2022年9月3日土曜日

映画『ブルー・バイユー』

2021年 監督:ジャスティン・チョン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




3歳のときに養子縁組でアメリカにやってきたアントニオ(ジャスティン・チョン)は、シングルマザーのキャシー(アリシア・ヴィカンダー)と結婚して連れ子のジェシー(シドニー・コワルスキ)も含めた3人で貧しいながらも仲良く暮らしていた。
キャシーのお腹には新しい命も宿っている。
新しい家族も増えるし、アントニオは収入の少ない入れ墨の彫師を廃業して新たな職につこうとするがなかなか採用されない。
そんな折、アントニオの不当逮捕をきっかけに養子縁組の時の手続き内容に不備があることが発覚して国外追放命令を受けてしまう。

冒頭のピンク色した入江が幻想的でおー、と思ったんだけど、その後はなんか全編通して映像がつまらないというかしょぼい演出だなぁという印象だった。
ネットで検索してみると、演出はおおむね絶賛されている。そっか。じゃあよかったのか、な?

空港のシーンはセカチュー思い出した。
スライディングしながら駆け寄るのなんて世界中で森山未來くらしかやらない演技だと思っていたよ。
なかなか泣けるシーンのはずがそこで少し覚めてしまった。
覚めたのはエース(マーク・オブライエン)お前急に何があった?とかいろいろ伏線もあったしなぁ。

それにしてもジェシー役のシドニー・コワルスキが凄い。
恐ろしい子役がいたもんだよ。
子供に自由に遊ばせているのを撮影しているような自然さじゃなくて、どう考えても確実に演技しているのに自然っていう。
しかもめっちゃかわいらしいし。

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』

2021年 監督:ヤン・ゴズラン
製作国:フランス
at ギンレイホール




最新型の航空機が墜落。
原因調査の鍵はブラックボックス。
微妙なピッチの違いさえも聞き分ける優秀な音声分析官のマチュー(ピエール・ニネ)はこの事故の担当ではなかったが、上司の謎の失踪により担当することになる。
記者発表まで時間のない中あっという間に原因を特定したマチュー。
しかしこの音声は何かがひっかかる。。。

失踪した上司ポロックや、同じ航空業界で働き、航空機の認証機関みたいなところで働く美人のやり手妻ノエミ(ルー・ドゥ・ラージュ)とか、航空大学時代の同僚で、航空機専門のセキュリティー会社を経営するルノーとか、いろんな人が絡んで謎が深まりながらがしゃがしゃ絶望的に崩壊したりして、なかなかおもしろいサスペンスだった。

面白いのは主人公マチューに対する印象をころころ転換させるところ。
主人公なんだしその圧倒的能力で獅子奮迅の活躍をみせるのかと思いきや、行動力が凄いというか結構やばいやつだったりもする。
彼の妄想はどこまで真実に近いのか?それともただの妄想なのか。評価のゆらぎが面白い。

以下ネタバレ

ラストはなんかあっけなかったな。
あと、あんなに厳重に開封したブラックボックスの中身を、最高権限持っていそうとはいえ簡単にすり替えられるならブラックボックスってなんなの?という気がしないでもない。

2022年8月21日日曜日

映画『偶然と想像』

2021年 監督:濱口竜介
製作国:日本
at ギンレイホール




全三話の短編。
なんとなく登場人物をリンクさせたり、道ですれ違わせたりとかしちゃいがちだけど、完全に独立した三話。
小説でも映画でも短編が苦手な方なんだけど、各話すんなり入れたので脚本がうまいのかな。

全体的な印象としては、ちょっとした違和感を意図的に瞬間的または継続的に入れて画面を引き締めるのが好きな監督なのかな、と。
「第一話 魔法(よりもっと不確か)」の入りの会話内容から面白いんだけど、どことなく棒読みの浮ついた違和感がある。
タクシー運転手がバックミラーでちらっと見たのが何かにつながると思ったらつながらない。
そもそも古川琴音の見た目が子供すぎて、キャラと実物の違和感。。。
あとギャグみたいに使うズームとか。

棒読みのやつは気になって調べてみたら、玄理さんのインタビュー記事があった。
役者による作為的な演技を排したい意図があるみたいね。
濱口竜介監督が『寝ても覚めても』の監督だったと知ったとき、東出昌大とかそういう棒読み役者が大好きな人なんだとすんなり納得したんだけど、そんな演出意図があったのか。

古川琴音はつい最近出てきたと思ったらいつのまにか人気女優になっているのね。
独特な見た目と独特な声での独特な台詞回しで一度見たら忘れないようなスター性があるしなぁ。

