2017年11月26日日曜日

映画『八重子のハミング』

2016年 監督:佐々部清
製作国:日本
at ギンレイホール




升毅が主演、だと?!って思うけど、この人結構二枚目なんだね。

若年性アルツハイマーを扱った物語。
親が発症したらどうしようと常日頃恐怖にかられるアルツハイマー。
この物語では石崎誠吾(升毅)に胃がんが見つかりばたばたしている最中、妻八重子(高橋洋子)に若年性アルツハイマーの兆候が表れる。
家族に支えられながらも基本は誠吾が八重子の介護を献身的に、本当に献身的に行う。

苦悩は当然あり、だけどなんとなく小綺麗な美談に収まっている気がする。
別に見たいわけではないが、実際にはもっともっと壮絶だろう。
崖に二人で立つシーンも初めの方に持ってきてしまったら印象が薄い。


八重子役の高橋洋子って初めて見ると思ったら、本数少ないけど出演作見るとなかなかのラインナップ。
『旅の重さ』斎藤耕一
『アフリカの光』神代辰巳
『さらば箱舟』寺山修司
etc

映画『人生フルーツ』

2016年 監督:伏原健之
製作国:日本
at ギンレイホール




愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンに居を構える津端さん夫婦。
修一さん90歳。妻英子さん87歳。
「家は、暮らしの宝石箱でなくてはいけない」
趣がありながらモダンな平屋は建築家の修一さん自身の手によるもの。
そしてたぶんそんなに広くないであろう庭には70種の野菜と50種の果実が植えられている。
この夫婦の日々の暮らしぶりが、夫婦の人生を振り返りながら淡々と描かれていく。
だけなのに、すごく面白かった。

この年で腰が曲がっていないって、食べ物によるのだろうか。畑仕事で腰やられそうだけど。
土に枯れ葉を撒いただけでこれでめっちゃ土が肥えるぜと思うけど、さらに巨大なコンポストで作った腐葉土まで撒くし、それも地道にたぶん何年も継続している。
それでもまだもっと土を肥やして次代につなげていかないと、って頭が下がる。

庭が大半だけど、ミニチュアハウスが一番感動したな。
しょぼいものができるのではないかと思っていたら恐ろしいほどの完成度。

生と死をありのままに捉え続けるカメラが秀逸で、そのありのままというのが真摯さと敬意がにじみ出た冷徹さだから凄いドキュメンタリーだなと思う。
東海テレビドキュメンタリー劇場第10弾らしい。
他はどういうのがあるんだろう。

2017年11月23日木曜日

映画『シャングリラ』

2006年 監督:ティン・ナイチョン
製作国:中国
BS2 録画


息子を事故で失くして2年、ジー・リン(チュウ・チーイン)はいまだに立ち直れずにいた。
息子が大好きだった宝探しゲーム、その宝探しのヒントをカーテン裏から偶然見つけたジーはシャングリラへと旅立つ。
シャングリラはチベット仏教の聖地梅里雪山がある町。
当然そこに幼い息子が宝を隠したわけではないのだけど、息子が書いたヒント絵が梅里雪山だったことでジーは取り憑かれたように梅里雪山を目指す。

息子を失くした母親のロードムービー、っていう流れは『オール・アバウト・マイ・マザー』じゃんと思ったけど、それほど泣けなかったな。
ところどころ不気味で意味不明な演出もあったり、ジーが自分勝手すぎたりドジすぎたり(笑える)、展開がご都合主義だったりと気になる点は多々あれど、まあまあ楽しめた。

2017年11月19日日曜日

映画『心のともしび』

1954年 監督:ダグラス・サーク
製作国:アメリカ
BS2 録画


ダグラス・サーク コレクション DVD-BOX 1 (僕の彼女はどこ/心のともしび/天の許し給うものすべて) [初回限定生産]

