2017年6月4日日曜日

映画『ヒトラーの忘れもの』

2015年 監督:マーチン・サントフリート
製作国:デンマーク/ドイツ
at ギンレイホール




少年たちの顔が覚えられず誰が誰だかよくわからなかった。。

ナチスによってデンマークに埋められた200万個の地雷。
終戦後にその撤去に従事したのは主にドイツの少年兵達だった。
という史実をもとにした映画。

終戦後のデンマーク人はドイツに対する並々ならぬ憎悪を持っている。
ラスムスン軍曹(ローランド・ムーラー)もその一人。
地雷撤去の任に当たるラスムスン軍曹はやってきたドイツ兵が少年兵であることに一瞬戸惑いながらも、憎きドイツ兵をこき使って地雷撤去を進めていく。
そんなラスムスン軍曹と、ただ国への帰還を夢見るドイツ少年兵達の不安定な交流を描いている。

地雷がいつ爆発するか。っていうのが常に緊張感をたたえている。
双子の片割れが一人砂浜を歩いて行く姿が印象的。

映画『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』

2015年 監督:ギャヴィン・フッド
製作国:イギリス
at ギンレイホール




これが少年漫画なら
「目の前の一人の命を救えずに世界が救えるかー!!」
っていって全部救うんだけどね。

テロ組織アル・シャバブを追う英米の合同チームは、ナイロビでアジトを突き止める。
で、なんやかんやでテロリストたちが今まさに自爆テロを遂行しようとしていることがわかり、偵察ドローンが搭載したヘルファイア(すごい名前)でアジトを爆撃しようとする。
ただ、イギリスとケニアは友好国だったりして法的な問題とかでわちゃわちゃ揉めたりもする。
というのは置いといて予告編でネタばれしているから書くけど、いざ爆撃って時にアジトの近くで一人の少女がパンを売り始めるのね。
アジトの周辺は爆撃によりふっとぶ試算。
爆撃したらおそらく少女は助からない。
でも爆撃しないと自爆テロで多くの人が死ぬ。
どうしよう。

自爆テロに向かう途中でうまいこと取り押さえられないものかね。

ヘレン・ミレン演じるパウエル大佐がいる部屋がなんかいかにもセットという感じだった。

生粋の軍人ほど爆撃に躊躇が無い。
今は安全な部屋の中にいるけど過去にはもっと悲惨の現場を目の当たりにしているからか、冷徹な判断で現実を見ている。
ただ、パウエル大佐は6年も追い続けたスーザンをやっと追い詰めたのだからとっとと終わらせたいっていう利己的な感情も見え隠れしたりする。

ベンソン中将役には去年逝去したアラン・リックマン。

鳥型とか虫型のドローンが凄いな。
でもあんなの民間人が気軽に手に入れられるようになったらもう窓もカーテンも開けられないよね。

2017年5月21日日曜日

映画『湯を沸かすほどの熱い愛 』

2016年 監督:中野量太
製作国:日本
at ギンレイホール




母っていうモチーフがこれでもかと出てくるのと、途中ロードムービーっぽいところとか、日本版『オール・アバウト・マイ・マザー』だ!って言いたい。
ああ、それで言いたいこと言い尽くした感が。。

最近映画見て泣いた記憶が無いし、感動物で泣いた記憶なんかさらに無いのだけど、病院のベッドでの宮沢りえの表情とそれを見た杉咲花のクシャッとした顔見たら号泣するしかない。

肝っ玉母さん幸野双葉役に宮沢りえ。
母親役?肝っ玉母さん??と思うが、凛とした肝っ玉母さんが非常にかっこいい。

娘役に杉咲花。
この子朝ドラ見ていたときは細身色白なイメージだったけど、色黒でむっちりしていたんだな。
というのは置いておいて、この子本当凄いわ。
演技の自然さ、表現力、存在感、この歳でもうトップクラスの女優さんになっている。

りりィが少し出ていた。

これが監督の商業デビュー作らしい。
『オール・アバウト・マイ・マザー』には敵わないながらもかなり面白かった。

映画『永い言い訳』

2016年 監督:西川美和
製作国:日本
at ギンレイホール




小説家衣笠幸夫(本木雅弘)の妻(深津絵里)がバスの事故で亡くなった。
亡くなった日、幸夫は不倫相手(黒木華)と一夜を過ごしていた。
妻と同時に亡くなった妻の親友の夫、大宮陽一(竹原ピストル)と連絡を取り合うようになり、その後大宮の二人の子供の面倒を見るようになる幸夫。
そんなお話。

初めから夫婦仲は壊れかけていたので、妻が亡くなった悲しみから前を向き始める物語とかじゃない。
妻が死んだ。
これっぽっちも泣けなかった。
そこから愛しはじめた。
だからね。

