2020年2月2日日曜日

映画『風をつかまえた少年』

2019年 監督:キウェテル・イジョフォー
製作国:イギリス / マラウイ
at ギンレイホール




2001年アフリカのマラウイで大旱魃が起こる。
この危機を救ったのは学費が払えずに学校を追い出された14歳の少年だった。
という実話をもとにしたお話。

でかい風車を作るのになんで自転車が必要なのかとか、水はどこから引いてくるつもりなのかとか、よく分からないまま見ていたけど、教育映画としてはなかなかいいんじゃないだろうか。
中学生のときにレクリエーションかなにかで全校生徒で映画館に映画見に行った記憶があるけど、今ならこういう映画が選ばれるんだろう。

キウェテル・イジョフォーが監督やりながら主人公の父親役で出演している。
役柄的に街?からやってきたみたいな設定だったと思うけど、それにしても他の村人よりも黒さが足りなくて少し浮いている。
役柄的にも、目先の利益よりも先を見つめて誘いに乗らないような知識階級的立ち位置かと思っていたら、予告編にもあるような無学で粗暴(干ばつによる空腹でまともな精神状態でないとはいえ)な面も見せたりして、人物像がふわふわしていたなぁと思う。


以下たぶんネタばれ

風車作って水はどこから持ってくるのか?
遠くの川からひっぱるにはそんなに長いホースを確保していたようには見えないしパワーも足りない。足りないのは後自転車だけという話だから川ではないのだろう。
で、正解は、井戸だった。
井戸に水あんのかい!
手動で汲んでまくのはこんなに大変なんだよ、という描写が欲しいところ。
川もそんなに遠くないなら用水路作って水引いてもよさそう。材料が無いか。

インドの中学生が自転車に80ccエンジンを搭載して自転車オートバイを作った、っていう最近のニュースのほうがすげーと思った。(誰の役にたったわけでもないが)

2020年1月26日日曜日

映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』

2018年 監督:ボー・バーナム
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




友達がいなく学校ではぼっちのケイラ(エルシー・フィッシャー)が中学卒業を前に自分を変えようと頑張る話。
人の輪に入れない少女を傍から眺める(応援する)ときの痛々しさがなんともいえない。
予告編見たとき、学校では無口だけどSNSではカリスマ的人気でそんなケイラが学校でもスターになっていくような話かと想像していたけど、SNS人気なんか毛ほども無く、現実でもネットでも孤独なケイラだった。
ドラマティックな夢物語じゃなくて等身大の少女(とそれを見守るシングルファザー)の悩みと喜びが描かれる。

音楽の音量がデカくて、音楽うるさい系映画かと思ったけど、エイデンの登場シーンのスローモーションと音楽によるださかっこよさはなかなか良かった。
しかもだよ、プールでの再登場シーンでまた同じ音楽がエイデンのテーマ音楽かのように流れるのね。
2回目はさすがに笑う。確信犯だよね。
ケイラのフィルターのかかった目で見たエイデンという意図があるのだろうな。
そういう意味でケイラのわずかな成長とともに3回目はなかった。

2020年1月12日日曜日

映画『新聞記者』

2019年 監督:藤井道人
製作国:日本
at ギンレイホール




「あなたはこの映画を信じられるか」
って予告編が言っているけど、なかなか信じがたいよね。
世の中には本人達は真面目に作っているのにいろいろおかしすぎてB級映画認定されるものもあるけど、これってどっちなんだ。
真面目に作ったのか、それとも真面目に見せかけたコメディ映画として作ったのか。

まず、内閣情報調査室の青みがかったありえないくらい薄暗いフロア見たとき笑いそうになった。
国のため、と不正を働く本拠地がこの描写って、ギャグでしょ。違うの?どっちなの?
この薄暗い部屋で職員達がせっせとtwitterでコメント拡散して情報操作しようとしているのも笑える。さすが悪の組織。
あと、松坂桃李とW主演のシム・ウンギョンは一応帰国子女の設定で日本語がたどたどしいということになっているけど、演技力があるせいか逆にそのたどたどしい日本語が大根役者以上の棒読みに聞こえる。
これも何度かギャグなんだろうかと悩んだ。
田中哲司のノリノリの悪役も、ちょっと笑わせようとして悪ノリしてるんじゃないかと思ったけど、どうなんだろう。
さらにはストーリーも大分実際の事件に即した話も出てきて本格的ながら、主題となる事件のあまりに現実離れした話にはギャグかと思う。
あと松坂演じる杉原の妻(本田翼)があまりに夫への理解がありすぎる。
夫は頑張っているんだから帰りが遅くてもしょうがないよね。頑張っているんだから破水して助けを求めて電話しても出なくてもしょうがないよね。出産に立ち会えなくてもしょうがないよね。
。。。昭和か!

