間である折衷案が取り交わされ実践される。
そんなんでいいのかよというような取引だけど、そのおかげでお互い関わることのなかったであろう二人の間に友情とも違う密かな連帯感が生まれる。
そして悲しみのラストへ。
なんかあんなにむかついていたジェンがかっこよく見えてくる。

それにしてもラストで見張り役のような不良が自転車を執拗に蹴りつける姿が滑稽だ。
怒りの矛先を直接当人に当てずに物に当たっている、という訳でもないけど、とにかく物に当たる姿っていうのは滑稽以外の何者でもない。
昔図書館の閲覧室で勉強しているとくっちゃべっているカップルに切れたらしい中学生が壁やドアを蹴りながら退出していって、特に気にもしていなかったが閉館時間になって帰ろうとしたら僕の自転車が倒れている上に前かごがぐちゃぐちゃにひん曲がっている。
きっとあの切れた中学生の仕業に違いない。
っていうのをふと思い出した。
この映画の不良もきっと日々の生活で溜まる怒りがあってそれを執拗なまでに自転車に当たっていたのだろう。

エンドロールを見ていると、2000年という文字が見える。
10年前じゃん。
2001年にベルリン国際映画祭銀熊賞を取っているらしい。
なんでも広電総局の管理部門が批准した脚本に沿わなかったため、長らく上映禁止になったとのこと。
監督はワン・シャオシュアイでいわゆる中国の第6世代の監督。

2010年12月13日月曜日

12月INFO

BS2 12月13日(月) 午後9:00~10:50
サイコ 1960年・アメリカ PSYCHO
〔監督〕アルフレッド・ヒッチコック
BS2 12月14日(火) 午後1:00~2:49
疑惑の影 1942年・アメリカ
〔監督〕アルフレッド・ヒッチコック
BS2 12月15日(水) 午後9:00~10:57
フレンジー 1972年・イギリス
〔監督〕アルフレッド・ヒッチコック
BS2 12月20日(月) 午後1:00~2:31
勝手にしやがれ 1959年・フランス
〔監督・脚本〕ジャン・リュック・ゴダール
BS2 12月22日(水) 午後2:30~2:59
ラ・ジュテ 1962年・フランス
〔監督・脚本〕クリス・マルケル
BS2 12月24日(金) 午前0:15~2:16 (23日深夜)
奇跡 1955年・デンマーク
〔監督・脚本〕カール・ドライヤー
BS2 12月24日(金) 午後1:00~3:16
太陽に灼かれて 1994年・ロシア/フランス
〔製作・監督・脚本〕ニキータ・ミハルコフ
BShi 12月26日(日) 午後3:30~4:54
アフガン零年(ぜろねん) 2003年・アフガニスタン/日本/アイルランド
〔製作・監督・脚本〕セディク・バルマク

ヒッチコックは他にも何本かあります。
他、ジャン・ギャバン、アラン・ドロンの共演特集とか。

新聞取ってない代わりに毎月月間のテレビ雑誌を買っていたけど、引っ越してから一回も買っていない。
民放で放映される映画がノーカットかどうかの情報が雑誌が無いから分らなくなってしまった。
ネットで調べてもカットの有り無しという一番重要な情報を載せてくれているページが見つからないんだよなぁ。

そういえば昨日コタツ出した。
毎年記録として書いているから一応。

2010年12月9日木曜日

映画『ヴェラクルス』

1954年 監督:ロバート・アルドリッチ
BS2 録画


ヴェラクルス [DVD]

バート・ランカスターのこの胡散臭い笑み!
怒りも照れも賞賛も裏切りも全て一つの笑みで表現するという胡散臭さ。
ただでさえ色黒なのに黒い服に身を包んで不適な笑みを浮かべるから白くない歯が白く見える。

南北戦争直後のメキシコ、南軍の敗将ベン・トレーン(ゲイリー・クーパー)は雇い主を求めてさまよっていた。
そんな折、ならず者のジョー・エリン(バート・ランカスター)と出会う。
二人は組んでマクシミリアン皇帝から護衛の仕事を得る。
伯爵令嬢のマリーが乗る馬車をヴェラクルスの港まで送り届けるという仕事だったが、実はこの馬車には大金が隠されており、革命軍が狙っていた。
危険な行程。
さらには大金をねこばばしようとするマリー、ベン、ジョーの騙しあい。
なかなか面白い。