「第二話 扉は開けたままで」の渋川清彦はその変態性含めて渋かった。
森郁月さんって人はなかなかの色っぽさ。
渋川&森の抑圧された淡々とした応酬も面白いんだけど、セフレ役の人が役にドはまりしているのが一番おもしろかった。
ぼっちゃん顔でわがままそうで、むきむきじゃないガタイの良さしていて、頭悪そうなのに世の中うまく渡って成功しそうな感じ。
仮面ライダー出身の人みたいね。

「第三話 もう一度」
河井青葉さん演じる役の、おっとりした大物風の風格がすごいわ。
そのせいか、主役の占部房子さんの小物感が際立って、、違和感。
高校の20年目の同窓会ってことは30後半??ってことに違和感。
ああ、違和感って別に悪い意味で行っているわけじゃなくてむしろ逆。楽しい。
予告編にある再会シーンを改めて見ると、目きらきらしているし、事情を知ったあとで見るとさらに面白いな。それにしてもうまい演技だ。

そういえば映画タイトルは偶然と想像か。
偶然はわかりやすいけど想像はそれぞれあれのことかって思い出すと、ああ、ちゃんと偶然と想像じゃん。よくできている!
面白かった。
全7話のシリーズにするらしいので、残り4話も楽しみ。

映画『春原さんのうた』

2021年 監督:杉田協士
製作国:日本
at ギンレイホール




音をよく拾うのね。音響が素晴らしい。音聞いているだけでも何時間でも見ていられそう。
音楽もほぼ無く、あっても和音の響きだけ、みたいな。
好きだわ、こういうの。

映像の方は、ワンシーンワンシーンが恐ろしく長い。
手を洗っているだけのシーンを何十秒も見させられたりとか、長いわって突っ込みたくもなるけど、段々慣れてくる。
むしろそういうゆったりした時間の流れが心地良い。
最近テンポのいい映画しか見ていないから、昔の名作映画とかまた見ていこうかなって思った。

ストーリーは、1mmもわからなかった。
たまに映るおかっぱの子は誰なのよ。
隣の部屋の子かと思った。いつ主人公とからむのかと。
主人公沙知は、周りから何か心配で気にかけられている雰囲気で、どうやら最近大事な人を亡くしたらしい。
それがおかっぱの子かな。
窓枠上映のシーンなんかは、もしや実は沙知は亡くなっていて、追悼で皆が沙知の映像見ているんじゃないかみたいな、それまでのシーンを少し思い返せば辻褄合わないとすぐ分かるような妄想までしてしまうほど混乱はしていた。

主演は荒木知佳という人で、おっとりした感じが映像によく合っている。
映像に映える役者さんってたまにいるけど、この子は映えるというか優しく溶け込む感じで、いつまででも見ていられる。

コロナ禍の撮影だからか、皆普通にマスクしているし、帰宅して入念に手も洗う。
なんかちゃんと現代をありのままに切り取っているのが、普通のことなのに感心した。
映画にしろドラマにしろ、現代ものの話なのにコロナなんかないかのように誰もマスクしていないじゃん。
フィクションであっても時代設定が現代ならマスクしていないとおかしい、っていう当たり前のことになぜ気づかなかったのか。
役者の顔見せることよりも重要なことだよなぁ。

どのシーン、どの登場人物も印象的だった。
人物だと、アパートの前の住人の彼女らしき人がすごくよかった。
なんだろう、一言で言えば「いい人」って感じだけど、なんかすごくリアルな感じなんだよね。喋り方とか。笑顔とか。おどけた感じとか。

シーンだと、いろいろあるけど、雨の中でカッパ着てスクーターに乗る準備しているところかな。
二人の立ち姿とか、ヘルメット拭いたりとかのやりとりがよかった。
あとは道案内でゆったり歩いているところとか、どらやき食っているところとか、突然の書道が本格的でびびったり。

https://www.nobodymag.com/interview/haruharasannouta/interview.html
インタビュー記事が面白い。
書道のシーンは最初の方に撮影されたらしく、その頃にはまだ映画の骨格すら決まっていなかったらしい。
それでよくあんな異様なシチュエーションのシーン撮ったなぁ。

舞台はどこかの地方かと思っていたら聖蹟桜ヶ丘らしい。いいところだねぇ。

2022年8月11日木曜日

映画『ウエスト・サイド・ストーリー』

2021年 監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




タップダンスじゃないミュージカル映画に興味なくて見たことなかったんだけど、えー、こんなお話だったの!
オリジナルってアメリカン・ニューシネマの頃だったっけ?いや、1961年だし、ブロードウェイの初演は1957年。
歌って踊って散っていく。こりゃあ確かに若者に衝撃的に受けそうだぜ。
ロミオとジュリエットが下敷きらしい。そう言われてみればそうだ。

