2004年9月15日水曜日

映画『ケス』

1969年 監督:ケン・ローチ
BS2 録画


ラストに起こった悲劇には大きな悲しみと怒りが湧いたのだけど、母親の「たかが鳥でしょ!」という言葉によって完全に孤独になった少年の現在と未来を思い、先ほどまで溢れていた感情はそのまま生を見つめる冷徹な視線に変容する。
これが"リアル"ってものなんだな。

60年代後半のヨークシャー地方の炭坑町が舞台で、そこに住む少年ビリーが主人公。
乱暴な兄とほとんど家にいない母親、学校には聖職者気取りの横柄な教師達。
悲惨さをドラマチックなストーリーで大仰に表現しているわけでもなく、芸術家気取りで淡々と日常を描いているわけでもなく、ただ、そこに生きている人々の"人間らしさ"が少ない表現ながら確実にリアルに描かれる。
これは本当凄い。かつ最高に面白い。
校長に伝言を伝えに行っただけの小さな少年が他の悪童(?)達と一緒になぜか理不尽にも体罰を受けてしまう。小さな少年の潤んだ目が痛い。この理不尽さに遭った少年の感情は後にビリーの口から「あの子落ち込んでいたよ」と語られる事で見事に補足される。
物語の展開の仕方、そしてちょっとしたシーンやセリフにさりげなく織り交ぜられたものが、作中人物の人間味や感情を巧みにつないで見せる。
余分を削ぎ語り過ぎないのだが、常に劇的という不思議な作品。

上手くもないのに大のサッカーファンである体育教師は面白かったな。残酷で横柄な奴なんだけど。
サッカーの授業中に見せた横柄さは本当笑える。ドリブル中に前のめりにずっこけた後、それを生徒のせいにしてPKにしてしまったり、PKで失敗したらお前動いたからもう一度だといって再びPKやったり。
こけた所が一番爆笑した。

映画『洗濯機は俺にまかせろ』

1999年 監督:篠原哲雄
BS2 録画


キザちゃん、キザちゃんって、キザな男についたあだ名かと思ったら名前が木崎だかららしい。
主演筒井道隆と富田靖子。
洗濯機も人生も、くたびれたって諦めずにまだ進めるよ、ちょっと休んで修理してまた頑張りましょうか、って話。

中分けしたボリュームのある髪のサックス青年が、洗濯機を覗き込むため中腰になったとき、前髪を手で後ろに押さえつけながら覗き込む。
ああ、いるいる、そういう仕草する兄ちゃん。しかも店員がそばに立っているし買う気はないけどなんか断りづらい雰囲気。

ほのぼのしながら結構面白い。でもあまり書きたい事が無い。
筒井道隆ぼけーっとしていいね。「今度しゃぶしゃぶ食べにいきましょうねぇ」と自転車で走り去る女性に気の抜けた声で別の女の事を考えながら言ったり。

休み

来週月曜まで夏休み突入。

2004年9月13日月曜日

映画『眠る男』

1996年 監督:小栗康平
BS2 録画


『夏時間の大人たち』を録画したのになぜかこれが入っていた。

群馬県が人口200万人を突破した記念に作られた映画。
群馬県民の税金で製作されたってこと?

小栗監督真面目だな。年をとればとるほど芸術志向が高くなるのはしょうがないのか。
群馬の自然や町並みが鮮やかです。
僕は遠景ショットが好きなんだけど、こうも遠景ショットだらけだと人物が遠い。
自然、家、そこに生きる人、の魅力は充分描かれているから群馬県もとりあえず出来には納得しただろう。
映像にはかなりこだわっている。群馬の自然は辟易するほどの完璧な美を求めて撮らない謙虚さ、故にリアル。でもセット的なところはどれもこれも殊更に"綺麗"だったりする。
と、なんだかいい映画だと言っているのかつまらない映画だと言っているのか、文章のつながりも全くなくて分からないだろうが一つ言いたいのは、現代音楽の作曲家細川俊夫の音楽がひたすら眠気を誘って1時間近くもずっとうとうとしてしまったわけだから感想もくそもない。