どこからともなく遠くの高所に大量に出現する革命軍が不気味。
ロケ地メキシコでピラミッド等が映っている。
テオティワカンの遺跡?
ピラミッドにもしっかり一行を見下ろす革命軍が。

調べていたらラストの決闘に面白い事実があった。
ガンマンは拳銃の重さから実弾が残っているかを判断できるそうだ。
この映画の決闘の勝者は、敗者の拳銃を手に取った後に怒りの表情で投げ捨てるのだけど、投げ捨てる前に確かに重さを確かめるような仕草をしている。
弾が入ってなかったってこと?
いや、発砲したのだから無くなるのは当然だしなぁ。
実は空砲で空砲の薬莢を重さで認識したのか。
いや、そんな都合よく空砲が入っているわけ無いし。
銃の仕組みがよく分らないのでなんとも判別できないけど、敗者が実は勝者を殺す気が無かったっていう設定の方がかっこいいな。
その事実を勝者は銃の重さで気付いて怒りの表情をするという。

ゲイリー・クーパーはその存在感だけで十分意義があるが、一発殴ったら相手が遠くまで吹っ飛ぶほどの腕力があるように見えない。
役柄としても南部紳士で善人っていうのが憎めない悪役のバート・ランカスターを引き立たせる役のように思える。
それでもバート・ランカスターにぎりぎりのところで食われないでいるのは大スターゲイリー・クーパーだからか。

端役でチャールズ・ブロンソンが出ている。髭が無い。
アーネスト・ボーグナインも出ている。『ポセイドン・アドベンチャー』のロゴ刑事。

=====
これ、録画したのが2005年5月30日。
アナログのHDDレコーダーにはまだまだ見ていない映画がたくさん残っている。
地デジの液晶で見ると本当画質が汚いんだよなぁ。
それと、既に見たけどDVDに焼こうと残している映画が20本くらいあって、これをどうするかも微妙。
再生すると綺麗に表示されないのが分っていてDVDに焼く気にはなれない。
これから何年もかけてBSで放映してくれるのを待つかな。

2010年12月5日日曜日

見終わって

ギンレイで一本目見た後に席を移動したのだが、2本目が始まる直前に文庫本を前の席の床に置き忘れていたことに気付く。
まあ、2本目終わったら取りに行こうと思って特に気にせず。
2本目終わって前の席に行ってみると、な、無い~。
言ったり来たり怪しくうろうろするがやっぱり無い。
もしかしたら受付に届いているかも、と思って「あの~、本を置き忘れてしま・・」と言いかけたら従業員が「ああ、これですか」と視線をカウンターに落とすので追うように視線の先を見ると、八重洲ブックセンターのブックカバーの正しく僕の本。
受け取ってそそくさと映画館を後にする。
ところでこの本、久しぶりに読もうと引っ張り出した蓮實重彦の本なんだよね。
他の場所ならともかく映画館で蓮實重彦の本を落とすって人によってどう思うか千差万別だと思うけど、いずれにしろなぜだか気恥ずかしい。

その後BOOK OFFに行く。
最近FNS歌謡祭でTOKIOやV6が光GENJIの「Graduation」を歌っていて、何の思い入れもないのに懐かしさに切ない気持ちになる。
作詞:飛鳥涼 作曲:CHAGE。
名曲だわー。
ということでチャゲアスのCDでも探そうかとCDの250円コーナーを見ていたら、もう解散したバンド、ジムノペディ『雨、所により花吹雪』がしれっと置いてあるのを見つける。
新品なみに綺麗。
もう慌てて確保した。

チャゲアスのCDはいっぱい置いてあったけど、よくよく考えると基本的にカセットテープで一通り持っているんだよなと思ってやめる。デッキがないから再生できないが。

ついでに普通価格の洋楽コーナーも見ていたらデイブエドモンズの紙ジャケットがたくさん置いてある。
こんな紙ジャケット見たことないぞ。
ジャケット見てみると2008年に発売になっている。
昔は中古CDショップ行ってもデイブエドモンズのCDはめったに置いてなくて(新品ではいくつかみかけたけど・・)、見つけた時に買うようにしていても数年で海賊版っぽいライブCDを1枚買えただけだというのに、豊かな時代になった。

