2012年3月25日日曜日

映画『あしたのパスタはアルデンテ』

2010年 監督:フェルザン・オズペテク
製作国:イタリア
at ギンレイホール




ローマで小説家を目指しているトンマーゾ(リッカルド・スカマルチョ)は久しぶりに故郷の古都レッチェに帰郷する。
実家は3代続く老舗のパスタ工場だった。
兄のアントニオとともに工場を引き継ぐために、経営学部を卒業していることになっているトンマーゾは実は文学部を卒業していた。
かつそれだけじゃなくて彼はゲイだった。
共同経営者を招いたディナーパーティーで秘密をぶちまけて勘当されて自由になることを目論むトンマーゾだったが。。

分かりやすいストーリー展開でなかなか面白いコメディ。
いや、それよりもびっくりなのはアルバ役のニコール・グリマウドという女優さんで、この人が美しいうえにキュートすぎる。
1980年生まれ。
次回作はアージア・アルジェント共演作らしい!

映画『さすらいの女神(ディーバ)たち』

2010年 監督:マチュー・アマルリック
製作国:フランス
at ギンレイホール




『潜水服は蝶の夢を見る』の俳優マチュー・アマルリックの監督作。
111分と長いのだけど思いのほか面白かった。

セクシーショーでフランスツアーを行っている一座のお話。
ショーのプロデューサーのジョアキム(マチュー・アマルリック)はフランスのTVマンだったが、業界から干されたためアメリカに渡り、そして今回フランスに凱旋してきた。
彼にとってパリ公演は重要な意味を持っていたが、その肝心のパリ公演がなかなか決まらず港町ばかりを巡業していた。

このショーはバーレスクの進化形“ニュー・バーレスク”と呼ばれるものらしい。
あそこ(たぶんあそこ)から札の紐をつるつる取り出したりと際どいことやるが乳首は出さない。
そしてダンサーの年齢層は皆高く、ことごとく太っている。。。
ショーはユーモアのエンターテインメント色も強いので、観客はセクシーさに盛り上がっているのかエンターテインメントに盛り上がっているのかよく分からなくなったりもするけど、おそらくセクシー含めて両方に盛り上がっているのだろう。
出演していたダンサー達は皆本物の現役ニュー・バーレスクダンサーだったらしい。
もちろん演技も未経験で。
ミミ・ル・ムー役のミランダ・コルクラシュアなんてベテランの女優さんかと思っていた。

マチュー・アマルリックは凄いな。
おどおどした感じの目と口ひげのアンバランスが面白い。

2012年3月11日日曜日

映画『50/50 フィフティ・フィフティ』

2011年 監督:ジョナサン・レヴィン
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




ラジオ局に勤めるアダム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)27歳。
画家の恋人とはなんかうまくいっていないけど楽天的。
そんなアダムに突然訪れるがん宣告。5年生存率50%。me?!

女好きの親友カイル(セス・ローゲン)は50%ならカジノじゃ大もうけだと笑い飛ばし、軽いノリで闘病生活が描かれる。
軽いって軽んじているとかじゃなくて、ギャグやユーモアと闘病生活の現実のバランスが絶妙なので面白い。
仲良くなった闘病仲間が突然亡くなっていなくなったりもする。

垂れ目のむっつりすけべ顔の主人公アダムを中心に、無神経で自分のことしか考えていなさそうでいてさりげなくがん患者と付き合う方法みたいな本を読んでいたりする陽気で下品で友人思いなカイル、新米カウンセラーで美人というわけでもないのになんか気になるキャサリン(アナ・ケンドリック)、愛しているのか愛していないのかよく分からない潤んだ小動物のような懇願の視線をする元恋人のレイチェル(ブライス・ダラス・ハワード)、等々キャラクターも際立っていて面白いコメディ人間ドラマになっている。

映画『私だけのハッピー・エンディング』

2011年 監督:ニコール・カッセル
製作国:アメリカ
at ギンレイホール


私だけのハッピー・エンディング [Blu-ray]

