2021年9月1日水曜日

映画『旅立つ息子へ』

2020年 監督:ニル・ベルグマン
製作国:イスラエル / イタリア
at ギンレイホール




アハロン(シャイ・アヴィヴィ)は田舎町で自閉症の息子ウリ(ノアム・インベル)と二人で暮らしている。
幸せな暮らしだが妻(別居中?)タマラはウリを施設に入れようとしている。
厄介払いとかではなくて(そもそも一緒に住んでいない)、ウリの将来を思ってのこと。
アハロンはウリを施設に入れるのに反対だが、彼には定収入が無い。(昔は結構有名なグラフィックデザイナーだったらしいが今は息子のために全てを捨てて田舎に越してきたらしい)
そこがネックになり渋々ウリを施設に連れていくことになる。
ってところからロードムービーの始まり。

親は子に子は親にどっぷり依存している関係だが、いつまでもそういう関係を続けることはできない。親が先にいなくなるし。
自閉症を扱いながらも親離れ子離れの物語でもある。

ウリがいくつくらいかよくわからなくて、20代っぽいけど30代っぽくもある。
役者は1998年生まれらしいので恐らく役どころも20代前半かな。

映画『サンドラの小さな家』

2020年 監督:フィリダ・ロイド
製作国:アイルランド / イギリス
at ギンレイホール




予告編見る限りタイトルも似ているダルデンヌ兄弟の『サンドラの週末』っぽい雰囲気ではある。
実際は週末よりもう少しエンターテインメント寄りでそれほど似ていなかった。
どっちも原題にサンドラって入ってないんだな。

幼い子どもとノリノリでダンスなんかしちゃって何を見せられてんだ的なとりあえず幸せそうな家族だね、ってところから夫が登場して一変、ブラック・ウィドウ!グシャァ!DV。
エンターテイメント的導入。
最悪のDV夫から幼い子ども二人を連れて逃げ出したサンドラ(クレア・ダン)は、ホテルで仮住まいしながら3人で住める家を探す。
しかし公営住宅はとんでもなく長い順番待ちで待っている間に破産しそう。
だから自分で家を建てることを決意する。すごい発想。

映画としては『サンドラの週末』の方が面白いけど、これはこれでエンターテインメントとしては普通に面白い。
エンターテインメントって言っている理由は演出がそうなっているっていうのと、生活困窮者の奮闘とか協力者の温かみとか社会制度の問題とか、描いているようで描いていない気がするんだよな。
バイト仲間やらろくに話したことのないママ友とか、協力者は簡単に集まるし、生活困窮者は主人公だけだし。
ボランティアの人たちいい人すぎるよね。
最初のおやっさんこそ無償で手伝うなんて絶対しない雰囲気で手強そうだったくせに、手伝うようになった理由はいまいちはっきりしない。多少繋がりのある人だったからとか、そこから事情を察知してDVに同情した?
DV問題だけは子供のPTSD含めて酷に描いている気もする。
けどいくら子供には暴力振るわないからっていっても、母親への暴力をそんなに気づかないもんか。
DV側の描写も父親を見て夫は妻に暴力をふるうもんだと覚えてしまったのね、ってそんな。。

2021年8月14日土曜日

映画『パーム・スプリングス』

2020年 監督:マックス・バーバコウ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




砂漠のリゾート地パーム・スプリングスで行われた結婚式にいた謎のアロハシャツ男ナイルズ(アンディ・サムバーグ)。
ダンス会場で参加者一人一人が次にどんな行動をするのかまるで熟知しているかのような動きで(ここのシーンの動きは秀逸)、新婦の姉サラ(クリスティン・ミリオティ)を笑わす。
謎の男ナイルズといい雰囲気になったサラはなんたかんだでナイルズが陥っているタイムループに巻き込まれる。