冒頭のボート事故は音といい叫び声といいまるでウルトラマンを見ているかのようだった。
っていうのは置いておいて、これもまた面白かったな。

大金持ちのバカ息子ボブ・メリック(ロック・ハドソン)は放蕩の毎日を過ごす中、ボート事故を起こす。
蘇生機により一命をとりとめたが、同時間帯にその蘇生機の所有者であるフィリップス医師が持病の心臓発作で命を落としてしまう。
蘇生機さえあれば助かったのに、その蘇生機はバカ息子のために使われていた。
フィリップス夫人ヘレン(ジェーン・ワイマン)と娘ジョイス(バーバラ・ラッシュ)はボブ・メリックの遊び人の噂を知っているだけに怒りをあわらにする。
ボブ・メリックに比べて、亡くなったフィリップス医師は偉大な人物だった。
世界中から追悼の意が寄せられ、多少宗教じみている気もするが信念に基づいた秘密の善行も明らかになる。
やがてボブ・メリックも蘇生機が自分のために使用されていたことでフィリップス医師が亡くなったことを知ることとなり、なんやかんやでメロドラマが始まる。
いろいろ笑っちゃいそうな展開ではあるけれども、ストーリー的になかなか楽しませてくれる。

まあストーリーは置いておいて、目に痛くない程度にさり気なく入るビビッドな色使い、そしてその色使いを千変万化させもする明と暗のコントラスト。
これは映画館で見たほうがいいよなぁ。
いいシーンが沢山ある中、一番好きなシーンは窓から差し込む光の線のみの薄暗いホテルの一室で失意のヘレンをジョイスが慰めるシーンで、途中でジョイスがソファー横そして入り口のランプを点けるのね。
薄暗い部屋に灯るランプの淡く小さな光が映像を変化させ、そしてこの優しい光がジョイスの心を表しているようでもあって非常に美しかった。

録画したのはもう6年前か。
ジェーン・ワイマンとロック・ハドソンの組み合わせは『天はすべて許し給う』と同じだったんだな。

2017年11月5日日曜日

映画『 ラ・ラ・ランド』

2016年 監督:デイミアン・チャゼル
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




大々的な宣伝のアカデミー賞最多6部門とかいう見る気の失せる要素を凌駕するほどの情報監督デイミアン・チャゼル。
恐る恐るという感じで見始めたけど、いやー、面白かった。

冒頭から高速道路での長大なワンカットミュージカル!
“Another Day Of Sun”っていう曲をCMで何度も聞かされて耳慣れている上で見るのもまたいいよね。
最後に初めてカメラがひいた時、奥まで車(車上にダンサー)がびっしり詰まっているのは圧巻で感動的。
もう冒頭で腹いっぱいだ。
その後エレベータの閉まる音から別シーンのドアの開く音につなげる等、冒頭の興奮とテンションを継続しながら導入部のストーリーが音楽的にテンポよく展開される。
で、ふと思う。確かこの映画2時間超えていたはずだけど、こんなテンションで最後までいくなら耐えられないかも。。
と思ったのも束の間、以降ミュージカル要素はぐっと少なくなり、普通の恋愛ドラマが展開される。
こういうバランス感覚が素晴らしい。
各時代のいいとこどりしたような夢のような時代背景の中で展開される恋愛ドラマもなかなか面白い。

全体的にはミュージカル映画でありながらミュージカル要素は意外と少ない。
ミュージカル映画ってテンション高いから疲れるんだよね。だからこのくらいが個人的には丁度いい感じだった。
拙いながらもタップダンスをちゃんと入っていたしな。

映画『カフェ・ソサエティ』

2016年 監督:ウディ・アレン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




1930年代のハリウッドとニューヨークが舞台。
田舎から出てきた野暮ったい青年が、叔父や兄のつてで華やかな世界に身を置く、、っていうのはただの背景で、メインは恋物語。
昔の男と今の男と昔の女と今の女。

ここ最近のウディ・アレン映画の中では結構面白かった。
そういえば一時期ウディ・アレン映画に出るのが一種のステータスみたいな感じで俳優女優がこぞって出たがっていたけど最近はそういう風潮は収まったのかな。
主演のボビー役のジェシー・アイゼンバーグはどこかで見たことあると思ったらザッカーバーグ役の人だな。
フィル役にスティーヴ・カレル。