今年度の健康診断行ってないからなんか気になるんだよな。

広告代理店で働くマーリー(ケイト・ハドソン)は快活で人生を謳歌中の30歳。
恋人は作らない主義だけど男とはちゃんと遊ぶ。
仕事も順調で、漫画みたいに破天荒なプレゼンで仕事を取ったりする。
そんなマーリーに突然訪れる末期がん宣告。余命半年。

明るく怖いもの知らずという感じの女性が、がん宣告により絶望して明るさ強がりの仮面がはがれてぼろぼろになっていく様を残酷に描いていく、のかと思いきや、主治医と恋に落ち、仲間たちとの絆を深め、ぎくしゃくしていた家族との関係も修復し、大円満で明るく逝っていく。

顔が大きいケイト・ハドソンは『あの頃ペニー・レインと』のペニー・レインだったんだな。

2012年2月26日日曜日

映画『親愛なるきみへ』

2010年 監督:ラッセ・ハルストレム
製作国:アメリカ
at ギンレイホール


親愛なるきみへ [DVD]

キアロスタミの映画観たついでに一応見てみる。
こてこてのラブストーリーものかと思っていたら、途中「えっ、まじ?」っていうよく分からない展開をする。
自閉症(エラーコイン)とか9.11とかいろいろ要素はあるけど最終的にはやっぱりこてこてのラブストーリーに帰結する。

こてこてのラブストーリーで重要なのはヒロインがどれだけ可愛いかということだけど、ヒロインは歌って踊れて『ジュリエットからの手紙』等々大活躍中のアマンダ・サイフリッド。
悪くはないけれど蛙顔のアマンダ・サイフリッドが心優しく「尻軽」でない女の子には全然見えなくて苦労する。
いや、実際いい子なのかもしれないけどさ。。

監督はラッセ・ハルストレムなんだよね。
『サイダーハウス・ルール』とか『ショコラ』の人。
・・・なんか珍しく名前を記憶していたから好きな監督かと思っていたけど、調べてみると過去に見た作品がめちゃくちゃ面白かったわけでもなかったな。

映画『トスカーナの贋作』

2010年 監督:アッバス・キアロスタミ
製作国:フランス/イタリア
at ギンレイホール




何も知らないで見てこれがキアロスタミ監督作だと分かる人がいるだろうか。
舞台はイタリアだし主演の二人、特にジュリエット・ビノシュが喋る喋る。
脚本だけ見れば恋愛論を中心に議論を戦わせる男女なんてエリック・ロメールが撮っているのかと思うくらい。
キアロスタミの映画自体観るのは『桜桃の味』以来だから僕が分からないだけかもしれないけど。。

英国の作家ジェームズ(ウィリアム・シメル)は新作『贋作』の発売記念講演を行うためイタリアトスカーナに来ていた。
講演を聞きにきたフランス人でイタリア在住でギャラリーを営む女主人(ジュリエット・ビノシュ)は、彼の通訳にメモを渡して講演を途中退出する。
やがて彼女のギャラリーを訪れたジェームスは彼女の案内で近くの名所をドライブで散策することにする。
とあるカフェで夫婦と間違われた二人はそのまま成り行きで結婚15年目の倦怠期のような夫婦を演じ始める。
寄り添い、喧嘩し、思い出を懐かしく語る初対面の贋作の夫婦。
いや、実は初対面かどうかも怪しい。
英語しか喋れないと思ったジェームズが流暢にフランス語喋ったり、髭を二日置きに剃る習慣を女が知っていたり等々設定は極めて曖昧だから。
といってもカフェに入った辺りからカフェの女主人とジュリエット・ビノシュが軽妙なやりとりを始めるまでの間爆睡したので見逃しただけかもしれないけどさ。

本物のコピー、偽者、という概念を二人の会話の議論で繰り広げていたかと思うと、この映画、そして映画そのものにまでいつのまにか広がっているから面白い。

冒頭から引き込まれる。
テーブルとその上のマイクだけの誰もいない固定ショットにタイトルロールが流れるのだけど、人はいっぱいいるらしくざわざわとした話し声だけが聞こえる。
こういうときエキストラ達はどういう会話をするのだろう。
これから始まる講演についての話か全く関係ない世間話か。
何を喋っているのかさっぱり分からないけど、咳払いが聞こえたりしてざわざわした雰囲気が音だけでこれから始まる講演、そしてこの映画に対する高揚感を起こさせてくれる。