ドタバタコメディ。
B級映画、だよね、これ、

まずヒロインのサラがB級映画ですぐ死ぬモブとか精神病んでる系のワンポイント脇役とかヒロインいじめる役とか得意そうな、、とにかくヒロイン顔じゃ無い。
この子がヒロインだと気づいたときは軽い衝撃が走った。
いやーすごいわ。美人どころだとコメディに突っ切れないんだろうな。
ナイルズ演じたアンディ・サムバーグからして天パのがま口マッチョでイケメンじゃないからな。
バランス的に丁度いい。
なんか失礼なこと言いまくっている気がする。。

アンディ・サムバーグは制作もやっているんだな。
コメディ畑の人らしい。
納得のコメディ演技だった。

一応ラブコメディなのか。恋愛要素は(個人的には)無きに等しいんだけど、コメディとして抜群に面白かった。

J・K・シモンズもいかれた親父で出演している。

肉体は老いなくても記憶は残っているなら脳は成長しているんだよね。
脳だけ老化してとっとと死にそう。

映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』

2019年 監督:ユーゴ・ジェラン
製作国:フランス / ベルギー
at ギンレイホール




冒頭、氷と雪に追われた廃墟のような街CGが美しい、と思っていたところにいきなりでかい効果音とともに主人公の顔のドアップ、はちょっとウェってなる。
なんの映画見ているんだっけと思うような疾走感あふれる掴みではあるけど。

高校時代に付き合ってそこから最愛の妻になってくれたのに、自身の成功とともに妻をないがしろにしてしまう男がパラレルワールドに迷い込んで悪戦苦闘する。っていう純愛コメディ。

パラレルワールドにいくまでの圧倒的なテンポのよさ。
その一瞬ですらオリヴィア(ジョセフィーヌ・ジャピ)に惚れるわ。
ジョセフィーヌ・ジャピって初めて見たけど、まあ綺麗。
気品がありつつ快活な笑顔は庶民的な親しみやすさもあるっていう素晴らしさ。
これからどんどん売れていきそう。

フランソワ・シヴィルは髭がないと誰だかわからないくらい顔変わるな。
高校時代は別の俳優が演じているのかと思った。

友人のフェリックス(バンジャマン・ラヴェルネ)はコメディ脇役としても純愛ものとしても最高のキャラクターになっている。南葛もいけているし。

まあ面白かったんじゃないかと思うけど、ジョセフィーヌ・ジャピじゃなかったらそれほどでもない気もする。
パラレルワールドっていう異質設定が面白味でありながらも恋愛ものとしては足引っ張るのね。
恋愛映画の男がいて女がいてっていう関係性が同一人物で掛ける2になったらそれだけ薄まるし。
今の世界と元の正解がそれぞれちゃんとした世界だからそれぞれの世界でどきどき恋愛ハッピーエンドにならないと気がすまない。

2021年7月31日土曜日

映画『夏時間』

2019年 監督:ユン・ダンビ
製作国:韓国
at ギンレイホール




予告編で、車中の後部座席で船漕いで倒れそうな弟を隣の姉が自分の肩にそっと寄りかからせる、っていうシーン見てから絶対おもしろいだろうと思って結構楽しみにしていた。
本編は、つまらなくはないけど、途中眠気に襲われて少し寝てしまった。

夏休み、祖父の家、っていう空気感が瑞々しい。
そこに大人になりかけの少女の視点から見た、、恋人、なにやら事情のある大人達、無邪気で脳天気な弟、去っていった母親、生と死、っていうもろもろの感情が乗せられる。
いいことはいいんだけど、、なんかこういうの見るなら是枝ホームドラマのほうが数倍面白いんだよなぁ。

弟役の子はあまり演技経験ない子に自由にさせているんだなと思っていたのに、パク・スンジュン君っていって天才子役と評される子らしい。
まじかー、こまっしゃくれた子役の演技が大っ嫌いなのに普通に見てしまったぁ。

号泣シーンは初め面白い泣き方に戸惑うけど段々引き込まれていく。
なかなかの名シーン。
なぜそこまで号泣するかは不明。だが全てが溢れ出して止まらないんだろうな。なんとなく分かる。

