2019年2月17日日曜日

映画『ライ麦畑で出会ったら』

2015年 監督:ジェームズ・サドウィズ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール





サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に感銘を受けた高校生の青年が、この作品を舞台化して皆に伝えたいと思い、脚本を書き上げる。(セリフはほぼ原作どおりらしいが)
1969年のこと。
舞台化にあたり、サリンジャーの許可を得るために、住まいも不明なサリンジャーを探す旅に出る。

主人公ジェイミー(アレックス・ウルフ)は真面目キャラでなんかいじめられているのね。
といっても弱々しくて暗い感じじゃなくて、結構活発ですらある。
周りの奴らをクズだと思っているが、寂しさも感じている。
しかし、ある日度の過ぎたいたずらを受けたのを機に寮を飛び出す。
サリンジャーを探しに。
旅のお供は演劇交流で知り合った他校のブロンドの可愛い子、でなく、どちらかというと地味な女の子ディーディー(ステファニア・オーウェン)。
そばかす顔のこのディーディーがめっちゃいい子で泣けてくる。

ドローンの映像とか、鹿の剥製のアップとそれを見つめて首を傾げるジェイミーとか、なんとなくつまらなそうと思ったけど、ロードムービーだしまあ楽しめた。
ディーディーかわいいし。

サリンジャー役にクリス・クーパー。


allcinemaで「ライ麦」で検索したら2001年公開の『ライ麦畑をさがして』という映画も引っかかった。
概要見るとかなり似ているのでこの2015年版はリメイクなのかと思ったけど、2001年のやつもアメリカ映画だし、『ライ麦畑で出会ったら』の公式ページにも何も書いていないし、そもそも監督ジェームズ・サドウィズのほぼ実体験だというしで、なんら関係ないっぽい。

2019年2月3日日曜日

映画『search/サーチ』

2018年 監督:アニーシュ・チャガンティ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




チャット、テレビ電話、SNS、ニュース映像、時には監視カメラの映像等々、全編PCの画面のみで構成される。
基本は家の中だけど、主人公の外での行動が野次馬が撮影してアップした映像として映されたり等、自ら勝手にかけた制約の中でいろいろ工夫していて面白い。
ただ、やっぱり狭っ苦しいよな。

ストーリーの方は、高校生の一人娘が突然行方不明になって、父親が探す話。
警察もよく捜査してくれているのだが、父親もいてもたってもいられずに独自に調査をする。
娘のPCのパスワードを突破し、関連人物への電話攻撃をしまくって浮かび上がってくる自分の知らない娘の一面。
ひょんなことからなんか気になるって感じで次々に新たな事実を掘り出す主人公は天才かと思う。

全編PC画面とかいうよりか、普通にストーリーが面白かった。
家族愛の物語。

公式ページの疑似ウインドウが面白い。モーダルダイアログっぽくてそうじゃない。

映画『ウインド・リバー』

2017年 監督:テイラー・シェリダン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバーは深い雪に閉ざされた山岳地帯。
ここで一人の女性が雪の上で凍りついた死体として発見される。
発見したのは地元の白人ハンターコリー(ジェレミー・レナー)。
FBI捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)はこのコリーの助けを借りながらなれない土地での調査を開始する。

なかなか面白かった。
題材は社会派サスペンスなんだけど、誰もが思う通り、これって現代版西部劇じゃん。
圧倒的な荒野は極寒の雪に覆われた山岳となり、どこからともなく現れるインディアンは守るべき存在となる等の違いはあれど、ガンアクションでばたばた死ぬ様や雰囲気は西部劇。
あのライフル銃のとんでもない威力よ。そんなに吹っ飛ぶ?
胸糞悪いのを吹っ飛ばすにはあれくらいやらなきゃ駄目なんだろう。

2019年1月20日日曜日

映画『判決、ふたつの希望』

2017年 監督:ジアド・ドゥエイリ
製作国:レバノン/フランス
at ギンレイホール




レバノン作品って初めてだな。
トニーとヤーセル、二人の男のささいな諍いから始まった裁判が国中を巻き込む大騒動になる。
なんでそうなったのかというと、一方はパレスチナ難民、一方はキリスト教徒で、キリスト教徒側(原告)が放った一言が問題だったから。

どっちの言い分も分かる、みたいなややこしいことをせずに、原告側トニーや弁護人のふてぶてしさにたぶん観客は皆ヤーセルを応援する。
しかし一方だけ悪者にするわけがなく、次第にトニーの過去が明らかになったりして。。
脚本が本当よくできている。
内戦は収束して街が復興しても、心の傷は癒えない。
二人は(国民は)過去と向き合い、現在を歩むっていう成長譚にもなっている。
自動車修理してやるシーンなんてほっこりする。