2004年9月12日日曜日

映画『ひばり・チエミの弥次喜多道中』

1962年 監督:沢島忠
BS2 録画


ひばり・チエミの弥次喜多道中

今日3本目だからか、このオールハイテンションミュージカル時代劇ムービーはちときつい。
オールハイテンションとは言い過ぎか。緩急は見事にあるのだけど、ハイテンション部分が今の僕の状態ではきつかった。
以前美空ひばり特集の番組で、この作品のワンシーンが取り上げられていた。
それは弥次喜多に扮したひばりとチエミが橋の上を歌い踊りながら渡るシーンで、サビに差し掛かり「タッツタッツタ タッツタァ」と歌いながら走り出した瞬間には何かが弾けたような衝撃があった。
その歌声とローアングルで映された二人の瑞々しい躍動感に感動して泣かされてしまったのだ。
そんなわけで録画しておいたのだけど、疲れているときに見るもんじゃないね。問題の感動したシーンもしらーっと見てしまったし。

ひばりもチエミも演技というか仲のいい友達同士でとにかく陽気に楽しく遊んでいる感じ。そこは愉快ですよ。
美空さんはこの62年だけでも9本くらいの映画に出演しているようだ。しかもほぼ全部主役で。
バイプレイヤーでもないのに1951~1962にかけて毎年7本以上の映画に出演している。驚くべき役者。
歌はもちろん、表情も魅力的だし、立ち回りなんてほんと絶品の素晴らしさ。
江利チエミは江利チエミで田舎娘っぽくておちゃめな魅力を放っている。ちょっとおばさんくさいが。
ただ、ひばりと並んでしまうとどうしてもひばりさんの素晴らしさに目がいってしまうな。
好みの問題かもしれないけど、歌はひばりさんが別格だし、立ち回りや踊りの上手さも際立っているし。

出演者は他にぽっちゃりした濃い顔で色気を放つ東千代之介。
兄と弟一人二役堺駿二。
悪の親玉山形勲。
ひばりとチエミの乳を揉んだ(乳といっても胸の上方部分だったが)田中春男。
凄い役者なのにアホな役もしょっちゅうこなすたんこぶ作って間抜けな千秋実。
茶屋には夢路いとしと喜味こいしが。

映画『リトル・ヴォイス』

1998年 監督:マーク・ハーマン
BS2 録画


リトル・ヴォイス

Wの悲劇を見た疲労が後を引いていたためか見始めてから1時間近くずっと乗れなかった。
でもまあステージで歌っているシーンはよかったな。短かすぎたけど。
しっかしこんなに自分の娘の事を思わない母親っているのだろうか?

映画『Wの悲劇』

1984年 監督:澤井信一郎
BS2 録画


Wの悲劇

世良公則は階段から降りてくる薬師丸ひろ子よりずっと離れたところにいた気がするが、薬師丸に駆け寄る高木美保を見た後あっという間に薬師丸と高木の間に割り込めるというその素晴らしい俊敏さはさすが世良さんですね。

2004年9月11日土曜日

映画『ヒロイン!』

1998年 監督:三原光尋
BS2 録画


のっけからチープなノリで展開する。
大阪下町、未亡人百合子は酒屋を切り盛りして一人娘を育てていた。
酒屋のある商店街は近頃近くにオープンするスーパーによって危機にさらされている。
そしてそのスーパーのオーナー夫人は偶然にも未亡人百合子の小学生時代の幼馴染だった。
というわけでなんだかんだでバレーボールのスポ根ドラマ。

まず、香織役を演じた上野みささんがいい。
元レディースの特攻隊長で今は魚屋という役。
最初の登場シーンでは斜め後方から映されてよく顔が見えなかったので渡辺満理奈かと思った。
めちゃくちゃ美人でもないけれど、とにかくかっこいい。そしてかわいかったり綺麗だったり。
魚でウエイトトレーニングしているシーンは特に可愛かったな。
ばりばりの関西弁でどすをきかせる姿がえらい魅力的。
香織が百合姉百合姉と慕うその未亡人百合子を演じたのが室井滋。
どうみても上野みさの方が強そうだった。スタイルもいいし。