他にも見ていて「こんなの置いてある」と思うCDは手に取って見ると2008年が多い。
2008年ってなんかあったんだっけ。
中でも緑色の帯がついた同じレーベルから出ているらしきシリーズのCDをよく見かけ、見たこと無いなぁと手に取るとやっぱり2008年。
ネットで調べてみるとこの緑色の帯のCDはSHM-CD(Super High Material CD)とかいう高音質のCDシリーズらしい。
SHM-CDが製品化されたのが2008年。
既存アルバムのSHM-CD化による再販やら独自のベスト版など大量に発売されたのが中古市場に流れてきたということか。
ピーター・フランプトン、ハンブル・パイ、ニューヨーク・ドールズ等々ベスト版になって手に入れやすくなっている。

長い間物色したけど結局『雨、所により花吹雪』だけ購入する。
家帰ってさっそく聞く。
おお、懐かしい。
昔so-netの音楽サービスでこのアルバムを毎日パソコンで聞いていた以来だから8年ぶりくらいか。
ジムノペディはDVDがamazonで超高額になっていて、CDも高騰しているのかと思ったけど今調べてみると普通の値段で売ってるな。
5年前に買ったDVDはまだ開封すらしていないのだが本当いつ見ようか。

そういえば3日にBSハイビジョンでやっていたジャッキー・チェンの『スパルタンX』を録画し忘れた。

映画『やさしい嘘と贈り物』

2008年 監督:ニコラス・ファクラー
at ギンレイホール


やさしい嘘と贈り物 [DVD]

むー、なんだろう。一言で言うと恐ろしくつまらない。
前回のギンレイで予告編を見ていて大体のストーリーは知っていたけど、この予告編って完璧にネタばれしているよねぇ。
最初からそういう「設定」で話が進むのかと思いきや、後半どころか最後の最後でやっとその「設定」が事実として明かされる。
「設定」を匂わすものは随所に現れるものの、明確になるのはラストなのでこれをネタばれと言わずになんというのか。
いや、気持ちは分かる。「老人の恋愛物です」なんて宣伝して人が集まるわけないもんね。劇場に足を運ばせたら勝ちなんだから。
それにそういう「設定」があると知っていなければかったるくて見てられないというのもまた事実だし。
だから個人的にこの予告編に対して文句を言う気持ちは全くない。
オチを知っていようが知るまいがたぶんつまらないものはつまらないと思われるので。

出会いのシーン等でドラマチックにライトアップしたりという演出を懲りずに何度もやったり、スキー場だかどこかで一本の木に二人が背をもたせかけているよさげなシーンはカメラの距離が近すぎるしシーン自体短かすぎる。
ラジオかなんか分からないが毎日変わる音楽の目覚ましがなぜか非常に耳障り。
目覚ましだからそれでいいのかもしれないけど。
目覚める直前の赤や青の煙みたいなCG?とバックに流れる不穏な音がうざいからかな。
この煙みたいなやつはシナプスの消滅を現しているのか。
それにしてもチープだ。
チープってことで考えると、この一昔前のトレンディドラマのようなベタなノリは老齢の初々しい恋と背後に隠れて(隠れてないけど)最後に明るみになる真実を際立たせるための意図的なものだったという可能性も無きにしも非ず、、、とちょっと検索してみると否定的な意見が全く見られないので日和見的に肯定してみる。

主演はマーティン・ランドーとエレン・バースティンという作品に対してもったいない感じの豪華さ。
御年77のエレン・バースティンの可愛らしさが異常。
恋愛物はヒロインが可愛くないと駄目だよねぇ。
その点は軽くクリアしているのでいくらか救いがある。

監督は24歳だったらしい。

映画『瞳の奥の秘密』

2009年 監督:フアン・ホセ・カンパネラ
at ギンレイホール


瞳の奥の秘密 [DVD]