映画『ヒトラーに盗られたうさぎ』

2019年 監督:カロリーヌ・リンク
製作国:ドイツ
at ギンレイホール




絵本作家ジュディス・カーの自伝。
子供にとっては結構過酷な環境ではあるが、ドイツに残っていたユダヤ人より100倍幸せなんよね。

主演のリーヴァ・クリマロフスキがまあ達者だわ。
子役嫌いの私でも自然に見ることができた。
なんかしばらく学業に専念するらしいが将来が楽しみ。

映画自体は第一部完みたいな感じ。
まあ面白かった。

1923年生まれで生きていたら100歳近いしもうだいぶ前になくなっているんだろうなと思ったら2019年までご存命だったらしい。
この作品の完成前だったとのこと。

2021年7月17日土曜日

映画『世界で一番しあわせな食堂』

2019年 監督:ミカ・カウリスマキ
製作国:フィンランド / イギリス / 中国
at ギンレイホール




フィンランド北部の田舎町に中国人親子がやってくる。
彼は「フォントロン」を探しているらしい。
入った食堂で客に聞きまくるが誰も「フォントロン」を知らなくて途方にくれる。

「フォントロン」の謎が物語のキーになる雰囲気なのに中盤であっさり判明する。
判明後は中だるみしている気もしたけど、のんびりしていて全般的には面白かった。
4輪バイクは農作業用かと思ったらそうでもないのか。かっこいい。

釣り針のシーンは文化の違いに戸惑うか、もしくはシルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)に幻滅するシーンなのかと思ったが逆に3人の絆のシーンみたいだった。
これぞ文化の違い?
怪我させたのお前だろうが、と何回突っ込んだことか。
人災も天災みたいな感覚が世界一幸せな国である秘訣なのかも。


ミカ・カウリスマキは何本見たんだっけと思ったらまさかの1本。
ヴィルプラ役のヴェサ=マッティ・ロイリが出ているね。
この人公式ページによると「フィンランドで最も有名な俳優・歌手・パフォーマー」らしい。

映画『MISS ミス・フランスになりたい!』

2020年 監督:ルーベン・アウヴェス
製作国:フランス
at ギンレイホール




予告編にもあるけど「完璧と普通の違いが分かる?」「数ミリよ」は名言だな。
子供の頃にミス・フランスに憧れていた少年が、大人になるまでに色々あって暗くなっていたところで昔の夢を思い出して再び夢を追い始める話。

ストーリーはいまいちよくわかなかったけど、ミスコンの舞台裏とかはまあ面白かった。
あと、主演のアレクサンドル・ヴェテールの美脚がすごい。
彼の美脚に勝てる女性は世界に100人もいないんじゃないかと思うくらい。
顔立ちもなんか不思議で、ごつごつして男っぽく見えもするし、小顔でエキゾチックな美人に見えたりもする。
めちゃくちゃ美人という程でもないが。

シェアハウスの同居人たちが個性的なのはいかにもって感じ。

以下ネタバレ


細かい設定とかストーリーがよくわからんのね。

アレックスが男だとわかったらさんざん無視していたのに手のひらクルーで急に仲間づらするのって何なの?
トランスジェンダーには寛容でいないといけない、いじめるなんてとんでもないみたいな空気感に流されているのを揶揄しているのだろうか。

ボクシングジムの人たちってアレックスを下に見てどちらかというといじめているような雰囲気があったけど、最後めっちゃ和気あいあいと応援していたよね。
普通に仲間だと思っていたならそれでいいけど、アレックスにレイプまがいのことして暴言吐いた同僚は普通に応援していちゃ駄目だよね。あの場にいたか記憶にないけど。