あと未亡人百合子の娘役の中尾貴子という子役の声が渋い。かわいい顔してしゃがれ気味の声でしかも関西弁。

作品の方は出だしからああ、なんか疲れそう、と思ったけど、中盤の橋の上でギャラリーに取り囲まれてのダンスシーンや、感動のラストでは不覚にも涙が出てしまう。
コメディとしてはあまり笑えなかったけど(ふん、と鼻で笑うところはたくさんあり)、これは感動ドラマです。
ラストは盛り上がって満足したところで余計なその後の話など一切入れずに終わったところが気に入る。
室井滋のファッションが手編み系で家庭的ながらもおばんくさくてださいところがGood

2004年9月10日金曜日

映画『少年期』

1951年 監督:木下恵介
BS2 録画


木下惠介 DVD-BOX 第3集

なんだかえらく真面目な映画だな。
ストーリーも撮り方も音楽も。
冒頭から軍歌のような挿入歌が流れて。
戦時中、東京に住む家族が長野に疎開する。
しかし長男の一郎(石浜朗)君は一人東京に残る。
東京に残って一人で頑張ってはいたけれど、強烈なマザコンの一郎君は母が恋しくて恋しくて結局疎開する。

見ていて暫く、僕はなんでこの作品を録画したんだっけと考えていた。
一郎君が家族の疎開先に初めて訪ねて行くシーン、家族のいる家を探していた一郎君は庭先で幼い弟達が「いち、にぃ、さん、しぃ」の掛け声と共に体操をしている姿を見つける。
このシーン見てはたと思い出した(というか確信した)けど、僕以前この作品見てるや。
一度見たくせにほとんど覚えてすらいない作品をなんで録画したんだろう?
全部見終わってから漸く知ったのは監督が木下恵介だったということ。
そうか、木下恵介だから録画したのか。
無名の監督だったらまず見なかったと思う。

氷川きよしを初めて見たときどこかで見たことあると思っていたけど、石浜朗に目の感じが似ていたからだったのかな。
小林トシ子がメガネかけてもんぺ履いた女中役をやっていて面白い。

『二十四の瞳』では土手を行進する子供達を追った移動ショット一つで涙流した記憶があるが、この作品ではそこまで泣くようなシーンはなかった。
ストーリーはほぼ忘れていたけれど、ぶつ切りでシーンの記憶が結構蘇る。

2004年9月8日水曜日

映画『好人好日』

1961年 監督:渋谷実
BS2 録画


数学の教授の笠智衆。妻は淡島千景(夫に尽くす妻を演じさせたら日本一)。
一人娘は涼やかに美しい岩下志麻。

岩下志麻が川津祐介と結婚しようとするのだけど、どちらも親や親族にひとくせもふたくせもある人物がいて・・・
ホームドラマでコメディ。
で、まじで面白い!

川津祐介としたデートの回数を知らず知らずに喋らされたことに気づいた岩下志麻が、「ひどい、ひど~い、ひどいわお母さん」と連呼しながら母淡島千景の腕をつかんでぐらんぐらん揺らしたり体をひっぱたいたりする。
ほのぼの~とした光景のはずがなんでしょう、この違和感。絶妙に度を越えたじゃれあい具合がなんとも面白い。
違和感というか不自然さかな。不自然なリアルさ。が面白い。
岩下志麻が奈良の大仏によく悩み相談を声に出して話しかけてするのだけど、婚約相手がグレゴリーペックに似てると思うとか言うのさ。大仏に。
酒好きという設定の淡島千景は本当に幸せそうに(表情が笑える)酒を飲む。正座してしとやかに。湯飲み茶碗で。
岩下志麻との待ち合わせ場所に駆けつける川津祐介をわざと修学旅行生の群れの中に突っ込ませたり。
妻の女友達の料理屋で正座して無言で酒を飲んでいた笠智衆が女性達の馬鹿笑いに閉口したのか気が振れたかのように歌いだしたり。笑っていいのかなんなのか。
とか、文章で書いてもよくわかんないだろうな。僕も今書いていてだから何なんだろうって思ったし。

とにかくコメディ部分も好き嫌いはあるだろうが僕は結構笑った。
テンポもいい。黛敏郎の音楽もよい。キャストもいい。映像もかなり面白い。