2019年2月24日日曜日

映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』

2017年 監督:ナタウット・プーンピリヤ
製作国:タイ
at ギンレイホール




貧しいながら頭のいい女子高生リン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)は学費の高い進学校に奨学生として転入する。
仲良くなった頭の悪い友達を救うためにカンニングの手助けをしたことをきっかけにして、学内での一大ビジネスを展開する。
なんせこの学校は金持ちぼっちゃん嬢ちゃんで頭の悪い子だらけだったので顧客には全く困らない。

スタイリッシュなカットで犯罪をスリリングに子気味よく描いていく。
で、スリルな緊張感を軸にして、友情やらそこはかとない恋愛要素とか家族愛とか貧富の差とか賄賂とか、って要素で巧みに味付けしていく。
面白かった。
その後の友情がどうなったか気になるところ。

カンニングとか主役の顔立ちとかで最初中国映画かと思っていたけどタイ映画。
主役の子はモデル出身らしい。

2019年2月17日日曜日

映画『500ページの夢の束』

2017年 監督:ベン・リューイン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ウェンディ(ダコタ・ファニング)は自閉症で、現在は姉(アリス・イヴ)と離れて施設で過ごしている。
ある日大好きなスタートレックで脚本コンテストが開かれていることを知り、ウェンディは書き上げた大作を応募しようとする。
しかしいろいろあってもう郵送しても期限に間に合わない状況になったため、自らロサンゼルスまで持っていく決意をする。

ウェンディとダコタ・ファニングを同時に愛でるロードムービー。
スタートレックの知識はほぼ無いけど楽しめる。

昔のホームビデオで幼いウェンディが突然癇癪を起こして叫びだす映像とか泣きそうだ。
現在のウェンディは大分自分を抑制しているが、姉とのシーンで想いが溢れ出すところなどつらい。
逃げるように去る姉は薄情かと思いきや、姉は誰よりも妹のウェンディを大事に思っていて、つらすぎて逃げ出してしまったのね。
ああ、背景としては、母親は他界し(父親は不明)、姉はウェンディの面倒を見ていたが、結婚して赤ん坊が生まれたので姉は泣く泣く妹を施設に入れたらしい。
赤ん坊に危険が及ぶことを危惧したのだろうが、そういう背景があると、ウェンディが高速で操る編み物のあの棒が恐ろしくなってくる。
泣き笑いのハートフルドラマでありながら、いろんなところではらはらする程よい緊張感もあり、民度の低い男どもに怒りも湧くし(なんとか語を駆使する警官以外ろくな男がいない!)で感情のオンパレードな充実した映画になっている。
隠れていたのにスタートレックマニアの警官の策略?に騙されて顔を出してしまうウェンディのキュートさにはまいる。

映画『ライ麦畑で出会ったら』

2015年 監督:ジェームズ・サドウィズ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール





サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に感銘を受けた高校生の青年が、この作品を舞台化して皆に伝えたいと思い、脚本を書き上げる。(セリフはほぼ原作どおりらしいが)
1969年のこと。
舞台化にあたり、サリンジャーの許可を得るために、住まいも不明なサリンジャーを探す旅に出る。

主人公ジェイミー(アレックス・ウルフ)は真面目キャラでなんかいじめられているのね。
といっても弱々しくて暗い感じじゃなくて、結構活発ですらある。
周りの奴らをクズだと思っているが、寂しさも感じている。
しかし、ある日度の過ぎたいたずらを受けたのを機に寮を飛び出す。
サリンジャーを探しに。
旅のお供は演劇交流で知り合った他校のブロンドの可愛い子、でなく、どちらかというと地味な女の子ディーディー(ステファニア・オーウェン)。
そばかす顔のこのディーディーがめっちゃいい子で泣けてくる。

ドローンの映像とか、鹿の剥製のアップとそれを見つめて首を傾げるジェイミーとか、なんとなくつまらなそうと思ったけど、ロードムービーだしまあ楽しめた。
ディーディーかわいいし。

サリンジャー役にクリス・クーパー。


allcinemaで「ライ麦」で検索したら2001年公開の『ライ麦畑をさがして』という映画も引っかかった。
概要見るとかなり似ているのでこの2015年版はリメイクなのかと思ったけど、2001年のやつもアメリカ映画だし、『ライ麦畑で出会ったら』の公式ページにも何も書いていないし、そもそも監督ジェームズ・サドウィズのほぼ実体験だというしで、なんら関係ないっぽい。