あまり、というかほぼレバノンの現代史を知らないけど、すごく面白かった。

映画『運命は踊る』

2017年 監督:サミュエル・マオズ
製作国:イスラエル/ドイツ/フランス/スイス
at ギンレイホール




この予告編さ、ラクダが通るのに始まり名作か自己満足系か判断付きにくいけど、最後の方のそれまでの雰囲気とあからさまに異質なマンボのリズムにのせたダンスが見事で、名作に違いないと思う。
ただ、予告編で名作と思ったやつって大体本編見るとつまらなかったりするんだよなぁ。

イスラエル。
ミハエルとダフナ夫妻のもとに軍人がやってきて、息子ヨナタンの戦死が伝えられる。
悲しみにくれる二人だが、後に誤報だったと伝えられる。

全体的な印象としては、潔癖で無機質な静謐さがグロい感じ。(グロいシーンがあるわけではない)
面白いかどうかでいうと途中何度もうとうとしたためよくわからない。

突然大きな音入れて無駄に驚かす映画って苦手なんだよなぁ。
音に結構こだわりがあるように見えて、音使いはなかなかよかっただけに残念。
あと、真上からのシーンが異様に多く、カメラもぬるぬる回転するけど、何度も見ると飽きる。
ラクダはそう関係してくるのか。。

2019年1月6日日曜日

映画『輝ける人生』

2017年 監督:リチャード・ロンクレイン
製作国:イギリス
at ギンレイホール




35年連れ添った夫が定年退職し、その功績を讃えられてナイトの称号を得る。
それによって自分はレディとなることに喜ぶサンドラ(イメルダ・スタウントン)。
しかし華々しいパーティの途中で夫の浮気が発覚する。
家を飛び出し長らく連絡していなかった姉ビフ(セリア・イムリー)の安アパートに転がり込む。

熟年男女の恋愛もの。
40代の恋愛ものでもう~んと思うのに60とは思い切ったものだ。
しかもヒロインのサンドラがいかにもブルジョワな感じの高慢ちきな女性で、思い切り過ぎだろうと思う。
しかしサンドラも姉とすごすうちに角が取れていき、可愛らしくすらなっていく。
相手役のチャーリーを演じるのはティモシー・スポール。
最近では『否定と肯定』で憎たらしい役をやっていて、イケメンとは程遠い、はずなのになぜかかっこいい!

最初はどうかと思ったが、全体的にはイギリス映画って感じて笑いあり涙ありの人生賛歌で面白かった。

「信じれば、飛べる!」って絶対あのあとドボンしているよね。あの貧弱なジャンプ力。

映画『フジコ・ヘミングの時間』

2018年 監督:小松莊一良
製作国:日本
at ギンレイホール





フジコ・ヘミング初のドキュメンタリー映画。
年齢非公開だがたぶん80半ばくらいかな。
異様に若々しい。
そしておしゃれ。
現在のフジコの生活と過去の語りが交互に描かれる。
不遇の人生を過ごしながらも晩年に花開き、世界中に家を持ってかなり裕福そうだけど決して驕らず、真摯に生きている様が清らかに見える。
なかなか面白かった。

フジコ・ヘミングって名前くらいしか知らない程度で、印象的には秋元順子みたいなもんかと思っていた。
秋元順子って気づいたら歌謡界に現れて気づいたら大物歌手っぽく振る舞っていた。
(「おばさん」を擬人化したらこうなる、みたいな風貌もそうだけど、個人的にはあまり好みの歌手ではない)
フジコ・ヘミングもなんか知らないけどいつの間にか話題になっていたよね。
だから同じように思っていたけど。。

演奏も何度か流れるけど、恐ろしいほどに柔らかくメロディアスに弾く。
これは人気が出るわけだ。
魂のピアニスト、とか呼ばれているらしい。
そういえば昔良く聞いていて前橋汀子も魂のヴァイオリニストとか冠がついていた。
今調べると魂のヴァイオリニストは若林暢の代名詞っぽい。
魂の、ってつけるの日本人好きだよな。
他の演奏者に魂ないわけないのに。

フジコ・ヘミングをネットで調べると、賛否両論で、耳の肥えた人からするとミスタッチが多すぎて圧倒的に技術力が足りずに聴いてられないらしい。
プロの演奏家でもミスタッチしない人なんかいないはずだが、その数があまりに多いとさすがに気になるのだろう。
あとあまり譜面通りに弾かないらしく、そういうのって中高生が喜びそうだ。

映画見ていてなんとなく引っかかっていたけど、後半以降やっと気づいたのは、バナナマンの日村に似ている。

2019年1月5日土曜日

映画『星を追う子ども』

2011年 監督:新海誠
製作国:日本
テレビ録画




熊木杏里の『Hello Goodbye & Hello』は『星を追う子ども』という映画の主題歌になっているらしい。
というのでずっと気になっていたアニメ映画。

自然豊かな山あいの町に暮らす小学生くらいの少女アスナ。
父親は幼い頃になくなって母と二人暮らし。
母は仕事でだいたいいないのでアスナが家事全般をしている。
学校や友達にもなんだか馴染んではいないようで、家事が終わったらもっぱら一人で遊んでいる。

光と影で彩られる風景は綺麗だし、この自然の中で少女がどう成長してくのかとなかなか楽しみになる導入部。
と思っていたら、リスだか猫だかよくわからない動物が突然ひょこひょこやってきて、えっ、もしやファンタジー、、、嫌いじゃないぜ!!