これらを本当にこれでいいと真面目に作ったのか、俄に信じがたいながら、数年後にはB級映画扱いされていることは間違いなさそうだ。
というのが見たあとの感想だけど、公式ページ見ると松江哲明とか是枝裕和までもがコメント寄せている。。。
あとネットで検索するとストーリー的に賛否両論あるみたいだけど絶賛する人は怖いくらい絶賛している。

どうせフィクションでエンタメにするなら杉原とシム・ウンギョン演じる吉岡を不倫関係にして、よくできた妻を発狂させるくらいのことをしてくれないと人間味を感じないんだよね。
登場人物がどいつもこいつもステレオタイプで薄っぺらくてギャグかと思ったよ。
あとエンドロールで西田尚美って出て、どこに出ていたのかと思ったら神崎の奥さんが西田尚美だった。
西田尚美ですら脇役の無名女優と勘違いさせるなんて、恐るべし。

映画『よこがお』

2019年 監督:深田晃司
製作国:日本
at ギンレイホール




冒頭の美容室のドアを開ける音が大きいのに始まり、結構音をよく拾う。
そういう映画は好きなはずだけど、見終わってみるとあまり音についての印象が薄いなぁ。

訪問看護師として優秀な白川市子(筒井真理子)は信頼も篤く、訪問先の大石家では長女の基子(市川実日子)に勉強を教えてあげるほどだった。
しかしある日、大石家の次女で眉毛が凛々しい次女のサキ(小川未祐)の誘拐事件が発生し、そこから全てが崩れ始める。

今検索していてそうだったんだと気づいたけど、市子と美容師(池松壮亮)とのシーンは時間軸では未来のシーンだったんだね。
なんか市子の住んでる部屋が変だなとは思っていたんだ。

ジャージ姿の市川実日子がかわいい。
役どころが中学生みたいな恋愛でかわいい。
市子が見ているとも知らずに横断歩道でせっせと物を拾い集めている横顔の生きている感じが美しい。
で、そういえば結構前から活躍しているし今いくつくらいなんだっけと調べたらもう41歳か。
妹役の子の母親でもいい年齢なのに姉役でも全く違和感無かった。

筒井真理子はなんかおっとりした中で鬼気迫るものがある。
ヌードも攻めるよなぁ。

池松壮亮って昔から苦手でその原因やきっかけも思い出せないのだが、この映画では役柄によく合っていた。
ぼそぼそ喋って何考えているかよくわからなくて退廃的な雰囲気が。

深田晃司監督は『淵に立つ』の人か。

2019年12月30日月曜日

映画『モンスターズ/地球外生命体』

2010年 監督:ギャレス・エドワーズ
製作国:イギリス
テレビ録画




タイトルからして8割方B級映画だろうと予測して録画して、冒頭字幕でこの世界観の軽い説明をしちゃっているのを見たときにこれはやはりB級映画だと確信した。
と思ったんだけど、実際はコーショーさすら漂うなかなか面白いロードムービーだった。

メキシコの半分が巨大な地球外生命体の住処となっている世界。
新聞社社長の娘が裕福な自分を嫌ってなんか知らんがメキシコのこの危険地帯の近くに滞在してなんか知らんが怪我する。
新聞社のカメラマンはこの娘をアメリカに連れ戻す任務を受けてやってくるが、死んだ宇宙人しか見たことない男はまたとないチャンスとしてこの地に留まって取材を行いたいと思うのだがパワハラにより断念して娘とアメリカに渋々帰ろうとする、って話。