2019年2月3日日曜日

映画『search/サーチ』

2018年 監督:アニーシュ・チャガンティ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




チャット、テレビ電話、SNS、ニュース映像、時には監視カメラの映像等々、全編PCの画面のみで構成される。
基本は家の中だけど、主人公の外での行動が野次馬が撮影してアップした映像として映されたり等、自ら勝手にかけた制約の中でいろいろ工夫していて面白い。
ただ、やっぱり狭っ苦しいよな。

ストーリーの方は、高校生の一人娘が突然行方不明になって、父親が探す話。
警察もよく捜査してくれているのだが、父親もいてもたってもいられずに独自に調査をする。
娘のPCのパスワードを突破し、関連人物への電話攻撃をしまくって浮かび上がってくる自分の知らない娘の一面。
ひょんなことからなんか気になるって感じで次々に新たな事実を掘り出す主人公は天才かと思う。

全編PC画面とかいうよりか、普通にストーリーが面白かった。
家族愛の物語。

公式ページの疑似ウインドウが面白い。モーダルダイアログっぽくてそうじゃない。

映画『ウインド・リバー』

2017年 監督:テイラー・シェリダン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバーは深い雪に閉ざされた山岳地帯。
ここで一人の女性が雪の上で凍りついた死体として発見される。
発見したのは地元の白人ハンターコリー(ジェレミー・レナー)。
FBI捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)はこのコリーの助けを借りながらなれない土地での調査を開始する。

なかなか面白かった。
題材は社会派サスペンスなんだけど、誰もが思う通り、これって現代版西部劇じゃん。
圧倒的な荒野は極寒の雪に覆われた山岳となり、どこからともなく現れるインディアンは守るべき存在となる等の違いはあれど、ガンアクションでばたばた死ぬ様や雰囲気は西部劇。
あのライフル銃のとんでもない威力よ。そんなに吹っ飛ぶ?
胸糞悪いのを吹っ飛ばすにはあれくらいやらなきゃ駄目なんだろう。

2019年1月20日日曜日

映画『判決、ふたつの希望』

2017年 監督:ジアド・ドゥエイリ
製作国:レバノン/フランス
at ギンレイホール




レバノン作品って初めてだな。
トニーとヤーセル、二人の男のささいな諍いから始まった裁判が国中を巻き込む大騒動になる。
なんでそうなったのかというと、一方はパレスチナ難民、一方はキリスト教徒で、キリスト教徒側(原告)が放った一言が問題だったから。

どっちの言い分も分かる、みたいなややこしいことをせずに、原告側トニーや弁護人のふてぶてしさにたぶん観客は皆ヤーセルを応援する。
しかし一方だけ悪者にするわけがなく、次第にトニーの過去が明らかになったりして。。
脚本が本当よくできている。
内戦は収束して街が復興しても、心の傷は癒えない。
二人は(国民は)過去と向き合い、現在を歩むっていう成長譚にもなっている。
自動車修理してやるシーンなんてほっこりする。

あまり、というかほぼレバノンの現代史を知らないけど、すごく面白かった。

映画『運命は踊る』

2017年 監督:サミュエル・マオズ
製作国:イスラエル/ドイツ/フランス/スイス
at ギンレイホール




この予告編さ、ラクダが通るのに始まり名作か自己満足系か判断付きにくいけど、最後の方のそれまでの雰囲気とあからさまに異質なマンボのリズムにのせたダンスが見事で、名作に違いないと思う。
ただ、予告編で名作と思ったやつって大体本編見るとつまらなかったりするんだよなぁ。

イスラエル。
ミハエルとダフナ夫妻のもとに軍人がやってきて、息子ヨナタンの戦死が伝えられる。
悲しみにくれる二人だが、後に誤報だったと伝えられる。

全体的な印象としては、潔癖で無機質な静謐さがグロい感じ。(グロいシーンがあるわけではない)
面白いかどうかでいうと途中何度もうとうとしたためよくわからない。

突然大きな音入れて無駄に驚かす映画って苦手なんだよなぁ。
音に結構こだわりがあるように見えて、音使いはなかなかよかっただけに残念。
あと、真上からのシーンが異様に多く、カメラもぬるぬる回転するけど、何度も見ると飽きる。
ラクダはそう関係してくるのか。。

2019年1月6日日曜日

映画『輝ける人生』

2017年 監督:リチャード・ロンクレイン
製作国:イギリス
at ギンレイホール




35年連れ添った夫が定年退職し、その功績を讃えられてナイトの称号を得る。
それによって自分はレディとなることに喜ぶサンドラ(イメルダ・スタウントン)。
しかし華々しいパーティの途中で夫の浮気が発覚する。
家を飛び出し長らく連絡していなかった姉ビフ(セリア・イムリー)の安アパートに転がり込む。

熟年男女の恋愛もの。
40代の恋愛ものでもう~んと思うのに60とは思い切ったものだ。
しかもヒロインのサンドラがいかにもブルジョワな感じの高慢ちきな女性で、思い切り過ぎだろうと思う。
しかしサンドラも姉とすごすうちに角が取れていき、可愛らしくすらなっていく。
相手役のチャーリーを演じるのはティモシー・スポール。
最近では『否定と肯定』で憎たらしい役をやっていて、イケメンとは程遠い、はずなのになぜかかっこいい!