これって脇役は皆プロのダンサーかミュージカル俳優なんだろうか。
ダンススキルが主演二人以外はプロ級で、かなりの見ごたえがある。
本編の一部がyoutubeで見ることができる。


すごいねー。

バーンスタイン作曲の音楽がどれもこれも有名すぎて懐かしい。
吹奏楽でよく演奏されたもんだ。

主演トニー役のアンセル・エルゴートは、坊っちゃん顔のイケメン。
なんか見たことあると思ったら『ベイビー・ドライバー』の人か。

ヒロインマリア役はレイチェル・ゼグラー。
オーディションで選ばれたyoutuberらしい。

バレンティーナという商店のおかみさん役に、前作アニタ役のリタ・モレノ。

以下ネタバレ


しかしまあ、あれだけの稀有なダンススキルを持っていながらどうでもいい諍いで命を落とすとか、兄が殺された日に兄を殺した男と・・・とか、おっさんには理解がおいつかんぞ。

映画『ナイトメア・アリー』

2021年 監督:ギレルモ・デル・トロ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




1939年アメリカ。家を焼いて故郷を離れた青年スタントン(ブラッドリー・クーパー)は怪しいカーニバル一座に拾われる。
スタントンはここで読心術を使ったショーをする夫婦の助手をしながら、読心術を身につける。
で、まあいろいろあってサスペンス!

面白いけど150分は長いなぁ。

無口な好青年風のスタントン。
しかし意外とやばいやつっていうのは冒頭や、獣人ボコっているところで片鱗が見える。
だからモリー(ルーニー・マーラ)といい感じになっても幸せな未来が見えなくて悲しい。

前半と後半で雰囲気ががらっと変わる。
舞台が変わっても、どこか作り物めいた怪しい雰囲気を保っているところは面白い。
かつての仲間が高級な部屋にいるっていう微妙な違和感とかもよかったな。

途中うとうとしたからか、スタントンの過去や人物像がいまいち不明だった。
中断したカウンセリングの内容の続きがラストのあの回想なのかな。
酒を頑なに絶っていた理由の説明もどこかであったのだろうか。

意外と最重要人物だったリリス・リッター博士にケイト・ブランシェット。
師匠夫婦にトニ・コレットとデヴィッド・ストラザーン。
座長ウィレム・デフォー。

2022年7月25日月曜日

映画『ハウス・オブ・グッチ』

2021年 監督:リドリー・スコット
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




グッチ創業者一族の物語で実話に基づくらしい。
全然知らんかったわー。
映画向きの実話だねー。

運送業を営む父のもとで働くパトリツィア(レディー・ガガ)は、とあるパーティーでマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライヴァー)と出会い恋に落ちる。
マウリツィオはあのグッチ一族の人間だった。
グッチ家とか関係なく恋に落ちている(ように見える)んだけど、マウリツィオの父ロドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)の猛反対に合う。
で、マウリツィオは家を出て二人は晴れて結婚。
マウリツィオは弁護士を目指しながら運送業の手伝いをし、屈強なトラック運ちゃんたちとも打ち解けて、二人は幸せに暮らしましたとさ。
で終わればいいのにそんなのはただの導入で、そっからどろどろの争いが。。

俳優陣だけですごい見ごたえがある。
レディー・ガガは『アリー/ スター誕生』でその自然な演技にかなりびびったけど、この映画だと既にもう大女優の風格を持っている。
ガガの圧をアダム・ドライヴァーの笑顔が和らげていいバランス。
ガガもアダム・ドライヴァーもそれぞれ独特な風貌しているから、二人揃うとなんか特異な絵になって面白い。

マウリツィオの叔父役でアル・パチーノ、父親役にジェレミー・アイアンズという最強の布陣。

怪しい占い師役にフリーダのサルマ・ハエック。

で、一番やばかったのは従兄弟パオロ・グッチ役のジャレッド・レトー。
いかした髪型だぜ。
どこか憎めない哀愁のあるキャラクターがドはまりして愛しくなってくる。
えっ、ドはまりって、、これジャレッド・レトーだよな。。
「アンジェラ15歳の日々」を見ていたときは、それほどイケメンというわけでもないしすぐに消えていく俳優だと思っていたよ。