刑事裁判所を引退した男ベンハミン(リカルド・ダリン)は25年前の凄惨な事件を題材に小説を書こうとしていた。
当時の職場を訪れるとかつての上司イレーネ(ソレダ・ビジャミル)が彼を迎える。
この年下の上司の女性とベンハミンは何やらただの上司と部下ではなさそうな関係。
そこから過去と現在が交互に描かれ、25年前の事件とは何か、上司との関係は?等々次第に明らかになっていく。。。という書いてしまうとなんてことはない話に思えるけど、これが面白い。
スペイン/アルゼンチン映画。
アルゼンチンでは歴史的大ヒットだったらしい。

冒頭のモザイク?がかった映像とか目のアップとか、なんか芸術志向の監督なのかと思って微妙な感じがしたけど、段々気にならなくなる。
瞳の奥の秘密ってことで、カメラの手前に物や人の後頭部をピンボケ状態で映し出して被写体を覗き見るようなショットが執拗に繰り返され、見る、覗き見るという行為を弥が上にも意識させる演出。
見つめすぎてばれたり、ばれていないはずだったのに靴紐結ぶ行為すら見られていたり、大きく開いた胸元を一心に覗き見たり、見られているから柱の影に隠れてたり、見られたり聞かれたりするからドアを閉めようとしたり、見られていることを意識して銃を見せたり、見られることを恐れて写真立てを倒したり、覗き見たらでかい檻があったり。
それは誰でもないカメラという視点にまで広げて。
サッカー場のシーンでは犯人を追いかける手持ちカメラの緊迫した1人称視点、そこからいつのまにか誰でもないカメラ視点に移行していたり。
ああ、そう、このサッカー場のシーンの入りってCGなのかなぁ。フィールドから観客席まで上空からビューンとカメラが飛んでいってしかもその一瞬で見事にゴール決めているし。

もう忘れてしまったのだけど冒頭はベンハミンとイレーネだったのかな。
モラレスとリリアナ・コロトだと思っていた。
列車に乗り込む男をただ立ちすくんで放心したように見つめていた女が走り出した列車に意識を取り戻して必死にホームを走って男を追いかける、ってこんな情熱的だったらこの女は男を失った今、もう生きていけないのではないだろうか。

te moからte amoへ。
Aが壊れたタイプライターがそう繋がるか。

2010年11月23日火曜日

映画『華麗なるアリバイ』

2007年 監督:パスカル・ボニゼール
at ギンレイホール


アガサ・クリスティー 華麗なるアリバイ [DVD]

上院議員の邸宅で行なわれた親族、親しい友人のみのパーティで殺人事件発生。
8人全員が容疑者。
動機は、愛。

という予告編を見たとき、登場人物多くてかったるそうだな、事件発生後にどうせ容疑者達が言い争ったり被害者との関係が顕になったりとだらだら進んでいくんでしょ。
と全く見る気が起きず。
フランス映画界の豪華キャストで送ると言われても、無知ゆえにミュウ=ミュウしか知らない。

このテンションの低さを救ったのはマルト役のセリーヌ・サレットで、このぺちゃぱいの女性がいじらしくて可愛い。(むー、検索しても全然情報が得られない)
そんな入りだったけどいつの間にかこの映画自体に引き込まれていることに気付く。
これ、面白いです。
特にラストの方なんて初期のダリオ・アルジェントのホラーサスペンスのようにどきどきして怖い。
ただでさえ犯人が恐ろしいのに足もすくむ高所で不安定な足場の落下の恐怖が加わったら盛り上がる要素満載です。
ラストの怒涛の展開、演出はヒッチコックぽくもあったな。
大注目のマルトの想い人、いい奴フィリップ(マチュー・ドゥミ)が後半中心になるので愛にも溢れ。

監督は聞きなれないけど脚本家として活躍している人らしい。
フィルモグラフィー見ると、おお、ジャック・リヴェットのほとんどの作品の脚本に関わっている。
初監督だけどキャリアはかなりのベテランだった。

映画『クレイジー・ハート』

2009年 監督:スコット・クーパー
at ギンレイホール


クレイジー・ハート [DVD]