最初はどうかと思ったが、全体的にはイギリス映画って感じて笑いあり涙ありの人生賛歌で面白かった。

「信じれば、飛べる!」って絶対あのあとドボンしているよね。あの貧弱なジャンプ力。

映画『フジコ・ヘミングの時間』

2018年 監督:小松莊一良
製作国:日本
at ギンレイホール





フジコ・ヘミング初のドキュメンタリー映画。
年齢非公開だがたぶん80半ばくらいかな。
異様に若々しい。
そしておしゃれ。
現在のフジコの生活と過去の語りが交互に描かれる。
不遇の人生を過ごしながらも晩年に花開き、世界中に家を持ってかなり裕福そうだけど決して驕らず、真摯に生きている様が清らかに見える。
なかなか面白かった。

フジコ・ヘミングって名前くらいしか知らない程度で、印象的には秋元順子みたいなもんかと思っていた。
秋元順子って気づいたら歌謡界に現れて気づいたら大物歌手っぽく振る舞っていた。
(「おばさん」を擬人化したらこうなる、みたいな風貌もそうだけど、個人的にはあまり好みの歌手ではない)
フジコ・ヘミングもなんか知らないけどいつの間にか話題になっていたよね。
だから同じように思っていたけど。。

演奏も何度か流れるけど、恐ろしいほどに柔らかくメロディアスに弾く。
これは人気が出るわけだ。
魂のピアニスト、とか呼ばれているらしい。
そういえば昔良く聞いていて前橋汀子も魂のヴァイオリニストとか冠がついていた。
今調べると魂のヴァイオリニストは若林暢の代名詞っぽい。
魂の、ってつけるの日本人好きだよな。
他の演奏者に魂ないわけないのに。

フジコ・ヘミングをネットで調べると、賛否両論で、耳の肥えた人からするとミスタッチが多すぎて圧倒的に技術力が足りずに聴いてられないらしい。
プロの演奏家でもミスタッチしない人なんかいないはずだが、その数があまりに多いとさすがに気になるのだろう。
あとあまり譜面通りに弾かないらしく、そういうのって中高生が喜びそうだ。

映画見ていてなんとなく引っかかっていたけど、後半以降やっと気づいたのは、バナナマンの日村に似ている。

2019年1月5日土曜日

映画『星を追う子ども』

2011年 監督:新海誠
製作国:日本
テレビ録画




熊木杏里の『Hello Goodbye & Hello』は『星を追う子ども』という映画の主題歌になっているらしい。
というのでずっと気になっていたアニメ映画。

自然豊かな山あいの町に暮らす小学生くらいの少女アスナ。
父親は幼い頃になくなって母と二人暮らし。
母は仕事でだいたいいないのでアスナが家事全般をしている。
学校や友達にもなんだか馴染んではいないようで、家事が終わったらもっぱら一人で遊んでいる。

光と影で彩られる風景は綺麗だし、この自然の中で少女がどう成長してくのかとなかなか楽しみになる導入部。
と思っていたら、リスだか猫だかよくわからない動物が突然ひょこひょこやってきて、えっ、もしやファンタジー、、、嫌いじゃないぜ!!

生と死を扱って世界観も壮大で、細かい人物設定の謎も多いけど、なかなか面白い冒険ものだった。
『Hello Goodbye & Hello』っぽいアレンジ曲は流れていたけど『Hello Goodbye & Hello』そのものが最後にかかったときはグッときた。

「一人でラジオ聴きながら、どこか遠い、違う場所に行かなきゃってずっと思ってたんです。私がいたい場所はここじゃない。見たこともないどこかなんだって」
ああ、自分の居場所はここじゃないと、よくわからないなにかを追い続けた『秒速5センチメートル』の貴樹君の荒みっぷりを見たあとだけに、このセリフは不吉だ。
ドキドキ冒険気分のアスナは絶対ひどい目に合う。
って思ったんだけど、女の子補正、子供補正がかかってよかった。
主人公が女の子はいいとして小6くらいって設定は冒険活劇では結構特殊だよな。

ジブリっぽいのは監督自身ある程度意識的にそうしているらしい。

この監督、どのシーンも光と影が印象的だけど、時折強い光も使われる。
ただ、見えないくらいの強い闇っていうのはないのね。