ジュリエット・ビノシュが演じるギャラリーの女主人は、なんやかんや議論を吹っかけてくるのでかなりうざったく、ジェームズも閉口してしまう。
感情の波が激しくて、怒ってたかと思うと窓越しに見える結婚パーティの様子を首を伸ばして見て表情が一気にほころんだりする。
この時のうれしそうな女主人の表情見たら愛しくてたまらなってきた。

小津ばりの切り替えしショットでの二人のやり取りは次第に滑稽味を帯びてきて、声を出してフフっと笑ってしまったのだが、その瞬間観客の誰も笑っていなかったようなので少し恥ずかしかった。

相手役のウィリアム・シメルはオペラ歌手なんだそうだ。

2012年2月12日日曜日

映画『ゴーストライター』

2010年 監督:ロマン・ポランスキー
製作国:フランス/ドイツ/イギリス
at ギンレイホール




いまどきの監督ならテンポよく展開していきそうだが、退屈しない程度の間があるし、主な舞台になる島の別荘はいやに近代的な作りだし、で監督は若手じゃないのかなと思っていたらベテランどころかポランスキーだった。

イギリス元首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を請け負ったゴーストと名乗るだけのゴーストライター(ユアン・マクレガー)は、ラングが滞在するアメリカの寂しい孤島に向かう。
前任者がフェリーから落下して事故死したため彼に白羽の矢がたったのだが、前任者の死には不可解な謎があった。
ゴーストが島に着いて間もなく、ラングは戦犯としてイギリスから追われる身になってしまう。
でもゴーストは知ったこっちゃ無いので依頼どおりラングへのインタビューを通して執筆を開始するが、偶然前任者が残した資料を発見したことにより自叙伝に隠された裏の意味に迫っていく、巻き込まれるといったほうがいいか。

ラストシーンとかパーティー会場でメモが伝達されていったりとか、って皆なんかの映画で見たことあるようなないような気もする。
そう思ってしまうのはこの映画が50年代60年代くらいの名作サスペンスを見ているかのような雰囲気を持っているからだろう。
なかなか面白かった。

ラングの妻役のオリヴィア・ウィリアムズが綺麗。
シャーロット・ランプリングとキャサリン・キーナーを足して2で割ったような。。

ラングのモデルは恐らくブレア。

映画『ミケランジェロの暗号』

2010年 監督:ヴォルフガング・ムルンベルガー
製作国:オーストリア
at ギンレイホール




ノンストップアクション映画を見ているようにテンポのいいサスペンス。

1938年、ウィーンで画廊を営むユダヤ人一家カウフマン家では、数百年前にイタリアから盗まれたというミケランジェロの素描を秘蔵していた。
やがて戦争が始まると同時にナチスに奪われた絵は、後にドイツとイタリアの同盟の道具に使用されようとする。
しかし、ナチスが奪ったこの絵は実は画廊の主人が作らせた贋作だった。
本物のありかを吐かせるため、収容所にいたカウフマン家の長男ヴィクトル(モーリッツ・ブライブトロイ)が超重要人物としてベルリンに移送される。
が、移送途中で飛行機がパルチザンにより撃墜され。。

第二次世界大戦、ユダヤ人というキーワードながら、殊更暗くなる要素がなく、むしろユーモアに溢れて笑いすら起こる。
戦争が始まる前、とある諍いで監獄にぶちこまれたヴィクトルが署長をおちょくるくらいの超余裕ぶりを披露しているのを見て、ああ、もうすぐ戦争が始まったらそんな余裕は吹っ飛んで悲惨な現実が待ち受けているというのに、可哀想だなと思っていたらとんでもない。
戦争が始まって状況が一変してもヴィクトルは何も変わらなかった。
破天荒でスリリングなサバイバルは綱渡りの命がけでありながら、必死であればあるほど本人や周りが相対的に滑稽になる。
滑稽になれば余裕も生まれる。まるでゲームを楽しんでいるかのような余裕が。
背景には確実にユダヤ人が被った悲しい歴史があって、直截的ではないけどそれも確かに描かれている。
でも痛快に楽しめるっていうのが不思議。
戦争が始まる前の余裕っぷりを可哀想だなと思ったと書いたけど、むしろ劇的に不幸で暗くなる展開を望んでいたかもしれない。
いい意味で裏切られたな。