かつてスターだった男が今では売れずに各地をどさまわりしている。
生活も荒れ果てた初老にさしかかろうかという男の孤独な背中。

よくある話じゃないか、と日吉ミミも歌っているように、最近では『レスラー』もこんな話だった。
全然期待していなかったのにこれがかなり面白い。

伝説のシンガーソングライターのバッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)は、昔ながらのファンは未だにいるものの、今では曲も何年も書いていなくて落ちぶれている。
一方かつて弟子だったトミー・スウィート(コリン・ファレル)は人気の絶頂にいる。
何万人の前で歌う弟子に対して、バッドは最早ライブハウスでもない地方のボーリング場でステージを行なったりしている。
しかも重度のアル中だ。
そして何度か結婚しているが今は一人身の孤独。
ある時地方紙の女性記者ジーン(マギー・ギレンホール)からインタビューを受けたバッドはこの記者ジーンとねんごろになっていく。
親子くらい年が離れているんじゃないだろうか。
愛する人もできて本格的に復活したいところに、かつての弟子トミーのライブの前座の依頼が舞い込んでくる。
他の歌手ならともかくあいつだけは駄目だ、と言うもののこんなにいい話は他に無い。
渋々出演を承諾する。

監督は俳優さんらしい。
初監督なのに映像の一つ一つが熟練の監督かのように落ち着いている。
カメラマンの腕?
撮影はバリー・マーコウィッツ。
調べてみると『スリング・ブレイド』の撮影している人だな。
他にもニコラス・ケイジの監督作の撮影もしている。。。
俳優監督と縁があるのか。

後半、アル中のバッドがいつぽっくりいくのかと、その危うさから目が離せない。
この緊張感とすかしの連続。
むさくるしく不健康なバッドからすっきりした後の清潔感漂うバッドの驚くべき変化も見もの。

主演ジェフ・ブリッジス。
ジェフ・ブリッジスはかっこいいなぁ。
本人が歌っているっぽい。
堂々たる歌いっぷりで、全編歌に溢れているのに飽きない。
地方の名も無いバックバンドの演奏者も皆ありえないくらい上手いし。
コリン・ファレルも本人が歌っているのかな。

バッドの親友役でロバート・デュヴァルも出演。
もう80近いのに若々しい。

2010年11月20日土曜日

旧居

そういえば引越してから1ヵ月を過ぎた。
冷蔵庫も買った、電子レンジも買った、テレビも買った、HDDレコーダーも買った、ナノイー発生器も買った。
ベッドはまだ迷って買っていない。
未だに僕が住む4階には僕しか住んでいないらしい。

今日は年末調整を出すために会社のある蒲田くんだりまで行って来た。
社長の机の上に置いて会社を後にする。
せっかく蒲田に来たからどこか行こうと思って、会社の横に置きっぱなしの自転車で矢口渡近くのよく通っていた喫茶店に行く。

ああ、自転車の事書いておこう。
2年くらい前にしょっちゅうパンクしては修理に持っていってを繰り返していると、ある時もうタイヤが駄目だからタイヤを交換した方がいいと言われる。
5千円くらいかかる、と。
この自転車は確か2,3万とそこそこ高くて、しかも当時まだ買ってから2年くらいしか経っていないというのに、もうタイヤが駄目ってどういうことだと憤慨しながら修理は保留にして会社の横に置きっぱなしにしてから早2年。
もう処分されていて無いんじゃないかと思ったけど、行ってみたら奥の方に埃まみれで健在していたので先日ついに修理してきた。
鉄の部分が尋常じゃなく錆びていたけどそこは無視してまず埃を綺麗に拭きとって、錆び錆びでガチゴチになっている外れたチェーンを10分くらい格闘して取り付けてから自転車屋に持っていく。
この自転車を買った自転車屋はパンクの修理とか比較的安くてよく利用していたけど、いつだったか凄く横柄な態度の店員に頭に来てから一度も行っていないのだが、久しぶりに持っていってみる。
店の中に自転車を入れてから奥の店員を呼ぶと、そこは売り場だから勝手に上げないでください、コンクリートに傷がつくから、といきなり怒られる。
あの横柄な店員まだいたんだ。
パンクの修理と必要な場合はチューブの交換をお願いして店を出る。
チューブの交換の場合は3900円かかるらしい。安いな。
暫くすると電話が来る。
もうタイヤが駄目だからタイヤを交換する必要があり三千いくらだかかかるがいいか、と。
チューブとタイヤを交換して遭わせて6千いくら?と思って聞いてみると、ですから3900円です!と切れ気味に言われてむっとしながらもお願いする。
時間になり取りに行って支払って早々に後にするべく自転車にまたがって漕ぎ出すと意外に快適に仕上がっている。
後輪ブレーキがほとんど利かなくなっていたのに調整してくれたっぽい。
暫く走ってから止まって後輪の空気入れるところを見ると、紛失していたバルブのキャップも補足してくれている。
ただ、二度といかないと思う。