ラスト脱ぎだしたら普通カメラ止めるでしょ。
あとピンク乳首の綺麗な微乳にしか見えなかったのだけど、あれで男とすぐ分かる観客って一体なんなのか。

アレックスが結局性自認が女性なのかどうかよくわからない。クロスドレッサーでもなさそうだし。
でも幼馴染とその恋人の仲にショックを受けるような描写もあるからややこしい。
その辺は監督のインタビューみるとなんとなく意図がわかる。
型にはめた分類をしたがるのはよくないってことね。

2021年7月3日土曜日

映画『すばらしき世界』

2020年 監督:西川美和
製作国:
at ギンレイホール




人生の大半を刑務所で過ごし、今回は13年ぶりに出所した元やくざで殺人犯の三上正夫(役所広司)。
根は優しいのだが激昂しやすく、一度切れたら相手をぶちのめして動かなくなるまで止まらない。
そんな三上と三上を支える弁護士夫婦とか若手テレビマンとかスーパーの店主だとかの物語。
実在の人物がモデルらしく、原作は佐木隆三のノンフィクション小説『身分帳』。

周りの人がいい人たちすぎて泣けてくる。
元殺人犯でしかもしょっちゅうキレている人なんか怖くて近寄りたくない。
けど三上がまた人懐っこいいい笑顔するんだわ。ほっとけないというか。
狂気の凄みと優しさを同居させる役所広司の真骨頂。

庄司夫婦(梶芽衣子、橋爪功)がなにか名セリフ言っていたんだけど、思い出せない。
なにか人生の生き難さ、大人は我慢してとか逃げていいとか一人で全部背負えないとかそんな話。
三上にとっては半分納得して半分納得できない話。
ラストシーンのエピソードはちょっと主張がストレート過ぎるけどいい話いいシーンだった。

白竜の足のCGはよくできているような違和感あるような。

以下ネタばれ

あの職員ぶっとばしたいわ~。
彼なりの正義かもしれないが基本なにか根性がひん曲がっている。
その後のおばあちゃんに駆け寄る姿が仕事とはいえ、ギャップに戸惑うんだよな。
介護の現場はあまりに過酷だというし正常じゃいられないのかも。
それにしても前科者とか雇うっていう情報知っておきながら三上が前科者かもって思わないところがアホすぎてかわいい。
あと、いじめられる側に非というかマイナス点が少しでもあって、かつ皆がいじめていると、友達だったはずなのに急にどうでもよくなってしまう、みたいな日和見集団心理に何か心理学的な名前あるのかな。
いじめ、想像、真相、そして「似てますよね?」の緊張から緩和、そして「三上さんも持って帰る?」の笑顔から三上の涙、そしてラストって流れは感情の起伏が激しくてなかなかすごい。

映画『スパイの妻<劇場版>』

2020年 監督:黒沢清
製作国:日本
at ギンレイホール




この予告編さあ、なにこのチープなB級テレビドラマみたいな映画って思ったら黒沢清監督ってばーんって名前が出るからびっくりするよね。

本編見ると、冒頭の手前に樹の枝葉で奥に建物のショットがなんか安心感あったけど、以降は普通に予告編通りだった。
でも意外と面白かった。

セリフまわしはどんなに熱がこもっても常にどこか上滑りしているような変な感じ。
なにこれって思うけど、棒読みすぎず自然すぎない絶妙なバランスの上に成り立った演技に思えてきてだんだん癖になる。

余談:
そういえば黒沢清の映画ってだいたいこんな感じのセリフまわしだったっけ、というか黒沢映画って超久しぶりに見た気がする。
いや、久々というか『ニンゲン合格』とあとせいぜい1,2本くらしか見ていなかったかも。。
このブログ上では3本乗っているなぁ。覚えていない。。

東出君は黒沢清と相性よさそうだな。

演出は昔の日本映画見ているかのよう。
バストショットの切り返しは真正面向いているけど小津っぽいし、後はなんだ、何も出てこないがなんとなくの雰囲気で。

以下少しネタばれ

自分の危機的状況もよく理解していないし、フィルム見れば納得してもらえると信じ切った上でのどや顔「御覧ください」は名シーンだった。