ストーリーの方はいろいろ展開が唐突な気がした。映画自体は159分もあるのにな。
Wiki見るとパトリツィアは財産目当てで色仕掛けでマウリツィオに近づいたと言われているらしいね。
最初から財産目当てだったのか、それとも後から金に目が眩んだのか、とかその辺が映画では曖昧だから、パトリツィアの狂気とかマウリツィオの心変わりとか、全てが唐突に思えるのね。
ただただガガの狂気の瞳に圧倒されればそれでOKという気もしないでもないけど。

2022年7月17日日曜日

映画『エル プラネタ』

2021年 監督:アマリア・ウルマン
製作国:アメリカ / スペイン
at ギンレイホール




なんか昔懐かしい香りのする映画。
学生の頃こういう映画見ては爆睡していたのを思い出す。
今は、というと、2,3回うたた寝してしまった。
大抵は1回うたた寝して目覚めたらあとはすっきりするもんだけど、、、
私昔バレエダンサー目指していたとかなんとかでふらふらのポーズを取るおばちゃんとか、一体何を見させられているんだと思ってしまったらもう眠気に襲われる。

駆け出しスタイリストのレオ(アマリア・ウルマン)はイギリスから故郷のスペインに帰ってきて母親マリア(アレ・ウルマン)と暮らしている。
離婚して慰謝料で暮らしていた母親は、父親が亡くなって慰謝料が途切れたことで破産寸前。
働いたこともないし働く気もない。
で、レオが支えるのかというとそうでもなくてレオも貧乏。
二人してどん底にいるんだけど母親は能天気だし、レオもレオで絶望と希望の狭間で揺れながらも意外とあっけらかんとしている。

外にいる母親が、見た目若すぎてレオの友達なのかと思っていた。
アップになるとああ、って年相応の顔立ちなんだけど、遠目で見たときの若々しさが凄い。

冒頭の知らないおっさんとのやり取りまでは面白かったんだけど、その後はラストの方まであまり乗れず。(というかそこそこ寝てしまったし)
ラストはよかったし、寝ないでじっくり見れば意外と面白い映画かもしれない。

主演のアマリア・ウルマンが監督・制作もやっていて、アマリア・ウルマンは現代アーティストらしい。

2022年7月3日日曜日

映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』

2019年 監督:
製作国:
at ギンレイホール




テフロンこわっ
環境問題を専門とする弁護士のロブ・ビロット(マーク・ラファロ)のもとに怪しいおっさんがやってくる。
デュポン社が土地にヘンなモノ埋めたから汚染されたとかなんとか。
ロブは企業側の弁護士なんだけど、祖母からの紹介ということもあって実際ウェストバージニア州の町に訪れて例のおっさんウィルバー・テナント(ビル・キャンプ)の話を聞くことになる。
そこからロブの長い長い闘いが始まる。

実話に基づく、ってだけじゃなくて世界中で使われているテフロンだのフッ素樹脂加工だのの話だから、こわっ。
一応空焚きで超高温にでもしない限り安全ってことらしいけど、、

巨大企業が隠しているものを一人の弁護士が気の遠くなる努力で少しずつ剥がしていく、と同時に人間関係が崩れていく。
サスペンス的な要素と人間ドラマ的要素のバランスがよくて充実の126分。

『Take Me Home, Country Roads』「Almost heaven, West Virginia(楽園のような、ウェストバージニア)」とかそんな歌詞だったんだねぇ。

妻サラ役にアン・ハサウェイ。
サラの人物像だけはよくわからなかったな。一応ロブの良き理解者とかいう立ち位置らしいんだけど。
自分はこんなに苦しんでいるのよ、っていう自分が自分がって訴えるあたりがアメリカ人っぽい。
そんでロブが倒れた一因にサラの言動があるはずなのに、当のサラは自分のせいとは一切思っていないどころかいい妻ぶっているから意味不明だった。

良き理解者の上司役にティム・ロビンス。

映画『スイング・ステート』

2020年 監督:ジョン・スチュワート
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ヒラリー・クリントンの選挙参謀ゲイリー・ジマー(スティーヴ・カレル)は、ウィスコンシン州の田舎町で演説する退役軍人ジャック・ヘイスティングス大佐(クリス・クーパー)をYoutubeで見て、彼こそ農村地区で民主党の票を取り返す鍵になると考える。
単身町に乗り込んだジマーは大佐に会って民主党からの出馬を要請するのであった。
で、なんたかんだでこの小さな町の町長選が民主党共和党の威信をかけた代理戦争になっていく、っていうコメディ。

アメリカの選挙ってなんかもうただの票集めゲームみたいな感じよね。
そういう感じの選挙映画が多いからかもしれないけど。

テンポとノリがよくてなかなか面白かった。

大佐の娘役にマッケンジー・デイヴィス。
登場シーンから魅力的。
敵役にローズ・バーン。