人物造形も演出もいやらしいんだな。
まず幸夫。
小説家としては落ち目にいるが、甘いマスクでテレビにも多数出演している人気者。
自分大好きで子供なんかいても邪魔だから意図的に作らなかった。
傲慢、不遜でいい顔しいのナルシスト。
子どもたちの面倒を見ることに生きがいと居場所を見出していき、少し変わっていくようにも見えるが、自分が子どもたちに頼られている(好かれている)という自負からか、傲慢な面をまだまだ覗かせたりもする。
いくら入りこんだところで所詮他人、そんな悦に浸る幸夫に対して辛辣なシーンも用意されている。
そしてなにより幸夫の職業が小説家という設定のいやらしさ。
なにもかも小説のネタ作りという冷めた面があるのではないかと勘ぐってしまう。
幸夫の人物像で重要なポイントが実は冒頭の夫婦の何気ない会話に潜んでいるというのもいやらしい。
ナルシストだけど彼は自分がとにかく嫌いなんだね。それは名前に始まり、小説家として芽が出るまで妻に養われていたという恥、自分の心の弱さ、etc..
悩みを打ち明ける友人もいない。
仮面をかぶり続けた幸夫が全てをさらけ出すのに小説家という職業はうってつけでもある。

大宮陽一。
頭は良くないが人懐っこく感情豊かな長距離トラック運転手。
幸夫と全く正反対の性格。是枝監督の『そして父になる』みたいだ。
いかつい陽一がいつ幸夫にブチ切れるのかとそわそわする。
演出も無駄に間を置いて怖がらせるからいやらしい。

竹原ピストルもそうだけど配役がこれでもかというくらいぴったりなんだよね。

愛人役の黒木華。
もう黒木華ってだけでいやらしい。
エロいって意味じゃなくて、黒木華ってなんか怖いじゃん。
つぶらな瞳の奥に底知れぬ闇がありそうというか。
愛人がホテルじゃなくて恋人宅できゃっきゃうふふしているのは恐怖だよ。

マネージャー役の池松壮亮。
もう池松壮亮ってだけでいやらしい。
この人は悪人とか嫌な奴やらせたらピカ一だと思う。
この役はそんなに嫌な奴じゃないけど、カフェでおもむろにタバコを吸うシーンの不遜さはさすが池松壮亮だと思った。

他、
妻役に深津絵里。あまり出番はないけど存在感が凄い。
学芸員役に山田真歩。吃音症設定により幸夫と陽一の性格が浮かび上がる。
編集者役の人見たことあると思ったらキス我慢に出ていた岩井秀人だった。





2017年5月7日日曜日

映画『ブルーに生まれついて』

2015年 監督:ロバート・バドロー
製作国:アメリカ/カナダ/イギリス
at ギンレイホール




チェット・ベイカーを扱った映画で、イーサン・ホークが演じている。
歌はイーサン・ホークが実際に歌っているらしい。
伝記なのかなと思ったけど、恋人役のジェーン(カーメン・イジョゴ)なる女性は実際にはいなかったらしいので、多くのフィクション部分と伝記部分が混在している模様。
男の哀愁を漂わせて、わがままな奴だけど弱くてどこか憎めない。
なかなか面白かった。

実際のチェット・ベイカーはもっと悪魔的な男らしい。
チェット・ベイカーの唯一の自伝本『終わりなき闇』は鬱になりそうなくらい面白いらしいので読んでみたいな。

映画『ジュリエッタ』

2016年 監督:ペドロ・アルモドバル
製作国:スペイン
at ギンレイホール




アルモドバルの母物ということで期待しすぎていた面もあるけど、なかなか面白かった。
手紙を受け取った時の想いで息の詰まりそうな演技には泣きそうになったし。

結構小道具を散りばめていて、後になってからああそれってそうなんだと気付くところがある。
引っ越し準備中に包んだ変なオブジェにはそういう複雑な思い出があったのかとか、若者が3on3やっているすぐ側のベンチに座ったときはそこに普通座るかよ!って思ったけどその場所は実は、みたいな。
あと入れ墨とかね。
話自体はシンプルに多くを語らず展開するから細かい部分でよくわからないところはあるけれど、小道具等の演出や映像が重層的で見応えはかなりある。

そういえば瞑想の合宿所にいたおばさんに凄い嫌悪感を持ったのは何なんだろう。
あの余裕のある泰然とした雰囲気が逃避に基づくからか、もしくはお前人様の子に何してんだよ何様だよという怒りか。

主人公の若い頃役の女優さんアドリアーナ・ウガルテが綺麗だった。

2017年4月23日日曜日

映画『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』

2016年 監督:スティーヴン・フリアーズ
製作国:イギリス
at ギンレイホール




フローレンス・フォスター・ジェンキンスという実在の人物のお話。
富豪の彼女はソプラノ歌手になるのが夢でたまにリサイタルなどを開いて自慢の歌声を披露していた。
しかし彼女はとてつもなく音痴だった。
しかも自分で気づいていない。
そんな彼女を夫は献身的に支える。
新聞記者を買収したり。。