生と死を扱って世界観も壮大で、細かい人物設定の謎も多いけど、なかなか面白い冒険ものだった。
『Hello Goodbye & Hello』っぽいアレンジ曲は流れていたけど『Hello Goodbye & Hello』そのものが最後にかかったときはグッときた。

「一人でラジオ聴きながら、どこか遠い、違う場所に行かなきゃってずっと思ってたんです。私がいたい場所はここじゃない。見たこともないどこかなんだって」
ああ、自分の居場所はここじゃないと、よくわからないなにかを追い続けた『秒速5センチメートル』の貴樹君の荒みっぷりを見たあとだけに、このセリフは不吉だ。
ドキドキ冒険気分のアスナは絶対ひどい目に合う。
って思ったんだけど、女の子補正、子供補正がかかってよかった。
主人公が女の子はいいとして小6くらいって設定は冒険活劇では結構特殊だよな。

ジブリっぽいのは監督自身ある程度意識的にそうしているらしい。

この監督、どのシーンも光と影が印象的だけど、時折強い光も使われる。
ただ、見えないくらいの強い闇っていうのはないのね。

映画『秒速5センチメートル』

2007年 監督:新海誠
製作国:日本
テレビ録画




放映前のナレーションで「3本の短編ラブストーリー」とかいうから、えっ、めんど!と思う。

第1話:桜花抄

冒頭声だけ聞こえる男女が高校生かなと思ったら小学生。
その後成長して中1。
小学校卒業と同時に転校して栃木に行った女の子に会いに行く物語。
夜の田舎しかも大雪の中走る電車。
人のいない車内は寂しく、外は真っ暗で、しかも行き先は行ったこともない見知らぬ土地。
この恐ろしいまでの不安感が緻密に描きこまれた映像で表現されていてなかなかいい。
謎ポエムが邪魔だけど、このポエム聞いていると、なんかどちらかといえば女の子に会いたい気持ちよりとっとと引き返したい気持ちの方が強いように見える。
見知らぬ土地の真っ暗な町に一人放り出されるのはとにかく怖いからね。

「貴樹君、、きっと、この先も大丈夫だと思う。絶対。」
今思えば不吉な前振りというか未来予知というか、何か予感を感じたのだろうか。

それにしてもお互いの両親は捜索願でも出したのだろうか。


第2話:コスモナウト

あれ、なんか続きっぽい。
独立した短編じゃなくて連作短編か。
夜の電車もよかったけど中1の初々しい恋愛ポエムだけじゃ少し物足りなかったので続きがあってよかった。

第3話:秒速5センチメートル

CM飛ばしたときに本編も飛ばしたのかと思うくらいあっという間に終わってしまう。


結構男性の支持率が高いらしい。
会社の先輩も激推ししていた気がする。
20代くらいまでなら感傷に浸れそうだが、弾力を失いきった心のおっさんにはちょっとなと思う。

2019年1月4日金曜日

映画『聲の形』

2016年 監督:山田尚子
製作国:日本
テレビ録画




昔週刊少年マガジンに掲載された読み切り読んであまりに面白いので読後にしばらく呆けていた。
殴り合っているときの硝子の、解放されたかのようにうっすら笑みを浮かべる止め絵(漫画だからどのコマも止まっているけど)には特にガツンとやられた。
(この2013年の12号はなんだか捨てられずに今でも持っている)
その後連載が開始されて、これがまた面白い。
読み切りのその後の余韻に形が与えられるのに不安もあったけど、登場人物も増えて毎回飽きさせない。
いじめる側いじめられる側、傍観者、家族、新しい友だち。
彼ら彼女らの過去そして現在における思いや後悔、葛藤が、水面下や表層で激しく交錯する様が熱すぎる。

で、映画。
本当は公開中に映画館で見たかったけど、絶対泣くわと思って躊躇しているうちに見れなかった。
泣かずに見ようと思いつつも、将也や硝子が動いているの見るだけで開始からもうやばい。
なんとか我慢はしたが、将也の母の足にすがって謝るシーン等々いくつも抑えきれないところがあった。

2時間に収めるため主要人物を将也、硝子、結絃、植野あたりに絞ってよくまとまっているなと思う。
あまりフィーチャーされなかったけどみんな大好きなキャラ川井さんの自己愛っぷりの強烈さも垣間見れたし。
植野が猫耳をすちゃっと装着して近づいてくる原作屈指の名シーンはなんで変えちゃったんだろう。
でもまあかなり堪能したし濃密で面白かった。