2017年10月22日日曜日

映画『ハクソー・リッジ』

2016年 監督:メル・ギブソン
製作国:オーストラリア/アメリカ
at ギンレイホール




第2次大戦末期、銃を持たない兵士がいた。っていう話。

主人公は宗教的な理念というか信念から武器を持たない(触れない)。
だけど真珠湾攻撃に衝撃を受けて自分も戦場に行きたいと考えるようになる。
武器を持てないので衛生兵として。

主演のアンドリュー・ガーフィールドがいい感じ。
なんかちょっといっちゃってるんじゃないかと勘ぐりたくなる優しき変人ぶりがよく似合う。
名作『ガッジョ・ディーロ』のロマン・デュリスを彷彿とさせる。

予備知識なかったけど沖縄戦なんだね。だから相手は日本人。
不気味で極悪な野蛮人のように見える。。
前半のドラマから戦場の基地で新しくやってきたドス達の小奇麗さと戦闘を終えて戻ってきた傷だらけ泥だらけの兵士達との対比、敵なんてどこにもいないんじゃないかと思う静寂の中からの突然の戦闘開始。
以降の戦闘シーンは壮絶の一言に尽きる。
焼かれる、飛び散る、ぶちまける。
そんな地獄の中で武器も持たずに負傷兵をひたすら助けるドス。
深夜のシーンなんか2人くらい助けたらもう十分英雄じゃないかと思うがドスは命あるかぎり何度でも助けに戦場に戻っていく。
それ見たとき、感動以前に狂っていると思った。

映画『パトリオット・デイ』

2016年 監督:ピーター・バーグ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




2013年ボストンマラソンの爆弾テロ事件のお話だけど、アクション映画としてなかなかの迫力とスリルで面白かった。
正義の国アメリカ、愛の国アメリカ、家族を大事にするアメリカ、非道なテロには決して屈しないアメリカ、っていう自国愛にのみ溢れた面は多少うざったいものの。

マーク・ウォールバーグって失礼だけどあの顔でばんばん主役張れるんだから稀有な存在だよな。

2017年10月9日月曜日

映画『おとなの事情』

2016年 監督:パオロ・ジェノヴェーゼ
製作国:イタリア
at ギンレイホール




月食の日、幼馴染の男4人とそのパートナーが集まって食事会が開かれている。
私達の間に秘密なんてないという流れからスマホに届いたメールや電話(スピーカー)を見せ合う聞かせ合うというゲームを始める。
暫くは和やかに、そして当然のごとく次第に修羅場に。

修羅場というか崩壊だけど、一体どう収拾つけるのか。
うーん、おとなの事情は明かされるべきでないということか。
なんか怖い。
途中ほっこりする親子話もあったりするけど、あれはどうなっちゃうのよ。

エヴァ役の人が20代くらいに見えて、あんな大きい娘がいるようには見えなかったな。
演じるカシア・スムートニアックは1979年生まれか。20そこそこで産めばありうるか。

映画『午後8時の訪問者』

2016年 監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
製作国:ベルギー/フランス
at ギンレイホール




小さな診療所に勤める有能な若き女医ジェニー(アデル・エネル)。
ある日患者に入れ込みすぎるなと研修医にアドバイスしている最中に診療所の呼び鈴が鳴ったが、診療時間はとうに過ぎていたため出ようとした研修医を制する。
しかし後日その時呼び鈴を押した少女が殺害されたことを知る。
殺害された身元不明の少女は無縁墓地に埋葬されようとしている。
もしあの時出ていれば。
ジェニーは後悔し、贖罪のためにも殺害された少女の身元を調べ始める。

冒頭はまた手持ちカメラ系かと思って少しうんざりしたけど、これものすごく面白かった。
監督はダルデンヌ兄弟だったんだね。
エンドロールでようやく気づいたけど、音楽が一切なく、そのせいか程よい緊張感が継続してなかなか濃密な時間だった。
サスペンスというか、ジェニーの医師としての自覚の成長やフランスの移民社会の実情を浮き上がらせる社会派人間ドキュメンタリという感じ。
謎の解明はあまりに偶然が重なりすぎているからね(真相は意外ではあるけど)。
主演のアデル・エネルが好演していて引き込まれる。しかも美人。

待合室から診察室に行くまでのあの階段って邪魔じゃねと思ったけど、ラスト見るとああ、映画としては必要だったんだなと思う。