令嬢役のホイットニー・エイブルが令嬢っぽくないけど金髪ショートカットで綺麗な人だった。
カメラマン役のスクート・マクネイリーはなかなか面白い。
小悪党っぽい顔つきだけど弱そうでいて時にワイルドな感じでもあり胸毛ボーボーでもある。
モーテルで大失態をするところはパンツ一丁と胸毛の滑稽さも合わさって結構笑える。

宇宙人のいる危険地帯に定期的に爆撃を行うアメリカ軍を地元民とかが非難している、ってストレートな風刺。

調べると低予算映画として結構有名な映画だった模様。
ギャレス・エドワーズはこの映画をきっかけに『GODZILLA ゴジラ』の監督に抜擢されている。

2019年12月29日日曜日

映画『永遠に僕のもの』

2018年 監督:ルイス・オルテガ
製作国:アルゼンチン / スペイン
at ギンレイホール




1971年ブエノスアイレス。
真面目な両親の元で育った17歳のカルリートス(ロレンソ・フェロ)はそこいらの女の子より可愛い美少年だった。
で、強盗の常習犯だった。
その手口は大胆不敵で、犯罪を犯している最中とは思えないくらいの余裕ぶり。
その美貌ゆえに何をしても許されるかのよう。
やがて学校で濃いイケメンのラモン(チノ・ダリン)と出会い、コンビで犯罪を重ねていく。
カルリートスが銃を手に入れてからはもうやばい。
ラモンに射殺魔と言われるくらいなんの躊躇もなく撃つ。殺す。

カルリートスはラモンに気がある(でいいんだよな)。
だからコンビを組んでいるのだけど、ラモンもその父親もただの小悪党なのね。
ラモンに至っては芸能活動しようとまでしだすし。(歌っているシーンが笑える)
ラモン達が小物である分、カルリートスの異様さが際立ってくる。
小物というか常識人なのか。カルリートスはネジが飛んでいる。
善悪の区別はなく、果てしなく自由。
比べるものじゃないけど紳士な銀行強盗とか笑えてくる。

面白かった。

主演のロレンソ・フェロは今後どのような役柄を演じていくのだろうか。
母親役にセシリア・ロス。

予告編でも流れているけど「朝日のあたる家」がぴったりだなぁ。

映画『さらば愛しきアウトロー』

2018年 監督:デヴィッド・ロウリー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ロバート・レッドフォードの俳優引退作。
74歳のフォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)は銀行強盗を生業としている。
そしてその手口は紳士的で誰一人傷つけない。
楽に生きるなんてどうでもいい、楽しく生きたい。
を体現するかのような人生。
銀行強盗であって脱獄王でもあったりする。

映画始まってそこそこ経ってからタイトルバックが流れるんだけど、一瞬エンドロールかな、と思ってしまった。
そこまでが濃密だったとかじゃなくて、これから始まる本編も別に大した展開しなさそうという諦めからのエンドロール希望だったような気がする。

誰一人傷つけない、って金盗んだ時点で結構な人が傷ついているからね。
しかも楽しく生きたいという薄っぺらい理由で。
自由きままな"かっこいい"アウトローのタッカーであるが、娘からの視点が挿入されると一気にただのダメ人間になる。
このダメ人間視点をもっと広げて欲しかったのだけど、タッカーはそんな茶々に全く揺るがずにかっこいいまま描かれていく。
普通に考えてアウトローというか病気でしょ。万引常習犯と変わらないというか、より迷惑だし。

と、ストーリーはなんだかよくわからなかったけど、ロバート・レッドフォードの皺だらけのダンディさと時の流れを眺め、普通に付き合えそうなシシー・スペイセクの眩い魅力に見とれていると93分耐えられる。


公式ページ見ていたら蓮實重彦がコメント寄せているのね。
デヴィッド・ロウリーをかなり推しているらしい。

2019年12月27日金曜日

映画『アマンダと僕』

2018年 監督:ミカエル・アース
製作国:フランス
at ギンレイホール




アマンダのような主役級の少女って大抵可愛らしく芸達者なこまっしゃくれたガキが採用されてうんざりするけど、見てよこの子イゾール・ミュルトリエ、色黒でむちむちしていて眉毛薄くて、全然かわいくないでしょ。
それだけでもう名作だよね。
しかも見終わる頃にはイゾール・ミュルトリエが可愛くてしょうがなくなる。

ダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)はアパートの管理人やら枝の剪定やらの便利屋をして生活している。
仲のいい姉サンドリーヌ(オフェリア・コルプ)はシングルマザーで、7歳の娘アマンダ(イゾール・ミュルトリエ)と暮らしており、ダヴィッドもたまに姪であるアマンダの学校の送り迎えをしたりする。
そして姉の突然の死。
ここ、どうして亡くなるのかは知らないで見ていたので、自転車が古いとかそういうセリフや窓辺に佇むとかのシーン一つ一つにびくびくしていた。
一人取り残されたアマンダを養育できる可能性がある人たちの最有力候補はダヴィッドだが、まだ20代なかばくらいだし、育てる自信がない。
一旦はダヴィッド達の叔母であるモード(マリアンヌ・バスレール)と交互にアマンダの面倒を見ることにするが。。

古い友人に会ったとき、姉の死を伝えないで別れたものの思いとどまってちゃんと伝えるシーンが、二人の会話を聞こえないようにしていて、セリフを想像すると泣けてくる。

「エルヴィスは建物を出た」がラストに繋がり、気丈だったアマンダに涙が止まらない。
今回のギンレイは泣かせにくる。

レナ役のステイシー・マーティンがなかなか気になる。
少し独特な顔立ちだけど、爽やかな美人さん。
IVANに似ている気もする。

映画『Girl/ガール』

2018年 監督:ルーカス・ドン
製作国:ベルギー
at ギンレイホール




ああ、予告編見返すだけで涙出てくる。
バレリーナを目指すララ(ヴィクトール・ポルスター)は、トランスジェンダーの女の子。
どっからどう見ても女の子で、長身でスタイルよくてかわいい。
なのにぺったんこの胸や股の下はやっぱり男であった。

ララは努力が認められて難関のバレエ学校に入学が決まる。
トランスジェンダーを最初から公表しているのだが、クラスメイトの理解度のよさが素晴らしい。
とはいえ嫉妬やらなにやらがうずまくバレエ学校でかつ15,6歳のガキどもでしょ。そんな単純いはいかない。

女の子でありたいのに自分の身体は女の子と決定的に違うところにいる。
足の指を血だらけにしながらも必死にバレエの練習に明け暮れる姿が繰り返し繰り返し描かれると、祈りを捧げているような敬虔で神々しいシーンに見えてくる。
同時に細いのに筋肉質な腕など、男が垣間見えるたびに切なくもなってくる。
女の子になりたい。
崩壊寸前のララの心はバレエにさらにのめり込ませていくが、バレエや学友もララを追い詰めていく。
ララがふりまく笑顔が切ない。

ララが抱えてきた辛さや悲しみがラストで爆発する。
メリッ、ううぅー
痛みもそうだけど、何より切なすぎて涙が止まらない。
よき理解者である(ありたいと思う)父親が駆けつけるシーンもいいよな。

ララ役のヴィクトール・ポルスターは男性でバレエスクールに通うトップダンサーらしい。シスジェンダー。

2019年12月1日日曜日

映画『COLD WAR あの歌、2つの心』

2018年 監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
製作国:ポーランド / イギリス / フランス
at ギンレイホール




オヨヨ~。
この歌つい最近どっかで聞いたことある!って思ったらこの映画の予告編で見たんだった。
ポーランド民謡の『2つの心』。
テーマソングともいうべき歌で、歌詞やアレンジを変えて何度も出てくる。

1949年共産主義政権下のポーランドで、音楽舞踏団を結成したピアニストのヴィクトル(トマシュ・コット)は、そのオーディションに現れた歌手志望のズーラ(ヨアンナ・クーリク)と恋に落ちる。
亡命、別れ、再会、別れ、再会、さようならが民族音楽、ジャズ等の多彩な音楽に彩られながら情熱的に描かれていく。
1シーン1シーンぎゅっと洗練されている感じで、88分しかないけどなかなか充実していた。
ズーラ役ヨアンナ・クーリクの目が魅力的。