話を戻すと、喫茶店でケーキセット頼んで新聞読んで文庫読んで煙草吸って暫くくつろいだ後、夕飯にシダットに行く。7時半くらいだったかな。
初めて見る店員にバターパニールとナンを注文する。
ここのバターパニールはやっぱり甘くて美味いなぁ。
初めて見る店員だから僕の事知らないだろうと思ったけど、ちゃんとサービスでラッシーが出てくる。
半年前くらいからよく見かけるようになった女性店員がちらっと見えたからその人が覚えていたのかな。
サービスで出てくる飲み物は僕が頻繁に行くからサービスしてくれていると思っていたけど、もしかしたらよく行くとか関係無しにサービスで飲み物を一律出しているのかもしれない。

満腹になった後、旧居を見に行く。
駅から旧居までの道は往復でもう千回以上は歩いたはずだ。
この道を歩くことはもうないんだなと感慨にふける。
マンションについて外から見上げると、住んでいた部屋はカーテンも無く真っ暗なので、まだ誰も住んでいないようだ。
あの臭い部屋のクリーニングはもう終わったのかな。
この部屋も二度と入ることはないのか。
ここが初めて一人暮らしした所なので、よくよく考えてみるとかつて何年も住んでいた部屋に二度と入れなくなるという経験は初めてだ。
実家はまだあるし、実家は一度も引越ししていないので。
さして思いでもないけど寂しいもんです。

2010年11月7日日曜日

映画『おとうと』

2009年 監督:山田洋次
at ギンレイホール


おとうと <通常版> [DVD]

オールバックの女性は自意識過剰で性格が悪い、と小学生の頃に感じていた事をふと思い出した。
これは多分にオールバックだった同級生の女の子の印象によるのだけど。
オールバックって額が丸出しは当然のこととして髪の毛もびしっと頭の形に沿って撫で付けられているから、顔そのものが惜しげもなく前面に押し出されているわけだ。
顔に相当自信があるってことでしょ。
だから自意識過剰で性格が悪いっていう論理だけど、そういえば蒼井優もオールバックが多い。
やっぱり小学生の考えなんてそんなもんです、
ちなみに男のオールバックはただのハゲだ。

主演吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優。
しっかりものの姉と駄目駄目な弟、結婚したけど離婚しちゃった出戻りの姉の娘、の三者の物語。
段々退屈になってきて、後半にボランティアに近い利益度外視の生活保護者のホスピスが登場してからは一体何の映画観ているのかよくわからなくなってくる。

役者陣がどうもすっきりしない。
蒼井優は蒼井優じゃなくても全然構わないようなしょぼい役だし、吉永小百合は原爆詩の朗読のし過ぎのせいが演技のセリフが棒読みになっているし、鶴瓶は『ディア・ドクター』のような深みが出ていないし。
主演陣が消化不良のまま有名どころが脇役でわらわら出てきてさらに邪魔する。
『幸福の黄色いハンカチ』の3人はあんなに魅力的に撮っていたのにねぇ。

とはいえ、ラストはあやうく泣きそうになってしまう。
これがホスピスじゃなくて普通に病院だったら入院費やらなんやらを姉がなけなしの金を搾り出して払わなければならず、全然違う結末になったはずだが。
都合よくできているもんだ。

鶴瓶が吉永小百合を「おねーちゃん、おねーちゃん」と呼び、義母役の加藤治子が「いい年しておねーちゃんって。。」と言う。
こう書くとなんか豪華というかかなり特異で面白い配役だなぁ、というのは置いといて、僕にも姉がいるけど未だにおねーちゃんと呼んでいる。
当たり前のように思って疑問もわかなかったけど、そうか、僕ももうとっくに「姉さん」と呼ばなければいけない年なのかもしれない。