フローレンス役にメリル・ストリープ。
音痴も忠実に再現しているのだろうし、音痴であることは確実だけど、そんなに大爆笑するほどかな。

夫のシンクレア役にヒュー・グラント。
年齢違いすぎるだろうと思うが若い愛人(レベッカ・ファーガソン)を囲っているから実際の夫も離れているのかなぁ。
で、この愛人という存在が謎で、シンクレアはフローレンスに献身的だけど、この愛人がいるせいで彼の妻に対する想いがなんだか薄れてしまう。
そもそも音痴を気づかせないように根回しするのが献身的なのか?という疑問もある。
となると実は遺産目当て?と思わせながらも、どうやら本気で妻を愛しているようなんだよね。
愛人も大事にしているけど愛人と妻を天秤にかけるようなシーンで妻を選んでいたりもするし。
事実にもとづいてしょうがなく愛人を登場させたのかな。
いずれにしろ、愛人を登場させながらもシンクレアがフローレンスを心から大事にしていることを十分に描き、愛人がばれそうになるところはコメディにしつつも愛人の悲哀もちゃんと描いたりして、なかなか上手い脚本だなと思う。

映画『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』

2016年 監督:リチャード・リンクレイター
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




舞台は1980年で、野球の強豪大学に野球推薦で入学するジェイク(ブレイク・ジェナー)が入寮してから大学が始まるまでの3日間のお話。
お話、というか、酒!ドラッグ!女!と少し野球、で押しまくる。
まだ大学生になる前の3日間で、多分自分も含めた多くの日本人の数十倍も人生を謳歌しているんじゃないだろうか、ってくらいハッスルしている。
彼らは野球エリートでイケイケだから、というわけじゃなくて、文化系の人たちまでハッスルしている。
この時代だからなのかアメリカだからなのか。
敬語がないからか自己主張が強いからか、すぐに昔からの友人かのように馴染むところも凄い。

それにしても寮生の面々が大学生に見えないくらい老けている。
役者は皆実際は30近いっぽいね。

過ぎ去りし青春の1ページを切り取った、これから先苦しいことやつらいことがたくさんあるかもしれないけど今だけは全力で楽しもうぜっていう懐かしくて能天気で楽しい映画。

2017年4月9日日曜日

映画『手紙は憶えている』

2015年 監督:アトム・エゴヤン
製作国:カナダ/ドイツ
at ギンレイホール




戦争を生き抜いた世代も高齢でどんどん少なくなっていくなぁ。
妻に先だ立たれたばかりの90歳の老人ゼヴ(クリストファー・プラマー)。
彼は老人ホームの友人とある計画を立てており、妻がなくなったらそれを決行する、と。
車椅子の友人はホームに残り、ゼヴは一人計画を遂行するべく旅立っていく。
二人はアウシュヴィッツの生き残りで、ともに家族を看守に殺された過去を持つ。
そしてその看守は身分を偽り逃亡し、今ものうのうと生きているという。
計画とは、その看守“ルディ・コランダー”を見つけ出し、復讐(殺害)すること。
しかしゼヴにはある問題があった。
認知症が進行しすぎて毎朝目覚めると記憶を失うということ。
友人はゼヴの過去と計画を記した手紙をゼヴに渡し、ゼヴは記憶をなくすたびに手紙からやるべきことを知る、というあぶなっかしい旅路。

まあまあ面白かったんじゃないかな。
こんなに記憶をなくすなら幸せな嘘の過去を騙して教えることもできるよなぁと思って見ていた。。。
最近なんかの予告編でラストが衝撃とかいうの見たなと思っていたけど、これだったか。

記憶をなくすたびに亡き妻の名を呼んで、生前はそんなに片時も離れずに一緒にいたのかよ、と突っ込みたくなる。

ブルーノ・ガンツを久しぶりに見たけど老化が加速しすぎじゃないだろうか。

映画『幸せなひとりぼっち』

2015年 監督:ハンネス・ホルム
製作国:スウェーデン
at ギンレイホール




結構面白かった。
愛する妻をなくして孤独に生きるオーヴェ(ロルフ・ラッスゴード)は43年間働いた鉄道会社をクビになる。
妻を亡くした悲しみからいまだに立ち直れないオーヴェはいい機会だとでもいうように自殺に向けていそいそ準備を始めるのだが、隣に引っ越してきた移民の家族やらなんやらでことごとく自殺を阻まれる。
このオーヴェというじいさんはかなりのクセがあって、とにかく規律に厳しい。
規則を守らない住民にはようしゃない罵声を浴びせ、普通には関わり合いたくないかなり気難しい男。
ただ、たくましく生きる移民の女性にはそんことはお構いなし。
そして昔からの知り合いはオーヴェに優しいところや、時折回想の入る妻との思いでからも次第にオーヴェという気難しい人物の別の一面が見えてくる。

妻役のイーダ・エングヴォルが溌剌としていい感じ。
これは惚れるわと思う。
しかしまあソーニャとの思い出が若い頃だけというのも気になりはするけど、今でもそんなに思っているということからも二人の仲はうかがい知れる。
大分いい奥さんだよな。かなり男側の願望が入っていそう。


映画と関係ないけど、この回は席が大外れで、後ろの席の頭のおかしいおっさんが前の席、つまり俺の席を頻繁に蹴り、そして押してきた。
最近はこういう奴いなかったんだけど、たまに思い出したように現れるんだよな。