ヴィクトル役のモーリッツ・ブライブトロイは濃いというかなんというか印象的な顔している。
見たことあるような無いようなと思って調べたら、『ルナ・パパ』とか『ラン・ローラ・ラン』とか『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』、最近では『ソウル・キッチン』とか、偶然意外と見ていた。
今回の役は顔が強烈だったのでもう覚えた。

2012年1月29日日曜日

映画『モールス』

2010年 監督:マット・リーヴス
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




予告編が上手い。
いじめを扱った人間ドラマかサスペンスかホラーかよく分からない曖昧さ。
見る前に劇場のドアの前に並んでいると、子供の叫び声が大音響で継続して漏れ聞こえてきたのでホラーか、と知る。
ホラー、と言えばそうだが、小さな恋のメロディみたいな少年少女の恋愛物ともいえる。
ただしR15+だけど。

オーウェン役のコディ・スミット=マクフィー君は色白の美少年だが今田耕司に似ている不思議な顔立ち。
アビー役のクロエ・グレース・モレッツは美少女ではあるけど、時折嫌に老けた表情をする。
コディ・スミット=マクフィーの方が女の子として可愛らしく見えたりもするし。
演技でやっていたら凄いな。
公式ページにあるクロエ・グレース・モレッツのコメント動画を見ると普通の少女と言う感じ。

CGがちゃっちいので低予算映画かと思ったら、スウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッドリメイクらしい。
じゃああれで結構金かけてるのか。

映画『ウィンターズ・ボーン』

2010年 監督:デブラ・グラニック
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




アジアの自然の緑って豊穣な緑って感じだけど、アメリカの緑ってなんであんなにくすんでいるんだろう。
まして冬ならなおさら寒々しさしか感じない。
そもそもアメリカって木生えてたっけ?とすら思う。
ファミコンソフトのMOTHERでグリズリーが出てきそうな雰囲気だ。冬だけど。
この映画はアメリカ中西部ミズーリ州のオザーク高原というところが舞台らしい。

予告編の印象では少女が失踪している父親を探して旅に出て成長していくロードムービーなのかと思っていたけど、そんな生易しいもんじゃなかった。
そもそも主人公の17歳の少女は幼い弟妹と精神を病んだ母親を一人で支える一家の大黒柱であって、ちんたら旅に出てくそどうでもいい成長のドラマを経験しなくても生活的には十全に大人だった。
自立しているとか以前に既にいろんなものを背負っているから。
体つきもがっちりしているし。

山の中の寂れた田舎町では、血縁関係にある一族が結束して強固な共同体を作っていた。
しかも「ならず者」という言葉がぴったりの集団。
ならず者に性別年齢は関係なく、一族総ならず者なので怖い。
彼らを堅く結びつけるものに血縁と「おきて」がある。
掟がなんなのかよく分からなかったけど、とにかく掟は絶対で、それを破るものは誰であろうと死の制裁が加えられる。

家族の生活を守るため失踪した父親を探すリー(ジェニファー・ローレンス)は、叔父や遠縁の親族を当たってみるが、誰もがリーを門前払いする。
それでも強引に一族の有力人物とコンタクトを取ろうとすると、一族の女達による消される寸前の集団リンチに合う。。

ストーリー自体はよくわからなかった点があるものの、早くも今年見た映画のNo.1にしたいくらい面白かった。
最後の方で叔父を見送るリーの表情に涙出そうになった。
ジェニファー・ローレンスは初めて見たけど、この子は本当にいい女優さんだな。